(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093924
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】トイレ管理システム、及びトイレ管理方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/22 20060101AFI20240702BHJP
A47K 17/00 20060101ALN20240702BHJP
E03D 11/00 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
G08B21/22
A47K17/00
E03D11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210582
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000155333
【氏名又は名称】株式会社木村技研
(71)【出願人】
【識別番号】391007460
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・エンジニアリング名古屋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 朝映
(72)【発明者】
【氏名】矢▲崎▼ 賢一
(72)【発明者】
【氏名】熊▲崎▼ 隆行
(72)【発明者】
【氏名】森下 卓哉
【テーマコード(参考)】
2D037
2D039
5C086
【Fターム(参考)】
2D037EA00
2D039CD00
2D039FB03
5C086AA22
5C086BA04
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA01
5C086FA11
(57)【要約】
【課題】 トイレブースの不適切な利用を精度良く検出する技術を提供する。
【解決手段】 トイレ管理システムが、トイレブース内の利用者を検出するセンサと、前記トイレブース内に存在する前記利用者の人数を求める計数部と、前記利用者の人数が複数である場合に、前記センサの検出結果に基づいて、前記トイレブース内に存在する複数の利用者に子供が含まれているか否かを識別し、前記複数の利用者に子供が含まれていない場合に、前記複数の利用者による利用が不適切利用であると判定する不適切利用判定部と、前記不適切利用であると判定された場合に、警報を出力する警報部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレブース内の利用者を検出するセンサと、
前記トイレブース内に存在する前記利用者の人数を求める計数部と、
前記利用者の人数が複数である場合に、前記センサの検出結果に基づいて、前記トイレブース内に存在する複数の利用者に子供が含まれているか否かを識別し、前記複数の利用者に子供が含まれていない場合に、前記複数の利用者による利用が不適切利用であると判定する不適切利用判定部と、
前記不適切利用であると判定された場合に、警報を出力する警報部と、
を備えるトイレ管理システム。
【請求項2】
前記センサが、前記利用者の頭部の大きさを検出し、
前記不適切利用判定部は、前記複数の利用者のうち少なくとも一人の頭部の大きさが所定値以下である場合に、前記複数の利用者に子供が含まれていると識別する請求項1に記載のトイレ管理システム。
【請求項3】
前記センサが、前記利用者の背の高さを検出し、
前記不適切利用判定部は、前記複数の利用者のうち少なくとも一人の背の高さが所定値以下である場合に、前記複数の利用者に子供が含まれていると識別する請求項1に記載のトイレ管理システム。
【請求項4】
前記センサが、前記利用者の頭部が位置する高さを検出し、
前記不適切利用判定部は、前記複数の前記利用者のうち少なくとも一人の頭部が、所定の高さ以下に位置する場合に、前記複数の利用者に子供が含まれていると識別する請求項1に記載のトイレ管理システム。
【請求項5】
前記センサが、前記利用者のアウトラインを示す画像を取得するセンサである請求項1~4の何れか1項に記載のトイレ管理システム。
【請求項6】
トイレブース内の利用者を検出するセンサと、警報を出力する警報部と、前記センサ及び警報部と接続された制御部とを備えるトイレ管理システムが実行するトイレ管理方法であって、
前記トイレブース内に存在する前記利用者の人数を求めるステップと、
前記利用者の人数が複数である場合に、前記センサの検出結果に基づいて、前記トイレブース内に存在する複数の利用者に子供が含まれているか否かを識別し、前記複数の利用者に子供が含まれていない場合に、前記複数の利用者による利用が不適切利用であると判定するステップと、
前記不適切利用であると判定された場合に、前記警報部から警報を出力させるステップと、
を実行するトイレ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ショッピングモールや、雑居ビル、高速道路のパーキングエリアなど、多数の人が利用する施設には、概ねトイレが設置されている。このような多くの人に利用されるトイレでは、何らかの異常が発生した場合に、担当者が、この異常の発生を把握し、速やかに対応することが望まれる。このため、特許文献1では、トイレブース内で異常を検出した場合に警報を出力するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トイレブースは、使用時に密室となるため、複数人が入室して不適切な行為に利用される恐れがあった。この不適切利用を検出するためには、トイレブースに存在するユーザの人数を検出し、複数人で使用している場合に異常と検出することが考えられる。しかしながら、トイレブースは、例えば、子供の用足しに親が伴って入室する場合や、親が乳児を抱えたまま入室する場合など、保護者が被保護者を伴って使用することもあるため、使用人数だけで不適切な利用を判定することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、トイレブースの不適切な利用を精度良く検出する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るトイレ管理システムは、
トイレブース内の利用者を検出するセンサと、
前記トイレブース内に存在する前記利用者の人数を求める計数部と、
前記利用者の人数が複数である場合に、前記センサの検出結果に基づいて、前記トイレブース内に存在する複数の利用者に子供が含まれているか否かを識別し、前記複数の利用者に子供が含まれていない場合に、前記複数の利用者による利用が不適切利用であると判定する不適切利用判定部と、
前記不適切利用であると判定された場合に、警報を出力する警報部と、
を備える。
【0007】
前記トイレ管理システムにおいて、
前記センサが、前記利用者の頭部の大きさを検出し、
前記不適切利用判定部は、前記複数の利用者のうち少なくとも一人の頭部の大きさが所定値以下である場合に、前記複数の利用者に子供が含まれていると識別してもよい。
【0008】
前記トイレ管理システムにおいて、
前記センサが、前記利用者の背の高さを検出し、
前記不適切利用判定部は、前記複数の利用者のうち少なくとも一人の背の高さが所定値以下である場合に、前記複数の利用者に子供が含まれていると識別してもよい。
【0009】
前記トイレ管理システムにおいて、
前記センサが、前記利用者の頭部が位置する高さを検出し、
前記不適切利用判定部は、前記複数の前記利用者のうち少なくとも一人の頭部が、所定の高さ以下に位置する場合に、前記複数の利用者に子供が含まれていると識別してもよい。
【0010】
前記トイレ管理システムは、前記センサが、前記利用者のアウトラインを示す画像を取得するセンサであってもよい。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係るトイレ管理方法は、
トイレブース内の利用者を検出するセンサと、警報を出力する警報部と、前記センサ及び警報部と接続された制御部とを備えるトイレ管理システムが実行するものであって、
前記トイレブース内に存在する前記利用者の人数を求めるステップと、
前記利用者の人数が複数である場合に、前記センサの検出結果に基づいて、前記トイレブース内に存在する複数の利用者に子供が含まれているか否かを識別し、前記複数の利用者に子供が含まれていない場合に、前記複数の利用者による利用が不適切利用であると判定するステップと、
前記不適切利用であると判定された場合に、前記警報部から警報を出力させるステップと、
を実行する。
【0012】
また、本発明は、上記トイレ管理方法をコンピュータに実行させるためのトイレ管理プログラムであっても良い。更に、前記トイレ管理プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録されていても良い。
【0013】
ここで、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータから読み取ることができる記憶媒体をいう。このような記憶媒体の内コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD(登録商標)、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記憶媒体としてハードディスクやROM(リードオンリーメモリ)等がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トイレブースの不適切な利用を精度良く検出する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係るセキュリティ管理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、トイレブースの一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、トイレブースの扉を閉じた状態を示す正面図である。
【
図4】
図4は、トイレブースの扉を開いた状態を示す正面図である。
【
図5】
図5は、コントローラの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、トイレブースの制御装置が、トイレ管理プログラムに従って実行するトイレ管理方法の処理を示す図である。
【
図8】
図8は、大人の利用者が二人でトイレブースに入室した状態を示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示した状態のトイレブース内を利用者センサの位置から撮像した場合の画像を示す図である。
【
図10】
図10は、
図8に示した状態のトイレブースにおいて利用者センサが検出した輪郭画像を示す図である。
【
図11】
図11は、親子でトイレブースに入室した状態を示す側面図である。
【
図12】
図12は、
図11に示した状態のトイレブース内を利用者センサの位置から撮像した場合の画像を示す図である。
【
図13】
図13は、
図11に示した状態のトイレブースにおいて利用者センサが検出した輪郭画像を示す図である。
【
図14】
図14は、第二実施形態に係るセンサを備えたトイレブースを示す側面図である。
【
図16】
図16は、第三実施形態に係るセンサを備えたトイレブースを示す側面図である。
【
図17】
図17は、パターン投光器がトイレブース内へパターン光P1を投光した場合に、トイレブース内を側方から見た状態を示す図である。
【
図18】
図18は、
図17の投光状態を利用者センサの撮像素子で撮像した画像を示す図である。
【
図19】
図19は、パターン投光器がトイレブース内へパターン光P2を投光した場合に、トイレブース内を側方から見た状態を示す図である。
【
図20】
図20は、
図19の投光状態を利用者センサの撮像素子で撮像した画像を示す図である。
【
図21】
図21は、パターン投光器がトイレブース内へパターン光P3を投光した場合に、トイレブース内を側方から見た状態を示す図である。
【
図22】
図22は、
図21の投光状態を利用者センサの撮像素子で撮像した画像を示す図である。
【
図23】
図23は、パターン投光器がトイレブース内へパターン光P1を投光した場合に、トイレブース内を側方から見た状態を示す図である。
【
図24】
図24は、
図23の投光状態を利用者センサの撮像素子で撮像した画像を示す図である。
【
図25】
図25は、パターン投光器がトイレブース内へパターン光P2を投光した場合に、トイレブース内を側方から見た状態を示す図である。
【
図26】
図26は、
図25の投光状態を利用者センサの撮像素子で撮像した画像を示す図である。
【
図27】
図27は、パターン投光器がトイレブース内へパターン光P3を投光した場合に、トイレブース内を側方から見た状態を示す図である。
【
図28】
図28は、
図27の投光状態を利用者センサの撮像素子で撮像した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〈第一実施形態〉
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態は本発明の一例であり、本発明の構成は以下の例には限られない。
【0017】
図1は、本実施形態に係るトイレ管理システム100の構成を示す図である。本実施形態に係るトイレ管理システム100は、センサ11や、制御装置44、警報部45を有し、これらがインターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク5を介して接続されている。トイレ管理システム100は、トイレ施設10に設けられたトイレブース(便房)14を管理対象とし、トイレブース14が複数の利用者によって不適切に利用された場合に、警告を出力する。なお、
図1では、トイレ管理システム100が、管理サーバ2や管理者端末3を含まない例を示したが、トイレ管理システム100が、管理サーバ2や管理者端末3を含んでも良い。
【0018】
トイレ施設10は、例えば百貨店等の商業施設や駅、高速道道路のパーキングエリアやサービスエリア等における、不特定多数の利用者(公衆)が利用する公衆トイレであり、複数の建物の各々や、建物の複数のフロアの各々に備えられる。本実施形態のトイレ施設10は、複数のトイレブース14を有し、各トイレブース14にセンサ11、制御装置44及び警報部45を備えている。なお、制御装置44は、トイレブース毎に設けられるのではなく、複数のトイレブース14に対して一台の制御装置44が設けられ、一台の制御装置44が複数のトイレブース14のセンサ11や警報部45と接続された構成であってもよい。センサ11は、対象ブース内の利用者の状態を検出する。警報部45は、不適切利用が発生したと判定された場合に、当該トイレブース14内や管理サーバ2、管理者端末3へ警報を出力する。
【0019】
図2は、大便器41を備えたトイレブース14の一例を示す斜視図、
図3はトイレブース14の扉9を閉じた状態を示す正面図、
図4はトイレブース14の扉9を開いた状態を示す正面図である。トイレブース14は、左右一対の側壁14L,14R及び後壁14Bにより三方が囲まれ、正面に扉9を含む前壁14Mを有する。これら側壁14L、14R、後壁14B、前壁14Mによって囲繞されたトイレブース14の中に大便器41が設置されている。トイレブース14を囲繞する壁14L,14R,14B及び前壁14Mは、床14Fから天井14Cに達する高さとしても良いが、本実施形態では、
図4に示すように左右の側壁14L,14R及び扉9と天井14Cとの間に空間を設けて空気の流通を可能にしている。前壁14Mのうち一部が、側壁14L,14Rの何れか(
図2の例では側壁14R)と固定された壁M1であり、壁M1と側壁14L,14Rとの間の開口が出入り口4となっている。出入り口4には、扉9がヒンジ(不図示)によって開閉可能に取り付けられている。
【0020】
ここで、左右とは、トイレブース14の外から出入り口4に正対した場合の左側及び右側をいい、前後とは便器41に着座したときの前方及び後方をいい、上下とは、天井14C側及び便器41の設置面(床)14F側をいう。
【0021】
扉9の右側端部には、錠91が設けられ、トイレブース内の利用者によって施錠及び開錠の操作が可能であり、施錠時に壁M1の受け具(不図示)と係合して開扉を抑止する。錠91は、この壁M1と係合する構成に限らず、扉9を閉止できればよく、左側壁14Lと係合する構成や、その他、床14F、天井14Cと係合して施錠する構成であっても良い。なお、利用者による開閉スイッチの操作に応じて扉9を開閉駆動する機構を備え、利用者が開扉の操作を行うまで扉9の開動作が行われない構成であれば錠91を省略しても良い。また、扉9には、錠91が施錠されているか否か、或は扉9が閉じられているか否かを検出する開閉センサ92が備えられている。開閉センサ92の検出結果は、トイレブース14が使用中か否かの判定に用いられるため、本実施形態において、開閉センサ92は、センサ11の一形態である。
【0022】
図2、
図3に示すように、各トイレブース14には、便器41、便座装置42、コントローラ43等のトイレ設備1や、利用者センサ111、物体検出部46、制御装置44、警報部45が備えられている。
【0023】
利用者センサ111は、トイレブース14内の利用者を検出する。利用者センサ111は、例えば、撮像レンズと、撮像レンズによって形成された光像を電子データ(画像)に変換する、即ち撮像する撮像素子と、当該画像に写った物体の輪郭(アウトライン)を抽出し、輪郭以外の部分の情報を省略した輪郭画像を生成する画像処理部とを備える。利用者センサ111は、利用者が存在しないときのトイレブース14内の画像と利用者が入室したときの画像を比較し、その差分を利用者として検出し、その輪郭を抽出してもよい。利用者センサ111は、パターンマッチングによって画像中の利用者(利用者全体や頭部
等)を識別し、その輪郭を抽出してもよい。また、利用者センサ111は、AIによって画像中の利用者(利用者全体や頭部等)を識別し、その輪郭を抽出してもよい。例えば、人を識別するように機械学習した数理モデルに、撮像素子で撮像した画像を入力し、利用者が写っている領域を特定し、その輪郭を抽出してもよい。これに限らず、利用者センサ111は、制御装置44で用いる利用者の情報を検出できるものであれば、人感センサやカメラなどであってもよい。また、利用者センサ111は、利用者の頭部の大きさや、利用者の背の高さ、トイレブース14内において利用者の頭部が位置する高さを検出してもよい。利用者センサ111は、トイレブース14の天井14Cに設けられ、天井側からトイレブース内を俯瞰するように撮影する。本例では、天井14Cに一台の利用者センサ111を設ける構成としたが、これに限らず、利用者センサ111は、後壁14Bや14L,14Rの上部に設けられ、トイレブース内を俯瞰するように撮影してもよい。また、これらの箇所に複数の利用者センサ111が設けられても良い。
【0024】
便座装置42は、洋式の便器41上に設けられ、利用者が着座する座面を加温する機能や温水を吐出して利用者の肛門や局部を洗浄する洗浄機能を有している。また、便座装置42は、利用者が着座しているか否かを検出する着座センサ421を備え、この着座センサ421の検出結果に基づき、利用者が着座しているときに温水の吐出ボタン(不図示)が押されると温水を吐出し、利用者が着座していないときに温水の吐出ボタン(不図示)が押されても温水を吐出しないように、吐出の可否を制御する。また、着座センサ421の検出結果に基づき、利用者が着座していない場合には座面の温度を低くして省電力モードとする制御等を行う。なお、便器41は、洋式に限らず和式であっても良く、和式の便器41が設けられた場合には便座装置42は省略される。
【0025】
コントローラ43は、
図5に示すように、便座装置42の温度設定や洗浄位置の設定などの操作を行う操作部431を有している。また、コントローラ43は、表示部432や、スピーカ433、洗浄ボタン434を有している。この他、非常ボタンや火災報知ボタン、異常無しボタン等、使用状態を入力するボタン(不図示)を備えてもよい。これらのボタンは、表示部に432に表示させ、タッチセンサや操作部431で選択する所謂ソフトウェアキーであってもよい。なお、コントローラ43をセンサ11の一形態とし、洗浄ボタン434や使用状態を入力するボタン等に対する操作を対象ブース内の人(利用者)の状態を検出するために用いてもよい。
【0026】
表示部432は、便座の設定温度や洗浄用の温水の温度、洗浄位置の他、制御装置44から受信した情報等を表示する。
【0027】
スピーカ433は、操作部431を操作した際の操作音や、後述の警告に係る音、便器を洗浄する洗浄水が流れる音を模擬する擬音等を出力する。
【0028】
洗浄ボタン434は、便器41に洗浄水を放出する際に利用者によって操作される操作ボタンである。コントローラ43は、洗浄ボタン434が押されたことを検知すると、便器41のフラッシュ弁(不図示)を開放させて洗浄水を放出させる。
【0029】
警報部45は、管理サーバ2から通知される警報に基づき、警報として音や光を出力する。警報部45は、例えば左右の側壁14L,14Rの上部であって、警報としての光やメッセージを表示する表示部451や音を出力するスピーカ452がトイレブース14の外側へ向けて設けられている。即ち、警報が、当該トイレブース内の利用者だけでなく、側壁14L,14Rの上部と天井14Cとの間の空間を介して周囲に報知されるように警報部45が配置されており、どのトイレブースから警報が発せられているかが分かるようになっている。
【0030】
本例のセンサ11は、上述の開閉センサ92やコントローラ43、利用者センサ111を含む。また、センサ11は、便座装置42の着座センヤやトイレブース外の人感センサを含んでもよい。
【0031】
制御装置44は、警報部45や、コントローラ43、便座装置42、センサ11等と電気的に接続し、センサ11で検出した情報に基づいて、警報部45やコントローラ43を制御する。制御装置44は、例えば
図6に示すように、演算処理部440や、補助記憶装置443、通信IF(Interface)444、入出力IF(Interface)445、通信バス446を備えたコンピュータである。
【0032】
演算処理部440は、Central Processing Unit(CPU)441と、主記憶装置442とを有し、この主記憶装置442に実行可能に読み出されたコンピュータプログラムに従い、計数部401、不適切利用判定部402、出力制御部403等の各機能部としての処理を実行する。CPU441は、MPU(Micro Processor Unit)、マイクロプロセッサ、プロセッサとも呼ばれる。CPU441は、単一のプロセッサに限定されるものではなく、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、単一のソケットで接続される単一のCPU441がマルチコア構成を有していても良い。上記各部の少なくとも一部の処理は、CPU441以外のプロセッサ、例えば、Digital Signal Processor(DSP)、Graphics Processing Unit(GPU)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等の専用プロセッサで行われても良い。また、上記各機能部の少なくとも一部の処理は、集積回路(IC)、その他のデジタル回路であっても良い。また、上記各部の少なくとも一部にアナログ回路が含まれても良い。集積回路は、LSI,Application Specific Integrated Circuit(ASIC),プログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む。PLDは、
例えば、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を含む。上記各機能部は、プロセッサと
集積回路との組み合わせであっても良い。これらの組み合わせは、例えば、MCU(Micro Controller Unit),SoC(System-on-a-chip),システムLSI,チップセットな
どと呼ばれる。
【0033】
計数部401は、センサ11の検出結果に基づいて、トイレブース内に存在する利用者の人数を求める。
【0034】
不適切利用判定部402は、利用者の人数が複数である場合に、センサ11の検出結果に基づいて、トイレブース14内に存在する複数の利用者に子供が含まれているか否かを識別し、トイレブース14内の複数の利用者に子供が含まれていない場合、当該複数の利用者による利用が不適切利用であると判定する。即ち、トイレブース14内の複数の利用者に子供が含まれている場合、不適切利用でないと判定する。
【0035】
不適切利用判定部402は、例えば、利用者センサ111によって検出した利用者の頭部の大きさを取得し、トイレブース14内の複数の利用者のうち少なくとも一人の頭部の大きさが所定値以下である場合、当該複数の利用者に子供が含まれていると識別する。出力制御部403は、不適切利用であると判定された場合に、警報部45から警報を出力させる。
【0036】
〈トイレ管理方法〉
図7は、各トイレブース14の制御装置44が、トイレ管理プログラムに従って実行するトイレ管理方法の処理を示す図である。制御装置44の演算処理部440は、周期的に或は所定のタイミングで
図7の処理を開始する。
【0037】
ステップS10にて、制御装置44は、センサ11の検出結果を取得する。センサ11の検出結果は、例えば、開閉センサ92や、利用者センサ111、トイレブース14内に
設けられた人感センサ、便座装置42の着座センサ、コントローラ43等による検出結果である。
【0038】
ステップS20にて、制御装置44は、ステップS10で取得したセンサ11の検出結果に基づいて、利用者が入室したか否かを判定する。例えば、開閉センサ92が、施錠されたことを示す信号を検出した場合や、トイレブース14内に設けられた人感センサが利用者を検出した場合、便座装置42の着座センサが利用者の着座を検出した場合、コントローラ43が操作されたことを検出した場合、利用者センサ111で検出した利用者の輪郭に動きがある場合に、利用者が入室したと判定(肯定判定)する。これらの利用者が入室したことを示す検出結果が得られなかった場合に、制御装置44は、否定判定する。
【0039】
ステップS20で否定判定であれば、制御装置44は、ステップS10へ戻り、ステップS20で肯定判定であれば、制御装置44は、ステップS30へ移行する。
【0040】
ステップS30にて、制御装置44は、トイレブース14内に存在する利用者の人数を計数する。例えば、制御装置44は、利用者センサ111で検出した利用者の頭部の数をカウントして人数を求める。また、利用者センサ111が、撮像した画像からAIで利用者が写っている領域を特定する場合、制御装置44は、この領域の数を利用者センサ111から取得して人数としてもよい。
【0041】
ステップS40にて、制御装置44は、トイレブース14内に存在する利用者が、複数か否かを判定する。ステップS40で否定判定の場合、トイレブース14を一人で利用している状態であり、通常の利用のため、制御装置44は、
図7の処理を終了する。一方、ステップS40で肯定判定の場合、トイレブース14内に複数の利用者が存在する状態であり、制御装置44は、ステップS50へ移行する。
【0042】
ステップS50にて、制御装置44は、トイレブース14内に存在する複数の利用者に子供が含まれているか否かを判定する。例えば、制御装置44は、利用者センサ111によって検出した利用者の頭部の大きさを取得し、トイレブース14内の複数の利用者のうち少なくとも一人の頭部の大きさが所定値以下である場合、当該複数の利用者に子供が含まれていると識別する。
【0043】
図8は、大人の利用者が二人でトイレブース14に入室した状態を示す側面図であり、
図9は、
図8に示した状態のトイレブース14内を利用者センサ111の位置から撮像した場合の画像を示す図である。
図10は、
図8に示した状態のトイレブース14において利用者センサ111が検出した輪郭画像を示す図である。制御装置44は、
図10に示すような輪郭画像から、利用者の頭部71における水平方向の幅HWを求める。制御装置44は、これら頭部71の幅HWを所定値と比較し、幅HWが所定値以下か否かを判定する。
図10の場合、何れの頭部71も大きく、幅(大きさ)HWが所定値を超えているため、制御装置44は、当該複数の利用者に子供が含まれていないと判定する。
【0044】
図11は、親子でトイレブース14に入室した状態を示す側面図であり、
図12は、
図11に示した状態のトイレブース14内を利用者センサ111の位置から撮像した場合の画像を示す図である。
図13は、
図11に示した状態のトイレブース14において利用者センサ111が検出した輪郭画像を示す図である。制御装置44は、
図13に示すような輪郭画像から、利用者の頭部71における水平方向の幅HWを求める。制御装置44は、これら頭部71の幅HWを所定値と比較し、幅HWが所定値以下か否かを判定する。
図13の場合、一方の頭部71が小さく、幅(大きさ)HWが所定値以下のため、制御装置44は、当該複数の利用者に子供が含まれていると判定する。ステップS50で肯定判定の場合、複数の利用者が例えば親子や兄弟などであり、適切な利用のため、制御装置44は
、
図7の処理を終了する。一方、ステップS50で否定判定の場合、制御装置44は、複数の利用者による不適切利用と判定し、ステップS60へ移行する。
【0045】
ステップS60にて、制御装置44は、警報部45から警報を出力させる。例えば、コントローラ43のスピーカ433や、表示部451、スピーカ452から警報を出力させる。警報は、音や光の他、「複数人による利用を検出しました。管理センターへ通報します。」のようなメッセージであってもよい。また、制御装置44は、不適切利用が発生したことを示す情報や、不適切利用が発生したトイレブース14の場所を示す情報等を含む電子メールを警報として管理サーバ2や管理者端末3へ送信する。なお、ステップS60にて、制御装置44は、先ずコントローラ43のスピーカ433からトイレブース14内の利用者に対して警報を出力し、所定時間経過しても当該利用者が退室しなかった場合に、トイレブース14外へ警報を出力してもよい。ここで、トイレブース14外へ警報を出力する場合、制御装置44は、表示部451やスピーカ452から音や光を出力しても、管理サーバ2や管理者端末3へ警報を送信(出力)してもよい。
【0046】
上述のように、本実施形態によれば、トイレブース14内に複数の利用者が存在する場合でも親子で利用しているような場合であれば適切な利用と判定し、複数の利用者に子供が含まれていない場合に不適切な利用と判定し、不適切利用を精度良く検出することができる。これにより、親子で利用しているような場合であれば警報を出力せず、不適切利用の場合だけ警報を出力するので、信頼性を向上させることができる。
【0047】
〈第二実施形態〉
図14は、第二実施形態に係るセンサ11Aを備えたトイレブース14を示す側面図である。本実施形態は、前述の第一実施形態と比べて、センサ11Aが、投光器112と利用者センサ111とを含む構成が異なっている。なお、その他の構成は、前述の第一実施形態と同じであるため、同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
【0048】
投光器112は、トイレブース14内の所定高さHA以上であって、後壁14Bと側壁14Lとの境界部に設けられ、赤外線のパルス光(信号光)を周囲に投光する。
図15は、投光器112による投光範囲を示す図である。
図15において、網掛け73を付した所定高さHA以上の部分が、投光器112による投光範囲である。なお、所定高さHAは、大人と子供を判別する基準となる高さである。
【0049】
投光器112は、赤外線を所定の周波数で明滅させ、パルス光として投光することで、パルス光が当たっている箇所と、そうでない箇所とを区別できるようにしている。
【0050】
図14に示すように、親子でトイレブース14に入室した場合、背の高い大人には、パルス光が当たり、背の低い子供にはパルス光が当たらない。このため本実施形態の制御装置44は、
図7のステップS50で、複数の利用者に子供が含まれているか否かを判定する際、利用者センサ111によって検出した利用者にパルス光が当たっているか否かを判定する。そして、制御装置44は、検出した複数の利用者にパルス光が当たっていない利用者が存在する場合に、子供が含まれていると識別し、検出した複数の利用者にパルス光が当たっていない利用者が存在しない場合に、子供が含まれていないと識別する。
【0051】
なお、利用者が屈んだ場合、大人であっても所定高さHA以下となることがあるため、入室時から所定周期で継続して子供が含まれているか否かの識別を行い、入室時などにパルス光が当たった利用者は、一時的にパルス光が当たらない期間があっても子供ではないと識別してよい。この場合、入室から退室までトイレブース14内で移動する利用者を追跡し、各々の利用者についてパルス光が当たった期間があるか否かを判定することで、精度良く子供か否かを判定することができる。
【0052】
また、利用者センサ111が利用者の骨格情報を取得できる場合、制御装置44は、各利用者の骨格情報に基づいて、利用者が屈んでいない状態、例えば立っている状態や歩いている状態でパルス光が当たるか否かを判定してもよい。このように利用者が屈んでいない状態でパルス光が当たるか否かを判定することで、精度良く子供か否かを判定することができる。
【0053】
更に、利用者の背の高さに加え、利用者の頭部の大きさが所定値以下か否かによって、子供か否かを判定してもよい。なお、利用者センサ111は、撮像レンズを介して取得した画像に基づいて利用者の頭部の大きさを検出しているため、頭部が利用者センサ111に対して近い場合と遠い場合とでは、近い場合の方が大きく検出される。このため利用者にパルス光が当たっている場合の所定値V1と、利用者にパルス光が当たっていない場合の所定値V2とを変え、所定値V1より所定値V2を小さく設定する。制御装置44は、利用者にパルス光が当たっている場合、利用者の頭部の幅(大きさ)HWが所定値V1以下であれば子供と識別し、頭部の幅HWが所定値V1を超えていれば子供でない(大人)と識別する。また、制御装置44は、利用者にパルス光が当たっていない場合、利用者の頭部の幅(大きさ)HWが所定値V2以下であれば子供と識別し、頭部の幅HWが所定値V2を超えていれば子供でない(大人)と識別する。これにより大人が屈んでパルス光が当たらない場合であっても、頭部の幅HWが所定値V2を超えることで子供ではないと識別できる。また、乳幼児が大人に抱えられてパルス光が当たった場合であっても、頭部の幅HWが所定値V1以下となることで子供と識別できる。これにより利用者が子供か否かを精度良く識別できる。
【0054】
〈第三実施形態〉
図16は、第三実施形態に係るセンサ11Bを備えたトイレブース14を示す側面図である。本実施形態は、前述の第二実施形態と比べ、センサ11Bが、パターン投光器113と利用者センサ111とを含む構成が異なっている。なお、その他の構成は、前述の第二実施形態と同じであるため、同一の要素には同符号を付す等して再度の説明を省略する。
【0055】
パターン投光器113は、トイレブース14内の上部、本実施形態では天井14Cの利用者センサ111から所定距離LXだけ離れた位置に配置され、赤外線のパターン光(パルス光)を下方に投光する。本実施形態のパターン投光器113は、3種類のパターン光P1~P3を投光する。
図17は、パターン投光器113がトイレブース14内へパターン光P1を投光した場合に、トイレブース14内を側方から見た状態を示す図、
図18は、
図17の投光状態を利用者センサ111の撮像素子で撮像した画像を示す図である。
図19は、パターン投光器113がトイレブース14内へパターン光P2を投光した場合に、トイレブース14内を側方から見た状態を示す図、
図20は、
図19の投光状態を利用者センサ111の撮像素子で撮像した画像を示す図である。
図21は、パターン投光器113がトイレブース14内へパターン光P3を投光した場合に、トイレブース14内を側方から見た状態を示す図、
図22は、
図21の投光状態を利用者センサ111の撮像素子で撮像した画像を示す図である。パターン投光器113は、概ね扇状にパターン光を投光し、トイレブース14内の空間をパターン光によって照明される領域と照明されない領域とに分割する。なお、
図17~
図22では、トイレブース14内に利用者等の物体が存在しない場合を示している。
図17~
図22において、網掛け部分がパターン光によって照明される領域、網掛け部分以外がパターン光によって照明されない領域である。
【0056】
図17に示すように、パターン投光器113が、パターン光P1を投光する場合、このパターン光P1によって照明される領域A0や、パターン光P1によって照明されない領域A1が形成される。このパターン光P1が水平面、例えば床14Fに投光された場合、
図18に示すように領域A0は利用者センサ111の撮像素子に帯状に撮像される。
【0057】
また、
図19,
図20に示すように、パターン投光器113が、パターン光P2を投光する場合、このパターン光P2によって照明される領域A00,A10や、パターン光P2によって照明されない領域A01,A11が形成される。更に、
図21,
図22に示すように、パターン投光器113が、パターン光P3を投光する場合、このパターン光P3によって照明される領域A000,A010,A100,A110や、パターン光P3によって照明されない領域A001,A011,A101,A111が形成される。
【0058】
パターン光P1~P3によって照明される領域A0,A00,A10,A000,A010,A100,A110の幅や、パターン光P1~P3によって照明されない領域A1,A01,A11,A001,A011,A101,A111の幅(ピッチ)は、パターン光P1よりパターン光P2で狭く、パターン光P2よりパターン光P3で狭くなっている。
【0059】
また、利用者センサ111は、撮影レンズの光軸L0が垂直方向に向けられ、パターン投光器113は、この光軸L0に対して所定の角度でパターン光P1~P3を投光している。
【0060】
このようにパターン投光器113が、パターン光P1~P3を投光し、パターン光P1~P3が投光された利用者の画像を利用者センサ111から取得することで、制御装置44は、空間コード化法によって利用者の頭部が位置する高さを検出することができる。
図23~
図28は、利用者の高さを検出する手法の説明図である。なお、
図23~
図28では、説明の便宜上、利用者を直方体のブロックとし、大人の利用者U1を背の高いブロックで示し、子供の利用者U2を背の低いブロックとして示している。
【0061】
図23は、パターン投光器113がトイレブース14内へパターン光P1を投光した場合に、トイレブース14内を側方から見た状態を示す図、
図24は、
図23の投光状態を利用者センサ111の撮像素子で撮像した画像を示す図である。
図25は、パターン投光器113がトイレブース14内へパターン光P2を投光した場合に、トイレブース14内を側方から見た状態を示す図、
図26は、
図25の投光状態を利用者センサ111の撮像素子で撮像した画像を示す図である。
図27は、パターン投光器113がトイレブース14内へパターン光P3を投光した場合に、トイレブース14内を側方から見た状態を示す図、
図28は、
図27の投光状態を利用者センサ111の撮像素子で撮像した画像を示す図である。
【0062】
図23,
図24に示すように、利用者U1,U2に対してパターン光P1が投光された場合、利用者U1の頭部(ブロックの上面)は、照明されず、
図23の領域A1に位置し、
図25のようにパターン光P2が投光された場合の領域A10,A11の何れかに位置することが分かる。また、パターン光P1が投光された場合、利用者U2の頭部は、左側の部分X2が照明され、
図23の領域A0に位置し、
図25のようにパターン光P2が投光された場合の領域A00,A01の何れかに位置することが分かる。
【0063】
図25,
図26に示すように、利用者U1,U2に対してパターン光P2が投光された場合、利用者U1の頭部は、左側の部分X1が照明され、
図25の領域A10に位置し、
図27のようにパターン光P3が投光された場合の領域A100,A101の何れかに位置することが分かる。また、パターン光P2が投光された場合、利用者U2の頭部(ブロックの上面)は、左側の部分X2が照明されず、
図25の領域A01に位置し、
図27のようにパターン光P3が投光された場合の領域A010,A011の何れかに位置することが分かる。
【0064】
そして、
図27,
図28に示すように、利用者U1,U2に対してパターン光P3が投光された場合、利用者U1の頭部は、左側の部分X1が照明され、
図27の領域A100に位置することが分かる。また、パターン光P3が投光された場合、利用者U2の頭部(ブロックの上面)は、左側の部分X2が照明されず、
図28の領域A011に位置することが分かる。
【0065】
なお、パターン投光器113の設置位置を頂点とし、パターン投光器113から
図27に示す各領域A000,A010,A100,A001,A011,A101,A111へ向かう直線と、天井14Cとの成す角の角度θは既知である。このため、利用者U1の頭部の一部分(基準部分)X1が、領域A100に位置することが分かると、領域A100に対する角度θと、パターン投光器113と利用者センサ111との距離LXとから、三角測量の原理に基づいて利用者センサ111の設置面(天井14C)と頭部との距離、即ち、利用者U1の頭部が位置する高さが検出できる。同様に、利用者U2の頭部の一部分(基準部分)X2が、領域A011に位置することが分かると、領域A011に対する角度θと、距離LXとから、天井14Cと頭部の一部分X2との距離、即ち、利用者U2の頭部が位置する高さが検出できる。
【0066】
そして、本実施形態の制御装置44は、
図7のステップS50で、複数の利用者に子供が含まれているか否かを判定する際、検出した複数の利用者の頭部が位置する高さ(以下、単に頭部高さとも称す)が所定値以下か否かを判定し、頭部高さが所定値(所定高さ)以下である利用者が存在する場合に、子供が含まれていると識別し、頭部高さが所定高さ以下である利用者が存在しない場合に、子供が含まれていないと識別する。
【0067】
なお、利用者が屈んだ場合、大人であっても頭部高さが所定高さ以下となることがあるため、入室時から所定周期で継続して子供が含まれているか否かの識別を行い、入室時などにおいて頭部高さが所定高さを超えた利用者は、一時的に所定値以下となる期間があっても子供でないと識別してよい。この場合、入室から退室までトイレブース14内で移動する利用者を追跡し、各々の利用者について頭部高さが所定高さを超えた期間があるか否かを判定することで、精度良く子供か否かを判定することができる。
【0068】
また、利用者センサ111が利用者の骨格情報を取得できる場合、制御装置44は、各利用者の骨格情報に基づいて、利用者が屈んでいない状態、例えば立っている状態や歩いている状態で頭部高さが所定高さ以下か否かを判定してもよい。このように利用者が屈んでいない状態で頭部高さが所定高さ以下か否かを判定することで、精度良く子供か否かを判定することができる。
【0069】
更に、利用者の頭部高さに加え、利用者の頭部の大きさが所定値以下か否かによって、子供か否かを判定してもよい。なお、利用者センサ111は、撮像レンズを介して取得した画像に基づいて利用者の頭部の大きさを検出しているため、頭部が利用者センサ111に対して近い場合と遠い場合とでは、近い場合の方が大きく検出される。このため利用者の頭部高さが所定高さを超えた場合の所定値V1と、頭部高さが所定高さ以下である場合の所定値V2とを変え、所定値V1より所定値V2を小さく設定する。制御装置44は、頭部高さが所定高さを超えた場合、利用者の頭部の幅(大きさ)HWが所定値V1以下であれば子供と識別し、頭部の幅HWが所定値V1を超えていれば子供でない(大人)と識別する。また、制御装置44は、頭部高さが所定高さ以下である場合、利用者の頭部の幅(大きさ)HWが所定値V2以下であれば子供と識別し、頭部の幅HWが所定値V2を超えていれば子供でない(大人)と識別する。これにより大人が屈んでパルス光が当たらない場合であっても、頭部の幅HWが所定値V2を超えることで子供ではないと識別できる。また、乳幼児が大人に抱えられて頭部高さが所定高さを超えた場合であっても、頭部の
幅HWが所定値V1以下となることで子供と識別できる。これにより利用者が子供か否かを精度良く識別できる。
【0070】
〈その他〉
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上記実施形態の各要素は、本発明の要旨を逸脱しない限り組み合わせて用いられてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 :トイレ設備
2 :管理サーバ
3 :管理者端末
4 :出入り口
5 :ネットワーク
9 :扉
10 :トイレ施設
11,11A,11B:センサ
14 :トイレブース
14B :壁
14C :天井
14F :床
14L :左側壁
14M :前壁
14R :右側壁
41 :大便器
42 :便座装置
43 :コントローラ
44 :制御装置
45 :警報部
46 :物体検出部
71 :頭部
73 :網掛け
91 :錠
92 :開閉センサ
100 :トイレ管理システム
111 :利用者センサ
112 :投光器
113 :パターン投光器
401 :計数部
402 :不適切利用判定部
403 :出力制御部
421 :着座センサ
431 :操作部
432 :表示部
433 :スピーカ
434 :洗浄ボタン
440 :演算処理部
441 :CPU
442 :主記憶装置
443 :補助記憶装置
446 :通信バス
451 :表示部
452 :スピーカ