(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093858
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】クレーンの情報提示装置、プログラム及びクレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 13/16 20060101AFI20240702BHJP
B66C 13/46 20060101ALI20240702BHJP
B66C 13/12 20060101ALI20240702BHJP
G07C 5/08 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B66C13/16 Z
B66C13/46 G
B66C13/12 D
G07C5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210472
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】加島 新之助
【テーマコード(参考)】
3E138
3F204
【Fターム(参考)】
3E138AA06
3E138BA09
3E138BA20
3E138BB05
3E138CA03
3E138DA02
3E138DB08
3F204AA04
3F204BA02
3F204CA07
3F204DD18
3F204GA07
(57)【要約】
【課題】クレーン作業におけるエネルギー消費量をよりわかりやすく提示できるクレーンの情報提示装置の提供を目的とする。
【解決手段】クレーンの情報提示装置30は、クレーン作業に使用される駆動源のエネルギー消費量を特定する期間の指定をユーザーから受け付ける入力部32と、ユーザーから指定された期間におけるエネルギー消費量とエネルギー貯蔵量との関係を提示する提示部33と、を有している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン作業に使用される駆動源のエネルギー消費量を特定する期間の指定をユーザーから受け付ける入力部と、
ユーザーから指定された期間におけるエネルギー消費量とエネルギー貯蔵量との関係を提示する提示部と、
を有するクレーンの情報提示装置。
【請求項2】
前記提示部で提示する前記駆動源のエネルギー消費量と前記エネルギー貯蔵量との関係は、繰り返し作業可能回数または作業可能時間を含む請求項1に記載のクレーンの情報提示装置。
【請求項3】
前記提示部は、前記エネルギー消費量と前記エネルギー貯蔵量との関係とともに少なくとも前記ユーザーから指定された期間におけるクレーンの稼働状態を提示する請求項1に記載のクレーンの情報提示装置。
【請求項4】
前記入力部は、前記特定する期間の開始および終了を入力するスイッチである請求項1に記載のクレーンの情報提示装置。
【請求項5】
前記提示部は、過去に記録されたクレーンの稼働状態を時系列に表示した時系列画面を提示し、
前記入力部は、前記時系列画面において、前記特定する期間の開始および終了の指定を受け付ける請求項1に記載のクレーンの情報提示装置。
【請求項6】
前記駆動源は、電力を充電可能なバッテリーであり、消費電力を監視する監視部を有し、前記エネルギー消費量とは、前記バッテリーの消費電力量であり、
前記エネルギー貯蔵量は、前記バッテリーの現在のエネルギー貯蔵量である請求項1に記載のクレーンの情報提示装置。
【請求項7】
前記提示部は、過去の複数の期間におけるエネルギー消費量および最大吊荷重の少なくとも一方を含む稼働情報を提示し、前記複数の期間のうちから選択された期間におけるクレーンの稼働状態を時系列に提示する請求項5に記載のクレーンの情報提示装置。
【請求項8】
請求項1に記載のクレーンの情報提示装置における提示部を動作させるプログラム。
【請求項9】
請求項1に記載のクレーンの情報提示装置を備え、
前記駆動源と、前記駆動源によって駆動する駆動部とを有するクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンの情報提示装置、プログラム及びクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、油圧ショベル等の作業機械の分野において、一定時間周期ごとに燃料消費量を積算し、燃料の残量から稼働可能時間を演算する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クレーンは、走行時、吊荷を吊っている作業時、吊荷を吊っていない作業時など、作動状況によって駆動部に作用する負荷が大きく変化し、作動状況によって燃料の消費量が激しく変わってしまう。
したがって、このようなクレーンは、作業単位ごとの燃料消費量をオペレータにわかりやすく提示することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、クレーン作業におけるエネルギー消費量をよりわかりやすく提示できるクレーンの情報提示装置、プログラム及びクレーンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクレーンの情報提示装置は、クレーン作業に使用される駆動源のエネルギー消費量を特定する期間の指定をユーザーから受け付ける入力部と、ユーザーから指定された期間におけるエネルギー消費量とエネルギー貯蔵量との関係を提示する提示部と、を有している。
【0007】
また、本発明は、上記発明のクレーンの情報提示装置における提示部を動作させるプログラムである。
【0008】
また、本発明は、上記発明のクレーンの情報提示装置を備え、前記駆動源と、前記駆動源によって駆動する駆動部とを有するクレーンである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るクレーンの情報提示装置は、クレーン作業におけるエネルギー消費量をよりわかりやすく提示できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るクレーンの情報提示装置を備えたクレーンの側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るクレーンの情報提示装置を備えたクレーン1の構造図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るクレーンの情報提示装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るクレーンの情報提示装置を備えたクレーンの稼働状態図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るクレーンの情報提示装置における提示部の第1表示例である。
【
図6】本発明の実施形態に係るクレーンの情報提示装置における提示部の第2表示例である。
【
図7】本発明の実施形態に係るクレーンの情報提示装置の作動を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(クレーンの構成)
図1は、本実施形態に係るクレーンの情報提示装置を備えたクレーン1の側面図である。
この
図1に示すように、クレーン1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。このクレーン1は、電動式であり、バッテリーを駆動源としている。なお、以下では、クレーン1の搭乗者から見た前後左右方向をクレーン1の前後左右方向として説明する。
【0013】
上部旋回体3の前側には、ブーム4が起伏可能に取り付けられている。上部旋回体3の後部には、ブーム4及び吊荷5の重量バランスをとるカウンタウエイト6が取付けられている。
【0014】
上部旋回体3の右側前部には、キャビン7が配置されている。キャビン7にはオペレータが着座し、そのオペレータがクレーン1の操縦を行うようになっている。
【0015】
ブーム4の起伏動作は、図示しない起伏ウインチによる起伏ロープ8の巻き取り又は巻き出しにより行われる。
【0016】
巻上ロープ10の一端はフック11に接続されており、フック11はブーム4の先端のポイントシーブ12に巻き掛けられた巻上ロープ10によって吊下げられている。巻上ロープ10の他端は上部旋回体3上の図示しない巻上ウインチに巻回されており、巻上ウインチによって巻上ロープ10が巻き取られるか又は巻き出されて、フック11が昇降する。吊荷5は、紐状、鎖状等の吊下げ材13でフック11に吊り下げられている。
【0017】
このようなクレーン1は、下部走行体2の走行動作、上部旋回体3の旋回動作、ブーム4の起伏動作、吊荷5の吊上げ・吊下げ動作等の各種クレーン作業がバッテリー(蓄電池)を駆動源として実行されるようになっている。なお、本実施形態のクレーン1は、バッテリーに給電する給電ケーブルを付けた状態でも操作できる構成になっている。
【0018】
(電動式クレーンの構造)
図2は、クレーンの情報提示装置を備えたクレーン1の構造図である。この
図2に示すように、クレーン1は、クレーン本体(例えば、下部走行体2)に設置された電源接続部15に外部電源14から延びる電源ケーブル(図示せず)が接続され、電源接続部15を介して供給された電気の交流電圧(AC)がAC→DCコンバーター16で直流電圧(DC)に変換された後、電気が主電気回路17を経て駆動源であるバッテリー(高電圧蓄電池)18に蓄電されるようになっている。また、AC→DCコンバーター16で直流電圧に変換された電気は、主電気回路17、DC→DCコンバーター20を経て低電圧化された後に低電圧蓄電池に蓄電されるとともにコントローラ27及び低電圧負荷28に供給され、コントローラ27及び低電圧負荷28を作動させる。
【0019】
バッテリー18の電気は、DC→ACインバーター22によって直流電圧から交流電圧に変換されて電動モーター23に供給される。電動モーター23は、バッテリー18から供給される電気で作動し、油圧ポンプ24を駆動させる。油圧ポンプ24は、作動油タンク25内のオイルを吸い上げた後、その吸い上げたオイルを加圧して油圧負荷26に供給し、油圧負荷26を作動させる。油圧負荷26は、上部旋回体3の旋回モーター、起伏ウインチ用モーター、巻上ウインチ用モーター等のクレーン作業用の油圧機器である。
【0020】
低電圧蓄電池21に蓄えられた電気は、コントローラ27及び低電圧負荷28に供給され、コントローラ27及び低電圧負荷28を作動させる。低電圧負荷28は、低電圧で作動する各種計器、各種センサ等である。
【0021】
(クレーンの情報提示装置の機能構成)
図3は、クレーンの情報提示装置30の機能構成を示すブロック図である。この
図3に示すように、クレーンの情報提示装置30は、制御部31、入力部32,提示部33、監視部34、記憶部35、クレーン稼働状態取得部39を備えている。
【0022】
制御部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、クレーンの情報提示装置30の動作を制御するものであり、上部旋回体3に配置される。この制御部31は、オペレータの操作入力等に基づいて提示部33等を作動させ、後述する記憶部35に記憶されている過去のクレーンの稼働状態データ36、予め記憶されている繰り返し作業可能回数及び作業可能時間演算プログラム37、クレーン稼働状態演算プログラム38等を使用して各種処理を実行する。そして、この制御部31は、繰り返し作業可能回数及び作業可能時間演算プログラム37を使用した演算結果と、クレーン稼働状態演算プログラム38を使用した演算結果とを提示部33の表示画面40上に表示させる。
【0023】
入力部32は、クレーン作業に使用される駆動源としてのバッテリー18の電力消費量の計測時間範囲を決定するためのものであり、計測時間範囲の開始および終了を入力するスイッチにより構成される。言い換えると、入力部32は、クレーン作業に使用される駆動源のエネルギー消費量を特定する期間の指定をオペレータ(ユーザー)から受け付けるものである。また、入力部32は、提示部33の表示画面40上に設置されたインターフェイスであってもよく、このインターフェイスから計測時間範囲の開始及び終了を入力するようにしてもよい。また、入力部32は、オペレータによって操作されるリモコンであってもよい。この計測時間範囲の開始及び終了の入力は、オペレータによって任意に行うことが可能であり、例えば、オペレータが1回のクレーン作業ごとに行うことが可能であり、また、後述するように、オペレータが任意の計測時間範囲を設定してもよい。なお、計測時間範囲の開始および終了を入力するスイッチは、単数の場合に限られず、複数であってもよい。
【0024】
提示部33は、入力部32によって決定された計測時間範囲(ユーザーから指定された期間)に基づいて、バッテリー18の電力消費量(エネルギー消費量)とバッテリー18の電力貯蔵量(エネルギー貯蔵量)との関係を提示する。この提示部33が提示するバッテリー18の電力消費量(エネルギー消費量)とバッテリー18の電力貯蔵量(エネルギー貯蔵量)との関係は、一定のクレーン作業の繰り返し作業可能回数及び/又は一定のクレーン作業の作業可能時間であり、制御部31が繰り返し作業可能回数及び作業可能時間演算プログラム37を使用した演算結果に基づくものである(
図4参照)。なお、電力貯蔵量(エネルギー貯蔵量)は、現在のエネルギー貯蔵量であり、作業開始前の電力使用前(エネルギー使用前)の状態では最大電力貯蔵量(最大エネルギー貯蔵量)になる。また、バッテリーの最大エネルギー貯蔵量は、バッテリーの規格上の最大バッテリー容量であるか、又は充電が止まるまで充電されたときの最大バッテリー容量であってもよい。すなわち、最大バッテリー容量は、規格上の値でもよく、又は劣化等で減少した実質的な値でもよい。
また、提示部33は、制御部31がクレーン稼働状態演算プログラム38を使用して演算した結果(クレーン稼働状態)を消費電力と共に表示画面40上に表示できるようになっている(
図4参照)。
また、提示部33は、記憶部35に記録されている過去のクレーンの稼働状態データを表示画面40上に時系列に表示できるようになっている(
図5参照)。また、提示部33は、時系列で表示された複数のクレーンの稼働状態データのうちから任意のクレーンの稼働状態データをオペレータが選択できるようになっており、そのオペレータが選択した過去のクレーンの稼働状態データを消費電力と共に表示画面40上に表示するようになっている(
図6参照)。
また、提示部33は、所定のID(日時や作業パターン名や記号)及びその所定のIDに対応付けられて記録された少なくとも計測時間、エネルギー消費量、最大吊荷重の1つを含むクレーンの稼働状態を複数提示し、その複数のIDから選択されると、選択されたIDにおける過去に記録されたクレーンの稼働状態を時系列に提示する。このように、提示部33は、計測時間、エネルギー消費量、最大吊荷重といった作業負荷に応じて変化しやすい特徴的な量を表示することにより、似たようなデータをソートしやすい状態で表示できる。
つまり、提示部33は、過去の複数の期間における計測時間、エネルギー消費量および最大吊荷重の少なくとも1つを含む稼働情報を提示し、その複数の期間のうちから選択された期間におけるクレーンの稼働状態を時系列に提示することができる。
また、提示部33は、過去の複数の期間におけるあらゆる情報ではなく、計測時間、消費電力量(エネルギー消費量)、最大吊荷重を表示画面40上に提示しているので、表示画面40上にデータを表示しやすくする。
【0025】
監視部34は、例えば、バッテリー電力消費センサであり、バッテリー18の消費電力を監視し、そのバッテリー18の消費電力データを制御部31に出力するようになっている。
【0026】
記憶部35は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部31の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部35は、過去のクレーンの稼働状態データ36を日報的に記録日時ごとに時系列で記憶している。また、記憶部35は、クレーン1の繰り返し作業可能回数及び作業可能時間の演算プログラム37を予め記憶している。また、記憶部35は、クレーン稼働状態演算プログラム38を予め記憶している。また、過去に記録されたクレーンの稼働状態は、所定のID(日時や作業パターン名や記号)が割り振られて記憶部35に記録されている。また、記録日時は、例えば、所定の作業ごとに記録A、記録B、記録Cのようにパターンごとに任意で記録できるようにしておいて、そこから選ぶという形でもよい。このような場合も、似たパターンをオペレータが選択して、開始・終了の入力が容易にできる。
【0027】
クレーン稼働状態取得部39は、オペレータによって操作される操作レバー等の操作入力信号や、センサ検出信号(ブーム角度検出センサ、ロードセル、モーター回転数検出センサ、油圧センサ、ドラム回転センサ、ドラム監視カメラ等の検出信号)や、DC→ACインバーター22との通信信号に基づいて、クレーン1の稼働状態を取得する(
図4参照)。クレーン1の稼働状態は、計測時間範囲内におけるモーター回転数、ブーム角度、吊荷重として取得される。例えば、吊荷重は、ロードセルの信号やワイヤロープのフック11もしくはシーブの掛けまわし数で演算することで取得される。なお、クレーン1の稼働状態とは、上述したモーター回転数、ブーム角度、吊荷重には限られず、クレーン1の起伏、フック11の巻上げ巻き下げ、旋回動作に対して状態が変わる状態量であればなんでもよい。例えば、フック11で吊っている吊荷高さ、旋回角度、起伏、フック11の巻上げ巻き下げ、旋回の操作レバーの操作入力信号値であってもよい。
【0028】
(クレーンの稼働状態図)
図4は、クレーンの情報提示装置30を備えたクレーン1の稼働状態図である。この
図4に示すように、計測時間範囲内におけるクレーン1の稼働状態(例えば、モーター回転数、ブーム角度、吊荷重等)は、計測時間範囲内におけるバッテリー18の消費電力と共に提示部33に表示される。
【0029】
(提示部の表示例)
図5は、クレーンの情報提示装置30における提示部33において、クレーン1の開始または終了を入力するための第1表示例を示す図である。この
図5に示すように、提示部33の表示画面40には、過去のクレーン1の稼働状態データの一部が記録日時ごとに表示されている。記憶部34には、稼働状態データが記録日時ごとに時系列で記憶されている。クレーン1の稼働状態データは、記録日時、計測時間、電力消費量、最大吊荷重、ブーム長さ、吊作業時間等のうちの一部(複数)の代表項目とその代表値が表示されている。また、提示部33の表示画面40の下端側には、前ページボタン42、次ページボタン43が設置されており、オペレータによってページが任意に選択できるようになっている。また、提示部33の表示画面40の下端側には、日時毎に記憶されたクレーン1の稼働状態データのうちのいずれかの日時を選択するための選択ボタン44が設置され、選択したクレーン1の稼働状態データを
図6のように時系列データとして表示するためのデータ表示ボタン45が設置されている。また、提示部33の表示画面40の下端側には、提示部33の表示画面40を現在よりも一つ前の状態に戻すための戻るボタン46が設置されている。戻るボタン46を選択すると、例えば、
図5を表示するためのボタンが表示された画面に戻る。
【0030】
図6は、クレーンの情報提示装置30における提示部33の第2表示例を示す図である。この
図6に示すように、提示部33の表示画面40には、クレーンの稼働状態
図50が表示されている。このクレーンの稼働状態
図50は、バッテリー18の消費電力、電動モーター23の回転数、ブーム角度、吊荷重が計測時間範囲(開始から終了までの範囲)で上下方向に並ぶように時系列データとして表示され、各稼働状態の相互の関係を把握しやすくなっている。
【0031】
また、
図6の右側下方には、開始/終了選択ボタン53(インターフェイス)が設置されると共に、選択位置移動ボタン54(インターフェイス)が設置されている。オペレータは、この開始/終了ボタン53によって開始又は終了を選択し、選択位置移動ボタン54を操作することにより、選択した開始位置又は終了位置をクレーンの稼働状態
図50において移動させることができ、データ決定ボタン55を操作して開始位置と終了位置の選択範囲を決定できる。つまり、選択位置移動ボタン54やデータ決定ボタン55等が入力部32となり、入力部32は、時系列画面が表示される表示画面40において、クレーン作業に使用される駆動源のエネルギー消費量を特定する期間の開始および終了の指定を受け付ける。これにより、オペレータは、現在のクレーン1の稼働状態と類似する過去のクレーン1の稼働状態を探す場合に、比較する過去のクレーン1の稼働状態データを特定範囲に絞り込むことができ、現在のクレーンの稼働状態に類似する過去のクレーンの稼働状態を探す作業が容易化する。その結果、本実施形態のクレーンの情報提示装置30は、現在のクレーンの繰り返し作業可能回数及び作業可能時間の予測が過去のクレーンの稼働状態データから容易に予測することが可能になる。
【0032】
また、
図6の右側上方には、クレーンの稼働状態
図50における開始位置と終了位置をずらすことがない場合における全体記録情報51が表示されている。この全体記録情報51には、記録日時、計測時間、電力消費量、最大吊荷重、吊作業時間が表示されている。また、
図6の右側中段には、クレーンの稼働状態
図50における開始位置と終了位置をずらした場合における選択範囲情報52が表示されている。この選択範囲情報52には、選択時間、電力消費量、平均電力、最大吊荷重、吊作業時間が表示されている。このように、提示部33の表示画面40には、全体記録情報51と選択範囲情報52とが上下に並べて表示されるため、全体記録情報51と選択範囲情報52との類似点や相違点がオペレータにとって把握しやすくなっている。なお、
図6において、表示画面40の右下には、戻るボタン56が設置されている。この戻るボタン56は、オペレータによって操作されることにより、計測時間範囲の開始位置と終了位置を選択前の初期位置に戻すことができる。
【0033】
(クレーンの情報提示装置の作動)
図7は、クレーンの情報提示装置30の作動を示すフローチャートである。この
図7に示すように、制御部31は、入力部32から計測時間の開始信号が入力されると(ステップS1)、クレーン稼働状態取得部39からクレーン稼働状態データを取得し、その取得したクレーン稼働状態データを使用してクレーン稼働状態演算プログラム38で消費電力及び電力消費量(エネルギー消費量)を積算し(ステップS2)、計測時間終了信号が入力部32から入力されると、消費電力及び電力消費量(エネルギー消費量)の積算を終了する(ステップS3)。
【0034】
次に、制御部31は、監視部34からバッテリー18の残容量データを取得する(ステップS4)。
【0035】
次に、制御部31は、繰り返し作業可能回数及び作業可能時間演算プログラム37を使用し、電力消費量(エネルギー消費量)とバッテリー18の残容量(エネルギー貯蔵量の残量)から繰り返し作業可能回数及び作業可能時間を計算する(ステップS5)。
【0036】
次に、制御部31は、提示部33の表示画面40に計算結果(繰り返し作業可能回数及び作業可能時間)を
図4のように表示する(ステップS6)。なお、制御部31は、提示部33の表示画面40に計算結果(繰り返し作業可能回数及び作業可能時間)を
図6のクレーンの稼働状態
図50に置き換えて表示し、併せて、全体記録情報51と選択範囲情報52を表示してもよい。また、制御部31は、給電ケーブルの電力がバッテリーに充電されながら操作できる場合に、充電スピードを考慮してエネルギー消費量と駆動源のエネルギー貯蔵量との関係を計算して表示画面40に表示させてもよい。
【0037】
このような本実施形態のクレーンの情報提示装置30は、入力部32における計測時間開始の信号の入力と計測時間終了の信号の入力がオペレータによって作業単位ごとに行われることにより、作業単位ごとの電力消費量(エネルギー消費量)に基づいて繰り返し作業可能回数及び作業可能時間が正確に算出され、その算出結果をオペレータが容易に知ることができる。
【0038】
(本実施形態の効果)
以上のような本実施形態のクレーンの情報提示装置30は、作業単位ごとに計測時間範囲を設定できるので、作業に対する電力消費量(エネルギー消費量)をわかりやすく提示できる。
【0039】
また、本実施形態に係るクレーンの情報提示装置30は、バッテリー18の電力消費量(エネルギー消費量)とバッテリー18の電力貯蔵量(エネルギー貯蔵量)との関係が繰り返し作業可能回数または作業可能時間であるため、オペレータが作業工程の予測を立てやすくなる。
【0040】
また、本実施形態に係るクレーンの情報提示装置30は、提示部33が少なくとも計測時間範囲のクレーンの稼働状態を提示するため、電力消費量(エネルギー消費量)とクレーンの稼働状態との関係が分かりやすくなる。
【0041】
また、本実施形態に係るクレーンの情報提示装置30は、計測時間範囲の開始および終了をスイッチで入力するようになっているため、オペレータが作業開始時と終了時にスイッチを押すだけで範囲を指定でき(簡易指定でき)、また、オペレータが作業単位ごとに自由に計測時間範囲の開始および終了を設定できる。
【0042】
また、本実施形態に係るクレーンの情報提示装置30は、過去に記録されたクレーンの稼働状態を提示部33に時系列に提示し、計測時間範囲の開始および終了が提示部33に設置されたインターフェイスから入力するようになっているため、過去に記録されたクレーンの稼働状態を参照しながら、容易にかつ適切な計測時間範囲の開始と終了を入力することが可能になる。
【0043】
また、本実施形態に係るクレーンの情報提示装置30は、バッテリーの消費電力を監視する監視部を有し、バッテリー18の蓄電量の残量を監視部で把握できるため、バッテリー切れに起因する不具合(バッテリー18の充電に時間がかかり、作業効率が低下するという不具合)の発生を未然に防止できる。
【0044】
また、本実施形態に係るクレーンの情報提示装置30は、クレーンの稼働状態を計測時間範囲に対応して図で表示するようになっているため、クレーンの稼働状態がオペレータにとって把握しやすくなる。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明に係るクレーンの情報提示装置30は、電動式の移動クレーン1を例示して説明したが、これに限られず、内燃機関を駆動部とするクレーンにも適用できる。本発明に係るクレーンの情報提示装置30を内燃機関が駆動部となるクレーンに適用する場合には、バッテリー18を燃料タンクに置き換え、電力消費量を燃料消費量に置き換えて適用する。
また、内燃機関とバッテリーの両方を備えて両方を駆動部とするクレーンにも適用できる。
【0046】
また、本発明に係るクレーンの情報提示装置30を備えたクレーン1は、クローラクレーンに限定されず、ホイールクレーン、トラッククレーン等の移動式クレーンに加えて、港湾クレーン、天井クレーン、門型クレーン、アンローダ、固定式クレーン等のあらゆるクレーンを含んでもよい。
また、本発明は、ショベルカーであって、ブーム及びアームがあって、アームにロープが吊り下げられていて、そのロープにフックが取り付けられているものも移動式クレーンに含める。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 クレーン
18 バッテリー(駆動源)
32 入力部
33 提示部
34 監視部
53 開始/終了選択ボタン(インターフェイス)
54 選択位置移動ボタン(インターフェイス)