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  • 特開-電流検出器 図1
  • 特開-電流検出器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093862
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電流検出器
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20240702BHJP
   G01R 15/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R15/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210483
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】村上 建二
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA03
2G025AB01
2G025AB02
2G025AB05
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】冗長性を持たせることができると共に、異なる検出方式の電流センサの弱点を相互に補完することができる電流検出器を提供する。
【解決手段】測定対象となる電流Iが流れるバスバー2を有している。このバスバー2は、右側面21d側から左側面20c側に向かって電流Iが流れるようになっている。その電流Iが流れるバスバー2の経路上には、該電流Iを異なる検出方式で検出するシャント抵抗3,磁気センサ4が設けられている。シャント抵抗3は、バスバー2に流れる電流Iを抵抗体30に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するもので、磁気センサ4は、バスバー2に流れる電流Iによって生じる磁界成分Mを検出するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる電流が流れるバスバーを有し、
前記バスバーの一端面側から他端面側に向かって前記電流が流れる前記バスバーの経路上には、該電流を異なる検出方式で検出する電流センサが設けられてなる電流検出器。
【請求項2】
前記電流センサは、
前記バスバーに流れる電流によって生じる磁界成分を検出する磁気センサと、
前記バスバーに流れる電流を抵抗体に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するシャント抵抗と、を含んでなる請求項1に記載の電流検出器。
【請求項3】
前記磁気センサは、前記バスバーの経路のうち、直線状に形成されている位置に設けられてなる請求項2に記載の電流検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接触式の電流センサとして、シャント抵抗(例えば、特許文献1参照)、非接触式の電流センサとして、磁気センサ(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
ところで、近年、1つの電流センサが破損してしまっても、別の電流センサを用いて電流検出を続けられるように異なる検出方式の電流センサをそれぞれ用いて、冗長性を持たせたいという要望が高まってきている。
【0004】
そこで、このような要望に応えるべく、冗長性を持たせる方法として、シャント抵抗と、磁気センサとを、並列に並べて配置することで、冗長性を持たせる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-190543号公報
【特許文献2】特開2010-014477号公報
【特許文献3】特開2020-091261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような方法は、冗長性を持たせることができるものの、設置スペースが増大してしまうという問題があった。
【0007】
さらには、シャント抵抗は、設置スペースを小さくすることができるものの、バスバーに流れる電流の発熱の影響を受けやすいという弱点を備え、磁気センサは、バスバーに流れる電流の発熱の影響を受けにくいものの、設置スペースが大きくなるという弱点を備えている。しかしながら、上記のような方法は、何れの弱点も解決できていないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、冗長性を持たせることができると共に、異なる検出方式の電流センサの弱点を相互に補完することができる電流検出器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
請求項1の発明によれば、測定対象となる電流(I)が流れるバスバー(2,2A)を有し、
前記バスバー(2,2A)の一端面(右側面21d,21Ad)側から他端面(左側面20c)側に向かって前記電流(I)が流れる前記バスバー(2,2A)の経路上には、該電流(I)を異なる検出方式で検出する電流センサ(シャント抵抗3,磁気センサ4)が設けられてなることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の電流検出器(1,1A)において、
前記電流センサは、
前記バスバー(2,2A)に流れる電流(I)によって生じる磁界成分(M)を検出する磁気センサ(4)と、
前記バスバー(2,2A)に流れる電流(I)を抵抗体(30)に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するシャント抵抗(3)と、を含んでなることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、上記請求項2に記載の電流検出器(1,1A)において、
前記磁気センサ(4)は、前記バスバー(2,2A)の経路のうち、直線状に形成されている位置に設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
請求項1に係る発明によれば、一端面(右側面21d,21Ad)側から他端面(左側面20c)側に向かって電流(I)が流れるバスバー(2,2A)の経路上には、該電流(I)を異なる検出方式で検出する電流センサ(シャント抵抗3,磁気センサ4)が設けられているから、冗長性を持たせることができると共に、異なる検出方式の電流センサの弱点を相互に補完することができる。なお、この異なる検出方式で検出する電流センサとしては、請求項2に係る発明によるバスバー(2,2A)に流れる電流(I)によって生じる磁界成分(M)を検出する磁気センサ(4)と、バスバー(2,2A)に流れる電流(I)を抵抗体(30)に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するシャント抵抗(3)とが好適である。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、磁気センサ(4)が、バスバー(2,2A)の経路のうち、直線状に形成されている位置に設けられているから、シールド又はケーシングを施すなどの処理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る電流検出器の斜視図、(b)は同実施形態に係る電流検出器の縦断面図である。
図2】他の実施形態に係る電流検出器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電流検出器の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
<電流検出器の説明>
本実施形態に係る電流検出器は、インバータ、バッテリー等で使用されるもので、図1に示すように、電流検出器1は、バスバー2と、シャント抵抗3と、磁気センサ4と、で構成されている。以下、各構成について詳しく説明する。
【0019】
<バスバーの説明>
バスバー2は、銅等の金属からなり、図1に示すように、例えば、厚み約3mm~5mmの厚板状で、左バスバー20と、右バスバー21と、で構成されている。左バスバー20は、図1(a)に示すように、上面20a、下面20b、左側面20c、右側面20dからなる長尺の矩形状に形成されている。そして、図1(b)に示すように、この左バスバー20の左側面20c側には、図示しないボルトの軸部を通過させるための円形状(図1(a)参照)の左貫通孔20eが、左バスバー20の上面20aから下面20bに向かって貫通して設けられている。
【0020】
一方、右バスバー21は、図1(a)に示すように、上面21a、下面21b、左側面21c、右側面21dからなる長尺の矩形状に形成されている。そして、図1(b)に示すように、この右バスバー21の右側面21d側には、図示しないボルトの軸部を通過させるための円形状(図1(a)参照)の右貫通孔21eが、右バスバー21の上面21aから下面21bに向かって貫通して設けられている。
【0021】
<シャント抵抗の説明>
シャント抵抗3は、接触式の電流センサであって、上記説明したバスバー2に流れる電流を抵抗体に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するものである。さらに詳しく説明すると、シャント抵抗3は、図1に示すように、抵抗体30と、測定端子31とで構成されている。抵抗体30は、図1(a)に示すように、例えば、厚み約3mm~5mmの厚板状で短尺の矩形状に形成されており、例えば、Cu-Mn系合金、Cu-Ni系合金、Ni-Cr系合金、等で形成されている。かくして、このような抵抗体30は、図1に示すように、抵抗体30の左側面30aが、左バスバー20の右側面20dに溶接Y1により接合され、抵抗体30の右側面30bが、右バスバー21の左側面21cに溶接Y1により接合されている。これにより、抵抗体30は、左バスバー20と右バスバー21との間に挟み込まれ、バスバー2と一体的に形成されることとなる。
【0022】
一方、測定端子31は、電流検出用のプリント基板(図示せず)を実装可能なもので、銅,錫メッキ等で形成されており、図1に示すように、一対設けられ、さらに、棒状の軸部31aを備えている。この軸部31aは、電流値を測定する際に用いられる電圧測定端子であって、その直径は、例えば、約1mm~1.5mmに形成されている。そして、図1(b)に示すように、一対の測定端子31のうち一方の測定端子31の軸部31aの下面31a1は、左バスバー20の右側面20d側の上面20aに接触し、その軸部31aの下面31a1側の外周面が溶接Y2により接合されている。これにより、図1に示すように、左バスバー20の右側面20d側の上面20aには、一対の測定端子31のうち一方の測定端子31の軸部31aが立った状態で設けられることとなる。
【0023】
また、図1(b)に示すように、一対の測定端子31のうち他方の測定端子31の軸部31aの下面31a1は、右バスバー21の左側面21c側の上面21aに接触し、その軸部31aの下面31a1側の外周面が溶接Y2により接合されている。これにより、図1に示すように、右バスバー21の左側面21c側の上面21aには、一対の測定端子31のうち他方の測定端子31の軸部31aが立った状態で設けられることとなる。
【0024】
かくして、このようにして、シャント抵抗3は、図1(a)に示すように、電流Iが流れるバスバー2の経路上に設けられることとなる。すなわち、インバータ、バッテリー等に設置されたバスバー2に測定対象である電流Iが、図1(a)に示すように、右バスバー21の右側面21d側から、左バスバー20の左側面20c側に向かって流れると、シャント抵抗3の抵抗体30に電流Iが流れることとなる。これにより、抵抗体30の両端、すなわち、左側面30a及び右側面30bに電圧(電位差)が生じ、この電圧(電位差)を一対の測定端子31がそれぞれ検出することとなる。これによって、一対の測定端子31に実装される電流検出用のプリント基板(図示せず)が、一対の測定端子31にてそれぞれ検出された電圧を電流に換算し、もって、電流値を測定することができることとなる。
【0025】
<磁気センサの説明>
磁気センサ4は、非接触式の電流センサであって、上記説明したバスバー2に流れる電流I(図1(a)参照)によって生じる磁界成分を検出するものである。さらに詳しく説明すると、磁気センサ4は、図1(a)に示すように、短尺の横長矩形状の素子基板40と、この素子基板40の上面40aに配置されているホール素子や磁気抵抗素子などのICチップ41と、で構成されている。
【0026】
かくして、このような磁気センサ4は、図1に示すように、バスバー2、すなわち、右バスバー21の上面21aのほぼ中央位置に配置されている。より詳しく説明すると、磁気センサ4は、図1(b)に示すように、右バスバー21の上面21aに接触しないように、右バスバー21から浮いた位置、すなわち、右バスバー21に対して、鉛直上向き方向(図示上方向)に離間した位置に配置されている。そしてこの位置を固定するため、図1(b)に示すように、磁気センサ4の素子基板40の下面40bと、右バスバー21の上面21aとの間を埋めるように断面視矩形状の樹脂5を配置し、素子基板40の下面40b及び右バスバー21の上面21aを樹脂5でモールド若しくは樹脂ケーシングするようにする。これにより、磁気センサ4は、図1(b)に示すように、右バスバー21の上面21aに接触しないように、右バスバー21から浮いた位置に配置されることとなる。
【0027】
かくして、このようにして、磁気センサ4は、図1(a)に示すように、電流Iが流れるバスバー2の経路上に設けられることとなる。すなわち、インバータ、バッテリー等に設置されたバスバー2に測定対象である電流Iが、図1(a)に示すように、右バスバー21の右側面21d側から、左バスバー20の左側面20c側に向かって流れると、バスバー2に流れる電流Iに対して垂直方向に磁界成分Mが生じることとなる。この際、この磁界成分Mを、磁気センサ4のICチップ41が検出することによって、電流値を測定できることとなる。
【0028】
したがって、本実施形態においては、1本のバスバー2、すなわち、右バスバー21の右側面21d側から左バスバー20の左側面20c側に向かって、測定対象である電流Iが流れるバスバー2の経路上に、異なる電流検出方式の電流センサ(シャント抵抗3,磁気センサ4)を設けるようにしている。このようにすれば、従来のように、1つの電流センサが破損してしまっても、別の電流センサを用いて電流検出を続けられるように異なる検出方式の電流センサをそれぞれ用いて、冗長性を持たせることが可能となる。
【0029】
そしてさらには、本実施形態においては、1本のバスバー2に異なる電流検出方式の電流センサ(シャント抵抗3,磁気センサ4)を設けているため、設置スペースを小さくすることができると共に、バスバー2に流れる電流Iの発熱の影響を受けにくくすることができる。すなわち、従来においては、シャント抵抗と、磁気センサとを、並列に並べて配置しているだけであるため、磁気センサが設けられている1本のバスバーにおいては、設置スペースが大きくなるという弱点があり、シャント抵抗が設けられている1本のバスバーにおいては、バスバーに流れる電流の発熱の影響を受けやすいという弱点がある。しかしながら、本実施形態においては、1本のバスバー2に異なる電流検出方式の電流センサ(シャント抵抗3,磁気センサ4)を設けているため、設置スペースを小さくすることができ、さらには、発熱の影響を受けにくい磁気センサ4を設けていることによって、従来のようにシャント抵抗だけが設けられている1本のバスバーよりも発熱の影響を受けにくくすることができる。それゆえ、本実施形態においては、異なる電流検出方式の電流センサ(シャント抵抗3,磁気センサ4)の弱点を相互に補完することが可能となる。
【0030】
したがって、本実施形態によれば、冗長性を持たせることができると共に、異なる検出方式の電流センサの弱点を相互に補完することができる。
【0031】
<変形例の説明>
なお、本実施形態において示した電流検出器1はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、1本のバスバー2に、1個のシャント抵抗3、1個の磁気センサ4だけを設ける例を示したが、それに限らず、シャント抵抗3を複数、磁気センサ4を複数設けても良いし、それ以外の電流センサを設けるようにしても良い。
【0032】
また、本実施形態において例示したバスバー2の形状はあくまで一例であり、どのような形状でも良い。例えば、本実施形態においては、左貫通孔20e及び右貫通孔21eを設ける例を示したが、設けなくとも良い。さらには、U字状でも良いし、コ字状でも良く、図2に示すような、電流検出器1Aのバスバー2Aのような形状でも良い。この点、図2を参照して具体的に説明する。なお、図1に示す電流検出器1と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0033】
図2に示す電流検出器1Aと図1に示す電流検出器1との相違は、バスバーの形状が異なるのみでそれ以外は同一である。すなわち、図2に示すバスバー2Aは、銅等の金属からなり、左バスバー20と、右バスバー21Aと、で構成されている。右バスバー21Aは、曲げ加工が施された形状からなり、右バスバー21Aの中央部分から左側面21Ac側は直線状に形成されているものの、右バスバー21Aの中央部分から右側面21Ad側に向かって立ち上がり状に曲げ加工されている。そして、この右バスバー21Aの左側面21Acが、抵抗体30の右側面30bに溶接Y1により接合されている。そしてさらに、右バスバー21Aの左側面21Ac側の上面21aには、溶接Y2により接合されることで、測定端子31の軸部31aが立った状態で設けられ、右バスバー21Aの中央部分から左側面21Ac側の直線部分に、磁気センサ4が設けられている。したがって、このようなバスバー2Aの形状にしても、冗長性を持たせることができると共に、異なる検出方式の電流センサの弱点を相互に補完することができる。
【0034】
ところで、図2では、磁気センサ4を、右バスバー21Aの中央部分から左側面21Ac側の直線部分に設ける例を示したが、それに限らず、曲げ加工が施された部分に設けるようにしても良い。しかしながら、磁気センサ4は、直線部分に設けた方が好ましい。磁気センサ4は、誤測定防止のためにシールドを施したり、又は、物理的なダメージ(損傷)を防止するためにケーシングを施したりなどの処理が必要であるが、曲げ加工が施された部分に配置されているとこの処理が困難なためである。そのため、シールド又はケーシングを施すなどの処理が容易となるため、磁気センサ4は、直線部分に設けた方が好ましい。
【符号の説明】
【0035】
1,1A 電流検出器
2,2A バスバー
20c 左側面(他端面)
20e 左貫通孔
21d,21Ad 右側面(一端面)
21e 右貫通孔
3 シャント抵抗(電流センサ)
30 抵抗体
4 磁気センサ(電流センサ)
I 電流
M 磁界成分
図1
図2