(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093979
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】抜栓キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65D51/22 120
B65D51/22 BRL
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210661
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB13
3E084EA02
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC07
3E084GA01
3E084GA08
3E084GB01
3E084GB12
3E084HB01
3E084HD04
3E084JA09
3E084KA13
3E084LA24
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】 除去可能な移行栓体を有する抜栓キャップにおいて、中栓にねじキャップを締め込む際に、移行栓体を押し下げないようにセットできる抜栓キャップを提供すること。
【解決手段】 容器本体Aに装着され、除去可能な移行栓体12を有する中栓Bと、中栓Bに螺合して装着され、除去された移行栓体12を係着可能なねじキャップCとを備え、中栓Bは、内容物を案内する注出筒10と、注出筒10の内周面に薄肉弱化部11を介して連設され、外周に係合突起19が形成される移行栓体12とを備え、ねじキャップCは、頂壁45と、頂壁45から垂設され、閉蓋時に外周で注出筒10を密封するとともに、内周に、開蓋方向への回動時のみ係合突起19と係合可能なラチェット係合腕51が形成される切断密封筒部47とを備え、ラチェット係合腕51は、下端部の内側から外側下方に傾斜する傾斜面部55を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に装着され、除去可能な移行栓体を有する中栓と、中栓に螺合して装着され、除去された移行栓体を係着可能なねじキャップとを備え、
中栓は、内容物を案内する注出筒と、注出筒の内周面に薄肉弱化部を介して連設され、外周に係合突起が形成される移行栓体とを備え、
ねじキャップは、頂壁と、頂壁から垂設され、閉蓋時に外周で注出筒を密封するとともに、内周に、開蓋方向への回動時のみ係合突起と係合可能なラチェット係合腕が形成される切断密封筒部とを備え、
ラチェット係合腕は、下端部の内側から外側下方に傾斜する傾斜面部を有することを特徴とする抜栓キャップ。
【請求項2】
移行栓体は、頂部が閉鎖され、外周に係合突起が形成される筒状壁を有し、
筒状壁は、上端外周部に、内側から外側下方に湾曲または傾斜するR形状部を有することを特徴とする請求項1に記載の抜栓キャップ。
【請求項3】
移行栓体は、外周に係合突起が形成される筒状壁と、筒状壁の外周下部から拡径して垂設される下筒壁とを有し、
下筒壁は、外周上端部に、内側から外側に向けて下降する傾斜部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の抜栓キャップ。
【請求項4】
移行栓体は、係合突起より下方に形成される第1係着突部を有し、
切断密封筒部は、ラチェット係合腕より下方に形成され、第1係着突部と係合可能な第2係着突部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の抜栓キャップ。
【請求項5】
移行栓体は、係合突起より下方に形成される第1係着突部を有し、
切断密封筒部は、ラチェット係合腕より下方に形成され、第1係着突部と係合可能な第2係着突部を有することを特徴とする請求項3に記載の抜栓キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移行栓体を有する中栓を備える抜栓キャップに関し、特に、ねじキャップを開蓋方向に回動することにより開栓できるラチェット機構を有する抜栓キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドレッシングなどの内容物を収容する食品容器として、開栓するまで移行栓体を有する中栓により容器本体内を密封状態にし、中栓に螺合により装着されたねじキャップを開蓋方向に回動することによって、中栓から移行栓体を除去し、移行栓体をねじキャップの係着部に保持して開栓することができるラチェット機構を有する抜栓キャップは、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の抜栓キャップは、通常の開蓋操作と同様に、ねじキャップを開蓋方向に回動するだけで簡単に開栓することができるが、注出筒の内周面に薄肉弱化部を介して連設された移行栓体は、中栓にねじキャップを締め込む際に、ラチェット機構の干渉によって押し下げられるおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、容器本体に装着され、除去可能な移行栓体を有する中栓と、中栓に螺合して装着され、除去された移行栓体を係着可能なねじキャップとを備える抜栓キャップにおいて、中栓にねじキャップを締め込む際に、移行栓体を押し下げないようにセットできる抜栓キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、抜栓キャップとして、容器本体に装着され、除去可能な移行栓体を有する中栓と、中栓に螺合して装着され、除去された移行栓体を係着可能なねじキャップとを備え、中栓は、内容物を案内する注出筒と、注出筒の内周面に薄肉弱化部を介して連設され、外周に係合突起が形成される移行栓体とを備え、ねじキャップは、頂壁と、頂壁から垂設され、閉蓋時に外周で注出筒を密封するとともに、内周に、開蓋方向への回動時のみ係合突起と係合可能なラチェット係合腕が形成される切断密封筒部とを備え、ラチェット係合腕は、下端部の内側から外側下方に傾斜する傾斜面部を有することを特徴とする構成を採用する。
【0007】
抜栓キャップの実施形態として、移行栓体は、頂部が閉鎖され、外周に係合突起が形成される筒状壁を有し、筒状壁は、上端外周部に、内側から外側下方に湾曲または傾斜するR形状部を有することを特徴とする構成を採用し、また、移行栓体は、外周に係合突起が形成される筒状壁と、筒状壁の外周下部から拡径して垂設される下筒壁とを有し、下筒壁は、外周上端部に、内側から外側に向けて下降する傾斜部を有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
抜栓キャップの具体的実施形態として、移行栓体は、係合突起より下方に形成される第1係着突部を有し、切断密封筒部は、ラチェット係合腕より下方に形成され、第1係着突部と係合可能な第2係着突部を有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の抜栓キャップは、上記構成を採用することにより、ねじキャップを閉蓋方向に締め込む際に、切断密封筒部のラチェット係合腕が移行栓体の係合突起を押し下げて薄肉弱化部が破断することを防止でき、ねじキャップを中栓に対して閉蓋方向に締め込むだけで簡単にセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例である抜栓キャップにおけるねじキャップと中栓との閉蓋時の状態を示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図2】本発明の実施例である抜栓キャップにおけるねじキャップと中栓との閉蓋時の状態を示す図であり、(a)は
図1(a)のX-X矢視断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【
図3】本発明の実施例である抜栓キャップにおけるねじキャップと中栓との閉蓋前の状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例)
次に、本発明の抜栓キャップの実施形態について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
図1において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに装着される中栓、Cは中栓Bに螺合して着脱自在に装着されるねじキャップである。
図1に示すように、容器本体Aの口部1は、中栓Bに嵌着して抜け止め保持する係止突条2を備えている。
【0012】
図1および
図2に示すように、中栓Bは、外周側の外筒5、内周側の内筒6、口部1の天面側に位置する上壁7とからなり、口部1が嵌入する環状溝を形成する嵌合筒部4と、嵌合筒部4から立設されたねじ壁部8と、ねじ壁部8の上端に天壁9を介して連設された注出筒10とから構成されている。
注出筒10は、容器本体A内に収容された内容物を注出する注出口として、円筒状に形成され、注出筒10の内周下部には、全周にわたって形成された薄肉弱化部11を介して移行栓体12が一体に連設され、注出口を密封している。
【0013】
移行栓体12は、円板状の頂部15と、頂部15外縁から垂設される筒状壁16と、筒状壁16の外周下部から拡径して垂設される下筒壁17と、下筒壁17の外周下部から連設され、外方に延びるフランジ部18とを備え、フランジ部18の外周に薄肉弱化部11が連設されている。
【0014】
筒状壁16は、外周に、ラチェット機構を構成する係合突起19が周方向に複数(本実施例では等間隔の6個所)突設され、筒状壁16の係合突起19が突設されていない上端外周部には、内側から外側下方に湾曲または傾斜するR形状部20が形成されている。
【0015】
係合突起19は、上端外周に湾曲または傾斜する切り欠き部22が形成され、周方向には、後述するねじキャップCのラチェット係合腕51と係合する略径方向に形成された第1係合面23と、その反対側に形成され、筒状壁16の外周面から螺着方向に傾斜した非係合面24とを有し、その平面視形状は、筒状壁16の外周面側を底辺とする略台形状をなしている。
なお、係合突起19は、略径方向に形成された第1係合面23と傾斜した非係合面24とを有していれば、平面視が略台形状ではなく、略直角三角形状でもよい。
また、本実施例では、
図2(a)に示すように、係合突起19は周方向6個所に設けているが、6個所に限らず移行栓体12の形状等に合わせて複数の適宜個所に設けることができる。
【0016】
下筒壁17は、上端面が筒状壁16外周から係合突起19を連設するとともに、わずかに外側に向けて下方に傾斜する傾斜段部26となり、外周には、第1係着突部27が周設され、外周上端部には、傾斜段部26の外縁から切り欠いて内側から外側に向けて下降する傾斜部28が形成され、外周下部にフランジ部18が連設されている。
【0017】
天壁9の周縁部には、外周側に陥没した段部30が設けられ、段部30の内周側には、180°間隔で2個所に音出し突部31が配設されている。
ねじ壁部8は、外周面に雄ねじ33が設けられている。
上壁7の上面には、周方向の2個所にストッパー35が設けられている。
【0018】
嵌合筒部4は、外筒5と内筒6と上壁7によって、容器本体Aの口部1が嵌入する嵌合溝が形成され、外筒5の内周下部には、容器本体Aの係止突条2に係合して口部1を抜け止めする係止縮径部37が設けられている。
外筒5には、係止縮径部37より上方に、周方向にわたって外周面から径方向に切り欠き凹部38が凹設され、切り欠き凹部38の下部は、切り欠き凹部38を破断して係止縮径部37を含めて切り離し、中栓Bを容器本体Aから分離して分別廃棄可能とする分別機構39が設けられる。
本実施例の中栓Bは、容器を使用した後に廃棄する際に、分別機構39および切り欠き凹部38により簡単な操作で容器本体Aから分離し、分別して廃棄することができる。
【0019】
ねじキャップCは、頂壁45と、頂壁45の外周縁から垂設され、中栓Bを覆う外周壁46とを備え、頂壁45の内面には、内側から順に、切断密封筒部47と、ねじ筒部48とが垂設され、さらに、切断密封筒部47とねじ筒部48との間に、音出し部材49が同心円状に180°間隔で2個所に配設されている。
【0020】
切断密封筒部47は、閉蓋時に外周下部が注出筒10の内周面に密着して注出口を密封し、内周には、ねじキャップCを開蓋する際に、移行栓体12の係合突起19に係合するラチェット機構を構成するラチェット係合腕51が係合突起19と同数(本実施例では周方向に6個所)に設けられ、内周下端部には、中栓Bの移行栓体12に形成された第1係着突部27を乗り越えて先端上部が第1係着突部27の先端下部と係合する環状の第2係着突部52が突設されている。
【0021】
ラチェット係合腕51は、下端部の内側から外側下方に傾斜する傾斜面部55が形成され、周方向には、開栓時に、ねじキャップCを開蓋方向に回動させたとき、係合突起19の第1係合面23に係合する略径方向の第2係合面56を有する先端係合部57と、切断密封筒部47の内周面から螺脱方向に傾斜して延びる先端係合部57より薄肉の腕部58とを備えている。
また、ラチェット係合腕51は、薄肉弱化部11を破断可能な回動力を伝えることができる程度の強度と、ねじキャップCの締め込み時に係合突起19の非係合面24を乗り越えることができる程度の可撓性とを有する部材からなっている。
【0022】
ねじ筒部48は、内周に、中栓Bの雄ねじ33に螺合する雌ねじ60が設けられ、下端面に、上壁7のストッパー35に係合するくさび状凹部61が周方向2個所に形成されている。
ねじ筒部48の下端面が上壁7に当接するとともに、ストッパー35とくさび状凹部61が係合し、ねじキャップCの締め込みが完了する。
【0023】
このとき、切断密封筒部47は、外周下部が注出筒10に当接して密着するとともに、先端部内周の第2係着突部52の先端部が移行栓体12の下筒壁17の第1係着突部27の先端部を乗り越えて係合し、さらに、先端部下面が移行栓体12のフランジ部18の上面からある程度の高さを持って装着されるように、ねじ筒部48および切断密封筒部47の高さが設定されている。
【0024】
音出し部材49は、頂壁45の下面から垂設された剛直な基部63と、基部63から垂設され、弾性変形可能に形成された棒状の振動片64とからなっている。
音出し部材49は、ねじキャップCの締め込み終了直前に振動片64の先端が中栓Bの音出し突部31に当接し、振動片64を湾曲変形させながら締め込みが進み、締め込み終了と同時に振動片64が音出し突部31を乗り越え、復元しようとすることにより、振動し、音が発生されるように設定される。
【0025】
次に、本実施例の抜栓キャップの使用態様と作用効果について説明する。
まず、中栓Bのねじ壁部8外周上方からねじキャップCのねじ筒部48内周下端部をセットした後、ねじキャップCを閉蓋方向に回動し、ねじ壁部8の雄ねじ33にねじ筒部48の雌ねじ60を螺合して締め込み、螺着させるとともに、注出筒10内方に切断密封筒部47を挿入することにより、中栓BとねじキャップCを組み立てる。
【0026】
中栓Bのねじ壁部8とねじキャップCのねじ筒部48との螺合前には、
図3に示すように、中栓Bの注出筒10内に、ねじキャップCの切断密封筒部47下端が案内され、挿入されるが、切断密封筒部47内のラチェット係合腕51の下端部は、内側から外側下方に傾斜した傾斜面部55となっているため、ラチェット係合腕51の傾斜面部55が中栓Bの移行栓体12の係合突起19の上端に当接することがないか、または、当接しても、下方に押す力を互いに受け流すことができる。
【0027】
ねじキャップCが、螺合方向に回動を始めて徐々に下降していくと、係合突起19の上端外周が切り欠き部22として、湾曲または傾斜しているので、ラチェット係合腕51の傾斜面部55と当接しても、下方に押す力を互いに受け流すことができ、ねじキャップCを入れやすくしている。
また、ラチェット係合腕51の傾斜面部55の内側先端が、移行栓体12の筒状壁16の上端外周部に当接しても、R形状部20となっているので、下方に押す力を受け流すとともに、ラチェット係合腕51が変形し、移行栓体12を押し下げないようにしている。
【0028】
ねじキャップCは、回動が進むと、切断密封筒部47のラチェット係合腕51の腕部58の側面が、係合突起19の非係合面24に乗り上げ、ラチェット係合腕51が変形し、係合突起19を乗り越えて、ねじキャップCの回動を許容する。
ねじキャップCが螺合によって下降していくと、切断密封筒部47の第2係着突部52の先端下部が移行栓体12の下筒壁17の第1係着突部27の先端上部に当接し、さらに下降することにより、乗り越えて、第2係着突部52の先端上部と第1係着突部27を先端下部が係合するようになる。
【0029】
さらに、ねじ筒部48の下端面が上壁7に当接するとともに、ねじ筒部48の下部のくさび状凹部61と中栓Bの上壁7のストッパー35が嵌合することにより、両ねじの締結が完了する。
また、両ねじの締結が完了前に、ねじキャップCの音出し部材49の振動片64先端が、中栓Bの天壁9の音出し突部31に当接し、乗り越え、湾曲変形した振動片64が復元して振動し、音が発せられる。
【0030】
雄ねじ33と雌ねじ60の締結が完了したとき、ラチェット機構は、
図2(a)に示すセット状態、すなわち、ラチェット係合腕51の第2係合面56と反対側の腕部58が、係合突起19の非係合面24に当接ないしは当接寸前の状態にセットされるように設定されている。
このように設定されていることによって、ねじキャップCがセット状態(締結状態)から容易に回動することはなく、わずかな衝撃によって不用意に開栓することを防ぐことができるとともに、開栓時にねじキャップCを回動する初動時の負荷が急激に大きくならないように、なめらかにねじを始動することができる。
【0031】
次に、内容物を充填した容器本体Aの口部1に、ねじキャップCを螺着した中栓Bの嵌合筒部4を当てがって上部から打栓する。
ねじキャップCの上から中栓Bを容器本体Aに打栓すると、ねじキャップCが中栓Bに対し押し込まれるが、ねじキャップCが中栓Bに対してわずかに下降しても、ねじキャップCのラチェット係合腕51の傾斜面部55の傾斜と、中栓Bの移行栓体12の下筒壁17の傾斜段部26および傾斜部28の傾斜とが当接しないだけではなく、切断密封筒部47の先端部下面と移行栓体12のフランジ部18の上面との高さにより、移行栓体12が下方に押されることもない。
ねじキャップCの上から中栓Bの打栓が終わると、ねじキャップCが元の状態に戻り、
図1に示すように、薄肉弱化部11を破断することがなく、ねじキャップCを螺着した中栓Bを容器本体Aに装着できる。
【0032】
次に、本実施例の抜栓キャップが打栓された容器を使用するには、ねじキャップCを開蓋方向に回動させる。
前述したように、ねじキャップCの回動開始時は、ラチェット係合腕51の第2係合面56が係合突起19の第1係合面23から離れているので、なめらかに回動が始まり、ラチェット係合腕51の第2係合面56が係合突起19の第1係合面23に当接して係合すると、ねじキャップCの回動力がラチェット機構を介して移行栓体12に加わるようになる。
【0033】
このとき、切断密封筒部47の第2係着突部52の先端上部が下筒壁17の第1係着突部27の先端下部に係合しているので、ねじキャップCの回動に伴って移行栓体12を上方に引き上げる力を発生させる。
ねじキャップCの回動が進むと、移行栓体12に加わる回動力と引き上げ力により、ついには薄肉弱化部11が破断して注出口が開栓され、注出筒10から分離された移行栓体12は、下筒壁17の第1係着突部27に係合する切断密封筒部47の第2係着突部52によって引き上げられ、ねじキャップCとともに上昇していく。
【0034】
切断密封筒部47の外周が注出筒10の内周面から離れ、ねじ筒部48の雌ねじ60がねじ壁部8の雄ねじ33から螺脱して、ねじキャップCを中栓Bから離脱すれば、ねじキャップCとともに移行栓体12が除去された注出筒10の注出口から容器本体A内の内容物を注出することができる。
【0035】
容器本体A内の内容物を注出した後、再度ねじキャップCを中栓Bに装着する際には、移行栓体12のフランジ部18および破断した薄肉弱化部11の残片によって、注出筒10の内周面に付着した内容物が掻き落とされ、注出筒10の内周面を清潔に保つことができる。
また、切断密封筒部47は、外周が注出筒10の内周に当接して容器本体A内を密封するとともに、内周に移行栓体12が係着しているので、内側に内容物が入りにくくなっている。
そのため、抜栓キャップ内を清潔に保つことができるとともに、ねじキャップCを取り外したときに内容物が垂れて周囲を汚したりすることを防止することができる。
【0036】
また、両ねじの螺合が完了する際には、再度、音出し部材49の振動片64先端が、音出し突部31に当接して振動し、音が発せられるので、本発明の利用者は、感覚的にキャップの閉蓋終了を知ることができる。
【0037】
本実施例では、閉蓋終了後の回動を止めるために、中栓BおよびねじキャップCにストッパー35およびくさび状凹部61を設けているが、閉蓋終了時に、音出し部材49により音が発せられ、利用者は、感覚的にキャップの閉蓋終了を知ることができるので、ストッパー35およびくさび状凹部61を設けなくても構わないし、さらに、音出し突部31と音出し部材49による音出し機構を設けなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の抜栓キャップは、容器本体に装着され、除去可能な移行栓体を有する中栓と、中栓に螺合して装着され、除去された移行栓体を係着可能なねじキャップとを備える抜栓キャップにおいて、ねじキャップを閉蓋方向に締め込む際に、切断密封筒部のラチェット係合腕が移行栓体の係合突起を押し下げて薄肉弱化部が破断することがないから、飲食品や調味料などの内容物を開栓まで密封状態で収容できる容器として好適である。
【符号の説明】
【0039】
A 容器本体
B 中栓
C ねじキャップ
1 口部
2 係止突条
4 嵌合筒部
5 外筒
6 内筒
7 上壁
8 ねじ壁部
9 天壁
10 注出筒
11 薄肉弱化部
12 移行栓体
15 頂部
16 筒状壁
17 下筒壁
18 フランジ部
19 係合突起
20 R形状部
22 切り欠き部
23 第1係合面
24 非係合面
26 傾斜段部
27 第1係着突部
28 傾斜部
30 段部
31 音出し突部
33 雄ねじ
35 ストッパー
37 係止縮径部
38 切り欠き凹部
39 分別機構
45 頂壁
46 外周壁
47 切断密封筒部
48 ねじ筒部
49 音出し部材
51 ラチェット係合腕
52 第2係着突部
55 傾斜面部
56 第2係合面
57 先端係合部
58 腕部
60 雌ねじ
61 くさび状凹部
63 基部
64 振動片