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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093980
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/24 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65D47/24 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210664
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA03
3E084EB02
3E084EC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LD01
3E084LG06
(57)【要約】
【課題】内容物を塗布する際に被塗布面により刺激を与えることが可能な塗布容器を提供することである。
【解決手段】口部12を備えた容器本体10と、内容物を注出する注出筒部23を備え、口部12に装着された注出キャップ20と、前端を注出筒部23から前方に突出させて注出キャップ20に装着された塗布部材40と、を有する塗布容器1であって、注出キャップ20が、注出筒部23の外周面に一体に連なるとともに径方向外側に向けて延びる脚部25aと、脚部25aに一体に連なるとともに注出筒部23よりも前方に突出する突出部25bとを備えた変形自在の刺激部25と、注出筒部23の後端に一体に連なるとともに径方向外側に向けて延びて設けられ、刺激部25が所定量だけ後方に変形したときに脚部25aに当接する変形規制部24と、を有することを特徴とする塗布容器1。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を備えた容器本体と、
内容物を注出する注出筒部を備え、前記口部に装着された注出キャップと、
前端を前記注出筒部から前方に突出させて前記注出キャップに装着された塗布部材と、を有する塗布容器であって、
前記注出キャップが、
前記注出筒部の外周面に一体に連なるとともに径方向外側に向けて延びる脚部と、前記脚部に一体に連なるとともに前記注出筒部よりも前方に突出する突出部とを備えた変形自在の刺激部と、
前記注出筒部の後端に一体に連なるとともに径方向外側に向けて延びて設けられ、前記刺激部が所定量だけ後方に変形したときに前記脚部に当接する変形規制部と、を有することを特徴とする塗布容器。
【請求項2】
前記口部に着脱自在に装着されて前記注出キャップを覆うオーバーキャップをさらに有し、
前記オーバーキャップが、前記突出部に径方向外側から当接する保持壁を備えている、請求項1に記載の塗布容器。
【請求項3】
前記内容物を計量可能な計量室と、
前記口部に着脱自在に装着されて前記注出キャップを覆うオーバーキャップと、
内容物の流出孔が設けられたシール筒部を備え、前記口部の開口に装着されて前記注出キャップとの間に前記計量室を区画形成する中栓部材と、をさらに有し、
前記塗布部材が、前記オーバーキャップに設けられたオーバーキャップ側突起に着脱自在にアンダーカット係合する塗布部材側突起を備え、前記オーバーキャップが前記口部から取り外されると前記オーバーキャップとともに上方に引き上げられて、前記注出筒部を開放し且つ前記流出孔を閉塞する注出位置から、前記注出筒部を閉塞し且つ前記流出孔を開放する前記注出位置よりも前方の計量位置にまで前記注出筒部の軸方向に沿って移動するように構成されており、
前記塗布部材が、さらにスカート部と、前記スカート部に設けられ、前記注出位置にあるときに前記シール筒部に当接して前記流出孔を閉塞するとともに前記計量位置にあるときに前記シール筒部から離間して前記流出孔を開放する摺動部と、前記スカート部に設けられ、前記計量位置にあるときに前記注出筒部に設けられた注出筒部側突起との間にシールを形成して注出筒部を閉塞するとともに前記注出位置にあるときに前記注出筒部から離間して前記注出筒部を開放するスカート部側突起とを有することで、前記オーバーキャップを取り外した後、倒立姿勢で内容物の計量が可能であるとともに塗布時に前記計量室により計量した内容物のみを前記注出筒部から注出可能に構成されている、請求項1または2に記載の塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬用育毛剤等の薬液や化粧液等の液状の内容物を収容する容器として、口部を備えた容器本体と、内容物を注出する注出筒部を備えて口部に装着された注出キャップと、前端を注出筒部から前方に突出させて注出キャップに装着された塗布部材と、を有する塗布容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-81638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の塗布容器は、例えば使用者の頭皮などの被塗布面に塗布部材の前端を押し当てることで、容器本体に収容している内容物を被塗布面に塗布することができるが、例えば、マッサージ効果や塗布した感触をより強くするなどの目的から、当該塗布の際に被塗布面により刺激を与えたいという要望があり、この点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容物を塗布する際に被塗布面により刺激を与えることが可能な塗布容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の塗布容器は、口部を備えた容器本体と、内容物を注出する注出筒部を備え、前記口部に装着された注出キャップと、前端を前記注出筒部から前方に突出させて前記注出キャップに装着された塗布部材と、を有する塗布容器であって、前記注出キャップが、前記注出筒部の外周面に一体に連なるとともに径方向外側に向けて延びる脚部と、前記脚部に一体に連なるとともに前記注出筒部よりも前方に突出する突出部とを備えた変形自在の刺激部と、前記注出筒部の後端に一体に連なるとともに径方向外側に向けて延びて設けられ、前記刺激部が所定量だけ後方に変形したときに前記脚部に当接する変形規制部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の塗布容器は、上記構成において、前記口部に着脱自在に装着されて前記注出キャップを覆うオーバーキャップをさらに有し、前記オーバーキャップが、前記突出部に径方向外側から当接する保持壁を備えているのが好ましい。
【0008】
本発明の塗布容器は、上記構成において、前記内容物を計量可能な計量室と、前記口部に着脱自在に装着されて前記注出キャップを覆うオーバーキャップと、内容物の流出孔が設けられたシール筒部を備え、前記口部の開口に装着されて前記注出キャップとの間に前記計量室を区画形成する中栓部材と、をさらに有し、前記塗布部材が、前記オーバーキャップに設けられたオーバーキャップ側突起に着脱自在にアンダーカット係合する塗布部材側突起を備え、前記オーバーキャップが前記口部から取り外されると前記オーバーキャップとともに上方に引き上げられて、前記注出筒部を開放し且つ前記流出孔を閉塞する注出位置から、前記注出筒部を閉塞し且つ前記流出孔を開放する前記注出位置よりも前方の計量位置にまで前記注出筒部の軸方向に沿って移動するように構成されており、前記塗布部材が、さらにスカート部と、前記スカート部に設けられ、前記注出位置にあるときに前記シール筒部に当接して前記流出孔を閉塞するとともに前記計量位置にあるときに前記シール筒部から離間して前記流出孔を開放する摺動部と、前記スカート部に設けられ、前記計量位置にあるときに前記注出筒部に設けられた注出筒部側突起との間にシールを形成して注出筒部を閉塞するとともに前記注出位置にあるときに前記注出筒部から離間して前記注出筒部を開放するスカート部側突起とを有することで、前記オーバーキャップを取り外した後、倒立姿勢で内容物の計量が可能であるとともに塗布時に前記計量室により計量した内容物のみを前記注出筒部から注出可能に構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内容物を塗布する際に被塗布面により刺激を与えることが可能な塗布容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る塗布容器の要部の断面図である。
図2図1に示す塗布容器の要部を、オーバーキャップを取り外した状態で示す拡大断面図である。
図3図1に示す塗布容器の、オーバーキャップを取り外した状態の平面図である。
図4図1に示す塗布容器の、オーバーキャップを取り外して塗布部材を計量位置とした状態の断面図である。
図5図1に示す塗布容器の、塗布部材を計量位置とした状態で倒立姿勢として計量室に内容物を充填させた状態の断面図である。
図6図1に示す塗布容器の、塗布部材を被塗布面に押し付けて内容物を塗布している状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る塗布容器について、図面を参照しつつより具体的に例示説明する。
【0012】
図1に示す本発明の一実施形態に係る塗布容器1は、薬用育毛剤等の薬液(液状の薬剤)を内容物として収容し、当該内容物を使用者の頭皮等の被塗布面に塗布する用途に用いられるものである。
【0013】
実施形態では、塗布容器1は、容器本体10、注出キャップ20、中栓部材30、塗布部材40及びオーバーキャップ50を有している。
【0014】
容器本体10は、胴部11と口部12とを備えたボトル形状となっており、その内部に内容物を収容することができる。胴部11は有底筒状の形態を有し、容器本体10は、正立姿勢においては、胴部11の底部分を下側とし、口部12を上側とした姿勢となる。口部12は胴部11よりも小径の円筒状となっており、胴部11の上端部(図1中上側となる端部)に肩部13を介して一体に連なっている。
【0015】
なお、本明細書及び特許請求の範囲においては、「上」ないし「前」は、塗布容器1を図1に示す正立姿勢とした状態における口部12の軸線Oに沿った上側を意味するものとし、「下」ないし「後」は、その反対側を意味するものとし、径方向は口部12の軸線Oに垂直な方向を意味するものとする。
【0016】
容器本体10としては、例えばガラス製のボトル容器、合成樹脂製のブロー成形ボトルなどを用いることができるが、口部12を有するとともに内容物を収容することができるものであれば、ボトル形状以外の種々の形状ないし材質のものを用いることもできる。
【0017】
注出キャップ20は、合成樹脂製となっており、図2に示すように、口部12と同軸の円筒状の本体筒部21と、本体筒部21に対して下方側に一体且つ同軸に設けられた本体筒部21よりも大径の円筒状の装着筒部22と、本体筒部21に対して上方側に一体且つ同軸に設けられた本体筒部21よりも小径の円筒状の注出筒部23とを有している。本体筒部21と注出筒部23との間は、注出筒部23の後端(下端)に一体に連なるとともに注出筒部23の側から本体筒部21の側に向けて徐々に拡径するように径方向外側に向けて延びるテーパー状の変形規制部24となっている。
【0018】
装着筒部22の内周面には当該内周面から径方向内側に向けて突出する係合部22aが一体に設けられている。一方、口部12の上端部は、その外径が他の部分よりも小さい小径形状に形成され、その外周面には径方向外側に向けて突出する環状の係止凸部12aが一体に設けられている。注出キャップ20は、装着筒部22が口部12の小径形状の先端部の外側に嵌め合わされるとともに係合部22aが係止凸部12aにアンダーカット係合することにより、口部12に抜け止め保持された状態で装着されている。
【0019】
なお、注出キャップ20は、係合部22aと係止凸部12aとのアンダーカット係合に替えて、例えば、ねじ結合等の他の手段によって口部12に装着された構成とすることもできる。また、注出キャップ20は、内容物の漏れや非計量状態で内容物が注出ないし塗布されることを防止するため、口部12から容易に取り外しできない状態で装着されるのが望ましい。
【0020】
本体筒部21は口部12に対して上方に突出しており、その内側に容器本体10の内部に連なる空間を形成している。注出筒部23は内容物を外部に注出する部分である。容器本体10の内部に収容された内容物は、口部12と本体筒部21の内側を通って注出筒部23から外部に注出される。
【0021】
中栓部材30は口部12の開口に装着され、注出キャップ20との間に計量室Rを区画形成している。計量室Rは、容器本体10に収容されている内容物を計量することができる。本実施形態の塗布容器1は、内容物を計量可能な計量室Rを有することで、容器本体10に収容されている内容物を被塗布面に一定量ずつ小分けに塗布することができるようになっている。
【0022】
例えば合成樹脂製とされる中栓部材30は、固定部31と中栓本体部32とを備えている。固定部31は円環状に形成されており、その外周面において装着筒部22の内周面に嵌合するとともに注出キャップ20の本体筒部21の下端と口部12の先端との間に挟持されている。このように、中栓部材30は固定部31において口部12に固定されている。また、固定部31の上面には環状溝31aが設けられており、注出キャップ20の本体筒部21の下端部分が環状溝31aに液密に嵌合することにより、注出キャップ20と中栓部材30との組合せ部分からの内容物の漏れ出しが防止されるようになっている。
【0023】
中栓本体部32は、固定部31から下方側に向けて一体に延びる段付きの有底筒状に形成されており、口部12の開口を覆っている。つまり、この中栓本体部32により、注出キャップ20の内部が容器本体10の内容物を収容する内部に対して仕切られて計量室Rが区画形成されている。
【0024】
段付きに形成された中栓本体部32の下側部分はシール筒部32aとなっている。シール筒部32aは、注出筒部23や口部12と同軸の有底円筒状に形成されている。シール筒部32aの下端側には、それぞれ当該シール筒部32aの側壁から底壁に亘って開口する一対の流出孔33が設けられている。容器本体10の内部に収容された内容物は、これらの流出孔33を通して計量室Rに向けて流出することができる。
【0025】
なお、図示する場合では、中栓本体部32に一対の流出孔33を設けるようにしているが、内容物が流出できる少なくとも1つの流出孔33が設けられていれば、その個数ないし形状は種々変更可能である。
【0026】
塗布部材40は、前端(図1における上端)を注出筒部23から前方(図1における上方)に突出させて注出キャップ20に装着されている。塗布容器1は、倒立姿勢とした状態で注出筒部23から前方に突出する塗布部材40の前端を被塗布面に押し付けることで、容器本体10に収容されている内容物を注出筒部23と塗布部材40との隙間から被塗布面に塗布することができる。
【0027】
また、塗布部材40は、略円筒状に形成される先端部41と、先端部41の下端から下方に向けて突出する円筒状のスカート部42及びスカート部42の内側において先端部41の下端から下方に向けて突出する円筒状のガイド部43とが互いに同軸且つ一体に形成された外形略円筒状となっている。塗布部材40は、例えば合成樹脂製とすることができるが、金属等の他の材質で形成することもできる。
【0028】
塗布部材40は、先端部41の前端を注出筒部23から前方に突出させた状態で計量室Rの内部に注出筒部23と同軸に配置されている。すなわち、先端部41は注出筒部23の内側に配置され、スカート部42及びガイド部43は計量室Rの内部(注出キャップ20の内側)に配置されている。
【0029】
図2図3に示すように、先端部41の外周面には軸線Oに沿って延びる流通溝41aが周方向に並べて複数本設けられており、流通溝41aを通して計量室Rは注出キャップ20の外部に連通している。なお、流通溝41aの本数は適宜変更可能である。一方、図2に示すように、スカート部42の下端部分には、注出位置にあるときに全周に亘って中栓本体部32のシール筒部32aに液密に当接する摺動部42bが設けられており、これにより計量室Rは流出孔33に対して閉塞されている。
【0030】
中栓部材30には、中栓本体部32の底壁の中心部分から上方に向けて軸線Oに沿って延びる支持突起34が一体に設けられており、ガイド部43が支持突起34の外側に該支持突起34に対して軸方向に移動自在に係合している。これにより、塗布部材40は、図2に示すように、支持突起34に支持されて上記のように注出筒部23を開放し且つ流出孔33を閉塞する注出位置(図2に示す位置)と、図4に示すように、スカート部42の上端側部分が注出筒部23の内周面に全周に亘って接することで注出筒部23を閉塞し且つスカート部42の摺動部42bがシール筒部32aから離間することで計量室Rに対して流出孔33を開放する計量位置(図4に示す位置)との間で注出筒部23の軸方向に沿って移動自在となっている。なお、計量位置は、注出位置よりも前方の位置である。
【0031】
図1に示すように、例えば合成樹脂製とされるオーバーキャップ50は、軸線Oを中心とした円筒状の周壁51と天壁52とを有する有頂円筒状となっている。また、オーバーキャップ50は、周壁51の内側に周壁51と同軸の円筒状の保持壁53を一体に備えている。保持壁53の下端側部分の内周面には雌ねじ54が一体に設けられており、雌ねじ54が口部12の外周面に設けられた雄ねじ12bにねじ結合することにより、オーバーキャップ50は口部12に着脱自在に装着されて注出キャップ20を覆っている。
【0032】
本実施形態では、オーバーキャップ50は、天壁52の内面に係合部55を一体に備えている。係合部55は円筒状となっており、オーバーキャップ50の天壁52の内面から下方に向けて突出し、先端部41の内側に挿入されている。係合部55の外周面には環状のオーバーキャップ側突起55aが設けられており、このオーバーキャップ側突起55aは先端部41の内周面に設けられた塗布部材側突起41bに着脱自在にアンダーカット係合している。
【0033】
オーバーキャップ50が口部12に装着された状態では、係合部55のオーバーキャップ側突起55aが先端部41の塗布部材側突起41bにアンダーカット係合することで、注出位置にある塗布部材40はオーバーキャップ50に着脱自在に保持されている。また、オーバーキャップ50が口部12に装着された状態では、オーバーキャップ50の天壁52の内面に設けられた閉塞筒56によって注出筒部23の開口が閉塞されている。
【0034】
この状態からオーバーキャップ50が口部12から取り外されると、塗布部材40は係合部55に保持されてオーバーキャップ50とともに上方に引き上げられ、注出位置から図4に示す計量位置にまで移動する。このような構成により、オーバーキャップ50を口部12から取り外すだけの簡単な操作で、塗布部材40を注出位置から計量位置に容易に移動させることができる。なお、塗布部材40は、図4に示すように、スカート部42の外周面に設けたスカート部側突起42aが注出筒部23の内周面に設けた注出筒部側突起23aに係止されることで計量位置の側のストローク端が規定されるようになっている。また、計量位置にあるときに、スカート部側突起42aが注出筒部側突起23aに当接して注出筒部側突起23aとの間に環状のシールが形成されることで、注出筒部23は閉塞した状態とされる。なお、スカート部側突起42aは、注出位置にあるときには注出筒部23から離間して注出筒部23を開放する。
【0035】
図2図3に示すように、注出キャップ20は、刺激部25を有している。本実施形態では、注出キャップ20は、軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並ぶ4つの刺激部25を有している。なお、注出キャップ20に設ける刺激部25の数ないし配置は上記に限られない。
【0036】
4つの刺激部25は、それぞれ注出筒部23の外周面に一体に連なるとともに径方向外側に向けて延びる板状の脚部25aと、脚部25aに一体に連なるとともに注出筒部23よりも前方に突出する板状の突出部25bとを備えている。すなわち、4つの刺激部25は、それぞれ全体としてL字形状に曲げられた板状となっている。なお、脚部25aは、径方向に平行であるのが好ましいが、径方向に対して傾斜していてもよい。また、突出部25bは軸線Oに平行であるのが好ましいが軸線Oに対して傾斜していてもよい。
【0037】
図2に二点鎖線で示すように、4つの刺激部25は、それぞれ変形自在となっている。本実施形態では、4つの刺激部25は、それぞれ脚部25aが前後方向(上下方向)に弾性変形自在であるとともに突出部25bが径方向に弾性変形自在となっている。なお、4つの刺激部25は、それぞれ脚部25aが前後方向(上下方向)に弾性変形自在であるとともに突出部25bが径方向に弾性変形自在である構成に限らず、例えば注出筒部23にヒンジ部を介して連結する構成のように自動的に元の形状に復元しないように前後方向及び径方向に変形自在の構成であってもよい。
【0038】
脚部25aは、前後方向(上下方向)に容易に弾性変形することができるようにするために、注出筒部23との連接部分の側に肉厚が薄い部分を備えた形状とすることができる。
【0039】
脚部25aは、注出キャップ20の変形規制部24の上方に配置され、変形規制部24に所定の間隔を空けて対向している。4つの刺激部25は、それぞれ脚部25aが後方(下方)に所定量だけ弾性変形すると変形規制部24の外面に当接し、それ以上の弾性変形が規制される。
【0040】
図1に示すように、本実施形態では、オーバーキャップ50の保持壁53は、オーバーキャップ50が口部12に装着された状態において、4つの刺激部25のそれぞれの突出部25bに径方向外側から当接するように構成されている。また、保持壁53は、突出部25bに径方向外側から当接する部分よりも後方側(下方側)に内径が後方(下方)に向けて徐々に拡大するテーパー面53aを備えている。
【0041】
次に、上記構成を有する塗布容器1から計量室Rで計量された一定量の内容物を小分けに注出して被塗布面に塗布する手順について説明する。
【0042】
塗布容器1を使用する際には、まず、塗布容器1を正立姿勢とした状態で容器本体10の口部12からオーバーキャップ50を取り外す。オーバーキャップ50を口部12から取り外すと、図4に示すように、塗布部材40がオーバーキャップ50によって上方に引き上げられて計量位置とされる。塗布部材40が計量位置となると、塗布部材40のスカート部42のスカート部側突起42aがシール筒部32aから離れて流出孔33が開放されて容器本体10の内部が計量室Rに連通されるとともに塗布部材40の流通溝41aが設けられていない部分が注出筒部23の内周面に配置されるとともにスカート部側突起42aが注出筒部側突起23aに当接して注出筒部側突起23aとの間に環状のシールが形成されることで注出筒部23が閉塞される。
【0043】
次に、図5に示すように、塗布容器1を容器本体10に対して注出キャップ20が下方に位置する倒立姿勢とする。これにより、容器本体10の内部に収容されている液状の内容物が流出孔33を通して計量室Rに充填される。このとき、注出筒部23は塗布部材40により閉塞されているので、内容物が注出筒部23から外部に流出することはない。
【0044】
計量室Rが満量に満たされるまで当該計量室Rに内容物が充填されると、次に、塗布容器1を倒立姿勢としたまま塗布部材40の前端(先端)を被塗布面Sに押し付ける。塗布部材40の前端を被塗布面Sに押し付けると、図6に示すように、当該押付け力により、塗布部材40が計量位置から注出位置にまで移動する。塗布部材40が注出位置にまで移動すると、スカート部42の摺動部42bがシール筒部32aに当接して流出孔33が閉塞され、容器本体10の内部からのさらなる計量室Rへの内容物の流入が遮断され、計量室Rの内部に所定量の内容物のみが収容された状態となる。
【0045】
また、塗布部材40が注出位置にまで移動すると、塗布部材40の流通溝41aが設けられた先端部41が注出筒部23の内側に配置されるとともにスカート部側突起42aが注出筒部23から離間して注出筒部23が流通溝41aを通して外部に開放される。したがって、計量室Rの内部の計量された内容物が流通溝41aを通って注出筒部23から外部に注出される。このとき、容器本体10の内部からのさらなる計量室Rへの内容物の流入が遮断されているので、計量された内容物のみが外部に注出される。なお、塗布容器1を倒立姿勢とした状態で塗布部材40を被塗布面Sに繰り返し押し付けることで、計計量室Rの内部の計量された内容物を注出筒部23から外部に小分けに注出させるようにしてもよい。被塗布面Sに押し付けれた塗布部材40は、ガイド部43の後端が中栓部材30に設けられたストッパ35に当接して注出位置に保持される。
【0046】
また、本実施形態の塗布容器1では、注出キャップ20に刺激部25を設けているので、塗布部材40を被塗布面Sに押し付けると刺激部25の突出部25bの先端が被塗布面Sに押し付けられることになる。したがって、塗布部材40を被塗布面Sに押し付けることで、被塗布面Sに内容物を塗布しつつ被塗布面Sに刺激部25が押し付けられることによる刺激を与えることができる。
【0047】
このように、本実施形態の塗布容器1では、注出キャップ20に刺激部25を設けるようにしたので、被塗布面Sに内容物を塗布しつつ、塗布部材40にみが被塗布面Sに押し付けられる場合に比べてより大きな刺激を被塗布面Sに与えることができる。これにより、塗布容器1を用いた内容物の塗布の際の塗布感ないし使用感を良好なものとすることができる。
【0048】
また、本実施形態の塗布容器1では、4つの刺激部25を周方向に等間隔に並べて設けているので、それぞれの刺激部25の突出部25bの先端が被塗布面Sに押し付けられると、それぞれの脚部25aが後方に移動するとともにそれぞれの突出部25bが径方向外側に移動するように弾性変形することになる。これにより、例えば被塗布面Sを使用者の頭皮とした場合に、当該頭皮の毛穴が径方向外側に向けて移動する突出部25bにより押し広げられるようにして内容物を毛穴により浸透し易くすることができる。
【0049】
さらに、刺激部25は、突出部25bの先端が被塗布面Sに押し付けられて所定量だけ後方に向けて弾性変形すると、脚部25aが変形規制部24に当接してそれ以上の弾性変形が規制される。これにより、突出部25bの先端を被塗布面Sに押し付けたときに刺激部25が過度に弾性変形して刺激部25が破損したり元の形状に復元不能な程度の塑性変形を生じたりすることを防止することができる。
【0050】
さらに、刺激部25は、繰り返し被塗布面Sに押し付けられると、徐々に元の形状に対して広がった形状に塑性変形を生じるが、脚部25aが変形規制部24に当接することで、それ以上の塑性変形を防止することができる。
【0051】
なお、本実施形態では、保持壁53にテーパー面53aを設けたことにより、オーバーキャップ50を口部12に装着する際に、広がった形状の刺激部25の突出部25bをテーパー面53aに当接させて保持壁53の内側に確実に案内することができる。
【0052】
内容物の塗布の終了後は、図1に示すように、塗布容器1を正立姿勢に戻し、オーバーキャップ50を口部12に装着することにより、係合部55を塗布部材40に係合させつつ注出筒部23を塗布部材40によって閉塞することができる。
【0053】
本実施形態では、オーバーキャップ50を口部12に装着したときに、刺激部25の突出部25bに保持壁53が径方向外側から当接するようにしたので、オーバーキャップ50を口部12に装着する度に、繰り返し被塗布面Sに押し付けられることにより広がった形状となった刺激部25を元の形状に戻して、刺激部25の広がった形状への塑性変形量を抑制することができる。
【0054】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0055】
例えば、前記実施の形態では、塗布容器1を、液状の薬剤を内容物として収容し、当該内容物を使用者の皮膚等の被塗布面Sに一定量ずつ小分けに注出させる用途に用いられるものとして例示したが、医薬品、医薬部外品、化粧液、洗剤などの他の内容物を収容する用途に用いることもできる。
【0056】
また、前記実施の形態では、塗布部材40は、オーバーキャップ50の係合部55に係合してオーバーキャップ50の取り外しにより注出位置から計量位置に移動する構成とされているが、これに限らず、オーバーキャップ50を取り外した後、手動で注出位置から計量位置に切り替える構成とすることもできる。
【0057】
さらに、前記実施の形態では、塗布容器1は計量室Rを有し、一定量の内容物を小分けに注出する構成とされているが、計量室Rを有さず、容器本体10の内部の内容物を直接塗布する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 塗布容器
10 容器本体
11 胴部
12 口部
12a 係止凸部
12b 雄ねじ
13 肩部
20 注出キャップ
21 本体筒部
22 装着筒部
22a 係合部
23 注出筒部
23a 注出筒部側突起
24 変形規制部
25 刺激部
25a 脚部
25b 突出部
30 中栓部材
31 固定部
31a 環状溝
32 中栓本体部
32a シール筒部
33 流出孔
34 支持突起
35 ストッパ
40 塗布部材
41 先端部
41a 流通溝
41b 塗布部材側突起
42 スカート部
42a スカート部側突起
42b 摺動部
43 ガイド部
50 オーバーキャップ
51 周壁
52 天壁
53 保持壁
53a テーパー面
54 雌ねじ
55 係合部
55a オーバーキャップ側突起
56 閉塞筒
O 軸線
R 計量室
S 被塗布面
図1
図2
図3
図4
図5
図6