(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093917
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】清掃ルーム
(51)【国際特許分類】
B08B 15/02 20060101AFI20240702BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20240702BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20240702BHJP
E04G 21/32 20060101ALI20240702BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B08B15/02
E04G23/02 Z
E04G23/08 Z
E04G21/32 B
B24C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210568
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】512158158
【氏名又は名称】株式会社吉原鉄工所
(71)【出願人】
【識別番号】000206934
【氏名又は名称】株式会社マルテー大塚
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】吉原 慎二
(72)【発明者】
【氏名】青柳 真輔
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA05
2E176BB36
2E176DD64
(57)【要約】
【課題】ブラスト装置に回収された粉塵のかき出し作業を行う場合において粉塵の飛散を防止する清掃ルームを提供する。
【解決手段】天井に相当する天井部と、床面に相当する床部と、天井部と床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、壁部は、ブラスト装置を清掃するための開口部と、を有する清掃ルームである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に相当する天井部と、
床面に相当する床部と、
前記天井部と前記床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、
前記壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、
前記ブラスト装置を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、
作業者が出入りするための扉となる扉部と、を有し、
前記扉部から侵入した作業者を視認可能にするために、前記壁部の一部または全部を透明な部材で構成する清掃ルーム。
【請求項2】
天井に相当する天井部と、
床面に相当する床部と、
前記天井部と前記床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、
前記壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、
前記ブラスト装置を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、
作業者が出入りするための扉となる扉部と、
前記天井部は、釣り下げるための吊り下げ部と、を有し、
前記扉部から侵入した作業者を視認可能にするために、前記壁部の一部または全部を透明な部材で構成する清掃ルーム。
【請求項3】
天井に相当する天井部と、
床面に相当する床部と、
前記天井部と前記床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、
前記壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、
前記ブラスト装置を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、
作業者が出入りするための扉となる扉部と、
前記天井部は、釣り下げるための吊り下げ部と、
前記床面の下部に移動するためのフォークリフト用の爪を挿入する爪受け部と、を有し、前記扉部から侵入した作業者を視認可能にするために、前記壁部の一部または全部を透明な部材で構成する清掃ルーム。
【請求項4】
天井に相当する天井部と、
床面に相当する床部と、
前記天井部と前記床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、
前記壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、
前記ブラスト装置を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、
作業者が出入りするための扉となる扉部と、
前記天井部は、釣り下げるための吊り下げ部と、
前記床面の下部に移動するためのフォークリフト用の爪を挿入する爪受け部と、を有し、前記扉部から侵入した作業者を視認可能にするために、前記壁部の一部または全部を透明な部材で構成する清掃ルーム。
【請求項5】
前記壁部は、壁となる第1壁部と、壁となる第2壁部と、壁となる第3壁部と、壁となる第4壁部と、を有し、
前記第1壁部は、前記ブラスト装置を清掃するための前記第1開口部または第2開口部と、を有し、
前記第2壁部は、その全部または一部を透明な部材で構成し、
前記第3壁部は、飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための前記集塵開口部と、を有し、
前記第4壁部は、前記作業者が出入りするための扉となる前記扉部と、を有する請求項1から4のいずれかに記載の清掃ルーム。
【請求項6】
前記壁部は、壁となる第1壁部と、壁となる第2壁部と、壁となる第3壁部と、壁となる第4壁部と、を有し、
前記第1壁部は、前記ブラスト装置を清掃するための前記第1開口部または第2開口部と、を有し、
前記第2壁部は、その全部または一部を透明な部材で構成し、
前記第3壁部は、飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための前記集塵開口部と、を有し、
前記第4壁部は、前記作業者が出入りするための扉となる前記扉部と、を有し、
前記集塵開口部に負圧集塵機をさらに有する請求項1から4のいずれかに記載の清掃ルーム。
【請求項7】
前記壁部は、壁となる第1壁部と、壁となる第2壁部と、壁となる第3壁部と、壁となる第4壁部と、を有し、
前記第1壁部は、前記ブラスト装置を清掃するための前記第1開口部または第2開口部と、を有し、
前記第2壁部は、その全部または一部を透明な部材で構成し、
前記第3壁部は、飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための前記集塵開口部と、を有し、
前記第4壁部は、前記作業者が出入りするための扉となる前記扉部と、を有し、
前記集塵開口部に負圧集塵機をさらに有し、
前記扉部は、前記負圧集塵機の吸引力を発揮せるために空気を流入させるためのガラリと、を有する請求項1から4のいずれかに記載の清掃ルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の解体あるいは改修工事に伴い、有害物質を含有する塗装を除去するときに使用するブラスト装置を清掃する際に使用する清掃ルームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物の解体あるいは改修工事に伴い、有害物質の飛散が懸念され、健康被害の発生を防止すべくその飛散を防止する必要がある。
【0003】
例えば、橋梁、橋脚、鉄塔などの屋外の建築物は風雨にさらされるためにその表面を被覆材あるいは塗装によって覆われている。この被覆材又は塗装は長年の使用により劣化するために、一定の期間経過後にその劣化した被覆材あるいは塗装をはがして新たな塗装をする必要が生じる。
【0004】
そこでその劣化した被覆材あるいは塗装に研掃材を吹き付けてその被覆材あるいは塗装をはがす、いわゆるブラスト作業を行う必要がある。
【0005】
ここで、ブラスト作業に使用するブラスト装置として例えば、特許第6509076号公報が開示されている。このブラスト装置は、研掃材を噴出するための噴出用ホースと連通する供給口をタンク下部に備え、該研掃材を貯留する貯留タンクと、該貯留タンクの供給口から供給された研掃材を、圧縮空気により前記噴出用ホースを介して噴出させるエア供給手段と、前記噴出用ホースから噴出された使用済みの研掃材と該噴出により生じた粉塵とを、吸引用ホースを介して吸引する吸引手段と、該吸引用ホースで吸引された使用済みの研掃材と粉塵とを分別する分別手段と、該分別手段の下方に設けられ、分別された研掃材を貯留する回収材貯留域とをタンク内部に備え、前記貯留タンクの上部に設けられた連通口を介して該貯留タンクと回収材貯留域とが連通された回収タンクとを備えたものである。
【0006】
このブラスト装置において、前記回収タンクは、前記吸引用ホースと連通され、該吸引用ホースにより吸引された使用済みの研掃材および粉塵を該回収タンク内の上部空域へ流入させる吸引口と、該回収タンク内の上部空域と連通され、前記分別手段により分別された粉塵が排出される排出口とを備え、前記吸引手段は、前記排出口を介して回収タンク内の上部空域に負圧を生じさせることにより、吸引用ホースを介して使用済みの研掃材と粉塵とを吸引し、且つ該排出口を介して該回収タンク外へ該粉塵を排出するように設けられ、この排出口を介して該回収タンク外へ排出された粉塵は、ダスト室に留まる。
【0007】
上記ブラスト装置は、その性能を維持するためには、ダスト室に留まった粉塵のかき出し作業を行うことが必要となる。
【0008】
しかしながら、その橋梁、橋脚、鉄塔などの屋外の建築物にブラスト作業を行うためにそのブラスト装置は屋外に設置されることになり、そのダスト室に留まった粉塵のかき出し作業も、屋外でせざるをえないことになる。
【0009】
一方で、劣化した被覆材あるいは塗装には、鉛、クロム、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有する場合があり上述のブラスト装置におけるダスト室に留まったその劣化した被覆材あるいは塗装からなる粉塵のかき出し作業を屋外で行う際に、その粉塵が周囲に飛散する恐れがある。また、その際にその作業の作業者は、その粉塵を被ばくする恐れがある。さらに、近隣の住民にまでその粉塵を被ばくするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、ブラスト装置に回収された粉塵のかき出し作業を行う場合において粉塵の飛散を防止する清掃ルームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するために、第1観点の清掃ルームは、天井に相当する天井部と、床面に相当する床部と、天井部と床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、ブラスト装置を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、作業者が出入りするための扉となる扉部と、を有し、扉部から侵入した作業者を視認可能にするために当該壁部の一部または全部を透明な部材で構成するというものである。
【0013】
また、第2観点の清掃ルームは、天井に相当する天井部と、床面に相当する床部と、天井部と床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、ブラスト装置を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、作業者が出入りするための扉となる扉部と、天井部は、釣り下げるための吊り下げ部と、を有し、扉部から侵入した作業者を視認可能にするために、壁部の一部または全部を透明な部材で構成するというものである。
【0014】
また、第3観点の清掃ルームは、天井に相当する天井部と、床面に相当する床部と、天井部と床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、ブラスト装置を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、作業者が出入りするための扉となる扉部と、天井部は、釣り下げるための吊り下げ部と、床面の下部に移動するためのフォークリフト類の爪を挿入する爪受け部と、を有し、扉部から侵入した作業者を視認可能にするために、壁部の一部または全部を透明な部材で構成するというものである。
【0015】
また、第4観点の清掃ルームは、天井に相当する天井部と、床面に相当する床部と、天井部と床部との間に配置する壁に相当する壁部と、を有し、壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、ブラスト装置を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、作業者が出入りするための扉となる扉部と、天井部は、釣り下げるための吊り下げ部と、床面の下部に移動するためのフォークリフト用の爪を挿入する爪受け部と、を有し、扉部から侵入した作業者を視認可能にするために、壁部の一部または全部を透明な部材で構成するというものである。
【0016】
また、第5観点の清掃ルームは、第1観点から第4観点において、壁部は、壁となる第1壁部と、壁となる第2壁部と、壁となる第3壁部と、壁となる第4壁部と、を有し、第1壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、を有し、第2壁部は、その全部または一部を透明な部材で構成し、第3壁部は、飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、を有し、第4壁部は、作業者が出入りするための扉となる扉部と、を有するというものである。
【0017】
また、第6観点の清掃ルームは、第1観点から第4観点において、壁部は、壁となる第1壁部と、壁となる第2壁部と、壁となる第3壁部と、壁となる第4壁部と、を有し、第1壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、を有し、第2壁部は、その全部または一部を透明な部材で構成し、第3壁部は、飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、を有し、第4壁部は、作業者が出入りするための扉となる扉部と、を有し、集塵開口部に負圧集塵機をさらに有するというものである。
【0018】
また、第7観点の清掃ルームは、第1観点から第4観点において、壁部は、壁となる第1壁部と、壁となる第2壁部と、壁となる第3壁部と、壁となる第4壁部と、を有し、
第1壁部は、ブラスト装置を清掃するための第1開口部または第2開口部と、を有し、第2壁部は、その全部または一部を透明な部材で構成し、第3壁部は、飛散する粉塵を収集する負圧集塵機を取り付けるための集塵開口部と、を有し、第4壁部は、作業者が出入りするための扉となる扉部と、を有し、集塵開口部に負圧集塵機をさらに有し、扉部は、負圧集塵機の吸引力を発揮せるために空気を流入させるためのガラリと、を有するというものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、ブラスト装置に回収された粉塵のかき出し作業を行う場合において粉塵の飛散を防止する清掃ルームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】Aは、清掃ルームの平面図である。Bは、清掃ルームの底面図である。
【
図4】Aは、清掃ルームの左側面図である。Bは、清掃ルームの右側面図である。
【
図6】ブラスト装置に清掃ルームを配置した状態の正面状態図である。
【
図7】ブラスト装置に清掃ルームを配置した状態の左側面状態図である。
【
図8】ブラスト装置に清掃ルームを配置した状態の平面状態図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図示の実施形態を参照して、本実施例の清掃ルーム10について説明する。本実施例の清掃ルーム10は、箱状を呈する移動可能な部屋として機能するものであり、天井に相当する天井部20と、床面に相当する床部30と、その天井部20と床部30との間に配置する壁に相当する壁部40と、を有するものである。天井部20は長辺に相当する上部第1長辺部21と、上部第2長辺部22と、短辺に相当する上部第1短辺部23と、上部第2短辺部24と、を有する平面視矩形状を呈することが好ましい。また、天井部20の上方には、清掃ルーム10を、図示しないクレーンで持ち上げるためのフックを取り付ける吊り下げ部28を4角26に配置している。
【0022】
また、床部30は、所定の厚さtを有するとともに板状を呈するものであり、長辺に相当する下部第1長辺部31、下部第2長辺部32と短辺に相当する下部第1短辺部33、下部第2短辺部34とを有する平面視矩形状を呈することが好ましい。また、床部30の下部には、清掃ルーム10を、図示しないフォークリフトで持ち上げるためにそのフォークリフトの一対の爪を受ける受け部38、38を配置している。
【0023】
また、受け部38、38は溝状あるいは厚さt部分をくりぬいたトンネル状を呈するように構成し、その床部30に配置するものであり、下部第1短辺部33および下部第2短辺部34に平行かつ、下部第1長辺部31と、下部第2長辺部32と、を渡すように配置している。受け部38、38の間隔は、フォークリフトあるいはハンドリフトなどのフォークリフト類の一対の爪(フォーク)を挿入することができる間隔に配置することが好ましく、受け部38、38をその一対の爪で受けた場合において、清掃ルーム10を移動するときにバランスをくずすことない位置に配置することが好ましい。
【0024】
壁部40は、文字通り清掃ルーム10の壁に相当するものであり、周囲を囲うように配置している。すなわち、壁部40は、板状の壁となる第1壁部50、板状の壁となる第2壁部60、板状の壁となる第3壁部70、板状の壁となる第4壁部80とを有し、それらは平面視において口の字状を呈し、それぞれ直角に接続されている。また、壁部40における第1壁部50は、上部第1長辺部21と下部第1長辺部31との間に渡すように配置されている。また、壁部40は、ブラスト装置100を清掃するための第1開口部51と第2開口部52とを有している。
【0025】
また、壁部40における第2壁部60は、上部第2長辺部22と下部第2長辺部32との間に渡すように配置されている。また、壁部40における第3壁部70は、上部第1短辺部23と下部第1短辺部33との間に渡すように配置されている。また、壁部40における第4壁部80は、上部第2短辺部24と下部第2短辺部34との間に渡すように配置されている。
【0026】
また、壁部40は、ブラスト装置100を清掃するための第1開口部51と第2開口部52とを有している。例えば、壁部40における第1壁部50は、ブラスト装置100を清掃するための開口する第1開口部51とを有し、その第1開口部51から、後述するブラスト装置100の清掃を行うことができる。また、第1壁部50は、ブラスト装置100を清掃するための開口する第2開口部52とを有し、その第2開口部51から、後述するブラスト装置100の清掃を行うことができる。ここで、ブラスト装置100について簡単に説明する。ブラスト装置100はすでに公知であり、ブラスト装置100によって、ブラスト作業により構造物から剥離された被覆材あるいは塗装からなる粉塵はサイクロン部110で収集される。また、その吸引された粉塵がサイクロン部110に補足されるものの、そのサイクロン部110で補足されない粉塵は、集塵機130で収集される。なお、サイクロン部110に補足された粉塵はサイクロンタンク115に収集される。また、集塵機130で収集された粉塵は、集塵タンク135に収集される。このようにしてブラスト装置100によって、ブラスト作業により構造物から剥離された被覆材あるいは塗装からなる粉塵の飛散を防止することができる。特に、その粉塵に、鉛、クロム、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有する場合において、その飛散を可及的に防止することができる。
【0027】
上述の第1開口部51は、集塵タンク135に収集された粉塵をかき出すためにものである。また、第2開口部52は、サイクロンタンク115に収集された粉塵をかき出すためのものである。なお、また、第1壁部50は開口する第3開口部53を有することも好ましい。ブラスト装置100においては配管120など突起となる部分があり、ブラスト装置100に、本実施例の清掃ルーム10を接続したときにその突起となる部分と干渉する場合がある。そのために第3開口部53を設けることで、その突起との干渉を防止しているのである。
【0028】
また、壁部40における第2壁部60はその全部または一部に透明な部材で構成することが好ましい。例えば、第2壁部60はガラス、透明な樹脂たとえば、アクリル樹脂あるいはポリカーボネイトで構成することができる。このように第2壁部60はその全部または一部に透明な部材で構成することにより、内部の作業者の様子を視認することができるので事故を防止することができる。もっとも、第2壁部60にかぎられず、第1壁部50、第3壁部70の一部またはその全部を上述の透明な部材で構成しても好ましい。
【0029】
また、第3壁部70は、ブラスト装置100を清掃したときに飛散する粉塵を収集する負圧集塵機200を取り付けるための負圧集塵開口部71と、を有する。また、その負圧集塵開口部71の下方に負圧集塵機200を載置する台72をさらに有する場合がある。なお負圧集塵開口部71の高さは、床部30から1メートルの高さに配置することが好ましい。作業者の上半身の周囲に漂う粉塵を集塵することによって、粉塵の吸引を可及的に防止するためである。
【0030】
ここで負圧集塵機200について簡単に説明する。負圧集塵機200はすでに公知であり、ブラスト装置100によって、ブラスト作業により構造物から剥離された被覆材あるいは塗装からなる粉塵の飛散を吸引し清浄な空気を排出することができるというものであり、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタを装備している。特に、その粉塵に、鉛、クロム、PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有する場合において、その粉塵を吸引し清浄な空気を排出することができるというものである。
【0031】
また、第4壁部80は、開閉可能な扉となる扉部81を配置する。この扉部81を通じてブラスト装置100から飛散する粉塵を清掃する作業者が清掃ルーム10内に出入り可能となるというものである。なお、その第4壁部80の一部またはその全部を上述の透明な部材で構成しても好ましい。第4壁部80の一部またはその全部を上述の透明な部材で構成することで、当該清掃ルーム10内で、清掃作業をしている作業員の様子を観察することができるので、その作業員の非常時に迅速に対応することができるというものである。
【0032】
またその扉81は、吸引孔となるガラリ82付きの扉であることが好ましい。このガラリ82は負圧集塵機200の吸引力を発揮せるために清掃ルーム10内に空気を流入させるためのものである。
【0033】
また、上記構成の清掃ルーム10は、高さが2メートル、奥行き80センチメートル、幅が2メートル7センチメートルであることが好ましい。このサイズであれば、ブラスト装置100の幅と清掃ルーム10の幅を一致させることにより、隙間を少なくすることができる。また、奥行きは、扉81の開閉に支障がきたす恐れが少なく、可及的に清掃ルーム10の内容積を必要最小限にすることにより、清掃ルーム10内の換気を頻繁に行うことができる。もっとも、それらの寸法に限られることがないのは言うまでもない。
【0034】
上記構成の清掃ルーム10の使用方法について説明する。例えば上述の通り、橋梁などの屋外建築物の塗装剥離作業を行う場合に、そのブラスト装置100は屋外に設置される。トラックなどで、清掃ルーム10をその現場に運び、図示しないクレーンで持ち上げるために、上部25の4角26に配置した吊り下げ部28にそのクレーンのフックを取り付け、ブラスト装置100に密着するように配置する。なおこの場合図示しない、フォークリフトの一対の爪を、受け部38、38に挿入するようにし、清掃ルーム10を現場に運ぶこともできる。
【0035】
ここで、本実施例の清掃ルーム10とブラスト装置100を密着するように配置するとは、例えば、上述の第1開口部51と、第2開口部52、第3開口部53を有する場合は、それらの開口部とブラスト装置100との間の隙間を図示しないテープで塞ぐように配置する。
【0036】
また、第3壁部70における負圧集塵開口部71に負圧集塵機200を取り付ける。その際に台部72にその負圧集塵機200を載置する。その後、扉81を通じて清掃ルーム10内に入った作業者が、第2開口部52から、ブラスト装置100のサイクロン部110のサイクロンタンク115に補足された粉塵のかき出し作業を行う。また、その作業者は、扉となる集塵タンク扉136を開き、集塵機130で収集され、集塵タンク135に収集された粉塵を第1開口部51からかき出す。
【0037】
この場合において清掃ルーム10内にブラスト装置100から上述のかき出し作業を行う際に浮遊した粉塵を、負圧集塵開口部71に取り付けた負圧集塵機200で吸引する。清掃ルーム10は一定の気密が保たれているものの負圧集塵機200で吸引する程度の空気の流入は許容されている。すなわち扉81に配置したガラリ82から空気が流入することで、浮遊した粉塵は、清掃ルーム10の外部に漏洩することなく負圧集塵機200に収集される。とくに負圧集塵機200は、上述の所定の高さに配置されているために、作業者の上半身の周囲に漂う粉塵を収集することができる。上述の通り、負圧集塵機200は、HEPAフィルタを装備しているので、第1開口部51あるいは第2開口部52を通じてかき出した粉塵が、浮遊したとしても、その負圧集塵機200におけるHEPAフィルタによって補足されるので外部に漏洩する恐れを可及的に防止することができる。
【0038】
このように本実施例の清掃ルーム10は、第1開口部51あるいは第2開口部52を有する。よって、ブラスト装置100のサイクロン部110のサイクロンタンク115に補足された粉塵のかき出し作業を、第2開口部52を通じて行う場合において、その粉塵を清掃ルーム10に閉じ込めたまま負圧集塵機200を作動させることでその粉塵を外部に漏れることを防止しつつその粉塵の飛散を可及的に防止することができる。また、同様に、ブラスト装置100の集塵機130で収集され、集塵タンク135に収集された粉塵のかき出し作業を、第1開口部51を通じて行う場合において、その粉塵を清掃ルーム10に閉じ込めたまま負圧集塵機200を作動させることでその粉塵を外部に漏れることを防止しつつその粉塵の飛散を可及的に防止することができる。
【0039】
また、作業者は、ブラスト装置100を清掃したときに飛散する雰囲気中で上述の作業をおこなうが、第2壁部60はその全部または一部に透明な部材で構成することにより、内部の作業者の様子を視認することができる。例えば粉塵を誤って吸引したとき気分が悪くなるなどの様子を外部からうかがうことができるので、危険を予防することができるというものである。
【符号の説明】
【0040】
10 清掃ルーム
20 天井部
28 吊り下げ部
30 床部
38 受け部
40 壁部
50 第1壁部
51 第1開口部
52 第2開口部
53 第3開口部
60 第2壁部
70 第3壁部
71 負圧集塵開口部
80 第4壁部
81 扉部
100 ブラスト装置
200 負圧集塵機