(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093887
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ロボット制御装置及びロボット教示方法
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20240702BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B25J13/08 A
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210522
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】村田(檀上) 梓紗
(72)【発明者】
【氏名】北野 豊和
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707AS24
3C707BS12
3C707BS23
3C707CV08
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3C707NS13
5F131AA02
5F131BA00
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5F131DD43
5F131DD45
5F131DD73
5F131DD74
(57)【要約】
【課題】カメラによって複数回撮影された画像情報に基づいて目標位置を適切に把握して、対象物を高精度に目標位置に搬送する教示データを生成することが可能なロボット制御装置を提供する。
【解決手段】ロボット制御装置100は、第1位置及び第2位置で撮影された第1画像情報と第2画像情報とを取得する画像情報取得手段110と、第1画像情報及び第2画像情報それぞれに基づいて目標位置を算出する目標位置算出手段120と、ロボット情報に基づいてロボット位置を算出するロボット位置算出手段130と、第1画像情報に基づく第2位置を中継位置として設定する中継位置設定手段140と、中継位置に搬送ロボット200を動作させるロボット制御手段150と、第2画像情報に基づいて算出された目標位置を教示データとして記憶する教示データ生成手段160と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の対象物を搬送する搬送ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記搬送ロボットに取り付けられているカメラによって、前記搬送ロボットが移動する目標位置を含むように、第1位置において撮影された第1画像情報と、前記第1位置よりも前記目標位置に近い第2位置において撮影された第2画像情報とを取得する画像情報取得手段と、
前記第1画像情報及び前記第2画像情報それぞれに基づいて、前記目標位置を算出する目標位置算出手段と、
前記搬送ロボットの各軸の状態を含むロボット情報に基づいて、当該搬送ロボットのロボット位置を算出するロボット位置算出手段と、
前記第1画像情報に基づいて算出された前記目標位置に対応する前記第2位置を中継位置として設定する中継位置設定手段と、
前記中継位置に前記ロボット位置が一致するように前記搬送ロボットを動作させるロボット制御手段と、
前記第2画像情報に基づいて算出された前記目標位置を教示データとして記憶する教示データ生成手段と、を備える、
ロボット制御装置。
【請求項2】
前記第2位置は、前記対象物の搬送経路に沿って前記第1位置と前記目標位置との間に設定される、
請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記第2位置は、前記搬送ロボットにおいてエンドエフェクタを動作させる前の位置に設定される、
請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記中継位置設定手段は、前記第2画像情報に基づいて算出された前記目標位置に対応する前記第2位置を中継位置として再設定し、
前記画像情報取得手段は、再設定された前記中継位置としての前記第2位置においてカメラによって撮影された第2画像情報を取得し、
前記ロボット制御手段は、前記中継位置に前記ロボット位置が一致するように前記搬送ロボットを動作させ、
前記教示データ生成手段は、前記第2画像情報に基づいて算出された前記目標位置を教示データとして記憶する、
請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
平板状の対象物を搬送する搬送ロボットを制御するロボット制御装置が実行するロボット教示方法であって、
前記搬送ロボットに取り付けられているカメラによって、前記搬送ロボットが移動する目標位置を含むように、第1位置において撮影された第1画像情報に基づいて算出された目標位置に対応する第2位置に、前記搬送ロボットのロボット位置が一致するように当該搬送ロボットを移動させる第1ステップと、
前記搬送ロボットに取り付けられているカメラによって、前記搬送ロボットが移動する目標位置を含むように、前記第2位置において撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置を教示データとして記憶する第2ステップ、とを含む、
ロボット教示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置及びロボット教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業界において、多くのロボットが普及している。当該ロボットは、例えば、電子部品及び機械部品の組み立て、溶接及び搬送等に用いられ、工場の生産ラインの効率化及び自動化が図られている。
【0003】
半導体製造装置に用いられるウエハを搬送する搬送ロボットでは、ウエハを適切な位置へ搬送するためのティーチングを行うが、その精度は、操作者の知識及び熟練度などに依存し、また、操作者の作業スペースが十分に確保できない程の省スペース化が求められている場合もあるため、ティーチングの自動化が図られている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のウエハ搬送ロボットでは、ハンドに取り付けられたカメラによって取出位置に配置されたウエハを撮影し、カメラが取得した画像に基づいて、ウエハの3次元情報を算出し、そのウエハの3次元情報に基づいてハンドを動かして適切にウエハを取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のウエハ搬送ロボットでは、カメラが取得した画像に基づいて算出されたウエハの3次元情報の精度が低い場合には、実際に配置されているウエハの位置を把握できずに、適切にウエハを取り出せない可能性がある。
【0007】
例えば、カメラにおいて設定された焦点が最適でなかったり、照明条件などを含む周辺環境の影響があったりすると、カメラが取得した画像に基づいて算出されたウエハの3次元情報の精度が低くなってしまうおそれがある。
【0008】
また、ティーチングの自動化においては、ウエハの3次元情報だけでなく、ウエハを搬送する目標位置も適切に把握する必要がある。ウエハを搬送する目標位置を把握するために、ウエハ搬送ロボットに取り付けられたカメラで撮影しようとする際には、当該目標位置は、カメラから離れているため、カメラが取得した画像に基づいて算出される目標位置の3次元情報の精度は、さらに低くなってしまうおそれがある。その結果、高精度に、ウエハを目標位置に搬送する教示データを生成できず、適切にウエハを目標位置に搬送できないという問題が生じる。
【0009】
そこで、本発明は、カメラによって複数回撮影された画像情報に基づいて目標位置を適切に把握して、対象物を高精度に目標位置に搬送する教示データを生成することが可能なロボット制御装置及びロボット教示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るロボット制御装置は、平板状の対象物を搬送する搬送ロボットを制御するロボット制御装置であって、搬送ロボットに取り付けられているカメラによって、搬送ロボットが移動する目標位置を含むように、第1位置において撮影された第1画像情報と、第1位置よりも目標位置に近い第2位置において撮影された第2画像情報とを取得する画像情報取得手段と、第1画像情報及び第2画像情報それぞれに基づいて、目標位置を算出する目標位置算出手段と、搬送ロボットの各軸の状態を含むロボット情報に基づいて、当該搬送ロボットのロボット位置を算出するロボット位置算出手段と、第1画像情報に基づいて算出された目標位置に対応する第2位置を中継位置として設定する中継位置設定手段と、中継位置にロボット位置が一致するように搬送ロボットを動作させるロボット制御手段と、第2画像情報に基づいて算出された目標位置を教示データとして記憶する教示データ生成手段と、を備える。
【0011】
この態様によれば、画像情報取得手段は、第1位置においてカメラによって撮影された第1画像情報と、第2位置においてカメラによって撮影された第2画像情報とを取得し、目標位置算出手段は、第1画像情報及び第2画像情報それぞれに基づいて目標位置を算出する。中継位置設定手段は、第1画像情報に基づいて算出された目標位置に対応する第2位置を中継位置として設定して、ロボット制御手段は、中継位置に搬送ロボットを動作させる。そして、教示データ生成手段は、第2画像情報に基づいて算出された目標位置を教示データとして記憶する。これにより、カメラによって複数回撮影された画像情報(第1画像情報及び第2画像情報)に基づいて目標位置を適切に把握して、対象物を高精度に目標位置に搬送する教示データを生成することができ、当該教示データを用いて対象物を高精度に目標位置に搬送することができる。
【0012】
上記態様において、第2位置は、対象物の搬送経路に沿って第1位置と目標位置との間に設定されてもよい。
【0013】
この態様によれば、第2位置(中継位置)においてカメラによって撮影される第2画像情報は、第1画像情報よりも精度が高いため、当該第2画像情報に基づいて目標位置を高精度に算出することができる。これにより、目標位置をより適切に把握して、対象物をより高精度に目標位置に搬送する教示データを生成することができ、当該教示データを用いて対象物をより高精度に目標位置に搬送することができる。第2位置は、第1位置と目標位置との間に設定され、すなわち、目標位置の手前側に設定されるため、目標位置の周辺(奥側)に配置されている設備や障害物への衝突を回避しつつ、カメラによって第2画像情報を撮影することができる。
【0014】
上記態様において、第2位置は、搬送ロボットにおいてエンドエフェクタを動作させる前の位置に設定されてもよい。
【0015】
この態様によれば、第2位置は、第1位置よりも目標位置に近いものの、例えば、エンドエフェクタがハンドである場合、当該ハンドを延伸する前の位置であるため、当該ハンドやハンドに保持された対象物が半導体製造装置や設備に衝突することを回避することができる。
【0016】
上記態様において、中継位置設定手段は、第2画像情報に基づいて算出された目標位置に対応する第2位置を中継位置として再設定し、画像情報取得手段は、再設定された中継位置としての第2位置においてカメラによって撮影された第2画像情報を取得し、ロボット制御手段は、中継位置にロボット位置が一致するように搬送ロボットを動作させ、教示データ生成手段は、第2画像情報に基づいて算出された目標位置を教示データとして記憶してもよい。
【0017】
この態様によれば、再設定された第2位置(中継位置)においてカメラによって撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置は、より高精度であるため、対象物を高より精度に目標位置に搬送する教示データを生成することができ、当該教示データを用いて対象物をさらに高精度に目標位置に搬送することができる。
【0018】
本発明の一態様に係るロボット教示方法は、平板状の対象物を搬送する搬送ロボットを制御するロボット制御装置が実行するロボット教示方法であって、搬送ロボットに取り付けられているカメラによって、搬送ロボットが移動する目標位置を含むように、第1位置において撮影された第1画像情報に基づいて算出された目標位置に対応する第2位置に、搬送ロボットのロボット位置が一致するように当該搬送ロボットを移動させる第1ステップと、搬送ロボットに取り付けられているカメラによって、搬送ロボットが移動する目標位置を含むように、第2位置において撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置を教示データとして記憶する第2ステップと、を含む。
【0019】
この態様によれば、第1ステップでは、第1位置においてカメラによって撮影された第1画像情報に基づいて算出された目標位置に対応する第2位置に搬送ロボットを移動させ、第2ステップでは、第2位置においてカメラによって撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置を教示データとして記憶する。これにより、カメラによって複数回撮影された画像情報(第1画像情報及び第2画像情報)に基づいて目標位置を適切に把握して、対象物を高精度に目標位置に搬送する教示データを生成することができ、当該教示データを用いて対象物を高精度に目標位置に搬送することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カメラによって複数回撮影された画像情報に基づいて目標位置を適切に把握して、対象物を高精度に目標位置に搬送する教示データを生成することが可能なロボット制御装置及びロボット教示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る搬送ロボットシステム10のシステム構成を示す概要図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る搬送ロボット200がウエハWを搬送する様子を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るロボット制御装置100の各機能を示す機能ブロック図である。
【
図4】ウエハWを搬送する目標位置となる半導体製造装置の設置位置15の様子を示す図である。
【
図5A】第1位置においてカメラ240によって目標位置Gを含むように撮影し、当該目標位置G、当該目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P)、及び搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)の位置関係を示す図である。
【
図5B】第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
【
図5C】目標位置G’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る搬送ロボットシステム10が実行するロボット教示方法M100の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7A】第1位置においてカメラ240によって目標位置Gを含むように撮影し、当該目標位置G、当該目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P)、及び搬送ロボット200におけるハンド220のTCPの位置関係を示す図である。
【
図7B】第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
【
図7C】再設定された第2位置(中継位置P’)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
【
図7D】目標位置G’’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る搬送ロボットシステムが実行するロボット教示方法M200の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0023】
<第1実施形態>
[搬送ロボットシステムの構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る搬送ロボットシステム10のシステム構成を示す概要図である。
図1に示されるように、搬送ロボットシステム10は、ロボット制御装置100と、搬送ロボット200と、デバイス制御装置300と、ティーチペンダント400とを備える。
【0024】
搬送ロボット200は、例えば、6軸垂直多関節型であって、マニピュレータ本体210と、エンドエフェクタとしてのハンド220と、当該ハンド220が取り付けられているハンドベース(基部)230とを有し、さらに、ハンドベース230にカメラ240が配置されている。カメラ240は、例えば、ステレオカメラとして2つのカメラで構成されている。
【0025】
ロボット制御装置100は、搬送ロボット200の動作を制御する機器である。例えば、ロボット制御装置100は、ティーチペンダント400に接続されており、当該ティーチペンダント400に入力された動作指示情報を取得することができる。ロボット制御装置100は、当該動作指示情報に基づいて、搬送ロボット200を起動及び停止させたり、対象物を取り出すためにマニピュレータ本体210の各軸を動作させたりして、アームやハンド220を動作させる。
【0026】
また、ロボット制御装置100は、デバイス制御装置300を制御することにより、例えば、搬送ロボット200に配置されているカメラ240によって当該搬送ロボット200の近傍を撮影して、当該撮影した画像情報を取得する。
【0027】
デバイス制御装置300は、上述したように、ロボット制御装置100からの動作指示に基づいてカメラ240の動作を制御することによって、取得した画像情報をロボット制御装置100に送付する。
【0028】
なお、ここでは、デバイス制御装置300は、ケーブルを介してロボット制御装置100に接続され、ロボット制御装置100とは別機器としているが、ロボット制御装置100にその機能を含んでもよく、この場合、一体に構成されたロボット制御装置100とデバイス制御装置300とでロボット制御装置とすればよい。
【0029】
ティーチペンダント400は、搬送ロボット200の動作指示情報について、対象物を搬送する搬送作業に関して、操作者からの入力を受け付ける。通常、操作者は、例えば、搬送ロボット200の起動及び停止、さらには、搬送ロボット200に対する設定、及びマニピュレータ本体210(アーム)やハンド220の動作、教示点の登録などについて、ティーチペンダント400を用いて適切な指示情報を入力する。
【0030】
また、本発明に係る実施形態おいて、教示点の登録については、搬送ロボット200を動作させながら当該動作経路における教示点を、ティーチペンダント400を用いて操作者が逐次登録するのではなく、自動教示において教示点を自動的に登録してもよい。当該自動教示は、例えば、操作者の侵入スペース(作業空間)が十分に確保できないような環境や場面において有効である。
【0031】
なお、
図1では、ティーチペンダント400は、ケーブルを介してロボット制御装置100に接続されているが、ワイヤレスで接続されていてもよい。すなわち、ティーチペンダント400とロボット制御装置100とは、無線通信を行う通信部を備えていてもよい。ロボット制御装置100とティーチペンダント400とがワイヤレスに接続されることで、作業者はケーブルの存在に煩わされたり、ケーブルの長さによる移動範囲の制限を受けたりすることなく、自由に移動をしながら動作指示情報の入力を行うことができる。
【0032】
[ウエハ搬送の様子]
図2は、本発明の第1実施形態に係る搬送ロボット200がウエハWを搬送する様子を示す図である。
図2に示されるように、作業空間11に設置された搬送ロボット200は、FOUP12及び13に格納されているウエハWを取り出して、当該ウエハWをハンド220に保持した状態で半導体製造装置の設置位置14又は15に搬送する。
【0033】
ここでは、搬送ロボット200は、FOUP12に格納されているウエハWを設置位置15に搬送するものとし、より詳細には、設置位置15に配置されている3つのピン15A~15Cの重心位置を目標位置として、ウエハWを当該目標位置に設置するものとする。
【0034】
より具体的には、搬送ロボット200は、ロボット制御装置100からの動作指示情報に基づいて、マニピュレータ本体210の各軸を動作させることによりアームやハンド220を動作させて、FOUP12に格納されているウエハWを保持した後、設置位置15に搬送して、3つのピン15A~15Cの重心位置である目標位置に設置する。ここで、ウエハWの中心が当該目標位置に高精度に設置されることが好ましく、ロボット制御装置100としては、目標位置を適切に把握することが重要となる。そして、ロボット制御装置100は、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(Tool Center Point)が当該目標位置に一致するように搬送ロボット200を動作させて、その動作を教示データとして登録されているとよい。
【0035】
[ロボット制御装置の構成]
図3は、本発明の第1実施形態に係るロボット制御装置100の各機能を示す機能ブロック図である。
図3に示されるように、ロボット制御装置100は、画像情報取得手段110と、目標位置算出手段120と、ロボット位置算出手段130と、中継位置設定手段140と、ロボット制御手段150と、教示データ生成手段160とを備える。
【0036】
なお、ロボット制御装置100は、
図1に示されたように、搬送ロボット200、デバイス制御装置300、及びティーチペンダント400に接続されており、種々の制御を行うために多くの機能を備えて、処理を行っている。ここでは、ロボット制御装置100について、主に、ウエハWを搬送する目標位置を教示データとして登録する機能に関するものを示しているが、その他の構成及び機能を備えている。
【0037】
画像情報取得手段110は、搬送ロボット200におけるハンド220に保持されるウエハWを搬送する目標位置を含むように第1位置においてカメラ240によって撮影された第1画像情報を取得する。また、画像情報取得手段110は、当該目標位置を含むように第1位置よりも目標位置に近い第2位置においてカメラ240によって撮影された第2画像情報を取得する。例えば、画像情報取得手段110は、第1位置及び第2位置において、半導体製造装置の設置位置15に配置された3つのピン15A~15Cを含むようにカメラ240によって撮影する。
【0038】
ここで、第1位置は、設置位置15から離れた位置であって、例えば、搬送ロボット200がハンド220によってウエハWを保持して、目標位置への搬送を開始する位置であってもよいし、搬送を開始してから設置位置15の略正面に来た位置であってもよい。
【0039】
また、第2位置は、ウエハWの搬送経路に沿って第1位置と目標位置との間であって、当該第2位置においてカメラ240によって撮影する際に、目標位置が適切に把握できる位置であるとよい。例えば、第2位置においてカメラ240によって撮影された第2画像情報に基づいて目標位置を算出するための基準となる部材、設備及びマーカなどを適切に検出できるとよく、さらに、それらを検出する際に、カメラ240に設定された焦点が適切であるとよく、また照明条件などを含む周辺環境も安定しているとよい。
【0040】
目標位置算出手段120は、画像情報取得手段110によって取得された第1画像情報に基づいて目標位置を算出し、画像情報取得手段110によって取得された第2画像情報に基づいて目標位置を算出する。例えば、目標位置算出手段120は、画像情報取得手段110によって取得された第1画像情報について、画像処理によって画像データから3つのピン15A~15Cの位置を検出し、当該3つのピン15A~15Cの位置情報から当該3つのピン15A~15Cの重心位置を算出して目標位置とする。同様に、目標位置算出手段120は、画像情報取得手段110によって取得された第2画像情報について、画像処理によって画像データから3つのピン15A~15Cの位置を検出し、当該3つのピン15A~15Cの位置情報から当該3つのピン15A~15Cの重心位置を算出して目標位置とする。
【0041】
図4は、ウエハWを搬送する目標位置となる半導体製造装置の設置位置15の様子を示す図である。
図4では、半導体製造装置の設置位置15について、ウエハWを設置位置15に搬送するための開口部側から見た様子が示されており、設置位置15には、3つのピン15A~15Cが配置されている。
【0042】
先ず、例えば、画像情報取得手段110は、設置位置15に配置された3つのピン15A~15Cを含むように第1位置においてカメラ240によって撮影された画像データ(第1画像情報)を取得する。上述したように、カメラ240は、ステレオカメラとして2つのカメラで構成されており、搬送ロボット200のハンドベース230に取り付けられている。カメラ240は、設置位置15に配置された3つのピン15A~15Cを撮影するが、第1位置は、設置位置15から離れていたり、作業空間11に機器や設備が配置されていて狭いなどの状況の場合では一定ではなかったり、必ずしも、適切に設定された焦点で撮影できていない場合がある。また、照明条件などを含む周辺環境も一定ではなく、それらが影響して適切に撮影できていない場合も考えられる。したがって、第1位置においてカメラ240によって撮影された画像データ(第1画像情報)は、3つのピン15A~15Cの位置を大まかに把握して、目標位置算出手段120は、当該第1画像情報に基づいて、3つのピン15A~15Cの重心位置Gを算出して目標位置Gとする。
【0043】
次に、搬送ロボット200が第1位置から第2位置まで移動した後、画像情報取得手段110は、設置位置15に配置された3つのピン15A~15Cを含むように第2位置においてカメラ240によって撮影された画像データ(第2画像情報)を取得する。同様に、目標位置算出手段120は、当該第2画像情報に基づいて、3つのピン15A~15Cの重心位置G’を算出して目標位置G’とする。第2位置は、第1位置よりも目標位置に近いため、第2位置においてカメラ240によって撮影された画像データ(第2画像情報)は、第1画像情報よりも精度が高い。したがって、3つのピン15A~15Cの位置を適切に把握することができるため、ここで、目標位置算出手段120によって算出される3つのピン15A~15Cの重心位置(目標位置)G’は、第1画像情報に基づいて算出されたものに比べて精度が高い。
【0044】
このように、目標位置算出手段120は、第1位置及び第2位置においてカメラ240によって撮影された画像データ(第1画像情報及び第2画像情報)それぞれに基づいて目標位置G(G’)を算出している(カメラ座標系)。目標位置G(G’)は、例えば、カメラ240からの相対位置座標、ハンドベース230の所定位置からの相対位置座標、又はハンド220の所定位置(例えば、先端(遠位端)や根元(近位端)など)からの相対位置座標として、3次元空間におけるXYZ座標として記録してもよい。
【0045】
図3に戻り、ロボット位置算出手段130は、搬送ロボット200の各軸の状態を含むロボット情報に基づいて、当該搬送ロボット200のロボット位置を算出する。例えば、ロボット位置算出手段130は、搬送ロボット200の各軸の状態(角度に関する情報など)に基づいて当該搬送ロボット200の位置姿勢を算出することによってロボット位置を算出する。ここでは、ロボット位置算出手段130は、ロボット位置として、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPを算出する。すなわち、搬送ロボット200は、当該搬送ロボット200の各軸の状態から搬送ロボット200におけるハンド220のTCPを把握している(ロボット座標系)。TCPは、例えば、カメラ240からの相対位置座標、ハンドベース230の所定位置からの相対位置座標、又はハンド220の所定位置(例えば、先端(遠位端)や根元(近位端)など)からの相対位置座標として、3次元空間におけるXYZ座標として記録してもよい。
【0046】
中継位置設定手段140は、第1画像情報に基づいて算出された目標位置に対応する第2位置を中継位置として設定する。例えば、中継位置設定手段140は、第1位置においてカメラ240によって撮影された第1画像情報に基づいて算出された目標位置から、所定距離(例えば、30mm~40mm)だけ設置位置15の開口部側に離れた位置を第2位置として設定して、当該第2位置を中継位置としてもよい。
【0047】
上述したように、第2位置は、ウエハWの搬送経路に沿って第1位置と目標位置との間であって、カメラ240によって撮影された画像データにおいて、3つのピン15A~15Cを適切に検出できる位置であるとよい。目標位置に近過ぎると、カメラ240の画角により3つのピン15A~15Cを撮影できなかったり、ハンド220と3つのピン15A~15Cとの位置関係によりハンド220の一部がピン15A~15Cを遮って撮影できなかったりする場合がある。
【0048】
さらに、第2位置は、3つのピン15A~15Cを検出する際に、カメラ240に設定された焦点が適切な位置であるとよく、また照明条件などを含む周辺環境も安定している位置であるとよい。
【0049】
また、第2位置は、搬送ロボット200においてハンド220を動作させる前の位置に設定されるとよい。典型的には、搬送ロボット200は、ハンド220にウエハWを保持した状態で、設置位置15の開口部側の正面にウエハWが位置するようにアームを動作させ、その後、ハンド220を延伸することにより、当該開口部を介して設置位置15における目標位置にウエハWを設置する。この時、設置位置15の開口部側の正面にウエハWが位置して、ハンド220を延伸させる前に、目標位置を含むようにカメラ240によって撮影して当該目標位置を適切に把握するとよい。すなわち、ハンド220を延伸させる前にカメラ240によって撮影して目標位置を適切に把握すれば、開口部の縁などにハンド220やウエハWが衝突することを回避することができる。
【0050】
ロボット制御手段150は、中継位置設定手段140によって設定された中継位置に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPであるロボット位置が一致するように搬送ロボット200を動作させる。例えば、ロボット制御手段150は、第1画像情報から算出された3つのピン15A~15Cの重心位置G(カメラ座標系)から所定距離だけ設置位置15の開口部側に離れて設定された第2位置(中継位置)と、ハンド220のTCP(ロボット座標系)とが一致するように、搬送ロボット200におけるマニピュレータ本体210の各軸を動作させて、アームやハンド220を動作させる。
【0051】
また、ロボット制御手段150は、目標位置算出手段120によって第2画像情報に基づいて算出された目標位置に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPであるロボット位置が一致するように搬送ロボット200を動作させる。例えば、ロボット制御手段150は、第2画像情報から算出された3つのピン15A~15Cの重心位置G’(カメラ座標系)と、ハンド220のTCP(ロボット座標系)とが一致するように、搬送ロボット200におけるマニピュレータ本体210の各軸を動作させて、アームやハンド220を動作させる。
【0052】
教示データ生成手段160は、3つのピン15A~15Cの重心位置(目標位置)G’にTCPが一致するように搬送ロボット200が移動したポイントを教示データとして、メモリなどに記憶する。このように記憶された教示データに従って、搬送ロボット200は、FOUP12に格納されているウエハWを取り出して、当該ウエハWをハンド220に保持した状態で半導体製造装置の設置位置15に搬送する際に、設置位置15に配置された3つのピン15A~15Cの重心位置(目標位置)にTCPが一致するように高精度に搬送することができる。
【0053】
なお、教示データ生成手段160は、3つのピン15A~15Cの重心位置(目標位置)G’にTCPが一致するように、ロボット制御手段160によって搬送ロボット200を実際に移動させなくても、当該重心位置(目標位置)G’を教示データとしてメモリなどに記憶してもよい。
【0054】
[搬送ロボットを目標位置まで移動させる様子]
搬送ロボット200におけるハンド220のTCPを3つのピン15A~15Cの重心位置(目標位置)まで移動させる様子について、
図5A~
図5Cを用いて、詳しく説明する。
【0055】
図5Aは、第1位置においてカメラ240によって目標位置Gを含むように撮影し、当該目標位置G、当該目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P)、及び搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)の位置関係を示す図である。
図5Aに示されるように、ロボット制御手段150は、第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように、搬送ロボット200を動作させる。
【0056】
図5Bは、第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
図5Bに示されるように、ロボット制御手段150は、第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように、搬送ロボット200を動作させている。
【0057】
図5Bで示される一例では、第2位置(中継位置P)と、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)とは、完全に一致しておらず、少しズレている。これは、第2位置(中継位置P)は、上述したように、第1位置においてカメラ240によって撮影された第1画像情報に基づいて3つのピン15A~15Cの位置を大まかに把握してることから、それらから算出された目標位置Gに基づいて第2位置(中継位置P)を設定しているためである。すなわち、カメラ座標系における第2位置(中継位置P)と、ロボット座標系におけるTCP(T)とが完全に一致しておらず、ズレている可能性があると言える。
【0058】
なお、画像情報取得手段110は、
図5Bで示された、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が概ね第2位置(中継位置P)と一致している状態である第2位置においてカメラ240によって撮影された第2画像情報を取得する。そして、目標位置算出手段120は、当該第2画像情報に基づいて3つのピン15A~15Cの位置を把握し、それらから目標位置G’を算出する。すなわち、第2画像情報は、第1画像情報よりも精度が高いため、第1画像情報に基づいて算出された目標位置Gを、第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’に補正することになる。
【0059】
図5Cは、目標位置G’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
図5Cに示されるように、ロボット制御手段150は、目標位置G’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように、搬送ロボット200を動作させている。
【0060】
図5Cで示される一例では、目標位置G’と、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)とは、ズレ量が少なく、概ね一致している。これは、第1画像情報に基づいて算出された目標位置Gを、第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’に補正することにより、カメラ座標系とロボット座標系とのズレを軽減できたためである。
【0061】
なお、ここでは、TCPが目標位置G’に一致するように、実際にロボット制御手段160によって搬送ロボット200を動作させて、教示データ生成手段160は、そのポイントを教示データとしてメモリなどに記憶していたが、教示点を登録する際には、実際に搬送ロボット200を動作させなくても目標位置算出手段120によって、第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’を教示データとしてメモリなどに記憶してもよい。
【0062】
[教示データを生成する教示方法]
次に、搬送ロボット200によって対象物を目標位置に搬送するための教示データを生成する教示方法について、具体的に詳しく説明する。
【0063】
図6は、本発明の第1実施形態に係る搬送ロボットシステム10が実行するロボット教示方法M100の処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示されるように、ロボット教示方法M100は、ステップS110~S130を含み、各ステップは、搬送ロボットシステム10におけるロボット制御装置100に含まれるプロセッサによって実行される。
【0064】
ステップS110では、搬送ロボット200に保持されるウエハWを搬送する目標位置を含むように第1位置においてカメラ240によって撮影された第1画像情報に基づいて算出された目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200のTCPが一致するように当該搬送ロボット200を移動させる(第1ステップ)。
【0065】
具体例としては、ステップS111において、画像情報取得手段110は、第1位置においてカメラ240によって3つのピン15A~15Cを含むように撮影された第1画像情報を取得する。
【0066】
ステップS112において、目標位置算出手段120は、ステップS111で取得した第1画像情報に基づいて3つのピン15A~15Cの重心位置Gを算出して目標位置Gとする。
【0067】
ステップS113において、ロボット位置算出手段130は、搬送ロボット200の各軸の状態を含むロボット情報に基づいて、当該搬送ロボット200のロボット位置として搬送ロボット200におけるハンド220のTCPを算出する。
【0068】
ステップS114において、中継位置設定手段140は、ステップS112で算出した目標位置Gから、所定距離(例えば、30mm~40mm)だけ設置位置15の開口部側に離れた位置を第2位置(中継位置P)として設定する。
【0069】
ステップS115において、ロボット制御手段150は、ステップS114で設定した第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように搬送ロボット200を動作させる。
【0070】
このように、第1ステップでは、第1位置で撮影された第1画像情報に基づく第2位置(中継位置P)まで搬送ロボット200を移動させる。
【0071】
ステップS120では、搬送ロボット200に保持されるウエハWを搬送する目標位置を含むように第2位置(中継位置P)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’に、搬送ロボット200のTCPが一致するように当該搬送ロボット200を移動させる(第2ステップ)。
【0072】
具体例としては、ステップS121において、画像情報取得手段110は、第2位置(中継位置P)においてカメラ240によって3つのピン15A~15Cを含むように撮影された第2画像情報を取得する。
【0073】
ステップS122において、目標位置算出手段120は、ステップS121で取得した第2画像情報に基づいて3つのピン15A~15Cの重心位置G’を算出して目標位置G’とする。すなわち、ステップS112で算出した第1画像情報に基づく目標位置Gを、第2画像情報に基づく目標位置G’に補正する。
【0074】
ステップS123において、ロボット位置算出手段130は、搬送ロボット200の各軸の状態を含むロボット情報に基づいて、当該搬送ロボット200のロボット位置として搬送ロボット200におけるハンド220のTCPを算出する。
【0075】
ステップS124において、ロボット制御手段150は、ステップS122で算出した目標位置G’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように搬送ロボット200を動作させる。
【0076】
このように、第2ステップでは、第2位置(中継位置P)で撮影された第2画像情報に基づく目標位置G’まで搬送ロボット200を移動させる。
【0077】
ステップS130では、ステップS122で算出した目標位置G’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように搬送ロボット200が移動したポイントを教示データとして、メモリなどに記憶する(第3ステップ)。
【0078】
以上のように、本発明の第1実施形態に係る搬送ロボットシステム10、ロボット制御装置100及びロボット教示方法M100によれば、画像情報取得手段110は、第1位置においてカメラ240によって撮影された第1画像情報と、第2位置においてカメラ240によって撮影された第2画像情報を取得し、目標位置算出手段120は、第1画像情報及び第2画像情報それぞれに基づいて3つのピン15A~15Cの重心位置G(G’)である目標位置G(G’)を算出する。ロボット位置算出手段130は、搬送ロボット200の各軸の状態を含むロボット情報に基づいて、当該搬送ロボット200におけるハンド220のTCPを算出する。中継位置設定手段140は、第1画像情報に基づいて算出された目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P)を設定し、ロボット制御手段150は、当該第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように、搬送ロボット200を動作させる。さらに、ロボット制御手段150は、第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように、搬送ロボット200を動作させて、教示データ生成手段160は、当該一致したポイントを教示データとして記憶する。これにより、カメラ240によって複数回(本実施形態では2回)撮影された画像情報(第1画像情報及び第2画像情報)に基づいて目標位置を適切に把握して、ウエハWを高精度に目標位置に搬送する教示データを生成することができる。その結果、当該教示データを用いてウエハWを高精度に目標位置に搬送することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、カメラ240は、ステレオカメラとして2つのカメラで構成され、搬送ロボット200のハンドベース230に取り付けられていたが、これに限定されるものではなく、3つのピン15A~15Cを明確に認識することができるように、3つのピン15A~15Cを撮影できるのであれば、1つのカメラ又は3つ以上のカメラで構成されても構わないし、ハンドベース230ではなく、例えば、マニピュレータ本体210のアームやハンド220に取り付けられても構わない。
【0080】
また、本実施形態では、対象物であるウエハWをFOUP12及び13から半導体制御装置の設置位置14及び15に搬送させる場面を一例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、対象物であるウエハWを半導体制御装置の設置位置14及び15からFOUP12及び13に戻す場面でも本発明を適用しても構わない。
【0081】
さらに、例えば、ウエハWの方向や傾きを調整するためにアライナを介する場面でも、本発明を適用しても構わない。この場合、ウエハWを搬送するアライナにおける設置位置を中間目標位置として、カメラ240による第1画像情報及び第2画像情報に基づいて適切に算出するとよい。具体的に、アライナにおける設置位置とは、吸着パッドに載置して設置する場合には当該吸着パッドの中心位置、及びウエハのエッジを保持して設置するエッジグリップタイプでは、当該保持部材の中心位置などであればよい。そして、ロボット制御手段150は、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPと中間目標位置とが一致するように搬送ロボット200を動作させ、教示データ生成手段160は、当該一致したポイントを教示データとして記憶すればよい。
【0082】
また、本実施形態では、カメラ240によって撮影される位置を第1位置及び第2位置の2ヶ所であったが、これに限定されるものではなく、例えば、搬送経路に沿って複数の中継位置を設定し、3ヶ所以上において撮影するようにしてもよい。中継位置を多く設けて撮影回数を増やすと、半導体製造装置や設備への衝突を適切に回避しつつ、対象物をより適切に目標位置に搬送することができる。
【0083】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る搬送ロボットシステムについて説明する。なお、本発明の第2実施形態に係る搬送ロボットシステムの基本的な構成は、本発明の第1実施形態に係る搬送ロボットシステム10と同様であり、ここでは、主に、本発明の第1実施形態と異なる点について説明する。
【0084】
本実施形態では、中継位置設定手段140が、中継位置を再設定する点で本発明の第1実施形態と異なる。中継位置設定手段140によって中継位置が再設定される場合において、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPを3つのピン15A~15Cの重心位置(目標位置)まで移動させる様子について、
図7A~
図7Dを用いて、詳しく説明する。
【0085】
図7Aは、第1位置においてカメラ240によって目標位置Gを含むように撮影し、当該目標位置G、当該目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P)、及び搬送ロボット200におけるハンド220のTCPの位置関係を示す図である。
図7Aでは、
図5Aで説明したのと同様に、ロボット制御手段150は、第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように、搬送ロボット200を動作させる。
【0086】
図7Bは、第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
図7Aでは、
図5Bで説明したのと同様に、ロボット制御手段150は、第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように、搬送ロボット200を動作させている。ここで、カメラ座標系とロボット座標系とが完全に一致しておらず、ズレている可能性があることにより、第2位置(中継位置P)と、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)とは、完全に一致しておらず、少しズレている。
【0087】
そして、画像情報取得手段110は、
図7Bで示された、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が概ね第2位置(中継位置P)と一致している状態である第2位置(中継位置P)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報を取得する。目標位置算出手段120は、当該第2画像情報に基づいて3つのピン15A~15Cの位置を把握し、それらから目標位置G’を算出し、中継位置設定手段140は、第2画像情報に基づいて算出された当該目標位置G’に対応する第2位置(中継位置P’)を再設定する。すなわち、第2画像情報は、第1画像情報よりも精度が高いため、第1画像情報に基づいて算出された目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P)を、第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’に対応する第2位置(中継位置P’)に補正することになる。
【0088】
図7Cは、再設定された第2位置(中継位置P’)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
図7Cに示されるように、ロボット制御手段150は、再設定された第2位置(中継位置P’)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように、搬送ロボット200を動作させている。
【0089】
図7Cで示される一例では、再設定された第2位置(中継位置P’)と、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)とは、
図7Bで示されたズレ量よりも小さく、概ね一致している。これは、第1画像情報に基づく第2位置(中継位置P)を、第2画像情報に基づいて算出された目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P’)に補正することにより、カメラ座標系とロボット座標系とのズレを軽減できたためである。
【0090】
そして、画像情報取得手段110は、
図7Cで示された、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が再設定された第2位置(中継位置P’)と一致している状態である第2位置(中継位置P’)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報を取得する。目標位置算出手段120は、当該第2画像情報に基づいて3つのピン15A~15Cの位置を把握し、それらから目標位置G’’を算出する。すなわち、第2画像情報は、第1画像情報よりも精度が高く、且つ再設定された第2位置(中継位置P’)においてカメラ240によって撮影されているため、当該第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’’は、さらに高精度である。
【0091】
図7Dは、目標位置G’’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように搬送ロボット200を移動させた様子を示す図である。
図5Cに示されるように、ロボット制御手段150は、目標位置G’’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)が一致するように、搬送ロボット200を動作させている。
【0092】
図7Dで示される一例では、目標位置G’’と、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(T)とは、ズレ量がより少なく、一致している。これは、目標位置G’’を、第2位置(中継位置P’)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報に基づいて算出することにより、カメラ座標系とロボット座標系とのズレをさらに軽減できたためである。
【0093】
図8は、本発明の第2実施形態に係る搬送ロボットシステムが実行するロボット教示方法M200の処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示されるように、ロボット教示方法M200は、ステップS210~S240を含み、各ステップは、搬送ロボットシステムにおけるロボット制御装置に含まれるプロセッサによって実行される。
【0094】
ステップS210では、搬送ロボット200に保持されるウエハWを搬送する目標位置を含むように第1位置においてカメラ240によって撮影された第1画像情報に基づいて算出された目標位置Gに対応する第2位置(中継位置P)に、搬送ロボット200のTCPが一致するように当該搬送ロボット200を移動させる(第1ステップ)。これは、
図6で説明したステップS110と同様であり、各ステップS211~S215は、各ステップS111~S115と同様である。
【0095】
このように、第1ステップでは、第1位置で撮影された第1画像情報に基づく第2位置(中継位置P)まで搬送ロボット200を移動させる。
【0096】
ステップS220では、搬送ロボット200に保持されるウエハWを搬送する目標位置を含むように、第2位置(中継位置P)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’に対応する第2位置(中継位置P’)に、搬送ロボット200のTCPが一致するように当該搬送ロボット200を移動させる(第2ステップ)。
【0097】
具体例としては、各ステップS221~S223は、
図6で説明した各ステップS121~S123と同様であり、ステップS224において、中継位置設定手段140は、ステップS222で算出した目標位置G’から、所定距離(例えば、30mm~40mm)だけ設置位置15の開口部側に離れた位置を第2位置(中継位置P’)として再設定する。
【0098】
ステップS225において、ロボット制御手段150は、ステップS224で設定した第2位置(中継位置P’)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように搬送ロボット200を動作させる。
【0099】
このように、第2ステップでは、第2位置(中継位置P)で撮影された第2画像情報に基づく第2位置(中継位置P’)まで搬送ロボット200を移動させる。
【0100】
ステップS230では、搬送ロボット200に保持されるウエハWを搬送する目標位置を含むように再設定された第2位置(中継位置P’)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’’に、搬送ロボット200のTCPが一致するように当該搬送ロボット200を移動させる(第3ステップ)。これは、
図6で説明したステップS120に相当するが、ステップS231では、ステップS121と異なり、画像情報取得手段110は、再設定された第2位置(中継位置P’)においてカメラ240によって3つのピン15A~15Cを含むように撮影された第2画像情報を取得している。そして、ステップS231で取得した第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’’(ステップS232)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCP(ステップS233)が一致するように搬送ロボット200を動作させる(ステップS234)。
【0101】
このように、第3ステップでは、再設定された第2位置(中継位置P’)で撮影された第2画像情報に基づく目標位置G’’まで搬送ロボット200を移動させる。
【0102】
ステップS240では、ステップS232で算出した目標位置G’’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように搬送ロボット200が移動したポイントを教示データとして、メモリなどに記憶する(第4ステップ)。
【0103】
以上のように、本発明の第2実施形態に係る搬送ロボットシステム、ロボット制御装置及びロボット教示方法M200によれば、本発明の第1実施形態で説明した作用効果に加えて、中継位置設定手段140は、第2位置(中継位置P)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’に対応する第2位置(中継位置P’)を再設定し、ロボット制御手段150は、当該第2位置(中継位置P’)に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように、搬送ロボット200を移動させる。そして、ロボット制御手段150は、当該第2位置(中継位置P’)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’’に、搬送ロボット200におけるハンド220のTCPが一致するように、搬送ロボット200を移動させる。教示データ生成手段160は、当該一致したポイントを教示データとして記憶する。これにより、カメラ240によって複数回(本実施形態では3回)撮影された画像情報(第1画像情報、及び2つの第2画像情報)に基づいて目標位置を適切に把握して、ウエハWを高精度に目標位置に搬送する教示データを生成することができる。具体的には、再設定された第2位置(中継位置P’)においてカメラ240によって撮影された第2画像情報に基づいて算出された目標位置G’’は、さらに高精度である。その結果、当該教示データを用いてウエハWをさらに高精度に目標位置に搬送することができる。
【0104】
なお、本発明に係る各実施形態では、搬送ロボット200によって搬送される対象物をウエハとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、搬送される対象物をフラットパネルとする搬送ロボットでも本発明を適用しても構わないし、その他、平板状の対象物を搬送する搬送ロボットに適用することも可能である。
【0105】
さらに、本発明は、対象物を搬送する場面のみならず、例えば、ウエハなどの対象物をFOUPから取り出す場面においても適用可能である。FOUPに格納されたウエハの位置を、搬送ロボット200が移動する目標位置として、カメラを用いて複数回撮影して高精度に算出して、当該目標位置を教示データとして記憶すればよい。これにより、搬送ロボット200は、適切にウエハを取り出すことができる。
【0106】
また、本発明は、カメラを用いて目標位置を複数回撮影し、その画像情報に基づいてそれぞれ目標位置を算出して、その精度を向上させていたが、複数回のうち少なくとも1回を、例えば、カメラに代えて、又はカメラと組み合わせてセンサなどを用いてもよい。取得した画像情報やセンサ情報に基づいて目標位置を高精度に算出することも可能である。
【0107】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0108】
10…搬送ロボットシステム、11…作業空間、12,13…FOUP、14,15…設置位置、15A~15C…ピン、100…ロボット制御装置、110…画像情報取得手段、120…目標位置算出手段、130…ロボット位置算出手段、140…中継位置設定手段、150…ロボット制御手段、160…教示データ生成手段、200…搬送ロボット、210…マニピュレータ本体、220…ハンド、230…ハンドベース(基部)、240…カメラ、300…デバイス制御装置、400…ティーチペンダント、G,G’,G’’…重心位置(目標位置)、M100,M200…ロボット教示方法、P,P’…中継位置、W…ウエハ、S110~S130,S111~S115,S121~S124…ロボット教示方法M100の各ステップ、S210~S240,S211~S215,S221~S225,S231~S234…ロボット教示方法M200の各ステップ