(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093872
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240702BHJP
A01C 11/02 20060101ALI20240702BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240702BHJP
【FI】
A01B69/00 303A
A01C11/02 331D
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210499
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亘樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 隆将
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 晶太郎
【テーマコード(参考)】
2B043
2B062
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB20
2B043BA02
2B043BA08
2B043BA09
2B043BB06
2B043DC03
2B043EA02
2B043EA12
2B043EA40
2B043EB05
2B043EB09
2B043EB17
2B043EC12
2B043EC14
2B043EC16
2B043EC18
2B043EC19
2B043ED02
2B043ED12
2B043ED30
2B062AA02
2B062AB01
2B062BA45
2B062BA51
2B062CA05
2B062CA12
2B062CA25
5H301AA03
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD02
5H301GG07
5H301GG17
(57)【要約】
【課題】手動走行に使用するスイッチ操作、情報を報知する報知装置、及び警告を報知する報知装置を備える作業車において、操縦者の負担を軽減することを可能とする作業車を提供する。
【解決手段】作業装置が連結支持され、手動操舵による手動走行と、基準走行ラインに平行に設定される設定走行ラインに沿って自動操舵により走行する自動走行と、を切替可能な走行機体と、情報を報知する情報報知部72と、警告を報知する警告報知部73と、手動走行によるティーチング走行の際に操作することにより基準走行ラインの始点及び終点を設定する指示操作具71と、が備えられ、指示操作具71と情報報知部72と警告報知部73とが、単一の操作装置70に配置されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置が連結支持され、手動操舵による手動走行と、基準走行ラインに平行に設定される設定走行ラインに沿って自動操舵により走行する自動走行と、を切替可能な走行機体と、
情報を報知する情報報知部と、
警告を報知する警告報知部と、
前記手動走行によるティーチング走行の際に操作することにより前記基準走行ラインの始点及び終点を設定する指示操作具と、が備えられ、
前記指示操作具と前記情報報知部と前記警告報知部とが、単一の操作装置に配置されている作業車。
【請求項2】
衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信部と、
前記衛星信号受信部の受信感度を検出する受信感度検出部と、が備えられ、
前記情報報知部は、前記受信感度検出部の検出結果に基づいて、前記衛星信号受信部の受信感度に関する情報を報知する請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記情報報知部は、前記情報を表示する表示部を有し、
前記表示部は、所定の形状を表示し、前記形状の表示態様を変化させることによって、前記衛星信号受信部の受信感度に関する情報を報知する請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記表示態様は、発光パターンである請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
操縦者が着座する運転座席が備えられ、
前記指示操作具は、前記基準走行ラインの始点を設定する始点指示操作具と、前記基準走行ラインの終点を設定する終点指示操作具と、を有し、
前記始点指示操作具は、前記終点指示操作具よりも前記運転座席に近い側に配置されている請求項1に記載の作業車。
【請求項6】
前記走行機体の前部に設けられ、前記走行機体の機体左右中心上に配置されているセンターマスコットが備えられ、
前記センターマスコットの上部に、前記受信感度検出部の検出結果に基づいて、前記自動走行が可能であることを報知する自動走行報知部が備えられている請求項2に記載の作業車。
【請求項7】
前記作業装置が、圃場に苗の植え付けを行う苗植付装置であり、
前記走行機体の前部における左右両側にそれぞれ設けられ、前記苗植付装置へ補給するための予備苗を載置可能な予備苗台と、
左右の前記予備苗台をそれぞれ支持する左右の予備苗フレームと、が備えられ、
前記操作装置が、左右の前記予備苗フレームのうち少なくともいずれかの前記予備苗フレームに支持されている請求項1に記載の作業車。
【請求項8】
操縦者が着座する運転座席が備えられ、
前記予備苗フレームは、前記運転座席よりも前方に配置され、
前記予備苗フレームに、上下方向に沿って延びる複数の縦フレームが設けられ、
前記操作装置は、複数の前記縦フレームのうち最も後方に位置する前記縦フレームに支持されている請求項7に記載の作業車。
【請求項9】
前記操作装置を支持するステーが備えられ、
前記操作装置は、前記ステーを介して、前記予備苗フレームに支持されている請求項7又は8に記載の作業車。
【請求項10】
前記指示操作具は、前記基準走行ラインの始点を設定する始点指示操作具と、前記基準走行ラインの終点を設定する終点指示操作具と、を有し、
前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とに、それぞれ発光装置が設けられ、
前記走行機体の位置が前記設定走行ラインから離れたときに、前記発光装置が発光する請求項1に記載の作業車。
【請求項11】
前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とは、左右に振り分けて配置され、
前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とのうち、前記設定走行ラインに対して前記走行機体が位置する側に設けられた前記発光装置が発光する請求項10に記載の作業車。
【請求項12】
前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とは、左右に振り分けて配置され、
前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とのうち、前記走行機体に対して前記設定走行ラインが位置する側に設けられた前記発光装置が発光する請求項10に記載の作業車。
【請求項13】
前記警告報知部は、前記走行機体の位置が前記設定走行ラインから離れたときに、警告を報知する請求項1に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)等の衛星を用いた測位システムを利用して走行ラインを設定して農作業を行う作業車であって、手動操舵による手動走行と、基準走行ラインに平行に設定される設定走行ラインに沿って自動操舵により走行する自動走行と、を切替可能に構成されている作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業車は、自動走行を行うのに、予め、走行ラインの基準となる基準走行ラインを設定(ここでは、ティーチングという)する必要がある。
【0003】
ティーチングの具体例としては、圃場で走行機体を走行させ、基準走行ラインの始点とする位置に到達したら、メータパネルに備えた指示スイッチを操作することで、その位置での走行機体の位置情報を測位システムで読み取って記録部に始点位置として入力する。続いて、走行機体を基準走行ラインの終点とする位置まで走行させ、同様に、指示スイッチの操作を行うことで、基準走行ラインの終点位置情報を記録でき、それら始点位置と終点位置とを結ぶことで基準走行ラインが設定される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、基準走行ラインの始点と終点とを設定するときには、手動走行時に指示スイッチを操作する必要がある。手動走行時は、操縦者は作業車の周囲の圃場を確認しながら走行する必要がある。そして、操作者は、手動走行時に作業車の周囲の圃場を確認しながら、指示スイッチを操作する必要がある。
【0006】
しかし、手動走行時には、操縦者は、作業車の周囲の圃場を確認しながら、指示スイッチの操作を行うだけでなく、情報を表示する報知装置(特許文献1では「液晶表示部」)を確認する必要がある。さらに警告を報知する報知装置を備える作業車においては、操作者は、さらに当該報知装置にも注意を払わなければならず、このような作業車は、操縦者にとって負担が高いものであった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、手動走行に使用するスイッチ操作、情報を報知する報知装置、及び警告を報知する報知装置を備える作業車において、操縦者の負担を軽減することを可能とする作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業車は、作業装置が連結支持され、手動操舵による手動走行と、基準走行ラインに平行に設定される設定走行ラインに沿って自動操舵により走行する自動走行と、を切替可能な走行機体と、情報を報知する情報報知部と、警告を報知する警告報知部と、前記手動走行によるティーチング走行の際に操作することにより前記基準走行ラインの始点及び終点を設定する指示操作具と、が備えられ、前記指示操作具と前記情報報知部と前記警告報知部とが、単一の操作装置に配置されている。
【0009】
この発明によれば、手動走行時に使用する指示操作具と情報や警告を報知する情報報知部警告及び警告報知部とが、単一の操作装置に配置されている。そのため、自動走行に関する操作においては、操縦者は、基本的に、当該操作装置に注意すればよく、他の操作装置等に対して注意を払うことなく基本的な操作を行うことができる。その結果、操作者の負担を軽減することができる。
【0010】
本発明においては、衛星からの衛星信号を受信する衛星信号受信部と、前記衛星信号受信部の受信感度を検出する受信感度検出部と、が備えられ、前記情報報知部は、前記受信感度検出部の検出結果に基づいて、前記衛星信号受信部の受信感度に関する情報を報知すると好適である。
【0011】
この構成によれば、衛星信号の受信感度に関する情報が、指示操作具が配置されている操作装置から報知される構成となる。したがって、操縦者は、基準走行ラインの始点及び終点の設定を行う際、操作装置に配置されている指示操作具を操作しながら、他の操作装置を意識することなく、自動走行を行うことができるか否かの判断に必要な情報を、操作対象である操作装置から得ることができる。その結果、操作者の負担を軽減することができる。
【0012】
本発明においては、前記情報報知部は、前記情報を表示する表示部を有し、前記表示部は、所定の形状を表示し、前記形状の表示態様を変化させることによって、前記衛星信号受信部の受信感度に関する情報を報知すると好適である。
【0013】
この構成によれば、表示部の形状を変化させることなく、形状の表示態様を変化させることによって、情報を報知する構成となる。ここで、情報を報知する方法として、表示部の形状を変化させる方法を採用すると、表示部のサイズを、形状の変化を認識できる程度にまで、大きくする必要があり、操作装置のサイズの拡大を招いてしまうという不都合があった。そこで、表示態様を変化させることで、情報を報知することにより、表示部のサイズを大きくする必要がなくなり、操作装置のサイズの拡大を招いてしまうという不都合を回避することが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記表示態様は、発光パターンであると好適である。
【0015】
この構成によれば、例えば、点滅の周期を異ならせることにより、様々な表示態様を実現することが可能となるため、より多くの情報を報知することが可能となる。
【0016】
本発明においては、操縦者が着座する運転座席が備えられ、前記指示操作具は、前記基準走行ラインの始点を設定する始点指示操作具と、前記基準走行ラインの終点を設定する終点指示操作具と、を有し、前記始点指示操作具は、前記終点指示操作具よりも前記運転座席に近い側に配置されていると好適である。
【0017】
この構成によれば、操縦者から見て、手前側に始点指示操作具が位置し、奥側に終点指示操作具が位置する構成となる。ここで、一般に、基準走行ラインを設定するために手動走行を行うときには、進行方向に対して、手前側に始点を設定し、奥側に終点を設定しする。つまり、操縦者から見ると、始点指示操作具と終点指示操作具との位置関係と、基準走行ラインを設定するときの始点と終点との位置関係とが、同じになる。その結果、操縦者は、直感的に、始点及び終点の設定時に操作すべき操作具を判別することができる。
【0018】
本発明においては、前記走行機体の前部に設けられ、前記走行機体の機体左右中心上に配置されているセンターマスコットが備えられ、前記センターマスコットの上部に、前記受信感度検出部の検出結果に基づいて、前記自動走行が可能であることを報知する自動走行報知部が備えられていると好適である。
【0019】
この構成によれば、操縦席に着座する操縦者の前方に位置するセンターマスコットに、自動走行報知部が位置する構成となる。ここで、一般に、走行時には、操縦者は作業車の進行方向である前方を確認することが多い。操縦者は、前方を確認しつつ、容易に自動走行報知部の報知内容を確認することができる。
【0020】
本発明においては、前記作業装置が、圃場に苗の植え付けを行う苗植付装置であり、前記走行機体の前部における左右両側にそれぞれ設けられ、前記苗植付装置へ補給するための予備苗を載置可能な予備苗台と、左右の前記予備苗台をそれぞれ支持する左右の予備苗フレームと、が備えられ、前記操作装置が、左右の前記予備苗フレームのうち少なくともいずれかの前記予備苗フレームに支持されていると好適である。
【0021】
この構成によれば、操作装置を既存の予備苗台に支持させることができるため、新たに操作装置を支持するための機構が不要となり、操作装置を支持する機構をシンプルなものにすることが可能となる。
【0022】
本発明においては、操縦者が着座する運転座席が備えられ、前記予備苗フレームは、前記運転座席よりも前方に配置され、前記予備苗フレームに、上下方向に沿って延びる複数の縦フレームが設けられ、前記操作装置は、複数の前記縦フレームのうち最も後方に位置する前記縦フレームに支持されていると好適である。
【0023】
この構成によれば、予備苗フレームに設けられた縦フレームのうち、最も運転座席に近い縦フレームに操作装置が支持される構成となり、操作装置が操縦者に近い位置に位置する構成となる。また、上下に延びる縦フレームに支持させるため、操作装置の高さ位置の調節が容易なものとすることが可能となる。
【0024】
本発明においては、前記操作装置を支持するステーが備えられ、前記操作装置は、前記ステーを介して、前記予備苗フレームに支持されていると好適である。
【0025】
この構成によれば、ステーを介して操作装置を支持させることにより、操作装置を操縦者により近い箇所に位置するように配置することが可能となる。
【0026】
本発明においては、前記指示操作具は、前記基準走行ラインの始点を設定する始点指示操作具と、前記基準走行ラインの終点を設定する終点指示操作具と、を有し、前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とに、それぞれ発光装置が設けられ、前記走行機体の位置が前記設定走行ラインから離れたときに、前記発光装置が発光すると好適である。
【0027】
この構成によれば、走行機体の位置が設定走行ラインから離れたことを報知するための、報知装置を新たに設ける必要がなくなり、操作装置上の操作具等の配列をシンプルなものにすることが可能となる。
【0028】
本発明においては、前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とは、左右に振り分けて配置され、前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とのうち、前記設定走行ラインに対して前記走行機体が位置する側に設けられた前記発光装置が発光すると好適である。
【0029】
この構成によれば、左右に配置された指示操作具のうち、設定走行ラインに対して走行機体が位置する側の指示操作具が発光する構成となることから、操縦者は、直感的に、設定走行ラインに対する走行機体の位置を把握することが可能となる。
【0030】
本発明においては、前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とは、左右に振り分けて配置され、前記始点指示操作具と前記終点指示操作具とのうち、前記走行機体に対して前記設定走行ラインが位置する側に設けられた前記発光装置が発光すると好適である。
【0031】
この構成によれば、左右に配置された指示操作具のうち、走行機体に対して設定走行ラインが位置する側の指示操作具が発光する構成となることから、操縦者は、直感的に、走行機体が移動すべき方向を把握することが可能となる。
【0032】
本発明においては、前記警告報知部は、前記走行機体の位置が前記設定走行ラインから離れたときに、警告を報知すると好適である。
【0033】
この構成によれば、走行機体の位置が設定走行ラインから離れたときに、指示操作具が配置されている操作装置から報知される構成となる。したがって、操縦者は、操作装置に配置されている指示操作具を操作しながら、他の操作装置を意識することなく、走行機体の位置が設定走行ラインから離れたことを把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図3】自動操向制御に係る制御構成を示すブロック図である。
【
図6】走行ラインの生成等について説明する上面視の説明図である。
【
図7】別実施形態のスイッチボックスの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印FWの方向を「前」、矢印BKの方向を「後」として、矢印LHの方向を「左」、矢印RHの方向を「右」とする。また、図中の矢印UPの方向を「上」、矢印DWの方向を「下」とする。
【0036】
〔全体構成〕
以下では、本実施形態の作業車の一例である乗用型田植機について説明する。
【0037】
本実施形態では、乗用型田植機は、
図6に示すように、最初に走行ラインの定義を行うものである。ここで、走行ラインとは、乗用型田植機が設定されたライン上を走るための基準ラインという意味だけでなく、例えば、手動操舵による手動走行(ティーチング)によって設定された基準方位に沿って乗用型田植機が走行する仮想のラインも含む。本実施形態では、走行ラインである基準走行ラインKLを設定するために、ティーチングを行う。ティーチングを完了させた後、植付開始位置まで手動走行によって旋回させた状態で、自動操舵により走行する自動走行に切り替えることで設定走行ラインSLを生成して植付走行を行う。また、設定走行ラインSLの終点においては、植付を一時停止すると共に自動走行から手動操向に切り替えて旋回を行って、再度、次の設定走行ラインSLの生成、及び、植付自動走行に移行するというサイクルを繰り返す。
【0038】
図1に示すように、乗用型田植機は、左右一対の前車輪1及び左右一対の後車輪2を有する走行機体3を備えている。走行機体3の前部に、エンジン4、および、エンジン4を覆うボンネット5が備えられている。走行機体3の後部に、各種の運転操作が行われる運転部8が備えられている。
【0039】
走行機体3の後部に、作業装置として、圃場に苗の植え付けを行う苗植付装置9が連結されている。苗植付装置9の走行機体3への連結は、機体フレーム10から後向きに上下揺動可能に延びるリンク機構11を介して行われている。本実施形態では、苗植付装置9は、6条の植え付け条への苗植え付けが可能に構成されているが、6条以外の植え付け条への苗植え付けが可能に構成されていてもよい。
【0040】
左右一対の前車輪1は、左右一対の前車輪1を操向可能かつ駆動可能に支持する前ミッションケース13を介して機体フレーム10の前部に支持されている。左右一対の後車輪2は、左右一対の後車輪2を駆動可能に支持する車輪駆動ケース14を介して機体フレーム10の後部に支持されている。
【0041】
〔苗植付装置について〕
図1に示されるように、苗植付装置9は、油圧シリンダで構成される昇降シリンダ12の伸縮作動により昇降作動するリンク機構11を介して、走行機体3の後端に昇降可能に連結されている。また、苗植付装置9の一部として施肥装置18が備えられ、施肥装置18は圃場に植え付けられた苗に肥料を供給する。
【0042】
苗植付装置9には、複数の伝動ケース19、各伝動ケース19の後部の左側部及び右側部に回転可能に支持された回転ケース21、各回転ケース21の両端部に備えられた一対のロータリ式の植付アーム22、圃場の田面を整地する複数の整地フロート23、植え付け用のマット状苗が載置される苗載せ台24等が備えられている。
【0043】
苗植付装置9は、苗載せ台24を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース19から伝達される動力により各回転ケース21を回転駆動して、苗載せ台24の下部から各植付アーム22により交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付ける。
【0044】
〔予備苗台について〕
図1に示されるように、走行機体3におけるボンネット5の左右側部には、それぞれ、苗植付装置9に補給するための予備苗を載置可能な複数の予備苗台25が備えられている。また、走行機体3におけるボンネット5の左右側部には、それぞれ、各予備苗台25を支持する左右一対の予備苗フレーム26と、左右の予備苗フレーム26の上部に亘って連結される連結フレーム27と、が備えられている。
【0045】
左右の予備苗フレーム26のうち左右一方側(本実施形態では、右側)の予備苗フレーム26は、上下方向に沿って延びる複数(本実施形態では、2つ)の縦フレーム部(本発明の「縦フレーム」に相当)26aと、2つの縦フレーム部26aの上端同士に亘って設けられている横フレーム部26bにより、側面視で、逆U字状の形状に構成されている。左右の予備苗フレーム26のうち左右他方側(本実施形態では、左側)の予備苗フレーム26は、詳しくは説明しないが、リンク機構(図示せず)により、複数の予備苗台25が前後に並ぶ状態と上下に並ぶ状態とに切替可能な構成となっている。
【0046】
図示はしないが、連結フレーム27は、前面視で、逆U字状の形状となっている。連結フレーム27の左右端部は、それぞれ、連結ブラケット28を介して、左右の予備苗フレーム26の上部、つまり、横フレーム部26bに連結されている。
【0047】
〔運転部について〕
運転部8には、操縦者が着座する運転座席31、操縦塔32、前車輪1を操向操作し、ステアリングホィールにより構成される操向ハンドル33、前後進の切り換え操作や走行速度を変更操作が可能な主変速レバー34、苗植付装置9を操作する操作レバー35(
図4参照)等が備えられている。操向ハンドル33、主変速レバー34、操作レバー35は、操縦塔32に備えられている。
【0048】
また、運転座席31の前方には、スイッチボックス(本発明の「操作装置」に相当)70が備えられている。スイッチボックス70には、手動走行によるティーチング走行の際に操作することにより、基準走行ラインKLの始点と終点とを設定する一対の指示ボタン(本発明の「指示操作具」に相当)71が備えられている。
【0049】
〔センターマスコットについて〕
走行機体3の前部には、畦を越える際等に、機体の浮き上がりを防止するために、走行機体3を下方に押さえつけるための畦越えアーム15が備えられ、畦越えアーム15の上部に、棒状のセンターマスコット40が備えられている。センターマスコット40は、畦越えアーム15の先端部分に、機体左右方向軸周りに揺動可能に設けられ、作業姿勢と収納姿勢とに切替可能に構成されている。
【0050】
センターマスコット40は、走行機体3の機体左右中心上に配置されており、図示しないマーカ装置によって圃場の田面に描かれた指標線に対して走行機体3の位置が合っているかの位置チェックの目安として用いられる。操縦者が、運転座席31からセンターマスコット40を見たときに、その視線の延長線上にマーカ装置によって描かれた指標線が位置していれば、走行機体3の位置が合っていると判断することができる。
【0051】
図4に示すように、センターマスコット40の上部には、自動走行が可能であること、自動走行中であること等を報知する自動走行報知部41が備えられている。自動走行報知部41は、表示部41Dを有している。表示部41Dは、上下に並ぶように設けられた複数のLED照明である。表示部41Dのうち上側の照明装置41D1は、例えば、苗切れ等、自動走行に関連しないエラーを報知する。表示部41Dのうち下側の照明装置41D2は、照明装置41D1と異なる色に発光し、例えば、自動走行可能であるときには点灯し、自動走行中には点滅する等、発光パターン(表示形態)を変更することで自動走行の状態を報知する。
【0052】
〔主変速レバーについて〕
図1及び
図4に示されるように、主変速レバー34は、操向ハンドル33の左横側に備えられている。前後方向に揺動可能に構成されており、中立位置から前方に揺動操作することで、前進の変速操作を行うことができ、中立位置から後方に揺動操作することで、後進の変速操作を行うことができる。
【0053】
図4に示すように、主変速レバー34の上端部に設けられた握り部34Aには、自動走行の入り切りの切り換え操作を行う自動走行スイッチ36が備えられている。自動走行スイッチ36は、握り部34Aを左手で握った状態で、例えば、左手の親指で押すことができる位置に配置してあり、押す度に、手動走行と自動走行とが交互に切り替わるように構成されている。
【0054】
〔操向ユニットについて〕
走行機体3には、左右の前車輪1を操向可能な操向ユニットUが備えられている。
【0055】
図2に示されるように、操向ユニットUには、上述の操向ハンドル33、操向ハンドル33に連動連結されるステアリング操作軸51、ステアリング操作軸51の回動に伴って揺動するピットマンアーム52、ピットマンアーム52に連動連結される左右の連繋機構53、ステアリングモータ55、ステアリング操作軸51にステアリングモータ55を連動連結するギヤ機構54等が備えられている。
【0056】
ステアリング操作軸51は、ピットマンアーム52、左右の連繋機構53を介して、左右の前車輪1に、それぞれ、連動連結されている。ステアリング操作軸51の回転量は、ステアリング操作軸51の下端部に備えられるロータリエンコーダからなる操向角センサ84(
図3参照)により検出されるようになっている。
【0057】
操向ユニットUの手動操向を行う場合には、操縦者が操向ハンドル33を操作する操作力に、ステアリングモータ55による操向ハンドル33の操作に応じた補助力を付与してステアリング操作軸51を回動操作し、前車輪1の操向角度を変更するようになっている。一方、操向ユニットUの自動操舵を行う場合には、ステアリングモータ55を駆動して、ステアリングモータ55の駆動力によりステアリング操作軸51を回動操作し、前車輪1の操向角度を変更するようになっている。
【0058】
〔衛星測位システムについて〕
図1に示されるように、走行機体3には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(本発明の「衛星信号受信部」に相当)81が備えられている。
【0059】
衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satelite System)には、その代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(走行機体3)が備える受信装置81を使用して受信装置81の位置を計測するものである。
【0060】
受信装置81は、GPS衛星等の衛星からの衛星信号を受信する。衛星信号の情報に基づいて、受信装置81の位置が測位される。受信装置81は、板状の支持プレート86を介して、連結フレーム27に取り付けられている。
【0061】
詳しくは説明しないが、
図3に示されるように、走行機体3には、走行機体3の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出可能な副慣性計測装置82を有する計測ユニット80と、慣性情報を計測する主慣性計測装置83と、が備えられている。主慣性計測装置83、及び、副慣性計測装置82は、それぞれ、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0062】
また、受信装置81の受信感度を検出する受信感度検出部85が備えられている。受信感度検出部85は、後述する制御装置60に検出結果を送信する。受信感度検出部85は、受信感度に関する情報として、衛星からの受信感度が低下したことを検知する。受信感度の検知方法は特に限定されない。例えば、受信感度の検知方法として、衛星からの受信感度を所定のしきい値で比較して、受信感度がしきい値以下となれば、受信感度が低下したことを検知し、また、衛星からの受信感度が悪く、位置情報を取得できないときには、受信感度が不十分であることを検知する等の方法を採用することができる。
【0063】
〔制御装置について〕
図3に示されるように、走行機体3には、操向ユニットUの自動操舵に関する制御を行う制御装置60が備えられている。制御装置60には、情報記憶部61と、ティーチング記憶部62と、情報補正部63と、走行機体3を走行させる設定走行ラインSLを生成する始点設定部64と、設定走行ラインSLと走行機体3の自機位置とのズレを検出する状態検出部65と、位置情報及び慣性情報に基づいて、走行機体3が設定走行ラインSLに沿って走行するように、操向ユニットUを制御する制御部66と、が備えられている。
【0064】
制御装置60には、受信装置81と、副慣性計測装置82と、主慣性計測装置83に備えているジャイロセンサ83a、加速度センサ83b、操向角センサ84、自動走行スイッチ36、指示ボタン71、受信感度検出部85等の情報が入力されている。
【0065】
情報記憶部61は、受信装置81から取得される位置情報を、時間毎に記憶していくように構成されている。
【0066】
ティーチング記憶部62は、指示ボタン71の操作に基づいて、情報記憶部61に記憶された位置情報のうち始点K1、終点K2の位置情報を用いて、基準走行ラインKLを算出するように構成されている。
【0067】
情報補正部63は、走行機体3の自動走行制御の開始毎に、主慣性計測装置83により計測される慣性情報のうちジャイロセンサ83aにより検出される情報の積算誤差を、受信装置81により取得される位置情報、及び、副慣性計測装置82により計測される情報と、に基づいて補正処理を行うように構成されている。
【0068】
始点設定部64は、基準走行ラインKLと、走行機体3の自動走行制御の開始時の自機位置、及び、自機方位に基づいて、設定走行ラインSLを生成するように構成されている。
【0069】
状態検出部65は、走行機体3の自動走行制御中に、走行機体3の自機位置と設定走行ラインSLとの距離偏差(ズレ距離)と、走行機体3の自機方位と設定走行ラインSLとの角度偏差(ズレ角度)と、を検出するように構成されている。
【0070】
制御部66は、状態検出部65から入力される情報に基づいて、操向ユニットUのステアリングモータ55の駆動を制御するように構成されている。
【0071】
〔スイッチボックスについて〕
図4及び
図5に示すように、本実施形態では、スイッチボックス70は、左右の予備苗フレーム26のうち右の逆U字状に構成された予備苗フレーム26に支持されている。具体的には、予備苗フレーム26の縦フレーム部26aに、スイッチボックス70を支持するステー70Sが備えられている。ステー70Sは、縦フレーム部26aから、運転座席31に向けて延びるように構成されている。スイッチボックス70は、ステー70Sを介して、複数の縦フレーム部26aのうち最も後方に位置する縦フレーム部26aに支持されている。この構成により、スイッチボックス70は、運転座席31よりも前方であり、かつ、操縦者が運転座席31に座ったまま操作できる位置に配置される。
【0072】
スイッチボックス70には、指示ボタン71と、受信装置81の受信感度に関する情報を報知する情報報知部72と、自動走行に関する警告を報知する警告報知部73とが配置されている。つまり、単一のスイッチボックス70に、指示ボタン71と情報報知部72と警告報知部73とが、配置されている。
【0073】
指示ボタン71として、基準走行ラインKLの始点K1を設定する始点指示ボタン(本発明の「始点指示操作具」に相当)71Aと、基準走行ラインKLの終点K2を設定する終点指示ボタン(本発明の「終点指示操作具」に相当)71Bと、を有する。
【0074】
本実施形態では、スイッチボックス70は、始点指示ボタン71A等の操作具が配置される配置面が、上側ほど前方に位置するように斜めに構成されている。スイッチボックス70において、始点指示ボタン71Aは、前後方向で終点指示ボタン71Bよりも後側、上下方向で終点指示ボタン71Bよりも下側に配置され、終点指示ボタン71Bよりも運転座席31に近い側に配置されている。情報報知部72及び警告報知部73は、スイッチボックス70において、前後方向で終点指示ボタン71Bよりも前側、上下方向で終点指示ボタン71Bよりも上側に配置され、終点指示ボタン71Bよりも運転座席31から遠い側に配置されている。
【0075】
情報報知部72は、受信感度検出部85の検出結果に基づいて、受信装置81の受信感度に関する情報を報知する。情報報知部72は、情報を表示する表示部72Dを有している。本実施形態では、表示部72Dは、所定の形状(本実施形態では、円形)で構成されているLED照明であり、発光パターンを変化させることによって、受信装置81の受信感度に関する情報を報知する。例えば、受信感度が良好のときは、表示部72Dを点灯させ、受信感度が低下したときは、表示部72Dを点滅させる。
【0076】
警告報知部73は、自動走行に関する警告を報知するものであり、警告を表示する表示部73Dを有している。表示部73Dは、所定の形状(本実施形態では、円形)で構成されている表示部72Dとは異なる色に発光するLED照明である。例えば、受信感度が著しく悪く、自動走行が不可能であるときに、表示部73Dを点灯させる。
【0077】
本実施形態の田植機の具体的な走行例について説明する。
[1]
図6に示すように、ティーチングの為の手動走行を開始する。
この手動走行は、主変速レバー34を中立よりも前方に揺動操作することで開始することができ、畦に近い圃場外周部分から、畦に沿って直線上のコースを走行する。走行中に、始点指示ボタン71Aを押すことで、その時の走行機体3の位置情報が測位システムで取得され、基準走行ラインKLの始点K1の位置情報として情報記憶部61に記録される。
【0078】
また、手動走行を継続させた後に、終点指示ボタン71Bを押すことで、その時の走行機体3の位置情報が測位システムで取得され、基準走行ラインKLの終点K2の位置情報として情報記憶部61に記録される。その結果、ティーチング記憶部62によって、始点K1と終点K2とを結ぶ直線として基準走行ラインKLが設定される。
【0079】
[2]基準走行ラインKLにおける直線走行の後、操向ハンドル33を旋回操作して走行機体3の方向転換を図り、隣接した設定走行ラインSLの開始位置まで手動走行を行う。
【0080】
[3]走行機体3を自動走行させながら植え付けを行う。
自動走行の開始は、主変速レバー34を前方に揺動させると共に、自動走行スイッチ36を押すことによって実施される。このとき、センターマスコット40に備えられた自動走行報知部41は、受信感度検出部85の検出結果に基づいて、表示部41Dの照明装置41D2を点灯及び点滅等させることで、自動走行が可能であることを報知する。操縦者は、自動走行報知部41を確認することで、自動走行が可能であることを確認することができる。
【0081】
自動走行スイッチ36が押されると、始点設定部64によって、その時の走行機体3の位置情報が測位システムで取得され、設定走行ラインSLの始点S1の位置情報として情報記憶部61に記録され、更には、その始点S1を通り基準走行ラインKLに平行な設定走行ラインSLが生成される。
【0082】
設定走行ラインSLが生成されると、制御装置60によって、状態検出部65から入力される走行機体3のズレ情報に基づいて操向ユニットUがズレ矯正方向にコントロールされ、走行機体3が設定走行ラインSL上を走行するように制御される。
【0083】
[4]設定走行ラインSLにおける自動走行を解除する。
設定走行ラインSLの終端位置まで達すると、自動走行スイッチ36を押すことで、自動走行が解除される。この状態で、操向ハンドル33を旋回操作して走行機体3の方向転換を図り、隣接した次の設定走行ラインSLの開始位置まで手動操向を行う。
以後、自動走行による設定走行ラインSLの植付操向と、手動走行による方向転換とを交互に繰り返す。
【0084】
〔別実施形態〕
以下、上記実施形態に変更を加えた別実施形態を例示する。
【0085】
(1)上記実施形態では、情報報知部72及び警告報知部73に、それぞれ、表示部72D及び表示部73Dが設けられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、情報報知部72及び警告報知部73に、音を発生させる音発生部が設けられている構成としてもよい。
【0086】
(2)上記実施形態では、表示部72D及び表示部73Dは、円形のLED照明である構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、液晶画面に、所定の形状を表示させるものであってもよい。また、円形ではなく、例えば、四角や三角の形状で構成されていてもよい。
【0087】
(3)上記実施形態では、スイッチボックス70は、右側の予備苗フレーム26に支持されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、操縦塔32に支持されていてもよい。また、左側の予備苗フレーム26に支持されていてもよく、このとき、左側の予備苗フレーム26が逆U字状に構成されている構成としてもよい。
【0088】
(4)上記実施形態では、スイッチボックス70は、予備苗フレーム26に設けられた複数の縦フレーム部26aのうち最も後方に位置する縦フレーム部26aに支持されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、複数の縦フレーム部26aのうち最も前方に位置する縦フレーム部26aに支持されていてもよく、また、横フレーム部26bに支持されていてもよい。
【0089】
(5)上記実施形態では、スイッチボックス70は、ステー70Sを介して縦フレーム部26aに支持されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、スイッチボックス70は、縦フレーム部26aに直接支持されていてもよい。
【0090】
(6)上記実施形態では、スイッチボックス70において、始点指示ボタン71Aは、前後方向で終点指示ボタン71Bよりも後側に配置されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、始点指示ボタン71Aは、前後方向で終点指示ボタン71Bよりも前側に配置されていてもよく、また、始点指示ボタン71Aと終点指示ボタン71Bとは、左右に振り分けて配置されていてもよい。
【0091】
図7に示すように、始点指示ボタン71Aと終点指示ボタン71Bとが、左右に振り分けて配置されている構成を備える場合、始点指示ボタン71Aと終点指示ボタン71Bとに、これらのボタン自体を発光させるための、LED照明等の発光装置74が備えられていてもよい。
【0092】
このとき、状態検出部65により、走行機体3の位置が設定走行ラインSLから離れたこと又は方位ずれしたことを検出したとき、発光装置74を発光させることで、走行機体3の位置が設定走行ラインSLから離れたこと又は方位ずれしたことを報知する構成としてもよい。さらに、左右に割り振られて配置された始点指示ボタン71Aと終点指示ボタン71Bとのうち、設定走行ラインSLに対して走行機体3が位置する側に設けられた発光装置74が発光するように構成されていてもよく、また、左右に割り振られて配置された始点指示ボタン71Aと終点指示ボタン71Bとのうち、走行機体3に対して設定走行ラインSLが位置する側に設けられた発光装置74が発光するように構成されていてもよい。
【0093】
(7)上記実施形態では、スイッチボックス70は、左右の予備苗フレーム26のうち右の予備苗フレーム26に支持されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、左右の予備苗フレーム26のうち左の予備苗フレーム26に支持されていてもよい。
【0094】
(8)上記実施形態では、情報報知部72は、受信感度が著しく悪く、自動走行が不可能であるときに、警告を報知する構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、走行機体3の位置が設定走行ラインSLから離れたときに警告を報知する構成としてもよい。
【0095】
(9)上記実施形態では、受信感度検出部85は、制御装置60とは別体で構成され、制御装置60は、受信感度検出部85から情報が入力される構成となっていたが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、受信感度検出部85は、制御装置60に組み込まれている構成でもよい。
【0096】
(10)上記実施形態では、表示部72D及び表示部73Dは、LED照明の発光パターンを変化させることによって、情報及び警告を報知する構成を例に説明したが、表示部72D及び表示部73Dの表示態様を変更させるものであればよく、例えば、LED照明の発光色を変化させることによって、情報及び警告を報知するように構成されていてもよい。
【0097】
(11)上記実施形態では、スイッチボックス70は、始点指示ボタン71A等の操作具が配置される配置面が、上側ほど前方に位置するように斜めに構成されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、配置面が垂直となるように構成されていてもよく、また、配置面が水平となるように構成されていてもよい。また、スイッチボックス70の姿勢を変更できる構成としてもよい。
【0098】
(12)上記実施形態では、表示部41Dは、上側に自動走行に関連しないエラーを報知する照明装置41D1が配置され、下側に自動走行に関連する情報を報知する照明装置41D2が配置されている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、表示部41Dは、上側に照明装置41D2が配置され、下側に照明装置41D1が配置される構成としてもよく、さらに、3つ以上の照明装置を配置する構成としてもよい。また、複数の照明装置は、それぞれ異なる形状で構成されていてもよい。この構成により、表示部41Dの視認性を向上させることが可能となる。
【0099】
(13)上記実施形態では、操縦塔32に設けられた主変速レバー34に、自動走行の入り切りの切り換え操作を行う自動走行スイッチ36が備えられている構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、主変速レバー34等とは別体の操作具にて自動走行の入り切りの切り換え操作を行うことができるように構成されていてもよく、このとき、スイッチボックス70に、当該操作具が配置されていてもよい。また、スイッチボックス70に設けられた始点指示ボタン71A及び終点指示ボタン71Bを操作することにより、自動走行の入り切りの切り換え操作を行うことができるように構成されていてもよい。
【0100】
(14)上記実施形態では、設定走行ラインSLの終点で、植付を一時停止すると共に自動走行から手動操向に切り替えて旋回を行う構成を例に説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、設定走行ラインSLの終点で、所定の操作具を操作することにより、自動操舵により旋回する構成としてもよい。
【0101】
(15)上記実施形態では、走行機体3に、主慣性計測装置83と副慣性計測装置82とが備えられている構成を例に説明したが、これらに代えて、走行機体3の傾きと走行機体3の進行方向の方位を検出することができる単一の慣性計測装置を備える構成としてもよい。このとき、当該慣性計測装置は、受信装置81に組み込まれている構成としてもよく、また、受信装置81とは別体に構成され、例えば振動の影響を受けにくい運転座席31の周辺に配置されていてもよい。
【0102】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、乗用型田植機だけではなく、コンバイン、トラクタ等の種々の作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
3 :走行機体
9 :苗植付装置
25 :予備苗台
26 :予備苗フレーム
26a :縦フレーム部(縦フレーム)
41 :運転座席
70 :スイッチボックス(操作装置)
70S :ステー
71 :指示ボタン(指示操作具)
71A :始点指示ボタン(始点指示操作具)
71B :終点指示ボタン(終点指示操作具)
72 :情報報知部
72D :表示部
73 :警告報知部
74 :センターマスコット
75 :自動走行報知部
81 :受信装置(衛星信号受信部)
84 :受信感度検出部
KL :基準走行ライン
K1 :始点
K2 :終点
SL :設定走行ライン