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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094017
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240702BHJP
   A01B 63/10 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A01C11/02 330A
A01C11/02 320A
A01B63/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210716
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】澤田 航希
【テーマコード(参考)】
2B062
2B304
【Fターム(参考)】
2B062AA02
2B062AA14
2B062AB01
2B062BA09
2B062BA22
2B062BA41
2B062BA65
2B062CA02
2B304KA10
2B304LA02
2B304LA09
2B304LB05
2B304LB13
2B304MA02
2B304MB02
2B304PA01
2B304PA15
(57)【要約】
【課題】リンク部材のメンテナンスを容易に行うことが可能な作業機が要望されている。
【解決手段】作業機は、対地作業を行う昇降可能な作業装置と、作業装置を昇降駆動する油圧シリンダと、油圧シリンダへの作動油を制御する制御弁と、油圧シリンダと制御弁との間の作動油の流通を遮断する遮断弁と、制御弁及び遮断弁を収容する弁ケース31と、を有する制御弁ユニット21と、遮断弁を切り替え操作するための操作部材32と、操作部材32の操作力を遮断弁に伝達するリンク部材43と、を備えている。リンク部材43は、弁ケース31に対して機体左右方向の一側に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対地作業を行う昇降可能な作業装置と、
前記作業装置を昇降駆動する油圧シリンダと、
前記油圧シリンダへの作動油を制御する制御弁と、前記油圧シリンダと前記制御弁との間の作動油の流通を遮断する遮断弁と、前記制御弁及び前記遮断弁を収容する弁ケースと、を有する制御弁ユニットと、
前記遮断弁を切り替え操作するための操作部材と、
前記操作部材の操作力を前記遮断弁に伝達するリンク部材と、を備え、
前記リンク部材は、前記弁ケースに対して機体左右方向の一側に配置されている作業機。
【請求項2】
操向操作可能な走行機体と、
前記走行機体を操向操作するためのステアリングホイールと、
変速装置を収容する変速ケースと、
前記変速ケースからの作動油によって駆動され、前記ステアリングホイールによる操向操作を補助するパワーステアリング装置と、
前記制御弁ユニットと前記パワーステアリング装置とに亘って設けられ、前記パワーステアリング装置からの作動油が前記制御弁ユニットに向けて流れる第一管状部材と、
前記制御弁ユニットと前記変速ケースとに亘って設けられ、前記制御弁ユニットからの作動油が前記変速ケースに向けて流れる第二管状部材と、を備え、
前記制御弁ユニットは、前記第二管状部材が接続され、前記弁ケースからの作動油を回収する回収部を有し、
前記回収部は、前記弁ケースに対して機体左右方向の他側に配置されている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記変速ケース及び前記パワーステアリング装置は、前記走行機体の前部に配置され、
前記制御弁ユニットは、前記走行機体における前記変速ケース及び前記パワーステアリング装置よりも後側の箇所に配置されている請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記回収部は、前記弁ケースに対して着脱可能に構成されている請求項2又は3に記載の作業機。
【請求項5】
前記制御弁ユニットは、前記走行機体の機体左右方向の中心に対して一方側に配置され、
前記リンク部材は、前記弁ケースに対して機体左右方向で機体外側に配置され、
前記回収部は、前記弁ケースに対して機体左右方向で機体内側に配置されている請求項2又は3に記載の作業機。
【請求項6】
前記制御弁ユニットは、前記制御弁を切り替え駆動するソレノイドを有し、
前記操作部材と前記リンク部材とに亘って設けられ、前記操作部材の操作力を前記リンク部材に伝達する別のリンク部材を備え、
前記別のリンク部材は、機体左右方向で前記ソレノイドにおける左端部に対応する位置と右端部に対応する位置とに亘っている請求項1から3の何れか一項に記載の作業機。
【請求項7】
前記第一管状部材は、前記制御弁ユニットに対して作動油の流れ方向の上流側に配置され、
前記第二管状部材は、前記制御弁ユニットに対して作動油の流れ方向の下流側に配置されている請求項2又は3に記載の作業機。
【請求項8】
運転座席を備え、
前記操作部材は、レバーによって構成され、
前記操作部材は、前記運転座席の下方において、平面視で前記運転座席と重複している請求項1から3の何れか一項に記載の作業機。
【請求項9】
前記操作部材は、その上端ほど機体左右方向で機体外側に位置する傾斜形状に形成されている請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
運転座席と、
制御装置と、
リレーを収容するリレーボックスと、
ヒューズを収容するヒューズボックスと、を備え、
前記制御弁ユニットは、前記運転座席の機体左右方向の中心に対して一方側に配置され、
前記制御装置は、前記運転座席の下方に配置され、
前記リレーボックス及び前記ヒューズボックスは、前記制御弁ユニットの前方に配置されている請求項1から3の何れか一項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機として、例えば、特許文献1に記載の作業機が知られている。特許文献1に記載の作業機は、対地作業を行う昇降可能な作業装置と、作業装置を昇降駆動する油圧シリンダと、油圧シリンダへの作動油を制御する制御弁と、油圧シリンダと制御弁との間の作動油の流通を遮断する遮断弁と、制御弁及び遮断弁を収容する弁ケースと、を有する制御弁ユニットと、遮断弁を切り替え操作するための操作部材と、操作部材の操作力を遮断弁に伝達するリンク部材と、を備えている。リンク部材は、弁ケースの上方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-223088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の作業機では、弁ケースが他の部材(例えば、ステップ等)によって上方から覆われているため、リンク部材のメンテナンスを容易に行う点で改善の余地がある。
【0005】
上記状況に鑑み、リンク部材のメンテナンスを容易に行うことが可能な作業機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
対地作業を行う昇降可能な作業装置と、
前記作業装置を昇降駆動する油圧シリンダと、
前記油圧シリンダへの作動油を制御する制御弁と、前記油圧シリンダと前記制御弁との間の作動油の流通を遮断する遮断弁と、前記制御弁及び前記遮断弁を収容する弁ケースと、を有する制御弁ユニットと、
前記遮断弁を切り替え操作するための操作部材と、
前記操作部材の操作力を前記遮断弁に伝達するリンク部材と、を備え、
前記リンク部材は、前記弁ケースに対して機体左右方向の一側に配置されていることにある。
【0007】
ここで、弁ケースに対して機体左右方向の一側には、比較的余裕スペースが存在している。本特徴構成によれば、弁ケースに対して機体左右方向の一側のスペースを利用して、リンク部材を配置することができる。そして、リンク部材に対して機体左右方向の一側からアクセスすることにより、リンク部材のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0008】
さらに、本発明において、
操向操作可能な走行機体と、
前記走行機体を操向操作するためのステアリングホイールと、
変速装置を収容する変速ケースと、
前記変速ケースからの作動油によって駆動され、前記ステアリングホイールによる操向操作を補助するパワーステアリング装置と、
前記制御弁ユニットと前記パワーステアリング装置とに亘って設けられ、前記パワーステアリング装置からの作動油が前記制御弁ユニットに向けて流れる第一管状部材と、
前記制御弁ユニットと前記変速ケースとに亘って設けられ、前記制御弁ユニットからの作動油が前記変速ケースに向けて流れる第二管状部材と、を備え、
前記制御弁ユニットは、前記第二管状部材が接続され、前記弁ケースからの作動油を回収する回収部を有し、
前記回収部は、前記弁ケースに対して機体左右方向の他側に配置されていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、弁ケースからの作動油(例えば、弁ケースから漏れ出た作動油)を回収部によって回収すると共に、回収後の作動油を、第二管状部材を介して変速ケースに戻すことができる。
【0010】
ここで、弁ケースに対して機体左右方向の他側には、比較的余裕スペースが存在している。本特徴構成によれば、弁ケースに対して機体左右方向の他側のスペースを利用して、回収部を配置することができる。
【0011】
さらに、本発明において、
前記変速ケース及び前記パワーステアリング装置は、前記走行機体の前部に配置され、
前記制御弁ユニットは、前記走行機体における前記変速ケース及び前記パワーステアリング装置よりも後側の箇所に配置されていると好適である。
【0012】
本特徴構成によれば、変速ケース、パワーステアリング装置及び制御弁ユニットを、機体前後方向でコンパクトに配置することができる。
【0013】
さらに、本発明において、
前記回収部は、前記弁ケースに対して着脱可能に構成されていると好適である。
【0014】
本特徴構成によれば、回収部を着脱して容易に交換することができる。
【0015】
さらに、本発明において、
前記制御弁ユニットは、前記走行機体の機体左右方向の中心に対して一方側に配置され、
前記リンク部材は、前記弁ケースに対して機体左右方向で機体外側に配置され、
前記回収部は、前記弁ケースに対して機体左右方向で機体内側に配置されていると好適である。
【0016】
本特徴構成によれば、リンク部材のメンテナンスを行う際に、リンク部材に対して機体左右方向で機体外側から容易にアクセスすることができる。
【0017】
さらに、本発明において、
前記制御弁ユニットは、前記制御弁を切り替え駆動するソレノイドを有し、
前記操作部材と前記リンク部材とに亘って設けられ、前記操作部材の操作力を前記リンク部材に伝達する別のリンク部材を備え、
前記別のリンク部材は、機体左右方向で前記ソレノイドにおける左端部に対応する位置と右端部に対応する位置とに亘っていると好適である。
【0018】
本特徴構成によれば、別のリンク部材を、ソレノイドを避けて構成することができる。
【0019】
さらに、本発明において、
前記第一管状部材は、前記制御弁ユニットに対して作動油の流れ方向の上流側に配置され、
前記第二管状部材は、前記制御弁ユニットに対して作動油の流れ方向の下流側に配置されていると好適である。
【0020】
本特徴構成によれば、変速ケースから制御弁ユニットを経由して変速ケースに戻る作動油の油路が長くなる。これにより、作動油の冷却性を向上させることができる。
【0021】
さらに、本発明において、
運転座席を備え、
前記操作部材は、レバーによって構成され、
前記操作部材は、前記運転座席の下方において、平面視で前記運転座席と重複していると好適である。
【0022】
本特徴構成によれば、操作部材に不意に接触して操作部材が誤操作されるのを防止することができる。
【0023】
さらに、本発明において、
前記操作部材は、その上端ほど機体左右方向で機体外側に位置する傾斜形状に形成されていると好適である。
【0024】
本特徴構成によれば、運転者が運転座席に着座した状態で、操作部材を容易に操作することができる。
【0025】
さらに、本発明において、
運転座席と、
制御装置と、
リレーを収容するリレーボックスと、
ヒューズを収容するヒューズボックスと、を備え、
前記制御弁ユニットは、前記運転座席の機体左右方向の中心に対して一方側に配置され、
前記制御装置は、前記運転座席の下方に配置され、
前記リレーボックス及び前記ヒューズボックスは、前記制御弁ユニットの前方に配置されていると好適である。
【0026】
本特徴構成によれば、運転座席の下方のスペースを利用して、制御装置を配置することができる。また、制御弁ユニットの前方のスペースを利用して、リレーボックス及びヒューズボックスを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】乗用型田植機を示す右側面図である。
図2】乗用型田植機を示す平面図である。
図3】油圧回路を示す図である。
図4】制御弁ユニット、油圧ロックレバー、リンク機構及び配管構造を示す左側面図である。
図5】制御弁ユニットを示す分解斜視図である。
図6】油圧ロックレバーを開位置に操作した状態を示す左側面図である。
図7】油圧ロックレバーを開位置に操作した状態を示す平面図である。
図8】油圧ロックレバーを閉位置に操作した状態を示す左側面図である。
図9】油圧ロックレバーを閉位置に操作した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下では、矢印Fの方向を「機体の前方」、矢印Bの方向を「機体の後方」、矢印Lの方向を「機体の左方」、矢印Rの方向を「機体の右方」、矢印Uの方向を「機体の上方」、矢印Dの方向を「機体の下方」とする。
【0029】
図1及び図2には、乗用型田植機を示している。図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、走行機体1と、原動部2と、運転部3と、ステップ4と、植付装置5(本発明に係る「作業装置」に相当)と、施肥装置6と、変速部7と、を備えている。
【0030】
走行機体1は、左右の前輪9と、左右の後輪10と、機体フレーム11と、を備えている。機体フレーム11は、左右の前輪9及び左右の後輪10に支持されている。前輪9は、操向操作可能、かつ、回転駆動可能に構成されている。すなわち、走行機体1は、操向操作可能に構成されている。後輪10は、操向操作不能、かつ、回転駆動可能に構成されている。
【0031】
原動部2は、走行機体1の前部に設けられている。原動部2は、エンジン(図示省略)と、前記エンジンを収容するボンネット12と、を備えている。
【0032】
運転部3には、運転者が搭乗する。運転部3は、原動部2の後方に設けられている。運転部3は、運転座席13と、走行機体1を操向操作するためのステアリングホイール14と、を備えている。ステアリングホイール14による操向操作は、パワーステアリング装置18によって補助される。
【0033】
ステップ4は、機体フレーム11上に設けられている。ステップ4は、前ステップ15と、中ステップ16と、後ステップ17と、を備えている。
【0034】
前ステップ15は、機体フレーム11上の前部におけるボンネット12の周囲に設けられている。後ステップ17は、機体フレーム11上の後部における運転座席13の周囲に設けられている。中ステップ16は、機体フレーム11上における前ステップ15と後ステップ17との間の箇所に設けられている。
【0035】
植付装置5は、苗を田面に植え付ける。すなわち、植付装置5は、対地作業を行う。本実施形態では、植付装置5は、八条植えの植付装置によって構成されている。植付装置5は、走行機体1の後方に設けられている。植付装置5は、リンク機構19によって昇降可能に構成されている。植付装置5は、リンク機構19を介して機体フレーム11の後部に支持されている。
【0036】
リンク機構19は、植付装置5を昇降駆動する油圧シリンダCを備えている。油圧シリンダCが伸長することにより、植付装置5が上昇する。油圧シリンダCが縮長することにより、植付装置5が下降する。
【0037】
施肥装置6は、肥料を田面に供給する。本実施形態では、施肥装置6は、八条施肥の施肥装置によって構成されている。施肥装置6は、走行機体1の後部における運転座席13の後方に設けられている。
【0038】
変速部7は、前記エンジンからの動力を変速する。変速部7からの動力は、左右の前輪9、左右の後輪10、植付装置5及び施肥装置6に伝達される。変速部7は、静油圧式の無段変速装置(図示省略)と、変速ケース20と、を備えている。変速ケース20は、ギヤ式の変速装置(図示省略)を収容している。変速部7は、前記エンジンからの動力を前記無段変速装置によって変速し、前記無段変速装置からの動力を前記変速装置によって変速する。
【0039】
図3に示すように、乗用型田植機は、油圧回路を備えている。前記油圧回路は、変速ケース20と、油圧ポンプPと、パワーステアリング装置18と、制御弁ユニット21と、油圧シリンダCと、第一油路22と、第二油路23と、第三油路24と、第四油路25と、第五油路26と、第六油路27と、を備えている。
【0040】
油圧ポンプPは、変速ケース20内の作動油を圧送する。パワーステアリング装置18は、油圧ポンプPからの作動油によって駆動される。すなわち、パワーステアリング装置18は、変速ケース20からの作動油によって駆動される。
【0041】
制御弁ユニット21は、制御弁28と、遮断弁29と、回収部30と、弁ケース31と、を備えている。弁ケース31は、制御弁28及び遮断弁29を収容している。
【0042】
第一油路22は、油圧ポンプPとパワーステアリング装置18とに亘って設けられている。第二油路23は、パワーステアリング装置18と制御弁28とに亘って設けられている。第三油路24は、制御弁28と遮断弁29とに亘って設けられている。第四油路25は、遮断弁29と油圧シリンダCとに亘って設けられている。第五油路26は、制御弁28と回収部30とに亘って設けられている。第六油路27は、回収部30と変速ケース20とに亘って設けられている。
【0043】
油圧ポンプPからの作動油は、油圧シリンダCに向けて、第一油路22、第二油路23、第三油路24、第四油路25を流れる。油圧シリンダCからの作動油は、変速ケース20に向けて、第四油路25、第三油路24、第五油路26及び第六油路27を流れる。
【0044】
制御弁28は、油圧シリンダCへの作動油を制御する。本実施形態では、制御弁28は、電磁弁によって構成されている。制御弁28は、三位置に切り替え可能に構成されている。具体的には、制御弁28は、油圧シリンダCが伸長する伸長位置と、油圧シリンダCが縮長する縮長位置と、油圧シリンダCが停止する中立位置と、に切り替え可能に構成されている。
【0045】
遮断弁29は、第三油路24と第四油路25との間の作動油の流通を遮断する。すなわち、遮断弁29は、油圧シリンダCと制御弁28との間の作動油の流通を遮断する。遮断弁29は、二位置に切り替え可能に構成されている。具体的には、遮断弁29は、第三油路24と第四油路25とを連通させる開位置と、第三油路24と第四油路25との連通を遮断する閉位置と、に切り替え可能に構成されている。遮断弁29は、油圧ロックレバー32(本発明に係る「操作部材」に相当)によって前記開位置と前記閉位置とに切り替え操作される。
【0046】
油圧ロックレバー32は、遮断弁29を切り替え操作するためのものである。油圧ロックレバー32は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心X1周りで揺動可能に構成されている。油圧ロックレバー32は、遮断弁29が前記開位置となる開位置P1と、遮断弁29が前記閉位置となる閉位置P2と、に切り替え可能に構成されている。油圧ロックレバー32と遮断弁29とに亘って、油圧ロックレバー32の操作力を遮断弁29に伝達するリンク機構33が設けられている。油圧シリンダCが伸長した状態で、油圧ロックレバー32が閉位置P2に切り替えられることにより、遮断弁29が前記閉位置に切り替えられて、植付装置5が上昇した状態で保持される。
【0047】
図4及び図5に示すように、制御弁ユニット21は、制御弁28(図3参照)を切り替え駆動するソレノイド34を備えている。ソレノイド34は、弁ケース31の前面部に取り付けられている。弁ケース31、回収部30及びソレノイド34は、ユニット化されている。制御弁ユニット21は、機体フレーム11に支持されている。
【0048】
回収部30には、開口30aが形成されている。開口30aには、第五油路26(図3参照)からの作動油が流入する。すなわち、回収部30は、弁ケース31からの作動油を回収する。回収部30は、弁ケース31の左側面部に取り付けられている。回収部30は、弁ケース31とは別の部材によって構成されている。回収部30は、弁ケース31に対して着脱可能に構成されている。回収部30は、弁ケース31に対して機体左右方向の他側(本実施形態では、左側)に配置されている。すなわち、回収部30は、弁ケース31に対して機体左右方向で機体内側に配置されている。
【0049】
図4において、作動油の流れ方向を矢印Aで示している。図3及び図4に示すように、制御弁ユニット21とパワーステアリング装置18とに亘って、第一配管35(本発明に係る「第一管状部材」に相当)が設けられている。第一配管35は、弁ケース31とパワーステアリング装置18とに亘って設けられている。第一配管35は、パワーステアリング装置18からの作動油が弁ケース31に向けて流れる。すなわち、第一配管35は、パワーステアリング装置18からの作動油が制御弁ユニット21に向けて流れる。
【0050】
第一配管35は、第二油路23を構成している。第一配管35における作動油の流れ方向Aの上流側端部は、パワーステアリング装置18に接続されている。第一配管35における作動油の流れ方向Aの下流側端部は、弁ケース31に接続されている。第一配管35は、制御弁ユニット21に対して作動油の流れ方向Aの上流側に配置されている。
【0051】
制御弁ユニット21と変速ケース20とに亘って、第二配管36(本発明に係る「第二管状部材」に相当)が設けられている。第二配管36は、回収部30と変速ケース20とに亘って設けられている。第二配管36は、回収部30からの作動油が変速ケース20に向けて流れる。すなわち、第二配管36は、制御弁ユニット21からの作動油が変速ケース20に向けて流れる。
【0052】
第二配管36は、第六油路27を構成している。第二配管36における作動油の流れ方向Aの上流側端部は、回収部30に接続されている。第二配管36における作動油の流れ方向Aの下流側端部は、変速ケース20に接続されている。第二配管36は、制御弁ユニット21に対して作動油の流れ方向Aの下流側に配置されている。
【0053】
図1に示すように、変速ケース20及びパワーステアリング装置18は、走行機体1の前部に配置されている。制御弁ユニット21は、走行機体1における変速ケース20及びパワーステアリング装置18よりも後側の箇所に配置されている。本実施形態では、制御弁ユニット21は、走行機体1の後部に配置されている。
【0054】
図2において、走行機体1の機体左右方向の中心をC1、運転座席13の機体左右方向の中心をC2で示している。なお、走行機体1の機体左右方向の中心C1と、運転座席13の機体左右方向の中心C2とは、同じである。
【0055】
図2に示すように、制御弁ユニット21は、運転座席13の機体左右方向の中心C2に対して一方側(本実施形態では、右側)に配置されている。すなわち、制御弁ユニット21は、走行機体1の機体左右方向の中心C1に対して一方側(本実施形態では、右側)に配置されている。油圧ロックレバー32は、運転座席13の下方において、平面視で運転座席13と重複している。本実施形態では、油圧ロックレバー32は、その全部が平面視で運転座席13と重複している。油圧ロックレバー32は、その上端ほど機体左右方向で機体外側(本実施形態では、右側)に位置する傾斜形状に形成されている。
【0056】
運転座席13の下方には、制御装置45が配置されている。制御装置45は、制御弁ユニット21等を制御する。制御弁ユニット21の前方には、リレー(図示省略)を収容するリレーボックス37及びヒューズ(図示省略)を収容するヒューズボックス38が配置されている。制御弁ユニット21、制御装置45、リレーボックス37及びヒューズボックス38は、カバー46によって上方から覆われている。運転座席13及びカバー47を取り外すことにより、制御弁ユニット21、制御装置45、リレーボックス37及びヒューズボックス38を上方に露出させて、これらのメンテナンスを上方から行うことができる。
【0057】
図6及び図7に示すように、油圧ロックレバー32は、支軸39を介して支持フレーム40に支持されている。支軸39は、頭付きピンによって構成されている。支軸39には、抜け止め用のスナップピン41が取り付けられている。支持フレーム40には、スナップピン41を逃がすための曲げ部40aが形成されている。
【0058】
リンク機構33は、第一リンク部材42(本発明に係る「別のリンク部材」に相当)と、第二リンク部材43(本発明に係る「リンク部材」に相当)と、を備えている。第一リンク部材42は、油圧ロックレバー32の操作力を第二リンク部材43に伝達する。第一リンク部材42は、油圧ロックレバー32と第二リンク部材43とに亘って設けられている。第一リンク部材42は、機体左右方向でソレノイド34における左端部に対応する位置と右端部に対応する位置とに亘っている。
【0059】
第二リンク部材43は、第一リンク部材42の力を遮断弁29に伝達する。すなわち、第二リンク部材43は、油圧ロックレバー32の操作力を遮断弁29に伝達する。第二リンク部材43は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心X2周りで揺動可能に構成されている。第二リンク部材43は、弁ケース31に支持されている。
【0060】
第二リンク部材43は、弁ケース31に対して機体左右方向の一側(本実施形態では、右側)に配置されている。すなわち、第二リンク部材43は、弁ケース31に対して機体左右方向で機体外側に配置されている。
【0061】
油圧ロックレバー32を開位置P1に切り替え操作すると、油圧ロックレバー32の操作力が第一リンク部材42を介して第二リンク部材43に伝達される。これにより、第二リンク部材43が揺動軸心X2周りで前側に揺動されて、遮断弁29が前記開位置に切り替わる。
【0062】
図8及び図9に示すように、油圧ロックレバー32を閉位置P2に切り替え操作すると、油圧ロックレバー32の操作力が第一リンク部材42を介して第二リンク部材43に伝達される。これにより、第二リンク部材43が揺動軸心X2周りで後側に揺動されて、遮断弁29が前記閉位置に切り替わる。
【0063】
弁ケース31の上部には、弁ケース31の内部を視認するためのチェックプラグ44が設けられている。第一リンク部材42には、油圧ロックレバー32が閉位置P2に切り替えられた状態において、チェックプラグ44を逃がすための曲げ部42aが形成されている。
【0064】
以下、本発明に係る別実施形態について説明する。
【0065】
(1)上記実施形態では、第二リンク部材43は、弁ケース31に対して右側に配置されている。すなわち、第二リンク部材43は、弁ケース31に対して機体左右方向で機体外側に配置されている。しかし、第二リンク部材43は、弁ケース31に対して左側に配置されていてもよい。すなわち、第二リンク部材43は、弁ケース31に対して機体左右方向で機体内側に配置されていてもよい。
【0066】
(2)上記実施形態では、回収部30は、弁ケース31に対して左側に配置されている。すなわち、回収部30は、弁ケース31に対して機体左右方向で機体内側に配置されている。しかし、回収部30は、弁ケース31に対して右側に配置されていてもよい。すなわち、回収部30は、弁ケース31に対して機体左右方向で機体内外に配置されていてもよい。
【0067】
(3)上記実施形態では、制御弁ユニット21は、走行機体1の後部に配置されている。しかし、制御弁ユニット21は、走行機体1の前後中央部に配置されていてもよい。また、制御弁ユニット21は、走行機体1の前部に配置されていてもよい。
【0068】
(4)上記実施形態では、回収部30は、弁ケース31に対して着脱可能に構成されている。しかし、回収部30は、弁ケース31に対して着脱不能に構成されていてもよい。すなわち、回収部30は、弁ケース31と一体に構成されていてもよい。
【0069】
(5)上記実施形態では、制御弁ユニット21は、回収部30を備えている。しかし、制御弁ユニット21は、回収部30を備えていなくてもよい。この場合、第二配管36を弁ケース31に接続することができる。
【0070】
(6)上記実施形態では、油圧ロックレバー32は、その全部が平面視で運転座席13と重複している。しかし、油圧ロックレバー32は、その一部が平面視で運転座席13と重複していてもよい。また、油圧ロックレバー32は、その全部が平面視で運転座席13と重複していなくてもよい。
【0071】
(7)上記実施形態において、遮断弁29は、アクチュエータ(例えば、電動モータ等)によって前記開位置と前記閉位置とに切り替えられるものでもよい。例えば、操作部材(例えば、レバー、ボタン等)による操作に応じた、制御装置45からの指令により、前記電動モータが駆動されて、前記電動モータからの動力がリンク機構を介して遮断弁29に伝達されて、遮断弁29が前記開位置と前記閉位置とに切り替えられてもよい。
【0072】
(8)上記実施形態において、第一リンク部材42は、機体左右方向でソレノイド34における左端部に対応する位置と右端部に対応する位置とに亘っている。しかし、第一リンク部材42は、機体左右方向でソレノイド34における左端部に対応する位置と右端部に対応する位置とに亘っていなくてもよい。例えば、第一リンク部材42は、機体前後方向に直線形状又は略直線形状に形成されていてもよい。
【0073】
(9)上記実施形態おいて、油圧ロックレバー32は、その上端ほど機体左右方向で機体外側(右側)に位置する傾斜形状に形成されている。しかし、油圧ロックレバー32は、その上端ほど機体左右方向で機体内側(左側)に位置する傾斜形状に形成されていてもよい。また、油圧ロックレバー32は、その上端ほど機体左右方向で一側に位置する傾斜形状に形成されていなくてもよい。例えば、油圧ロックレバー32は、機体前後方向視で上下方向に直線形状又は略直線形状に形成されていてもよい。
【0074】
(10)上記実施形態では、制御弁ユニット21は、運転座席13の機体左右方向の中心C2に対して一方側(右側)に配置されている。すなわち、制御弁ユニット21は、走行機体1の機体左右方向の中心C1に対して一方側(右側)に配置されている。しかし、制御弁ユニット21は、運転座席13の機体左右方向の中心C2に対して他方側(左側)に配置されていてもよい。すなわち、制御弁ユニット21は、走行機体1の機体左右方向の中心C1に対して他方側(左側)に配置されていてもよい。
【0075】
(11)上記実施形態では、制御装置45は、運転座席13の下方に配置されている。
しかし、制御装置45は、運転座席13の下方とは別の箇所に配置されていてもよい。
【0076】
(12)上記実施形態では、リレーボックス37及びヒューズボックス38は、制御弁ユニット21の前方に配置されている。しかし、リレーボックス37及びヒューズボックス38は、制御弁ユニット21の前方とは別の箇所に配置されていてもよい。
【0077】
(13)上記実施形態では、植付装置5は、八条植えの植付装置によって構成されている。しかし、植付装置5は、八条植えの植付装置に限定されるものではない。例えば、植付装置5は、四条から六条、十条植えの植付装置によって構成されていてもよい。
【0078】
(14)上記実施形態では、施肥装置6は、八条施肥の施肥装置によって構成されている。しかし、施肥装置6は、八条施肥の施肥装置に限定されるものではない。例えば、施肥装置6は、四条から六条、十条施肥の施肥装置によって構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、乗用型田植機の他、コンバインやトラクタにも利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 走行機体
5 植付装置(作業装置)
13 運転座席
14 ステアリングホイール
18 パワーステアリング装置
20 変速ケース
21 制御弁ユニット
28 制御弁
29 遮断弁
30 回収部
31 弁ケース
32 油圧ロックレバー(操作部材)
34 ソレノイド
35 第一配管(第一管状部材)
36 第二配管(第二管状部材)
37 リレーボックス
38 ヒューズボックス
42 第一リンク部材(別のリンク部材)
43 第二リンク部材(リンク部材)
45 制御装置
A 作動油の流れ方向
C 油圧シリンダ
C1 走行機体の機体左右方向の中心
C2 運転座席の機体左右方向の中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9