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特開2024-93906ワイヤハーネス用ホルダ、ワイヤハーネスの取付構造、及びワイヤハーネスの取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093906
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス用ホルダ、ワイヤハーネスの取付構造、及びワイヤハーネスの取付方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20240702BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20240702BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02G3/30
F16B19/00 D
B60R16/02 620B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210550
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 康平
(72)【発明者】
【氏名】三輪 智章
(72)【発明者】
【氏名】米盛 誠
【テーマコード(参考)】
3J036
5G363
【Fターム(参考)】
3J036AA01
3J036AA03
3J036BA01
3J036BB02
3J036BB03
3J036DA03
3J036DB06
3J036GA03
5G363AA07
5G363AA12
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ワイヤハーネスを安定した状態で取付対象に仮置きすることができるワイヤハーネス用ホルダを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス用ホルダ20は、ワイヤハーネス40を保持するホルダ本体21と、ホルダ本体21から突出するとともに、車両の取付対象12に設けられた仮置き用の孔13に差し込み可能に構成された仮置き部25と、取付対象30に設けられた固定用の部位32に固定される固定部29と、を有し、仮置き部25は、孔13に掛止可能に構成された爪部と、爪部と一体に設けられた操作部と、を有し、操作部は、押圧操作されることにより撓み変形することで孔13と爪部との掛止状態を解除するように構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを保持するホルダ本体と、
前記ホルダ本体から突出するとともに、車両の取付対象に設けられた仮置き用の孔に差し込み可能に構成された仮置き部と、
前記取付対象に設けられた固定用の部位に固定される固定部と、を有し、
前記仮置き部は、前記孔に掛止可能に構成された爪部と、前記爪部と一体に設けられた操作部と、を有し、
前記操作部は、押圧操作されることにより撓み変形することで前記孔と前記爪部との掛止状態を解除するように構成されている、
ワイヤハーネス用ホルダ。
【請求項2】
前記ホルダ本体は、前記ワイヤハーネスの端末に設けられたコネクタを保持する、
請求項1に記載のワイヤハーネス用ホルダ。
【請求項3】
前記固定部は、前記ホルダ本体から前記仮置き部とは反対方向に突出している、
請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス用ホルダ。
【請求項4】
請求項1に記載のワイヤハーネス用ホルダと、
前記ワイヤハーネスと、
前記取付対象と、
前記固定部が前記固定用の部位に固定された状態において、前記孔に取り付けられる取付部品と、を有する、
ワイヤハーネスの取付構造。
【請求項5】
請求項1に記載のワイヤハーネス用ホルダを用いて前記ワイヤハーネスを前記取付対象に取り付ける方法であって、
前記ホルダ本体に前記ワイヤハーネスを組み付けて保持させる工程と、
前記仮置き部を前記孔に差し込むことにより前記爪部を前記孔に掛止させて前記ワイヤハーネス用ホルダを前記取付対象に仮置きする工程と、
前記操作部を押圧操作することで前記操作部を撓み変形させて前記孔と前記爪部との掛止状態を解除した状態で前記孔から前記仮置き部を引き抜く工程と、
前記固定部を前記固定用の部位に固定する工程と、を備える、
ワイヤハーネスの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネス用ホルダ、ワイヤハーネスの取付構造、及びワイヤハーネスの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用のインストルメントパネルが開示されている。インストルメントパネルには、アンテナ用ケーブルが配索されている。
インストルメントパネルのパネル本体には、アンテナ用ケーブルを仮置きする仮置き部が設けられている。仮置き部は、アンテナ用ケーブルが作業の邪魔にならないように、アンテナ用ケーブルを一時的に仮置きするために設けられた板状部材である。仮置き部には、アンテナ用ケーブルを仮置きする保持スリットが設けられている。保持スリットは、互いに略直交して延びる2つの部分スリットにより構成されており、段付き構造を有する。一方の部分スリット(以下、第1部分スリットとする)は、仮置き部の端部に開口端を有している。他方の部分スリット(以下、第2部分スリットとする)は、第1部分スリットの開口端とは反対側の端部に接続されている。
【0003】
作業者は、アンテナ用ケーブルを仮置き部の保持スリットに仮置きする場合、アンテナ用ケーブルを、開口端から第1部分スリットに挿入し、段付き構造に沿って、第2部分スリットの奥まで移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-151302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成では、アンテナ用ケーブルに外力が作用した場合、保持スリットが段付き構造を有しているとはいえ、アンテナ用ケーブルが、段付き構造に沿って第2部分スリットから第1部分スリットに移動して開口端から外れるおそれがある。このため、アンテナ用ケーブルを安定して仮置きすることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのワイヤハーネス用ホルダ、ワイヤハーネスの取付構造、及びワイヤハーネスの取付方法の各態様を記載する。
[態様1]
ワイヤハーネスを保持するホルダ本体と、前記ホルダ本体から突出するとともに、車両の取付対象に設けられた仮置き用の孔に差し込み可能に構成された仮置き部と、前記取付対象に設けられた固定用の部位に固定される固定部と、を有し、前記仮置き部は、前記孔に掛止可能に構成された爪部と、前記爪部と一体に設けられた操作部と、を有し、前記操作部は、押圧操作されることにより撓み変形することで前記孔と前記爪部との掛止状態を解除するように構成されている、ワイヤハーネス用ホルダ。
【0007】
上記構成によれば、ホルダが固定部とは別に仮置き部を有しているので、取付対象の仮置き用の孔に仮置き部が差し込まれることにより、取付対象にホルダを仮置きすることができる。これにより、取付対象に対してワイヤハーネスが位置決めされるので、他の部品を車両に組み付ける際にワイヤハーネスが邪魔になりにくくなる。したがって、他の部品の組み付け作業の作業性を向上できる。
【0008】
また、仮置き部が爪部を有しているので、仮置き用の孔に仮置き部が差し込まれると、爪部が孔に掛止される。これにより、ワイヤハーネスやホルダに外力が作用した場合であっても仮置き部が孔から外れにくくなる。したがって、ワイヤハーネスを安定した状態で取付対象に仮置きすることができる。
【0009】
なお、操作部が押圧操作されて撓み変形することで孔と爪部との掛止状態が解除される。このため、孔から仮置き部を引き抜くとともに、固定部を取付対象の固定用の部位に固定することができる。
【0010】
[態様2]
前記ホルダ本体は、前記ワイヤハーネスの端末に設けられたコネクタを保持する、
[態様1]に記載のワイヤハーネス用ホルダ。
【0011】
上記構成によれば、ワイヤハーネスの端末に設けられたコネクタがホルダに保持されるため、コネクタの位置決めをすることができる。したがって、他の部品を車両に組み付ける際に、ワイヤハーネスの端末、すなわちコネクタが邪魔になりにくくなるので、組み付け作業の作業性を一層向上できる。
【0012】
[態様3]
前記固定部は、前記ホルダ本体から前記仮置き部とは反対方向に突出している、
[態様1]または[態様2]に記載のワイヤハーネス用ホルダ。
【0013】
上記構成によれば、仮置き部を仮置き用の孔に差し込む際に、固定部が周辺の部品に干渉しにくくなる。また、固定部を固定用の部位に固定する際に、仮置き部が周辺の部品に干渉しにくくなる。したがって、ホルダを取付対象に仮置きする作業及びホルダを固定用の部位に固定する作業の双方を容易に行うことができる。
【0014】
[態様4]
[態様1]~[態様3]のいずれか一項に記載のワイヤハーネス用ホルダと、前記ワイヤハーネスと、前記取付対象と、前記固定部が前記固定用の部位に固定された状態において、前記孔に取り付けられる取付部品と、を有する、ワイヤハーネスの取付構造。
【0015】
上記構成によれば、[態様1]~[態様3]に係る発明の作用効果と同様な作用効果を奏することができる。また、上記構成によれば、取付部品が取り付けられる取付対象の孔が仮置き用の孔を兼ねるので、仮置き用の孔を別途設けなくて済む。
【0016】
[態様5]
[態様1]~[態様3]のいずれか一項に記載のワイヤハーネス用ホルダを用いて前記ワイヤハーネスを前記取付対象に取り付ける方法であって、前記ホルダ本体に前記ワイヤハーネスを組み付けて保持させる工程と、前記仮置き部を前記孔に差し込むことにより前記爪部を前記孔に掛止させて前記ワイヤハーネス用ホルダを前記取付対象に仮置きする工程と、前記操作部を押圧操作することで前記操作部を撓み変形させて前記孔と前記爪部との掛止状態を解除した状態で前記孔から前記仮置き部を引き抜く工程と、前記固定部を前記固定用の部位に固定する工程と、を備える、ワイヤハーネスの取付方法。
【0017】
上記方法によれば、作業者は、まず、ホルダ本体にワイヤハーネスを組み付けて保持させる。次に、作業者は、仮置き部を仮置き用の孔に差し込むことによりホルダを取付対象に仮置きする。これにより、取付対象に対してワイヤハーネスが位置決めされるので、他の部品が車両に組み付けられる際にワイヤハーネスが邪魔になりにくくなる。
【0018】
また、仮置き用の孔に仮置き部が差し込まれると、爪部が孔に掛止される。これにより、ワイヤハーネスやホルダに外力が作用した場合であっても仮置き部が孔から外れにくくなる。したがって、ワイヤハーネスを安定した状態で取付対象に仮置きすることができる。
【0019】
次に、作業者は、操作部を押圧操作することにより操作部を撓み変形させて孔と爪部との掛止状態を解除して孔から仮置き部を引き抜くことができる。
最後に、作業者が固定部を固定用の部位に固定することで、取付対象へのワイヤハーネスの取付が完了する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ワイヤハーネスを安定した状態で取付対象に仮置きすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ワイヤハーネス用ホルダの一実施形態について、インストルメントパネルの周辺の構成を示す正面図である。
図2図2は、図1のインストルメントパネルの周辺の構成であって、Aピラーガーニッシュが取り外されている状態の平面図である。
図3図3は、図2のインストルメントパネルから、取付部品を取り外した平面図である。
図4図4は、同実施形態に係るホルダが仮置きされている状態を示す平面図である。
図5図5(a)は、同実施形態に係るホルダを上側から見た斜視図であり、図5(b)は、同実施形態に係るホルダを下側から見た斜視図である。
図6図6は、同実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図7図7は、同実施形態に係るホルダに第2コネクタが保持され、第1コネクタがホルダから離間している状態の斜視図である。
図8図8は、同実施形態に係るワイヤハーネスの取付方法を順に示すフローチャートである。
図9図9は、図4の9-9線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図9を参照して、一実施形態について説明する。
なお、以降において、車両の前後方向を単に前後方向Lとするとともに、前後方向Lの前側及び後側をそれぞれ単に前側及び後側として説明する。また、車幅方向Wにおいて車両の中央から離れる側及び同中央に近づく側をそれぞれ車幅方向Wの外側及び内側として説明する。また、車両が水平面上にあるときの車両の上下方向を単に上下方向Zとするとともに、上下方向Zの上側及び下側をそれぞれ単に上側及び下側として説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、車室内の前側には、車幅方向Wに延在するインストルメントパネル10が設けられている。インストルメントパネル10の車幅方向Wの外側には、サイドボディ30を車室内側から覆うAピラーガーニッシュ31が隣り合って設けられている。
【0024】
インストルメントパネル10の内部には、第1ワイヤハーネス40が配索されている。
Aピラーガーニッシュ31の内部には、車両のルーフから延在する第2ワイヤハーネス70及び第3ワイヤハーネス80が配索されている。
【0025】
<インストルメントパネル10及びサイドボディ30>
図1及び図2に示すように、インストルメントパネル10は、車幅方向Wに延在するベース部材12と、ベース部材12の車幅方向Wの両端部に設けられたスピーカ15を上方から覆うようにしてベース部材12に取り付けられるスピーカベゼル11とを備える。
【0026】
図3及び図4に示すように、ベース部材12には、第1ワイヤハーネス40を保持する凹部14と、スピーカベゼル11が取り付けられる複数の孔13が設けられている。凹部14は、ベース部材12の車幅方向Wの外側の端縁が内側に窪むことで形成されている。複数の孔13は、上側に向かって開口している。
【0027】
図2図4に示すように、サイドボディ30の上面には、後述するワイヤハーネス用ホルダ20(以下、ホルダ20という)が固定される固定用の部位としての固定孔32が開口している。
【0028】
図2及び図3に示すように、固定孔32には、ホルダ20が挿入されて固定されている。
<第1ワイヤハーネス40、第2ワイヤハーネス70、第3ワイヤハーネス80>
図2図4に示すように、第1ワイヤハーネス40は、2つに分岐した端末41,42を有している。2つの端末41,42には、第1コネクタ50及び第2コネクタ60がそれぞれ設けられている。
【0029】
図6及び図7に示すように、第1コネクタ50は、略直方体形状である。第1コネクタ50は、挿入口51と、挿入口51に連通する連通孔52とを備える。
連通孔52には、第1ワイヤハーネス40の一方の端末41が挿通される。
【0030】
第2ワイヤハーネス70の端末に設けられたコネクタ71が挿入口51に挿入されることで、第1ワイヤハーネス40の端末41と第2ワイヤハーネス70とが電気的に接続される。
【0031】
第1コネクタ50の外側面には、後述するホルダ20に係合される係合部53が設けられている。
第2コネクタ60は、第1コネクタ50と略同一の構成を有している。このため、第2コネクタ60の各構成について、第1コネクタ50の対応する各構成の符号「5*」に「10」を加算した符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
【0032】
連通孔62には、第1ワイヤハーネス40の他方の端末42が挿通される。
第3ワイヤハーネス80の端末に設けられたコネクタ81が挿入口61に挿入されることで、第1ワイヤハーネス40の端末42と第3ワイヤハーネス80とが電気的に接続される。
【0033】
第1コネクタ50の外側面には、後述するホルダ20に係合される係合部53が設けられている。
第2コネクタ60の外側面には、ホルダ20に係合される係合部63が設けられている。
【0034】
<ホルダ20>
図5(a)及び図5(b)に示すように、ホルダ20は、第1ワイヤハーネス40を保持するホルダ本体21と、ベース部材12の孔13に差し込み可能に構成された仮置き部25と、サイドボディ30の固定孔32に固定される固定部29とを有する。ホルダ20は、樹脂製である。
【0035】
(ホルダ本体21)
ホルダ本体21は、略長方形板状のベース部22を有する。
なお、以降において、ベース部22の長辺方向、短辺方向、及び厚み方向をそれぞれ長さ方向X、幅方向Y、厚み方向Tとする。
【0036】
ホルダ本体21は、ベース部22の幅方向Yの両側から厚み方向Tの一側(図5(a)の上側)に突出するとともに互いに対向する第1側壁23a及び第2側壁23bを有する。
【0037】
第1側壁23a及び第2側壁23bは、長さ方向Xの一端部(図5(a)の右側)に設けられている。
図5(a)に示すように、第1側壁23aの外面には、第1コネクタ50の係合部53と係合することで第1コネクタ50を保持する第1保持部24aが設けられている。
【0038】
第1保持部24aは、第1側壁23aの長さ方向Xの一端から突出するとともに、屈曲して他端(図5(a)の左側)に向かって延在している。
第2側壁23bの内面には、第2コネクタ60の係合部63と係合することで第2コネクタ60を保持する第2保持部24bが設けられている。
【0039】
第2保持部24bは、第2側壁23bの長さ方向Xの一端から突出するとともに、屈曲して他端に向かって延在している。
(仮置き部25)
図5(b)に示すように、仮置き部25は、ベース部22の長さ方向Xの他端から厚み方向Tの一側に突出している。
【0040】
仮置き部25は、第2側壁23bよりも幅方向Yの外側に位置している。仮置き部25は、突部26と、爪部27と、操作部28とを有する。
突部26は、第2側壁23bよりも厚み方向Tの一側に突出しており、孔13に挿入可能に構成されている。突部26は、幅方向Yの外側に開口する開口部26aを有する。
【0041】
操作部28は、厚み方向Tに延在する長方形板状であり、開口部26aを塞ぐようにして突部26に対して一体に設けられている。操作部28の厚み方向Tの一側が、開口部26aの縁部に連結されている。
【0042】
操作部28の厚み方向Tの一側には、幅方向Yの外側に突出するとともに孔13に掛止可能な爪部27が一体に設けられている。
爪部27の外面は、厚み方向Tの他端(図5(b)の下側)ほど幅方向Yの外側に位置するように傾斜している。
【0043】
操作部28は、幅方向Yの内側に押圧操作されることにより開口部26a内に進入するように撓み変形することで、孔13と爪部27との掛止状態を解除するように構成されている。
【0044】
(固定部29)
図5(a)及び図5(b)に示すように、固定部29は、ベース部22から厚み方向Tの他側に突出する円柱状の突部29aと、突部29aの外周面に設けられた一対の固定爪部29bとを有する。すなわち、固定部29は、ホルダ本体21から仮置き部25とは反対方向に突出している。一対の固定爪部29bは、長さ方向Xにおいて突部29aを挟んで設けられている。
【0045】
固定部29が固定孔32に挿入されることで、一対の固定爪部29bが固定孔32の周縁に掛止される。これにより、ホルダ20がサイドボディ30に固定される。
次に、ホルダ20を用いて第1ワイヤハーネス40をサイドボディ30に取り付ける方法について説明する。
【0046】
まず、図7及び図8に示すように、作業者は、第1保持部24aに係合部53を係合させ、第2保持部24bに係合部63を係合させることで、ホルダ本体21に第1ワイヤハーネス40を組み付けて保持させる(保持工程)。
【0047】
次に、図4図8、及び図9に示すように、作業者は、仮置き部25の突部26をベース部材12の孔13に差し込むことにより爪部27を孔13に掛止させてホルダ20をベース部材12に仮置きする(仮置き工程)。また、第1ワイヤハーネス40の端末41,42の集合部を凹部14に嵌入する。このようにして、第1ワイヤハーネス40がベース部材12に対して位置決めされる。
【0048】
次に、図8及び図9の二点鎖線に示すように、作業者は、操作部28を押圧操作することで操作部28を撓み変形させて孔13と爪部27との掛止状態を解除した状態で孔13から仮置き部25の突部26を引き抜く(解除工程)。
【0049】
次に、図3及び図8に示すように、作業者は、固定部29をサイドボディ30の固定孔32に固定する(取付工程)。このとき、固定部29の固定爪部29bが固定孔32に掛止している。
【0050】
次に、第1コネクタ50の挿入口51に第2ワイヤハーネス70のコネクタ71を挿入して取り付けることで、第1ワイヤハーネス40の端末41に第2ワイヤハーネス70の端末を電気的に接続する。
【0051】
また、第2コネクタ60の挿入口61に第3ワイヤハーネス80のコネクタ81を挿入して取り付けることで、第1ワイヤハーネス40の端末42に第3ワイヤハーネス80の端末を電気的に接続する。
【0052】
最後に、図2及び図3に示すように、孔13にスピーカベゼル11を取り付ける。
なお、本実施形態におけるベース部材12及びサイドボディ30が、「課題を解決するための手段」に記載の取付対象に相当する。また、本実施形態におけるスピーカベゼル11が、[課題を解決するための手段]に記載の取付部品に相当する。また、本実施形態における第1ワイヤハーネス40が、「課題を解決するための手段」に記載のワイヤハーネスに相当する。また、本実施形態における第1保持部24a及び第2保持部24bが、「課題を解決するための手段」に記載の保持部に対応する。
【0053】
本実施形態の作用効果について説明する。
(1)ホルダ20の仮置き部25は、孔13に掛止可能な爪部27と、押圧操作されることにより撓み変形することで孔13と爪部27との掛止状態を解除するように構成された操作部28とを有する。
【0054】
同構成によれば、ベース部材12の仮置き用の孔13に仮置き部25の突部26が差し込まれることにより、ベース部材12にホルダ20を仮置きすることができる。これにより、ベース部材12に対して第1ワイヤハーネス40が位置決めされるので、他の部品を車両に組み付ける際に第1ワイヤハーネス40が邪魔になりにくくなる。したがって、他の部品の組み付け作業の作業性を向上できる。
【0055】
また、仮置き部25が爪部27を有しているので、仮置き用の孔13に仮置き部25の突部26が差し込まれると、爪部27が孔13に掛止される。これにより、第1ワイヤハーネス40やホルダ20に外力が作用した場合であっても仮置き部25が孔13から外れにくくなる。したがって、第1ワイヤハーネス40を安定した状態でベース部材12に仮置きすることができる。
【0056】
そして、操作部28が押圧操作されて撓み変形することで孔13と爪部27との掛止状態が解除される。このため、孔13から仮置き部25の突部26を引き抜くとともに、固定部29をサイドボディ30の固定孔32に固定することができる。
【0057】
(2)ホルダ本体21は、第1ワイヤハーネス40の端末41,42に設けられた第1コネクタ50及び第2コネクタ60を保持する。
同構成によれば、第1ワイヤハーネス40の端末41,42を位置決めすることができる。したがって、他の部品を車両に組み付ける際に、第1ワイヤハーネス40の端末41,42、すなわち第1コネクタ50及び第2コネクタ60が邪魔になりにくくなるので、組み付け作業の作業性を一層向上できる。
【0058】
(3)固定部29は、ホルダ本体21から仮置き部25とは反対方向に突出している。
同構成によれば、仮置き部25を仮置き用の孔13に差し込む際に、固定部29が周辺の部品に干渉しにくくなる。また、固定部29を固定孔32に固定する際に、仮置き部25が周辺の部品に干渉しにくくなる。したがって、ホルダ20をベース部材12に仮置きする作業及びホルダ20を固定孔32に固定する作業の双方を容易に行うことができる。
【0059】
(4)第1ワイヤハーネス40の取付構造は、ホルダ20と、第1ワイヤハーネス40と、インストルメントパネル10のベース部材12及びサイドボディ30と、スピーカベゼル11とを有する。
【0060】
同構成によれば、上記作用効果(1)と同様な作用効果を奏することができる。スピーカベゼル11が取り付けられるベース部材12の孔13が仮置き用の孔13を兼ねるので、仮置き用の孔13を別途設けなくて済む。
【0061】
(5)第1ワイヤハーネス40の取付方法は、保持工程と、仮置き工程と、解除工程と、取付工程とを備える。
同方法によれば、保持工程及び仮置き工程において、ベース部材12に対して第1ワイヤハーネス40が位置決めされるので、他の部品が車両に組み付けられる際に第1ワイヤハーネス40が邪魔になりにくくなる。
【0062】
また、仮置き工程において、第1ワイヤハーネス40やホルダ20に外力が作用した場合であっても仮置き部25が孔13から外れにくくなる。したがって、第1ワイヤハーネス40を安定した状態でベース部材12に仮置きすることができる。
【0063】
次に、解除工程において、操作部28を押圧操作することにより操作部28を撓み変形させて孔13と爪部27との掛止状態を解除して孔13から仮置き部25を引き抜くことができる。
【0064】
最後に、取付工程において、作業者が固定部29を固定孔32に固定することで、サイドボディ30への第1ワイヤハーネス40の取付が完了する。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0065】
・仮置き用の孔13は、スピーカベゼル11が取り付けられる孔13でなくてもよい。仮置き用の孔13を専用の孔として別途設けてもよい。
・固定部29は、ホルダ本体21から仮置き部25とは反対方向に突出しているものに限定されない。例えば、固定部29が、ホルダ本体21から仮置き部25と同じ方向に突出していてもよい。この場合、ベース部材12に固定部29を逃がす孔を設け、サイドボディ30に仮置き部25を逃がす孔を設ければよい。
【0066】
・固定部29は、ホルダ本体21から突出する形状に限定されない。例えば、固定部29を凹部とし、サイドボディ30の固定用の部位を当該凹部に掛止して固定される凸部としてもよい。
【0067】
・ホルダ本体21は、2つのコネクタ50,60を保持するものに限定されず、第1ワイヤハーネス40の端末の数に応じて1つ、または3つ以上のコネクタを保持するものであってもよい。
【0068】
・ホルダ本体21は、コネクタではなく第1ワイヤハーネス40のハーネス本体を保持してもよい。この場合、例えば、ハーネス本体の外周を覆って保持するように保持部の形状を適宜変更すればよい。
【0069】
・取付対象は、インストルメントパネル10のベース部材12及びサイドボディ30に限定されない。例えば、車両のフロアパネルに配索されるワイヤハーネスに対してホルダ20を適用する場合、取付対象をフロアパネルとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…インストルメントパネル
11…スピーカベゼル(取付部品)
12…ベース部材(取付対象)
13…孔
14…凹部
15…スピーカ
20…ホルダ(ワイヤハーネス用ホルダ)
21…ホルダ本体
22…ベース部
23a…第1側壁
23b…第2側壁
24a…第1保持部(保持部)
24b…第2保持部(保持部)
25…仮置き部
26…突部
26a…開口部
27…爪部
28…操作部
29…固定部
29a…突部
29b…固定爪部
30…サイドボディ(取付対象)
31…Aピラーガーニッシュ
32…固定孔(固定用の部位)
40…第1ワイヤハーネス(ワイヤハーネス)
41,42…端末
50…第1コネクタ
51…挿入口
52…連通孔
53…係合部
60…第2コネクタ
61…挿入口
62…連通孔
63…係合部
70…第2ワイヤハーネス
71…コネクタ
80…第3ワイヤハーネス
81…コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9