(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093951
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】美容施術用装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/32 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61N1/32
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210618
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】300006434
【氏名又は名称】株式会社フレキシア
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】元井 真吾
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ15
4C053JJ18
4C053JJ21
(57)【要約】
【課題】美容効果を持続させるための施術に適した美容施術用装置を提供する。
【解決手段】美容効果が得られる矩形波の微弱交流を肌に通電するための美容用通電システムであり、複数種類の矩形波交流パターンを出力する美容用通電装置10と、肌に接触させて美容用通電装置10からの微弱交流を身体に通電する通電器具30と、を備え、複数種類の矩形波交流パターンが、微弱交流を身体になじませることを目的としたなじませ用パターンW1と、身体外面のしわ又はたるみを改善するリフトアップ効果を目的としたリフトアップ用パターンW2と、リフトアップ効果の定着を目的とした定着用パターンW3と、定着させたリフトアップ効果の持続を目的とした持続用パターンW4と、からなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体外面のしわ、たるみの改善などの美容効果が得られる矩形波の微弱交流を肌に通電するための美容用通電システムにおいて、
複数種類の美容用の矩形波交流パターンを出力する美容用通電装置と、前記肌に接触させて前記美容用通電装置からの前記微弱交流を前記身体に通電する通電器具と、を備え、
前記複数種類の矩形波交流パターンは、前記微弱交流を前記身体になじませることを目的としたなじませ用パターンと、前記身体外面のリフトアップ効果を目的としたリフトアップ用パターンと、前記リフトアップ効果の定着を目的とした定着用パターンと、定着させた前記リフトアップ効果の持続を目的とした持続用パターンと、からなることを特徴とする美容用通電システム。
【請求項2】
前記なじませ用パターンは、基準電位に対して一方のレベルの電位と、他方のレベルの電位とを交互に連続して1回づつ基準時間出力する基準単独パターンと、前記基準単独パターンを3回連続して出力する基準3回パターンと、前記基準電位を維持するポーズとを、有し、
1/4時間ポーズの後、前記基準3回パターン、2倍時間ポーズ、前記基準3回パターン、2倍時間ポーズ、前記基準単独パターン、2倍時間ポーズ、前記基準単独パターン、2倍時間ポーズ、前記基準単独パターン、2倍時間ポーズ、前記基準単独パターン、7/4時間ポーズの順で出力することを特徴とする請求項1に記載の美容用通電システム。
【請求項3】
前記リフトアップ用パターンは、前記基準電位に対して一方のレベルの電位を3.5倍時間出力し、前記基準電位を基準時間維持し、前記基準電位に対して他方のレベルの電位を3.5倍時間出力する3.5倍単独パターンと、前記基準電位に対して一方のレベルの電位を2倍時間出力し、前記基準電位を2倍時間維持し、前記基準電位に対して他方のレベルの電位を2倍時間出力する2倍単独パターンと、前記基準電位を維持するポーズとを、有し、
5/4時間ポーズの後、前記3.5倍単独パターン、前記3.5倍単独パターン、前記2倍単独パターン、2倍時間ポーズ、前記2倍単独パターン、3/4時間ポーズの順で出力することを特徴とする請求項1に記載の美容用通電システム。
【請求項4】
前記定着用パターンは、前記基準電位に対して一方のレベルの電位を1/4時間出力し、前記基準電位を1/4時間維持し、再度前記一方のレベルの電位を1/4時間出力し、前記基準電位を基準時間維持し、前記基準電位に対して他方のレベルの電位を1/4時間出力し、前記基準電位を1/4時間維持し、再度前記他方のレベルの電位を1/4時間出力する1/4倍2回パターンと、基準電位に対して一方のレベルの電位と、他方のレベルの電位とを交互に連続して1回づつ基準時間出力する基準単独パターンを2回連続して出力する基準2回パターンと、前記基準電位を維持するポーズとを、有し、
1/4時間ポーズの後、前記1/4倍2回パターン、2倍時間ポーズ、前記1/4倍2回パターン、2倍時間ポーズ、前記1/4倍2回パターン、3倍時間ポーズ、前記基準2回パターン、2倍時間ポーズ、前記1/4倍2回パターン、基準時間ポーズ、前記基準2回パターン、7/4時間ポーズの順で出力することを特徴とする請求項1に記載の美容用通電システム。
【請求項5】
前記持続用パターンは、前記基準電位に対して一方のレベルの電位を3.5倍時間出力し、前記基準電位を基準時間維持し、前記基準電位に対して他方のレベルの電位を3.5倍時間出力する3.5倍単独パターンと、前記基準電位に対して一方のレベルの電位を2倍時間出力し、前記基準電位を2倍時間維持し、前記基準電位に対して他方のレベルの電位を2倍時間出力する2倍単独パターンと、前記基準電位を維持するポーズとを、有し、
前記基準電位を3.5倍時間維持し、前記基準電位に対して他方のレベルの電位を1回出力した後、前記3.5倍単独パターン、前記2倍単独パターン、3.5倍時間ポーズの順で出力し、その後前記基準電位に対して一方のレベルの電位と前記基準電位に対して他方のレベルの電位とを3.5倍時間交互に連続して1回出力し、前記基準電位を1/2時間維持することを特徴とする請求項1に記載の美容用通電システム。
【請求項6】
前記持続用パターンは、前記なじませ用パターンと同一に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の美容用通電システム。
【請求項7】
前記美容用通電装置は、前記なじませ用パターンと、前記リフトアップ用パターンと、前記定着用パターンと、前記持続用パターンと、を各パターン毎に複数周期繰り返してこの順で出力することを特徴とする請求項1に記載の美容用通電システム。
【請求項8】
前記通電器具を複数有し、該複数の通電器具から同一パターンの前記微弱電流を同期して同時に通電可能に構成され、
美容用通電装置は、前記なじませ用パターンと、前記リフトアップ用パターンと、前記定着用パターンと、前記持続用パターンと、を各1回出力することを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の美容用通電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容施術用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より微弱な電気刺激を身体に与えて身体外表面のたるみを低減させるなどの美容効果を得ることを目的に構成された美容施術用装置が知られている(例えば下記特許文献1乃至3等)。
従来の美容施術用装置では、所定の微弱電流を所定の交流波パターンで身体に給電することが行われていた。例えば特許文献1では、基準電位を中心にプラス側レベルの電位とマイナス側レベルの電位とで表示する場合に、第3.5倍時間の時間間隔で両レベルの電位の一方のレベルの電位と、他方のレベルの電位とを交互に指示する交流方形波パターンを1回示す単独パターンと、単独パターンを3回連続する3回連続パターンと、基準電位を第3.5倍時間の2倍時間指示するポーズとを、3回連続パターン、ポーズ、3回連続パターン、ポーズ、単独パターン、ポーズ、単独パターン、ポーズ、単独パターン、ポーズ、単独パターン、ポーズの順で連続的に組み合わせて形成される美容用交流波形WA1の交流が使用されていた。
【0003】
また、特許文献1では、基準電位を中心にプラス側レベルの電位とマイナス側レベルの電位とで表示する場合に、両レベルの一方のレベルの電位を第2基準時間指示し、他方のレベルの電位を第2基準時間の1/2時間指示する交流方形波の第1繰返パターンと、一方のレベルの電位を第2基準時間の1/2時間指示し、基準電位を第2基準時間の1/2時間指示し、他方のレベルの電位を第2基準時間の1/2時間指示する交流方形波の第2繰返パターンと、基準電位を第2基準時間の1/2時間指示するポーズとを、第1繰返パターン、ポーズ、第1繰返パターン、ポーズ、第2繰返パターン、ポーズ、第2繰返パターン、ポーズの順で連続的に組み合わせて形成される美容用交流波形WA2の交流を、美容用交流波形WA1とは別に独立して、或いは美容用交流波形WA1とともに順次連続して使用していた。
【0004】
さらに、この特許文献1では、基準電位を中心にプラス側レベルの電位とマイナス側レベルの電位とで表示する場合に、両レベルの一方の電位を第3基準時間指示し、他方のレベルの電位を第3基準時間指示し、一方の電位を第3基準時間指示し、他方のレベルの電位を第3基準時間指示し、基準電位を第3基準時間の2倍時間指示し、一方のレベルの電位を第3基準時間の1/4時間指示し、基準電位を第3基準時間の1/2時間指示し、一方のレベルの電位を第3基準時間の1/4時間指示し、基準電位を第3基準時間指示し、他方のレベルの電位を第3基準時間の1/4時間指示し、基準電位を第3基準時間の1/2時間指示し、他方のレベルの電位を第3基準時間の1/4時間指示し、基準電位を第3基準時間指示する交流方形波の第3繰返パターンと、基準電位を第3基準時間指示し、一方のレベルの電位を第3基準時間の1/4時間指示し、基準電位を第3基準時間の1/2時間指示し、一方のレベルの電位を第3基準時間の1/4時間指示する一方繰返パターンと、基準電位を第3基準時間指示し、他方のレベルの電位を第3基準時間の1/4時間指示し、基準電位を第3基準時間の1/2時間指示し、他方のレベルの電位を第3基準時間の1/4時間指示する他方繰返パターンと、基準電位を第3基準時間指示するポーズとを、第3繰返パターン、第3繰返パターン、一方繰返パターン、他方繰返パターン、ポーズ、一方繰返パターン、他方繰返パターン、ポーズ、一方繰返パターンの順で連続的に組み合わせて形成される美容用交流波形WA3の交流を、美容用交流波形WA1、WA2とは別に独立して、或いは美容用交流波形WA1、WA2とともに順次連続して使用していた。
【0005】
このような交流波形を用いた特許文献1では、顔全体へのトリートメントや準備トリートメントを行うには美容用交流波形WA1の使用が好ましく、広域リフトアップトリートメントを行うには美容用交流波形WA2の使用が好ましく、狭域リフトアップトリートメントを行うには美容用交流波形WA3の使用が好ましいとされていた。
さらに美容用交流波形WA1、WA2、WA3を連続的に組み合わせることにより、美容用交流波形WA1、WA2、WA3を単独で使用する場合に比べ、直後に目視で確認できる程にトリートメントの改善効果が確認でき、持続できるとされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4357682号公報
【特許文献2】特許第4418802号公報
【特許文献3】特許第4528798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の美容施術用装置では、施術後には所望の美容効果が得られるものの、時間の経過とともに美容効果が低減することが知られていて、施術を受ける者の体質や体調等によっては、比較的短時間で低減することがあり、美容効果の持続させるための施術に適した装置に対する強い要望があった。
【0008】
そこで本発明は、美容効果を持続させ易い施術を行うことが可能な美容施術用装置を提供することを目的とする。
そこで本発明は、美容効果を持続させるための施術に適した美容施術用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の美容施術用装置は、身体外面のしわ、たるみを改善するリフトアップを含む美容効果が得られる矩形波の微弱交流を肌に通電するための美容用通電システムにおいて、複数種類の美容用の矩形波交流パターンを出力する美容用通電装置と、肌に接触させて美容用通電装置からの微弱交流を身体に通電する通電器具と、を備え、複数種類の矩形波交流パターンは、微弱交流を身体になじませることを目的としたなじませ用パターンと、身体外面のリフトアップ効果を目的としたリフトアップ用パターンと、リフトアップ効果の定着を目的とした定着用パターンと、定着させたリフトアップ効果の持続を目的とした持続用パターンと、からなることを特徴としている。
【0010】
本発明の美容施術用装置のなじませ用パターンは、基準電位に対して一方のレベルの電位と、他方のレベルの電位とを交互に連続して1回づつ基準時間出力する基準単独パターンと、基準単独パターンを3回連続して出力する基準3回パターンと、基準電位を維持するポーズとを、有し、1/4時間ポーズの後、基準3回パターン、2倍時間ポーズ、基準3回パターン、2倍時間ポーズ、基準単独パターン、2倍時間ポーズ、基準単独パターン、2倍時間ポーズ、基準単独パターン、2倍時間ポーズ、基準単独パターン、7/4時間ポーズの順で出力することを特徴としてもよい。
【0011】
本発明の美容施術用装置のリフトアップ用パターンは、基準電位に対して一方のレベルの電位を3.5倍時間出力し、基準電位を基準時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を3.5倍時間出力する3.5倍単独パターンと、基準電位に対して一方のレベルの電位を2倍時間出力し、基準電位を2倍時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を2倍時間出力する2倍単独パターンと、基準電位を維持するポーズとを、有し、5/4時間ポーズの後、3.5倍単独パターン、3.5倍単独パターン、2倍単独パターン、2倍時間ポーズ、2倍単独パターン、3/4時間ポーズの順で出力することを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の美容施術用装置の定着用パターンは、基準電位に対して一方のレベルの電位を1/4時間出力し、基準電位を1/4時間維持し、再度一方のレベルの電位を1/4時間出力し、基準電位を基準時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を1/4時間出力し、基準電位を1/4時間維持し、再度他方のレベルの電位を1/4時間出力する1/4倍2回パターンと、基準電位に対して一方のレベルの電位と、他方のレベルの電位とを交互に連続して1回づつ基準時間出力する基準単独パターンを2回連続して出力する基準2回パターンと、基準電位を維持するポーズとを、有し、1/4時間ポーズの後、1/4倍2回パターン、2倍時間ポーズ、1/4倍2回パターン、2倍時間ポーズ、1/4倍2回パターン、3倍時間ポーズ、基準2回パターン、2倍時間ポーズ、1/4倍2回パターン、基準時間ポーズ、基準2回パターン、7/4時間ポーズの順で出力することを特徴としてもよい。
【0013】
本発明の美容施術用装置の持続用パターンは、基準電位に対して一方のレベルの電位を3.5倍時間出力し、基準電位を基準時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を3.5倍時間出力する3.5倍単独パターンと、基準電位に対して一方のレベルの電位を2倍時間出力し、基準電位を2倍時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を2倍時間出力する2倍単独パターンと、基準電位を維持するポーズとを、有し、基準電位を3.5倍時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を1回出力した後、3.5倍単独パターン、2倍単独パターン、3.5倍時間ポーズの順で出力し、その後基準電位に対して一方のレベルの電位と基準電位に対して他方のレベルの電位とを3.5倍時間交互に連続して1回出力し、基準電位を1/2時間維持することを特徴としてもよい。
また本発明の美容施術用装置の持続用パターンは、なじませ用パターンと同一に構成されていることを特徴とすることもできる。
【0014】
本発明の美容施術用装置では、美容用通電装置が、なじませ用パターンと、リフトアップ用パターンと、定着用パターンと、持続用パターンと、を各パターン毎に複数周期繰り返してこの順で出力することを特徴としてもよい。
【0015】
本発明の美容施術用装置では、通電器具を複数有し、複数の通電器具から同一パターンの微弱電流を同期して同時に通電可能に構成され、美容用通電装置は、なじませ用パターンと、リフトアップ用パターンと、定着用パターンと、持続用パターンと、を各1回出力することを複数回繰り返すことを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の美容用通電システムによれば、美容用通電装置から出力される矩形波交流形を有する微弱交流が、肌に接触させた通電器具から身体に通電されるように構成されている。
美容用通電装置から出力される微弱交流は、特定の複数種類の矩形波交流パターンからなり、微弱交流を身体になじませることを目的としたなじませ用パターンと、身体外面のリフトアップ効果を目的としたリフトアップ用パターンと、リフトアップ効果の定着を目的とした定着用パターンと、定着させたリフトアップ効果の持続を目的とした持続用パターンと、を有していて、各パターンが繰り返し出力される。
そのため、なじませ用パターンにより微弱交流を身体になじませた状態で、リフトアップ用パターンを身体に通電でき、リフトアップ効果を効率よく発現できる。そして定着用パターンによりリフトアップ効果を定着させた状態で持続用パターンを身体に通電することで、身体外面のリフトアップ効果を長期間持続することが可能となる。
その結果、本発明によれば美容効果を持続させるための施術に適した美容用通電システムを提供することができる。
【0017】
本発明の美容用通電システムでは、なじませ用パターン、リフトアップ用パターン、定着用パターンを所定のものにすることで、身体外面のリフトアップ効果をより発現し易くすることができる。
特に、持続用パターンを所定のものにすることで、定着用パターンにより定着させた身体外面のリフトアップ効果をより持続させ易くすることができる。
また、持続用パターンをなじませ用パターンと同一に構成することでも、身体外面のリフトアップ効果を持続させ易くする効果を得ることが可能である。
【0018】
本発明の美容用通電システムでは、美容用通電装置がなじませ用パターンと、リフトアップ用パターンと、定着用パターンと、持続用パターンと、を各パターン毎に複数周期繰り返してこの順で出力すれば、微弱交流を身体に確実になじませた後でリフトアップ用パターンを身体に通電して身体外面のリフトアップ効果を発現させ易くでき、さらにリフトアップ効果を確実に定着させた状態で持続用パターンを身体に通電して身体外面のリフトアップ効果を長期間持続させ易くでき、より効率よく美容効果を得やすくできる。
また本発明の美容用通電システムでは、複数の通電器具から同一パターンの微弱電流を同時に同期して通電可能であれば、身体に複数個所から同時に微弱電流を与えることで各パターンの微弱電流が身体になじみやすく、処理時間の短縮化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置の斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置の概略ブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システム全体を示す概略図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムを被施術者に装着した状態を説明する図である。
【
図5A】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成する基本波形を示し、(H)は高レベル側の波形、(L)は低レベル側の波形、(A)は生成される基本波形Aを示す図である。
【
図5B】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成する基本波形を示し、(H)は高レベル側の波形、(L)は低レベル側の波形、(A)は生成される基本波形Bを示す図である。
【
図5C】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成する基本波形を示し、(H)は高レベル側の波形、(L)は低レベル側の波形、(A)は生成される基本波形Cを示す図である。
【
図5D】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成する基本波形を示し、(H)は高レベル側の波形、(L)は低レベル側の波形、(A)は生成される基本波形Dを示す図である。
【
図5E】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成する基本波形を示し、(H)は高レベル側の波形、(L)は低レベル側の波形、(A)は生成される基本波形Eを示す図である。
【
図6】(a)~(d)は本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成される矩形波交流パターンの波形を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成される三角波出力の波形を示す図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る美容用通電システム全体を示す概略図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る美容用通電システムを被施術者に装着した状態を説明する図である。
【
図10】(a)~(d)は本発明の第2実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成される矩形波交流パターンの波形を示す図である。
【
図11】(a)~(d)は本発明の第3実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置で生成される矩形波交流パターンの波形を示す図である。
【
図12】実施例の結果を示す顕微鏡写真であり、(a)は1回目の施術前を示し、(b)は全期間の施術の実施後を示している。
【
図13】比較例の結果を示す顕微鏡写真であり、(a)は1回目の施術前を示し、(b)は全期間の施術の実施後を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[第1実施形態]
【0021】
図1乃至3は、本発明の第1実施形態としての美容用通電システムを示す。この実施形態の美容用通電システムは、身体外面のしわ、たるみを改善するリフトアップを含む美容効果が得られる矩形波の微弱交流を肌に通電するシステムであり、美容用通電装置10と、美容用通電装置10にそれぞれ導線22を介して接続された複数の通電器具30及び振動器具40とを有する。
美容用通電装置10は、異なるパターンの矩形波を連続的に複数種組み合わせて形成されたパターンを有する交流(以下「矩形波交流」と称する)を、複数種類連続して所定タイミングで出力できるように構成されている。各矩形波交流のパターンの詳細については後述するが、本実施形態では4種類のパターンが予め設定されている。
【0022】
この美容用通電装置10では、通常の施術時に矩形波交流を身体に通電するためのノーマルモードと、施術前の前処理などとして通常の施術時よりも低レベルの電圧で身体に通電するためのソフトモードと、が予め設定されていて、さらに各モードにおいて出力電圧を複数レベルで選択可能となっている。出力される矩形波交流のパターンは、後述するようにノーマルモードとソフトモードとで異なり、ノーマルモードで使用されるパターンのうちの一部をソフトモードで使用する。
またこの美容用通電装置10では、身体に通電される矩形波交流とは別に、振動器具40を振動させるための三角波出力を生成可能である。三角波出力は一定の三角波形を繰り返す出力である。
【0023】
通電器具30は、導電性繊維が編みこまれたシート状の通電用不織布31と、非導電性で伸縮可能な布地によって被施術者の身体に締結可能な形状に形成されたサポータ32と、導電性繊維が編みこまれ、施術者の手に嵌めることが可能な通電用手袋型の形状に形成された一対の通電用手袋33と、を有する。
通電用不織布31及び通電用手袋33において用いられる導電性繊維には、導電性が高く、抗菌性のある銀が用いられている。導電性繊維に導電性の高い素材を用いることにより美容用通電装置10から出力される交流の電圧を低くして被施術者が強い電気刺戟を受けることを防止することができ、導電性繊維に抗菌性を持たせることにより被施術者の皮膚が雑菌によってかぶれるような事態を防ぐことができる。
【0024】
通電器具30は、
図4に示すように、シート状の通電用不織布31を身体各部の肌に接触させて覆い、例えば帯状に形成されたサポータ32を身体各部に通電用不織布31の外側から巻回したり、筒状に形成されたサポータ32を身体各部に通電用不織布31の外側から被せたりすることで、被施術者に装着することができる。
また通電用手袋33は、施術者が両手に装着し、被施術者の顔を含む身体各部に施術者の手のひらによりあてがうようい接触させ、或いは適宜移動させて、肌を摺動させたり加圧しつつ接触させるために使用する。
サポータ32及び通電用不織布31には、導線22と接続可能な電極が配設されている。導線22の両端には端子が設けられ、一方が美容用通電装置10に接続され、他方が電極に接続されている。
【0025】
振動器具40は、三角波出力により振動モータの強度を変化させて振動を発生する器具であり、例えば薄肉の板形状を有する。振動器具40は導線22を介して美容用通電装置10と接続されていて、サポータ32と肌との間に配置することで、サポータ32の弾性により肌に押し付けて装着される。
振動器具40は、通電器具30による矩形波交流の通電時に使用してもよく、通電器具30による矩形波交流の通電時と異なる時に使用してもよい。
【0026】
図2に示すように、美容用通電装置10は、制御部11を有するとともに、操作部13及び表示部14が設けられたパネル部12、記憶部15、発生部16、出力部18、タイマ20、電圧モード切替部21などを有している。
【0027】
制御部11はCPU(中央演算装置)19を備え、記憶部15に記録されたプログラムの演算処理を行い、美容用通電装置10を制御する。
パネル部12はタッチパネルからなり、操作部13の各種ボタン及び表示部14の各種の状態表示部が設けられ、施術の際、施術者による入力操作や機器の設定及び実行状態の確認が可能となっている。
操作部13では、例えばノーマルモード、ソフトモード、三角波を出力する振動モードとの選択が可能であり、各モードにおける電圧レベルが出力部のチャンネル毎に多段階に選択可能である。またノーマルモード及びソフトモードには、顔に施術する際に使用するフェイスモード、顔以外に施術する際に使用するボディモードの選択も可能である。
【0028】
操作部13は、マウス、キーボード、タッチパネル等であり、各種指示を入力するために用いられる。表示部14は操作部13から入力された各種指示や制御状態などを表示する。
記憶部15は、操作部13等からの入力に基づいて発生部16の機能を実現するためのプログラムや各種数値テーブル等のデータが記憶される。
発生部16は、操作部13の入力に基づいて、記憶部15からの演算処理プログラム及びデータを用いて処理を行い、各種モードに対応した電圧により、時間情報やクロックカウント情報に基づいて、複数の矩形波交流を連続して形成して出力するように構成されている。
【0029】
タイマ20は、CPU19のクロック数や内蔵された発振素子の発振回数等に基づいて、発振器におけるパルス幅やパルス周期の変化の基準となる時間をカウントし、また被施術者に対する施術時間の基準となる時間を計測する。
電圧モード切替部21は、ソフトモード及びノーマルモードでは操作部13の入力に応じて、出力部18から出力される矩形波交流の電圧を予め設定された電圧モードに設定し、モード内での電圧値の調整を行う。また振動モードでは操作部13の入力に応じて、出力部18から出力される三角波出力の振動電圧を予め設定された電圧モードに設定し、モード内での電圧値の調整を行う。
この実施形態では、電圧モード切替部21は、ソフトモードでは交流電圧を
0.3V~0.4V、ノーマルモードでは、交流電圧を 0.3V~3.9Vの範囲で複数段階に切替えができるようになっている。また振動モードでは、振動電圧を1.7Vpp~2.3Vppの範囲で切替えができるようになっている。
【0030】
出力部18は、ソフトモード及びノーマルモードにおいて、発生部16で発生させた複数種類の矩形波交流パターンを有する美容用の微弱交流を、サポータ32及び通電用不織布31や通電用手袋33等の複数の通電器具30に導線22を介して出力する。出力部18には複数のチャンネルが設けられていて、全てのチャンネルが同一パターンの微弱電流を同期して同時に通電可能に構成されている。
本実施形態では、3チャンネルの出力部18が設けられていて、3対のサポータ32及び通電用不織布31と一対の通電用手袋33との4対の通電器具30と接続されている。1対のサポータ32及び通電用不織布31と一対の通電用手袋33とが分岐された導線22により並列に接続されることで、4つに通電器具30が3チャンネルの出力部18に接続されている。3対以上の通電器具30から美容用の微弱電流を肌に通電して施術することで、全身の複数箇所に同時に適切に通電させ易くできる。
【0031】
通電器具30から肌に通電する美容用の微弱電流は、発生部16で発生させた交流であり、基準電位に対して一方のレベルの電位と、他方のレベルの電位とを、最大値の絶対値が一定となる複数種類の特定波形の矩形波交流パターンを有する。
発生部16では、ソフトモード及びノーマルモードにおいて、例えばPWM制御によるデューティー比の調整などにより、
図5A~
図5Eに示すように、5種類の基本矩形波A~Eを生成する。ここではいずれもオンオフタイムが制御されたパルスを複合することで基本波形A~Eが生成され、これらの基本矩形波A~Eを組み合わせることで、
図6に示すような4種類の矩形波交流パターンW1~W4を生成する。本実施形態では、各図中、基準時間を400msecとしている。
詳細には、
図5Aの(H)に示す高レベル側の波形と(L)に示す低レベル側の波形とを合成することで形成された(A)に示す基本波形Aと、
図5Bの(H)に示す高レベル側の波形と(L)に示す低レベル側の波形とを合成することで形成された(B)に示す基本波形Bと、
図5Cの(H)に示す高レベル側の波形と(L)に示す低レベル側の波形とを合成することで形成された(C)に示す基本波形Cと、
図5Dの(H)に示す高レベル側の波形と(L)に示す低レベル側の波形とを合成することで形成された(D)に示す基本波形Dと、
図5Eの(H)に示す高レベル側の波形と(L)に示す低レベル側の波形とを合成することで形成された(E)に示す基本波形Eと、を組み合わせることで4種類の矩形波交流パターンを生成する。
【0032】
第1実施形態では、4種類の矩形波交流パターンが、微弱交流を身体になじませることを目的とした
図6(a)に示す波形のなじませ用パターンW1と、身体外面のしわ又はたるみを改善するリフトアップ効果を目的とした
図6(b)に示すリフトアップ用パターンW2と、リフトアップ効果の定着を目的とした
図6(c)に示す定着用パターンW3と、定着させたリフトアップ効果の持続を目的とした
図6(d)に示す持続用パターンW4と、からなる。
【0033】
各矩形波交流パターンは、予め設定されている複数種類の電圧レベルから、操作部13からの入力に基づいて電圧モード切替部21で選択された電位のオンオフ出力により、規準電位、一方のレベルの電位、又は他方のレベルの電位の出力が矩形波が組み合わされて形成されている。
各パターンは何れも同一周期で生成され、この実施形態では1周期が12.8秒とされている。4種類の矩形波交流パターンが順次1回づつ、操作部13で設定された所定時間の間繰り返して出力される。
【0034】
なじませ用パターンW1は、
図6(a)に示すように、基本波形Aと基本波形Bとを組み合わせて生成された波形であり、1周期を32分割した1単位を基準時間として、基準電位に対して一方のレベルの電位と、他方のレベルの電位とを交互に連続して1回づつ基準時間出力する基準単独パターンと、基準単独パターンを3回連続して出力する基準3回パターンと、基準電位を維持するポーズとを、有していて、1/4時間ポーズの後、基準3回パターン、2倍時間ポーズ、基準3回パターン、2倍時間ポーズ、基準単独パターン、2倍時間ポーズ、基準単独パターン、2倍時間ポーズ、基準単独パターン、2倍時間ポーズ、基準単独パターン、7/4時間ポーズの順で出力する波形を有する。
【0035】
リフトアップ用パターンW2は、
図6(b)に示すように、基本波形Dと基本波形Cとを組み合わせて生成された波形であり、1周期を32分割した1単位を基準時間として、基準電位に対して一方のレベルの電位を3.5倍時間出力し、基準電位を基準時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を3.5倍時間出力する3.5倍単独パターンと、基準電位に対して一方のレベルの電位を2倍時間出力し、基準電位を2倍時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を2倍時間出力する2倍単独パターンと、基準電位を維持するポーズとを、有し、5/4時間ポーズの後、3.5倍単独パターン、3.5倍単独パターン、2倍単独パターン、2倍時間ポーズ、2倍単独パターン、3/4時間ポーズの順で出力する波形を有する。
【0036】
定着用パターンW3は、
図6(c)に示すように、基本波形Eと基本波形Aとを組み合わせて生成された波形であり、1周期を32分割した1単位を基準時間として、基準電位に対して一方のレベルの電位を1/4時間出力し、基準電位を1/4時間維持し、再度一方のレベルの電位を1/4時間出力し、基準電位を基準時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を1/4時間出力し、基準電位を1/4時間維持し、再度他方のレベルの電位を1/4時間出力する1/4倍2回パターンと、基準電位に対して一方のレベルの電位と、他方のレベルの電位とを交互に連続して1回づつ基準時間出力する基準単独パターンを2回連続して出力する基準2回パターンと、基準電位を維持するポーズとを、有し、1/4時間ポーズの後、1/4倍2回パターン、2倍時間ポーズ、1/4倍2回パターン、2倍時間ポーズ、1/4倍2回パターン、3倍時間ポーズ、基準2回パターン、2倍時間ポーズ、1/4倍2回パターン、基準時間ポーズ、基準2回パターン、7/4時間ポーズの順で出力する波形を有する。
【0037】
持続用パターンW4は、
図6(d)に示すように、基本波形Dと基本波形Cとを組み合わせて生成された波形であり、1周期を32分割した1単位を基準時間として、基準電位に対して一方のレベルの電位を3.5倍時間出力し、基準電位を基準時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を3.5倍時間出力する3.5倍単独パターンと、基準電位に対して一方のレベルの電位を2倍時間出力し、基準電位を2倍時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を2倍時間出力する2倍単独パターンと、基準電位を維持するポーズとを、有し、基準電位を3.5倍時間維持し、基準電位に対して他方のレベルの電位を1回出力した後、3.5倍単独パターン、2倍単独パターン、3.5倍時間ポーズの順で出力し、その後基準電位に対して一方のレベルの電位と基準電位に対して他方のレベルの電位とを3.5倍時間交互に連続して1回出力し、基準電位を1/2時間維持する波形を有する。
【0038】
ノーマルモードでは、第1実施形態では、美容用通電装置10がなじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3と、持続用パターンW4と、を各1回づつ順番に連続して出力することを複数回同じ順序で繰り返し、予め設定されて操作部13の入力により選択された施術時間の間出力する。
ここではなじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3と、持続用パターンW4とを1回ずつ短時間で繰り返して通電するため、しかも身体の複数位置に同期して同時に通電するため、4パターンの順序は必ずしも限定されるものではないが、本実施形態では、持続用パターンW4、リフトアップ用パターンW2、なじませ用パターンW1、定着用パターンW3の順でそれぞれ1回づつ出力して4パターンを多数回繰り返す。
一方、ソフトモードでは、持続用パターンW4とリフトアップ用パターンW2とを使用し、この順でそれぞれ1回づつ出力して2パターンを多数回繰り返す。
【0039】
なお発生部16では、振動モードの場合には、
図7に示すような三角波を有する振動用電圧も生成することが可能に構成されている。本実施形態の振動用電圧は、2秒周期の三角波形を有し、3段階の電圧レベルのうちから操作部13で設定された強度の振動用電圧を、操作部13で設定された期間繰り返して出力する。
【0040】
次に、このような美容用通電システムを施術時に使用する方法について説明する。
まず、施術者は被施術者の身体に導電性化粧水(図示せず)を塗布したのち、
図4に示すように、被施術者の身体表面に通電用不織布31を配設する。
図4においては、胸から肩を経て背中までと、腹周りと、両腿の周囲と、両すねの周囲とにそれぞれ通電用不織布31を配設する。なお、このとき各通電用不織布31同士は接触しないようにする。そして、通電用不織布31の上から被施術者の身体の全体にサポータ32を巻回したり被せたりすることで、各サポータ32の弾性力を作用させて装着する。被施術者はこの状態でベッドに臥している。
また振動器具40により被施術者に振動を与える場合には、振動器具40を例えば足裏等の振動を与える部位に配置する。振動器具40はサポータ32により肌に押付けるように装着される。
【0041】
施術者は、通電用手袋33を装着する。そして美容用通電装置10の出力部18の各チャンネルに導線22の一端側の端子をそれぞれ接続し、各導線22の他端側を各サポータ32及び通電用不織布31、振動器具40に接続する。
本実施形態では出力部18には3チャンネルの端子が設けられて入れていて、2つのチャンネルにはそれぞれ別のサポータ32と接続される導線22を接続し、残りの1つのチャンネルには、通電器具30側が複数に並列に分岐した導線22が接続されていて、分岐した導線22がサポータ32と通電用手袋33とに接続されている。
【0042】
施術者は、美容用通電装置10のパネル部12の操作部13により、ソフトモード、ノーマルモード、振動モードの選択を行う。
ノーマルモードは、通常の美容用施術の際には選択され得るモードであり、施術時間を設定するとともに、出力部18の各チャンネルごとに施術時の電圧のレベルを設定する。各チャンネル毎の電圧レベル及び施術時間は予め複数の設定値が設定されていて、複数のボタンから選択することで入力する。
【0043】
ソフトモードは、被施術者の肌の状態等の体質や体調などの被施術者の状態に応じて選択される場合とされない場合とがある。ソフトモードのみで施術する場合と、ノーマルモードを施術する前にソフトモードで施術する場合とがある。ソフトモードは、ノーマルモードと同様に操作入力することで、施術時の各チャンネル毎の電圧レベルや施術時間を設定する。ソフトモードでは、施術時に発生部16で生成される電圧が予めノーマルモードに比べて低電圧に設定されている。
【0044】
振動モードは、被施術者の状態に応じて選択する場合としない場合とがある。肌に振動を与えることで美容効果が向上するような場合や被施術者の希望に応じて選択する。振動モードでは施術時間及び施術時の電圧のレベルを設定する。振動モードでは、ノーマルモード及びソフトモードとは別に実施してもよく、ノーマルモード及び/又はソフトモードと同時に実施してもよい。
【0045】
ノーマルモード又はソフトモードでは、スタートボタンにより通電を開始すると、各チャンネルから、なじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3と、持続用パターンW4と、からなる矩形波交流パターンがそれぞれ出力される。
このとき全てのチャンネルから出力される矩形波交流パターンが何れも同一パターンが同一周期で出力される。さらに本実施形態では、なじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3と、持続用パターンW4と、の4種類の矩形波交流パターンが1回、即ち1周期づつ連続して出力される。
これらのパターンを有する矩形波交流は、サポータ32により肌に密着している通電用不織布31から身体各部の肌に通電される。
【0046】
ここでは複数のチャンネルから身体の複数の位置に同時に通電するため、矩形波交流パターンが身体に浸透させ易くてなじみ易く、各パターンにより目的とする効果を実現させ易い。
即ち、なじませ用パターンにより矩形波交流パターンをより身体になじませ易くする目的、リフトアップ用パターンにより身体外面のリフトアップ効果を実現し易くする目的、定着用パターンによりリフトアップ効果を定着させ易くする目的、持続用パターンにより定着したリフトアップ効果を持続させ易くする目的、のそれぞれを実現させ易くできる。
【0047】
そのため同じ矩形波交流パターン毎に多数回繰り返して肌に通電することで、身体を徐々に順応させて各目的を実現するような通電の必要性が低減できる。
これにより4つのパターンを1回づつ順番に変化させて通電することが可能となる。さらに全ての種類の1回のパターンを比較的短い時間で身体に通電するため、4つのパターンの通電の順序に自由度を大きくできる。
本実施形態では
図6(d)の持続用パターンW4、
図6(b)のリフトアップ用パターンW2、
図6(a)のなじませ用パターンW1、
図6(c)の定着用パターンW3の順序で、1周期づつ順番に1回づつ通電していて、操作部13で設定された施術時間の間、持続用パターンW4、リフトアップ用パターンW2、なじませ用パターンW1、定着用パターンW3を繰り返して通電する。なお本実施形態ではいずれのパターンも1周期が12.8秒で設定されている。ここでは1パルスの出力時間が長くて波数が少ない波形パターンから先に通電することで、効果を向上させている。
これによりソフトモードの施術、ノーマルモードの施術、ソフトモード及びノーマルモードの施術を行うことができる。
【0048】
一方、振動モードでは、スタートボタンにより通電を開始すると、矩形波交流パターンが出力されるチャンネルとは異なるチャンネルから、三角波形の振動電圧が予め設定された電圧レベルで所定時間出力される。各パターンW1~W4の1周期の期間に1乃至複数回、本実施形態では6回の三角波を出力することが繰り返される。これにより振動器具40を振動させて、装着した部位の肌、例えば足裏の肌に振動を供給することができる。
振動モードでは振動を与えることにより筋膜リリースの効果が得られ、例えば血流や代謝を改善することで硬くなった筋肉の動きよくして歪みを改善することで美容効果を拡大することができる。
【0049】
以上のような第1実施形態の美容用通電システムによれば、美容用通電装置10から出力される微弱交流は、特定の複数種類の矩形波交流パターンからなり、微弱交流を身体になじませることを目的としたなじませ用パターンW1と、身体外面のリフトアップ効果を目的としたリフトアップ用パターンW2と、リフトアップ効果の定着を目的とした定着用パターンW3と、定着させたリフトアップ効果の持続を目的とした持続用パターンW4と、を有していて、各パターンが繰り返し出力される。
そのため、なじませ用パターンW1により微弱交流を身体になじませた状態で、リフトアップ用パターンW2を身体に通電でき、リフトアップ効果を効率よく発現できる。そして定着用パターンW3によりリフトアップ効果を定着させた状態で持続用パターンW4を身体に通電することで、身体外面のリフトアップ効果を長期間持続することが可能となる。そのため美容効果を持続させるための施術に好適に使用することができる。
【0050】
また、この美容用通電システムでは、美容用通電装置10で5種類の基本矩形波A~Eを組み合わせることで、所定波形を有するなじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3と、持続用パターンW4と、を出力するので、身体に安全で美容効果を発現させ易い基本矩形波に基づいて4種類の矩形波交流パターンを生成できることに加え、基本矩形波の種類を増すことなく、肌に同一通電刺戟を与えることで生じる身体の慣れ現象を防止して各種の美容効果を得易くするための矩形波交流パターンを形成することができる。
【0051】
さらに、この美容用通電システムでは、なじませ用パターンW1、リフトアップ用パターンW2、定着用パターンW3をそれぞれ
図6(a)~(c)に示すように、所定のものにすることで、身体外面のリフトアップ効果を発現し易くしている。
そして、持続用パターンW4を
図6(d)に示すような特定の波形を採用することで、定着用パターンW3により定着させた身体外面のリフトアップ効果を長期間持続させ易くすることができる。
【0052】
また、この美容用通電システムでは、複数の通電器具30から同一パターンの微弱電流を同時に同期して通電可能であるため、身体に複数個所から同時に微弱電流を与えることで各パターンの微弱電流が身体に浸透してなじみやすく、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0053】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る美容用通電システム全体を示す図で、
図9は美容用通電システムの装着状態を示す説明図であり、
図10(a)~(d)は第2実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置10の発生部16において生成されて出力される矩形波交流パターンを示す図である。
【0054】
この第2実施形態の美容用通電システムの美容用通電装置10では、
図8に示すように、出力部18に1チャンネルの端子が設けられていて、矩形波交流を1系統に出力できるように構成されている。また制御部11では、ノーマルモードだけが設定可能に構成されていて、ソフトモード及び振動モードは設けられていない。制御部11及びパネル部12の操作部13及び表示部14、記憶部15、発生部16などが全て1系統でノーマルモードの施術用に構成されている。そのためノーマルモードに関しては第1実施形態と同等の通電が可能なコンパクトな簡易な装置となっている。
【0055】
一方、通電器具30は第1実施形態と同様のサポータ32と、通電用不織布31と、通電用手袋33とを有する。
美容用通電装置10の出力部18と各通電器具との間を接続する導線22は一端側が出力部18に接続されていて、他端側ば多数並列に分岐して複数の端子が設けられて、各端子が通電器具30のそれぞれに通電可能に接続されている。
【0056】
そして通電器具30から肌に通電するために、第1実施形態と同様に発生部16で生成、出力される美容用の微弱交流は、4種類の矩形波交流パターンを有し、
図10(a)に示すなじませ用パターンW1と、
図10(b)に示すリフトアップ用パターンW2と、
図10(c)に示す定着用パターンW3と、
図10(d)に示す持続用パターンW4と、からなる。本実施形態でも1周期は12.8秒に設定されている。
【0057】
ここではなじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3とは第1実施形態の矩形波交流パターンと同一の波形を有していて、
図5(a)~(e)に示す5種類の基本矩形波A~Eから生成される。
第2実施形態では、持続用パターンW4はなじませ用パターンと共通の波形を有している。そのため制御部11における制御を簡易できて制御部11の構造を簡素化できるとともに、発生部16における矩形波交流パターンの生成処理を簡易にできて発生部16の装置構成を簡素化できる。
【0058】
また第2実施形態の美容用通電装置10における発生部16及び出力部18では、なじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3と、持続用パターンW4と、を、パターン毎に複数周期繰り返してこの順で出力するように構成されている。例えば施術時間を4分割した時間に一パターンを連続して繰り返し、施術時間全体で、なじませ用パターンW1、リフトアップ用パターンW2、定着用パターンW3、持続用パターンW4を出力する。このときの施術時間、電圧レベルなどは操作部13に予め入力された設定に従う。
【0059】
第2実施形態の美容用通電システムは、第1実施形態のノーマルモードにおける施術時と同様に使用することが可能である。
通電器具30を、
図9に示すように装着し、各通電器具30と美容用通電装置10とを接続した後、出力レベルや施術時間などを設定し、スタートボタンにより通電を開始すると、出力部18からなじませ用パターンW1が1/4の施術時間の間、繰り返し出力される。次いで、リフトアップ用パターンW2が1/4の施術時間繰り返し出力され、その後、定着用パターンW3が1/4の施術時間繰り返し出力され、持続用パターンW4が1/4の施術時間繰り返し出力される。
第2実施形態では、複数に分岐して設けられた導線22により、身体の各部に装着されている各サポータ32、通電用手袋33、通電用フェイスマスク34等の通電器具30に、同一パターンが同一周期で同一レベルの矩形波交流パターンが出力され、身体の各部に通電される。
これにより施術を行うことができる。
【0060】
以上のような第2実施形態の美容用通電システムであっても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。しかも持続用パターンW4をなじませ用パターンW1と同一に構成しているので、身体外面のリフトアップ効果を持続させる効果を得つつも、装置構成を簡素化することができる。
【0061】
また第2実施形態の美容用通電システムでは、美容用通電装置10がなじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3と、持続用パターンW4と、を各パターン毎に複数周期繰り返してこの順で出力している。そのため微弱交流を身体に確実になじませた後でリフトアップ用パターンW2を身体に通電して身体外面のリフトアップ効果を発現させ易くでき、さらにリフトアップ効果を確実に定着させた状態で持続用パターンW4を身体に通電して身体外面のリフトアップ効果を長期間持続させ易くでき、効率よく美容効果を得やすくできる。
【0062】
[第3実施形態]
第3実施形態の美容用通電システムは、第2実施形態の矩形交流と波形が異なる矩形波交流を発生部16で生成する他は、第2実施形態の美容用通電システムと同様である。
図11(a)~(d)は第3実施形態に係る美容用通電システムの美容用通電装置10の発生部16において生成されて出力される矩形波交流パターンを示す図である。
【0063】
第3実施形態の発生部16で生成して出力される美容用の微弱交流は、4種類の矩形波交流パターンを有し、
図11(a)に示すなじませ用パターンW1と、
図11(b)に示すリフトアップ用パターンW2と、
図11(c)に示す定着用パターンW3と、
図11(d)に示す持続用パターンW4と、からなる。本実施形態でも1周期は12.8秒に設定されている。
【0064】
ここでは4種類の矩形波交流パターンはいずれも第1実施形態の矩形波交流パターンと同一の波形を有していて、
図5(a)~(e)に示す5種類の基本矩形波A~Eから生成される。
美容用通電装置10における発生部16及び出力部18では、これらのなじませ用パターンW1と、リフトアップ用パターンW2と、定着用パターンW3と、第1実施形態と同じ持続用パターンW4と、を、パターン毎に複数周期繰り返してこの順で出力するように構成されている。例えば施術時間を4分割した時間に一パターンを連続して繰り返し、施術時間全体で、なじませ用パターンW1、リフトアップ用パターンW2、定着用パターンW3、持続用パターンW4を出力する。このときの施術時間、電圧レベルなどは操作部13に予め入力された設定に従う。
【0065】
第3実施形態の美容用通電システムを施術時に使用する方法は、第1実施形態の1系統におけるノーマルモードの施術時と同様に使用することが可能である。
そしてこのような美容用通電システムであっても第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
なお上記第1乃至第3実施形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば上記では、通電器具30として通電用手袋33を用いたが、特に限定されるものではなく、例えば
図4及び
図9に仮想線で示すように、通電用手袋33の代わりに導電性繊維が編みこまれて被施術者の顔面に装着される通電用フェイスマスク34を接続していてもよい。
【実施例0067】
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例]
図4に示す第1実施形態の美容用通電装置10により、下半身と胴体(肩、胸、腹部、背中、腰)と、顔とに同時に通電することで、持続用パターンW4、リフトアップ用パターンW2、なじませ用パターンW1、定着用パターンW3の4パターンを繰り返して全身に通電する施術を、45歳男性に対して、1回40分間、週1回、4週間繰り返して実施した。
1回目の施術前と全期間の施術を実施した後とで、被験者の腹部から採取した皮膚の変化を調べた結果を
図12(a)(b)に示す。
図12は実施例における皮膚の顕微鏡写真であり、(a)は実施前を示し、(b)は実施後を示している。
【0068】
その結果、所定期間の施術の実施前の皮膚に比べて所定期間の施術の実施後の皮膚では、表皮下の真皮におけるコラーゲン繊維を示す着色部分の濃度が濃くなっていた。この着色部分の濃度はコラーゲン繊維の太さを示しており、4つの矩形波交流パターンを用いた施術によりコラーゲン繊維を太くできることが確認できた。
また実施前の皮膚に比べて実施後の皮膚には、表皮の下の真皮に乳頭層が多数出現していた。乳頭層は毛細血管から基底層細胞への栄養供給や水分保持力の要となることが知られている層であり、4つの矩形波交流パターンを用いた施術により乳頭層を増加できることが確認できた。これらから美容効果を持続させ易くできる効果が期待できた。
【0069】
[比較例]
実施例と同様のリフトアップ用パターンW2、なじませ用パターンW1、定着用パターンW3を通電可能な装置を用い、通電用手袋32を片目のみの目尻と目頭とにあてがい、リフトアップ用パターンW2、なじませ用パターンW1、定着用パターンW3の3パターンを繰り返して通電する施術を、65歳女性に対し、1回15分、週2回、4週間繰り返して実施した。
1回目の施術前と全期間の施術を実施した後とで、被験者の下瞼から採取した皮膚の変化を調べた結果を
図13(a)(b)に示す。
図13は実施例と同様に撮影された比較例の皮膚の顕微鏡写真であり、(a)は実施前を示し、(b)は実施後を示している。
【0070】
その結果、施術前の皮膚に比べて施術後の皮膚では、表皮下の真皮におけるコラーゲン繊維を示す着色部分の濃度が濃くなっていた。この着色部分の濃度はコラーゲン繊維の太さを示しており、3つの矩形波交流パターンを用いた施術によりコラーゲン繊維を太くできることが確認できた。
しかしながら、施術前の皮膚と施術後の皮膚とに、表皮の下の真皮における乳頭層の状態はあまり変化が見られなかった。