(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093913
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】格納庫管理装置、物品貸出サービス管理装置、物品貸出サービス管理システム、および物品貸出サービス管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240702BHJP
G16Y 10/45 20200101ALI20240702BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16Y10/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210562
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】曽我 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】巽 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 博美
(72)【発明者】
【氏名】安樂 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】中矢 豪
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】 建物内に設置された格納庫を用いて提供される物品貸出サービスにおける物品の返却状況を、容易且つ確実に認識することが可能な格納庫管理装置を提供する。
【解決手段】 カーシェアリングサービス管理装置60に通信可能に接続され、サービス提供車両情報記憶部32と車両情報取得部331と識別情報保持部332と車両情報通知部334とを備える。サービス提供車両情報記憶部32は、サービス提供車両の識別情報を記憶する。車両情報取得部331は、駐車場Xに入庫する入庫車両の識別情報を取得する。識別情報保持部332は、取得された入庫車両の識別情報が記憶されたサービス提供車両の識別情報に該当するときに、当該サービス提供車両の識別情報を保持する。車両情報通知部334は、入庫車両の入庫処理が完了したことを検知すると、保持した識別情報を返却車両の識別情報としてカーシェアリングサービス管理装置60に通知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部との無線通信が不可能なエリアにある格納庫内の物品を貸し出す物品貸出サービスを提供するための物品貸出サービス管理装置、および前記物品貸出サービスにより貸し出した物品が前記格納庫に返却される際に当該物品が経由する返却用エリアの近傍に設置され、前記返却用エリアに入った物品を認識して当該物品の識別情報を取得する物品認識装置に通信可能に接続され、
前記物品貸出サービスの提供に用いるサービス提供物品の識別情報を記憶するサービス提供物品情報記憶部と、
前記物品認識装置で取得された物品の識別情報を取得する物品情報取得部と、
前記物品情報取得部において取得された物品の識別情報が、前記サービス提供物品情報記憶部に記憶されたサービス提供物品の識別情報に該当するときに、当該サービス提供物品の識別情報を保持する識別情報保持部と、
前記返却用エリアに入った物品の前記格納庫への返却処理が完了したことを検知すると、前記識別情報保持部が保持した識別情報を、前記物品貸出サービスにおける返却物品の識別情報として、前記物品貸出サービス管理装置に通知する物品情報通知部と、を備える格納庫管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の格納庫管理装置および前記物品貸出サービスを利用する利用者が所持する利用者端末に通信可能に接続され、
前記利用者が前記サービス提供物品を利用する際に、前記利用者端末に、利用対象のサービス提供物品を利用するための電子キーの情報を提供し、前記格納庫管理装置から返却物品の識別情報として、前記利用者の利用対象のサービス提供物品の識別情報を取得すると、前記利用者端末に提供した前記電子キーの情報を無効にする電子キー情報管理部と、を備える物品貸出サービス管理装置。
【請求項3】
前記物品貸出サービスはカーシェアリングサービスであり、前記格納庫は駐車場であり、前記物品は車両、自転車、または自動二輪車であり、前記返却用エリアは車両、自転車、または自動二輪車からの降車場所である、請求項2に記載の物品貸出サービス管理装置。
【請求項4】
前記物品貸出サービスはドローンシェアリングサービスであり、前記格納庫はドローンポートであり、前記物品はドローンである、請求項2に記載の物品貸出サービス管理装置。
【請求項5】
前記物品貸出サービスはロボットシェアリングサービスであり、前記格納庫はロボット駐機拠点であり、前記物品はロボットである、請求項2に記載の物品貸出サービス管理装置。
【請求項6】
前記物品認識装置は、前記返却用エリアに入った物品の利用者が携帯する利用者端末、または当該物品に搭載されている装置から無線通信を介して当該物品の識別情報を取得するかまたは、当該物品のナンバープレートまたは当該物品の車体表面に貼付された情報を読み取ることで当該物品の識別情報を取得する、請求項3または4に記載の物品貸出サービス管理装置。
【請求項7】
前記物品認識装置は、前記返却用エリアに入った物品を撮影するカメラ装置であり、撮影した撮像情報を解析することで、前記返却用エリアに入った物品の識別情報および車体の損傷状態情報を取得し、
前記物品情報取得部は、前記物品認識装置で取得された物品の識別情報および車体の損傷状態情報を取得し、
前記物品情報通知部は、前記返却物品の識別情報を通知する際に、該当する物品の車体の損傷状態情報を併せて通知する、請求項3または4に記載の物品貸出サービス管理装置。
【請求項8】
外部との無線通信が不可能なエリアにある格納庫内の物品を貸し出す物品貸出サービスを提供し、前記物品貸出サービスを利用する利用者が所持する利用者端末に通信可能に接続された物品貸出サービス管理装置と、前記物品貸出サービス管理装置に通信可能に接続された格納庫管理装置と、前記格納庫管理装置に通信可能に接続されて前記物品貸出サービスにより貸し出した物品が前記格納庫に返却される際に当該物品が経由する返却用エリアの近傍に設置された物品認識装置とを備え、
前記物品認識装置は、
前記返却用エリアに入った物品を認識して当該物品の識別情報を取得する識別情報取得部を有し、
前記格納庫管理装置は、
前記物品貸出サービスの提供に用いるサービス提供物品の識別情報を記憶するサービス提供物品情報記憶部と、
前記物品認識装置で取得された物品の識別情報を取得する物品情報取得部と、
前記物品情報取得部において取得された物品の識別情報が、前記サービス提供物品情報記憶部に記憶されたサービス提供物品の識別情報に該当するときに、当該サービス提供物品の識別情報を保持する識別情報保持部と、
前記返却用エリアに入った物品の前記格納庫への返却処理が完了したことを検知すると、前記識別情報保持部が保持した識別情報を、前記物品貸出サービスにおける返却物品の識別情報として、前記物品貸出サービス管理装置に通知する物品情報通知部と、を有し、
前記物品貸出サービス管理装置は、
前記利用者が前記サービス提供物品を利用する際に、前記利用者端末に、利用対象のサービス提供物品を使用するための電子キーの情報を提供し、前記格納庫管理装置から返却物品の識別情報として、前記利用者の利用対象のサービス提供物品の識別情報を取得すると、前記利用者端末に提供した前記電子キーの情報を無効にする電子キー情報管理部と、を有する物品貸出サービス管理システム。
【請求項9】
外部との無線通信が不可能なエリアに設置された格納庫内の物品を貸し出す物品貸出サービスを提供するための物品貸出サービス管理装置、および前記物品貸出サービスにより貸し出した物品が前記格納庫に返却される際に当該物品が経由する返却用エリアの近傍に設置され返却用エリアに入った物品を認識して当該物品の識別情報を取得する物品認識装置に通信可能に接続された格納庫管理装置が、
前記物品貸出サービスの提供に用いるサービス提供物品の識別情報を予め記憶し、
前記物品認識装置で取得された物品の識別情報を取得し、
取得した入庫物品の識別情報が、予め記憶したサービス提供物品の識別情報に該当するときに、当該サービス提供物品の識別情報を保持し、
前記返却用エリアに入った物品の前記格納庫への返却処理が完了したことを検知すると、保持した識別情報を、前記物品貸出サービスにおける返却物品の識別情報として、前記物品貸出サービス管理装置に通知する、物品貸出サービス管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格納庫管理装置、物品貸出サービス管理装置、物品貸出サービス管理システム、および物品貸出サービス管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駐車場に駐車された車両を利用者に貸し出すカーシェアリングサービスが広く普及している。利用者は、カーシェアリングサービスの提供者に対して予め利用予約手続きを行うことで、所望の日時に当該駐車場に駐車された車両を出庫させて利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーシェアリングサービスの提供者は、車両の貸し出し状況を常時管理しており、利用者による所定場所への車両キーの返却の有無、またはGPS(Global Positioning System)等の技術を用いて取得する該当車両の位置情報に基づいて、該当車両が駐車場に返却されたか否かを認識する。
【0005】
しかし、近年は車両のキーとして電子キーを用いることもあり、この場合は、所定場所への車両キーの返却の有無に基づいて車両の返却状況を認識することができない。
【0006】
また、駐車場が建物内に設置され、建物外部との無線通信が不可能である場合、駐車場内でGPS信号を受信できず、車両の位置情報に基づいて返却状況を認識することができないという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、外部との無線通信が不可能なエリアに設置された格納庫を用いて提供される物品貸出サービスにおける物品の返却状況を、容易且つ確実に認識することが可能な、格納庫管理装置、物品貸出サービス管理装置、物品貸出サービス管理システム、および物品貸出サービス管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の格納庫管理装置は、外部との無線通信が不可能なエリアにある格納庫内の物品を貸し出す物品貸出サービスを提供するための物品貸出サービス管理装置、および前記物品貸出サービスにより貸し出した物品が前記格納庫に返却される際に当該物品が経由する返却用エリアの近傍に設置され、前記返却用エリアに入った物品を認識して当該物品の識別情報を取得する物品認識装置に通信可能に接続され、前記物品貸出サービスの提供に用いるサービス提供物品の識別情報を記憶するサービス提供物品情報記憶部と、前記物品認識装置で取得された物品の識別情報を取得する物品情報取得部と、前記物品情報取得部において取得された物品の識別情報が、前記サービス提供物品情報記憶部に記憶されたサービス提供物品の識別情報に該当するときに、当該サービス提供物品の識別情報を保持する識別情報保持部と、前記返却用エリアに入った物品の前記格納庫への返却処理が完了したことを検知すると、前記識別情報保持部が保持した識別情報を、前記物品貸出サービスにおける返却物品の識別情報として、前記物品貸出サービス管理装置に通知する物品情報通知部とを備える。
【0009】
また、本発明の物品貸出サービス管理装置は、上記の格納庫管理装置および前記物品貸出サービスを利用する利用者が所持する利用者端末に通信可能に接続され、前記利用者が前記サービス提供物品を利用する際に、前記利用者端末に、利用対象のサービス提供物品を使用するための電子キーの情報を提供し、前記格納庫管理装置から返却物品の識別情報として、前記利用者の利用対象のサービス提供物品の識別情報を取得すると、前記利用者端末に提供した前記電子キーの情報を無効にする電子キー情報管理部とを備える。
【0010】
また、本発明の他の形態の物品貸出サービス管理システムは、外部との無線通信が不可能なエリアにある格納庫内の物品を貸し出す物品貸出サービスを提供し、前記物品貸出サービスを利用する利用者が所持する利用者端末に通信可能に接続された物品貸出サービス管理装置と、前記物品貸出サービス管理装置に通信可能に接続された格納庫管理装置と、前記格納庫管理装置に通信可能に接続されて前記物品貸出サービスにより貸し出した物品が前記格納庫に返却される際に当該物品が経由する返却用エリア近傍に設置された物品認識装置とを備え、前記物品認識装置は、前記返却用エリアに入った物品を認識して当該物品の識別情報を取得する識別情報取得部を有し、前記格納庫管理装置は、前記物品貸出サービスの提供に用いるサービス提供物品の識別情報を記憶するサービス提供物品情報記憶部と、前記物品認識装置で取得された物品の識別情報を取得する物品情報取得部と、前記物品情報取得部において取得された物品の識別情報が、前記サービス提供物品情報記憶部に記憶されたサービス提供物品の識別情報に該当するときに、当該サービス提供物品の識別情報を保持する識別情報保持部と、前記返却用エリアに入った物品の前記格納庫への返却処理が完了したことを検知すると、前記識別情報保持部が保持した識別情報を、前記物品貸出サービスにおける返却物品の識別情報として、前記物品貸出サービス管理装置に通知する物品情報通知部と、を有し、前記物品貸出サービス管理装置は、前記利用者が前記サービス提供物品を利用する際に、前記利用者端末に、利用対象のサービス提供物品を使用するための電子キーの情報を提供し、前記格納庫管理装置から返却物品の識別情報として、前記利用者の利用対象のサービス提供物品の識別情報を取得すると、前記利用者端末に提供した前記電子キーの情報を無効にする電子キー情報管理部と、を有する。
【0011】
また、本発明の物品貸出サービス管理方法は、外部との無線通信が不可能なエリアに設置された格納庫内の物品を貸し出す物品貸出サービスを提供するための物品貸出サービス管理装置、および前記物品貸出サービスにより貸し出した物品が前記格納庫に返却される際に当該物品が経由する返却用エリアの近傍に設置され返却用エリアに入った物品を認識して当該物品の識別情報を取得する物品認識装置に通信可能に接続された格納庫管理装置が、前記物品貸出サービスの提供に用いるサービス提供物品の識別情報を予め記憶し、前記物品認識装置で取得された物品の識別情報を取得し、取得した入庫物品の識別情報が、予め記憶したサービス提供物品の識別情報に該当するときに、当該サービス提供物品の識別情報を保持し、前記返却用エリアに入った物品の前記格納庫への返却処理が完了したことを検知すると、保持した識別情報を、前記物品貸出サービスにおける返却物品の識別情報として、前記物品貸出サービス管理装置に通知する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の格納庫管理装置、物品貸出サービス管理装置、物品貸出サービス管理システム、および物品貸出サービス管理方法によれば、外部との無線通信が不可能なエリアに設置された格納庫を用いて提供される物品貸出サービスにおける物品の返却状況を、容易且つ確実に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態によるカーシェアリングサービス管理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態によるカーシェアリングサービス管理システムにおいて実行される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の物品貸出サービス管理システムの一形態であるカーシェアリングサービス管理システムの実施形態について説明する。物品貸出サービスは、所定の格納庫に格納された物品を貸し出すサービスであり、その一形態であるカーシェアリングサービスは、格納庫である駐車場に駐車された車両を貸し出すサービスである。
【0015】
〈一実施形態によるカーシェアリングサービス管理装置を用いたカーシェアリングサービス管理システムの構成〉
本発明の一実施形態によるカーシェアリングサービス管理装置を用いたカーシェアリングサービス管理システムの構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態によるカーシェアリングサービス管理システム1(以下、「サービス管理システム1」と記載する)は、カーシェアリングサービスの提供者が、機械式駐車場X内に駐車された車両を利用者に貸し出すサービスを行うためのシステムである。
【0016】
サービス管理システム1は、機械式駐車場Xに設置された機器制御装置10、物品認識装置としての車両認識装置20、および格納庫管理装置としての駐車場管理装置30と、機械式駐車場Xを利用する利用者Uが所持する利用者端末40と、カーシェアリングサービスの提供に用いるサービス提供車両Cに搭載された車載装置50と、物品貸出サービス管理装置としてのカーシェアリングサービス管理装置60(以下、「サービス管理装置60」と記載する)とが、広域通信ネットワーク70を介して接続されて構成されている。機械式駐車場Xは、建物内に設置され、内部エリアは外部からの無線通信が不可能な空間になっている。
【0017】
図1においては、説明を簡略化するためサービス提供車両Cを1台のみ記載しているが、複数の車両を当該カーシェアリングサービスの提供に用いるようにしてもよい。
【0018】
機器制御装置10は、機械式駐車場Xの機器、例えば車両を積載して移動するパレットの動作機構(図示せず)を制御する。車両認識装置20は、カーシェアリングサービスにより貸し出した車両が機械式駐車場Xに返却される際に当該車両が経由する返却用エリア、例えば車両に乗車していた人が車両から降車する降車場所または機械式駐車場Xの入口の近傍に設置される。本実施形態では、返却用エリアが機械式駐車場Xの入口エリアである場合を例に説明する。車両認識装置20は、機械式駐車場Xの入口に入った車両を認識して、該当する車両の識別情報を取得する識別情報取得部(図示せず)を有する。車両認識装置20は、機械式駐車場から出庫する車両を認識してもよい。
【0019】
駐車場管理装置30は、第1通信部31と、サービス提供車両情報記憶部32と、CPU33とを有する。第1通信部31は、広域通信ネットワーク70を介してサービス管理装置60との通信を行う。サービス提供車両情報記憶部32は、サービス提供車両Cの識別情報、およびサービス提供車両の識別情報ごとの現在の状況情報、具体的には、機械式駐車場X内に停止中であるかまたは、利用者が利用中であるかを示す情報を記憶する。
【0020】
CPU30は、車両情報取得部331と、識別情報保持部332と、動作状況取得部333と、車両情報通知部334とを有する。
【0021】
車両情報取得部331は、車両認識装置20で取得された入庫車両の識別情報を取得する。識別情報保持部332は、車両情報取得部331において取得された入庫車両の識別情報が、サービス提供車両情報記憶部32に記憶されたサービス提供車両の識別情報に該当するときに、該当するサービス提供車両の識別情報を保持する。
【0022】
動作状況取得部333は、機器制御装置10による機械式駐車場X内の機器の動作状況情報を取得する。車両情報通知部334は、動作状況取得部333が取得した情報に基づいて機械式駐車場Xの入口エリアに入った車両の機械式駐車場Xへの入庫処理、つまり返却処理が完了したことを検知すると、識別情報保持部332が保持した識別情報を、カーシェアリングサービスにおける返却車両の識別情報として、サービス管理装置60に通知する。
【0023】
利用者端末40は、例えばスマートデバイスで構成され、広域通信ネットワーク70を介してサービス管理装置との通信を行う機能を有する。
【0024】
車載装置50は、サービス提供車両Cの現在位置情報を取得する機能を有する。車載装置50は例えば、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System: GNSS)用の複数の衛星からのGNSS信号を受信して位置情報を算出することによって、サービス提供車両Cの現在位置情報を取得する。GNSSは、一例としてGPS(Global Positioning System)である。車載装置50は、所定時間間隔で取得したサービス提供車両Cの現在位置情報を、カーシェアリングサービス管理装置60に送信する。
【0025】
サービス管理装置60は、第2通信部61と、予約情報管理部62と、車両状況管理部63と、電子キー情報管理部64とを有する。第2通信部61は、広域通信ネットワーク70を介して駐車場管理装置30および利用者端末40との通信を行う。
【0026】
予約情報管理部62は、カーシェアリングサービスを利用するための予約情報を管理する。車両状況管理部63は、車載装置50から取得するサービス提供車両Cの現在位置情報を取得し、保持する。また車両状況管理部63は、駐車場管理装置30から送信される情報に基づいて、機械式駐車場X内の車両の入庫状況を管理する。
【0027】
電子キー情報管理部64は、予約情報管理部62に記憶された予約情報に基づいて、利用者Uが所定の日時に所定のサービス提供車両を利用するための電子キーの情報を発行し、利用者端末40に提供する。また電子キー情報管理部64は、駐車場管理装置30から返却車両の識別情報として、利用者Uの利用対象のサービス提供車両の識別情報を取得すると、利用者端末40に提供した電子キーの情報を無効にする。
【0028】
〈一実施形態によるサービス管理システム1の動作〉
本実施形態によるサービス管理システム1の動作として、利用者Uがカーシェアリングサービスによりサービス提供車両Cを利用し、利用後に返却する際の処理について、
図2のシーケンス図を参照して説明する。
【0029】
まず、利用者Uが利用者端末40を用いてカーシェアリングサービスを利用する日時を入力して利用予約を要求する操作を行うと、利用者端末40が入力された利用する日時の情報を含む利用予約要求を生成し、サービス管理装置60に送信する。
【0030】
サービス管理装置60では、利用者端末40から送信された利用予約要求を、予約情報管理部62が取得し、利用予約を登録する処理を行う。予約情報管理部62によりカーシェアリングサービスの利用予約が登録されると(S1の「YES」)、電子キー情報管理部64が、利用者Uが予約した日時に所定のサービス提供車両Cを利用するための電子キーの情報を発行し、利用者端末40に提供する(S2)。
【0031】
利用者Uは、予約した日時に機械式駐車場Xで所定の操作を行ってサービス提供車両Cを出庫口に移動させ、サービス管理装置60から提供された電子キーを用いてサービス提示車両Cの運転を開始して出庫させることで、サービスを利用する。
【0032】
利用者Uがサービス提供車両Cを機械式駐車場Xから出庫させると、カーシェアリングサービス管理装置60の車両状況管理部63は、車載装置50から取得する現在位置情報に基づいてサービス提供車両Cが機械式駐車場Xから出庫したことを検知する。車両状況管理部63は、サービス提供車両Cが機械式駐車場Xから出庫したことを検知すると、サービス提供車両Cによるカーシェアリングサービスの利用が開始されたことを認識する(S3)。
【0033】
利用者Uは、サービス提供車両Cの利用後に、返却するためにサービス提供車両Cを走行させて機械式駐車場Xに向かう。サービス提供車両Cが返却用エリアである機械式駐車場Xの入口エリアに近づくと、車両認識装置20が機械式駐車場Xに入庫する入庫車両、つまりサービス提供車両Cを認識して、サービス提供車両Cの識別情報を取得する。
【0034】
車両認識装置20は、例えば、サービス提供車両Cに乗車している利用者が携帯する利用者端末40、またはサービス提供車両Cに搭載されている車載装置50から無線通信を介してサービス提供車両Cの識別情報を取得するかまたは、サービス提供車両Cのナンバープレートまたはサービス提供車両Cの車体表面に貼付されたQRコード(登録商標)等の情報を所定の装置、例えばカメラ装置を用いて読み取ることで、サービス提供車両Cの識別情報を取得する。
【0035】
車両認識装置20が利用者端末40または車載装置50からサービス提供車両Cの識別情報を取得する場合に、サービス提供車両Cが車両認識装置20に近づいた際に、車両認識装置20と利用者端末40との間、または車両認識装置20と車載装置50との間の通信を自動接続させるように構成してもよい。
【0036】
車両認識装置20は、取得したサービス提供車両Cの識別情報を駐車場管理装置30に送信する。駐車場管理装置30では、車両認識装置20から送信されたサービス提供装置Cの識別情報を、入庫車両の識別情報として車両情報取得部331が取得する。
【0037】
車両情報取得部331は、入庫車両の識別情報を取得すると、入庫車両の存在の認識し(S4の「YES」)、サービス提供車両情報記憶部32に記憶された情報に基づいて、当該入庫車両がサービス提供車両であるか否かを判定する(S5)。ここでは、取得した入庫車両の識別情報が、サービス提供車両情報記憶部32に記憶されたサービス提供車両の識別情報に該当し、車両情報取得部331は、入庫車両がサービス提供車両であると判定する(S5の「YES」)。
【0038】
車両情報取得部331が、入庫車両がサービス提供車両であると判定すると、識別情報保持部332が、該当するサービス提供車両Cの識別情報を保持する(S6)。
【0039】
その後、機械式駐車場Xにおいて機器制御装置10の制御によりサービス提供車両Cを入庫させる処理が実行され、サービス提供車両Cが入出庫口の内側に入った状態で入出庫口の扉が閉まると、機器制御装置10が戸閉完了通知を生成し、駐車場管理装置30に送信する。
【0040】
駐車場管理装置30では、機器制御装置10から送信された戸閉完了通知を動作状況取得部333が取得し、車両情報通知部334に送出する。車両情報通知部334は、戸閉完了通知を取得すると、入庫車両の機械式駐車場Xへの入庫処理が完了したことを検知する(S7の「YES」)。
【0041】
車両情報通知部334は、入庫車両の機械式駐車場Xへの入庫処理が完了したことを検知すると、識別情報保持部332が保持した識別情報を、カーシェアリングサービスにおける返却車両の識別情報として、サービス管理装置60に通知する(S8)。
【0042】
サービス管理装置60では、駐車場管理装置30から送信された返却車両の識別情報を車両状況管理部63が取得し、サービス提供車両Cが機械式駐車場Xに返却されことを認識する。
【0043】
車両状況管理部63が、サービス提供車両Cが機械式駐車場Xに返却されことを認識すると、電子キー情報管理部64が、利用者端末40に提供した電子キーの情報を無効にする(S9)。
【0044】
また、駐車場管理装置30の車両情報通知部334は、入庫車両の機械式駐車場Xへの入庫処理が完了したことを検知すると、識別情報保持部332が保持した識別情報に対応するサービス提供車両Cが機械式駐車場Xに入庫したことを示す情報をサービス提供車両情報記憶部32に記憶させる。
【0045】
以上の実施形態によれば、カーシェアリングサービス管理装置60は、サービス提供車両の返却状況を車両キーの返却状況から判断せず、駐車場管理装置30からの通知に基づいて判断するため、電子キーを用いてカーシェアリングサービスを提供する場合であっても車両の返却状況を適切に判断することができる。
【0046】
また、カーシェアリングサービス管理装置60は、サービス提供車両の返却状況を、GPS信号を用いた車両の位置情報から判断せず、駐車場管理装置30からの通知に基づいて判断するため、GPS信号を受信不可能な建物内に設置された駐車場を利用する場合であっても車両の返却状況を適切に判断することができる。
【0047】
上述した実施形態においては、カーシェアリングサービスで提供する車両のキーとして電子キーを用いる場合について説明したが、これには限定されず、従来の鍵穴に差し込んで回すタイプのキーや、リモコンキー等を用いてもよい。これらのキーを、利用者に貸し出す場合、または利用者が返却する場合には、該当する車両内や駐車場内の所定位置に設置されたキーボックス等で利用者がキーの所定部分(例えば、キーホルダー部分)を抜き差しすることで行う。これらのキーの所定位置への抜き差し状況の情報を機器制御装置10が取得し、該当する車両の利用状況情報の補助情報として駐車場管理装置30に送信してもよい。
【0048】
また上述した実施形態においては、車両認識装置20が、機械式駐車場Xへ入庫する車両の識別情報を、利用者が携帯する利用者端末40、または入庫車両に積載されている車載装置50から無線通信を介して取得するかまたは、入庫車両のナンバープレートまたは入庫車両の車体表面に貼付された情報を読み取って取得する。このように処理を行うことで、特別な操作を必要とせず、簡易に車両認識装置20が入庫車両の識別情報を取得することができる。
【0049】
上述した実施形態において、入庫車両の識別情報を取得するために車両認識装置20としてカメラ装置を設置し、当該カメラ装置が撮影した撮像情報を解析することで入庫車両の識別情報のみならず車体の損傷状態情報を取得してもよい。この場合、車両情報取得部331が、取得された入庫車両の識別情報および車体の損傷状態情報を取得し、車両情報通知部が、返却車両の識別情報をサービス管理装置60に通知する際に、該当する入庫車両の車体の損傷状態情報を併せて通知する。このように構成することで、車両を返却する際の手続きを簡易にすることができ、利用者の利便性が向上する。
【0050】
また、上述した実施形態においては、機械式駐車場Xから出庫した車両を、当該車両の車載装置から取得する現在位置情報に基づいてサービス管理装置60が認識する場合について説明したが、これには限定されず、車両認識装置20が取得する出庫車両の識別情報に基づいて認識するようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態においては、カーシェアリングサービスで用いる駐車場が機械式駐車場の場合について説明したが、これには限定されず、建物内の自走式の駐車場等を用いる場合にも適用することができる。また、貸し出し対象の物品は車両には限定されず、例えば自転車または自動二輪車であってもよい。
【0052】
また、上述した実施形態においては、物品貸出サービスの一形態であるカーシェアリングサービスを提供するサービス管理システムについて説明したが、上述した実施形態で説明したサービス管理システムが実行する処理を、他の物品を貸し出すサービスを提供するシステムで用いてもよい。
【0053】
例えば、上述した実施形態で説明した処理を、物品貸出サービスの他の形態であるドローンシェアリングサービスまたはロボットシェアリングサービスで用いることができる。ドローンシェアリングサービスでは、ドローンポートに格納された、無人飛行体であるドローンを貸し出すサービスを提供する。ロボットシェアリングサービスでは、ロボット駐機拠点に格納されたロボット、例えば物品の宅配を行うロボットを、複数の宅配業者または飲食店に貸し出すサービスを提供する。これらのサービスにより提供されたドローンまたはロボットの返却状況に関しても、容易且つ確実に認識することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 カーシェアリングサービス管理システム
10 機器制御装置
20 車両認識装置
30 駐車場管理装置
31 第1通信部
32 サービス提供車両情報記憶部
40 利用者端末
50 車載装置
60 カーシェアリングサービス管理装置(サービス管理装置)
61 第2通信部
62 予約情報管理部
63 車両状況管理部
64 電子キー情報管理部
70 広域通信ネットワーク
331 車両情報取得部
332 識別情報保持部
333 動作状況取得部
334 車両情報通知部