(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093883
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20240702BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240702BHJP
【FI】
G06F30/13
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210514
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉川 明良
(72)【発明者】
【氏名】岸 啓明
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DA00
5B146DG01
5B146DL02
5B146DL08
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込んでモデル化することのできる、設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法を提供すること。
【解決手段】設計ユーザ端末10は、Webカタログサーバ20に接続し、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求する第一中間ファイル60を送信する第一通信部120、第一中間ファイル60にオブジェクトデータリストが入力された第二中間ファイル80を受信して格納する第一格納部126、オブジェクトデータリストを読み込んでBIMモデルを設計する設計部124を有し、第二中間ファイル80には、BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれ、BIMモデルの各室に使用建材データに基づく使用建材モデルが付加される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Webカタログを格納するWebカタログサーバと通信を行い、建築物のBIMモデルを設計する、設計ユーザ端末であって、
ネットワークを介して前記Webカタログサーバに接続し、該Webカタログサーバに対して、前記BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、第一通信部と、
前記第一中間ファイルに対して、前記オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルが前記第一通信部を介して受信され、受信された該第二中間ファイルを格納する、第一格納部と、
建築物のBIMモデルを設計し、その際に、前記第一格納部に格納されている前記第二中間ファイルにおける前記オブジェクトデータリストを読み込み、該オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータを前記BIMモデルに取り込む、設計部と、を有し、
前記第二中間ファイルには、前記BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれており、
前記設計部により、前記BIMモデルの各室に対して前記使用建材データに基づく使用建材モデルが付加されることを特徴とする、設計ユーザ端末。
【請求項2】
前記BIMモデルを構成する任意の室を選択した際に、前記設計部により、該室を構成する同種のオブジェクトに対して前記使用建材モデルが自動的に付加されることを特徴とする、請求項1に記載の設計ユーザ端末。
【請求項3】
前記同種のオブジェクトには、前記室を構成する壁、天井、床、幅木が含まれることを特徴とする、請求項2に記載の設計ユーザ端末。
【請求項4】
前記第二中間ファイルには、前記同種のオブジェクトに対して異なる種類の使用建材データが設定されており、
前記設計部により、1つの前記室を構成する同種のオブジェクトがエリア分けされ、エリアごとに前記異なる種類の使用建材データに基づく前記使用建材モデルが貼り分けられることを特徴とする、請求項3に記載の設計ユーザ端末。
【請求項5】
前記第二中間ファイルに入力される前記オブジェクトデータリストが、同種のオブジェクトに関する二以上のメーカーの提供する二以上のオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設計ユーザ端末。
【請求項6】
建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末と通信を行い、Webカタログを前記設計ユーザ端末に提供する、Webカタログサーバであって、
前記BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを格納する、第二格納部と、
ネットワークを介して前記設計ユーザ端末に接続し、該設計ユーザ端末より、前記オブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを受信する、第二通信部と、
前記第一中間ファイルに対して前記オブジェクトデータリストを入力することにより、第二中間ファイルを作成する入力作成部と、を有し、
前記入力作成部では、前記オブジェクトデータリストを、前記設計ユーザ端末の有するBIMモデルを設計するためのアプリケーションソフトウェアにおいて読み込み可能に変換することにより、前記第二中間ファイルを作成し、
前記第二中間ファイルには、前記BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれており、前記BIMモデルの各室に対して前記使用建材データに基づく使用建材モデルが付加されるようになっていることを特徴とする、Webカタログサーバ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の設計ユーザ端末と、
請求項6に記載のWebカタログサーバと、
前記ネットワークを介して、前記設計ユーザ端末より、設計された前記BIMモデルを受信し、二以上の該設計ユーザ端末が前記BIMモデルを共有可能とする共有サーバと、を有することを特徴とする、設計支援システム。
【請求項8】
建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末より、Webカタログを格納するWebカタログサーバに対して、BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、ファイル送信工程と、
前記Webカタログサーバにおいて、前記第一中間ファイルに対して、前記オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルを作成する、入力作成工程と、
前記設計ユーザ端末において、建築物のBIMモデルを設計するに当たり、前記第二中間ファイルを受信し、該第二中間ファイルにおける前記オブジェクトデータリストを読み込み、該オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータを前記BIMモデルに取り込んで設計する、設計工程と、を有し、
前記入力作成工程では、前記第二中間ファイルに対して、前記BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データを含ませ、
前記設計工程では、前記BIMモデルの各室に対して、前記使用建材データに基づく使用建材データを付加することを特徴とする、設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築設計においては、敷地の条件や周辺環境を勘案しながら建築物の配置を決定し、内外観や間取り構成、装飾等を設計する意匠設計がまず行われる。この意匠設計では、一般に普及しているCAD(Computer-aided design)を用いることにより、二次元図面は勿論のこと、パースを含む三次元図面が作成される。この意匠設計により設計された建築物に対して、積雪や地震等に対する安全性能を満たすような主架構を構成する柱や梁等を設定する構造設計が意匠設計に次いで行われる。また、この構造設計と並行して、もしくは構造設計の後で、快適な室内環境のための空調設備、上下水道に通じる衛生設備、コンセントや照明を配置する電気設備等を設定する設備設計が行われる。これらの意匠設計、構造設計、及び設備設計は、各設計担当者が相互に情報共有しながら、複数回に亘って設計変更がなされた後、建築物の設計が完了する。
【0003】
昨今、上記する建物の設計において、BIM(Building Information Modeling)モデルを用いて、デザイナーや設計者等の間で建物に関する情報を共有化することが行われている。ここで、BIMモデルとは、建物を構成する構成要素(オブジェクトとも言い、梁や柱、壁等を含む)に関する、仮想の三次元空間における形状に関する情報や、材質、寸法、配設位置等に関する情報(これらをまとめて、「仕様情報」とする)を有する三次元モデルである。このBIMモデルを用いて、三次元モデルを様々な角度から見た三次元図面が作成できる他、三次元図面を様々に切断したり、様々な角度から見た平面図(伏図を含む)や立面図(軸組図を含む)といった二次元図面を作成できる。すなわち、三次元モデルを構成する各構成要素は、種々の仕様情報を内包しており、この仕様情報は、変更や修正、追加が可能であり、変更や追加等の履歴を残すこともできる。
【0004】
ここで、上記するBIMを用いた情報管理システムが提案されている。具体的には、ユーザが利用する情報処理端末と、情報処理端末とネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ装置とを有する情報管理システムである。このサーバ装置は、オブジェクトの形状情報と仕様情報をオブジェクトに関連付けて記憶し、オブジェクトとこれに関する作業項目とを関連付けた作業情報と、作業項目とこれに関する資源項目とを関連付けた資源情報とを記憶する記憶部と、形状情報、仕様情報、作業情報、資源情報に基づいて情報処理端末を利用するユーザの要求する情報を取得する制御部と、取得したユーザの要求する情報を要求元の情報処理端末に送信する通信部とを備えている。また、情報処理端末は、ネットワークを介してサーバ装置から受信した、情報処理端末を利用するユーザの要求する情報に基づいて、情報処理端末を利用するユーザに対して所定画面を表示する表示部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の情報管理システムによれば、建築物に関する情報を適切に管理し、ユーザに必要な情報を簡単に取得させることができる。ところで、BIMモデルの設計において、例えば設計担当者(構造設計担当者)は、構造計算によりBIMモデルを設計した後、壁や床、柱、ドア、窓、サッシ、シンク等の各オブジェクトに対して実際に適用可能な市販品(製品)を適用し、適用された製品は、オブジェクトの仕様情報として当該オブジェクトに紐付けられ、設計図書に入力される。この製品の適用に際しては、例えば、同一のオブジェクトに対して複数のメーカーが固有の製品を販売していることから、設計者は、各社の製品カタログを紙ベースで取り寄せて比較検討したり、各社のWeb(World wide web)サイトにアクセスし、製品に関するWebカタログをダウンロード等することによって入手し、比較検討している。
【0007】
Webカタログをダウンロード等することにより、カタログのペーパーレス化は図れるものの、設計者は、各メーカーの製品を比較検討した後、選定した製品を手入力によって設計図書のデータベースに打ち込んでいることから、BIMモデルの設計に手間と時間を要している。
【0008】
さらに、BIMモデルの設計では、建築物の各室を構成する壁や天井、床、幅木といった部材の厚み等を手入力によって入力することでBIMモデルを作成していることからも、BIMモデルの設計に手間と時間を要している。
【0009】
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込んでモデル化することのできる、設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成すべく、本発明による設計ユーザ端末の一態様は、
Webカタログを格納するWebカタログサーバと通信を行い、建築物のBIMモデルを設計する、設計ユーザ端末であって、
ネットワークを介して前記Webカタログサーバに接続し、該Webカタログサーバに対して、前記BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、第一通信部と、
前記第一中間ファイルに対して、前記オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルが前記第一通信部を介して受信され、受信された該第二中間ファイルを格納する、第一格納部と、
建築物のBIMモデルを設計し、その際に、前記第一格納部に格納されている前記第二中間ファイルにおける前記オブジェクトデータリストを読み込み、該オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータを前記BIMモデルに取り込む、設計部と、を有し、
前記第二中間ファイルには、前記BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれており、
前記設計部により、前記BIMモデルの各室に対して前記使用建材データに基づく使用建材モデルが付加されることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、設計ユーザ端末からWebカタログサーバに対して第一中間ファイルが送信され、複数のメーカーのオブジェクトデータ(製品データ)をまとめたオブジェクトデータリスト(製品データリスト)が入力された第二中間ファイルが設計ユーザ端末に受信されて格納されることにより、設計ユーザは、第二中間ファイルにおけるオブジェクトデータリストを用いてBIMモデルの設計を行うことができる。すなわち、BIMモデルを構成する各オブジェクトに関する製品がデータリスト化されていることから、データリストから実際のBIMモデルに適用する製品を選択した際に、自動的に設計図書のデータベースへの入力が実行されるため、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込むことができる。
【0012】
さらに、第二中間ファイルにおいて、BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれ、設計部によってBIMモデルの各室に対して使用建材データに基づく使用建材モデルが付加されることにより、BIMモデルの効率的な作成(設計)を実現できる。
【0013】
ここで、設計ユーザ端末には、意匠設計担当者の有するユーザ端末、構造設計担当者の有するユーザ端末等、様々な設計ユーザ端末が含まれ、いずれもパーソナルコンピュータにより形成される。
【0014】
Webカタログサーバは、例えば、様々なオブジェクトに関する多数のメーカーによるWebカタログを有している。そのため、例えば設計ユーザがWebカタログサーバにアクセスして、一度に全てのWebカタログをダウンロード等しようとすると、データ量が多すぎてダウンロード等に長時間を要し、効率的にBIMモデルを設計することができない。そこで、本態様の設計ユーザ端末では、第一通信部からWebカタログサーバに対して第一中間ファイルを送信する。この第一中間ファイルは、例えば、現在設定しようとする一つのオブジェクトに関し、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するファイルである。一つのオブジェクトに関する製品を扱うメーカーが一つであっても、当該一つのメーカーが二以上の製品を販売している場合があり、この場合は、Webカタログサーバにおいて、要求対象のオブジェクトに関して二以上の製品に関するオブジェクトデータがオブジェクトデータリストに入力され、第二中間ファイルが作成される。一方、一つのオブジェクトに関する製品を扱うメーカーが二以上ある場合も、要求対象のオブジェクトに関して二以上の製品が存在することから、Webカタログサーバにおいて、これらのデータがオブジェクトデータリストに入力される。さらに、BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれることにより、第二中間ファイルが作成される。
【0015】
設計ユーザ端末では、オブジェクトデータリストが入力された第二中間ファイルが第一通信部にて受信され、第一格納部に格納される。設計ユーザが、第一格納部に格納された第二中間ファイル中のオブジェクトデータリストから好適な製品を選択すると、第一格納部において、オブジェクトデータリストから選択された製品に関するオブジェクトデータが、対象オブジェクトの仕様情報として認識され、設計図書のデータベースにおける対象オブジェクトに対して、選択された製品データ(オブジェクトデータ)が自動的に入力される。ここで、オブジェクトデータは、使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データであることから、設計部によるBIMモデルの作成の際に、各室に対して使用建材データの厚み等に関する情報に基づく使用建材モデルが付加される。すなわち、使用建材がBIMモデルに自動的に反映されることになる。
【0016】
第一格納部には、市販の構造計算用ソフトウェアがダウンロード等によりインストールされており、設計部において構造計算用ソフトウェアが読み出され、意匠設計された建築物を構造計算用ソフトウェア内においてモデル化する。このモデル化においては、各構成要素の材質(剛性等)、寸法、配設位置等の仕様情報が入力される。そして、構造計算用ソフトウェアにより、パーソナルコンピュータ内において構造計算が実行され、構造計算データが例えば第一格納部に格納される。設計ユーザ端末には、例えば変換用ソフトウェアが同様にインストールされており、この変換用ソフトウェアにより、構造計算用ソフトウェア内にてモデル化されている計算モデル(非BIM計算モデル)からBIM計算モデルが作成される。そして、このBIM計算モデルの有する対象オブジェクトに対して、選択されたオブジェクトデータ(選択された製品データで、設計図書のデータベースに入力済)が仕様情報として紐付けられることになる。
【0017】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様は、
前記BIMモデルを構成する任意の室を選択した際に、前記設計部により、該室を構成する同種のオブジェクトに対して前記使用建材モデルが自動的に付加されることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、BIMモデルを構成する任意の室を選択した際に、室を構成する同種のオブジェクトに対して使用建材モデルが自動的に付加されることにより、より一層効率的なBIMモデルの作成を実現できる。ここで、「同種のオブジェクト」とは、例えば、室を構成する複数の壁等を意味しており、任意の室を選択した際に、当該室を構成する全ての壁に対して選定された使用建材モデルが自動的に付加されることになる。
【0019】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様において、
前記同種のオブジェクトには、前記室を構成する壁、天井、床、幅木が含まれることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、同種のオブジェクトに室を構成する壁や天井、床、幅木が含まれることにより、各室の内部に露出するオブジェクトの下地や仕上げがモデル化されたBIMモデルを作成することができる。
【0021】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様において、
前記第二中間ファイルには、前記同種のオブジェクトに対して異なる種類の使用建材データが設定されており、
前記設計部により、1つの前記室を構成する同種のオブジェクトがエリア分けされ、エリアごとに前記異なる種類の使用建材データに基づく前記使用建材モデルが貼り分けられることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、室を構成する同種のオブジェクトがエリア分けされ、エリアごとに異なる種類の使用建材データに基づく使用建材モデルが貼り分けられることにより、同種のオブジェクトに異なる種類の使用建材モデルが適用されるBIMモデルを、効率的に作成することができる。例えば、オブジェクトが室を構成する複数の壁である場合に、例えば南側の壁とそれ以外の壁に対して異なる種類の使用建材モデルを適用することができる。
【0023】
また、本発明による設計ユーザ端末の他の態様において、前記第二中間ファイルに入力される前記オブジェクトデータリストが、同種のオブジェクトに関する二以上のメーカーの提供する二以上のオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストであることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、オブジェクトデータリストが、同種のオブジェクトに関する二以上のメーカーの提供する二以上のオブジェクトデータをまとめたデータリストであることにより、設計ユーザは、当該オブジェクトデータリストを用いて効率的に好適な製品を選択することができ、選択と同時に設計図書のデータベースに製品データを入力することができる。
【0025】
また、本発明によるWebカタログサーバの一態様は、
建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末と通信を行い、Webカタログを前記設計ユーザ端末に提供する、Webカタログサーバであって、
前記BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを格納する、第二格納部と、
ネットワークを介して前記設計ユーザ端末に接続し、該設計ユーザ端末より、前記オブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを受信する、第二通信部と、
前記第一中間ファイルに対して前記オブジェクトデータリストを入力することにより、第二中間ファイルを作成する入力作成部と、を有し、
前記入力作成部では、前記オブジェクトデータリストを、前記設計ユーザ端末の有するBIMモデルを設計するためのアプリケーションソフトウェアにおいて読み込み可能に変換することにより、前記第二中間ファイルを作成し、
前記第二中間ファイルには、前記BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれており、前記BIMモデルの各室に対して前記使用建材データに基づく使用建材モデルが付加されるようになっていることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、第二格納部において、様々なオブジェクトに対する様々なメーカーの製品に関するデータをまとめたオブジェクトデータリストを格納し、入力作成部において、設計ユーザ端末から送信された要求対象のオブジェクトに関するオブジェクトデータリストを入力した第二中間ファイルを作成することにより、設計ユーザ端末に対して、設計ユーザが比較検証を容易とし、かつ設計図書に自動的に入力できるデータリストを送信することができる。
【0027】
また、入力作成部において、オブジェクトデータリストが、設計ユーザ端末の有するBIMモデルを設計するためのアプリケーションソフトウェアに読み込み可能に変換されて第二中間ファイルが作成されることにより、設計ユーザ端末において、受信した第二中間ファイルを用いて選択された製品データを速やかにBIMモデルの対象オブジェクトに紐付けすることができる。一例として、設計ユーザ端末の設計部において、BIMソフトウェアとしてAutodesk Revit(登録商標)(Autodesk社製)が適用される場合に、第一中間ファイルをCSV(Comma Separated Value)形式のテキストファイルやTXT(Text)形式のテキストファイルとしてWebカタログサーバに送信し、Webカタログサーバでは、格納されているオブジェクトデータリストに関する、例えばHTML(HyperText Markup Language)データやPDF(Portable Document Format)データをCSV形式やTXT形式のテキストデータに変換して第二中間ファイルを作成することができる。設計ユーザ端末の設計部では、CSVのテキストデータからなる第二中間ファイルをBIMソフトウェアに取り込むことにより、対象オブジェクトに関する製品データを仕様情報として設計図書のデータベースに自動入力することができる。
【0028】
さらに、第二中間ファイルにおいて、BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれ、設計ユーザ端末におけるBIMモデル作成の際に、BIMモデルの各室に対して使用建材データに基づく使用建材モデルが付加されるようになっていることで、設計ユーザ端末におけるBIMモデルの効率的な作成(設計)に寄与できる。
【0029】
また、本発明による設計支援システムの一態様は、
前記設計ユーザ端末と、
前記Webカタログサーバと、
前記ネットワークを介して、前記設計ユーザ端末より、設計された前記BIMモデルを受信し、二以上の該設計ユーザ端末が前記BIMモデルを共有可能とする共有サーバと、を有することを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、上記する設計ユーザ端末と上記するWebカタログサーバとを有することにより、メーカーによる製品データをBIMモデルにおける設計図書のデータベースに対して効率的に取り込むことができ、効率的にBIMモデルのモデル化(作成、設計)を行うことができる。
【0031】
また、本発明による設計支援方法の一態様は、
建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末より、Webカタログを格納するWebカタログサーバに対して、BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリストを要求するための第一中間ファイルを送信する、ファイル送信工程と、
前記Webカタログサーバにおいて、前記第一中間ファイルに対して、前記オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイルを作成する、入力作成工程と、
前記設計ユーザ端末において、建築物のBIMモデルを設計するに当たり、前記第二中間ファイルを受信し、該第二中間ファイルにおける前記オブジェクトデータリストを読み込み、該オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータを前記BIMモデルに取り込んで設計する、設計工程と、を有し、
前記入力作成工程では、前記第二中間ファイルに対して、前記BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データを含ませ、
前記設計工程では、前記BIMモデルの各室に対して、前記使用建材データに基づく使用建材データを付加することを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、ファイル送信工程と入力作成工程により、設計ユーザによって要求されたオブジェクトに対してオブジェクトデータリストが作成され、設計ユーザは、作成されたオブジェクトデータリストを用いて効率的にBIMモデルを設計できるとともに、設計図書のデータベースに対して、当該オブジェクトに関して選定された製品データを速やかに入力することができる。
【0033】
さらに、入力作成工程において、第二中間ファイルに対して、BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データを含ませることにより、設計工程において、各室に対して使用建材データに基づく使用建材モデルが付加されたBIMモデルを効率的に作成(設計)することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上の説明から理解できるように、本発明による設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法によれば、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込むことができ、モデル化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施形態に係る設計支援システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る設計ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るWebカタログサーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図6】Webカタログサーバに格納されているオブジェクトデータリストの一例を示す図である。
【
図8】設計ユーザ端末に格納される設計図書の一例を示す図である。
【
図9】(a)は、設計ユーザ端末にて作成されるBIMモデルの一例の一部の平面図であり、(b)は、BIMモデルの一例の一部の3Dモデル図であり、(c)は、第二中間ファイルを取り込む前の壁に関するデフォルト情報を示す図である。
【
図10】第二中間ファイルにおける、各室に適用される使用建材に関する使用建材データを示す図であって、(a)は各室の内部仕上に関するデータ例であり、(b)は各室の外部仕上に関するデータ例である。
【
図11】
図10における内部仕上に関する使用建材データの一例を示す図である。
【
図12】第一格納部に格納される、任意の室を構成する各オブジェクトを構成する、仕上と下地に関するリストの一例を示す図である。
【
図13】
図12に示すリストの各項目に関する詳細情報の一例を示す図である。
【
図14】使用建材データに基づいて、オブジェクトの厚みが自動設定されることを示す図である。
【
図15】実施形態に係る設計支援方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、実施形態に係る設計ユーザ端末、Webカタログサーバ、設計支援システム及び設計支援方法の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0037】
[実施形態に係る設計支援システム]
はじめに、
図1を参照して、実施形態に係る設計支援システムの一例について説明する。ここで、
図1は、実施形態に係る設計支援システムの全体構成の一例を示す図である。
【0038】
設計支援システム50は、設計ユーザ端末10とWebカタログサーバ20とがネットワーク40を介して接続され、設計ユーザ端末10と共有サーバ30とが同様にネットワーク40を介して接続されることにより形成される。設計ユーザ端末10は、意匠設計ユーザ端末10A、構造設計ユーザ端末10B、設備設計ユーザ端末10C等を有し、さらに、積算ユーザ端末、施工計画ユーザ端末、実施工ユーザ端末(いずれも図示せず)等、様々なユーザ端末を含み得る。
【0039】
ネットワーク40には、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が含まれる。
【0040】
ここで、設計ユーザ端末10と共有サーバ30とは、設計支援システム50に含まれる共有システム50Aを形成しており、共有システム50Aは、一つのハウスメーカー等の会社内部のみで情報共有がなされるクローズドネットワークを有する形態の他、外部機関との間においても情報共有が可能なオープンネットワークを有する形態である。
【0041】
いずれの形態であっても、共有サーバ30へのアクセスにはアクセス権限を要し、アクセス権限が付与されているユーザ端末のみが共有サーバ30にアクセスでき、共有サーバ30との間で共有システム50Aを形成し、共有サーバ30に格納(記憶)されている各種データを共有することができる。例えば、以下で説明するBIMモデルが各設計段階の都度共有サーバ30に格納され、アクセス権限が付与されている設計ユーザ端末や外部機関は共有サーバ30にアクセスして、共有サーバ30に格納されているBIMモデルを自身の端末に取り込んだり、自身の端末にて作成されたBIMモデルを共有サーバ30にアップすることができる。
【0042】
ここで、共有サーバ30は、データ保管の他にも、各種のアプリケーションソフトウェアを複数のユーザが共有できるクラウドサーバであってもよい。例えば、設計ユーザ端末10と外部機関端末(図示せず)が共通のアプリケーションソフトウェアを使用して、BIMデータの送受信を行ったり、異なる時期に送受信される複数のBIMデータに関して、任意の二つの時期のBIMデータを相互に比較することを可能にしてもよい。尚、「外部機関端末」には、確認申請機関端末の他、設備設計や施工計画等の段階で協同して作業を行う資機材供給メーカー等の有する資機材供給メーカー端末等を含み得る。
【0043】
一方、Webカタログサーバ20へは、例えば権限なくいずれのユーザ端末とも自由にアクセスすることができ、Webカタログサーバ20内に格納されている所望のデータもアクセス権限なく自由に取得できるが、Webカタログサーバ20内に格納されているデータの取得に際してアクセス権限が付与されていてもよい。
【0044】
意匠設計ユーザ端末10A、構造設計ユーザ端末10B、及び設備設計ユーザ端末10Cはそれぞれ、意匠設計担当者、構造設計担当者、及び設備設計担当者が使用する端末であり、パーソナルコンピュータやタブレット等により形成される。
【0045】
BIMモデルには、建築物の企画段階等で意匠設計担当者が意匠設計ユーザ端末10Aにおいて設計するBIM意匠モデル、構造設計担当者が構造設計ユーザ端末10Bにおいて設計するBIM構造モデル等が含まれる。企画段階では、三次元モデリングされた建築物の画像データ(BIM意匠モデル)を見ることにより、当該建築物の外観やレイアウトデザイン等について直接イメージすることができる。また、設備設計段階においては、建築物の内部における熱流(風・気流等の流れ)のシミュレーションを行なったり、照明の配置と光環境との関係について検討することにより、居住空間の快適性を考慮した設計を行うことができる。さらに、構造設計段階や施工計画段階においては、三次元画像を確認することにより、設備機器や鉄骨、配管等の干渉チェックを行うことができ、二次元図面では見え難い状態を細部に亘り明りょうに把握することができる。
【0046】
Webカタログサーバ20は、BIMモデルを構成する様々なオブジェクトに関する多数のメーカーによるWebカタログを有している。
【0047】
同種のオブジェクトに対しては、一つのメーカーから一種の製品のみが市販されている場合(設計担当者による製品の選択の余地はない)の他、一つのメーカーから複数の製品が市販されている場合や、複数のメーカーから複数の製品が市販されている場合(設計担当者による製品の選択の余地がある)がある。
【0048】
Webカタログサーバ20では、これら各種のオブジェクトごとに、市販される製品がリストアップされたオブジェクトデータリストが作成され、格納されている。設計ユーザは、例えば構造計算がなされたBIMモデルの各オブジェクトに対して具体的な製品を設定するに当たり、Webカタログサーバ20にアクセスし、Webカタログサーバ20に格納されているオブジェクトデータリストから好適な製品を選択し、BIMモデルの各オブジェクトに対して、選択した製品データを仕様情報として設定する。
【0049】
設計支援システム50においては、例えば、意匠設計担当者が設計するBIM意匠モデル(BIMモデルの一例)や構造設計担当者が設計するBIM構造モデル(BIMモデルの他の例)を構成する各種のオブジェクトに対して、実際にメーカーから市販されている製品を設定し、その際に、オブジェクトの仕様情報が設計図書に自動入力されるようになっている。さらに、BIMモデルを構成する各室に適用される使用建材に関する使用建材データが自動入力されるようになっている。以後の説明では、設計ユーザ端末10として意匠設計ユーザ端末10Aを念頭に置きつつ、設計ユーザ端末10とWebカタログサーバ20とのデータの送受信について説明する。
【0050】
[実施形態に係る設計ユーザ端末]
次に、
図2乃至
図4を参照して、実施形態に係る設計ユーザ端末の一例について説明する。ここで、
図2は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図であり、
図3は、実施形態に係る設計ユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【0051】
図2に示すように、設計ユーザ端末10は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やワークステーション(WS:Work Station)等の情報処理装置からなり、Webカタログサーバ20と共有サーバ30はいずれもサーバからなる情報処理装置であり、いずれも
図2に示すコンピュータにより構成される。
【0052】
設計ユーザ端末10等のコンピュータは、接続バス112により相互に接続されているCPU(Central Processing Unit)102、主記憶装置104、補助記憶装置106、通信IF(interface)108、及び入出力IF110を備えている。主記憶装置104と補助記憶装置106は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0053】
CPU102は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU102は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU102は、コンピュータからなる設計ユーザ端末10等の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU102は、例えば、補助記憶装置106に記憶されたプログラムを主記憶装置104の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
【0054】
主記憶装置104は、CPU102が実行するコンピュータプログラムや、CPU102が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置104は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置106は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置106には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF108を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、ネットワークに接続するパーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション(WS)、サーバ、携帯端末等の情報処理装置や外部記憶装置等が含まれる。
【0055】
補助記憶装置106は、例えば、主記憶装置104を補助する記憶領域として使用され、CPU102が実行するコンピュータプログラムや、CPU102が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置106は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置106として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示される。着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0056】
通信IF108は、設計ユーザ端末10等が接続するネットワーク40とのインターフェイスである。通信IF108は、ネットワーク40を介して、Webカタログサーバ20に対して第一中間ファイルを送信し、Webカタログサーバ20から第二中間ファイルを受信する。また、通信IF108は、ネットワーク40を介して、設計ユーザ端末10にて設計されたBIMモデルを共有サーバ30に格納し、共有サーバ30に格納されているBIMモデルを受信する。
【0057】
入出力IF110は、設計ユーザ端末10等に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF110には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。設計ユーザ端末10等は、入出力IF110を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。
【0058】
また、入出力IF110には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続する。設計ユーザ端末10等は、入出力IF110を介し、CPU102により処理されるデータや情報、主記憶装置104、補助記憶装置106に記憶されるデータや情報を出力する。
【0059】
図3に示すように、設計ユーザ端末10は、CPU102によるプログラムの実行により、少なくとも、第一通信部120、第一入出力部122、設計部124、及び第一格納部126の各種機能を提供する。尚、上記処理機能の少なくとも一部が、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって提供されてもよく、同様に、上記処理機能の少なくとも一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用LSI(large scale integration)やその他のデジタル回路等であってもよい。
【0060】
第一通信部120は、設計ユーザ端末10にて作成された第一中間ファイルをWebカタログサーバ20に送信したり、Webカタログサーバ20にて作成された第二中間ファイルを受信し、第一格納部126に格納する。また、第一通信部120は、設計ユーザ端末10にて作成されたBIMモデルを共有サーバ30に送信し、共有サーバ30に格納されているBIMモデルを受信する。
【0061】
ここで、
図4を参照して、第一中間ファイルの一例について説明する。第一中間ファイル60は、例えば意匠設計担当者がBIMモデルの各オブジェクトに対して具体的な製品を設定するに当たり、Webカタログサーバ20に対して対象のオブジェクトに関する情報を要求するファイルである。
【0062】
図4に一例として示す第一中間ファイル60は、例えばCSV形式やTXT形式のファイルとしてWebカタログサーバ20に送信される。第一中間ファイル60には、上段から、要求対象オブジェクト61、部位62、設置階63、設置位置64、メーカー名65、製品名66等がテキストデータとして入力されている。尚、ファイル内容には様々な項目や順番があってよく、図示例はあくまでも一例に過ぎない。
【0063】
図4に示す例では、第一中間ファイル60において、要求対象オブジェクト61として壁が設定され、壁の部位62として下地材が設定され、設置階63として1FLが設定され、設置位置としてX1通りとY1通りの交点もしくは交点近傍であるX1Y1が設定されている。このオブジェクトに対して設定するメーカー名65や製品名66は、第一中間ファイル60においては未定である。
【0064】
Webカタログサーバ20は、例えば、様々なオブジェクトに関する多数のメーカーによるWebカタログを有している。そのため、例えば設計ユーザがWebカタログサーバ20にアクセスして、一度に全てのWebカタログをダウンロード等しようとすると、データ量が多すぎてダウンロード等に長時間を要し、効率的にBIMモデルを設計することができない。図示例のように、設計ユーザ端末10からWebカタログサーバ20に対して第一中間ファイル60を送信し、この第一中間ファイル60において、現在設定しようとする一つのオブジェクトに関する各メーカーの製品データリスト(オブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリスト)を要求し、これに対応した第二中間ファイルを設計ユーザ端末10が受信することにより、効率的にBIMモデルを設計することが可能になる。
【0065】
図3に戻り、第一入出力部122は、第一通信部120にて送受信されたデータを受け付け、設計ユーザ端末10の有する液晶ディスプレイ等の表示デバイスに出力表示したり、設計ユーザによるコマンドに基づいてBIMモデルを表示デバイスに出力表示する。
【0066】
第一格納部126には、受信された第二中間ファイルが格納される。ここで、設計ユーザ端末が構造設計ユーザ端末である場合には、その第一格納部において、RC/SRC/S造建物の高機能一貫構造計算ソフトウェアである、BUS-6(株式会社構造システム社製)等が格納され、さらに、構造計算ソフトウェアとBIMソフトウェアを繋ぐ、ST-Bridge(一般社団法人building SMART Japan社製)と、BIMソフトウェアとして、Autodesk Revit(登録商標)(Autodesk社製)が格納されることになる。構造設計ユーザ端末の設計部により高機能一貫構造計算ソフトウェアが読み出され、意匠設計担当者が設計しているBIM意匠モデルに基づいて、計算ソフトウェア内において計算モデルを作成し、計算モデルを構成する各種の構成要素の仕様情報を入力し、構造計算を実行して非BIM計算モデルを作成し、ST-Bridgeを介し、Autodesk RevitにてBIM計算モデルを作成する。さらに、構造計算には不要であった様々な構成要素がBIM計算モデルに付加されることにより、BIM構造モデルが設計されることになる。
【0067】
意匠設計ユーザ端末10Aでは、意匠設計のうち、基本設計に続く詳細設計において、BIMモデルを構成する各室の壁や床等の各オブジェクトの厚みを、第二中間ファイルに基づいて自動設定する。第二中間ファイルには、各オブジェクトに適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれており、この使用建材データに基づいて各オブジェクトの厚みが自動設定されることにより、各オブジェクトの厚みが反映されたBIMモデルをモデル化する。尚、第二中間ファイルにおける使用建材データ等に関しては、以下で詳説する。
【0068】
[実施形態に係るWebカタログサーバ]
次に、
図5乃至
図14を参照して、実施形態に係るWebカタログサーバの一例について説明する。ここで、
図5は、実施形態に係るWebカタログサーバの機能構成の一例を示す図である。
【0069】
第二通信部210は、設計ユーザ端末10から第一中間ファイル60を受信して第二格納部216に格納したり、入力作成部214にて作成された第二中間ファイルを設計ユーザ端末10に送信する。また、各オブジェクトに関する製品を製造及び販売するメーカーのメーカー端末から送信される、各製品に関するWebカタログを受信して第二格納部216に格納する。尚、各メーカーのWebカタログの受信は、Webカタログサーバ20に対して各メーカー端末から自動的に送信されたWebカタログを受信することと、Webカタログサーバ20の管理者等が各メーカーのWebサイトにアクセスし、Webカタログをダウンロード等することの双方により実行される。
【0070】
第二入出力部212は、第二通信部210にて送受信されたデータを受け付け、Webカタログサーバ20の有する液晶ディスプレイ等の表示デバイスに出力表示したり、Webカタログサーバ20の管理者等によるコマンドに基づいて、オブジェクトデータリスト等を表示デバイスに出力表示する。
【0071】
ここで、
図6を参照して、オブジェクトデータリストの一例について説明する。オブジェクトデータリスト70は、複数のメーカーのオブジェクトデータ(製品データ)をまとめた、BIMモデルを構成する各オブジェクトに対応した製品データのリストである。
【0072】
図6に一例として示すオブジェクトデータリスト70は、例えばHTML形式のデータやPDF形式のデータとして第二格納部216に格納されている。そして、Webカタログサーバ20のディスプレイには、オブジェクトデータリスト70を表示するためのリストボタンがあり、Webカタログサーバ20にユーザ端末がアクセスし、マウス等のポインティングデバイスを介してリストボタンをクリックすることにより、オブジェクトデータリスト70を表示することができる。
【0073】
オブジェクトデータリスト70には、上段から、ある一種のオブジェクトの仕様情報である、オブジェクト71、部位72、メーカー名及び製品名73が入力されており、その下段に、他の一種のオブジェクトの仕様情報である、オブジェクト74、部位75、メーカー名及び製品名76が入力されている。そして、様々なオブジェクトに関する同様の仕様情報がさらに下段に続いている。尚、データリスト内容には様々な項目や順番があってよく、図示例はあくまでも一例に過ぎない。
【0074】
図6に示す例では、オブジェクトデータリスト70において、オブジェクト71が壁であり、壁の部位72が下地材である場合の製品データが表示されており、当該下地材を製造するメーカー名とメーカーにより製造される製品名73には、P1社により製品名Q1,Q2の二製品が市販され、P2社により製品名Q3の一製品が市販され、P3社により製品名Q4,Q5の二製品が市販されている旨が表示される。そして、各製品名の横には詳細情報を示すアイコン73aがあり、アイコン73aをクリックすると、各製品の色や柄、特性、価格等の詳細情報が表示されるようになっている。
【0075】
その下段には、オブジェクト74が壁であり、壁の部位75が仕上げ材である場合の製品データが表示されており、当該仕上げ材を製造するメーカー名とメーカーにより製造される製品名76には、P4社により製品名Q6の一製品が市販され、P5社により製品名Q7の一製品が市販されている旨が表示される。そして、各製品名の横には同様に詳細情報を示すアイコン76aがある。
【0076】
図5に戻り、入力作成部214は、第二格納部216に第二通信部210に第一中間ファイル60が受信されたことを受け付け、第一中間ファイル60におけるオブジェクト71,74等や部位72,75等を読み込む。次いで、入力作成部214は、第二格納部216に格納されているオブジェクトデータリスト70を読み込み、オブジェクトデータリスト70内において、第一中間ファイル60にて要求対象であるオブジェクト:柱で、部位:下地材に対応したデータリストのみを抽出する。
【0077】
入力作成部214は、抽出したデータリストを第二中間ファイルに入力し、第二中間ファイルを作成する。ここで、
図7は、第二中間ファイルの一例を示した図である。
【0078】
図7に示す例では、第二中間ファイル80において、
図4に示す第一中間ファイル60の要求に対する返信内容として、要求対象オブジェクト81として壁が入力され、壁の部位82として下地材が入力され、設置階83として1FLが入力され、設置位置としてX1通りとY1通りの交点もしくは交点近傍であるX1Y1が入力されている。さらに、オブジェクトデータリスト70から抽出されたメーカー名及び製品名85として、P1社による製品名Q1,Q2とP2社による製品名Q3等が入力される。また、各製品名の横には詳細情報86が入力され、例えば、製品Q1に関する詳細情報として、色は青、柄は波柄、特性は耐火、価格は○○円である旨が入力される。尚、詳細情報には、その他の様々な情報が含まれてよい。
【0079】
入力作成部214では、オブジェクトデータリスト70を、設計ユーザ端末10の有するBIMモデルを設計するためのアプリケーションソフトウェアにおいて読み込み可能に変換する。
図7に一例として示す第二中間ファイル80は、例えばCSV形式やTXT形式のファイルに変換されたものであり、第二通信部210を介して設計ユーザ端末10に送信される。
【0080】
図1に示す設計支援システム50において、設計ユーザ端末10からWebカタログサーバ20に対して、BIMモデルの設計に際して設計対象のオブジェクトに関する製品データリスト(オブジェクトデータリスト70)を要求する第一中間ファイル60が送信される。Webカタログサーバ20において、第一中間ファイル60にて要求されたオブジェクトに関する製品データリストをオブジェクトデータリスト70から抽出し、第一中間ファイル60の要求に返信する内容で要求オブジェクトに関する製品データリストが入力された第二中間ファイル80が作成され、設計ユーザ端末10に送信される。
【0081】
設計ユーザ端末10を操作する設計担当者は、受信した第二中間ファイル80に入力されている製品データリスト中の各製品の詳細情報を比較検討し、BIMモデルに適用する製品データを選択する。設計ユーザ端末10において、設計部124を起動することにより、ディスプレイの例えば上段には各種のアドインツールが設定されており、その中のアドインツール「製品データリスト」を選択すると、第二中間ファイル80中の製品データリストが表示される。そして、設計担当者が一つの製品データを選択すると、選択された製品データが設計対象のオブジェクトの仕様情報として第一格納部126に格納され、オブジェクトに紐付けられる。
【0082】
そして、オブジェクトに対してその製品データが紐付けられると、BIMモデルの設計の際に作成される設計図書に対して、オブジェクトとその製品データが自動的に入力される。ここで、
図8は、設計ユーザ端末に格納される設計図書の一例を示す図である。
【0083】
図8は、オブジェクト壁に対して、下地材や仕上げ材に対して設定された製品データ情報が設計図書として入力されている。
【0084】
BIMモデルを構成する全てのオブジェクトに対して、上記と同様の操作を繰り返すことにより、各オブジェクトと、対応する製品データとが入力された設計図書が作成され、かつBIMモデルが設計される。このように、BIMモデルを構成する各オブジェクトに関する製品がデータリスト化されていて、データリストから実際のBIMモデルに適用する製品を選択した際に、自動的に設計図書のデータベースへの入力が実行されることから、メーカーによる製品データをBIMモデルにおけるデータベースに効率的に取り込むことが可能になる。
【0085】
次に、
図9乃至
図14を参照して、第二中間ファイルに含まれる使用建材データの例や、使用建材データに基づく使用建材モデルが適用されたBIMモデルの作成方法(設計方法)について説明する。
【0086】
ここで、
図9(a)は、設計ユーザ端末にて作成されるBIMモデルの一例の一部の平面図であり、
図9(b)は、BIMモデルの一例の一部の3Dモデル図であり、
図9(c)は、第二中間ファイルを取り込む前の壁に関するデフォルト情報を示す図である。また、
図10は、第二中間ファイルにおける、各室に適用される使用建材に関する使用建材データを示す図であって、
図10(a)は各室の内部仕上に関するデータ例であり、
図10(b)は各室の外部仕上に関するデータ例である。また、
図11は、
図10における内部仕上に関する使用建材データの一例を示す図であり、
図12は、第一格納部に格納される、任意の室を構成する各オブジェクトを構成する、仕上と下地に関するリストの一例を示す図である。さらに、
図13は、
図12に示すリストの各項目に関する詳細情報の一例を示す図であり、
図14は、使用建材データに基づいて、オブジェクトの厚みが自動設定されることを示す図である。
【0087】
図9に示す設計対象の建物は、
図9(a)に示すように、例えば1階の一部に、執務室、打合せ1室、打合せ2室、倉庫、及びエントランスを有し、そのBIMモデルは、
図9(b)に示すように各室が平面視矩形で立方体状を呈している。尚、
図9(b)では、各室の天井よりも若干下方レベルから下方を斜め方向に見た図である。
図9(b)において、BIMモデルMは、執務室モデルM1、打合せ室1モデルM2、打合せ室2モデルM3、倉庫モデルM4、及びエントランスモデルM5を備えている。
【0088】
図9(b)に示すBIMモデルMは、その属性として第二中間ファイルに含まれるデータを未だ備えておらず、そのために、
図9(c)に示すように、ファミリとして、壁(標準壁)の厚さは一律に100mmがデフォルト値として設定されており、壁を構成する下地や仕上等に関する使用建材に関する情報(厚みや材質、製品名等)は含まれていない。
【0089】
設計ユーザ端末10がWebカタログサーバ20から第二中間ファイル80を受信する前に、設計ユーザ端末10がWebカタログサーバ20にアクセスし、Webカタログサーバ20の内部で、各室を構成する各オブジェクトの使用建材データを選択し、使用建材データが予め選択されている第二中間ファイル80を設計ユーザ端末10が受信し、第一格納部126に格納する。設計部124においてBIMモデルMを設計する際に、第一格納部126から第二中間ファイル80におけるオブジェクトデータリストを読み込み、オブジェクトデータリストから選定されたオブジェクトデータがBIMモデルMに取り込まれることになる。
【0090】
BIMモデルMに取り込まれる第二中間ファイル80には、BIMモデルMを構成する各室モデルM1乃至M5に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれている。
【0091】
具体的には、
図10(a)に示すように、床、壁、及び天井の内部仕上げに関する下地と仕上の使用建材データ、巾木(幅木)の使用建材データが各室のデータとして紐付けられる。ここで、
図10(a)では、各室のデータを示すとともに、その中の執務室をさらに拡大して示している。一方、
図10(b)は、室の外部仕上に関する使用建材データの紐付け例を示している。
【0092】
図10(a)の拡大図に示すように、執務室には、執務室Aと執務室Bという2種類の各室の各オブジェクトの下地と仕上のセットが設定されている。1つの室を構成する同種のオブジェクトがエリア分けされ、エリアごとに異なる種類の使用建材データが適用されて貼り分けられる場合には、設計担当者が予め図示例のように複数種のセットを設定しておく。
【0093】
設計部124にてBIMモデルを作成する際に、設計担当者は、任意の室におけるエリア分けされている各エリアを選択し、各エリアに対応したセットを割り当てることにより、室における同一オブジェクトに対する異種の下地や仕上を設定できる。
【0094】
図11は、床、壁、及び天井の内部仕上げに関する下地と仕上の使用建材データ、巾木の使用建材データのセットのうち、例えば天井の仕上に関するボタンを押下した際の使用建材データの一例を拡大図で示している。設計担当者は、各オブジェクトの下地や仕上ごとに対応するボタンを押下して
図11に示す拡大図を表示させ、この表示画面において、例えば使用建材データが複数容易されている場合は採用する使用建材データを選択する。
【0095】
図11の拡大図に示すように、使用建材データには、メーカー名、製品名、品番、規格、厚み等の情報が含まれており、BIMモデルを作成する際には、使用建材の厚み情報に基づいて使用建材モデルがBIMモデルに付加されることになる。
【0096】
各室の各オブジェクトに採用される使用建材データの全ての設定がWebカタログサーバ20上で行われた後、使用建材データが設定済みの第二中間ファイル80を設計ユーザ端末10がWebカタログサーバ20から受信し、第一格納部126に格納する。
【0097】
図12に示すように、例えば、執務室の各オブジェクトにはそれぞれ、下地や仕上に関する情報が紐付けられている。そして、
図13に示すように、例えばそのうちの1つのオブジェクトである「壁C 下地3」には、製品名や厚みを含む、様々な使用建材データが設定されている。
【0098】
BIMモデルの設計に当たり、
図10に示す執務室において、貼り分けがない場合は、
図14(a)に示すように、例えば一方の使用建材データである「執務室A」を選択すると、
図14(b)に示すように、当初のデフォルト値100mmで厚みが設定されていた壁の内部仕上は、厚みが65mmの壁躯体(LGS65)と、その両面に取り付けられるともに厚みが12.5mmの2層の石膏ボード(GB-R)を含む、厚み90mmの壁がモデル化されることになる。
【0099】
尚、執務室においてエリアごとに貼り分けがある場合は、各エリアを選択した際に対応する使用建材データを設定することにより、同種のオブジェクト(例えば壁)がエリア分けされ、エリアごとに異なる種類の使用建材データに基づく使用建材モデルを貼り分けることが可能になる。
【0100】
このように、第二中間ファイル80において、BIMモデルMを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれ、設計ユーザ端末10の設計部124によってBIMモデルの各室に対して使用建材データに基づく使用建材モデルが付加されることにより、BIMモデルMの効率的な作成(設計)を実現できる。
【0101】
[実施形態に係る設計支援方法]
次に、
図15を参照して、実施形態に係る設計支援方法の一例について説明する。ここで、
図15は、実施形態に係る設計支援方法の一例のフローチャートである。
【0102】
まず、建築物のBIMモデルを設計する設計ユーザ端末10より、Webカタログを格納するWebカタログサーバ20に対して、BIMモデルを構成するオブジェクトに関する、一以上のメーカーのオブジェクトデータをまとめたオブジェクトデータリスト70を要求するための第一中間ファイル60を送信する、ファイル送信工程を実行する(ステップS300)。
【0103】
図4等を参照して既に説明したように、第一中間ファイル60では、要求対象のオブジェクトを明確にし、当該要求対象のオブジェクトに関する製品データをWebカタログサーバ20に対して要求する。
【0104】
次に、Webカタログサーバ20では、受信した第一中間ファイル60に対して、オブジェクトデータリストが入力されることにより形成される、第二中間ファイル80を作成する、入力作成工程を実行する(ステップS310)。
【0105】
Webカタログサーバ20には、様々なオブジェクトに対する様々なメーカーの製品に関するデータをまとめたオブジェクトデータリスト70が格納されており、Webカタログサーバ20では、第一中間ファイル60にて製品データが要求されたオブジェクトに関する製品データを抽出し、第一中間ファイル60の要求に対する返信内容として、抽出された製品データリストが入力された第二中間ファイル80を作成し、設計ユーザ端末10に第二中間ファイル80を送信する。尚、設計ユーザ端末10への第二中間ファイル80の送信は、設計ユーザ端末10から送信を要求するコマンドをWebカタログサーバ20が受信した際に送信する形態や、第二中間ファイル80が作成された際に設計ユーザ端末10へ自動送信される形態などがある。
【0106】
ここで、設計担当者(設計ユーザ端末10)は、Webカタログサーバ20にアクセスし、Webカタログサーバ20上で、各室の各オブジェクトに採用される使用建材データの全ての設定を行う。使用建材データには、BIMモデルMを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれている。
【0107】
次に、設計ユーザ端末10において、建築物のBIMモデルを設計するに当たり、第二中間ファイル80を受信し、第二中間ファイル80に入力されているオブジェクトデータリスト70(の一部)を読み込み、オブジェクトデータリスト70(の一部)から選定されたオブジェクトデータ(製品データ)をBIMモデルに取り込んで設計する、設計工程を実行する(ステップS320)。
【0108】
設計対象のBIMモデルを構成する全てのオブジェクトに対して、上記するステップS300乃至ステップS320を実行することにより、各オブジェクトに製品データ等の仕様情報が紐付けられたBIMモデルを効率的に設計することができる。
【0109】
また、BIMモデルが設計された際に、各オブジェクトとその仕様情報が纏められた設計図書が自動的に作成される。そして、このBIMモデルの設計過程において、設計図書への仕様情報の設計担当者による直接入力は一切不要となり、設計図書の作成を含めたBIMモデル設計の効率化を図ることが可能になる。
【0110】
さらに、BIMモデルMを構成する各室に適用される使用建材に関する、少なくとも厚みと製品名を含む使用建材データが含まれている第二中間ファイル80に基づいてBIMモデルを作成することにより、BIMモデルの効率的な設計を実現できる。
【0111】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0112】
10:設計ユーザ端末
20:Webカタログサーバ
30:共有サーバ
40:ネットワーク
50:設計支援システム
50A:共有システム
60:第一中間ファイル
70:オブジェクトデータリスト
80:第二中間ファイル
90:設計図書
120:第一通信部
122:第一入出力部
124:設計部
126:第一格納部
210:第二通信部
212:第二入出力部
214:入力作成部
216:第二格納部
M:BIMモデル
M1:執務室モデル(室モデル)
M2:打合せ室1モデル(室モデル)
M3:打合せ室2モデル(室モデル)
M4:倉庫モデル(室モデル)
M5:エントランスモデル(室モデル)