(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094011
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】通信制御システム、通信システム制御方法、および通信システム制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/24 20090101AFI20240702BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20240702BHJP
【FI】
H04W16/24
H04W24/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210707
(22)【出願日】2022-12-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G研究開発促進事業/次世代の5次元モバイルインフラ技術の研究開発」産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】林 和幸
(72)【発明者】
【氏名】小野 真和
(72)【発明者】
【氏名】船田 純一
(72)【発明者】
【氏名】若藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昂平
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通信システムの将来の通信状況の予測結果を適切なタイミングで取得し、通信システムを制御する。
【解決手段】通信制御システム1は、地上基地局23および非地上系ネットワーク(NTN)基地局を含む。NTN基地局は飛行体22を含む。通信制御システム1は、通信システム2の将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測手段11と、各段階の予測結果に基づく通信システムの制御を実行する制御手段12と、を備える。制御手段12は、いずれかの段階の予測結果に基づいて、飛行体の移動の要否を決定し、飛行体を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末および基地局を備える通信システムを制御する通信制御システムであって、
前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、
前記NTN基地局は、飛行体を含み、
前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測手段と、
各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する、通信制御システム。
【請求項2】
前記予測手段は、前記段階ごとに、前記予測の計算粒度を異ならせ、
前記制御手段は、前記予測の計算粒度に応じて、前記通信システムの制御の種類を異ならせる、請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
前記予測手段は、第1計算粒度で第1段階の予測を実行した後、前記第1計算粒度よりも詳細な第2計算粒度で第2段階の予測を実行し、
前記制御手段は、前記第1段階の予測結果に基づいて前記飛行体の移動の制御を実行し、前記第2段階の予測結果に基づいて前記基地局の通信態様および前記端末の接続先の少なくとも一方の制御を実行する、請求項2に記載の通信制御システム。
【請求項4】
前記予測手段は、仮想環境における前記通信システムのシミュレーションに基づいて、前記予測を実行する請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項5】
前記予測手段は、気象情報、前記通信システムの電波状況を示す情報、前記端末の位置の履歴、前記通信システムのネットワーク状態の履歴、および、未使用機材を示す情報の少なくとも一つに基づいて、前記予測を実行する、請求項1~4のいずれか1項に記載の通信制御システム。
【請求項6】
前記予測手段は、前記制御手段による制御内容にさらに基づいて、前記予測を実行する、請求項5に記載の通信制御システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記予測手段の予測結果に基づいて、前記端末の通信速度の変化を当該端末に通知する、請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項8】
前記通信速度の変化を通知した前記端末が通信速度の維持を要求した場合、前記制御手段は、当該端末の通信速度を維持するように、前記通信システムの制御を実行する、請求項7に記載の通信制御システム。
【請求項9】
端末および基地局を備える通信システムを制御する通信システム制御方法であって、
前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、
前記NTN基地局は、飛行体を含み、
前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測処理と、
各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御処理と、を含み、
前記制御処理では、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する、通信システム制御方法。
【請求項10】
1以上のコンピュータに、端末および基地局を備える通信システムを制御させる通信システム制御プログラムであって、
前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、
前記NTN基地局は、飛行体を含み、
前記1以上のコンピュータに、
前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測処理と、
各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御処理であって、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する制御処理と、を実行させる、通信システム制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムを制御する通信制御システム、通信システム制御方法、および通信システム制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信サービスを提供するために地上基地局だけでなく、NTN(Non-Terrestrial Network、非地上系ネットワーク)基地局を用いる技術が開発されている。例えば、特許文献1には、HAPS(High Altitude Platform Station、成層圏プラットフォーム)を用いて端末に無線通信サービスを提供する技術が記載されている。特許文献1に記載の技術では、雲量または降雨量が予め定められた値よりも少ないエリアにHAPSを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、通信システムの将来の通信状況を予測し、その予測結果に基づいてHAPS等の移動を制御することを検討している。
【0005】
しかしながら、通信システムの将来の通信状況の予測には複雑な計算が必要となる。そのため、予測の完了までに時間がかかり、HAPS等の移動の要否を早期に判断できない場合がある。HAPS等の移動の要否を早期に判断できない場合、HAPS等の移動が遅れ、通信ができない状況が発生する可能性がある。特許文献1の技術によってもこの問題は解決しない。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、通信システムの将来の通信状況の予測結果を適切なタイミングで取得し、通信システムを制御する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る通信制御システムは、端末および基地局を備える通信システムを制御する通信制御システムであって、前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、前記NTN基地局は、飛行体を含み、前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測手段と、各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御手段と、を備え、前記制御手段は、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する。
。
【0008】
本発明の一態様に係る通信システム制御方法は、端末および基地局を備える通信システムを制御する通信システム制御方法であって、前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、前記NTN基地局は、飛行体を含み、前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測処理と、各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御処理と、を含み、前記制御処理では、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する。
【0009】
本発明の一態様に係る通信システム制御プログラムは、1以上のコンピュータに、端末および基地局を備える通信システムを制御させる通信システム制御プログラムであって、前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、前記NTN基地局は、飛行体を含み、前記1以上のコンピュータに、前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測処理と、各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御処理であって、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する制御処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、通信システムの将来の通信状況の予測結果を適切なタイミングで取得し、通信システムを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の例示的実施形態1に係る通信制御システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の例示的実施形態1に係る通信制御システムの概略動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の例示的実施形態2に係る通信制御システムおよび通信制御システムが制御する通信システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の例示的実施形態2において予測手段が用いる仮想環境の一例を示す模式図である。
【
図5】本発明の例示的実施形態2において現実環境の一例を示す模式図である。
【
図6】本発明の例示的実施形態2において予測手段が予測した将来の仮想環境の一例を示す模式図である。
【
図7】本発明の例示的実施形態2において制御手段が決定した制御内容の一例を示す模式図である。
【
図8】本発明の例示的実施形態2において制御手段が修正した制御内容の一例を示す模式図である。
【
図9】本発明の例示的実施形態2に係る通信制御システムの概略動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の例示的実施形態2に係る通信制御システムの概略動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】本発明の例示的実施形態2において予測のために使用される情報の一例を示す模式図である。
【
図12】本発明の各例示的実施形態に係るハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
本例示的実施形態に係る通信制御システム1は、端末および基地局を備える通信システム(図示せず)の将来の通信状況を予測し、その予測結果に基づいて当該通信システムを制御する。基地局は、地上基地局およびNTN基地局を含む。NTN基地局は、飛行体を含む。NTN基地局である飛行体の例としては、例えば、HAPS、UAV(Unmanned Aerial Vehicle、無人航空機)等が挙げられる。
【0014】
(構成例)
図1は、本例示的実施形態に係る通信制御システム1の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
通信制御システム1は、予測手段11および制御手段12を備えている。予測手段11および制御手段12は、それぞれ1以上の装置(例えば、コンピュータ)によって構成されてよく、予測手段11を構成する装置と、制御手段12を構成する装置とは、別個の装置であってもよいし、一致していてもよい。
【0016】
予測手段11は、通信システムの将来の通信状況の予測を実行する。詳細には、予測手段11は、通信システムの将来の通信状況の予測を、複数段階に分けて実行する。
【0017】
通信システムの通信状況とは、当該通信システムにおける通信に関係する1以上の状況を指し、例えば、各端末と各基地局との間の接続状況、各端末と各基地局との間の通信状況(通信速度、通信品質等を含む)、各端末および各基地局の装置状況(装置の位置、ビーム方向等を含む)、通信システムにおける通信に影響を与える外乱状況(気象状況等を含む)等が挙げられる。
【0018】
予測手段11が複数段階の予測を開始するタイミングおよび各予測による予測対象の時刻(目標時刻)は適宜設定することができる。例えば、悪天候(例えば、台風等)が予測されたタイミングに、所定時間後を目標時刻として予測を開始してもよいし、通信量が増大することが予測されるタイミング(例えば、店舗の混雑時間帯等)を目標時刻としてその所定時間前に予測を開始してもよい。また、前記所定時間は、例えば、飛行体22の移動が必要な場合に、飛行計画を作成してから飛行体22が現場に到着するまでに必要な時間以上としてもよいし、気象状況が通信に影響を与える程度まで変化するまでに掛かる時間以上としてもよい。
【0019】
各段階の予測は、低精度な予測から段階を追って徐々に修正することにより精度を向上する態様であってもよいし、部分的な予測から段階を追って徐々に予測対象範囲を広げることにより全体を予測する態様であってもよいし、これらを組み合わせた態様であってもよい。また、各段階の予測の方式、予測を実行する装置などは同一であっても異なっていてもよい。
【0020】
制御手段12は、各段階の予測結果に基づく通信システムの制御を実行する。通信システムの制御としては、これらに限定するものではないが、例えば
・NTN基地局である飛行体の移動の制御
・基地局の通信態様(ビーム方向、電波強度等を含む)の制御
・端末の接続先(端末が接続する基地局)の制御
等が挙げられる。
【0021】
制御手段12は、特に、いずれかの段階の予測結果に基づいて、NTN基地局である飛行体の移動の要否を決定し、飛行体を制御する。飛行体の制御には、飛行体の飛行計画の算出(飛行体の移動の制御)、飛行体の通信態様(サービスエリア、周波数、送信出力等の設定を含む)の制御等が含まれていてもよい。
【0022】
(動作例)
図2は、本例示的実施形態に係る通信制御システム1の概略動作の一例を示すフロー図である。
【0023】
ステップS11において、予測手段11は、通信システムの将来の通信状況の1段階目の予測を実行する。ステップS12において、制御手段12は、1段階目の予測結果に基づく通信システムの制御を実行する。
【0024】
ステップS13において、予測手段11は、通信システムの将来の通信状況の2段階目の予測を実行する。ステップS14において、制御手段12は、2段階目の予測結果に基づく通信システムの制御を実行する。
【0025】
以降、予測に必要な段階分、予測手段11が、通信システムの将来の通信状況のN段階目の予測を実行し、制御手段12が、N段階目の予測結果に基づく通信システムの制御を実行する。
【0026】
ここで、いずれかの段階(例えば、1段階目)において、制御手段12は、当該段階の予測結果に基づいて飛行体の移動の要否を決定し、飛行体を制御する。
【0027】
(本実施形態の効果)
例えば、衛星通信システムの通信状況を改善するために、NTN基地局である飛行体を移動させる場合がある。しかしながら、飛行体の移動の要否を早期に判断できない場合、飛行体が必要な場所に到着するまでの間に通信不可の状態が発生する。ここで、従来技術では、通信システムの通信状況の予測に時間が掛かり、飛行体の移動の要否を早期に判断することが難しかった。
【0028】
本実施形態によれば、予測手段11は、通信システムの通信状況の予測を複数の段階に分けて実行する。そのため、各段階に要する時間を短縮することができる。これにより、制御手段12は、NTN基地局である飛行体の移動の要否の決定に必要な予測結果を適切なタイミングで取得し、飛行体の移動の要否を決定することができる。これにより、NTN基地局である飛行体の移動が遅れ、通信ができない状況が発生することを避けることができる。このように、本実施形態によれば、通信システムの将来の通信状況の予測結果を適切なタイミングで取得し、通信システムを制御することができる。
【0029】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0030】
(構成例)
図3は、本例示的実施形態に係る通信制御システム1および通信制御システム1が制御する通信システム2の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
通信システム2は、衛星(群)21、飛行体(群)22、地上基地局(群)23および端末(群)24を備えている。衛星21、飛行体22および地上基地局23はいずれも端末24と接続して無線通信サービスを提供する基地局である。また、衛星21および飛行体22はNTN基地局である。衛星21は、例えば、LEO(Low Earth Orbit)衛星(低軌道衛星)である。飛行体22は、例えば、HAPS、UAV等である。
【0032】
本例示的実施形態に係る通信制御システム1は、予測手段11および制御手段12を備えている。本実施形態において、予測手段11および制御手段12は、それぞれ複数のサーバ(演算装置)によって構成されている。
【0033】
予測手段11は、実環境情報取得サーバ111、気象情報取得サーバ112および演算サーバ113~115を備えている。実環境情報取得サーバ111は、通信システム2から各種情報を取得する。気象情報取得サーバ112は、各種気象予報DB3から、気象情報を取得する。演算サーバ113~115は、複数段階の予測を実行する。なお、演算サーバの数は一例に過ぎず、演算サーバの数は1であってもよいし、2以上の任意の数であってもよい。
【0034】
制御手段12は、演算結果判定サーバ121、制御戦略演算サーバ122、衛星制御統括サーバ123、飛行体制御統括サーバ124、地上基地局制御統括サーバ125およびNW予報作成サーバ126を備えている。演算結果判定サーバ121は、予測手段11の予測結果に基づいて、通信システム2の制御計画(制御内容)を決定する。制御戦略演算サーバ122は、通信システム2の制御計画に基づいて、通信システム2の具体的な制御ポリシーを決定する。衛星制御統括サーバ123は、制御ポリシーに基づいて、衛星21を制御する。飛行体制御統括サーバ124は、制御ポリシーに基づいて、飛行体22を制御する。地上基地局制御統括サーバ125は、制御ポリシーに基づいて、地上基地局23を制御する。NW予報作成サーバ126は、制御ポリシーに基づいて、NW予報を端末24に通知する。各制御の詳細については後述する。
【0035】
(動作の概要)
図4は、本実施形態において予測手段が用いる仮想環境4の一例を示す模式図である。一実施形態において、予測手段11は、いわゆるデジタルツインを実現した仮想環境4における通信システム2のシミュレーションに基づいて、予測を実行してもよい。換言すれば、予測手段11は、現実環境を示す情報に基づいて通信システム2において用いられる各機材の移動や電波伝搬を含む仮想環境4をシミュレートし、通信システム2の将来の通信状況を予測してもよい。
【0036】
仮想環境4に対応する現実環境のエリアは、適宜設定することができる。エリアの広さは、例えば、NTN基地局のうちサービスエリアが最も広い1または数個の衛星21のサービスエリアと同程度の広さとしてもよいが特に限定されない。
【0037】
図5は、ある時刻T0における現実環境の一例を示す模式図である。
図5に示すように、時刻T0における現実環境では、衛星21aは、衛星21aのサービスエリア25aに存在する複数の端末24aと接続している。また、衛星21bは、衛星21bのサービスエリア25bに存在する複数の端末24bと接続している。なお、
図5~8において、基地局(衛星21、飛行体22または地上基地局23)と、端末24とを結ぶ両矢印線の太さは、基地局と端末24との通信速度を示している。
【0038】
予測手段11は、このような現実環境の状態を取得し、仮想環境4に反映させるとともに、気象情報、通信システム2の電波状況を示す情報、端末24の位置の履歴、通信システム2のネットワーク状態の履歴、および、未使用機材を示す情報等に基づいて、将来の目標時刻T2における仮想環境4を予測する。
【0039】
図6は、予測手段11が予測した目標時刻T2における仮想環境4の一例を示す模式図である。
図6に示すように、目標時刻T2における仮想環境4では、衛星21aは、サービスエリア25aに存在する複数の端末24cと接続している。端末24cの数は、端末24aの数よりも多いため、端末24cの通信速度は低下する。衛星21bは、サービスエリア25aに存在する端末24dと接続しているが、サービスエリア25aに存在する端末24eとは雲Xの存在のため、通信ができない状態になっている。
【0040】
制御手段12は、予測手段11が予測した、
図6に示すような通信システム2の将来の通信状態の予測に基づいて、制御内容を決定する。制御内容としては、
・衛星21のサービスエリアの変更
・端末24の接続先の変更
・飛行体22の移動
・端末24へのネットワーク予報の通知
・未使用の地上基地局23の使用
等が挙げられる。
【0041】
例えば、通信不可の端末24が存在する場合、制御手段12は、当該端末24を含むように、衛星21のサービスエリアを変更してもよいし、当該端末24の接続先を、通信可能な基地局(例えば、未使用の地上基地局23)に変更してもよいし、当該端末24と通信可能なエリアに飛行体22を移動させ、当該端末24の接続先を当該飛行体22にしてもよい。また、通信速度が低下する端末24が存在する場合、制御手段12は、当該端末24が接続している基地局の接続数を低減(当該端末24以外の端末24の接続先を変更)してもよいし、当該端末24の接続先を通信速度が速い基地局に変更してもよいし、端末24に通信速度の変化(低下)を示すネットワーク予報を通知してもよい。また、通信速度の変化を示すネットワーク予報を通知した端末24の高優先度アプリから通信速度の維持の要求があった場合には、制御手段12は、当該端末24の通信速度を維持するように、制御内容を変更してもよい。
【0042】
また、制御手段12の制御内容の詳細(制御パラメータ)は、制御内容に応じて予め定められた設定値に基づいて決定してよい。例えば、所定時間後に、所定のエリアに飛行体22を移動させる制御を行なう場合、制御手段12は、当該制御に必要な飛行体22の速度から、予め定められた速度と出力との対応関係に基づいて、飛行体22の出力を制御してもよい。同様に、他の制御についても、制御手段は、制御の目的を達成するために必要な制御パラメータを予め定められた設定値に基づいて決定してよい。また、一態様において、制御手段12は、当該設定値を、制御の結果に応じて調整してもよい。すなわち、予測手段11が、ある目標時刻における通信状況を仮想環境を用いて予測し、制御手段12が当該予測結果に基づいて制御を実行したときの、当該目標時刻における現実環境の通信状況と、当該予測結果との差分は、実行した制御の結果といえる。制御手段12は、当該差分に基づいて、制御パラメータを調整(フィードバック制御)することにより、より精度高く制御を行なうことができる。
【0043】
以下、例を挙げて制御手段12による制御内容を説明する。
図7は、制御手段12が決定した目標時刻T2における仮想環境4に対する制御内容の一例を示す模式図である。
図7に示すように、制御手段12は、衛星21aのサービスエリア25aを変更させ、サービスエリア25aに存在する端末24fの数を低減させることにより、端末24fの通信速度を向上させる。ただし、これによっても十分に端末24fの通信速度を向上させることができない場合は、制御手段12は、通信速度の変化(低下)を示すネットワーク予報を端末24fに通知する。また、制御手段12は、端末24cのうち、衛星21aのサービスエリア25aから外れた端末24gを含み、雲Xによって通信ができない状態の端末24hは含まないように衛星21bのサービスエリア25bを変更させる。そして、制御手段12は、飛行体22を端末24hが通信可能なエリアに移動させ、端末24hの接続先を飛行体22に変更させる。また、制御手段12は、新たに登場した端末24iは、未使用であった地上基地局23と接続させる。
【0044】
ここで、時刻T0から所定時間後(例えば、10分~20分後)の時刻T1において、通信速度が低下することを示すネットワーク予報が通知された端末24fの高優先度アプリ(例えば、緊急通話アプリなど)から通信速度を維持させることを通信システム2に要求されたものとする。また、雲Xの範囲が、時刻T0において予測した範囲よりもさらに広がったものとする。予測手段11は、時刻T1における現実環境を示す情報に基づいて、目標時刻T2における仮想環境4を再度予測する。そして、制御手段12は、予測手段11が時刻T1における現実環境を示す情報に基づいて予測した、目標時刻T2における通信システム2の通信状況に基づいて、制御内容を修正する。
【0045】
図8は、制御手段12が修正した目標時刻T2における仮想環境4に対する制御内容の一例を示す模式図である。
図8に示すように、制御手段12は、端末24jの高優先度アプリからの要求に応じて、衛星21aのサービスエリア25aをさらに縮小し、サービスエリア25aに存在する端末24jの数をさらに低減させることにより、端末24jの通信速度を維持する。また、制御手段12は、端末24fのうち、衛星21aのサービスエリア25aから外れた端末24gを含み、雲Xによって通信ができない状態の端末24lは含まないように衛星21bのサービスエリア25bを変更させる。そして、制御手段12は、端末24lおよび新たに登場した端末24mの接続先を飛行体22に変更させる。
【0046】
制御手段12の制御内容(制御パラメータ)は、予測手段11の予測結果が示す通信状況に応じて決定してよい。例えば、通信不可の端末24が存在する場合、制御手段12は、当該端末24を含むように、衛星21のサービスエリアを変更してもよいし、当該端末24の接続先を、通信可能な基地局(例えば、未使用の地上基地局23)に変更してもよいし、当該端末24と通信可能なエリアに飛行体22を移動させ、当該端末24の接続先を当該飛行体22にしてもよい。また、通信速度が低下する端末24が存在する場合、制御手段12は、当該端末24が接続している基地局の接続数を低減(当該端末24以外の端末24の接続先を変更)してもよいし、当該端末24の接続先を通信速度が速い基地局に変更してもよいし、端末24に通信速度低下のネットワーク予報を通知してもよい。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る通信制御システム1は、将来の目標時刻における飛行体22の移動の要否を決定するための計算粒度での予測を行ない、飛行体22の制御を行なった後、目標時刻に到達するまで、より計算粒度の細かい予測を行い、制御内容を徐々に修正することにより、通信システムの将来の通信状況の予測結果を適切なタイミングで取得し、通信システムを制御することができる。
【0048】
(動作例)
図9は、本実施形態に係る通信制御システム1の概略動作の一例を示すフローチャート図である。
図10は、本実施形態に係る通信制御システム1の概略動作の一例を示すシーケンス図である。
図9および
図10に示す例では、予測手段11は、仮想環境4aを用いて1段階目の予測を実行し、仮想環境4bを用いて2段階目の予測を実行するが、本実施形態はこれに限定されない。
【0049】
実時刻T0において、予測手段11は、ステップS21を実行し、各種情報を取得して仮想環境4aに反映させ、仮想環境の状態を現実環境と同期させる。
【0050】
そして、予測手段11は、ステップS22を実行し、仮想環境4aを用いて、1段階目の予測を行なう。1段階目の予測は、実時刻T7(例えば、T0から1時間後)を目標時刻とした予測であり、仮想環境4aを用いて実行される。1段階目の予測は、計算粒度が荒いものであり、少なくとも飛行体22の移動の要否を決定できるものであればよい。また、1段階目の予測は、好ましくは、目標時刻までの1/2以下、より好ましくは1/4以下、さらに好ましくは1/10以下の時間で実行され得る計算粒度としてもよい。実時刻T1(例えば、T0から5分後)において、予測手段11は1段階目の予測を完了し、制御手段12に予測結果を提供する。
【0051】
1段階目の予測結果において通信不可の端末24が存在する場合(ステップS23のYES)、制御手段12は、飛行体22の移動の要否、および、各基地局の通信設定の変更の要否など制御の要否を決定する(ステップS24)。また、通信速度が低下する端末24が存在する場合(ステップS25のYES)、通信速度の変化を示すネットワーク予報を作成する(ステップS26)。
【0052】
また、端末24の高優先度アプリからの要求が存在する場合(ステップS27のYES)、該当端末24の通信速度維持を条件に追加し(ステップS28)、ステップS24を再度実行する。
【0053】
その後、実時刻T2において、決定した制御を実行する(ステップS29)。例えば、ステップS24において、飛行体22の移動を実行することを決定した場合、制御手段12は、飛行体22の飛行計画の作成(燃料計算や航路設定なども含む)や離陸の準備等、飛行体22の制御を開始する。
【0054】
そして、次の予測時刻T3(例えば、T0から15分後)まで待機し、ステップS21に戻る(ステップS30)。予測時間の間隔は特に限定されず、例えば、予測手段11による予測および制御手段12による制御に必要な処理時間にマージンを加えた間隔としてもよい。
【0055】
実時刻T3において、予測手段11は、ステップS21を実行し、各種情報を取得して仮想環境4bに反映させ、仮想環境の状態を現実環境と同期させる。このとき、予測手段11は、ステップS29において制御手段12が実行した制御内容も仮想環境に反映させる。
【0056】
そして、予測手段11は、ステップS22を実行し、仮想環境4bを用いて、2段階目の予測を行なう。2段階目の予測は、実時刻T6(例えば、T3から15分後)を目標時刻とした予測であり、仮想環境4bを用いて実行される。2段階目の予測は、計算粒度が、1段階目の予測よりも細かいものである。実時刻T4(例えば、T3から5分後)において、予測手段11は2段階目の予測を完了し、制御手段12に予測結果を提供する。
【0057】
2段階目の予測結果において通信不可の端末24が存在する場合(ステップS23のYES)、制御手段12は、飛行体22の移動の修正の要否、および、各基地局の通信設定の修正の要否など制御の要否を決定する(ステップS24)。また、通信速度が低下する端末24が存在する場合(ステップS25のYES)、通信速度の変化を示すネットワーク予報を作成する(ステップS26)。
【0058】
また、端末24の高優先度アプリからの要求が存在する場合(ステップS27のYES)、該当端末24の通信速度維持を条件に追加し(ステップS28)、ステップS24を再度実行する。
【0059】
その後、実時刻T5において、制御手段12は、決定した制御を実行する(ステップS29)。例えば、制御手段12は、無線周波数の設定やネットワーク構築設定など、具体的にネットワーク維持に必要な制御を行う。そして、目標時刻に到達した場合、処理を終了する(ステップS30)。
【0060】
以上のように、予測手段11は、複数段階に分けて予測を行なうことにより、仮想環境を用いて長時間かかるシミュレーションを行なう場合であっても、各段階に必要な計算粒度まで計算粒度を落として計算することにより、短時間で予測のための計算を完了させる。
【0061】
計算粒度としては、各制御内容を実行するか否かを決定することができる計算粒度を各段階の予測の計算粒度に設定することができる。例えば、飛行体22を移動させる必要があるか否かを決定することができる計算粒度や、端末24の接続先を変更するか否かを決定することができる計算粒度、端末24にネットワーク予報を通知するか否かを決定することができる計算粒度などを、各段階の予測の計算粒度として用いることができる。
【0062】
すなわち、予測手段11は、段階ごとに、予測の計算粒度を異ならせ、制御手段12は、予測の計算粒度に応じて、通信システム2の制御の種類を異ならせるものであってもよい。例えば、これに限定するものではないが、予測手段11は、第1計算粒度で第1段階の予測を実行した後、第1計算粒度よりも詳細な第2計算粒度で第2段階の予測を実行してもよい。そして、制御手段12は、第1段階の予測結果に基づいて飛行体22の移動の制御を実行し、第2段階の予測結果に基づいて、衛星21、飛行体22および地上基地局23の通信態様(サービスエリア、周波数、送信出力等の設定を含む)、および、端末24の接続先の少なくとも一方の制御を実行してもよい。
【0063】
予測の段階数は、2段階以上であれば特に限定されない。例えば、目標時刻までの時間を、予測および制御に必要な処理時間で除算した数を用いてもよい。また、予測の段階数は、予測手段11が、現実環境から取得した状況に応じて変更してもよい。
【0064】
また、段階ごとのシミュレーションの方式は、異なっていてもよい。例えば、1段階目の予測では、数理モデルによるシミュレーションを実行し、2段階目以降の予測では、ネットワークシミュレータによるシミュレーションを実行してもよい。予測手段11は、目標時刻および各制御内容を決定するために許容される遅延、および、通信システム2の複雑さに応じて、シミュレーションのパラメータ条件を決定し、パラメータ条件に合わせてシミュレーション結果を導出する。
【0065】
1段階目の予測の目標時刻としては、通信システム2の通信負荷が増大する可能性がある時刻、または、通信システム2の通信が不可となる可能性がある時刻とすることができる。但し、2段階目以降の予測では、1段階目の予測の目標時刻と同一の目標時刻としてもよいし、1段階目の予測の目標時刻よりも前の時刻を目標時刻としてもよい。
【0066】
(予測に用いる情報)
図11は、本例示的実施形態において予測処理に用いる情報の一例を示す模式図である。
図11に示すように、予測手段11は、
・現実環境から取得した各種情報
・実行中の制御計画(制御手段12による制御内容)
・未使用機材情報(未使用機材を示す情報)
・仮想3D都市データ
等に基づいて仮想環境をシミュレートし、通信システム2の将来の通信状況を予測してもよい。
【0067】
予測手段11が現実環境から取得する各種情報としては、
・実環境情報取得サーバ111が通信システム2から取得する電波状況情報(通信システム2の電波状況を示す情報)
・実環境情報取得サーバ111が通信システム2から取得するネットワーク状態情報
・気象情報取得サーバ112が各種気象予報DB3から取得する気象情報
等が挙げられる。
【0068】
実環境情報取得サーバ111が通信システム2から取得する電波状況情報としては、エリアごとの電波状況を示す電波マップや、衛星21、飛行体22、地上基地局23および端末24に対する周波数の割り当て計画などが挙げられる。演算サーバ113~115は、これらの電波状況や、周波数の割り当てを仮想環境に反映してよい。
【0069】
実環境情報取得サーバ111が通信システム2から取得するネットワーク状態情報としては、通信システム2内のネットワークのトラフィック量や輻輳状態などネットワーク状態の履歴情報(ログ)や、端末24の位置の履歴情報などが挙げられる。
【0070】
なお、これらの履歴情報は、将来におけるネットワークの状態を予測するために使用することができる。例えば、演算サーバ113~115は、予測対象となる目標時刻と同じ曜日や同じ時間帯の履歴情報を参照して、目標時刻における端末24の数および各端末24の位置を予測し、仮想環境に反映することにより、端末密度の変化(移動等)予測による要求トラフィックの変化などの通信環境の変化をシミュレートすることができる。
【0071】
気象情報取得サーバ112が各種気象予報DB3から取得する気象情報としては、これらに限定するものではないが、気象状態の種別、降雨量、雲量、視程等の予測値等が挙げられる。演算サーバ113~115は、これらの気象情報を仮想環境に反映してよい。
【0072】
実行中の制御計画は、制御手段12によって実行予定の制御内容を示す。制御手段12は、予測手段11による予測結果に基づき制御計画を生成し、実行中の制御計画に追加する。演算サーバ113~115は、これらの制御計画を仮想環境に反映することにより、制御手段12の制御による現実環境の変化をシミュレートすることができる。
【0073】
未使用機材情報は、通信システム2において現時点では使用されていない機材(例えば、未使用の地上基地局23や未使用の飛行体22など)を示す情報である。演算サーバ113~115は、制御計画にこれらの未使用機材を使用する計画が含まれている場合、当該未使用機材情報が示す未使用機材を仮想環境に反映してよい。
【0074】
仮想3D都市データは、仮想環境に対応する現実環境の三次元的な構造を示す情報である。演算サーバ113~115は、これらの3Dデータを仮想環境に反映することにより、構造物による電波の遮蔽などをシミュレートすることができる。
【0075】
以上のように、演算サーバ113~115は、仮想環境を用いることにより、現実環境の通信状況をシミュレートして、通信システム2の将来の通信状況を予測することができる。
【0076】
一態様において、予測手段11は、複数の仮想環境を用いて、複数段階の予測を行なってもよい。すなわち、各段階に対応する仮想環境を用いて、当該段階の予測を行なってもよい。このとき、段階ごと(仮想環境ごと)に異なる演算サーバを用いてもよい。例えば、
図3に示す例では、演算サーバ113が1段階目の予測を行なうための仮想環境1を構築し、演算サーバ114が2段階目の予測を行なうための仮想環境2を構築し、演算サーバ115が3段階目の予測を行なうための仮想環境1を構築してもよい。また、各段階の予測を同じ演算サーバで行なってもよい。
【0077】
〔ソフトウェアによる実現例〕
通信制御システム1の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0078】
後者の場合、通信制御システム1は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行する1以上のコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図12に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを通信制御システム1の少なくとも一部として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、通信制御システム1の各機能が実現される。
【0079】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0080】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0081】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0082】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0084】
(付記1)
端末および基地局を備える通信システムを制御する通信制御システムであって、
前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、
前記NTN基地局は、飛行体を含み、
前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測手段と、
各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する、通信制御システム。
【0085】
(付記2)
前記予測手段は、前記段階ごとに、前記予測の計算粒度を異ならせ、
前記制御手段は、前記予測の計算粒度に応じて、前記通信システムの制御の種類を異ならせる、付記1に記載の通信制御システム。
【0086】
(付記3)
前記予測手段は、第1計算粒度で第1段階の予測を実行した後、前記第1計算粒度よりも詳細な第2計算粒度で第2段階の予測を実行し、
前記制御手段は、前記第1段階の予測結果に基づいて前記飛行体の移動の制御を実行し、前記第2段階の予測結果に基づいて前記基地局の通信態様および前記端末の接続先の少なくとも一方の制御を実行する、付記2に記載の通信制御システム。
【0087】
(付記4)
前記予測手段は、仮想環境における前記通信システムのシミュレーションに基づいて、前記予測を実行する付記1に記載の通信制御システム。
【0088】
(付記5)
前記予測手段は、気象情報、前記通信システムの電波状況を示す情報、前記端末の位置の履歴、前記通信システムのネットワーク状態の履歴、および、未使用機材を示す情報の少なくとも一つに基づいて、前記予測を実行する、付記1~4のいずれか1項に記載の通信制御システム。
【0089】
(付記6)
前記予測手段は、前記制御手段による制御内容にさらに基づいて、前記予測を実行する、付記5に記載の通信制御システム。
【0090】
(付記7)
前記制御手段は、前記予測手段の予測結果に基づいて、前記端末の通信速度の変化を当該端末に通知する、付記1に記載の通信制御システム。
【0091】
(付記8)
前記通信速度の変化を通知した前記端末が通信速度の維持を要求した場合、前記制御手段は、当該端末の通信速度を維持するように、前記通信システムの制御を実行する、付記7に記載の通信制御システム。
【0092】
(付記9)
端末および基地局を備える通信システムを制御する通信システム制御方法であって、
前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、
前記NTN基地局は、飛行体を含み、
前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測処理と、
各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御処理と、を含み、
前記制御処理では、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する、通信システム制御方法。
【0093】
(付記10)
1以上のコンピュータに、端末および基地局を備える通信システムを制御させる通信システム制御プログラムであって、
前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、
前記NTN基地局は、飛行体を含み、
前記1以上のコンピュータに、
前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測処理と、
各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御処理であって、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する制御処理と、を実行させる、通信システム制御プログラム。
【0094】
(付記11)
端末および基地局を備える通信システムを制御する通信制御システムであって、
前記基地局は地上基地局およびNTN基地局を含み、
前記NTN基地局は、飛行体を含み、
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
前記通信システムの将来の通信状況の予測を複数段階実行する予測処理と、
各段階の予測結果に基づく前記通信システムの制御を実行する制御処理と、を実行し、
前記制御処理では、いずれかの前記段階の予測結果に基づいて、前記飛行体の移動の要否を決定し、前記飛行体を制御する、通信制御システム。
【0095】
なお、この通信制御システムは、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記予測処理と、前記制御処理と、を前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 通信制御システム
2 通信システム
11 予測手段
12 制御手段
21 衛星
22 飛行体
23 地上基地局
24 端末