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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093905
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】力検出器
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/162 20200101AFI20240702BHJP
【FI】
G01L5/162
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210548
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】濃野 友人
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB10
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
【課題】一のセンサユニットでも6軸の外力を互いに区別して検出することができる力検出器を提供する。
【解決手段】本開示に係る力検出器1は、検出対象の外力Fが作用する第1層11、及び第1層11が積層されていると共に第1層11とヤング率が異なる材料で形成されている第2層12を有する層構造体10と、層構造体10の内部に形成されていると共に、第1層11に外力Fが作用すると第1層11の法線方向から見たときに自らの周囲に応力分布を形成する少なくとも1つの応力発生部20と、応力発生部20の周囲に分散配置されている複数のセンサ30と、を備え、一の応力発生部20に関連付けられる複数のセンサ30は、一のセンサユニットとして、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の外力Fを互いに区別して検出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象の外力が作用する第1層、及び前記第1層が積層されていると共に前記第1層とヤング率が異なる材料で形成されている第2層を有する層構造体と、
前記層構造体の内部に形成されていると共に、前記第1層に前記外力が作用すると前記第1層の法線方向から見たときに自らの周囲に応力分布を形成する少なくとも1つの応力発生部と、
前記応力発生部の周囲に分散配置されている複数のセンサと、
を備え、
一の前記応力発生部に関連付けられる前記複数のセンサは、一のセンサユニットとして、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の前記外力を互いに区別して検出する、
力検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の力検出器であって、
前記センサユニットは、少なくとも6つの前記センサを有する、
力検出器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の力検出器であって、
前記センサユニットは、6軸の前記外力に含まれる前記力の各々に対して、前記応力分布が形成される位置に少なくとも3つの前記センサが配置されるようなセンサ配置を有する、
力検出器。
【請求項4】
請求項3に記載の力検出器であって、
前記センサユニットは、前記応力発生部の中心から第1距離の範囲内に位置する複数の第1センサと、前記中心から前記第1距離よりも長い第2距離と前記第1距離との間の範囲内に位置する複数の第2センサと、を有する、
力検出器。
【請求項5】
請求項4に記載の力検出器であって、
前記第1センサは、前記中心と前記第2センサの中心とを結ぶ直線上の位置と異なる位置に配置されている、
力検出器。
【請求項6】
請求項5に記載の力検出器であって、
複数の前記第1センサの各々は、前記法線方向から見たときに前記直線に対し互いに同一回転方向及び同一角度でずれた位置に配置されている、
力検出器。
【請求項7】
請求項4に記載の力検出器であって、
前記応力発生部は、前記法線方向から見たときに、n角形の形状を有し、
複数の前記第2センサは、前記法線方向から見たときに、前記応力発生部の前記中心に対してn回対称の回転対称性を有する、
力検出器。
【請求項8】
請求項7に記載の力検出器であって、
前記センサユニットは、n個の前記第1センサと、n個の前記第2センサと、を有する、
力検出器。
【請求項9】
請求項8に記載の力検出器であって、
n個の前記第2センサの各々は、前記応力発生部の前記中心と前記第2センサの中心とを結ぶ直線が前記応力発生部の形状である前記n角形の対応する辺の中心を通るように前記辺と対向する、
力検出器。
【請求項10】
請求項7に記載の力検出器であって、
前記n角形は、正多角形である、
力検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、力検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば触覚センサモジュールとして用いられる力検出器であって、外部から作用する力を検出する力検出器に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ヤング率が極めて大きな圧力伝達部材を内部に備える必要がなく、信頼性が高くかつより湾曲が容易な力検出器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-100447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の力検出器は、検出対象の外力が検出面に作用すると応力分布を自らの周囲に形成する構造と、4つのセンサを含むセンサユニットと、を有する。センサは、例えば、ひずみセンサ及び圧力センサなどを含む。当該力検出器は、一のセンサユニットで3軸方向の力を互いに区別して検出する。しかしながら、当該力検出器では、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の外力を一のセンサユニットで互いに区別して検出することは困難であった。
【0005】
本開示は、一のセンサユニットでも6軸の外力を互いに区別して検出することができる力検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る力検出器は、検出対象の外力が作用する第1層、及び前記第1層が積層されていると共に前記第1層とヤング率が異なる材料で形成されている第2層を有する層構造体と、前記層構造体の内部に形成されていると共に、前記第1層に前記外力が作用すると前記第1層の法線方向から見たときに自らの周囲に応力分布を形成する少なくとも1つの応力発生部と、前記応力発生部の周囲に分散配置されている複数のセンサと、を備え、一の前記応力発生部に関連付けられる前記複数のセンサは、一のセンサユニットとして、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の前記外力を互いに区別して検出する。
【0007】
これにより、一のセンサユニットでも6軸の外力、すなわち3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を互いに区別して検出することができる。力検出器は、一のセンサユニットでねじりモーメントを含む6軸の外力を互いに区別して測定することができる。したがって、回転方向の力を測定するために複数のセンサユニットを用いる必要がある従来技術と比較して、6軸の外力を測定する場合の空間分解能が向上する。
【0008】
一実施形態における力検出器では、前記センサユニットは、少なくとも6つの前記センサを有してもよい。これにより、各センサが一軸型であったとしても、力検出器は、一のセンサユニットで6軸の外力を互いに区別して検出することができる。したがって、任意の外力の6軸の成分を計算して外力の大きさ及び方向を測定することが可能となる。
【0009】
一実施形態における力検出器では、前記センサユニットは、6軸の前記外力に含まれる前記力の各々に対して、前記応力分布が形成される位置に少なくとも3つの前記センサが配置されるようなセンサ配置を有してもよい。これにより、力検出器は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力の各々をより確実に検出可能である。
【0010】
一実施形態における力検出器では、前記センサユニットは、前記応力発生部の中心から第1距離の範囲内に位置する複数の第1センサと、前記中心から前記第1距離よりも長い第2距離と前記第1距離との間の範囲内に位置する複数の第2センサと、を有してもよい。これにより、力検出器は、6軸の外力の各々に基づく応力分布が形成される位置に少なくとも3つのセンサが配置されるようなセンサ配置でセンサユニットを構成可能である。したがって、力検出器は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力の各々をより確実に検出可能である。
【0011】
一実施形態における力検出器では、前記第1センサは、前記中心と前記第2センサの中心とを結ぶ直線上の位置と異なる位置に配置されていてもよい。これにより、例えば、Y軸に対する回転方向の外力が検出面に対して作用したときであっても、後述の図6及び図7に示されるように、ひずみ分布が形成される位置により確実にセンサを配置することが可能である。力検出器は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力の各々をより確実に検出可能である。
【0012】
一実施形態における力検出器では、複数の前記第1センサの各々は、前記法線方向から見たときに前記直線に対し互いに同一回転方向及び同一角度でずれた位置に配置されていてもよい。これにより、上記と同様の効果が得られ、力検出器は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力の各々をより確実に検出可能である。
【0013】
一実施形態における力検出器では、前記応力発生部は、前記法線方向から見たときに、n角形の形状を有し、複数の前記第2センサは、前記法線方向から見たときに、前記応力発生部の前記中心に対してn回対称の回転対称性を有してもよい。これにより、検出面の法線方向から見たときにn角形の形状を有する応力発生部に対する複数の第2センサの対称性が向上する。
【0014】
一実施形態における力検出器では、前記センサユニットは、n個の前記第1センサと、n個の前記第2センサと、を有してもよい。これにより、センサユニットは、検出面の法線方向から見たときにn角形の形状を有する応力発生部に対して適切な数のセンサを有することができる。
【0015】
一実施形態における力検出器では、n個の前記第2センサの各々は、前記応力発生部の前記中心と前記第2センサの中心とを結ぶ直線が前記応力発生部の形状である前記n角形の対応する辺の中心を通るように前記辺と対向してもよい。これにより、検出面の法線方向から見たときにn角形の形状を有する応力発生部に対する複数の第2センサの対称性がさらに向上する。
【0016】
一実施形態における力検出器では、前記n角形は、正多角形であってもよい。これにより、一の応力発生部と一のセンサユニットとを含むユニットの対称性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、一のセンサユニットでも6軸の外力を互いに区別して検出することができる力検出器を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係る力検出器の概略構成を検出面の法線方向から見たときの模式図である。
図2図1のA-A矢線に沿った断面図である。
図3図2の層構造体の内部に形成されるひずみ分布の第1例を示す、図1に対応する模式図である。
図4図2の層構造体の内部に形成されるひずみ分布の第2例を示す、図1に対応する模式図である。
図5図2の層構造体の内部に形成されるひずみ分布の第3例を示す、図1に対応する模式図である。
図6図2の層構造体の内部に形成されるひずみ分布の第4例を示す、図1に対応する模式図である。
図7図2の層構造体の内部に形成されるひずみ分布の第5例を示す、図1に対応する模式図である。
図8図2の層構造体の内部に形成されるひずみ分布の第6例を示す、図1に対応する模式図である。
図9図2の層構造体の内部に形成されるひずみ分布の第7例を示す、図1に対応する模式図である。
図10】変形例に係る力検出器の概略構成を示す、図1に対応する模式図である。
図11】従来の力検出器の内部に形成されるひずみ分布の第1例を示す模式図である。
図12】従来の力検出器の内部に形成されるひずみ分布の第2例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
従来技術の背景及び問題点についてより詳細に説明する。
【0020】
従来の力検出器は、硬さの異なる柔軟な樹脂、例えばシリコーン樹脂を2種類以上用いて形成される層構造体を有する。樹脂は、柔軟であれば、アクリル樹脂及びウレタン樹脂などを含んでもよい。層構造体は、検出面を有する第1層と、第1層と比較してヤング率が大きい樹脂材料により形成されている第2層と、を有する。
【0021】
当該力検出器は、検出対象の外力が検出面に作用するとひずみ分布を自らの周囲に形成する突起構造のアレイを層構造体の内部に有する。ひずみ分布は応力分布と対応付けられる。突起構造は、例えば四角錐の形状を有する。一のセンサユニットは、一の突起構造の周囲に配置されている。複数のセンサユニットは、ヤング率がより小さい第1層の内部に配置されている。
【0022】
図11は、従来の力検出器の内部に形成されるひずみ分布の第1例を示す模式図である。図12は、従来の力検出器の内部に形成されるひずみ分布の第2例を示す模式図である。図11及び図12は、当該力検出器の層構造体の内部を示すXZ平面での断面を模式的に示す図である。図11及び図12は、第1層が有する検出面の法線方向から見たときの様子を示す。なお、視認を容易とするため、図11及び12においては、層構造体の内部に配置されているセンサSを実線で示している。
【0023】
従来の力検出器では、4つのセンサSは、XZ面において図11及び図12に示されるような配置を有する。4つのセンサSを含む一のセンサユニットは、一の突起構造Pの周囲に配置されている。例えば、当該力検出器にX軸方向の力が加わると、図11に示されるようなひずみ分布が形成される。色が黒いほど、X軸方向の引張ひずみが大きいことを示す。色が白いほど、X軸方向の圧縮ひずみが大きいことを示す。各センサSに加わるひずみは、力の大きさ及び方向によって異なる。各センサSから出力される信号を演算処理することによって力の大きさ及び方向を計算することができる。
【0024】
一方、Y軸に対する回転方向の力、すなわちねじりモーメントが当該力検出器に加わると、図12に示されるようなひずみ分布が形成される。しかしながら、図12に示されるようなセンサ配置では、センサSにひずみが加わらない。したがって、Y軸に対する回転方向の力は、一のセンサユニットでは検出できない。結果として、回転方向の力を測定するためには、複数のセンサユニットに加わる3軸方向の力の分布に基づいて計算する必要があり空間分解能が低下する。
【0025】
本開示は、以上のような問題点を解決するために、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の外力を一のセンサユニットでも互いに区別して検出することができる力検出器を提供することを目的とする。
【0026】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0027】
図1は、本開示の一実施形態に係る力検出器1の概略構成を検出面の法線方向から見たときの模式図である。図2は、図1のA-A矢線に沿った断面図である。なお、視認を容易とするため、図1においては、後述する第1層11で被覆されたセンサ30を実線で示している。初めに、一実施形態に係る力検出器1の概略構成について主に説明する。
【0028】
力検出器1は、検出面Mに作用した外力を電気信号に変換して出力するセンサモジュールである。力検出器1は、例えば、触覚センサモジュールとして用いられる。本開示において、「外力」は、例えば、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む。力検出器1は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の外力を互いに区別して検出する。力検出器1は、層構造体10と、応力発生部20と、複数のセンサ30と、を有する。
【0029】
図2に示されるように、層構造体10は、検出対象の外力が作用する第1層11を有する。第1層11は、検出面Mを有する。本開示において、「検出面M」は、第1層11の表面を意味する。層構造体10は、第1層11の検出面Mとは反対側の面に設けられると共に第1層11とヤング率が異なる材料で形成されている第2層12を有する。層構造体10は、検出層としての第1層11と支持層としての第2層12とが積層された構造を有する。
【0030】
以下の説明において、説明の便宜上、図1及び図2に示されるように、第1層11と第2層12との積層方向をY方向とする。Y方向は、検出面Mの法線方向に対応する。Y方向と直交する一方向をX方向とする。X方向及びY方向と直交する方向をZ方向とする。一実施形態に係る力検出器1の設置姿勢は重力方向に対して特に限定されるものではない。
【0031】
図2に示されるように、第1層11は、第2層12に積層されており、第2層12と反対側の表面が検出面Mとされた層である。例えば、第1層11は、第2層12よりもヤング率が小さい材料によって形成されている。例えば、第1層11は、第2層12の形成材料よりもヤング率が小さなシリコーン樹脂によって形成されている。これに限定されず、第1層11は、第2層12よりもヤング率が小さい材料で形成されていればよく、例えば、アクリル樹脂及びウレタン樹脂などを含む他の樹脂材料によって形成されていてもよい。
【0032】
検出面Mは、検出対象の外力が作用する面であり、例えば、平面である。検出面Mは、X-Z平面と平行な面である。これに限定されず、検出面Mは、湾曲面であってもよい。検出面Mに対して直接的に外部の物体が接触すると、当該物体から受ける力が検出対象の外力となる。力検出器1は、検出面Mの接線方向、すなわちX軸方向及びZ軸方向に作用する力成分、及び検出面Mの法線方向、すなわちY方向に沿って検出面Mを押圧する力成分のいずれも検出可能である。力検出器1は、このような3軸方向の力に加えて、各軸に対する回転方向の力も互いに区別して検出可能である。
【0033】
第2層12は、第1層11の検出面Mと反対側の面に固着されており、第1層11を支持する。上述のように、第1層11は、第2層12よりもヤング率が小さい材料によって形成されている。すなわち、第2層12は、第1層11よりもヤング率が大きい材料によって形成されている。例えば、第2層12は、第1層11の形成材料よりもヤング率が大きなシリコーン樹脂によって形成されている。これに限定されず、第2層12は、第1層11よりもヤング率が大きい材料で形成されていればよく、例えば、アクリル樹脂及びウレタン樹脂などを含む他の樹脂材料によって形成されていてもよい。
【0034】
応力発生部20は、層構造体10の内部に形成されている。応力発生部20は、第1層11、例えば検出面Mに外力が作用すると、検出面Mの法線方向から見たときに自らの周囲に応力分布を形成する。応力分布とひずみ分布とは互いに対応付けられる。応力発生部20は、第1層11及び第2層12の一方が他方に向けて突出することで形成されている。応力発生部20は、例えば、第2層12が第1層11に向けて突出した突部21を含む。応力発生部20は、ヤング率が相対的に大きい第2層12側からヤング率が相対的に小さい第1層11側に向けて突出する突部21として形成されている。突部21は、第2層12の一部によって形成され、第1層11よりもヤング率が大きな材料により形成されている。突起構造としての突部21は、例えば、四角錐の形状を有する。
【0035】
複数のセンサ30は、応力発生部20の周囲に分散配置されている。複数のセンサ30は、ヤング率がより小さく柔軟な第1層11の内部に埋設されている。センサ30は、ひずみを検出するひずみセンサを含んでもよいし、第1層11において生じる応力を検出する圧力センサを含んでもよい。複数のセンサ30の各々は、応力発生部20としての突部21の頂部よりも検出面M側に配置されている。応力発生部20としての突部21の頂部よりも検出面M側でひずみが大きくなる。
【0036】
図1に示されるように、複数のセンサ30は、一の応力発生部20に関連付けられる。これは、一の応力発生部20を中心としてその周囲に複数のセンサ30が分散配置されていることを意味する。一の応力発生部20に関連付けられる複数のセンサ30は、一のセンサユニットを構成する。センサユニットは、少なくとも6つのセンサ30を有する。一例として、センサユニットは、8つのセンサ30を有する。すなわち、センサ30は、1つの突部21に対して8つ設けられている。突部21の頂部を囲むように、8つのセンサ30が設けられている。
【0037】
応力発生部20は、検出面Mの法線方向から見たときに、n角形の形状を有する。n角形は、正多角形であってもよいし、正多角形以外の多角形であってもよい。このとき、センサユニットは、n個の第1センサ31と、n個の第2センサ32と、を複数のセンサ30として有する。例えば、応力発生部20は、四角錐の形状を有する突部21を含む場合、検出面Mの法線方向から見たときに、四角形の形状、例えば正方形の形状を有する。このとき、センサユニットは、4つの第1センサ31と、4つの第2センサ32と、を有する。
【0038】
4つの第1センサ31には、第1センサ31a、31b、31c、及び31dが含まれる。第1センサ31aは、応力発生部20の中心P0、すなわち突部21の頂部に対して-X方向及び-Z方向に変位した位置にある。本開示において、「中心P0」は、例えば、検出面Mの法線方向から見たときの応力発生部20の形状に対する幾何中心である。第1センサ31bは、応力発生部20の中心P0に対して+X方向及び-Z方向に変位した位置にある。第1センサ31cは、応力発生部20の中心P0に対して+X方向及び+Z方向に変位した位置にある。第1センサ31dは、応力発生部20の中心P0に対して-X方向及び+Z方向に変位した位置にある。
【0039】
4つの第2センサ32には、第2センサ32a、32b、32c、及び32dが含まれる。第2センサ32aは、応力発生部20の中心P0、すなわち突部21の頂部に対して-Z方向に変位した位置にある。第2センサ32bは、応力発生部20の中心P0に対して+X方向に変位した位置にある。第2センサ32cは、応力発生部20の中心P0に対して+Z方向に変位した位置にある。第2センサ32dは、応力発生部20の中心P0に対して-X方向に変位した位置にある。
【0040】
センサユニットにおける複数の第1センサ31は、応力発生部20の中心P0から第1距離L1の範囲内に位置する。例えば、各第1センサ31の中心P1と応力発生部20の中心P0とは、同一の第1距離L1だけ離れている。本開示において、「中心P1」は、例えば、検出面Mの法線方向から見たときの第1センサ31の形状に対する幾何中心である。センサユニットにおける複数の第2センサ32は、応力発生部20の中心P0から第1距離L1よりも長い第2距離L2と第1距離L1との間の範囲内に位置する。例えば、各第2センサ32の中心P2と応力発生部20の中心P0とは、同一の第2距離L2だけ離れている。本開示において、「中心P2」は、例えば、検出面Mの法線方向から見たときの第2センサ32の形状に対する幾何中心である。
【0041】
第1距離L1が第2距離L2よりも短いので、複数の第1センサ31は、複数の第2センサ32と比較して、応力発生部20により近接して配置されている。複数の第1センサ31は、応力発生部20の中心P0に対してより近くに位置する。複数の第2センサ32は、応力発生部20の中心P0に対してより遠くに位置する。複数の第1センサ31は、応力発生部20と複数の第2センサ32との間に位置する領域に含まれる。
【0042】
複数の第1センサ31は、応力発生部20の周囲に対称的に配置されている。例えば、複数の第1センサ31は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対してn回対称の回転対称性を有する。検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20が四角形の形状を有する場合、複数の第1センサ31は、応力発生部20の中心P0に対して4回対称の回転対称性を有する。
【0043】
第1センサ31は、応力発生部20の中心P0と第2センサ32の中心P2とを結ぶ直線上の位置と異なる位置に配置されている。より具体的には、複数の第1センサ31の各々は、検出面Mの法線方向から見たときに、当該直線に対し互いに同一回転方向及び同一角度でずれた位置に配置されている。
【0044】
第1センサ31aは、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0と第2センサ32aの中心P2とを結ぶ直線に対し反時計回りに所定の角度でずれた位置に配置されている。
【0045】
第1センサ31bは、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0と第2センサ32bの中心P2とを結ぶ直線に対し反時計回りに所定の角度でずれた位置に配置されている。
【0046】
第1センサ31cは、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0と第2センサ32cの中心P2とを結ぶ直線に対し反時計回りに所定の角度でずれた位置に配置されている。
【0047】
第1センサ31dは、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0と第2センサ32dの中心P2とを結ぶ直線に対し反時計回りに所定の角度でずれた位置に配置されている。
【0048】
複数の第2センサ32は、応力発生部20の周囲に対称的に配置されている。例えば、複数の第2センサ32は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対してn回対称の回転対称性を有する。検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20が四角形の形状を有する場合、複数の第2センサ32は、応力発生部20の中心P0に対して4回対称の回転対称性を有する。
【0049】
n個の第2センサ32の各々は、応力発生部20の中心P0と第2センサ32の中心P2とを結ぶ直線が応力発生部20の形状であるn角形の対応する辺の中心Cを通るように当該辺と対向する。複数の第2センサ32は、検出面Mの法線方向から見たときに、上記のn回対称の回転対称性に加えて、線対称性も有する。
【0050】
より具体的には、第2センサ32aと第2センサ32cとは、応力発生部20の中心P0を通りX軸方向に平行となる直線を軸として互いに線対称となる位置に配置されている。第2センサ32bと第2センサ32dとは、応力発生部20の中心P0を通りZ軸方向に平行となる直線を軸として互いに線対称となる位置に配置されている。
【0051】
センサ30とセンサ本体との間で電気信号を伝える配線は、例えば、印刷技術を用いて作製される。このような配線は、ヤング率がより小さく柔軟な材料で形成されている第1層11の内部に埋設されている。
【0052】
図1及び図2から理解されるように、力検出器1では、一の応力発生部20と一のセンサユニットとを含むユニットがアレイ状に配置されて複数設けられていてもよい。複数の突部21は、X方向及びZ方向において、互いに等間隔で配列されていてもよいし、互いに不等間隔で配列されていてもよい。複数の突部21の配置間隔は変更可能である。
【0053】
続いて、一実施形態に係る力検出器1の機能について主に説明する。
【0054】
図3は、図2の層構造体10の内部に形成されるひずみ分布の第1例を示す、図1に対応する模式図である。図4は、図2の層構造体10の内部に形成されるひずみ分布の第2例を示す、図1に対応する模式図である。応力分布は、図3及び図4の各々に示されるひずみ分布に対応して形成されている。ひずみ分布に関する以下の他の図においても同様である。
【0055】
図3及び図4は、第1層11の検出面Mに対して検出面Mの接線方向、例えばX方向に外力Fを作用させた場合に第1層11の内部に形成されるひずみ分布のシミュレーション結果を示す。図3は、X軸の負方向に外力Fが作用した場合のひずみ分布に関する。図4は、X軸の正方向に外力Fが作用した場合のひずみ分布に関する。
【0056】
図3及び図4において、引張ひずみの大きさ及び圧縮ひずみの大きさが色の濃さで示されている。色が黒いほど、引張ひずみが大きいことを示す。色が白いほど、圧縮ひずみが大きいことを示す。ひずみ分布に関する以下の他の図においても同様である。
【0057】
図3に示されるように、検出面Mに対して-X方向に外力が作用すると、第1層11の全体が-X方向に移動しようとする。このとき、突部21のヤング率が第1層11のヤング率よりも大きいため、第1層11において突部21に対し+X方向側に位置する部位は、突部21に押し当てられる。一方で、第1層11において突部21に対し-X方向側に位置する部位は、外力Fの作用方向に対して突部21の裏側に位置し、変形が小さい突部21によって引っ張られることになる。以上により、応力発生部20は、自らの周囲にひずみ分布、すなわち応力分布を形成する。
【0058】
例えば、第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも+X方向側で圧縮ひずみが生じる。圧縮ひずみは、応力発生部20に対して+X方向に隣接する部位において最も大きく、+X方向に沿って応力発生部20から離れるにつれて小さくなる。第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも-X方向側で引張ひずみが生じる。引張ひずみは、応力発生部20に対して-X方向に隣接する部位において最も大きく、-X方向に沿って応力発生部20から離れるにつれて小さくなる。
【0059】
図4に示されるように、検出面Mに対して+X方向に外力が作用すると、第1層11の全体が+X方向に移動しようとする。このとき、突部21のヤング率が第1層11のヤング率よりも大きいため、第1層11において突部21に対し-X方向側に位置する部位は、突部21に押し当てられる。一方で、第1層11において突部21に対し+X方向側に位置する部位は、外力Fの作用方向に対して突部21の裏側に位置し、変形が小さい突部21によって引っ張られることになる。以上により、応力発生部20は、自らの周囲にひずみ分布、すなわち応力分布を形成する。
【0060】
例えば、第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも-X方向側で圧縮ひずみが生じる。圧縮ひずみは、応力発生部20に対して-X方向に隣接する部位において最も大きく、-X方向に沿って応力発生部20から離れるにつれて小さくなる。第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも+X方向側で引張ひずみが生じる。引張ひずみは、応力発生部20に対して+X方向に隣接する部位において最も大きく、+X方向に沿って応力発生部20から離れるにつれて小さくなる。
【0061】
図3及び図4に示されるように、検出面Mの接線方向に外力Fが作用すると、突部21を挟んで外力Fの上流側と下流側とでひずみの大きさ及び種類が異なる。これは、突部21が検出面Mの接線方向に作用する外力Fを受けて自らの周囲に検出面Mの法線方向から見て非対称なひずみ分布を発生させていることを意味する。ひずみ分布は応力分布と対応付けられる。したがって、応力発生部20としての突部21は、検出面Mの接線方向に作用する外力Fを受けて、検出面Mの法線方向から見たときに自らの周囲に非対称な応力分布を形成する。
【0062】
図3図4とを比較すると、検出面Mの接線方向に作用する外力Fの向きが反転すると、ひずみ分布、すなわち応力分布も反転する。したがって、これらの応力分布をセンサ30により検出することによって、検出面Mの接線方向に作用する外力Fの向きを測定することが可能である。
【0063】
以上のように、力検出器1では、突部21が設けられていることにより、検出面Mに作用する外力Fの方向に応じて突部21の周囲に加わる応力の大きさ及び方向が変化する。応力の大きさ及び方向によってセンサユニットに含まれる8つのセンサ30の少なくとも一部に異なったひずみが加わる。+X方向と-X方向とではX軸に対して逆のひずみが加わる。したがって、8つのセンサ30の出力を演算してX軸方向の外力Fの大きさ及び方向を計算することができる。
【0064】
より具体的には、センサ30は、第1層11に生じたひずみ、すなわち応力に応じた強度の信号を出力する。1つの突部21に対して設けられた8つのセンサ30の出力信号が示す値、すなわち検出値に基づいて、突部21の-Y方向側の位置において検出面Mにどのような外力Fが作用しているかを算出することができる。
【0065】
センサ30は、例えば、圧縮ひずみで負の出力となり、引張ひずみで正の出力になる方式のものである。このようなセンサ30としては、例えばピエゾ抵抗式ひずみゲージを用いることが可能である。これに限定されず、圧縮ひずみで正の出力となり、引張ひずみで負の出力になる方式のセンサをセンサ30として用いることも可能である。
【0066】
例えば、第1センサ31b、31c、及び第2センサ32bの検出値が負で圧縮ひずみを示し、第1センサ31a、31d、及び第2センサ32dの検出値が正で引張ひずみを示す場合には、図3に示すように、検出面Mに対して-X方向に外力Fが作用していることが分かる。加えて、第1センサ31b、31c、及び第2センサ32bの検出値と、第1センサ31a、31d、及び第2センサ32dの検出値との間の差分から、-X方向に作用する外力Fの大きさを測定することができる。
【0067】
例えば、第1センサ31b、31c、及び第2センサ32bの検出値が正で引張ひずみを示し、第1センサ31a、31d、及び第2センサ32dの検出値が負で圧縮ひずみを示す場合には、図4に示すように、検出面Mに対して+X方向に外力Fが作用していることが分かる。加えて、第1センサ31b、31c、及び第2センサ32bの検出値と、第1センサ31a、31d、及び第2センサ32dの検出値との間の差分から、+X方向に作用する外力Fの大きさを測定することができる。
【0068】
以上の説明は、検出面Mに対してZ軸方向に作用する外力に対しても同様に当てはまる。
【0069】
例えば、第1センサ31c、31d、及び第2センサ32cの検出値が負で圧縮ひずみを示し、第1センサ31a、31b、及び第2センサ32aの検出値が正で引張ひずみを示す場合には、検出面Mに対して-Z方向に外力Fが作用していることが分かる。加えて、第1センサ31c、31d、及び第2センサ32cの検出値と、第1センサ31a、31b、及び第2センサ32aの検出値との間の差分から、-Z方向に作用する外力Fの大きさを測定することができる。
【0070】
例えば、第1センサ31c、31d、及び第2センサ32cの検出値が正で引張ひずみを示し、第1センサ31a、31b、及び第2センサ32aの検出値が負で圧縮ひずみを示す場合には、検出面Mに対して+Z方向に外力Fが作用していることが分かる。加えて、第1センサ31c、31d、及び第2センサ32cの検出値と、第1センサ31a、31b、及び第2センサ32aの検出値との間の差分から、+Z方向に作用する外力Fの大きさを測定することができる。
【0071】
図5は、図2の層構造体10の内部に形成されるひずみ分布の第3例を示す、図1に対応する模式図である。図5は、第1層11の検出面Mに対して検出面Mの法線方向、すなわちY方向に外力Fを作用させた場合に第1層11の内部に形成されるひずみ分布のシミュレーション結果を示す。すなわち、図5は、検出面Mを法線方向から押圧した場合に第1層11の内部に形成されるひずみ分布のシミュレーション結果を示す。
【0072】
このとき、突部21の頂部を中心として、X方向における両側及びZ方向における両側は、略均等な大きさのひずみ、すなわち応力が生じる。したがって、突部21の周囲における第1層11の応力部分をセンサユニットにより検出することによって、検出面Mに作用する外力Fの方向を測定することが可能となる。このとき、センサユニットに含まれる8つの全てのセンサ30に引張ひずみが加わる。
【0073】
例えば、第1センサ31a、31b、31c、31d、及び第2センサ32a、32b、32c、32dの検出値が全て正で引張ひずみを示す場合には、検出面Mに対して+Y方向に外力Fが作用していることが分かる。このとき、8つのセンサ30から検出値が出力されると共に、これらの検出値が同一か、あるいは略同一の大きさになる。これらの検出値の大きさ、あるいは検出値の和から、検出面Mに対して法線方向に押圧する外力Fの大きさを測定することができる。
【0074】
以上のように、センサユニットは、3軸方向の力を互いに区別して検出する。これに加えて、センサユニットは、各軸に対する回転方向の力も互いに区別して検出する。一の応力発生部20に関連付けられる複数のセンサ30は、一のセンサユニットとして、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の外力を互いに区別して検出する。
【0075】
図6は、図2の層構造体10の内部に形成されるひずみ分布の第4例を示す、図1に対応する模式図である。図7は、図2の層構造体10の内部に形成されるひずみ分布の第5例を示す、図1に対応する模式図である。
【0076】
図6及び図7は、Y軸に対する回転方向の外力Fを検出面Mに対して作用させた場合に第1層11の内部に形成されるひずみ分布のシミュレーション結果を示す。図6は、Y軸に対して左回転する外力Fが作用した場合のひずみ分布に関する。図7は、Y軸に対して右回転する外力Fが作用した場合のひずみ分布に関する。
【0077】
図6に示されるように、第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも+X方向側かつ-Z方向側及び-X方向側かつ+Z方向側の2つの領域で圧縮ひずみが生じる。第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも+X方向側かつ+Z方向側及び-X方向側かつ-Z方向側の2つの領域で引張ひずみが生じる。
【0078】
図7に示されるように、第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも+X方向側かつ+Z方向側及び-X方向側かつ-Z方向側の2つの領域で圧縮ひずみが生じる。第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも+X方向側かつ-Z方向側及び-X方向側かつ+Z方向側の2つの領域で引張ひずみが生じる。
【0079】
図6図7とを比較すると、検出面Mに対して作用する外力FのY軸に対する回転方向が反転すると、ひずみ分布、すなわち応力分布も反転する。したがって、これらの応力分布をセンサ30により検出することによって、検出面Mに対して作用する外力FのY軸に対する回転方向を測定することが可能である。
【0080】
以上のように、力検出器1では、突部21が設けられていることにより、検出面Mに作用する外力Fの回転方向に応じて突部21の周囲に加わる応力の大きさ及び方向が変化する。応力の大きさ及び方向によってセンサユニットに含まれる8つのセンサ30の少なくとも一部に異なったひずみが加わる。一の組のセンサ30と他の組のセンサ30との間で逆のひずみが加わる。したがって、8つのセンサ30の出力を演算してY軸に対する回転方向の外力Fの大きさ及び向きを計算することができる。
【0081】
例えば、第1センサ31b、31dを含む一の組のセンサ30の検出値が負で圧縮ひずみを示し、第1センサ31a、31cを含む他の組のセンサ30の検出値が正で引張ひずみを示す場合には、図6に示すように、Y軸に対して左回転する外力Fが検出面Mに対して作用していることが分かる。加えて、一の組のセンサ30の検出値と、他の組のセンサ30の検出値とに基づいて、Y軸に対して左回転する外力Fの大きさを測定することができる。
【0082】
例えば、第1センサ31b、31dを含む一の組のセンサ30の検出値が正で引張ひずみを示し、第1センサ31a、31cを含む他の組のセンサ30の検出値が負で圧縮ひずみを示す場合には、図7に示すように、Y軸に対して右回転する外力Fが検出面Mに対して作用していることが分かる。加えて、一の組のセンサ30の検出値と、他の組のセンサ30の検出値とに基づいて、Y軸に対して右回転する外力Fの大きさを測定することができる。
【0083】
図8は、図2の層構造体10の内部に形成されるひずみ分布の第6例を示す、図1に対応する模式図である。図9は、図2の層構造体10の内部に形成されるひずみ分布の第7例を示す、図1に対応する模式図である。
【0084】
図8及び図9は、Z軸に対する回転方向の外力Fを検出面Mに対して作用させた場合に第1層11の内部に形成されるひずみ分布のシミュレーション結果を示す。図8は、Z軸に対して右回転する外力Fが作用した場合のひずみ分布に関する。図9は、Z軸に対して左回転する外力Fが作用した場合のひずみ分布に関する。
【0085】
図8に示されるように、第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも+X方向側で引張ひずみが生じる。引張ひずみは、一のセンサユニットが配置されている第1層11の領域内で+X方向に沿って応力発生部20から離れるにつれて大きくなる。第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも-X方向側で圧縮ひずみが生じる。圧縮ひずみは、一のセンサユニットが配置されている第1層11の領域内で-X方向に沿って応力発生部20から離れるにつれて大きくなる。
【0086】
図9に示されるように、第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも-X方向側で引張ひずみが生じる。引張ひずみは、一のセンサユニットが配置されている第1層11の領域内で-X方向に沿って応力発生部20から離れるにつれて大きくなる。第1層11において突部21の頂部よりも検出面Mに近い部位において、突部21の頂部よりも+X方向側で圧縮ひずみが生じる。圧縮ひずみは、一のセンサユニットが配置されている第1層11の領域内で+X方向に沿って応力発生部20から離れるにつれて大きくなる。
【0087】
図8図9とを比較すると、検出面Mに対して作用する外力FのZ軸に対する回転方向が反転すると、ひずみ分布、すなわち応力分布も反転する。したがって、これらの応力分布をセンサ30により検出することによって、検出面Mに対して作用する外力FのZ軸に対する回転方向を測定することが可能である。
【0088】
以上のように、力検出器1では、突部21が設けられていることにより、検出面Mに作用する外力Fの回転方向に応じて突部21の周囲に加わる応力の大きさ及び方向が変化する。応力の大きさ及び方向によってセンサユニットに含まれる8つのセンサ30の少なくとも一部に異なったひずみが加わる。+X方向と-X方向とでは逆のひずみが加わる。したがって、8つのセンサ30の出力を演算してZ軸に対する回転方向の外力Fの大きさ及び向きを計算することができる。
【0089】
例えば、第1センサ31d及び第2センサ32dの検出値が負で圧縮ひずみを示し、第2センサ32bの検出値が正で引張ひずみを示す場合には、図8に示すように、Z軸に対して右回転する外力Fが検出面Mに対して作用していることが分かる。加えて、第1センサ31d及び第2センサ32dの検出値と、第2センサ32bの検出値との間の差分から、Z軸に対して右回転する外力Fの大きさを測定することができる。
【0090】
例えば、第1センサ31b及び第2センサ32bの検出値が負で圧縮ひずみを示し、第1センサ31d及び第2センサ32dの検出値が正で引張ひずみを示す場合には、図9に示すように、Z軸に対して左回転する外力Fが検出面Mに対して作用していることが分かる。加えて、第1センサ31b及び第2センサ32bの検出値と、第1センサ31d及び第2センサ32dの検出値との間の差分から、Z軸に対して左回転する外力Fの大きさを測定することができる。
【0091】
以上の説明は、X軸に対する回転方向の外力Fが検出面Mに対して作用したときも同様に当てはまる。
【0092】
図3乃至図9に示されるように、センサユニットは、6軸の外力Fに含まれる力の各々に対して、ひずみ分布が形成される位置に少なくとも3つのセンサ30が配置されるようなセンサ配置を有する。
【0093】
例えば、図3及び図4に示されるように、第1層11の検出面Mに対してX方向に外力Fを作用させた場合、第1センサ31b、31c、及び第2センサ32b、並びに第1センサ31a、31d、及び第2センサ32dの配置位置においてひずみ分布が形成されている。一方で、第2センサ32a、32cの配置位置ではひずみ分布が形成されていない。
【0094】
例えば、図5に示されるように、第1層11の検出面Mに対してY方向に外力Fを作用させた場合、センサユニットに含まれる8つのセンサ30の全ての配置位置においてひずみ分布が形成されている。
【0095】
例えば、図6及び図7に示されるように、Y軸に対する回転方向の外力Fを検出面Mに対して作用させた場合、第1センサ31b、31d、及び第1センサ31a、31cの配置位置においてひずみ分布が形成されている。一方で、第2センサ32a、32b、32c、32dの配置位置ではひずみ分布が形成されていない。
【0096】
例えば、図8に示されるように、Z軸に対して右回転する外力Fを検出面Mに対して作用させた場合、第1センサ31d及び第2センサ32d、並びに第2センサ32bの配置位置においてひずみ分布が形成されている。一方で、第1センサ31a、31b、31c、及び第2センサ32a、32cの配置位置ではひずみ分布が形成されていない。
【0097】
例えば、図9に示されるように、Z軸に対して左回転する外力Fを検出面Mに対して作用させた場合、第1センサ31b及び第2センサ32b、並びに第1センサ31d及び第2センサ32dの配置位置においてひずみ分布が形成されている。一方で、第1センサ31a、31c、及び第2センサ32a、32cの配置位置ではひずみ分布が形成されていない。
【0098】
力検出器1を用いて任意の大きさ及び方向を有する外力Fを測定するための演算方法について主に説明する。一実施形態に係る力検出器1では一のセンサユニットは8つのセンサ30を有するが、演算方法に関する以下の説明においてはセンサ30の数を一般化してn個のセンサ30が用いられる場合を考える。n個のセンサ30を用いて、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の3軸方向の力と、各軸に対する回転方向の力とを含む6軸の外力Fを測定する場合の演算方法を説明する。
【0099】
任意の大きさ及び方向を有する外力Fは、基準となる6軸の力F1、F2、F3、F4、F5、及びF6の線形結合で表される。
【数1】
ここで、k、k、k、k、k5、は、線形結合における係数である。
【0100】
力F1、F2、F3、F4、F5、及びF6を検出面Mに対して個別に作用させたときの各センサ30の出力は、以下の行列で表される。
【数2】
行列の成分Sij(i、jは整数であり、1≦i≦6、1≦j≦n)は、力Fiを検出面Mに対して作用させたときに、n個のセンサ30のうちj番目のセンサ30から得られる出力、例えば検出値を表す。当該行列は、実際に力Fiを作用させて行われる校正作業又は有限要素法のシミュレーションに基づき予め取得される。
【0101】
任意の外力Fを検出面Mに作用させた場合の各センサ30からの出力は、以下のベクトルで表される。
【数3】
【0102】
以上により、次の関係式が得られる。
【数4】
この逆問題をkについて解くことで、任意の外力Fの6軸の成分が計算可能となる。
【0103】
以上のような一実施形態に係る力検出器1によれば、一のセンサユニットでも6軸の外力、すなわち3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を互いに区別して検出することができる。力検出器1は、一のセンサユニットでねじりモーメントを含む6軸の外力を互いに区別して測定することができる。したがって、回転方向の力を測定するために複数のセンサユニットを用いる必要がある従来技術と比較して、6軸の外力を測定する場合の空間分解能が向上する。
【0104】
センサユニットが少なくとも6つのセンサ30を有することで、各センサ30が一軸型であったとしても、力検出器1は、一のセンサユニットで6軸の外力を互いに区別して検出することができる。これにより、任意の外力Fの6軸の成分を計算して外力Fの大きさ及び方向を測定することが可能となる。
【0105】
6軸の外力Fに含まれる力の各々に対して、応力分布が形成される位置に少なくとも3つのセンサ30が配置されるようなセンサ配置をセンサユニットが有することで、力検出器1は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力の各々をより確実に検出可能である。
【0106】
センサユニットは、応力発生部20の中心P0から第1距離L1の範囲内に位置する複数の第1センサ31と、中心P0から第1距離L1よりも長い第2距離L2と第1距離L1との間の範囲内に位置する複数の第2センサ32と、を有する。これにより、力検出器1は、6軸の外力Fに含まれる力の各々に対して、応力分布が形成される位置に少なくとも3つのセンサ30が配置されるようなセンサ配置でセンサユニットを構成可能である。したがって、力検出器1は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力の各々をより確実に検出可能である。
【0107】
第1センサ31は、中心P0と第2センサ32の中心P2とを結ぶ直線上の位置と異なる位置に配置されている。これにより、例えば、Y軸に対する回転方向の外力Fが検出面Mに対して作用したときであっても、図6及び図7に示されるように、ひずみ分布が形成される位置により確実にセンサ30を配置することが可能である。力検出器1は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力の各々をより確実に検出可能である。
【0108】
複数の第1センサ31の各々は、検出面Mの法線方向から見たときに上記の直線に対し互いに同一回転方向及び同一角度でずれた位置に配置されている。これにより、上記と同様の効果が得られ、力検出器1は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力の各々をより確実に検出可能である。
【0109】
複数の第2センサ32は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対してn回対称の回転対称性を有する。これにより、検出面Mの法線方向から見たときにn角形の形状を有する応力発生部20に対する複数の第2センサ32の対称性が向上する。
【0110】
センサユニットは、n個の第1センサ31と、n個の第2センサ32と、を有する。これにより、センサユニットは、検出面Mの法線方向から見たときにn角形の形状を有する応力発生部20に対して適切な数のセンサ30を有することができる。
【0111】
n個の第2センサ32の各々は、応力発生部20の中心P0と第2センサ32の中心P2とを結ぶ直線が応力発生部20の形状であるn角形の対応する辺の中心Cを通るように辺と対向する。これにより、検出面Mの法線方向から見たときにn角形の形状を有する応力発生部20に対する複数の第2センサ32の対称性がさらに向上する。
【0112】
n角形が正多角形であることで、一の応力発生部20と一のセンサユニットとを含むユニットの対称性がさらに向上する。
【0113】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0114】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。図示した力検出器1の各構成要素は機能概念的なものであり、各構成要素の具体的形態は図示のものに限定されない。
【0115】
図10は、変形例に係る力検出器1の概略構成を示す、図1に対応する模式図である。上記実施形態では、センサユニットは、8つのセンサ30を有すると説明したが、これに限定されない。センサユニットは、少なくとも6つ、例えば6つのセンサ30を有してもよい。上記実施形態において説明した内容は、図10に示す変形例に係る力検出器1に対しても同様に当てはまる。以下では、上記実施形態と異なる内容について主に説明する。
【0116】
応力発生部20は、検出面Mの法線方向から見たときに、正三角形の形状を有してもよい。このとき、センサユニットは、3個の第1センサ31と、3個の第2センサ32と、を有してもよい。複数の第1センサ31は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心に対して3回対称の回転対称性を有してもよい。複数の第2センサ32は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心に対して3回対称の回転対称性を有してもよい。
【0117】
上記実施形態及び上記変形例では、センサユニットは、少なくとも6つのセンサ30を有すると説明したが、これに限定されない。センサユニットは、例えば、センサ30が一軸型でなく複数軸に対応可能であれば、5つ以下のセンサ30を有してもよい。
【0118】
上記実施形態及び上記変形例では、センサユニットは、6軸の外力Fに含まれる力の各々に対して、応力分布が形成される位置に少なくとも3つのセンサ30が配置されるようなセンサ配置を有すると説明したが、これに限定されない。センサユニットは、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の外力Fを互いに区別して検出可能であれば、任意の他のセンサ配置を有してもよい。
【0119】
上記実施形態及び上記変形例では、センサユニットは、応力発生部20の中心P0から第1距離L1に位置する複数の第1センサ31と、中心P0から第1距離L1よりも長い第2距離L2に位置する複数の第2センサ32と、を有すると説明したが、これに限定されない。第2距離L2は、第1距離L1以下であってもよい。すなわち、センサユニットは、中心P0から第1距離L1に位置する複数の第1センサ31と、中心P0から第1距離L1以下となる第2距離L2に位置する複数の第2センサ32と、を有してもよい。
【0120】
上記実施形態及び上記変形例では、複数の第1センサ31の全てが、中心P0から互いに同一の第1距離L1に位置すると説明したが、これに限定されない。複数の第1センサ31の少なくとも一部が、中心P0から互いに異なる距離に位置してもよい。
【0121】
上記実施形態及び上記変形例では、複数の第2センサ32の全てが、中心P0から互いに同一の第2距離L2に位置すると説明したが、これに限定されない。複数の第2センサ32の少なくとも一部が、中心P0から互いに異なる距離に位置してもよい。
【0122】
上記実施形態及び上記変形例では、第1センサ31は、中心P0と第2センサ32の中心P2とを結ぶ直線上の位置と異なる位置に配置されていると説明したが、これに限定されない。第1センサ31は、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の外力Fを互いに区別して検出可能であれば、中心P0と中心P2とを結ぶ直線上の位置に配置されていてもよい。
【0123】
上記実施形態及び上記変形例では、複数の第1センサ31の各々は、検出面Mの法線方向から見たときに上記の直線に対し互いに同一回転方向及び同一角度でずれた位置に配置されていると説明したが、これに限定されない。複数の第1センサ31の少なくとも一部は、検出面Mの法線方向から見たときに上記の直線に対し互いに異なる回転方向及び異なる角度の少なくとも一方でずれた位置に配置されていてもよい。
【0124】
上記実施形態及び上記変形例では、応力発生部20は、検出面Mの法線方向から見たときに、n角形の形状を有すると説明したが、これに限定されない。応力発生部20は、検出面Mに外力Fが作用すると検出面Mの法線方向から見たときに自らの周囲に応力分布を形成可能であれば、任意の形状を有してもよい。応力発生部20は、検出面Mの法線方向から見たときに、辺の一部が凹んだり突出したりするような任意の他の図形に対応する形状、円形状、及び楕円形状などを含む任意の他の形状を有してもよい。
【0125】
例えば、応力発生部20の突部21は、四角錐の形状に限定されるものではなく、検出面Mに作用する外力Fの方向に応じて突部21の周囲に加わる応力の大きさ及び方向が変化する形状であればよい。例えば、突部21は、多角柱形状、円柱形状、半球形状、円錐形状、及び四角以外の多角錐形状などを含む任意の他の形状であってもよい。
【0126】
上記実施形態及び上記変形例では、応力発生部20は、突部21のような突起構造を有すると説明したが、これに限定されない。応力発生部20は、第2層12から突出する突起構造に代えて、第2層12の表面に形成された凹設構造を有してもよい。応力発生部20は、第2層12に形成されていなくてもよく、例えば、より柔軟な材料から構成される第1層11に形成されている空隙であってもよい。
【0127】
上記実施形態及び上記変形例では、複数の第1センサ31は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対してn回対称の回転対称性を有すると説明したが、これに限定されない。複数の第1センサ31は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対して、応力発生部20のn角形の形状に対応しないt(t≠n)回対称の回転対称性を有してもよい。複数の第1センサ31は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対して回転対称性をそもそも有さなくてもよい。
【0128】
上記実施形態及び上記変形例では、複数の第2センサ32は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対してn回対称の回転対称性を有すると説明したが、これに限定されない。複数の第2センサ32は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対して、応力発生部20のn角形の形状に対応しないt(t≠n)回対称の回転対称性を有してもよい。複数の第2センサ32は、検出面Mの法線方向から見たときに、応力発生部20の中心P0に対して回転対称性をそもそも有さなくてもよい。
【0129】
上記実施形態及び上記変形例では、センサユニットは、n個の第1センサ31と、n個の第2センサ32と、を有すると説明したが、これに限定されない。センサユニットは、応力発生部20のn角形の形状に対応しない、t(t≠n)個の第1センサ31を有してもよい。センサユニットは、応力発生部20のn角形の形状に対応しない、t(t≠n)個の第2センサ32を有してもよい。センサユニットは、互いに異なる数の第1センサ31及び第2センサ32を有してもよい。
【0130】
上記実施形態及び上記変形例では、n個の第2センサ32の各々は、応力発生部20の中心P0と第2センサ32の中心P2とを結ぶ直線が応力発生部20の形状であるn角形の対応する辺の中心Cを通るように辺と対向すると説明したが、これに限定されない。n個の第2センサ32の少なくとも一部は、中心P0と中心P2とを結ぶ直線が辺の中心Cを通らずに辺と対向してもよい。n個の第2センサ32の少なくとも一部は、そもそも辺と対向しなくてもよい。
【0131】
上記実施形態及び上記変形例では、n角形は、正多角形であると説明したが、これに限定されない。n角形は、正多角形でなくてもよい。例えば、応力発生部20は、検出面Mの法線方向から見たときに、正方形の形状ではなく、長方形、平行四辺形、及びひし形などの任意の他の形状を有してもよい。例えば、応力発生部20は、検出面Mの法線方向から見たときに、正三角形の形状ではなく、二等辺三角形及び直角三角形などの任意の他の形状を有してもよい。
【0132】
上述したとおり、力検出器1では、一の応力発生部20と一のセンサユニットとを含むユニットがアレイ状に配置されて複数設けられていてもよい。このとき、各ユニットに含まれる突部21は、互いに同一の形状を有してもよいし、互いに異なる形状を有してもよい。各ユニットは、互いに同一の平面上にあってもよいし、互いに異なる平面上にあってもよい。力検出器1は、アレイ状に配列された複数のユニットを有することで、各ユニットにおいて6軸の外力を互いに区別して検出可能である。
【0133】
上記実施形態及び上記変形例では、第1層11を形成する材料のヤング率が第2層12を形成する材料のヤング率よりも小さいと説明したが、これに限定されない。第1層11を形成する材料のヤング率が第2層12を形成する材料のヤング率よりも大きくてもよい。第1層11を形成する材料のヤング率が第2層12を形成する材料のヤング率よりも大きい場合には、センサ30は、第2層12に埋設配置されていてもよい。
【0134】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
検出対象の外力が作用する第1層、及び前記第1層が積層されていると共に前記第1層とヤング率が異なる材料で形成されている第2層を有する層構造体と、
前記層構造体の内部に形成されていると共に、前記第1層に前記外力が作用すると前記第1層の法線方向から見たときに自らの周囲に応力分布を形成する少なくとも1つの応力発生部と、
前記応力発生部の周囲に分散配置されている複数のセンサと、
を備え、
一の前記応力発生部に関連付けられる前記複数のセンサは、一のセンサユニットとして、3軸方向の力及び各軸に対する回転方向の力を含む6軸の前記外力を互いに区別して検出する、
力検出器。
[付記2]
付記1に記載の力検出器であって、
前記センサユニットは、少なくとも6つの前記センサを有する、
力検出器。
[付記3]
付記1又は2に記載の力検出器であって、
前記センサユニットは、6軸の前記外力に含まれる前記力の各々に対して、前記応力分布が形成される位置に少なくとも3つの前記センサが配置されるようなセンサ配置を有する、
力検出器。
[付記4]
付記3に記載の力検出器であって、
前記センサユニットは、前記応力発生部の中心から第1距離の範囲内に位置する複数の第1センサと、前記中心から前記第1距離よりも長い第2距離と前記第1距離との間の範囲内に位置する複数の第2センサと、を有する、
力検出器。
[付記5]
付記4に記載の力検出器であって、
前記第1センサは、前記中心と前記第2センサの中心とを結ぶ直線上の位置と異なる位置に配置されている、
力検出器。
[付記6]
付記5に記載の力検出器であって、
複数の前記第1センサの各々は、前記法線方向から見たときに前記直線に対し互いに同一回転方向及び同一角度でずれた位置に配置されている、
力検出器。
[付記7]
付記4乃至6のいずれか1つに記載の力検出器であって、
前記応力発生部は、前記法線方向から見たときに、n角形の形状を有し、
複数の前記第2センサは、前記法線方向から見たときに、前記応力発生部の前記中心に対してn回対称の回転対称性を有する、
力検出器。
[付記8]
付記7に記載の力検出器であって、
前記センサユニットは、n個の前記第1センサと、n個の前記第2センサと、を有する、
力検出器。
[付記9]
付記8に記載の力検出器であって、
n個の前記第2センサの各々は、前記応力発生部の前記中心と前記第2センサの中心とを結ぶ直線が前記応力発生部の形状である前記n角形の対応する辺の中心を通るように前記辺と対向する、
力検出器。
[付記10]
付記7乃至9のいずれか1つに記載の力検出器であって、
前記n角形は、正多角形である、
力検出器。
【符号の説明】
【0135】
1 力検出器
10 層構造体
11 第1層
12 第2層
20 応力発生部
21 突部
30 センサ
31 第1センサ
31a 第1センサ
31b 第1センサ
31c 第1センサ
31d 第1センサ
32 第2センサ
32a 第2センサ
32b 第2センサ
32c 第2センサ
32d 第2センサ
C 中心
F 外力
L1 第1距離
L2 第2距離
M 検出面
P0 中心
P1 中心
P2 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12