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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009393
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240116BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 642F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110882
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光敏
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043AA10
5F043BB03
5F043EE06
5F043EE07
5F043EE09
5F043EE21
5F043EE35
5F043EE36
5F157AA73
5F157AB03
5F157AB13
5F157AB34
5F157AB46
5F157AB51
5F157AB62
5F157BB04
5F157BB79
5F157DB02
5F157DC86
(57)【要約】
【課題】リフターとの干渉を抑制しつつ基板の表面に均一に気泡を供給することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】処理槽の内部に上方へと向かう処理液の層流が形成され、その処理液中に基板Wが浸漬される。処理槽の内部には8本の気泡供給管51が配置され、それら8本の気泡供給管51は基板Wの下方から処理液中に気泡を供給する。8本の気泡供給管51のうちの最も内側の2本をパンチングプレート60の凹部65の内側に配置し、それら2本の気泡供給管51の高さ位置を他の気泡供給管51の高さ位置よりも低くする。リフター20が基板Wを浸漬位置にまで下降させたときにも、背板22の先端部22aが気泡供給管51に衝突することは防がれる。また、最も内側の2本の気泡供給管51を含む8本の気泡供給管51を設けているため、基板Wの表面に均一に気泡を供給することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理液による表面処理を行う基板処理装置であって、
処理液を貯留する処理槽と、
前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給部と、
前記処理槽内に設けられ、前記処理液供給部から供給された処理液の層流を形成するパンチング板と、
基板を保持して昇降し、前記処理槽に貯留された処理液中に前記基板を浸漬するリフターと、
前記処理槽の内部にて前記パンチング板の上方に配置され、前記リフターに保持された前記基板の下方から前記処理槽に貯留された処理液に気泡を供給する複数の管状の気泡供給管と、
を備え、
前記パンチング板には凹部が形成され、
前記複数の気泡供給管の一部は前記凹部の内側に配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記リフターの下端はV字型に形成され、
前記凹部は前記パンチング板の中央部に形成されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の基板処理装置において、
前記複数の気泡供給管はフッ素樹脂にて形成され、
前記複数の気泡供給管のそれぞれを前記パンチング板の上方に支持する支持部材をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して処理液によるエッチング等の表面処理を行う基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、例えば、半導体基板、液晶表示装置用基板、flat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体装置の製造工程では、半導体基板等の基板に対して種々の処理を行う基板処理装置が用いられている。そのような基板処理装置の1つとして、処理槽内に処理液を貯留し、その処理液中に複数の基板を一括して浸漬してエッチング処理等を行うバッチ式の基板処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、処理槽内にて基板保持部に保持された複数の基板の下方に処理液を吐出する処理液吐出部と気泡を供給する気泡供給部とを設けることが開示されている。処理液の吐出に加えて気泡を処理液中に供給することにより、処理槽内における処理液の流速が速くなって基板の表面処理の効率が向上する。
【0004】
一方、近年は持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みも注目されており、廃棄される処理液をなるべく低減する省液が求められている。このような要求に応えるべく、より少量の処理液で基板処理が可能な処理槽が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-106254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような容量を削減した処理槽では、処理槽の寸法が小さくなっているため、気泡供給部の配置が制限される。具体的には、複数の基板を保持して昇降するリフターの可動範囲内に気泡供給部を設けることはできない。このため、気泡供給部の配置に偏りが生じ、その結果基板の表面に均一に気泡を供給することができなくなり、基板処理の面内均一性が損なわれるという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、リフターとの干渉を抑制しつつ基板の表面に均一に気泡を供給することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に対して処理液による表面処理を行う基板処理装置において、処理液を貯留する処理槽と、前記処理槽内に処理液を供給する処理液供給部と、前記処理槽内に設けられ、前記処理液供給部から供給された処理液の層流を形成するパンチング板と、基板を保持して昇降し、前記処理槽に貯留された処理液中に前記基板を浸漬するリフターと、前記処理槽の内部にて前記パンチング板の上方に配置され、前記リフターに保持された前記基板の下方から前記処理槽に貯留された処理液に気泡を供給する複数の管状の気泡供給管と、を備え、前記パンチング板には凹部が形成され、前記複数の気泡供給管の一部は前記凹部の内側に配置されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項載の発明に係る基板処理装置において、前記リフターの下端はV字型に形成され、前記凹部は前記パンチング板の中央部に形成されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る基板処理装置において、前記複数の気泡供給管はフッ素樹脂にて形成され、前記複数の気泡供給管のそれぞれを前記パンチング板の上方に支持する支持部材をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1から請求項3の発明によれば、パンチング板には凹部が形成され、複数の気泡供給管の一部は凹部の内側に配置されるため、リフターとの干渉を抑制しつつ複数の気泡供給管を配置して基板の表面に均一に気泡を供給することができる。
【0012】
特に、請求項3の発明によれば、複数の気泡供給管はフッ素樹脂にて形成され、複数の気泡供給管のそれぞれをパンチング板の上方に支持する支持部材をさらに備えるため、気泡供給管の撓みを抑制して直進性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る基板処理装置の全体構成を示す図解的な平面図である。
図2図1の基板処理装置の処理部の構成を示す図である。
図3】リフターが上昇した状態を示す図である。
図4】リフターが下降した状態を示す図である。
図5】ノズル、分散板およびパンチングプレートを処理槽の底部から見た図である。
図6】パンチングプレートに対する8本の気泡供給管の配置を示す斜視図である。
図7】パンチングプレートおよび8本の気泡供給管の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下において、相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」、「同軸」、など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。また、等しい状態であることを示す表現(例えば、「同一」、「等しい」、「均質」、など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。また、形状を示す表現(例えば、「円形状」、「四角形状」、「円筒形状」、など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲の形状を表すものとし、例えば凹凸または面取りなどを有していてもよい。また、構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、「有する」、といった各表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。また、「A、BおよびCのうちの少なくとも一つ」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、「A、BおよびCのうち任意の2つ」、「A、BおよびCの全て」が含まれる。
【0015】
図1は、本発明に係る基板処理装置100の全体構成を示す図解的な平面図である。基板処理装置100は、複数枚の半導体基板などの基板Wに対して一括して処理液による表面処理を行うバッチ式の基板処理装置である。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。また、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。
【0016】
基板処理装置100は、主として、ロードポート110と、搬出入ロボット140と、姿勢変換機構150と、プッシャ160と、主搬送ロボット180と、基板処理部群120と、受け渡しカセット170と、制御部70と、を備える。
【0017】
ロードポート110は、平面視でほぼ長方形に形成された基板処理装置100の端部に設けられている。ロードポート110には、基板処理装置100で処理される複数枚の基板(以下、単に「基板」とする)Wを収容するキャリアCが載置される。未処理の基板Wを収容したキャリアCは無人搬送車(AGV、OHT)等によって搬送されてロードポート110に載置される。また、処理済みの基板Wを収容したキャリアCも無人搬送車によってロードポート110から持ち去られる。
【0018】
キャリアCは、典型的には、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)である。キャリアCは、その内部に形設された複数の保持棚によって複数の基板Wを水平姿勢(法線が鉛直方向に沿う姿勢)で鉛直方向(Z方向)に一定間隔で積層配列した状態で保持する。キャリアCの最大収容枚数は、25枚または50枚である。なお、キャリアCの形態としては、FOUPの他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納した基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
【0019】
基板処理装置100の本体部とロードポート110との境界部分には、ポッドオープナー(図示省略)等が設けられている。ポッドオープナーは、ロードポート110に載置されたキャリアCの前面の蓋を開閉する。
【0020】
搬出入ロボット140は、ロードポート110に載置されたキャリアCの蓋が開放された状態で、当該キャリアCから基板処理装置100の本体部に未処理の基板Wを搬入するとともに、基板処理装置100の本体部からキャリアCに処理済みの基板Wを搬出する。より具体的には、搬出入ロボット140は、キャリアCと姿勢変換機構150との間で基板Wの搬送を行う。搬出入ロボット140は、水平面内で旋回可能に構成されるとともに、それぞれが1枚の基板Wを保持可能なハンド要素を多段に積層してなるバッチハンド(図示省略)を進退移動可能に備える。
【0021】
姿勢変換機構150は、搬出入ロボット140から受け取った基板Wを90°回動させて、当該基板Wの姿勢を水平姿勢から起立姿勢(法線が水平方向に沿う姿勢)に変換する。また、姿勢変換機構150は、搬出入ロボット140に基板Wを渡す前に、当該基板Wの姿勢を起立姿勢から水平姿勢に変換する。
【0022】
プッシャ160は、姿勢変換機構150と受け渡しカセット170との間に配置される。プッシャ160は、姿勢変換機構150と受け渡しカセット170に設けられた昇降ステージ(図示省略)との間で起立姿勢の基板Wの受け渡しを行う。
【0023】
受け渡しカセット170と基板処理部群120とはX方向に沿って一列に配置されている。基板処理部群120は、5つの処理部121,122,123,124,125を備える。処理部121~125は、基板Wに対して種々の表面処理を行う基板処理装置100の主要部である。図1に示すように、基板処理装置100内において、処理部121,122,123,124,125の順に(+X)側から配置される。処理部121,122,123,124のそれぞれは処理液を貯留する処理槽10を備える。
【0024】
処理部121および処理部123は、それぞれ、同種または異種の薬液を貯留し、その薬液中に複数の基板Wを一括して浸漬させてエッチング処理等の薬液処理を行う。また、処理部122および処理部124は、それぞれ、リンス液(典型的には純水)を貯留し、そのリンス液中に複数の基板Wを一括して浸漬させてリンス処理を行う。
【0025】
基板処理部群120において、処理部121と処理部122とが対になっており、処理部123と処理部124とが対になっている。そして、処理部121と処理部122との対に専用の搬送機構である1つのリフター20が設けられている。リフター20は、処理部121と処理部122との間でX方向に沿って移動可能とされている。同様に、処理部123と処理部124との対に専用の搬送機構である1つのリフター20が設けられている。
【0026】
リフター20は、主搬送ロボット180から受け取った複数の基板Wを保持し、その基板Wを処理部121の処理槽10に貯留された薬液中に浸漬させる。薬液処理の終了後、リフター20は、処理部121から基板Wを引き上げて処理部122に移送し、処理部122の処理槽に貯留されたリンス液中に基板Wを浸漬させる。リンス処理終了後、リフター20は、処理部122から基板Wを引き上げて主搬送ロボット180に渡す。
【0027】
処理部125は、密閉された乾燥チャンバー内を大気圧未満に減圧する機構と、当該乾燥チャンバー内に有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコール(IPA))を供給する機構と、リフター20と、を備える。処理部125は、リフター20によって主搬送ロボット180から受け取った基板Wを乾燥チャンバー内に収容し、その乾燥チャンバー内を減圧雰囲気としつつ、基板Wに有機溶剤を供給して基板Wを乾燥させる。乾燥処理後の基板Wはリフター20を介して主搬送ロボット180に受け渡される。
【0028】
受け渡しカセット170は、待機位置(図1の主搬送ロボット180の位置)にある主搬送ロボット180の下方に配置される。受け渡しカセット170は、図示省略の昇降ステージを備える。当該昇降ステージは、プッシャ160から受け取った基板Wを起立姿勢のまま上昇させて主搬送ロボット180に渡す。また、昇降ステージは、主搬送ロボット180から受け取った基板Wを下降させてプッシャ160に渡す。
【0029】
主搬送ロボット180は、図1の矢印AR1に示すように、X方向に沿ってスライド移動に構成されている。主搬送ロボット180は、受け渡しカセット170の上方の待機位置と処理部121,122,123,124,125のいずれかの上方の処理位置との間で基板Wを搬送する。
【0030】
主搬送ロボット180は、複数の基板Wを一括して把持する一対の基板チャック181を備えている。主搬送ロボット180は、一対の基板チャック181の間隔を狭めることにより複数の基板Wを一括して把持することができ、基板チャック181の間隔を拡げることにより把持状態を解除することができる。このような構成により、主搬送ロボット130は、受け渡しカセット170の昇降ステージに対して基板Wの受け渡しを行うことができるとともに、基板処理部群120に設けられた各リフター20とも基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0031】
次に、基板処理装置100に設けられた処理部121の構成について説明する。ここでは、処理部121について説明するが、処理部123も同様の構成を備える。図2は、処理部121の構成を示す図である。図2に示すように、処理部121は、主として、処理液を貯留する処理槽10と、複数枚の基板Wを保持して上下に昇降するリフター20と、処理槽10内に処理液を供給する処理液供給部30と、処理槽10から処理液を排出する排液部40と、処理槽10に貯留された処理液中に気泡を供給する気泡供給部50と、を備える。
【0032】
処理槽10は、石英等の耐薬性の材料により構成された貯留容器である。処理槽10は、処理液を貯留してその内部に基板Wを浸漬させる内槽11と、内槽11の上端外周部に形成された外槽12とを含む二重槽構造を有する。内槽11および外槽12はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。外槽12の上縁の高さは、内槽11の上縁の高さよりも高い。内槽11の上端まで処理液が貯留されている状態で処理液供給部30から処理液がさらに供給されると、内槽11の上部から処理液が溢れて外槽12へとオーバーフローする。本実施形態の処理槽10は使用する処理液の量を低減した省液仕様のものであり、内槽11の容量は比較的小さい。
【0033】
本明細書において、「処理液」とは各種の薬液および純水を含む概念の用語である。薬液としては、例えば、エッチング処理を行うための液、または、パーティクルを除去するための液などが含まれ、具体的には、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、SC-1液(水酸化アンモニウムと過酸化水素水と純水との混合溶液)、SC-2液(塩酸と過酸化水素水と純水との混合溶液)、または、リン酸などが用いられる。薬液は、純水によって希釈されたものも含む。
【0034】
リフター20は、基板Wを保持しつつ上下に搬送するための搬送機構である。リフター20は、鉛直方向(Z方向)に延びる背板22と、背板22の下端から水平方向(Y方向)に延びる3本の保持棒21とを有する。背板22の下端はV字型に形成されている。すなわち、背板22の下端中央に位置する先端部22aが最も低い位置にあり、その先端部22aから背板22の両側部に向けて斜め上方に傾斜するように背板22の下端は形成されている。背板22の下端から延びる3本の保持棒21のそれぞれには複数(例えば、50個)の保持溝が所定のピッチで刻設されている。複数の基板Wは、それぞれの周縁部を保持溝に嵌合させた状態で3本の保持棒21上に互いに所定間隔を隔てて平行に起立姿勢で保持される。
【0035】
また、リフター20は、図2において概念的に示した駆動機構24と接続されて昇降移動される。図3および図4は、リフター20の昇降動作を示す図である。駆動機構24を動作させるとリフター20が上下に移動し、リフター20に保持された基板Wは図2の矢印AR2にて示すように、処理槽10の内部の浸漬位置(図4の位置)と、処理槽10の上方の引き上げ位置(図3の位置)との間で昇降移動される。処理槽10に処理液が貯留された状態で基板Wが浸漬位置に下降されることにより、当該処理液中に基板Wが浸漬されて表面処理が行われる。
【0036】
図2に戻り、処理液供給部30は、ノズル31およびそれに処理液を送給する配管系を備える。ノズル31は、処理槽10の内槽11内の底部に配置される。ノズル31の直上にはノズル31に対向するように分散板15が設けられる。さらに、分散板15の上方にはパンチングプレート60が設けられている。
【0037】
図5は、ノズル31、分散板15およびパンチングプレート60を処理槽10の底部から見た図である。処理液供給部30の配管32の先端部分(処理槽10内に延びる部分)が配管132を構成する。配管132の上側に複数のノズル31が形設される。各ノズル31は、配管132に連通接続されている。複数のノズル31のそれぞれの上方に分散板15が設けられる。分散板15は、水平面に平行に設けられた円板形状の部材である。ノズル31は、分散板15に向かって、配管132から鉛直上方に突設されている。分散板15のさらに上方には内槽11の水平断面の全体にパンチングプレート60が設けられる。パンチングプレート60の全面に複数の処理液孔61が穿設されている。
【0038】
配管132に送給された処理液は、ノズル31から直上の分散板15に向けて吐出される。処理槽10に処理液が貯留されている状態でノズル31から上方に向けて処理液が吐出されると、その処理液の流れが分散板15に突き当たって液の圧力が分散され、処理液が分散板15の面に沿って水平方向に拡がる。そして、分散板15によって水平方向に拡がった処理液は、パンチングプレート60の複数の処理液孔61から上昇して処理槽10内に下方から上方へと向かう層流を形成する。すなわち、パンチングプレート60は、処理槽10内に処理液の層流を形成する。
【0039】
図2に戻り、ノズル31に処理液を送給する配管系は、配管32にポンプ33、ヒータ34、フィルタ35、流量調整バルブ36およびバルブ37を備えて構成される。ポンプ33、ヒータ34、フィルタ35、流量調整バルブ36およびバルブ37は、この順番で配管32の上流から下流に向かって(外槽12から内槽11に向かって)配置される。
【0040】
配管32の先端側は処理槽10内に延設されて配管132(図5)を構成するとともに、配管32の基端側は外槽12に接続される。配管32は、外槽12から流れ出た処理液を再び内槽11に導く。すなわち、処理液供給部30は、処理槽10内の処理液を循環させるのである。ポンプ33は、外槽12から配管32に処理液を排出させるとともに、その処理液をノズル31に送り出す。ヒータ34は、配管32を流れる処理液を加熱する。処理液としてリン酸等を用いる場合には、ヒータ34によって処理液を加熱し、昇温した処理液を処理槽10に貯留する。
【0041】
フィルタ35は、配管32を流れる処理液をろ過して不純物等を取り除く。流量調整バルブ36は、配管32を流れる処理液の流量を調整する。バルブ37は、配管32の流路を開閉する。ポンプ33を作動させつつバルブ37を開放することにより、外槽12から排出された処理液が配管32を流れてノズル31に送給され、その流量は流量調整バルブ36によって規定される。
【0042】
薬液供給部80は、薬液供給源81、バルブ82、ノズル83および配管84を含む。配管84の先端側はノズル83に接続されるとともに、基端側は薬液供給源81に接続される。配管84の経路途中にバルブ82が設けられている。バルブ82が開放されると、薬液供給源81からノズル83に薬液が送給され、ノズル83から処理槽10の外槽12に向けて薬液が吐出される。薬液供給部80から外槽12に供給された薬液は処理液供給部30によって内槽11内に供給される。なお、薬液供給部80のノズル83は、内槽12に直接薬液を供給するようにしても良い。
【0043】
純水供給部90は、純水供給源91、バルブ92、ノズル93および配管94を含む。配管94の先端側はノズル93に接続されるとともに、基端側は純水供給源91に接続される。配管94の経路途中にバルブ92が設けられている。バルブ92が開放されると、純水供給源91からノズル93に純水が送給され、ノズル93から処理槽10の外槽12に向けて純水が吐出される。薬液供給部80から処理槽10に薬液が供給されるとともに、純水供給部90から純水が供給されることにより、薬液が希釈されることとなる。
【0044】
排液部40は、配管41およびバルブ45を含む。配管41の先端側は処理槽10の内槽11の底壁に接続される。配管41の経路途中にはバルブ45が設けられている。配管41の基端側は、基板処理装置1が設置される工場の排液設備に接続されている。バルブ45が開放されると、内槽11内に貯留されていた処理液が内槽11の底部から配管41に急速排出され、排液設備にて処理される。
【0045】
気泡供給部50は、複数本の気泡供給管(バブラー)51およびそれらに気体を送給する配管系を備える。本実施形態においては、気泡供給部50が8本の気泡供給管51を備える。8本の気泡供給管51は、処理槽10の内槽11の内部において、パンチングプレート60の上方、かつ、リフター20によって浸漬位置に保持された基板Wの下方に配置される。8本の気泡供給管51のそれぞれは、処理槽10内に貯留されている処理液中に気体を吐出する。処理槽10に処理液が貯留された状態で8本の気泡供給管51から処理液中に気体を供給すると、その気体は気泡となって処理液中を上昇する。気泡供給部50が供給する気体は、例えば不活性ガスである。その不活性ガスは、例えば、窒素またはアルゴンである(本実施形態では窒素を使用)。
【0046】
8本の気泡供給管51に気体を送給する配管系は、配管52、気体供給機構53および気体供給源54を含む。8本の気泡供給管51のそれぞれに1本の配管52の先端側が接続される。配管52の基端側は気体供給源54に接続されている。そして、配管52のそれぞれに気体供給機構53が設けられる。つまり、8本の気泡供給管51のそれぞれについて1個の気体供給機構53が設けられている。気体供給源54は、各配管52に気体を送り出す。気体供給機構53は、図示省略のマスフローコントローラおよび開閉バルブ等を備えており、配管52を介して気泡供給管51に気体を送給するとともに、その送給する気体の流量を調整する。
【0047】
図6は、パンチングプレート60に対する8本の気泡供給管51の配置を示す斜視図である。また、図7は、パンチングプレート60および8本の気泡供給管51の構成を示す正面図である。パンチングプレート60は、上板62に底板63を貼り合わせて構成される。上板62の中央には上下に貫通して開口部が形成されている。その開口部の下側を塞ぐように底板63が上板62に貼り合わされる。底板63は、例えばネジと六角ナットとを用いて上板62に固着される。上板62の開口部の下側が底板63によって閉塞されることにより、パンチングプレート60の中央部に凹部65が形成されることとなる。上板62および底板63のそれぞれには複数の処理液孔61が穿設されている。よって、パンチングプレート60のほぼ全面に複数の処理液孔61が穿設されることとなる。
【0048】
本実施形態においては、8本の気泡供給管51のうちの最も内側の2本の気泡供給管51がパンチングプレート60の凹部65の内側に配置される。残る6本の気泡供給管51は凹部65よりも外側であって上板62に配置される。従って、8本の気泡供給管51のうち凹部65の内側に配置された2本の気泡供給管51の高さ位置が最も低い。また、上板62に配置される6本の気泡供給管51についても、外側ほど(凹部65からの距離が長くなるほど)高さ位置が高くなっている。
【0049】
8本の気泡供給管51のそれぞれは、上側に一列に沿って図示省略の気泡孔が設けられた長尺の円管状部材である。気泡供給管51は、処理液に対する耐薬品性を有する材質、例えばPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、または、石英にて形成される(本実施形態ではPFAを使用)。フッ素樹脂の一種であるPFAは、優れた耐薬品性を有するものの容易に撓むため、長尺の気泡供給管51は比較的反りやすい。このため、複数の気泡供給管51のそれぞれをサポートガイド58によってパンチングプレート60の上方に支持して固定している。サポートガイド58は棒状の支持部材である。具体的には、パンチングプレート60上の複数箇所に一対のサポートガイド58を立設し、それらサポートガイド58によってPFAの気泡供給管51を支持している。これにより、気泡供給管58の撓みを抑制して直進性を高めることができる。
【0050】
また、各気泡供給管51に設けられた複数の気泡孔のそれぞれは、リフター20によって保持された隣り合う基板Wと基板Wとの間に位置するように配置されている。従って、各気泡供給管51に形設された複数の気泡孔から気体が吐出されることによって形成された気泡は隣り合う基板Wと基板Wとの間を上昇することとなる。
【0051】
図7に示すように、処理液の使用量を少なくした省液仕様の処理槽10においては、基板Wの全体が処理液に浸漬する浸漬位置にまでリフター20が下降したときに、背板22の先端部22aが相当に気泡供給管58に接近する。8本の気泡供給管51のうち、先端部22aが接近する最も内側の2本の気泡供給管51がパンチングプレート60の凹部65の内側に配置されているため、これら2本の気泡供給管51の高さ位置は他の気泡供給管51の高さ位置よりも低い。従って、リフター20が浸漬位置にまで下降したときにも、背板22の先端部22aと気泡供給管51との衝突を防ぐことができる。
【0052】
制御部70は、基板処理装置100に設けられた種々の動作機構を制御する。制御部70は、処理部121の動作も制御する。制御部70のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部70は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく記憶部(例えば、磁気ディスク)を備えている。制御部70は、処理液供給部30のバルブ37や気体供給機構53等と電気的に接続されており、これらの動作を制御する。
【0053】
また、制御部70の記憶部には、基板Wを処理する手順および条件を定めたレシピ(以下「処理レシピ」という)が記憶されている。処理レシピは、例えば、装置のオペレータが、GUIを介して入力して記憶部に記憶させることによって、基板処理装置1に取得される。或いは、複数の基板処理装置1を管理するホストコンピュータから基板処理装置1に処理レシピが通信により引き渡されて記憶部に記憶されても良い。制御部70は、記憶部に格納されている処理レシピの記述に基づいて、気体供給機構53等の動作を制御することにより、処理レシピに記述された通りに基板Wの表面処理を進行させる。
【0054】
次に、上記の構成を有する処理部121における処理動作について説明する。本実施形態の処理部121においては、処理槽10の内槽11から外槽12へとオーバーフローし、外槽12から流れ出た処理液が内槽11に戻ることによって処理液が循環している。具体的には、外槽12から配管32に流れ出た処理液は、ポンプ33によってノズル31に送り出される。このとき、配管32を流れる処理液は必要に応じてヒータ34によって加熱される。また、配管32を流れる処理液の流量は流量調整バルブ36によって規定される。さらに、必要に応じて排液部40が処理槽10から使用済みの処理液を排出するとともに、薬液供給部80および純水供給部90が処理槽10に新液を供給する。本実施形態では処理液として強アルカリ性のTMAHを使用してポリシリコンのエッチングを行う。
【0055】
ノズル31に送給された処理液は、ノズル31から内槽11内の上方に向けて吐出される。ノズル31から吐出された処理液は、分散板15に突き当たって分散板15の面に沿って水平方向に拡がる。分散板15によって水平方向に拡がった処理液は、パンチングプレート60に到達して複数の処理液孔61を通過し、その処理液孔61から上昇して上方へと向かう層流を内槽11内に形成する。内槽11の上端にまで到達した処理液は外槽12にオーバーフローして流れ込む。
【0056】
処理槽10内に上昇する処理液の層流が形成されている状態で基板Wが処理液中に浸漬される。具体的には、主搬送ロボット180によって搬送されてきた複数の基板Wをリフター20が処理槽10上方の引き上げ位置にて受け取る。基板Wは3本の保持棒21上に載置されてリフター20に保持される。続いて、制御部70は、駆動機構24を動作させてリフター20を下降させ、基板Wを処理槽10内の浸漬位置に下降させて処理液中に基板Wを浸漬させる。最も内側の2本の気泡供給管51はパンチングプレート60の凹部65の内側に配置されて高さ位置が相対的に低いため、リフター20が基板Wを浸漬位置にまで下降させたときにも、背板22の先端部22aと気泡供給管51との衝突は防がれる。
【0057】
処理槽10内に処理液の層流が形成されている状態でリフター20によって基板Wが浸漬位置に保持されることにより、基板Wと基板Wとの間を処理液の層流が流れて基板Wの表面が処理液に曝されることとなり、基板Wの表面処理(本実施形態ではエッチング処理)が進行する。
【0058】
また、気泡供給部50の気体供給機構53が対応する気泡供給管51に気体を送給する。気泡供給管51に送給された気体は、気泡供給管51の上側に設けられた複数の気泡孔から処理液中に吐出されて気泡を形成する。複数の気泡孔は、リフター20によって保持された隣り合う基板Wと基板Wとの間に位置するように配置されているため、気泡供給管51から吐出された気泡は隣り合う基板Wと基板Wとの間を上昇する。すなわち、基板Wの表面の近傍を多数の気泡が上昇することとなる。
【0059】
本実施形態のように処理液がアルカリ性のTMAHである場合には、処理液中の溶存酸素濃度が低くなるほどエッチングレートが高くなる。複数本の気泡供給管51から窒素の気泡を処理液中に供給すると、処理液中の溶存酸素濃度が低下し、その結果基板Wのエッチングレートを高めることができる。なお、処理液がTMAH以外(例えば、リン酸)であっても、複数本の気泡供給管51から窒素の気泡を処理液中に供給することにより、基板Wの表面に沿って多数の気泡が処理液中を上昇し、処理液の流速が速くなって基板の表面処理の効率が向上する。
【0060】
所定時間のエッチング処理が終了した後、制御部70は、駆動機構24を動作させてリフター20を上昇させ、処理槽10から基板Wを引き上げる。続いて、主搬送ロボット180がリフター20から処理後の基板Wを受け取る。以上のようにして処理部121における一連の処理が完了する。
【0061】
本実施形態においては、パンチングプレート60に凹部65を形成し、8本の気泡供給管51のうちの最も内側の2本の気泡供給管51を凹部65の内側に配置し、それら2本の気泡供給管51の高さ位置を他の6本の気泡供給管51の高さ位置よりも低くしている。仮に、比較的容量の小さい処理槽10において、最も内側の2本の気泡供給管51の高さ位置が他の気泡供給管51の高さ位置と同程度であったならば、リフター20が浸漬位置にまで下降したときに背板22の先端部22aが最も内側の2本の気泡供給管51と衝突することとなる。よって、最も内側の気泡供給管51を設けることができず、基板Wの表面に均一に気泡を供給することができなくなる。すなわち、基板Wの中央下部に対する気泡の供給量が相対的に少なくなる。その結果、基板Wの中央下部におけるエッチングレートが他の領域に比較して低くなり、エッチング量の面内均一性が損なわれることとなる。
【0062】
本実施形態では、最も内側の2本の気泡供給管51をパンチングプレート60の凹部65の内側に配置し、それら2本の気泡供給管51の高さ位置を他の6本の気泡供給管51の高さ位置よりも低くしている。このため、比較的容量の小さい処理槽10内にてリフター20が基板Wを浸漬位置にまで下降させたときにも、背板22の先端部22aが気泡供給管51に衝突することは防がれる。また、最も内側の2本の気泡供給管51を含む8本の気泡供給管51を設けているため、リフター20との干渉を抑制しつつも基板Wの表面に均一に気泡を供給することができる。その結果、基板Wの全面におけるエッチングレートが均一となり、表面処理の面内均一性を向上させることができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、開口部を有する上板62に底板63を貼り合わせてパンチングプレート60の凹部65を形成したが、これに限定されるものではない。例えば、1枚の板状のパンチングプレート60に切削加工を施して有底の凹部65を形成するようにしても良い。要するに、他の領域よりも高さの低い凹部65を形成する形態であれば良い。
【0064】
また、上記実施形態においては、基板Wの表面処理としてTMAHを用いたエッチング処理を行っていたが、これに限定されるものではなく、例えば他の処理液によって基板Wの洗浄処理を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 基板処理装置
10 処理槽
11 内槽
12 外槽
15 分散板
20 リフター
22 背板
22a 先端部
30 処理液供給部
31 ノズル
33 ポンプ
50 気泡供給部
51 気泡供給管
53 気体供給機構
58 サポートガイド
60 パンチングプレート
61 処理液孔
65 凹部
70 制御部
80 薬液供給部
90 純水供給部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7