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特開2024-93928フォークホルダー及びサイクルキャリア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093928
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】フォークホルダー及びサイクルキャリア
(51)【国際特許分類】
   B60R 9/048 20060101AFI20240702BHJP
   B62H 3/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B60R9/048
B62H3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210588
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】390005304
【氏名又は名称】PIAA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】可児 玄
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020AA06
3D020AB01
3D020AC01
3D020AD01
(57)【要約】
【課題】自転車の積載作業を簡単かつ確実に実施させるのに有利となるフォークホルダーを提供する。
【解決手段】フォークホルダー2は、第1フロントフォーク110の先端部110aに取り付けられるベースシャフト64と、ベースシャフト64を載置させる主表面11aと、ベースシャフト64の側面の一部に接触する第1接触面14aとを有するベース体10と、第1接触面14aと対向する第2接触面21aを有し、かつ、ベース体10の主表面11aに沿って移動するスライドブロック21と、スライドブロック21に支持され、第2接触面21aが第1接触面14aに近づく方向にスライドブロック21を押し付ける力を与えるラチェットレバー22とを備えるスライダー20と、を備える。ラチェットレバー22の軸ネジ23は、スライドブロック21の移動方向に沿って配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のフロントフォークを保持するフォークホルダーであって、
前記フロントフォークの先端部に取り付けられるベースシャフトと、
前記ベースシャフトを載置させる主表面と、前記ベースシャフトの側面の一部に接触する第1接触面とを有するベース体と、
前記第1接触面と対向する第2接触面を有し、かつ、前記ベース体の前記主表面に沿って移動するスライドブロックと、当該スライドブロックに支持され、前記第2接触面が前記第1接触面に近づく方向に前記スライドブロックを押し付ける力を与えるラチェットレバーとを備えるスライダーと、を備え、
前記ラチェットレバーの軸ネジは、前記スライドブロックの移動方向に沿って配置される、フォークホルダー。
【請求項2】
前記ベース体に開閉自在に支持され、閉状態のときにのみ少なくとも前記スライダーを覆うカバーを備え、
前記カバーは、当該カバーが前記閉状態のときに、前記スライダー又は前記ベース体の一部と係合するロック状態と、当該ロック状態が解除されるアンロック状態とに切り替わるロック機構を備える、請求項1に記載のフォークホルダー。
【請求項3】
前記ベース体は、ルーフキャリアへの設置に用いられるクランプ本体を締結する締結ネジの一部を貫通させる貫通孔部を有し、
前記貫通孔部のザグリ穴部は、前記カバーが前記閉状態のときにのみ前記カバーで覆われる位置にある、請求項2に記載のフォークホルダー。
【請求項4】
前記カバーは、前記ベースシャフトが前記第1接触面と前記第2接触面とで挟み込まれ、かつ、前記カバーが前記閉状態のときに、前記ベースシャフトの軸端部の側を前記ベースシャフトの軸方向に沿った方向から覆う翼形カバーを備える、請求項2又は3に記載のフォークホルダー。
【請求項5】
前記翼形カバーは、前記カバーのカバー本体に設けられた支持軸を基準として、一部が前記ベースシャフトの前記軸端部に近接し又は当該軸端部から離間するように回転する、請求項4に記載のフォークホルダー。
【請求項6】
前記支持軸は、前記カバー本体の内面に設けられる、請求項5に記載のフォークホルダー。
【請求項7】
前記カバー本体は、前記支持軸の周辺に第1ギア面を有し、
前記翼形カバーは、前記第1ギア面と係合して一定のピッチで段階的に回転する第2ギア面を有する、請求項5に記載のフォークホルダー。
【請求項8】
前記カバー本体は、当該カバー本体の外面に、前記翼形カバーの回転位置ごとに対応した目盛りを有する、請求項7に記載のフォークホルダー。
【請求項9】
前記ベースシャフトは、前記フロントフォークの構造に各々対応した複数種類のアダプターを交換自在に取り付ける、請求項1又は2に記載のフォークホルダー。
【請求項10】
前記ベースシャフトは、前記自転車の特定車種におけるフロントタイヤの取り付けに採用される軸部を取り付ける、請求項1又は2に記載のフォークホルダー。
【請求項11】
自転車のフロントフォークを保持するフォークホルダーと、
前記フォークホルダーに一端が接続され、前記自転車に取り付けられているリアタイヤを保持する棒状のトレイと、を備え、
前記フォークホルダーは、請求項1又は2に記載のフォークホルダーである、サイクルキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォークホルダー及びサイクルキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のルーフキャリアに設置されるサイクルキャリアがある。特許文献1は、自転車のフロントフォークの先端部を、貫通軸を介して保持するアンカー(フォークホルダー)と、自転車に取り付けられているリアタイヤを保持するロードキャリアとを備えたサイクルキャリアに関する技術を開示している。当該サイクルキャリアでは、アンカーにおいて、フロントフォークの先端部に取り付けられている貫通軸がバックストップと可動ジョーとで接触されることで、フロントフォークが保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第3060432号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているサイクルキャリアでは、可動ジョーは、基本的には複数のレバー類を組み合わせたリンク機構からなるマクロアジャスターにより可動し、回転機構からなるマイクロアジャスターにより挟み込み幅が微調整される。そのため、マクロアジャスターによりワンタッチで貫通軸を接触することができる。しかしながら、マイクロアジャスターによる調整が適切でない場合には、緩みが生じて確実な接触がなされず、自転車が安定して保持されないこともあり得る。このような不安定な保持を回避するために、自転車の積載時には、実質、マイクロアジャスターによる微調整が頻繁に必要となり、積載作業が簡単であるとは言えない。
【0005】
そこで、本開示は、自転車の積載作業を簡単かつ確実に実施させるのに有利となるフォークホルダー及びサイクルキャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、自転車のフロントフォークを保持するフォークホルダーであって、フロントフォークの先端部に取り付けられるベースシャフトと、ベースシャフトを載置させる主表面と、ベースシャフトの側面の一部に接触する第1接触面とを有するベース体と、第1接触面と対向する第2接触面を有し、かつ、ベース体の主表面に沿って移動するスライドブロックと、スライドブロックに支持され、第2接触面が第1接触面に近づく方向にスライドブロックを押し付ける力を与えるラチェットレバーとを備えるスライダーと、を備え、ラチェットレバーの軸ネジは、スライドブロックの移動方向に沿って配置される。
【0007】
また、本開示の第2の態様に係るサイクルキャリアは、自転車のフロントフォークを保持するフォークホルダーと、フォークホルダーに一端が接続され、自転車に取り付けられているリアタイヤを保持する棒状のトレイと、を備え、フォークホルダーは、上記第1の態様に係るフォークホルダーである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、自転車の積載作業を簡単かつ確実に実施させるのに有利となるフォークホルダー及びサイクルキャリアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るサイクルキャリアの側面図である。
図2】サイクルキャリアの使用状態でのフォークホルダーの拡大斜視図である。
図3A】第1取付シャフトを保持する直前のフォークホルダーの側面図である。
図3B】スライダーが締め付け状態のときのフォークホルダーの斜視図である。
図4】スライダーが締め付け状態のときのフォークホルダーの断面図である。
図5】カバーが開状態のときのフォークホルダーの斜視図である。
図6A】第1取付シャフトの分解斜視図である。
図6B】第1取付シャフトの組立斜視図である。
図7】フロントフォークに取り付けられた第1取付シャフトの斜視図である。
図8A】第2取付シャフトの分解斜視図である。
図8B】第2取付シャフトの組立斜視図である。
図9】フロントフォークに取り付けられた第2取付シャフトの斜視図である。
図10A】第3取付シャフトの分解斜視図である。
図10B】第3取付シャフトの組立斜視図である。
図11】フロントフォークに取り付けられた第3取付シャフトの斜視図である。
図12】カバーの内面を視認できる位置から見たフォークホルダーの斜視図である。
図13A】内面を視認できる位置から見たカバー本体の斜視図である。
図13B】翼形カバーの斜視図である。
図14】カバーの後ろを視認できる位置から見たフォークホルダーの斜視図である。
図15】第1取付シャフトを保持したフォークホルダーを上側から見た斜視図である。
図16】第2取付シャフトを保持したフォークホルダーを上側から見た斜視図である。
図17】第3取付シャフトを保持したフォークホルダーを上側から見た斜視図である。
図18】ザグリ穴部を視認できる位置から見たフォークホルダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例示的な実施形態について図面を参照して説明する。ここで、実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については図示を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係るサイクルキャリア1の側面図である。サイクルキャリア1は、例えば、自動車のルーフに予め取り付けられているルーフキャリアに設置され、自転車100を積載する。
【0012】
なお、以下の説明では、一例として、各方向を次のように規定する。Z方向は、鉛直方向に沿った方向である。以下、「上」とは、Z方向の上方を示し、「下」とは、Z方向の下方を示すものとする。X方向及びY方向は、Z方向に対して垂直な水平面上で互いに垂直となる方向である。特に、X方向は、サイクルキャリア1が設置される自動車の車幅方向すなわち左右方向に沿った方向である。Y方向は、サイクルキャリア1が設置される自動車の車長方向すなわち前後方向に沿った方向である。以下、「前」とは、自動車の前後方向に合わせた前方を示し、「後ろ」とは、自動車の前後方向に合わせた後方を示すものとする。「左」とは、自動車の左右方向に合わせた左方を示し、「右」とは、自動車の左右方向に合わせた右方を示すものとする。
【0013】
サイクルキャリア1が設置されるルーフキャリアとしては、本実施形態では、各々X方向に沿って延伸し、かつ、互いにY方向で並列となるように、一定の間隔で離間する2本のバーが想定されている。この場合、ルーフキャリアは、矩形管状の断面を有する、いわゆるスクエアバーであってもよいし、又は、外形が流線形となる管状の断面を有する、いわゆるエアロバーであってもよい。
【0014】
また、サイクルキャリア1は、ロードバイク、マウンテンバイク等、多種の自転車を積載することができる。図1に示す例では、自転車100は、ロードバイクである。自転車100は、第1フロントフォーク110と、リアタイヤ120とを備える。自転車100がサイクルキャリア1に積載されるとき、フロントタイヤは、第1フロントフォーク110から予め外され、例えば、自動車の車内に収容される。
【0015】
サイクルキャリア1は、フォークホルダー2と、トレイ3とを備える。なお、フォークホルダー2は、ホルダーブロック、フォークブロック、アンカー又はフォークアンカー等と呼称される場合もある。また、トレイ3は、ロードキャリアと呼称される場合もある。本実施形態では、サイクルキャリア1は、フォークホルダー2とトレイ3とがY方向に沿って並び、かつ、フォークホルダー2がトレイ3よりも前方に位置するように、ルーフキャリアに設置される。
【0016】
フォークホルダー2は、第1フロントフォーク110を保持する。フォークホルダー2は、ベース体10と、スライダー20と、カバー30と、クランプ40とを備える。ベース体10、スライダー20及びカバー30を構成する主要素の材質としては、アルミニウム合金等の金属又は合成樹脂等が採用され得る。
【0017】
図2は、フォークホルダー2の拡大斜視図である。図2では、フォークホルダー2が第1フロントフォーク110を保持したサイクルキャリア1の使用状態にあり、かつ、後述するキーロック33のキー33aを使用者が抜いていない状態と示している。
【0018】
図3A及び図3Bは、カバー30を開状態としたときのフォークホルダー2を示す図である。図3Aは、第1フロントフォーク110の先端部110aに取り付けられている第1取付シャフト61(図7参照)を保持する直前のフォークホルダー2の側面図である。図3Bは、スライダー20が第1取付シャフト61を締め付ける状態のときのフォークホルダー2の斜視図である。
【0019】
図4は、サイクルキャリア1のX方向の中央を通るYZ平面で切断した、フォークホルダー2の断面図である。
【0020】
ベース体10は、クランプ40によってルーフキャリアに直接的に取り付けられ、スライダー20及びカバー30を支持する。ベース体10は、表面部11と、裏面部12と、スライダー支持部13と、シャフト接触部14と、トレイ取付部15と、カバー支持部16と、クランプ用の貫通孔部17と、押え補助板18とを有する。
【0021】
表面部11は、上方に露出する平面状領域である。表面部11は、第1取付シャフト61を載置させ、かつ、スライダー20を移動させる基準面となる主表面11aを有する。また、表面部11は、主表面11aの一部を、スライダー20に備わるラチェットレバー22の一部との接触を回避させるための回避溝11bを有してもよい。回避溝11bは、スライダー20の移動方向、すなわちY方向に沿って延伸するように設けられる。
【0022】
裏面部12は、下方に露出する平面状領域である。裏面部12は、クランプ40が接続され、ルーフキャリアと対向する。表面部11と裏面部12との位置関係によれば、ベース体10は、表面部11と裏面部12とを各々主平面部とした平板状部材とみなされる。
【0023】
スライダー支持部13は、主表面11aから上方に突出した第1の突出部であり、軸ネジ23を介してスライダー20を移動自在に支持する。スライダー支持部13は、軸ネジ貫通孔部13aと、バネ収容孔部13bとを有する。軸ネジ貫通孔部13aとバネ収容孔部13bとは、互いにY方向に沿って同軸かつ連続して設けられる。シャフト接触部14までの距離は、バネ収容孔部13bよりも、軸ネジ貫通孔部13aの方が近い。軸ネジ貫通孔部13aの開口径は、軸ネジ23の頭部23aを貫通させず、軸ネジ23のネジ部23bを貫通させる程度の寸法に設定される。バネ収容孔部13bの開口径は、軸ネジ貫通孔部13aの開口径よりも大きく、軸ネジ23のネジ部23bに巻かれた押し付けバネ25の少なくとも一部を収容し得る程度の寸法に設定される。
【0024】
また、スライダー支持部13は、スライダー20に備わるスライドブロック21の内部に設けられた収容部21cに大部分が収容される。そのため、スライダー支持部13のY方向の幅は、スライダー支持部13が収容部21cに配置された状態で、スライドブロック21の所望の移動範囲を確保し得る程度の寸法に設定される。
【0025】
シャフト接触部14は、主表面11aから上方に突出した第2の突出部であり、主表面11a上に載置された第1取付シャフト61の側面の一部とY方向で対向する。シャフト接触部14の一部は、Y方向でスライダー支持部13と対向する。シャフト接触部14は、第1接触面14aと、第1テーパー面14bと、第1位置決め溝14cとを有する。
【0026】
第1接触面14aは、第1取付シャフト61がフォークホルダー2に保持されているとき、ベースシャフト64の側面の一部と接触する。第1接触面14aは、スライドブロック21に設けられる第2接触面21aとY方向で対向する。第1接触面14aのYZ平面で切断した断面形状は、ベースシャフト64の側面と密に接触するために、ベースシャフト64の外周形状に合わせた半円弧状である。
【0027】
第1テーパー面14bは、第1接触面14aの上方に設けられ、スライドブロック21に設けられる第2テーパー面21bとY方向で対向する。第1テーパー面14bは、Z方向に沿って上方から下方に向かうにつれて、徐々に第1テーパー面14bと第2テーパー面21bとが近づくように傾斜している。第1テーパー面14bによれば、第2テーパー面21bとの関係により、第1取付シャフト61をフォークホルダー2に保持させるときに、第1接触面14aと第2接触面21aとに挟まれる領域にベースシャフト64が誘導されやすくなる。
【0028】
第1位置決め溝14cは、主表面11aの一部から第1接触面14a及び第1テーパー面14bの各々の表面に連続的に面しつつ、シャフト接触部14のX方向の中央を通るYZ平面に沿って形成される。第1位置決め溝14cは、ベースシャフト64が第1接触面14aと第2接触面21aとで挟み込まれているときに、ベースシャフト64の外周に設けられている環状凸部64bを収容する。
【0029】
トレイ取付部15は、棒状であるトレイ3の一端とY方向で対向するように設けられ、トレイ3を取り付ける。本実施形態では、トレイ取付部15は、シャフト接触部14において第1接触面14aが設けられている側とはY方向で反対側となる側壁と連続する。トレイ取付部15は、トレイ3の一端に係合する形状を有し、例えば、第1取付ネジ50を用いた締結によりトレイ3を連結させる。
【0030】
カバー支持部16は、トレイ取付部15とはY方向で反対側となる側壁に設けられ、カバー支持軸51を介してカバー30を回転自在に支持する。カバー支持部16は、例えば、互いにX方向で対向する2つの突出片であり、カバー支持軸51がX方向に沿う姿勢となるようにカバー支持軸51を保持する。なお、カバー支持軸51には、カバー30に対して開放する方向に力を付与する補助バネ52が巻き付けられていてもよい。
【0031】
貫通孔部17は、本実施形態では2つあり、クランプ40に含まれるクランプ本体41をベース体10に対して締結させる締結ネジ43を貫通させる。2つの貫通孔部17は、図4に示すように、互いにY方向で離間しており、各々Z方向に沿って表面部11と裏面部12との間で貫通する。貫通孔部17の開口径は、締結ネジ43の頭部43aを貫通させず、締結ネジ43の軸部を貫通させる程度の寸法に設定される。また、各々の貫通孔部17と同軸で、かつ、表面部11の側に、締結ネジ43の頭部43aを収容するザグリ穴部17aが形成されている。
【0032】
抑え補助板18は、本実施形態では2つあり、ベース体10の側壁からX方向に沿って互いに反対方向に向かって突出する平板状部である。抑え補助板18は、Y方向で、クランプ本体41が接続される位置に対応している。抑え補助板18の下方に面する部位には、クランプ40の一部を構成し、クランプ本体41が取り付けられるルーフキャリアと接触するパッキン42が取り付けられる。抑え補助板18によれば、抑え補助板18が存在しない場合よりも、ルーフキャリアと対向する領域を広くすることができるので、ベース体10をより安定して設置させることができる。
【0033】
スライダー20は、ベース体10の主表面11a上に載置された第1取付シャフト61をシャフト接触部14に対して押し付ける。スライダー20は、スライドブロック21と、ラチェットレバー22と、軸ネジ23と、ボス24と、押し付けバネ25とを備える。
【0034】
スライドブロック21は、ベース体10の主表面11a上でY方向に沿って移動する箱体である。スライドブロック21は、第2接触面21aと、第2テーパー面21bと、収容部21cと、レバー取付孔部21dと、環状枠部21eと、キーロック係合部21fと、第2位置決め溝21gとを有する。
【0035】
第2接触面21aは、第1取付シャフト61がフォークホルダー2に保持されているとき、ベースシャフト64の側面の一部と接触する。第2接触面21aは、ベース体10に設けられた第1接触面14aとY方向で対向する。第2接触面21aのYZ平面で切断した断面形状は、ベースシャフト64の側面と密に接触するために、ベースシャフト64の外周形状に合わせた半円弧状である。つまり、第2接触面21aは、第1接触面14aと面対象の関係にある。
【0036】
第2テーパー面21bは、第2接触面21aの上方に設けられ、ベース体10に設けられる第1テーパー面14bとY方向で対向する。第1テーパー面14bに関する上記の説明と同様に、第2テーパー面21bは、Z方向に沿って上方から下方に向かうにつれて、徐々に第1テーパー面14bと第2テーパー面21bとが近づくように傾斜している。
【0037】
収容部21cは、Z方向の下方に向かう側を開放させた内部空間を形成し、ベース体10に設けられたスライダー支持部13を覆うように、スライダー支持部13の大部分を収容する。収容部21cのY方向の幅は、スライダー支持部13を収容した状態で、スライドブロック21の所望の移動範囲を確保し得る程度の寸法に設定される。つまり、収容部21cのY方向の幅は、スライダー支持部13のY方向の幅よりも長い。
【0038】
レバー取付孔部21dは、第2接触面21aが設けられている側とはY方向で反対側に設けられ、スライダー支持部13に支持されている軸ネジ23をY方向に沿って外部に貫通させる。
【0039】
環状枠部21eは、レバー取付孔部21dと同軸に設けられ、Y方向に沿って外方に突出する。環状枠部21eには、ラチェットレバー22の取り付けに用いられるボス24が係合する。
【0040】
キーロック係合部21fは、スライドブロック21の上面に設けられ、カバー30が閉状態であり、かつ、キーロック33がロック状態のときに、キーロック33の一部が係合する。キーロック係合部21fは、スライドブロック21が可動範囲内のいずれの位置にあってもキーロック33の一部を係合させるために、Y方向に沿って延伸している形状を有する。
【0041】
第2位置決め溝21g(図5参照)は、第2接触面21a及び第2テーパー面21bの各々の表面に連続的に面しつつ、スライドブロック21のX方向の中央を通るYZ平面に沿って形成される。第2位置決め溝21gは、第1位置決め溝14cと同様に、ベースシャフト64が第1接触面14aと第2接触面21aとで挟み込まれているときに、ベースシャフト64の外周に設けられている環状凸部64bを収容する。
【0042】
ラチェットレバー22は、サイクルキャリア1に自転車100を積載する作業者が操作するレバーである。ラチェットレバー22は、軸ネジ23を基準として回転し、第2接触面21aが第1接触面14aに近づく方向にスライドブロック21を押し付ける力を与える。ラチェットレバー22は、ラチェット機構部22aと、把持部22bと、軸ネジ連結部22cとを備える。
【0043】
ラチェット機構部22aは、併設されたチェンジレバー22dの操作により、ロック状態とアンロック状態とに切り替わる。把持部22bは、作業者がラチェットレバー22を操作するときに実際に握る部分である。ここで、把持部22bは、軸ネジ連結部22cを介して回転自在に、ラチェット機構部22aに支持される。したがって、作業者は、ラチェットレバー22を操作するときには、図3Aに示すように把持部22bを押し上げ、ラチェットレバー22を操作しないときには、図3Bに示すように把持部22bを倒しておくことができる。
【0044】
軸ネジ23は、軸方向がY方向に沿うように配置され、ラチェットレバー22の回転基準であるとともに、スライドブロック21の移動方向を規定する。軸ネジ23の一端は、ベース体10に含まれるスライダー支持部13に支持される。軸ネジ23の他端は、スライダー20に含まれるボス24のネジ穴部24aに、軸ネジ23のネジ部23bを係合させることで接続される。
【0045】
ボス24は、全体として軸ネジ23と同軸となる形状を有し、ラチェットレバー22をスライドブロック21に支持させるための中間部材である。ボス24は、上記のとおり、軸ネジ23のネジ部23bと係合するネジ穴部24aを有する。ボス24の一端は、ラチェット機構部22aに支持される。ボス24の他端は、スライドブロック21の環状枠部21eに対して回転自在に係合する。
【0046】
押し付けバネ25は、軸ネジ23のネジ部23bに巻かれ、スライダー支持部13のバネ収容孔部13bに一部が収容される巻きバネである。押し付けバネ25は、スライドブロック21に対して、常時、Y方向に沿ってシャフト接触部14から離れる方向に付勢力を与える。
【0047】
図5は、第1取付シャフト61を保持しつつ、カバー30を開状態としたときのフォークホルダー2の斜視図である。
【0048】
自転車100の第1フロントフォーク110は、図5に示すように、第1フロントフォーク110に取り付けられた第1取付シャフト61を介してフォークホルダー2に保持される。ここで、第1取付シャフト61、及び、第1取付シャフト61の代替となり得るその他の取付シャフトを例示する。
【0049】
図6Aは、第1取付シャフト61の分解斜視図である。図6Bは、第1取付シャフト61の組立斜視図である。第1取付シャフト61は、積載対象となる自転車100がクイックリリース130(図7参照)を採用して第1フロントフォーク110にフロントタイヤを取り付ける車種である場合に適用される。
【0050】
第1取付シャフト61は、ベースシャフト64と、2つの第1アダプター65とを備える。ベースシャフト64は、軸方向での各々の端部を軸端部64aとした、金属又は樹脂製の筒体である。本実施形態では、ベースシャフト64は、軸方向の中心に、外周に沿って放射状に突出する環状凸部64bを有する。
【0051】
第1アダプター65は、クイックリリース130の仕様に合わせて各部の寸法が規定され、ベースシャフト64の軸端部64aに接続される、金属又は樹脂製の筒体である。第1アダプター65は、各々同軸に、嵌合部65aと、フランジ部65bと、軸支持部65cとを有する。嵌合部65aは、第1アダプター65の軸方向での一方の端部であり、軸端部64aの開口端部64cに挿入されて嵌合する。フランジ部65bは、第1アダプター65の外周面に設けられ、開口端部64cへの嵌合部65aの挿入量を規定する。軸支持部65cは、第1アダプター65の軸方向での他方の端部であり、第1フロントフォーク110の各々の先端部110aに予め形成されているU字形の切り欠き部に外周部で係合する。軸支持部65cは、クイックリリース130のシャフト130aを第1アダプター65の軸方向に沿って貫通させて支持する支持孔部65dを有する。
【0052】
図7は、クイックリリース130を利用しつつ、第1フロントフォーク110の先端部110aに取り付けられた状態の第1取付シャフト61の斜視図である。
【0053】
クイックリリース130は、シャフト130aと、シャフト130aの一方の端部に予め接続されているレバー130bと、シャフト130aの他方の端部にネジ式で係合するナット部130cを備える。例えば、第1フロントフォーク110の先端部110aに予め形成されている切り欠き部の形状に対応した、第1アダプター65に設けられている軸支持部65cの外径の規定値は、9mmである。この場合、クイックリリース130は、汎用型のいわゆる9mmクイックリリースである。また、クイックリリース130は、第1フロントフォーク110にフロントタイヤを取り付ける際に利用されるものであってもよい。作業者は、各々の先端部110aに予め形成されている切り欠き部に軸支持部65cをそれぞれ嵌め込ませつつ、2つの先端部110aに第1取付シャフト61を支持させる。次に、作業者は、一方の支持孔部65dの側からシャフト130aを貫通させつつ、他方の支持孔部65dの側から外部に貫通してきたシャフト130aの端部にナット部130cを取り付ける。そして、作業者は、レバー130bを適宜回転させることで、第1取付シャフト61の軸方向に沿って2つの先端部110a同士を締め付け、最終的に、第1フロントフォーク110に第1取付シャフト61を取り付けることができる。
【0054】
図8A及び図8Bは、第1取付シャフト61に代えて適用し得る第2取付シャフト62に関する図である。図8Aは、第2取付シャフト62の分解斜視図である。図8Bは、第2取付シャフト62の組立斜視図である。第2取付シャフト62は、積載対象となる自転車100がシャフト140(図9参照)を採用して第2フロントフォーク210にフロントタイヤを取り付ける車種である場合に適用される。
【0055】
第2取付シャフト62は、ベースシャフト64と、2つの第2アダプター66とを備える。ベースシャフト64は、第1取付シャフト61に用いられるものと同一であり、すなわち、自転車100の車種に限定されずに共用化される。
【0056】
第2アダプター66は、シャフト140の仕様に合わせて各部の寸法が規定され、ベースシャフト64の軸端部64aに接続される、金属又は樹脂製の筒体である。第2アダプター66は、各々同軸に、嵌合部66aと、フランジ部66bと、軸支持部66cとを有する。嵌合部66aは、第2アダプター66の軸方向での一方の端部であり、軸端部64aの開口端部64cに挿入されて嵌合する。フランジ部66bは、第2アダプター66の外周面に設けられ、開口端部64cへの嵌合部66aの挿入量を規定する。軸支持部66cは、第2アダプター66の軸方向での他方の端部であり、第2フロントフォーク210の先端部210a,210bに予め形成されている孔部の一部に外周部で係合する。軸支持部66cは、シャフト140を第2アダプター66の軸方向に沿って貫通させて支持する支持孔部66dを有する。
【0057】
図9は、シャフト140を利用しつつ、第2フロントフォーク210の先端部210a及び先端部210bに取り付けられた状態の第2取付シャフト62の斜視図である。
【0058】
シャフト140は、頭部140aを含み、少なくとも先端にはネジ切りが施されている。例えば、第2フロントフォーク210の先端部210a,210bに予め形成されている孔部の内径の規定値が12mmで、フロントフォーク幅の規定値が100mmである。この場合、シャフト140は、先端部210a又は先端部210bと各々係合する部位の外径が12mmに規定され、長さがフロントフォーク幅の規定値に対応した汎用型である。また、シャフト140は、第2フロントフォーク210にフロントタイヤを取り付ける際に利用されるものであってもよい。シャフト140は、第2フロントフォーク210の一方の先端部210aに設けられている孔部から挿入され、第2フロントフォーク210の他方の先端部210bに設けられているネジ穴に先端が係合することで、第2フロントフォーク210に締結される。この場合、作業者は、先端部210aと先端部210bとに予め形成されている孔部の一部に、第2取付シャフト62の軸支持部66cをそれぞれ嵌め込ませつつ、先端部210aと先端部210bとに第2取付シャフト62を支持させる。次に、作業者は、先端部210a側にある支持孔部66dの側からシャフト140を貫通させつつ、先端部210b側にある支持孔部66dの側から貫通した先端をネジ穴に係合させる。そして、作業者は、頭部140aを、六角レンチ等を用いて適宜回転させることで、第2取付シャフト62の軸方向に沿って先端部210aと先端部210bとを締め付け、最終的に、第2フロントフォーク210に第2取付シャフト62を取り付けることができる。
【0059】
なお、図8A図8B及び図9では、第2アダプター66が、第2フロントフォーク210の先端部210a,210bに形成されている孔部の内径の規定値が12mmで、フロントフォーク幅の規定値が100mmである場合に適用し得るものとした。これに対して、第2アダプター66は、先端部210a,210bに形成されている孔部の内径の規定値が例えば15mmである場合に適用されるように各部の寸法が設定されてもよい。又は、第2アダプター66は、フロントフォーク幅の規定値が例えば110mmである場合に適用されるように各部の寸法が設定されてもよい。また、第2取付シャフト62は、自転車100がシャフト140を採用して第2フロントフォーク210にフロントタイヤを取り付ける車種である場合に適用され得るものとした。これに対して、第2取付シャフト62は、自転車100が、後述するスルーアクスル150を採用して第2フロントフォーク210にフロントタイヤを取り付ける車種である場合に適用されてもよい。
【0060】
図10A及び図10Bは、第1取付シャフト61に代えて適用し得る第3取付シャフト63に関する図である。図10Aは、第3取付シャフト63の分解斜視図である。図10Bは、第3取付シャフト63の組立斜視図である。第3取付シャフト63は、積載対象となる自転車100がスルーアクスル150(図11参照)を採用して第3フロントフォーク310にフロントタイヤを取り付ける車種である場合に適用される。
【0061】
第3取付シャフト63は、ベースシャフト64と、2つの第3アダプター67とを備える。ベースシャフト64は、第1取付シャフト61に用いられるものと同一であり、すなわち、この場合も自転車100の車種に限定されずに共用化される。
【0062】
第3アダプター67は、スルーアクスル150の仕様に合わせて各部の寸法が規定され、ベースシャフト64の軸端部64aに接続される、金属又は樹脂製の筒体である。第3アダプター67は、各々同軸に、嵌合部67aと、フランジ部67bと、軸支持部67cとを有する。嵌合部67aは、第3アダプター67の軸方向での一方の端部であり、軸端部64aの開口端部64cに挿入されて嵌合する。フランジ部67bは、第3アダプター67の外周面に設けられ、開口端部64cへの嵌合部66aの挿入量を規定する。軸支持部67cは、第3アダプター67の軸方向での他方の端部であり、第3フロントフォーク310の各々の先端部310aに予め形成されている孔部の一部に外周部で係合する。軸支持部67cは、シャフト150aを第3アダプター67の軸方向に沿って貫通させて支持する支持孔部67dを有する。
【0063】
図11は、スルーアクスル150を利用しつつ、第3フロントフォーク310の2つの先端部310aに取り付けられた状態の第3取付シャフト63の斜視図である。
【0064】
スルーアクスル150は、シャフト150aと、シャフト150aの一方の端部に予め接続されているレバー150bとを備える。例えば、第3フロントフォーク310の先端部310aに予め形成されている孔部の内径の規定値が15mmで、フロントフォーク幅の規定値が100mmである。この場合、スルーアクスル150は、各々の先端部310aと係合する部位の径であるアクスル径が15mmに規定され、長さがフロントフォーク幅の規定値に対応した汎用型である。また、スルーアクスル150は、第3フロントフォーク310にフロントタイヤを取り付ける際に利用されるものであってもよい。シャフト150aの先端にはネジ切りが施されている。スルーアクスル150は、第3フロントフォーク310の一方の先端部310aに設けられている孔部から挿入され、他方の先端部310aに設けられているネジ穴310bに先端が係合することで、第3フロントフォーク310に締結される。この場合、作業者は、各々の先端部310aに予め形成されている孔部の一部に、第3取付シャフト63の軸支持部67cをそれぞれ嵌め込ませつつ、2つの先端部310aに第3取付シャフト63を支持させる。次に、作業者は、一方の先端部310a側にある支持孔部67dの側からシャフト150aを貫通させつつ、他方の先端部310a側にある支持孔部67dの側から貫通した先端をネジ穴310bに係合させる。そして、作業者は、レバー150bを適宜回転させることで、第3取付シャフト63の軸方向に沿って2つの先端部310a同士を締め付け、最終的に、第3フロントフォーク310に第3取付シャフト63を取り付けることができる。
【0065】
なお、図10A図10B及び図11では、第3アダプター67が、第3フロントフォーク310の先端部310aに形成されている孔部の内径の規定値が15mmで、フロントフォーク幅の規定値が100mmである場合に適用し得るものとした。これに対して、第3アダプター67は、先端部310aに形成されている孔部の内径の規定値が例えば12mmである場合に適用されるように各部の寸法が設定されてもよい。又は、第3アダプター67は、フロントフォーク幅の規定値が例えば110mmである場合に適用されるように各部の寸法が設定されてもよい。また、第3取付シャフト63は、自転車100がスルーアクスル150を採用して第3フロントフォーク310にフロントタイヤを取り付ける車種である場合に適用され得るものとした。これに対して、第3取付シャフト63は、自転車100が、上述のシャフト140を採用して第3フロントフォーク310にフロントタイヤを取り付ける車種である場合に適用されてもよい。
【0066】
カバー30は、ベース体10に開閉自在に支持され、閉状態のときに少なくともスライダー20を覆う。カバー30は、カバー本体31と、翼形カバー32と、キーロック33とを備える。
【0067】
図12は、第1取付シャフト61を保持しつつ、カバー30を開状態としたときに、カバー30の内面を視認できる位置から見たフォークホルダー2の斜視図である。以下、カバー30又はカバー本体31における内面とは、カバー30が閉状態のときに、外部から視認されず、スライダー20を覆う側の面をいう。一方、カバー30又はカバー本体31における外面とは、カバー30が閉状態のときに外方に露出する側の面をいう。
【0068】
図13A及び図13Bは、カバー30を構成する部品の斜視図である。図13Aは、内面を視認できる位置からのカバー本体31の斜視図である。図13Bは、翼形カバー32の斜視図である。
【0069】
図14は、第1取付シャフト61を保持しつつ、カバー30を閉状態としたときに、カバー30の後ろを視認できる位置から見たフォークホルダー2の斜視図である。なお、図14では、便宜上、第1フロントフォーク110は不図示である。
【0070】
カバー本体31は、カバー30が閉状態のときに下方に向かう部分と後方に向かう部分とが開放されるような概略形状を有する箱体である。カバー本体31は、スライダー収容部31aと、回転支持部31bと、キーロック保持部31cと、翼形カバー支持部31dと、レバー収容部31eとを有する。
【0071】
スライダー収容部31aは、カバー30が閉状態のときに、スライダー20のスライドブロック21を覆う壁部である。
【0072】
回転支持部31bは、カバー支持軸51を介してベース体10のカバー支持部16と接続され、カバー30の開閉の基準となる壁部である。回転支持部31bは、互いにX方向で対向し、各々カバー支持軸51を貫通させて支持する2つの支持孔31fを有する。つまり、回転支持部31bは、カバー支持軸51を回転軸として回転自在である。カバー30が閉状態のとき、カバー支持軸51に巻き付けられている補助バネ52は、回転支持部31bの内面に接触して付勢力を与える。作業者がカバー30を開こうとしたとき、補助バネ52の付勢力によってカバー30には開状態となる力が付与されるので、作業者は、より少ない力でカバー30を開くことができる。
【0073】
キーロック保持部31cは、カバー本体31の内面に設けられ、キーロック33を保持する。本実施形態では、キーロック保持部31cは、スライダー収容部31aの一部にある。キーロック保持部31cの一部は、図14に示すように、カバー本体31の外側へ露出する。作業者は、キーロック保持部31cの一部から露出したキーロック33に、キー33aを適宜差し込むことができる。
【0074】
翼形カバー支持部31dは、スライダー収容部31aの左右に1つずつ設けられ、翼形カバー32を支持する壁部である。翼形カバー支持部31dは、支持軸31gと、切り欠き部31hと、第1ギア面31iと、目盛り31jとを有する。
【0075】
支持軸31gは、翼形カバー支持部31dの内面に設けられ、翼形カバー32の回転穴32cに係合して翼形カバー32を回転自在に支持する。支持軸31gの軸方向は、カバー30が閉状態のときにZ方向に沿う方向である。切り欠き部31hは、支持軸31gに支持されている状態の翼形カバー32の一部をカバー30の外側に露出させる。第1ギア面31iは、支持軸31gの周辺にあり、支持軸31gを中心として放射状に山形の歯が多数設けられた面である。目盛り31jは、翼形カバー支持部31dの外面、すなわちカバー本体31の外面に設けられ、翼形カバー32の回転位置の目安となるように、当該回転位置ごとに対応した複数の印である。目盛り31jは、溝として形成されてもよいし、描かれたものであってもよい。目盛り31jとなる複数の印は、各々の翼形カバー32に対応する翼形カバー支持部31dごとに、図14に示すように、翼形カバー32の上面に面する切り欠き部31hの一部に沿って一定の間隔で設けられる。本実施形態では、目盛り31jの下方には、翼形カバー32の内側面32eが少なくとも位置する。したがって、翼形カバー32の回転位置は、内側面32eがその上方にある目盛り31jのいずれの印に合っているかによって把握される。
【0076】
レバー収容部31eは、Y方向に沿って延伸するようにスライダー収容部31aの一部に設けられ、図14に示すように、カバー30が閉状態のときに把持部22bが倒された状態のラチェットレバー22の一部を収容する壁部である。レバー収容部31eの上壁は、カバー30が閉状態のとき、スライダー支持部13の上壁よりも高い位置にある。把持部22bがレバー収容部31eに収容されることで、フォークホルダー2が第1取付シャフト61を保持している間にラチェットレバー22が意図せず回転し始めたとしても、レバー収容部31eの側壁に把持部22bが当接し、それ以上の回転が抑制される。また、把持部22bがレバー収容部31eに収容されることで、カバー本体31の全体形状をよりコンパクトにすることができる。
【0077】
翼形カバー32は、ベースシャフト64が第1接触面14aと第2接触面21aとで挟み込まれ、かつ、カバー30が閉状態のときに、ベースシャフト64の軸端部64aの側をベースシャフト64の軸方向に沿った方向から覆う。本実施形態では、翼形カバー32は、カバー本体31に設けられた支持軸31gを基準として、一部がベースシャフト64の軸端部64aに近接したり、軸端部64aから離間したりするように回転する。
【0078】
具体的には、翼形カバー32は、レバー部32aと、回転筒部32bとを有する。レバー部32a及び回転筒部32bは、複数の壁部で構成される構造体であってもよい。レバー部32aは、上記説明でいう、ベースシャフト64の軸端部64aに近接したり離間したりする部位である。また、作業者は、翼形カバー32の回転位置を調整する際に、レバー部32aをつまむことができる。回転筒部32bは、レバー部32aと連続し、翼形カバー支持部31dの内部に常時収容される部位である。回転筒部32bは、回転穴32cと、第2ギア面32dとを有する。回転穴32cは、翼形カバー支持部31dにある支持軸31gと係合する。第2ギア面32dは、回転穴32cの開口部の周辺にあり、回転穴32cの開口部を中心として放射状に山形の歯が多数設けられた面である。第2ギア面32dは、カバー本体31の第1ギア面31iと係合する。
【0079】
作業者は、カバー本体31側の支持軸31gに回転穴32cを係合させつつ、ドライバー等を用いて第2取付ネジ53により回転筒部32bの一部を支持軸31gに締結させることで、翼形カバー支持部31dに翼形カバー32を取り付けることができる。また、作業者は、第2取付ネジ53を緩めた状態で翼形カバー32を回転させ、第2取付ネジ53を再度締め付けることで、翼形カバー32の回転位置を所望の位置に調整することができる。ここで、翼形カバー32は、第1ギア面31iと第2ギア面32dとの係合によりカバー本体31と接触している。そのため、作業者は、翼形カバー32を一定のピッチで段階的に回転させることができ、回転位置を位置決めしやすい。また、翼形カバー32の位置決めが完了し、第2取付ネジ53による締結が完了した後は、翼形カバー32の回転位置がずれづらい。これらの効果を好適に奏するために、第1ギア面31iと第2ギア面32dとの双方の歯形で規定されるピッチは、例えば5°に設定され、その結果、回転位置が7段階で可変となるものであってもよい。
【0080】
図15は、第1取付シャフト61を保持している場合のフォークホルダー2を上側から見た斜視図である。一方の翼形カバー32は、クイックリリース130のレバー130bの側を、X方向で内側面32eを近接させつつ非接触で覆う。他方の翼形カバー32は、クイックリリース130のナット部130cの側を、X方向で内側面32eを近接させつつ非接触で覆う。ここで、作業者は、レバー130bの姿勢を、予め先端が前方を向くように維持させておくことで、レバー130bの先端がカバー30の内側に隠れ、結果として、外部からレバー130bを操作しづらくさせることができる。
【0081】
図16は、第2取付シャフト62を保持している場合のフォークホルダー2を上側から見た斜視図である。一方の翼形カバー32は、第2フロントフォーク210の一方の先端部210aの側、すなわち、シャフト140の頭部140aの側を、X方向で内側面32eを近接させつつ非接触で覆う。他方の翼形カバー32は、第2フロントフォーク210の他方の先端部210bの側、すなわち、シャフト140の先端の側を、X方向で内側面32eを近接させつつ非接触で覆う。この場合、第1取付シャフト61が保持される場合と比較すると、シャフト140の各端部の形状が、レバー等が存在しない分、よりコンパクトであり、第1フロントフォーク110の先端部210a及び先端部210bの形状もよりコンパクトである。そこで、各々の翼形カバー32の回転位置は、第1取付シャフト61が保持される場合よりも、レバー部32a同士の距離がX方向でより近づくように設定される。
【0082】
図17は、第3取付シャフト63を保持している場合のフォークホルダー2を上側から見た斜視図である。一方の翼形カバー32は、スルーアクスル150のレバー150bの側を、X方向で内側面32eを近接させつつ非接触で覆う。他方の翼形カバー32は、スルーアクスル150のシャフト150aの先端の側を、X方向で内側面32eを近接させつつ非接触で覆う。この場合、第1取付シャフト61が保持される場合と比較すると、スルーアクスル150を採用する車種の特性上、第3フロントフォーク310の先端部310aの構造が、第1フロントフォーク110の先端部110aの構造よりも複雑かつ大型となることが多い。そこで、各々の翼形カバー32の回転位置は、第1取付シャフト61が保持される場合よりも、レバー部32a同士の距離がX方向でより離れるように設定される。
【0083】
キーロック33は、カバー30が閉状態のときに、スライダー20の一部であるキーロック係合部21fと係合するロック状態と、ロック状態が解除されるアンロック状態とに切り替わるロック機構である。キーロック33がロック状態のとき、作業者等は、カバー30を開くことができない。キーロック33がアンロック状態のとき、作業者等は、カバー30を開くことができる。なお、キーロック33は、スライダー20の一部に代えて、カバー30が閉状態のときにベース体10の一部と係合するものであってもよい。作業者は、図2に示すように、カバー30が閉状態のときに、キー33aをキーロック33に差し込み、適宜、左回り又は右回りに回すことで、キーロック33をロック状態にしたり、アンロック状態にしたりすることができる。
【0084】
クランプ40は、ベース体10をルーフキャリアに取り付ける。ここで、本実施形態では、ルーフキャリアとして、上記のとおりY方向すなわち自動車の前後方向で並ぶ2本のバーが想定されている。クランプ40は、2本のバーのうちの前側にあるバーに取り付けられる。クランプ40は、図4に示すように、クランプ本体41と、パッキン42と、締結ネジ43と、ブッシュ44と、ナット45とを備える。
【0085】
クランプ本体41は、ベース体10の裏面部12に対してルーフキャリアを押し付けるブロック体である。クランプ本体41は、ベース体10に形成されている貫通孔部17と同軸となる位置に、同様に締結ネジ43を貫通させるネジ受け孔部41aを有する。本実施形態では、貫通孔部17は、ベース体10に2つ形成されているので、ネジ受け孔部41aは、クランプ本体41に2つ形成されている。ネジ受け孔部41aの開口径は、締結ネジ43の頭部43aを貫通させず、締結ネジ43の軸部を貫通させる程度の寸法に設定される。また、各々のネジ受け孔部41aと同軸で、かつ、裏面部12に対向する側とは反対側に、締結ネジ43の先端に係合するナット45を収容するザグリ穴が形成されている。更に、ルーフキャリアの側面と安定的に接触させるために、クランプ本体41の少なくとも一部は、ルーフキャリアの下側の側面と接触する上面がYZ平面で下に凹となるように湾曲していてもよい。
【0086】
パッキン42は、ベース体10に設けられている抑え補助板18の下方に面する部位に取り付けられ、ルーフキャリアの上側の側面と接触する。パッキン42は、合成ゴム等の弾性部材であってもよいし、合成樹脂であってもよい。
【0087】
締結ネジ43は、クランプ本体41をベース体10に対して締結させる。本実施形態では、締結ネジ43は、貫通孔部17及びネジ受け孔部41aの各々の設置数に合わせて2本ある。
【0088】
作業者は、フォークホルダー2をルーフキャリアに設置するとき、まず、パッキン42をルーフキャリアの上側の側面に接触させつつフォークホルダー2を保持し、ベース体10の表面部11の側から各々の貫通孔部17に締結ネジ43を貫通させる。このとき、Y方向では、2つの締結ネジ43の間にルーフキャリアが配置される。次に、作業者は、裏面部12の側から突出してきた各々の締結ネジ43に、円管状のブッシュ44を取り付け、その後、各々の締結ネジ43の先端をクランプ本体41の上面の側からネジ受け孔部41aに貫通させる。このとき、ルーフキャリアは、Z方向でベース体10とクランプ本体41とで挟み込まれる。そして、作業者は、各々の締結ネジ43の先端をクランプ本体41の側にあるナット45に係合させつつ、表面部11の側から、六角レンチ等を用いて締結ネジ43の頭部43aを回転させて締め付ける。このような一連の作業により、フォークホルダー2は、ルーフキャリアに取り付けられる。なお、締結ネジ43の頭部43aは、表面部11の側に形成されているザグリ穴部17aに収容されるため、スライダー20の移動を阻害しない。
【0089】
トレイ3は、図1に示すように、フォークホルダー2から後方に向かって延伸するような棒状部材である。トレイ3を構成する材質は、アルミニウム合金等の金属であってもよい。例えば図14に示すように、トレイ3は、XZ平面で切断したトレイ3の断面形状が下方に向かって凹となるような凹み部3aを有する。サイクルキャリア1に自転車100が積載されるとき、リアタイヤ120は、凹み部3aに嵌め込まれるように載置される。
【0090】
トレイ3は、クランプ金具70と、プレートナットを含む取付ボルト71と、ベルトフック74とを備える。ルーフキャリアの前側のバーには、上記のとおり、クランプ40を用いてベース体10が設置される。これに対して、ルーフキャリアの後ろ側のバーには、クランプ金具70と取付ボルト71とを用いてトレイ3の一部が設置される。ベルトフック74は、リアタイヤ120が接触している凹み部3a上の部位の反対側に配置され、リアタイヤ120のトレイ3への取り付けに用いられる。作業者は、不図示のマジックベルトをベルトフック74からトレイ3とリアタイヤ120の一部とに一体的に巻き付けることで、トレイ3に対してリアタイヤ120を取り付けることができる。
【0091】
次に、サイクルキャリア1への自転車100の積載の手順について説明する。なお、上記説明したように、サイクルキャリア1は、すでに自動車のルーフキャリアに設置され、かつ、第1取付シャフト61は、すでに自転車100の第1フロントフォーク110に取り付けられているものとする。
【0092】
まず、作業者は、図3Aに示すように、カバー30を開状態とした後、ラチェットレバー22のチェンジレバー22dを操作してアンロック状態とし、第1接触面14aと第2接触面21aとの間隔が広がるようにスライダー20を移動させる。併せて、作業者は、ラチェットレバー22の把持部22bを押し上げておく。
【0093】
次に、作業者は、自転車100のリアタイヤ120をトレイ3上に載置させつつ、第1取付シャフト61をベース体10上の第1接触面14aと第2接触面21aとの間に載置させる。併せて、作業者は、クイックリリース130のレバー130bの姿勢を、先端が前方を向くように維持させる。
【0094】
次に、作業者は、ラチェットレバー22のチェンジレバー22dを操作してロック状態とした後、ラチェットレバー22を回転操作する。これにより、スライダー20が徐々にシャフト接触部14に近づき、最終的に、第1取付シャフト61は、第1接触面14aと第2接触面21aとで挟み込まれた状態で、ベース体10の表面部11上に保持される。このとき、第1取付シャフト61の一部であるベースシャフト64の側面は、各々半円弧状の断面を有する第1接触面14a及び第2接触面21aと密に面接触することで、第1取付シャフト61のY方向及びZ方向の移動が規制される。一方、ベースシャフト64にある環状凸部64bは、シャフト接触部14に形成されている第1位置決め溝14cと、スライドブロック21に形成されている第2位置決め溝21gとに収容されることで、第1取付シャフト61のX方向の移動が規制される。
【0095】
次に、作業者は、把持部22bが上方を向く姿勢にラチェットレバー22を維持した状態から、引き続き把持部22bを倒す。このとき、フォークホルダー2は、図5に示す状態にある。
【0096】
次に、作業者は、カバー30を閉状態とし、引き続きキー33aを操作することで、キーロック33をロック状態とする。このとき、フォークホルダー2は、図2に示す状態にある。そして、作業者は、キーロック33からキー33aを抜き、その後、ベルトフック74からマジックベルトを巻き付けてトレイ3にリアタイヤ120を保持させることで、サイクルキャリア1への自転車100の積載作業を終了する。
【0097】
一方、作業者は、サイクルキャリア1から自転車100を降ろす場合には、上記の手順を逆に実施すればよい。
【0098】
次に、フォークホルダー2及びそれを用いたサイクルキャリア1の効果について説明する。
【0099】
まず、フォークホルダー2は、自転車100の例えば第1フロントフォーク110を保持する。フォークホルダー2は、第1フロントフォーク110の先端部110aに取り付けられるベースシャフト64と、ベースシャフト64を載置させる主表面11aと、ベースシャフト64の側面の一部に接触する第1接触面14aとを有するベース体10とを備える。また、フォークホルダー2は、スライダー20を備える。スライダー20は、第1接触面14aと対向する第2接触面21aを有し、かつ、ベース体10の主表面11aに沿って移動するスライドブロック21を備える。また、スライダー20は、スライドブロック21に支持され、第2接触面21aが第1接触面14aに近づく方向にスライドブロック21を押し付ける力を与えるラチェットレバー22を備える。ラチェットレバー22の軸ネジ23は、スライドブロック21の移動方向に沿って配置される。
【0100】
また、サイクルキャリア1は、自転車100の例えば第1フロントフォーク110を保持するフォークホルダーと、フォークホルダーに一端が接続され、自転車100に取り付けられているリアタイヤ120を保持する棒状のトレイ3とを備える。フォークホルダーは、上記のフォークホルダー2である。
【0101】
ここで、スライドブロック21の移動方向は、上記例示でのY方向に相当する。
【0102】
フォークホルダー2の構造によれば、ベースシャフト64は、当該ベースシャフト64の軸方向とは垂直となる方向に沿って、第1接触面14aと第2接触面21aとで挟み込まれて保持されることになる。このとき、ベースシャフト64が挟み込まれる方向は、スライドブロック21の移動方向であり、すなわち、ラチェットレバー22がスライドブロック21に押し付ける力を与える方向である。したがって、作業者がラチェットレバー22を回転操作することで、スライドブロック21は、ベースシャフト64の側面に対して垂直に押し付け力を与えるので、確実にベースシャフト64を締め付けることができる。
【0103】
また、フォークホルダー2の構造によれば、作業者によるラチェットレバー22の回転操作のみで、ベースシャフト64が安定的に保持される。つまり、フォークホルダー2によるベースシャフト64の保持に際しては、微調整のための別の位置決め機構の操作のような、ラチェットレバー22の回転操作以外の操作を要しない。したがって、作業者は、簡単な操作でベースシャフト64をフォークホルダー2に保持させることができる。
【0104】
このように、本実施形態によれば、自転車100の積載作業を簡単かつ確実に実施させるのに有利となるフォークホルダー及びサイクルキャリアを提供することができる。
【0105】
また、フォークホルダー2は、ベース体10に開閉自在に支持され、閉状態のときにのみ少なくともスライダー20を覆うカバー30を備えてもよい。カバー30は、カバー30が閉状態のときに、スライダー20又はベース体10の一部と係合するロック状態と、ロック状態が解除されるアンロック状態とに切り替わるロック機構を備えてもよい。
【0106】
ここで、ロック機構は、上記例示でのキーロック33に相当する。
【0107】
このフォークホルダー2によれば、カバー30が閉状態となったとき、スライダー20に備わるラチェットレバー22もカバー30に覆われる。つまり、ロック機構によりカバー30の閉状態が解除できないようにされることで、第三者が勝手にラチェットレバー22を操作することができなくなる。したがって、ベースシャフト64を介して第1フロントフォーク110がフォークホルダー2に保持されている自転車の盗難を抑止することができる。
【0108】
また、フォークホルダー2では、ベース体10は、ルーフキャリアへの設置に用いられるクランプ本体41を締結する締結ネジ43の一部を貫通させる貫通孔部17を有してもよい。貫通孔部17のザグリ穴部17aは、カバー30が閉状態のときにのみカバー30で覆われる位置にあってもよい。
【0109】
図18は、2つのザグリ穴部17aを視認できる位置から見たフォークホルダー2の斜視図である。なお、図18では、便宜上、カバー30は不図示である。
【0110】
このフォークホルダー2によれば、クランプ本体41を用いてベース体10をルーフキャリアに設置させる際、貫通孔部17を貫通させた締結ネジ43が用いられる。締結ネジ43は、ザグリ穴部17aに頭部43aが収容されるように貫通孔部17を貫通する。そのため、作業者は、締結ネジ43を締め付けるとき、スライダー20がベース体10に支持されている側から、六角レンチ等を用いて頭部43aを回転させる必要がある。この場合、カバー30が閉状態のときには、ザグリ穴部17aがカバー30に覆われることに併せて、ザグリ穴部17aにある締結ネジ43の頭部43aもカバー30に覆われる。つまり、ロック機構によりカバー30の閉状態が解除できないようにされることで、第三者が勝手にザグリ穴部17aにある頭部43aを回転させることができなくなる。したがって、第三者に勝手にルーフキャリアからフォークホルダー2を取り外され、結果としてサイクルキャリア1と自転車100との双方が盗難に遭うことを抑止することができる。
【0111】
また、フォークホルダー2では、カバー30は、翼形カバー32を備えてもよい。翼形カバー32は、ベースシャフト64が第1接触面14aと第2接触面21aとで挟み込まれ、かつ、カバー30が閉状態のときに、ベースシャフト64の軸端部64aの側をベースシャフト64の軸方向に沿った方向から覆う。
【0112】
ここで、ベースシャフト64の軸方向は、上記例示でのX方向に相当する。
【0113】
このフォークホルダー2によれば、カバー30が閉状態のとき、ベースシャフト64の軸端部64aの周囲が、図15等に示すように、X方向で、翼形カバー32で覆われる。つまり、ロック機構によりカバー30の閉状態が解除できないようにされることで、第三者が勝手に軸端部64aの周囲にある機構を操作することができなくなる。例えば、図15及び図17の例では、クイックリリース130のレバー130b若しくはナット部130c、又は、スルーアクスル150のレバー150bが翼形カバー32に覆われていることで、第三者が勝手にこれらを回転させることができない。一方、図16の例では、シャフト140の頭部140aが翼形カバー32に覆われていることで、第三者が勝手に六角レンチ等を頭部140aに係合させることができず、結果として頭部140aを回転させることができない。したがって、ベースシャフト64を介して第1フロントフォーク110等がフォークホルダー2に保持されている自転車の盗難を抑止することができる。
【0114】
また、フォークホルダー2では、翼形カバー32は、カバー30のカバー本体31に設けられた支持軸31gを基準として、一部がベースシャフト64の軸端部64aに近接し又は軸端部64aから離間するように回転してもよい。
【0115】
一般に、自転車100の車種ごとに、フロントフォーク自体の構造、又は、当該フロントフォークへのフロントタイヤの取り付け構造が異なるので、ベースシャフト64の軸端部64aの周囲に要する広さも異なる。このフォークホルダー2によれば、図15図16及び図17に例示したように、自転車100の車種に合わせて、翼形カバー32の回転位置を変化させて、軸端部64aの周囲に要する広さを適切に確保することができる。したがって、フォークホルダー2は、様々な車種の自転車100のフロントフォークを保持することができる。
【0116】
また、フォークホルダー2では、支持軸31gは、カバー本体31の内面にもうけられてもよい。
【0117】
このフォークホルダー2によれば、カバー30が閉状態のとき、翼形カバー32をカバー本体31に支持させている支持軸31gが、カバー30の内側に隠れる。つまり、ロック機構によりカバー30の閉状態が解除できないようにされることで、第三者が勝手に支持軸31gから翼形カバー32を取り外すことができなくなる。もし翼形カバー32が取り外されると、クイックリリース130のレバー130b等を第三者が操作することができる状態となり得る。したがって、カバー30が閉状態のときに翼形カバー32を取り外すことができない構造とすることで、自転車の盗難を抑止することができる。
【0118】
また、フォークホルダー2では、カバー本体31は、支持軸31gの周辺に第1ギア面31iを有してもよい。翼形カバー32は、第1ギア面31iと係合して一定のピッチで段階的に回転する第2ギア面32dを有してもよい。
【0119】
このフォークホルダー2によれば、作業者は、翼形カバー32を一定のピッチで段階的に回転させることができるので、回転位置を位置決めしやすい。また、翼形カバー32がカバー本体31に位置決めされた後では、翼形カバー32の回転位置をずれづらくすることができる。
【0120】
また、フォークホルダー2では、カバー本体31は、カバー本体31の外面に、翼形カバー32の回転位置ごとに対応した目盛り31jを有してもよい。
【0121】
このフォークホルダー2によれば、ベースシャフト64の双方の軸端部64aに対応して翼形カバー32が左右にある場合、作業者は、目盛り31jを基準として、双方の翼形カバー32の回転位置を互いに合わせながら、より容易に位置決めすることができる。
【0122】
また、フォークホルダー2では、ベースシャフト64は、フロントフォークの構造に各々対応した複数種類のアダプターを交換自在に取り付けてもよい。
【0123】
ここで、上記の例示では、第1フロントフォーク110に対応するアダプターは、第1アダプター65である。第2フロントフォーク210に対応するアダプターは、第2アダプター66である。第3フロントフォーク310に対応するアダプターは、第3アダプター67である。
【0124】
このフォークホルダー2によれば、様々な車種の自転車100のフロントフォークを保持することができる。
【0125】
更に、フォークホルダー2では、ベースシャフト64は、自転車100の特定車種におけるフロントタイヤの取り付けに採用される軸部を取り付けてもよい。
【0126】
ここで、上記の例示では、軸部は、クイックリリース130、シャフト140又はスルーアクスル150に相当する。
【0127】
このフォークホルダー2によれば、フロントタイヤの取り付けに採用される軸部を利用することで、フォークホルダー2に要する構成要素を減らすことができ、また、軸部の紛失を予め回避することができる。
【0128】
以上、実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正又は変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び、請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 サイクルキャリア
2 フォークホルダー
3 トレイ
10 ベース体
11a 主表面
17 貫通孔部
17a ザグリ穴部
14a 第1接触面
20 スライダー
21 スライドブロック
21a 第2接触面
22 ラチェットレバー
23 軸ネジ
30 カバー
31 カバー本体
31g 支持軸
31i 第1ギア面
31j 目盛り
32 翼形カバー
32d 第2ギア面
33 キーロック
41 クランプ本体
43 締結ネジ
64 ベースシャフト
64a 軸端部
65 第1アダプター
66 第2アダプター
67 第3アダプター
100 自転車
110 第1フロントフォーク
110a,210a,210b,310a 先端部
120 リアタイヤ
130 クイックリリース
140 シャフト
150 スルーアクスル
210 第2フロントフォーク
310 第3フロントフォーク
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18