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特開2024-93899センサ装置、異常診断システム及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093899
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】センサ装置、異常診断システム及びロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/02 20060101AFI20240702BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B25J19/02
B25J19/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210540
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】田中 光晴
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CX01
3C707CX03
3C707HS27
3C707JS07
3C707KS15
3C707KV04
3C707KX10
3C707MS14
3C707MS15
3C707MS21
(57)【要約】
【課題】配線の引き回しを低減できるセンサ装置、異常診断システム及びロボットを提供する。
【解決手段】減速機(221)の振動を検出するセンサ装置(110)である。減速機(221)の振動を電力に変換する振動電力変換素子(110A)と、振動電力変換素子によって変換された電力の情報を無線送信する無線送信部(110Bb)とを備え、振動電力変換素子(110A)が無線送信部(110Bb)を動作させる電力を供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機の振動を検出するセンサ装置であって、
減速機の振動を電力に変換する振動電力変換素子と、
前記振動電力変換素子によって変換された電力の情報を無線送信する無線送信部と、
を備え、
前記振動電力変換素子が前記無線送信部を動作させる電力を供給するセンサ装置。
【請求項2】
前記振動電力変換素子が出力する電力を蓄積する蓄電部を備え、
前記振動電力変換素子の出力は少なくとも一方及びもう一方の2つに分岐され、
前記蓄電部は前記一方の出力を受けて蓄電し、
前記無線送信部は前記もう一方の出力の情報を無線送信する、
請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記無線送信部が動作する動作モードと、前記無線送信部が動作しない動作モードとに所定の条件を満たした場合に切り替える制御部を備える、
請求項1記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記振動電力変換素子を含む第1部品と、
前記無線送信部を含む第2部品と、
前記第1部品と前記第2部品とを接続する柔軟性を有する導線と、
を備え、
前記第1部品と前記第2部品とが異なる箇所に別々に固定可能である、
請求項1記載のセンサ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセンサ装置と、
前記センサ装置から送られる前記電力の情報を受けて異常診断を行う監視装置と、
を備える異常診断システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセンサ装置を備えるロボット。
【請求項7】
アームの外枠を備え、
前記振動電力変換素子が前記外枠の内側に配置され、
前記無線送信部が前記外枠に設けられた貫通孔に配置されている、
請求項6記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置、異常診断システム及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸受又は減速機等の回転部品の異常診断を行う装置が示されている。当該装置は、振動系センサにより検出された信号波形の周波数成分を比較することで異常を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-077945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検出対象にセンサを設けるには、センサに接続された配線を引き回すことが煩雑であり、また、場所によっては配線の引き回しが困難になることがある。
【0005】
本発明は、配線の引き回しを低減できるセンサ装置、異常診断システム及びロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセンサ装置は、
減速機の振動を検出するセンサ装置であって、
減速機の振動を電力に変換する振動電力変換素子と、
前記振動電力変換素子によって変換された電力の情報を無線送信する無線送信部と、
を備え、
前記振動電力変換素子が前記無線送信部を動作させる電力を供給する。
【0007】
本発明に係る異常診断システムは、
上記のセンサ装置と、
前記センサ装置から送られる前記電力の情報を受けて異常診断を行う受信装置と、
を備える。
【0008】
本発明に係るロボットは、
上記のセンサ装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線の引き回しを低減できるセンサ装置、異常診断システム及びロボットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る異常診断システム及びロボットを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るセンサ装置、並びに、その配置の一例を示す構成図である。
図3】センサ装置を示すブロック図である。
図4】センサ装置の動作モードを説明する図であり、(a)は充電モード、(b)はモニタモード、(c)は送信モードを示す。
図5】センサ装置の送信信号(a)と監視装置が監視する信号(b)との一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る異常診断システム及びロボットを示す図である。図2は、本発明の実施形態に係るセンサ装置、並びに、その配置の一例を示す構成図である。図3は、センサ装置を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態に係る異常診断システム100は、振動を検出するセンサ装置110と、センサ装置110から検出情報を受けて異常の有無等を診断する監視装置120とを備える。本実施形態においてセンサ装置110はロボット200に取り付けられ、異常診断システム100はロボット200の減速機221について異常診断を行う。
【0014】
本実施形態に係るロボット200は、アーム210と、アーム210を回動駆動する関節部220とを備える。関節部220には、回転速度を減速、トルクを増大してアーム210に出力する減速機221と、回転動力を出力するモータ222とが設けられている。モータ222は、関節部220から離れた位置に設けられ、伝達軸等の伝達機構を介して回転動力が減速機221に伝達されてもよい。減速機221は回動運動を出力する出力部材221aを有し、出力部材221aが回動対象のアーム210の外枠211に連結されている。外枠211は、内部に空洞部を有する筐体構造を有してもよく、外枠211は筐体と呼んでもよい。
【0015】
センサ装置110は、図3に示すように、振動電力変換素子111と、電力を蓄積する蓄電部112と、センサ装置110の制御を行う制御部113と、無線信号を送信する無線送信部114とを備える。
【0016】
振動電力変換素子111は、例えばピエゾ素子であり、振動に応じた電力を出力する。振動電力変換素子111の出力を抵抗に流せば、当該出力は振動に応じた電圧となり、振動電力変換素子111の出力を容量に流せば、当該出力は振動に応じた電流となる。したがって、上記の振動に応じた電力は、電圧又は電流と言い換えてもよい。振動電力変換素子111は、ピエゾ素子に限定されず、振動を電力に変換できればどのような構成であってもよい。振動電力変換素子111の出力は、一方の出力111out-1ともう一方の出力111out-2に二分岐され、変換された電力は蓄電部112と制御部113とにそれぞれ出力される。
【0017】
蓄電部112は、例えばキャパシタであるが、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などのバッテリであってもよい。蓄電部112の入力部112aには、振動電力変換素子111の出力を整流する整流回路が含まれる。加えて、入力部112aには、整流された電圧を充電電圧まで昇圧する昇圧回路が含まれていてもよい。蓄電部112は、振動電力変換素子111から出力された電力を蓄積し、当該電力を制御部113及び無線送信部114に動作電力として供給する。
【0018】
制御部113は、マイクロコンピュータであり、蓄電部112から供給される電力により動作する。制御部113には、振動電力変換素子111の一方の出力111out-2が振動検出用に入力される。すなわち、振動電力変換素子111の一方の出力111out-2は、蓄電部112を介さずに制御部113に送られる。
【0019】
制御部113は、さらに、無線送信部114へ動作電力の供給と非供給とを切り替えることができる。当該切り替えにより、無線送信部114が動作状態と非動作状態とに切り替わる。制御部113は、無線送信部114が動作状態のときに、振動電力変換素子111の出力111out-2の情報を無線送信部114に送る。出力111out-2の情報とは、振動の検出情報に相当し、具体的には、出力111out-2の電圧波形を表わす情報である。
【0020】
無線送信部114は、動作状態のときに、制御部113から入力した出力111out-2の情報を、無線信号により監視装置120に送る。無線信号は、出力111out-2の情報を様々な変調方式で変調した信号であってもよい。変調方式は、アナログ変調であってもよいし、デジタル変調であってもよい。
【0021】
センサ装置110は、図2に示すように、少なくとも振動電力変換素子111を含んだ第1部品110Aと、少なくとも無線送信部114を含んだ第2部品110Bとを備え、第1部品110Aと第2部品110Bとが柔軟性を有する導線h1で接続されている。センサ装置110の取付け時において、第1部品110Aと第2部品110Bとは離した状態で異なる箇所に固定することができる。
【0022】
第2部品110Bには、無線送信部114に加えて、蓄電部112及び制御部113が含まれている。このような構成により、振動の多い箇所に第1部品110Aを配置して電力を多く発生させる一方、蓄電部112、制御部113及び無線送信部114を振動が比較的に少ない箇所に配置し、これらの動作の安定性を向上できる。
【0023】
第2部品110Bは、基部110Baと棒状部110Bbとを備えてもよい。基部110Baは、棒状部110Bbよりも棒状部110Bbの太さ方向の寸法が大きく、棒状部110Bbの一端部に固定されている。棒状部110Bbには無線送信部114又はそのアンテナが配置され、基部110Baには蓄電部112及び制御部113が配置される。
【0024】
センサ装置110は、状態を表示する発光素子を有し、棒状部110Bbの先端に上記の発光素子が配置されてもよい。発光素子が表示する状態には、センサ装置110が動作中であること、センサ装置110が休止中であること、センサ装置110から振動の検出情報を送信中であることなどの情報が含まれていてもよい。
【0025】
続いて、センサ装置110の配置の一例を説明するが、以下の配置は、一例であって、それに限定されるものではない。第1部品110Aは、減速機221の出力部材221aが連結される部位で、アーム210の外枠211の内側に取り付けられる。第2部品110Bは、アーム210の外枠211における減速機221から離れた箇所に配置される。減速機221から離れた箇所とは、減速機221の軸方向に見て、減速機221或いは出力部材221aと重ならない箇所を意味する。第2部品110Bは、外枠211に設けられた貫通孔q1に棒状部110Bbが通され、外枠211の内側に基部110Baが位置するように取り付けられる。
【0026】
このような配置により、振動の多い箇所に第1部品110Aを配置して電力を多く発生させ、かつ、減速機221の振動を大きな信号で検出可能となる。さらに、蓄電部112、制御部113及び無線送信部114が、振動が比較的に少ない箇所に配置され、これらの動作の安定性を向上できる。
【0027】
<センサ装置の動作制御>
図4は、センサ装置の動作モードを説明する図であり、(a)は充電モード、(b)はモニタモード、(c)は送信モードを示す。
【0028】
センサ装置110は、蓄電部112への充電を主に行う充電モードと、充電と振動の検出とを行うモニタモードと、検出した情報を無線送信する送信モードと、の複数の動作モードを有する。
【0029】
充電モードでは、図4(a)に示すように、制御部113と無線送信部114とが非動作状態となり、振動電力変換素子111の出力が蓄電部112に送られることで、蓄電部112が充電される。制御部113が非動作状態のときには、制御部113の入力端子がハイインピーダンスになるように制御されてもよい。このような構成により、振動電力変換素子111の出力は主に蓄電部112に送られ、蓄電部112の充電を効率的に行うことができる。
【0030】
モニタモードでは、図4(b)に示すように、制御部113が動作状態にされ、無線送信部114が非動作状態にされる。そして、振動電力変換素子111の二分岐した出力のうち、一方の出力111out-1が蓄電部112に送られ、もう一方の出力111out-2が制御部113に送られる。モニタモードにおいても、蓄電部112は出力111out-1によって充電される。さらに、制御部113は、出力111out-2を無線送信用の情報として入力する。
【0031】
送信モードでは、図4(c)に示すように、制御部113と無線送信部114とが動作状態にされる。送信モードにおいて、振動電力変換素子111は、蓄電部112の充電を停止する。この停止は、制御部113の制御等により蓄電部112の入力部112aが電力の入力を遮断することで実現されてもよいし、制御部113の制御等により振動電力変換素子111が出力111out-1を停止することで実現されてもよい。なお、充電を停止するかわりに、充電電力を小さくしてもよい。そして、制御部113は、出力111out-2の情報を無線送信部114に送り、無線送信部114は、当該情報を監視装置120に無線送信する。なお、送信モードにおいても、出力111out-1により蓄電部112が充電されるようにしてもよい。
【0032】
各動作モードの遷移は、次のように行われてもよい。すなわち、蓄電部112の充電量(電圧)が所定値未満である場合に、制御部113が休止状態になることで、動作モードが充電モードに遷移される。上記充電量の所定値とは、例えば、制御部113が規定時間動作可能な値として予め設定された値を採用できる。
【0033】
充電モードにおいて、蓄電部112の充電量(電圧)が、上記の所定値以上となったことに基づき、制御部113が起動すると、動作モードが充電モードからモニタモードへ遷移する。
【0034】
さらに、モニタモードにおいて、制御部113は、所定条件に基づいて、無線送信部114が動作する送信モードへ切り替える。所定条件としては、例えば所定量以上の充電に達したとき、一定時間ごと、出力111out-2が所定量より大きいときなどを採用できる。所定条件に基づき、制御部113が情報を無線送信することを選択し、無線送信部114を駆動することで、動作モードがモニタモードから送信モードへ遷移する。モニタモードにおいて、制御部113は、入力された出力111out-2の情報を全て無線送信させてもよいし、一部を選択して無線送信させてもよい。また、制御部113は、無線送信する情報を一時的に記憶して間欠的に情報を無線送信させるようにしてもよい。入力された出力111out-2のうち一部のみを無線送信させる場合、制御部113は、例えば出力111out-2の振幅平均が所定範囲になった部分を無線送信させるなど、出力111out-2に基づく条件で無線送信させる情報を選択してもよい。あるいは、制御部113は、所定サイクル時間ごとに入力された出力111out-2の情報を無線送信させるなど、出力111out-2とは関係しない条件で無線送信させる情報を選択してもよい。
【0035】
上記のモニタモード又は送信モードにおいて、蓄電部112の充電量が上記の所定値未満となると、再び、動作モードが充電モードに遷移する。
【0036】
<異常診断処理>
続いて、異常診断システム100において実行される異常診断処理について説明する。図5は、センサ装置の送信信号(a)と監視装置が監視する信号(b)との一例を示す図である。
【0037】
ロボット200が駆動され、ロボット200の振動がセンサ装置110に加わることで蓄電部112が充電される。そして、蓄電部112の充電量が所定値以上になると、センサ装置110の動作モードがモニタモード及び送信モードとなる。その結果、センサ装置110から振動電力変換素子111の出力111out-2の情報が無線送信される。当該情報は、図5(a)に示すように、出力111out-2の信号波形を示す情報であり、監視装置120により受信される。出力111out-2の情報の無線送信は、蓄電部112の充電後、継続的に行われてもよいし、間欠的に行われてもよい。
【0038】
監視装置120は、出力111out-2の信号波形の情報を受信すると、当該情報を蓄積し、かつ、当該情報にFFT(Fast Fourier Transform)処理を行うことで、図5(b)に示されるような各周波数成分の振幅値を得る。
【0039】
監視装置120は、減速機221が正常であるときに得られる振動の周波数成分の振幅値を表わす基準データを有しており、当該基準データと上記のFFT処理された周波数成分の振幅値とを比較することで、当該振幅値が閾値(=基準データ±許容値)を逸脱していないか判別する。そして、逸脱していなければ、監視装置120は、正常と判断し、逸脱している場合に、異常と判断する。
【0040】
減速機221が異常となった場合に、特定の周波数帯ω1(図5(b)を参照)の振動振幅に大きな変化が生じることが分かっている場合、監視装置120は、当該特定の周波数帯ω1の振幅値に絞って基準データとの比較を行うことで、異常の有無を判断してもよい。
【0041】
例えば、正常時に検出されるアーム210の外枠211又は減速機221の構造に由来する振動成分が上記基準データに示されているとする。そして、減速機に21のベアリングの転動体等に異常が発生した場合、正常時には小さい特定振動成分の振幅が増大する場合がある。監視装置120は、当該特定振動成分の振幅が予め定められた閾値Vth(図5(b)を参照)を超える場合に、異常と判断することができる。特定の振動成分が、上述した特定の周波数帯ω1に相当する。
【0042】
上記の処理の結果、正常と判断した場合には、監視装置120は、センサ装置110からの情報の受信と、上記の基準データを用いた比較処理とを継続する。一方、異常と判断した場合には、監視装置120は、異常に対処する処理を行う。異常に対処する処理には、例えば、表示器に異常を示す信号を出力して作業員への異常報知を行う処理、並びに、上位コントローラに異常を示す信号を出力する処理が含まれていてもよい。
【0043】
このような異常診断処理により、減速機221に異常が生じた場合に、当該異常をほぼリアルタイムに検出し、当該異常に対処することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態のセンサ装置110及び異常診断システム100によれば、減速機221の振動を電力に変換する振動電力変換素子111と、振動電力変換素子111によって変換された電力の情報(出力111out-2の情報)を無線送信する無線送信部114と、を備える。そして、振動電力変換素子111が無線送信部114を動作させる電力を供給する。したがって、センサ装置110を駆動する電力を送るための配線、並びに、センサ装置110からセンサ信号を外部に送るための配線が低減され(例えば不要とされ)、センサ装置110をロボット200に取り付けるために配線を引き回す煩雑さが低減される。また、配線の引き回しが困難な箇所であっても、センサ装置110を取り付けて、当該箇所の振動を検出できる。そして、当該センサ装置110によって、減速機221の異常振動の有無を監視し、異常が生じたときに速やかな対処が可能となる。
【0045】
さらに、本実施形態のセンサ装置110によれば、振動電力変換素子111が出力する電力を蓄積する蓄電部112を備える。さらに、振動電力変換素子111の出力は少なくとも一方の出力111out-1及びもう一方の出力111out-2の2つに分岐され、蓄電部112は一方の出力111out-1を受けて蓄電し、無線送信部114はもう一方の出力111out-2の情報を無線送信する。したがって、センサ装置110は、蓄電部112の充電を行いながら、振動電力変換素子111の出力の情報を振動検出用に取得することができる。したがって、センサ装置110による振動の検出期間が短くなってしまうことを抑制できる。
【0046】
さらに、本実施形態のセンサ装置110によれば、無線送信部114が動作する送信モードと、無線送信部114が動作しないモニタモードとを切り替える制御部113を備える。したがって、制御部113の制御処理によって、蓄電部112が充電した電力を振動の検出用と無線送信用とに効率的に振り分けることができる。それゆえ、振動電力変換素子111が変換した電力を効率的に用いて、振動の検出期間を長くし、かつ、多くの情報を無線送信することができる。
【0047】
さらに、本実施形態のセンサ装置110によれば、振動電力変換素子111を含む第1部品110Aと、無線送信部114を含む第2部品110Bと、第1部品110Aと第2部品110Bとを接続する柔軟性を有する導線h1とを備える。そして、第1部品110Aと第2部品110Bとが異なる箇所に別々に固定可能である。当該構成により、振動の大きな箇所に振動電力変換素子111を配置して大きな電力を取得する一方、比較的に振動が小さい箇所に無線送信部114を配置して、無線送信部114を安定的に動作させることができる。
【0048】
さらに、本実施形態のセンサ装置110によれば、第2部品110Bは棒状部110Bbを有し、無線送信部114が棒状部110Bbに設けられている。当該構成により、棒状部110Bbを外枠211の貫通孔q1に通して、棒状部110Bbの一部を外枠211の外側に位置させることができる。したがって、外部に位置する監視装置120への無線信号の送信が容易となる。
【0049】
さらに、本実施形態のロボット200によれば、センサ装置110を備える。センサ装置110は電力供給又はセンサ信号の取り出しに外部機器と接続される配線を要さないので、ロボット200の配線収容部に空きが無い場合であっても、あるいは、配線の取り回しが困難な箇所であっても、センサ装置110を容易に設けることができる。また、後付けでセンサ装置110をロボット200の診断箇所に取り付けることも容易である。そして、センサ装置110を用いて、ロボット200の減速機221の異常診断を行うことができる。
【0050】
さらに、本実施形態のロボット200によれば、振動電力変換素子111がアーム210の外枠211の内側に配置され、無線送信部114がアーム210の外枠211の貫通孔q1に配置されている。当該構成によれば、センサ装置110がロボット200の動きに干渉してしまうことを抑制しつつ、無線信号をロボット200の外に送信することが可能となる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、ロボット200にセンサ装置110を設けた例を示したが、センサ装置110は、減速機の振動が検出できる箇所に設けられれば、どのような装置に設けられてもよい。また、上記実施形態では、センサ装置110が制御部113を有する構成を示したが、制御部113が省略された構成が採用されてもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0052】
100 異常診断システム
110 センサ装置
120 監視装置
110 センサ装置
111 振動電力変換素子
111out-1、111out-2 出力
112 蓄電部
113 制御部
114 無線送信部
110A 第1部品
110B 第2部品
110Ba 基部
110Bb 棒状部
h1 導線
200 ロボット
210 アーム
211 外枠
q1 貫通孔
220 関節部
221 減速機
221a 出力部材
222 モータ
図1
図2
図3
図4
図5