(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093853
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】無人飛行体
(51)【国際特許分類】
B64U 20/50 20230101AFI20240702BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
B64U20/50
B64U10/13
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210448
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市橋 亮吾
(72)【発明者】
【氏名】矢口 康平
(72)【発明者】
【氏名】大西 弓子
(57)【要約】
【課題】飛行本体部と保持ユニットの接続を効率的に行うことが可能な無人飛行体を提案する。
【解決手段】無人飛行体は、プロペラが取り付けられるアームを複数有し支持部が設けられた飛行本体部と、前記支持部に支持される被支持部が設けられ積載物が保持される保持ユニットと、前記飛行本体部に対する前記保持ユニットの回動を規制する規制ユニットと、を備え、前記飛行本体部と前記保持ユニットは、何れか一方が第1部材とされ他方が第2部材とされ、前記規制ユニットには、前記第1部材に対して第1位置と第2位置との間を移動可能とされた被規制部が設けられ、前記第2部材は、前記被支持部が前記支持部に支持された状態において前記被規制部が当接する規制部を有し、前記被規制部が前記規制部に当接することで前記第1部材と前記第2部材の相対的な回動が規制された状態において、前記規制ユニットの長手方向が前記アームに沿うように設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラが取り付けられるアームを複数有し支持部が設けられた飛行本体部と、
前記支持部に支持される被支持部が設けられ積載物が保持される保持ユニットと、
前記飛行本体部に対する前記保持ユニットの回動を規制する規制ユニットと、を備え、
前記飛行本体部と前記保持ユニットは、何れか一方が第1部材とされ他方が第2部材とされ、
前記規制ユニットには、前記第1部材に対して第1位置と第2位置との間を移動可能とされた被規制部が設けられ、
前記第2部材は、前記被支持部が前記支持部に支持された状態において前記被規制部が当接する規制部を有し、
前記被規制部が前記規制部に当接することで前記第1部材と前記第2部材の相対的な回動が規制された状態において、前記規制ユニットの長手方向が前記アームに沿うように設けられた
無人飛行体。
【請求項2】
前記第1部材は前記飛行本体部とされ、
前記第2部材は前記保持ユニットとされた
請求項1に記載の無人飛行体。
【請求項3】
前記被規制部を前記第2部材の外周側に付勢する付勢部を備え、
前記規制部には、前記第2部材の中心側に突出した張出部が設けられた
請求項1に記載の無人飛行体。
【請求項4】
前記付勢部はバネを有して構成された
請求項3に記載の無人飛行体。
【請求項5】
前記規制ユニットに前記被規制部を前記付勢部の付勢方向とは逆方向に移動させるための操作部が設けられた
請求項4に記載の無人飛行体。
【請求項6】
前記操作部は、前記保持ユニットの中心方向に押し込む操作によって移動され、
前記被規制部は、前記操作部の移動に基づいて前記逆方向に移動される
請求項5に記載の無人飛行体。
【請求項7】
前記第1部材における中心部を挟んだ対角の位置に前記規制ユニットが一つずつ設けられた
請求項1から請求項6の何れかに記載の無人飛行体。
【請求項8】
前記保持ユニットは、前記アームの数が異なる複数種類の前記飛行本体部が備えるそれぞれの前記被規制部に対応して複数の前記規制部が設けられた
請求項2に記載の無人飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人飛行体の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無人飛行体に対して種々の搭載物を搭載したいという要望がある。このような要望を実現するために、下記特許文献1においては、飛行機能を実現する部分(例えば飛行本体部)と搭載物を搭載する部分(例えば保持ユニット)とに無人飛行体を分け、それらを接続する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行本体部に接続する保持ユニットを複数用意し、目的に応じて飛行本体部に接続する保持ユニットを選択することで、種々の目的に適切な搭載物を搭載した無人飛行体を提供することができる。
ところで、飛行本体部と保持ユニットの接続作業に手間取ると、最適なタイミングで搭載物を搭載して飛行させることができず、目的が達成できない場合がある。
そのため、飛行本体部と保持ユニットの接続は効率的に行えることが好ましい。
【0005】
本提案はこのような背景に基づいて発明されたもので、飛行本体部と保持ユニットの接続を効率的に行うことが可能な無人飛行体を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無人飛行体は、プロペラが取り付けられるアームを複数有し支持部が設けられた飛行本体部と、前記支持部に支持される被支持部が設けられ積載物が保持される保持ユニットと、前記飛行本体部に対する前記保持ユニットの回動を規制する規制ユニットと、を備え、前記飛行本体部と前記保持ユニットは、何れか一方が第1部材とされ他方が第2部材とされ、前記規制ユニットには、前記第1部材に対して第1位置と第2位置との間を移動可能とされた被規制部が設けられ、前記第2部材は、前記規制部が当接する被規制部を有し、前記第1部材と前記第2部材の相対的な回動が前記規制部によって規制された状態において、前記規制ユニットの長手方向が前記アームに沿うように設けられたものである。
即ち、飛行本体部と保持ユニットを接続し、飛行本体部と保持ユニットを相対的に回動させるうちに被規制部が規制部によって規制され、飛行本体部と保持ユニットの相対的な回動が止まる。そして、その状態においては、規制ユニットがアームに沿う状態、換言すれば、規制ユニットの長手方向とその近傍に位置するアームの軸方向とが略平行な状態とされる。
これにより、飛行本体部と保持ユニットの相対的な回動が規制された場合或いは規制される直前の状態においては、規制ユニットの長手方向とアームの軸方向が略一致した状態とされる。
【発明の効果】
【0007】
このような本発明によれば、飛行本体部と保持ユニットの接続を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】無人飛行体の一形態を示す図であり本図はドローンの外観を示す図である。
【
図2】飛行本体部と飛行本体部に取り付けられた規制ユニットを示す図である。
【
図4】保持ユニットにおける一部を分解した斜視図である。
【
図5】保持ユニットに設けられた被支持部についての側面図である。
【
図6】被支持部が開口部に挿入された状態を示す断面図である。
【
図7】被支持部が支持部に支持された状態を示す断面図である。
【
図8】
図10、
図12と共に規制ユニットの被規制部が保持ユニットの規制部に規制される様子を示す図であり、本図は、被規制部が規制部に規制される前の状態を示す図である。
【
図9】
図8に示す規制ユニットについての側面図である。
【
図10】
図8、
図12と共に規制ユニットの被規制部が保持ユニットの規制部に規制される様子を示す図であり、本図は、被規制部が張出部に乗り上げた状態を示す図である。
【
図12】
図8、
図10と共に規制ユニットの被規制部が保持ユニットの規制部に規制される様子を示す図であり、本図は、被規制部が規制部に規制された状態を示す図である。
【
図13】操作部が操作されることにより被規制部が張出部よりも中心方向に位置した状態を示す図である。
【
図14】アームを把持しながら操作部を操作する様子を示した図である。
【
図15】第2の実施の形態における保持ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.第1の実施の形態>
第1の実施の形態における無人飛行体1について添付図を参照して説明する。
無人飛行体1は、例えば、回転翼を備えたドローンや固定翼を備えた航空機などとされる。以下の説明においては、ドローンとしての無人飛行体1を例に挙げるが、本発明は固定翼を備えた無人航空機に適用することが可能である。
なお、以下の説明においては、無人飛行体1の飛行状態に基づいて上下方向を記載する。
【0010】
無人飛行体1は、内部に回路基板等の飛行制御ユニットが配置される飛行本体部2と、飛行本体部2の下方に取り付けられ各種の物体が積載及び保持される保持ユニット3とを備えている。
【0011】
また、無人飛行体1は、飛行本体部2と保持ユニット3を相対的に回動させることで、飛行本体部2と保持ユニット3を分離したり接続したりすることが可能とされている。飛行本体部2と保持ユニット3を接続することにより、保持ユニット3は飛行本体部2に支持される。
【0012】
無人飛行体1は、飛行本体部2と保持ユニット3を接続する場合における飛行本体部2と保持ユニット3の相対的な回動を規制する規制ユニット4(
図1において不図示)を備えている。
【0013】
飛行本体部2は、複数のアーム5を有している。飛行本体部2は、各アーム5の先端部に取り付けられたプロペラ6を備えている。各プロペラ6は、飛行本体部2に配置された飛行制御ユニットの制御に応じて駆動される。これにより、飛行本体部2は飛行機能を備える。
【0014】
保持ユニット3は、図示しない保持機構により積載物7とされた各種の物体を保持可能とされている。
図1においては積載物7とされたカメラ装置が保持ユニット3に保持されている。
【0015】
保持ユニット3は、下方に突出される棒状に形成されたスキッド8を複数備えている。スキッド8は、積載物7よりも下方まで延びるように配置されており、無人飛行体1の着陸時に先端部が接地することで積載物7と地面の衝突が回避される。これにより、積載物の保護が図られる。
なお、スキッド8は、飛行本体部2に設けられていてもよい。
【0016】
飛行本体部2を下方から見た図を
図2に示す。
飛行本体部2は、円盤状の支持ベース部9と、支持ベース部9の下方に取り付けられるリング状の支持体10を有して構成されている。
【0017】
支持体10は、周方向に延びる筒状に形成されており、周方向における90度ごとに下方に開口された開口部11が形成されている。
支持体10における開口部11の隣接部分は保持ユニット3を支持する支持部12として設けられている。
【0018】
また、支持体10は、規制ユニット4の一部が内部に配置される配置孔13が形成されている。規制ユニット4は、長手方向が支持体10の半径方向となるように支持体10の下面側に取り付けられている。
【0019】
飛行本体部2の下面、即ち、支持ベース部9の下面には、二つの規制ユニット4が支持ベース部9の中心を挟んで対角となる位置にそれぞれ取り付けられている。
【0020】
一つの規制ユニット4は、
図3に示すように、支持体10に対して半径方向に移動される移動部14と、移動部14の内側の端部から下方に突出された被規制部15と、移動部14の外側に接続された操作部16と、を備えている。
移動部14と被規制部15と操作部16は、移動部14の移動に伴って一体となって支持体10の半径方向に移動される。
【0021】
以降の説明においては、単に「内側」と記載した場合には支持体10の中心側を指し、単に「内側方向」と記載した場合には支持体10の中心に近づく方向を指す。同様に、単に「外側」と記載した場合には支持体10の外側を指し、単に「外側方向」と記載した場合には、支持体10の中心から離れる方向を指す。
【0022】
規制ユニット4は、移動部14を支持ベース部9から脱落しないように取り付ける取付部17を有している。本実施の形態では、取付部17としての第1取付部17Aと第2取付部17Bとによって移動部14が支持ベース部9に下方から取り付けられている。また、規制ユニット4は、
図2に示すように、一つのアーム5の下方において長手方向とアーム5の軸方向が同じ方向となるように取り付けられている。即ち、上方から見ると、アーム5と規制ユニット4は一部が重なって見える。
【0023】
第1取付部17Aと第2取付部17Bは、支持ベース部9に対して相対的に移動されない。第1取付部17Aと第2取付部17Bは、例えばネジなどの固定手段で支持ベース部9に固定されている。
即ち、移動部14と被規制部15と操作部16は、移動部14の移動に伴って一体となって取付部17に対しても移動される。
【0024】
操作部16及び第2取付部17B及びその周辺には、移動部14を外側方向に付勢する付勢部18として機能する部分が設けられている。
【0025】
具体的には、操作部16における内側を向く面には内側方向に突出された二つのホルダ軸19が形成されている。ホルダ軸19の長さは、例えば、第2取付部17Bと操作部16の距離よりも長くされている。
【0026】
第2取付部17Bには、ホルダ軸19の一部が挿通される案内孔20が形成されている。
【0027】
ホルダ軸19は、例えば、径が案内孔20と略同じ、或いは、案内孔20よりも若干小さくされており、操作部16の半径方向の移動に伴って一部が案内孔20の内部を摺動する。
【0028】
ホルダ軸19の外周には例えば圧縮バネとされたバネ21が保持されている。バネ21の径は案内孔20よりも大きくされており、バネ21が案内孔20の内部に侵入しないようにされている。
なお、第2取付部17Bにおける外側を向く面には、案内孔20の縁部にバネ21が配置されるバネ配置凹部が形成されていてもよい。バネ配置凹部の径は、バネ21の径と略同じ、或いは、バネ21の径よりも若干大きくされていることが好ましい。
【0029】
ホルダ軸19と案内孔20とバネ21は、付勢部18として機能する。
【0030】
図3から理解されるように、バネ21が圧縮バネとされていることから、移動部14と被規制部15と操作部16は、付勢部18によって外側方向に常に付勢されている。また、操作部16を内側に押し込むように操作すると、移動部14と被規制部15と操作部16は内側方向に移動される。
【0031】
続いて、保持ユニット3を斜め上方向から見たときの図を
図4に示す。
保持ユニット3は、矩形或いは円形の板状に形成された保持ベース部22と、積載物7を保持する図示しない保持機構を備えている。
【0032】
保持ベース部22は、中央の部分に中央孔23が形成されている。また、保持ベース部22は、上面部22aにおいて、飛行本体部2の支持部12に支持される被支持部24が周方向における90度ごとに設けられている。即ち、保持ベース部22の上面部22aには、四つの被支持部24が設けられている。なお、
図4においては、保持ベース部22と被支持部24が分解された状態を示している。
図4に示す被支持部24の数は一例であり、五つ以上の被支持部24が上面部22aに設けられていてもよいし、三つ以下の被支持部24が上面部22aに設けられていてもよい。
【0033】
被支持部24の側面図を
図5に示す。
被支持部24は、上面部22aから上方に延びる部分とされた基部25と、基部25の上端部から側方に延びる部分とされた側方突部26とから成る。
【0034】
側方突部26の下面部27は、側方突部26の先端付近に形成された第1斜面部27aと、側方突部26の根元付近に形成された第2斜面部27bと、その間の部分とされた第3面部27cとから成る。第3面部27cは、例えば、略下方を向く面とされている。
【0035】
保持ユニット3を飛行本体部2に取り付ける際には、先ず、保持ユニット3に形成された被支持部24の略全体を飛行本体部2に形成された開口部11に挿入する。そして、飛行本体部2に対して保持ユニット3を上方から見て反時計回りに回動させる。
【0036】
なお、以降の説明においては、上方から見た反時計回りの回動を単に「反時計回りの回動」と記載する。また、上方から見た周方向における反時計回りの方向を単に「反時計回り方向」と記載する。
また、反時計回りの回動や反時計回りの方向の逆方向については、「時計回りの回動」や「時計回り方向」と記載する。
【0037】
被支持部24の略全体を開口部11に挿入し、飛行本体部2に対して保持ユニット3を反時計回りに少し回動させた状態を
図6に示す。
図6は、第1斜面部27aが開口部11付近に形成された斜面部11aに当接された状態を示している。この状態においては、飛行本体部2の支持体10の下面と保持ユニット3の上面部22aの間にはまだ間隙Sが存在する。
【0038】
図6に示す状態から保持ユニット3を反時計回りに更に回動させると、被支持部24の第1斜面部27aが斜面部11aを乗り上げていき、支持体10の下面と保持ユニット3の上面部22aの間の間隙Sが小さくなっていく。
【0039】
図7は、飛行本体部2に対して保持ユニット3を反時計回りに回動させ切った状態を示している。この状態においては、被支持部24の基部25と開口部11の縁部が当接されている。そして、支持体10の下面と保持ユニット3の上面部22aの間の間隙Sは略消滅している。
また、被支持部24の第3面部27cが支持体10の支持部12によって支持された状態とされている。
【0040】
無人飛行体1は、前述したように、飛行本体部2と保持ユニット3の相対的な回動を規制する機構を備えている。具体的には、
図7に示す状態から飛行本体部2に対して保持ユニット3が時計回りに回動してしまうことを防止する機構を備えており、これにより、被支持部24の開口部11からの脱落が防止される。
【0041】
保持ユニット3における中央孔23の内周面には、
図4に示すように、時計回り方向にいくに従って内側方向に変位する張出部28と、張出部28に続く部分とされ凹部を形成する凹面部29と、凹面部29に連続する部分とされ内方側に突出された凸面部30が形成されている。
【0042】
張出部28と凹面部29と凸面部30は、飛行本体部2と保持ユニット3の相対的な回動を規制する規制部31として機能する。
【0043】
規制部31は、中央孔23の中心を挟んで対角となる位置にそれぞれ設けられている(
図4参照)。
【0044】
ここで、規制部31は、規制ユニット4の被規制部15の周方向の移動を規制するものである。規制部31と被規制部15の関係について各図を参照して説明する。
【0045】
図8は、保持ユニット3の被支持部24が支持体10の開口部11に挿入された状態について一部を断面にして上方から見た図である。なお、各図においては、説明の便宜上、重なっている線同士を敢えて離して記載することもある。また、無人飛行体1の一部の図示を省略している。
【0046】
図8に示す状態においては、被支持部24が支持部12に支持されておらず、また、規制ユニット4の移動部14の被規制部15が規制部31以外の中央孔23の縁部に当接されている。
【0047】
被規制部15が規制部31以外の中央孔23の縁部に当接された状態における移動部14の位置を「第1位置」とする。但し、これに限らず、第1位置は、保持ユニット3を飛行本体部2に取り付ける前の状態において、バネ21が最大限伸張した状態における移動部14の位置とされてもよい。
【0048】
図8に示す状態の規制ユニット4を側面から見た図が
図9である。図示するように付勢部18におけるホルダ軸19は、案内孔20に一部が挿入された状態とされるが、バネ21は圧縮され切っていない。
【0049】
続いて、飛行本体部2に対して保持ユニット3を反時計回りに回動させた状態を
図10に示す。図示するように、被支持部24の一部が支持部12に支持されており、且つ、規制ユニット4の移動部14の被規制部15が張出部28に当接されている。
【0050】
このときの規制ユニット4を側面から見た図が
図11である。図示するように付勢部18におけるホルダ軸19は、第2取付部17Bの反対側まで案内孔20を貫通した状態とされ、バネ21は
図9に示すよりも圧縮された状態とされている。
【0051】
続いて、飛行本体部2に対して保持ユニット3を更に反時計回りに回動させた状態を
図12に示す。図示するように、被支持部24における側方突部26の大部分が支持部12に支持されており、且つ、規制ユニット4の移動部14の被規制部15が凹面部29に当接されている。この状態における規制ユニット4は、
図9のように移動部14が第1位置に位置した状態、或いはそれに近い状態とされる。
【0052】
そして、規制部31における凸面部30が被規制部15に当接しているため、被規制部15のこれ以上の反時計回りの回動が規制される。これにより、飛行本体部2に対する保持ユニット3の反時計回りの回動が規制される。
【0053】
また、規制部31における張出部28が被規制部15に隣接して位置されているため、飛行本体部2に対する保持ユニット3の時計回りの回動についても規制される。
従って、飛行本体部2と保持ユニット3の相対的な回動が規制され、保持ユニット3が飛行本体部2に安定的に保持される。
【0054】
なお、規制部31は、保持ベース部22の他の部分よりも厚く形成されていてもよい。これにより、被規制部15が規制部31を外側方向に乗り越えてしまうことが防止される。
【0055】
なお、被規制部15が規制部31に規制された
図12に示す状態において、若干の遊びが設けられていてもよい。即ち、被規制部15が規制部31の張出部28や凸面部30を乗り越えない程度に飛行本体部2と保持ユニット3の相対的な回動が可能とされていてもよい。
【0056】
飛行本体部2に対して用途に応じた異なる保持ユニット3を装着することを考えると、保持ユニット3を飛行本体部2から取り外す作業が必要となる。
【0057】
保持ユニット3を飛行本体部2から取り外すためには、先ず、規制ユニット4の操作部16を内側方向に押し込む。具体的には、操作部16を内側方向に押し込むことにより、
図13に示すように、被規制部15を規制部31の張出部28よりも内側に移動させる。
【0058】
このとき、前述したように、規制ユニット4は長手方向がアーム5に沿うように配置されている。換言すれば、規制ユニット4とアーム5は一部が上下から見て重なる位置に配置されている。
図14は、アーム5と規制ユニット4の関係を示す図であり、下方から見た状態を示したものである。
【0059】
図14に示すように、取り外し作業を行う作業者は、アーム5を把持しながら親指で操作部16を内側方向に押し込むことが可能とされている。
これにより、操作部16を強い力で内側に押し込むことができ、被規制部15を張出部28及び凹面部29よりも内側に移動させることが容易とされる。即ち、取り外し作業効率の向上が図られる。
【0060】
被規制部15を張出部28及び凹面部29よりも内側に移動された状態における移動部14の位置を「第2位置」とする。但し、これに限らず、第2位置はバネ21が極限まで圧縮され線間隙間が消失した状態における移動部14の位置とされてもよいし、操作部16を所定の力で内側に押し込んだ状態における移動部14の位置とされてもよい。
また、第2位置は、被規制部15が張出部28よりも内側に位置し且つ凸面部30よりも外側に位置した状態における移動部14の位置とされてもよい。これにより、移動部14が第2位置に位置した状態においては、飛行本体部2に対する保持ユニット3の時計回りの回動は規制されず、且つ、反時計回りの回動が凸面部30によって規制される。即ち、飛行本体部2に対して保持ユニット3を誤った方向に回動させてしまうことを防止することができる。
【0061】
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比較して保持ユニット3の構成が異なる。
具体的には、複数種類の飛行本体部2に対応するための構成を保持ユニット3が備えている。
【0062】
飛行本体部2は、
図2に示すようにアーム5を4本備えたものと、
図15に示すようにアーム5を6本備えたものなど各種のものが存在する。ここで、4本のアーム5を備えた飛行本体部2を飛行本体部2Aとし、6本のアーム5を備えた飛行本体部2を飛行本体部2Bとする。
【0063】
本実施の形態における保持ユニット3Aは、保持ベース部22Aの中央孔23Aの内周面に、飛行本体部2Aに対応して設けられた規制部31Aと、飛行本体部2Bに対応して設けられた規制部31Bとが形成されている。なお、規制部31Aと規制部31Bは、第1の実施の形態と同様に、それぞれ張出部28と凹面部29と凸面部30を備えているが、符号の図示を省略している。
【0064】
飛行本体部2Bに対応する規制部31Bは、飛行本体部2Bに対する保持ユニット3Aの回動が規制された状態において、アーム5或いはアーム5の中心軸と上方から見て重なる位置に設けられている。
【0065】
これにより、6本のアーム5を有した飛行本体部2Bに保持ユニット3Aを取り付ける際や飛行本体部2Bから保持ユニット3Aを取り外す際の作業効率の向上を図ることができる。
【0066】
なお、4本のアーム5や6本のアーム5を有する飛行本体部2A、2Bだけでなく、それ以外の本数のアーム5を有した飛行本体部2に対応した保持ユニット3に対して本発明を適用することも可能である。
【0067】
特に、奇数本のアーム5を有した飛行本体部2に対応した保持ユニット3において、規制部31が中央孔23の対角にそれぞれ設けられている場合には、規制ユニット4も規制部31に対応した位置に設けられる。
そして、この場合には、二つの規制ユニット4のうちの一方のみがアーム5の下方に配置されていてもよい。これにより、一方の規制ユニット4の操作部16については、アーム5を把持しながらの操作が可能とされるため、作業効率を向上させる効果を得ることができる。
【0068】
<3.変形例>
上述した各実施の形態においては種々の変形例を適用することが可能である。
例えば、飛行本体部2(2A、2B)に規制ユニット4が取り付けられ、保持ユニット3(3A)に被規制部15に対応した規制部31(31A、31B)が設けられる例を示したが、これに限られない。
即ち、保持ユニット3(3A)に規制ユニット4が取り付けられ、飛行本体部2(2A、2B)に被規制部15に対応した規制部31(31A、31B)が設けられていてもよい。
【0069】
換言すれば、飛行本体部2(2A、2B)と保持ユニット3(3A)の何れか一方を第1部材とし他方を第2部材とした場合に、第1部材に規制ユニット4が取り付けられ、第2部材に被規制部15に対応した規制部31(31A、31B)が設けられていればよい。
【0070】
上述した各例においては、被規制部15が下方に突出された棒状に形成され、規制部31が棒状の被規制部15の側面に当接する曲面を有して形成された例を示したがこれに限られない。
即ち、飛行本体部2(2A、2B)に対して保持ユニット3(3A)を反時計回り(時計回りでも可)に回動させた場合の回動量が所定量を超えた時点において、被規制部15の少なくとも一部が反時計回り方向(或いは時計回り方向)の移動において規制部31の一部によって干渉されればよい。
また、その場合の被規制部15の付勢方向は、当該干渉がより強まる方向とされていればよい。
【0071】
上述した各例においては、飛行本体部2(2A、2B)に上方を向く面とされた支持部12が設けられ、保持ユニット3(3A)に支持部12によって支持される部分として側方に突出された側方突部26が設けられていたが、これに限られない。
例えば、飛行本体部2(2A、2B)に支持部として側方に突出された部分が設けられ、保持ユニット3(3A)に被支持部として該突出された部分に支持される面が設けられていてもよい。
一例を挙げると、飛行本体部2(2A、2B)に突状の支持部が設けられ、保持ユニット3(3A)に孔状の被支持部が設けられていてもよい。
【0072】
<4.まとめ>
上述したように、無人飛行体1は、プロペラ6が取り付けられるアーム5を複数有し支持部12が設けられた飛行本体部2(2A、2B)と、支持部12に支持される被支持部24が設けられ積載物7が保持される保持ユニット3(3A)と、飛行本体部2に対する保持ユニット3の回動を規制する規制ユニット4と、を備えている。
また、飛行本体部2と保持ユニット3は、何れか一方が第1部材とされ他方が第2部材とされ、規制ユニット4には、第1部材に対して第1位置と第2位置との間を移動可能な被規制部15が設けられている。
また、第2部材は、被支持部24が支持部12に支持された状態において被規制部15が当接する規制部31(31A、31B)を有し、被規制部15が規制部31に当接することで第1部材と第2部材の相対的な回動が規制された状態において、規制ユニット4の長手方向がアーム5に沿うように設けられている。
即ち、飛行本体部2と保持ユニット3を接続し、飛行本体部2と保持ユニット3を相対的に回動させるうちに被規制部15が規制部31によって規制され、飛行本体部2と保持ユニット3の相対的な回動が止まる。そして、その状態においては、規制ユニット4がアーム5に沿う状態、換言すれば、規制ユニット4の長手方向とその近傍に位置するアーム5の軸方向とが略平行な状態とされる。
これにより、飛行本体部2と保持ユニット3の相対的な回動が規制された場合或いは規制される直前の状態においては、規制ユニット4の長手方向とアーム5の軸方向が略一致した状態とされる。
従って、飛行本体部2と保持ユニット3の相対的な回動が規制される直前の状態においては、アーム5と共に規制ユニット4を把持しながら回動作業(接続作業)を行うことが可能となる。
これにより、飛行本体部2に保持ユニット3を取り付ける作業の効率を向上させることができる。
【0073】
上述したように、無人飛行体1において、第1部材は飛行本体部2(2A、2B)とされ、第2部材は保持ユニット3(3A)とされてもよい。
これにより、飛行本体部2側にアーム5と規制ユニット4が取り付けられる。即ち、飛行本体部2と保持ユニット3を相対的に回動させた場合に、規制ユニット4とアーム5は保持ユニット3に対して同様に回動される。
従って、規制ユニット4の長手方向とアーム5の軸方向は回動状態によらず常に一致した状態とされる。換言すれば、常にアーム5の下方に規制ユニット4が位置した状態とされる。
これにより、飛行本体部2に保持ユニット3を取り付ける際に、アーム5と規制ユニット4を共に把持しながら作業することが可能となり、作業効率の向上を図ることができる。
また、アーム5のみを把持して取り付け作業をするよりもアーム5に対する負荷を軽減させることができる。
【0074】
図8、
図10及び
図12等を参照して説明したように、無人飛行体1は被規制部15を第2部材の外周側(移動部14の外周端側)に付勢する付勢部18を備えてもよい。そして、規制部31(31A、31B)には、第2部材の中心側に突出した張出部28が設けられていてもよい。
これにより、第1部材と第2部材を相対的に回動させる過程において、被規制部15は、規制部31における張出部28を乗り越える。その際に、被規制部15を外周端側に付勢する付勢部18が設けられることで、被規制部15の張出部28側への移動が防止され、第1部材と第2部材の相対的な回動が規制された状態を安定的に保つことができる。
従って、飛行本体部2(2A、2B)と保持ユニット3(3A)の連結状態が解除されて保持ユニット3が飛行本体部2から脱落しまうことを防止することができる。
【0075】
上述したように、無人飛行体1における付勢部18はバネ21を有して構成されていてもよい。
これにより、入手が容易な部材と簡易な構造で被規制部15を外周端側に付勢することができる。
【0076】
図3等を参照して説明したように、無人飛行体1における規制ユニット4に被規制部15を付勢部18の付勢方向とは逆方向に移動させるための操作部16が設けられていてもよい。
これにより、被規制部15が規制部31(31A、31B)に当接した状態を解除するための操作が可能とされる。従って、飛行本体部2(2A、2B)に対して保持ユニット3(3A)を付け替える場合の作業の効率化を図ることができる。
【0077】
図13及び
図14等を参照して説明したように、無人飛行体1における操作部16は、保持ユニット3(3A)の中心方向に押し込む操作によって移動され、被規制部15は、操作部16の移動に基づいて付勢方向とは逆方向に移動されてもよい。
引っ張る動作よりも押し込み動作の方が容易であり、且つ、より強い力を加えることが可能となる。従って、飛行本体部2(2A、2B)に対して保持ユニット3を付け替える場合の作業の効率化を図ることができる。
【0078】
図2等を参照して説明したように、無人飛行体1を構成する第1部材における中心部を挟んだ対角の位置に規制ユニット4が一つずつ設けられていてもよい。
これにより、二つのアーム5を把持しながら飛行本体部2(2A、2B)に保持ユニット3(3A)を取り付ける作業を行うことができる。
従って、作業容易性を確保することができ作業効率の向上を図ることができる。
【0079】
第2の実施の形態において説明したように、無人飛行体1における保持ユニット3Aは、アーム5の数が異なる複数種類の飛行本体部2A、2Bが備えるそれぞれの被規制部15に対応して複数の規制部31A、31Bが設けられてもよい。
これにより、アーム5の本数が異なる飛行本体部2A、2Bに対して同一の保持ユニット3Aを取り付けることが可能となる。
従って、飛行本体部2A、2Bに合わせて異なる保持ユニット3を用意しなくて済むため、コスト削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 無人飛行体
2、2A、2B 飛行本体部
3、3A 保持ユニット
4 規制ユニット
5 アーム
6 プロペラ
7 積載物
12 支持部
15 被規制部
16 操作部
18 付勢部
21 バネ
24 被支持部
28 張出部
31、31A、31B 規制部