(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093863
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電流検出器
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20240702BHJP
G01R 15/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R15/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210484
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】村上 建二
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA03
2G025AB01
2G025AB02
2G025AB05
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】冗長性を持たせることができると共に、省スペース化を図ることができる電流検出器を提供する。
【解決手段】測定対象となる電流Iが流れるバスバー2を有している。そして、このバスバー2は、右側面22d側から左側面20c側に向かって電流Iが流れるようになっている。この電流Iが流れるバスバー2の経路上には、該電流Iを検出するシャント抵抗3が複数設けられている。なお、このシャント抵抗3は、バスバー2に流れる電流Iを抵抗体(第1抵抗体30A,第2抵抗体30B)に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる電流が流れるバスバーを有し、
前記バスバーの一端面側から他端面側に向かって前記電流が流れる前記バスバーの経路上には、該電流を検出する電流センサが複数設けられてなる電流検出器。
【請求項2】
前記電流センサは、
前記バスバーに流れる電流を抵抗体に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するシャント抵抗である請求項1に記載の電流検出器。
【請求項3】
前記電流センサは、
前記バスバーに流れる電流によって生じる磁界成分を検出する磁気センサである請求項1に記載の電流検出器。
【請求項4】
前記磁気センサは、前記バスバーの経路のうち、直線状に形成されている位置に設けられてなる請求項3に記載の電流検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接触式の電流センサとして、シャント抵抗(例えば、特許文献1参照)、非接触式の電流センサとして、磁気センサ(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0003】
ところで、近年、1つの電流センサが破損してしまっても、電流検出を続けられるように冗長性を持たせたいという要望が高まってきている。
【0004】
そこで、このような要望に応えるべく、冗長性を持たせる方法として、複数の電流センサを、並列に並べて配置することで、冗長性を持たせる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-190543号公報
【特許文献2】特開2010-014477号公報
【特許文献3】特開2020-091261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような方法では、冗長性を持たせることができるものの、設置スペースが増大してしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、冗長性を持たせることができると共に、省スペース化を図ることができる電流検出器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
請求項1の発明によれば、測定対象となる電流(I)が流れるバスバー(2,2A,2B,2C)を有し、
前記バスバー(2,2A,2B,2C)の一端面(右側面22d,2Ad,22Cd)側から他端面(左側面20c,2Ac)側に向かって前記電流(I)が流れる前記バスバー(2,2A,2B,2C)の経路上には、該電流(I)を検出する電流センサ(例えば、
図1に示すシャント抵抗3,
図2に示す磁気センサ4,
図3及び
図4に示す第1シャント抵抗3A,第1磁気センサ4A)が複数設けられてなることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の電流検出器(1)において、
前記電流センサは、
前記バスバー(2)に流れる電流(I)を抵抗体(第1抵抗体30A,第2抵抗体30B)に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するシャント抵抗(3)であることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明によれば、上記請求項1に記載の電流検出器(1A)において、
前記電流センサは、
前記バスバー(2A)に流れる電流(I)によって生じる磁界成分(第1磁界成分M1,第2磁界成分M2)を検出する磁気センサ(4)であることを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明によれば、上記請求項3に記載の電流検出器において、
前記磁気センサ(4)は、前記バスバー(2A)の経路のうち、直線状に形成されている位置に設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
請求項1に係る発明によれば、一端面(右側面22d,2Ad,22Cd)側から他端面(左側面20c,2Ac)側に向かって測定対象となる電流(I)が流れるバスバー(2,2A,2B,2C)の経路上には、該電流(I)を検出する電流センサ(例えば、
図1に示すシャント抵抗3,
図2に示す磁気センサ4,
図3及び
図4に示す第1シャント抵抗3A,第1磁気センサ4A)が複数設けられているから、冗長性を持たせることができると共に、省スペース化を図ることができる。なお、この電流センサとしては、請求項2に係る発明によるバスバー(2)に流れる電流(I)を抵抗体(第1抵抗体30A,第2抵抗体30B)に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するシャント抵抗(3)であるか、又は、請求項3に係る発明によるバスバー(2A)に流れる電流(I)によって生じる磁界成分(第1磁界成分M1,第2磁界成分M2)を検出する磁気センサ(4)であることが好適である。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、磁気センサ(4)が、バスバー(2A)の経路のうち、直線状に形成されている位置に設けられているから、シールド又はケーシングを施すなどの処理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る電流検出器の斜視図、(b)は同実施形態に係る電流検出器の縦断面図である。
【
図2】(a)は本発明の第2実施形態に係る電流検出器の斜視図、(b)は同実施形態に係る電流検出器の縦断面図である。
【
図3】(a)は本発明の第3実施形態に係る電流検出器の斜視図、(b)は同実施形態に係る電流検出器の縦断面図である。
【
図4】他の実施形態に係る電流検出器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態の説明>
以下、本発明に係る電流検出器の第1実施形態を、
図1を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
本実施形態に係る電流検出器は、インバータ、バッテリー等で使用されるもので、
図1に示すように、電流検出器1は、バスバー2と、複数個のシャント抵抗3と、で構成されている。以下、各構成について詳しく説明する。
【0019】
<バスバーの説明>
バスバー2は、銅等の金属からなり、
図1に示すように、例えば、厚み約3mm~5mmの厚板状で、左バスバー20と、中央バスバー21と、右バスバー22と、で構成されている。左バスバー20は、
図1(a)に示すように、上面20a、下面20b、左側面20c、右側面20dからなる長尺の矩形状に形成されている。そして、
図1(b)に示すように、この左バスバー20の左側面20c側には、図示しないボルトの軸部を通過させるための円形状(
図1(a)参照)の左貫通孔20eが、左バスバー20の上面20aから下面20bに向かって貫通して設けられている。
【0020】
一方、中央バスバー21は、
図1(a)に示すように、上面21a、下面21b、左側面21c、右側面21dからなる長尺の矩形状に形成されている。さらに、右バスバー22は、
図1(a)に示すように、上面22a、下面22b、左側面22c、右側面22dからなる長尺の矩形状に形成されている。そして、
図1(b)に示すように、この右バスバー22の右側面22d側には、図示しないボルトの軸部を通過させるための円形状(
図1(a)参照)の右貫通孔22eが、右バスバー22の上面22aから下面22bに向かって貫通して設けられている。
【0021】
<シャント抵抗の説明>
シャント抵抗3は、接触式の電流センサであって、上記説明したバスバー2に流れる電流を抵抗体に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するものである。さらに詳しく説明すると、
図1に示すように、シャント抵抗3は、第1シャント抵抗3Aと、第2シャント抵抗3Bとで構成されている。この第1シャント抵抗3Aは、第1抵抗体30Aと、第1測定端子31Aとで構成されている。第1抵抗体30Aは、
図1(a)に示すように、例えば、厚み約3mm~5mmの厚板状で短尺の矩形状に形成されており、例えば、Cu-Mn系合金、Cu-Ni系合金、Ni-Cr系合金、等で形成されている。かくして、このような第1抵抗体30Aは、
図1に示すように、第1抵抗体30Aの左側面30Aaが、左バスバー20の右側面20dに溶接Y1により接合され、第1抵抗体30Aの右側面30Abが、中央バスバー21の左側面21cに溶接Y1により接合されている。これにより、第1抵抗体30Aは、左バスバー20と中央バスバー21との間に挟み込まれ、バスバー2と一体的に形成されることとなる。
【0022】
一方、第1測定端子31Aは、電流検出用のプリント基板(図示せず)を実装可能なもので、銅,錫メッキ等で形成されており、
図1に示すように、一対設けられ、さらに、棒状の第1軸部31Aaを備えている。この第1軸部31Aaは、電流値を測定する際に用いられる電圧測定端子であって、その直径は、例えば、約1mm~1.5mmに形成されている。そして、
図1(b)に示すように、一対の第1測定端子31Aのうち一方の第1測定端子31Aの第1軸部31Aaの下面31Aa1は、左バスバー20の右側面20d側の上面20aに接触し、その第1軸部31Aaの下面31Aa1側の外周面が溶接Y2により接合されている。これにより、
図1に示すように、左バスバー20の右側面20d側の上面20aには、一対の第1測定端子31Aのうち一方の第1測定端子31Aの第1軸部31Aaが立った状態で設けられることとなる。
【0023】
また、
図1(b)に示すように、一対の第1測定端子31Aのうち他方の第1測定端子31Aの第1軸部31Aaの下面31Aa1は、中央バスバー21の左側面21c側の上面21aに接触し、その第1軸部31Aaの下面31Aa1側の外周面が溶接Y2により接合されている。これにより、
図1に示すように、中央バスバー21の左側面21c側の上面21aには、一対の第1測定端子31Aのうち他方の第1測定端子31Aの第1軸部31Aaが立った状態で設けられることとなる。
【0024】
かくして、このようにして、第1シャント抵抗3Aは、
図1(a)に示すように、電流Iが流れるバスバー2の経路上に設けられることとなる。すなわち、インバータ、バッテリー等に設置されたバスバー2に測定対象である電流Iが、
図1(a)に示すように、右バスバー22の右側面22d側から、左バスバー20の左側面20c側に向かって流れると、第1シャント抵抗3Aの第1抵抗体30Aに電流Iが流れることとなる。これにより、第1抵抗体30Aの両端、すなわち、左側面30Aa及び右側面30Abに電圧(電位差)が生じ、この電圧(電位差)を一対の第1測定端子31Aがそれぞれ検出することとなる。これによって、一対の第1測定端子31Aに実装される電流検出用のプリント基板(図示せず)が、一対の第1測定端子31Aにてそれぞれ検出された電圧を電流に換算し、もって、電流値を測定することができることとなる。
【0025】
他方、第2シャント抵抗3Bは、
図1に示すように、第2抵抗体30Bと、第2測定端子31Bとで構成されている。第2抵抗体30Bは、
図1(a)に示すように、例えば、厚み約3mm~5mmの厚板状で短尺の矩形状に形成されており、例えば、Cu-Mn系合金、Cu-Ni系合金、Ni-Cr系合金、等で形成されている。かくして、このような第2抵抗体30Bは、
図1に示すように、第2抵抗体30Bの左側面30Baが、中央バスバー21の右側面21dに溶接Y3により接合され、第2抵抗体30Bの右側面30Bbが、右バスバー22の左側面22cに溶接Y3により接合されている。これにより、第2抵抗体30Bは、中央バスバー21と右バスバー22との間に挟み込まれ、バスバー2と一体的に形成されることとなる。
【0026】
一方、第2測定端子31Bは、電流検出用のプリント基板(図示せず)を実装可能なもので、銅,錫メッキ等で形成されており、
図1に示すように、一対設けられ、さらに、棒状の第2軸部31Baを備えている。この第2軸部31Baは、電流値を測定する際に用いられる電圧測定端子であって、その直径は、例えば、約1mm~1.5mmに形成されている。そして、
図1(b)に示すように、一対の第2測定端子31Bのうち一方の第2測定端子31Bの第2軸部31Baの下面31Ba1は、中央バスバー21の右側面21d側の上面21aに接触し、その第2軸部31Baの下面31Ba1側の外周面が溶接Y4により接合されている。これにより、
図1に示すように、中央バスバー21の右側面21d側の上面21aには、一対の第2測定端子31Bのうち一方の第2測定端子31Bの第2軸部31Baが立った状態で設けられることとなる。
【0027】
また、
図1(b)に示すように、一対の第2測定端子31Bのうち他方の第2測定端子31Bの第2軸部31Baの下面31Ba1は、右バスバー22の左側面22c側の上面22aに接触し、その第2軸部31Baの下面31Ba1側の外周面が溶接Y4により接合されている。これにより、
図1に示すように、右バスバー22の左側面22c側の上面22aには、一対の第2測定端子31Bのうち他方の第2測定端子31Bの第2軸部31Baが立った状態で設けられることとなる。
【0028】
かくして、このようにして、第2シャント抵抗3Bは、
図1(a)に示すように、電流Iが流れるバスバー2の経路上に設けられることとなる。すなわち、インバータ、バッテリー等に設置されたバスバー2に測定対象である電流Iが、
図1(a)に示すように、右バスバー22の右側面22d側から、左バスバー20の左側面20c側に向かって流れると、第2シャント抵抗3Bの第2抵抗体30Bに電流Iが流れることとなる。これにより、第2抵抗体30Bの両端、すなわち、左側面30Ba及び右側面30Bbに電圧(電位差)が生じ、この電圧(電位差)を一対の第2測定端子31Bがそれぞれ検出することとなる。これによって、一対の第2測定端子31Bに実装される電流検出用のプリント基板(図示せず)が、一対の第2測定端子31Bにてそれぞれ検出された電圧を電流に換算し、もって、電流値を測定することができることとなる。
【0029】
したがって、本実施形態においては、1本のバスバー2、すなわち、右バスバー22の右側面22d側から左バスバー20の左側面20c側に向かって、測定対象である電流Iが流れるバスバー2の経路上に、電流Iを検出する電流センサ(シャント抵抗3)を複数設けるようにしている。このようにすれば、従来のように、1つの電流センサが破損してしまっても、電流検出を続けられるように冗長性を持たせることが可能となる。
【0030】
そしてさらには、本実施形態においては、1本のバスバー2に、複数の電流センサ(シャント抵抗3)を設けているため、設置スペースを小さくすることができる。すなわち、従来においては、複数の電流センサを、並列に並べて配置しているだけであるため、設置スペースが大きくなるという問題があるが、本実施形態においては、1本のバスバー2に、複数の電流センサ(シャント抵抗3)を設けているため、設置スペースを小さくすることが可能となる。
【0031】
したがって、本実施形態によれば、冗長性を持たせることができると共に、省スペース化を図ることができる。
【0032】
<第2実施形態の説明>
次に、本発明に係る電流検出器の第2実施形態を、
図2を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。なお、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明は省略するものとする。
【0033】
本実施形態に係る電流検出器は、上記第1実施形態と同じく、インバータ、バッテリー等で使用されるもので、
図2に示すように、電流検出器1Aは、バスバー2Aと、複数個の磁気センサ4と、で構成されている。以下、各構成について詳しく説明する。
【0034】
<バスバーの説明>
バスバー2Aは、銅等の金属からなり、
図2に示すように、例えば、厚み約3mm~5mmの厚板状で、
図2(a)に示すように、上面2Aa、下面2Ab、左側面2Ac、右側面2Adからなる長尺の矩形状に形成されている。そして、
図2(b)に示すように、この左側面2Ac側には、図示しないボルトの軸部を通過させるための円形状(
図1(a)参照)の左貫通孔2Ae1が、バスバー2Aの上面2Aaから下面2Abに向かって貫通して設けられている。そしてさらに、
図2(b)に示すように、右側面2Ad側には、図示しないボルトの軸部を通過させるための円形状(
図1(a)参照)の右貫通孔2Ae2が、バスバー2Aの上面2Aaから下面2Abに向かって貫通して設けられている。
【0035】
<磁気センサの説明>
磁気センサ4は、非接触式の電流センサであって、上記説明したバスバー2Aに流れる電流I(
図2(a)参照)によって生じる磁界成分を検出するものである。さらに詳しく説明すると、
図2に示すように、磁気センサ4は、第1磁気センサ4Aと、第2磁気センサ4Bとで構成されている。この第1磁気センサ4Aは、
図2(a)に示すように、短尺の横長矩形状の第1素子基板40Aと、この第1素子基板40Aの上面40Aaに配置されているホール素子や磁気抵抗素子などの第1ICチップ41Aと、で構成されている。
【0036】
かくして、このような第1磁気センサ4Aは、
図2に示すように、バスバー2Aの中央より、やや左側面2Ac側に配置されている。より詳しく説明すると、第1磁気センサ4Aは、
図2(b)に示すように、バスバー2Aの上面2Aaに接触しないように、バスバー2Aから浮いた位置、すなわち、バスバー2Aに対して、鉛直上向き方向(図示上方向)に離間した位置に配置されている。そしてこの位置を固定するため、
図2(b)に示すように、第1磁気センサ4Aの第1素子基板40Aの下面40Abと、バスバー2Aの上面2Aaとの間を埋めるように断面視矩形状の第1樹脂5Aを配置し、第1素子基板40Aの下面40Ab及びバスバー2Aの上面2Aaを第1樹脂5Aでモールド若しくは樹脂ケーシングするようにする。これにより、第1磁気センサ4Aは、
図2(b)に示すように、バスバー2Aの上面2Aaに接触しないように、バスバー2Aから浮いた位置に配置されることとなる。
【0037】
かくして、このようにして、第1磁気センサ4Aは、
図2(a)に示すように、電流Iが流れるバスバー2Aの経路上に設けられることとなる。すなわち、インバータ、バッテリー等に設置されたバスバー2Aに測定対象である電流Iが、
図2(a)に示すように、右側面2Ad側から、左側面2Ac側に向かって流れると、バスバー2Aに流れる電流Iに対して垂直方向に第1磁界成分M1が生じることとなる。この際、この第1磁界成分M1を、第1磁気センサ4Aの第1ICチップ41Aが検出することによって、電流値を測定できることとなる。
【0038】
他方、第2磁気センサ4Bは、
図2(a)に示すように、短尺の横長矩形状の第2素子基板40Bと、この第2素子基板40Bの上面40Baに配置されているホール素子や磁気抵抗素子などの第2ICチップ41Bと、で構成されている。
【0039】
かくして、このような第2磁気センサ4Bは、
図2に示すように、バスバー2Aの中央より、やや右側面2Ad側に配置されている。より詳しく説明すると、第2磁気センサ4Bは、
図2(b)に示すように、バスバー2Aの上面2Aaに接触しないように、バスバー2Aから浮いた位置、すなわち、バスバー2Aに対して、鉛直上向き方向(図示上方向)に離間した位置に配置されている。そしてこの位置を固定するため、
図2(b)に示すように、第2磁気センサ4Bの第2素子基板40Bの下面40Bbと、バスバー2Aの上面2Aaとの間を埋めるように断面視矩形状の第2樹脂5Bを配置し、第2素子基板40Bの下面40Bb及びバスバー2Aの上面2Aaを第2樹脂5Bでモールド若しくは樹脂ケーシングするようにする。これにより、第2磁気センサ4Bは、
図2(b)に示すように、バスバー2Aの上面2Aaに接触しないように、バスバー2Aから浮いた位置に配置されることとなる。
【0040】
かくして、このようにして、第2磁気センサ4Bは、
図2(a)に示すように、電流Iが流れるバスバー2Aの経路上に設けられることとなる。すなわち、インバータ、バッテリー等に設置されたバスバー2Aに測定対象である電流Iが、
図2(a)に示すように、右側面2Ad側から、左側面2Ac側に向かって流れると、バスバー2Aに流れる電流Iに対して垂直方向に第2磁界成分M2が生じることとなる。この際、この第2磁界成分M2を、第2磁気センサ4Bの第2ICチップ41Bが検出することによって、電流値を測定できることとなる。
【0041】
したがって、本実施形態においては、1本のバスバー2A、すなわち、右側面2Ad側から左側面2Ac側に向かって、測定対象である電流Iが流れるバスバー2Aの経路上に、電流Iを検出する電流センサ(磁気センサ4)を複数設けるようにしている。このようにしても、従来のように、1つの電流センサが破損してしまっても、電流検出を続けられるように冗長性を持たせることが可能となる。
【0042】
そしてさらには、本実施形態においても、1本のバスバー2Aに、複数の電流センサ(磁気センサ4)を設けているため、設置スペースを小さくすることができる。
【0043】
したがって、本実施形態においても、冗長性を持たせることができると共に、省スペース化を図ることができる。
【0044】
<第3実施形態の説明>
次に、本発明に係る電流検出器の第3実施形態を、
図3を参照して具体的に説明する。上記第1実施形態における電流検出器1と、上記第2実施形態における電流検出器1Aとは、同じ電流センサ、すなわち、同一の電流検出方式の電流センサを、1本のバスバーに複数設ける例を示したが、第3実施形態では、異なる電流検出方式の電流センサを、1本のバスバーに設ける例を示している。
【0045】
すなわち、本実施形態に係る電流検出器は、上記第1実施形態及び第2実施形態と同じく、インバータ、バッテリー等で使用されるもので、
図3に示すように、電流検出器1Bは、バスバー2Bと、第1シャント抵抗3Aと、第1磁気センサ4Aと、で構成されている。
【0046】
バスバー2Bは、
図3に示すように、左バスバー20と、右バスバー22とで構成されており、左バスバー20の右側面20dが第1抵抗体30Aの左側面30Aaに溶接Y1により接合され、右バスバー22の左側面22cが第1抵抗体30Aの右側面30Abに溶接Y1により接合されている。これにより、第1抵抗体30Aは、左バスバー20と右バスバー22との間に挟み込まれ、バスバー2Bと一体的に形成されることとなる。
【0047】
さらに、
図3に示すように、左バスバー20の右側面20d側の上面20aには、溶接Y2により接合されることで、一対の第1測定端子31Aのうち一方の第1測定端子31Aの第1軸部31Aaが立った状態で設けられる。そしてさらに、
図3に示すように、右バスバー22の左側面22c側の上面22aには、溶接Y2により接合されることで、一対の第1測定端子31Aのうち他方の第1測定端子31Aの第1軸部31Aaが立った状態で設けられる。これにより、第1シャント抵抗3Aは、
図3(a)に示すように、電流Iが流れるバスバー2Bの経路上に設けられることとなる。すなわち、インバータ、バッテリー等に設置されたバスバー2Bに測定対象である電流Iが、
図3(a)に示すように、右バスバー22の右側面22d側から、左バスバー20の左側面20c側に向かって流れると、第1シャント抵抗3Aの第1抵抗体30Aに電流Iが流れることとなる。これにより、第1抵抗体30Aの両端、すなわち、左側面30Aa及び右側面30Abに電圧(電位差)が生じ、この電圧(電位差)を一対の第1測定端子31Aがそれぞれ検出することとなる。これによって、一対の第1測定端子31Aに実装される電流検出用のプリント基板(図示せず)が、一対の第1測定端子31Aにてそれぞれ検出された電圧を電流に換算し、もって、電流値を測定することができることとなる。
【0048】
一方、
図3に示すように、右バスバー22の中央部分からやや右側面22dよりに、第1磁気センサ4Aが設けられている。より詳しく説明すると、第1磁気センサ4Aは、
図3(b)に示すように、右バスバー22の上面22aに接触しないように、右バスバー22から浮いた位置、すなわち、右バスバー22に対して、鉛直上向き方向(図示上方向)に離間した位置に配置されている。そしてこの位置を固定するため、
図3(b)に示すように、第1磁気センサ4Aの第1素子基板40Aの下面40Abと、右バスバー22の上面22aとの間を埋めるように断面視矩形状の第1樹脂5Aを配置し、第1素子基板40Aの下面40Ab及び右バスバー22の上面22aを第1樹脂5Aでモールド若しくは樹脂ケーシングするようにする。これにより、第1磁気センサ4Aは、
図3(b)に示すように、右バスバー22の上面22aに接触しないように、右バスバー22から浮いた位置に配置されることとなる。
【0049】
かくして、このようにして、第1磁気センサ4Aは、
図3(a)に示すように、電流Iが流れるバスバー2Bの経路上に設けられることとなる。すなわち、インバータ、バッテリー等に設置されたバスバー2Bに測定対象である電流Iが、
図4(a)に示すように、右バスバー22の右側面22d側から、左バスバー20の左側面20c側に向かって流れると、バスバー2Bに流れる電流Iに対して垂直方向に第1磁界成分M1が生じることとなる。この際、この第1磁界成分M1を、第1磁気センサ4Aの第1ICチップ41Aが検出することによって、電流値を測定できることとなる。
【0050】
したがって、本実施形態においては、1本のバスバー2B、すなわち、右バスバー22の右側面22d側から左バスバー20の左側面20c側に向かって、測定対象である電流Iが流れるバスバー2Bの経路上に、電流Iを検出する電流センサ(第1シャント抵抗3A,第1磁気センサ4A)を複数設けるようにしている。このようにしても、従来のように、1つの電流センサが破損してしまっても、電流検出を続けられるように冗長性を持たせることが可能となる。
【0051】
そしてさらには、本実施形態においても、1本のバスバー2Bに、複数の電流センサ(第1シャント抵抗3A,第1磁気センサ4A)を設けているため、設置スペースを小さくすることができる。
【0052】
したがって、本実施形態においても、冗長性を持たせることができると共に、省スペース化を図ることができる。
【0053】
<変形例の説明>
なお、第1実施形態~第3実施形態にて説明した電流検出器1,1A,1Bはあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、第1実施形態にて説明した電流検出器1では、シャント抵抗3を2個備える例を示したが、それに限らず、3個以上でも良い。さらに、第2実施形態にて説明した電流検出器1Aでは、磁気センサ4を2個備える例を示したが、それに限らず、3個以上でも良い。そしてさらに、第3実施形態にて説明した電流検出器1Bでは、1個の第1シャント抵抗3A、1個の第1磁気センサ4Aだけを設ける例を示したが、それに限らず、1個の第2シャント抵抗3B、又は、1個の第2磁気センサ4Bでも良く、さらに、第1シャント抵抗3A(第2シャント抵抗3B)を複数、第1磁気センサ4A(第2磁気センサ4B)を複数設けても良いし、それ以外の電流センサを設けるようにしても良い。
【0054】
また、第1実施形態~第3実施形態にて例示したバスバー2,2A,2Bの形状はあくまで一例であり、どのような形状でも良い。例えば、本実施形態においては、左貫通孔20e,2Ae1及び右貫通孔22e,2Ae2を設ける例を示したが、設けなくとも良い。さらには、U字状でも良いし、コ字状でも良く、
図4に示すような、バスバー2Cのような形状でも良い。この点、
図4を用いて、具体的に説明する。なお、以下では、第3実施形態で示したバスバー2Bを変形した例を用いて説明するが、勿論、
図1に示すバスバー2,
図2に示すバスバー2Aに適用可能であることは言うまでもない。また、
図3に示す電流検出器1Bと同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0055】
図4に示す電流検出器1Cと
図3に示す電流検出器1Bとの相違は、バスバーの形状が異なるのみでそれ以外は同一である。すなわち、
図4に示すバスバー2Cは、銅等の金属からなり、左バスバー20と、右バスバー22Cと、で構成されている。右バスバー22Cは、曲げ加工が施された形状からなり、右バスバー22Cの中央部分から左側面22Cc側は直線状に形成されているものの、右バスバー22Cの中央部分から右側面22Cd側に向かって立ち上がり状に曲げ加工されている。そして、この右バスバー22Cの左側面22Ccが、第1抵抗体30Aの右側面30Abに溶接Y1により接合されている。そしてさらに、右バスバー22Cの左側面22Cc側の上面22Caには、溶接Y2により接合されることで、第1測定端子31Aの第1軸部31Aaが立った状態で設けられ、右バスバー22Cの中央部分から左側面22Cc側の直線部分に、第1磁気センサ4Aが設けられている。したがって、このようなバスバー2Cの形状にしても、冗長性を持たせることができると共に、省スペース化を図ることができる。
【0056】
ところで、
図4では、第1磁気センサ4Aを、右バスバー22Cの中央部分から左側面22Cc側の直線部分に設ける例を示したが、それに限らず、曲げ加工が施された部分に設けるようにしても良い。しかしながら、第1磁気センサ4Aは、直線部分に設けた方が好ましい。第1磁気センサ4Aは、第2磁気センサ4Bも含め、誤測定防止のためにシールドを施したり、又は、物理的なダメージ(損傷)を防止するためにケーシングを施したりなどの処理が必要であるが、曲げ加工が施された部分に配置されているとこの処理が困難なためである。そのため、シールド又はケーシングを施すなどの処理が容易となるため、第1磁気センサ4A(第2磁気センサ4B)は、直線部分に設けた方が好ましい。
【符号の説明】
【0057】
1,1A,1B,1C 電流検出器
2,2A,2B,2C バスバー
20c,2Ac 左側面(他端面)
20e,2Ae1 左貫通孔
22d,2Ad,22Cd 右側面(一端面)
22e,2Ae2 右貫通孔
3 シャント抵抗(電流センサ)
3A 第1シャント抵抗(電流センサ)
3B 第2シャント抵抗
30A 第1抵抗体(抵抗体)
30B 第2抵抗体(抵抗体)
4 磁気センサ(電流センサ)
4A 第1磁気センサ(電流センサ)
4B 第2磁気センサ
M1 第1磁界成分(磁界成分)
M2 第2磁界成分(磁界成分)
I 電流