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  • 特開-弁装置 図1
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  • 特開-弁装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094042
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/02 20060101AFI20240702BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16K27/02
F16K27/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210749
(22)【出願日】2022-12-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】522504606
【氏名又は名称】飯田 詢
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 詢
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA01
3H051BB02
3H051BB10
3H051CC11
3H051CC14
3H051CC17
(57)【要約】
【課題】 メンテナンス性に優れた弁装置を提供する。
【解決手段】 有底箱状を有し、中央に設けられた筒状部11の内側に形成された入力室6と、上記筒状部11の外側に形成された出力室7とを備えた下部ハウジング4と、上記入力室6および出力室7の反対側に設けられたダイアフラムDが装着された上部ハウジング5とを備え、上記ダイアフラムDには、上記筒状部11の先端に形成された主弁座11aに着座可能に設けられた主弁体15が設けられている。
上記下部ハウジング4と上部ハウジング5との連結構造を、当該下部ハウジング4および上部ハウジング5を軸方向に摺動させて嵌合するように構成し、かつこれらの摺接部分にリングシール14を設けたものとした。
このような構成により、上記入力室6に正圧が供給された場合には、上記上部ハウジング5が下部ハウジング4に対して摺動して離脱するようになっている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に筒状部が設けられた有底箱状を有する下部ハウジングと、上記下部ハウジングの開口部に連結されるとともにダイアフラムが装着された上部ハウジングと、上記ダイアフラムに設けられた主弁体と、上記主弁体を駆動する駆動手段とを備え、
上記下部ハウジングの筒状部の内側に負圧源に接続された入力室が形成され、上記筒状部の外側に被排気物が接続された出力室が形成され、上記上部ハウジングとダイアフラムとの間に主弁開閉室が形成され、
上記駆動手段が上記ダイアフラムを変形させながら上記主弁体を上記筒状部の先端に形成された主弁座から離座させることで、上記入力室と出力室とを連通させて負圧を上記被排気物に供給する弁装置において、
上記下部ハウジングと上部ハウジングとの連結構造を、当該下部ハウジングおよび上部ハウジングを軸方向に摺動させて嵌合するように構成し、かつこれらの摺接部分にリングシールを設け、
上記入力室に正圧が供給された場合には、上記上部ハウジングが下部ハウジングに対して摺動して離脱するようにしたことを特徴とする弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弁装置に関し、詳しくは中央に筒状部が設けられた有底箱状を有する下部ハウジングと、上記下部ハウジングの開口部に連結されるとともにダイアフラムが装着された上部ハウジングとを備えた弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有底箱状を有し、中央に筒状部が設けられた有底箱状を有する下部ハウジングと、上記下部ハウジングの開口部に連結されるとともにダイアフラムが装着された上部ハウジングと、上記ダイアフラムに設けられた主弁体とを備えた弁装置が知られている(特許文献1)。
上記下部ハウジングの筒状部の内側には負圧源に接続された入力室が形成され、上記筒状部の外側には被排気物が接続された出力室が形成され、上記上部ハウジングとダイアフラムとの間には負圧供給手段に接続された主弁開閉室が形成されている。
このような構成により、上記主弁開閉室に負圧を供給して上記ダイアフラムを変形させると、上記主弁体が上記筒状部の先端に形成された主弁座から離座し、上記入力室と出力室とが連通して上記入力室から出力室へと負圧を流通させて、上記被排気物に負圧を供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5920439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1にかかる弁装置を例えば真空パック用の食品が収容された容器に使用すると、上記出力室に接続された容器から異物等が排出され、出力室や入力室に付着することがある。そこで、定期的なメンテナンスを行って弁装置を分解し、入力室や出力室を清掃する必要がある。
しかしながら、従来の弁装置では、上記下部ハウジングと上部ハウジングとがボルトによって連結されていることが一般的となっており、メンテナンスのたびに下部ハウジングから上部ハウジングを離脱させる作業が煩雑であるとの問題が生じていた。
このような問題に鑑み、本発明はメンテナンス性に優れた弁装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明にかかる弁装置は、中央に筒状部が設けられた有底箱状を有する下部ハウジングと、上記下部ハウジングの開口部に連結されるとともにダイアフラムが装着された上部ハウジングと、上記ダイアフラムに設けられた主弁体と、上記主弁体を駆動する駆動手段とを備え、
上記下部ハウジングの筒状部の内側に負圧源に接続された入力室が形成され、上記筒状部の外側に被排気物が接続された出力室が形成され、上記上部ハウジングとダイアフラムとの間に主弁開閉室が形成され、
上記駆動手段が上記ダイアフラムを変形させながら上記主弁体を上記筒状部の先端に形成された主弁座から離座させることで、上記入力室と出力室とを連通させて負圧を上記被排気物に供給する弁装置において、
上記下部ハウジングと上部ハウジングとの連結構造を、当該下部ハウジングおよび上部ハウジングを軸方向に摺動させて嵌合するように構成し、かつこれらの摺接部分にリングシールを設け、
上記入力室に正圧が供給された場合には、上記上部ハウジングが下部ハウジングに対して摺動して離脱するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、入力室と出力室とが形成された下部ハウジングと、上記弁体を備えたダイアフラムが設けられた上部ハウジングとを、軸方向に摺動させて嵌合させるように構成したため、ボルト等による連結手段は不要となっている。
したがって、メンテナンス時には下部ハウジングに対して上部ハウジングを摺動させるだけで離脱させることができ、特に下部ハウジングに形成された上記入力室と出力室の清掃を容易に行うことができる。
ここで、上記弁装置の使用時には、上記弁装置の入力室と出力室には負圧が流通していることから、上記主弁体が主弁座から離座した作動中には、上記入力室と出力室とを流通する負圧が上記ダイアフラムに作用するため、弁装置の外部の大気圧との差圧により、下部ハウジングと上部ハウジングとが離脱しないようになっている。
逆に、入力室に正圧が供給された場合には、弁装置の外部の大気圧との差圧により、上部ハウジングのダイアフラムが内部より押圧されるため、下部ハウジングから上部ハウジングが離脱するようになっており、暴発や破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる弁装置の断面図であって、主弁体の着座状態を示している。
図2】上記主弁体の離座状態を示す断面図。
図3】弁装置の組み立て構造を示した断面図。
図4】第2の実施形態にかかる弁装置を示した断面図。
図5】第2実施形態の弁装置の構造を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施形態について説明すると、図1図3は第1実施形態にかかる弁装置1を示し、図1図2は動作を説明する図を、図3は構造を説明する図となっている。
上記弁装置1には、配管を介して負圧を供給する負圧源2と、内部に食品等を収容した真空パックなどの被排気物3とが接続され、上記負圧源2の負圧を弁装置1を介して被排気物3へと供給することで、上記真空パックを真空にする動作を行うようになっている。
また図3に示すように、本実施形態の上記弁装置1は下部ハウジング4および上部ハウジング5によって構成され、後述するように本実施形態では上部ハウジング5と下部ハウジング4とを軸方向(図示上下方向)に摺動させることで、ボルト等の連結手段を用いることなく、これらを連結させることが可能となっている。
また弁装置1の内部には、上記負圧源2に接続される入力室6と、上記被排気物3に接続される出力室7と、ダイアフラムDを介して上記入力室6および出力室7の上方に形成された主弁開閉室8とが形成されている。
【0009】
下部ハウジング4は有底円筒状を有しており、上端部には断面円形に形成された開口部が形成され、当該開口部の内周面4aは滑らかに形成されている。
上記下部ハウジング4の底部中央には、上端部に主弁座11aが形成された円筒状を有する筒状部11が設けられており、当該筒状部11の内周側に上記入力室6が、筒状部11の外周側に上記出力室7が形成されるようになっている。
また下部ハウジング4には、上記筒状部11の内側に形成された入力室6と下部ハウジング4の側面とを連通させるとともに、上記負圧源2に接続される入力通路6aと、上記被排気物3に接続されるとともに、上記出力室7に連通する出力通路7aとが設けられている。
【0010】
上記上部ハウジング5は略円盤状を有しており、上部ハウジング5の上部には本発明にかかる駆動手段として、上記主弁開閉室8に負圧を供給するための接続ポート12が設けられている。
また上部ハウジング5の下方には外周縁に沿って無端状にリブ13が形成されており、当該リブ13の下面に上記ダイアフラムDが設けられている。
上記リブ13の外周面13aは断面円形に形成されており、その外周面13aは滑らかに形成されるとともに、外径は上記下部ハウジング4の開口部の内周面4aと同径に形成されている。
また上記リブ13の外周面13aには無端状に収容溝13bが形成されており、当該収容溝13bには樹脂製のリングシール14が装着されている。
このような構成により、上記リブ13の外周面13aを上記下部ハウジング4の開口部の内周面4aに嵌合させることが可能となっており、さらにこれらを軸方向(図示上下方向)に摺動させることにより、これらを嵌合することが可能な連結構造を有したものとなっている。
また、これらの摺接部分には上記リングシール14が設けられているため、下部ハウジング4と上部ハウジング5との気密が維持され、具体的には下部ハウジング4に形成された出力室7と外部との連通を遮断して、出力室7からの負圧のリークを防止するようになっている。
このように本実施形態の弁装置1は、上記下部ハウジング4と上部ハウジング5とをボルトなどの連結手段を用いずに連結することが可能となっており、これにより後述するようにメンテナンスを容易に行うことが可能となっている。
【0011】
上記ダイアフラムDは略円形を有した弾性を有する素材によって構成され、その外周縁がボルトBによって上部ハウジング5のリブ13に固定されている。これにより、上記上部ハウジング5とダイアフラムDとの間には上記主弁開閉室8が形成されるようになっている。
上記ダイアフラムDの中央には金属製の円盤状を有した主弁体15が設けられており、上記ダイアフラムDの変形に伴って上記主弁体15が上下に移動すると、図1に示すように上記主弁体15が上記下部ハウジング4の筒状部11に形成された主弁座11aに着座した着座状態か、もしくは図2に示すように主弁座11aより離隔した離座状態に切り替わるようになっている。
上記主弁体15の上部には磁石16Aが固定されており、これと同様上部ハウジング5の天面には磁石16Bが固定されている。これら磁石16Aと磁石16Bとは磁着するように構成されており、上記主弁体15が上方に位置すると、上記磁石16Aと磁石16Bとが磁着して、上記主弁体15の離座状態を維持するようになっている。
【0012】
そして上記駆動手段として、上記上部ハウジング5に設けた接続ポート12には、配管を介して負圧供給手段17が接続されており、上記配管には上記主弁開閉室8の負圧を大気開放するための負圧解消弁18が設けられている。
負圧供給手段17が主弁開閉室8に負圧を供給すると、上記ダイアフラムDが変形して上記主弁体15が上昇し、当該主弁体15を上記主弁座11aより離座させることができる。
一方、主弁開閉室8が負圧の状態から上記負圧解消弁18を作動させると、上記主弁開閉室8が大気開放され、上記入力室6と出力室7との間を流通している負圧との差圧によってダイアフラムDが変形し、主弁体15が下降して上記主弁座11aに着座させることができる。
【0013】
以下、上記構成を有する弁装置1の動作について説明する。
まず図1に示す上記主弁体15が主弁座11aに着座した状態から、負圧源2が負圧を供給すると、上記入力通路6aを介して負圧が入力室6に供給される。ただし、このとき主弁体15は主弁座11aに着座した着座状態を維持しており、出力室7に接続された被排気物3には負圧は供給されていない。
この状態から上記負圧供給手段17が上記主弁開閉室8に負圧を供給すると、主弁開閉室8に流入した負圧によるダイアフラムDの主弁開閉室8側に作用する吸着力が、入力室6に流入した負圧による入力室6および出力室7側に作用する吸着力よりも高くなる。
これにより、図2に示すように上記ダイアフラムDが主弁開閉室8側へと引き上げられ、これにより主弁体15が主弁座11aから離座して入力室6と出力室7とが連通し、上記出力室7から被排気物3へと負圧が供給されることとなる。
ここで、引き上げられた主弁体15は、当該主弁体15に設けられた磁石16Aが上部ハウジング5に設けられた磁石16Bに磁着することで、離座状態を維持するようになっており、主弁開閉室8に負圧が供給されている間、離座状態が維持されて入力室6と出力室7とが連通した状態を維持することができる。
【0014】
次に、被排気物3への負圧の供給が終了すると、上記上部ハウジング5の接続ポート12に接続された配管の負圧解消弁18を作動させ、上記主弁開閉室8を大気開放する。
このように主弁開閉室8が大気開放されると、ダイアフラムDにおける入力室6および出力室7を流通する負圧による吸着力が、上記主弁開閉室8側の大気圧に対して上回ることとなる。
一方、上記主弁体15を保持している磁石16Aと磁石16Bとの磁力は、主弁開閉室8が大気開放された状態における入力室6および出力室7側の吸着力よりも低く設定されており、これにより主弁体15は磁石16Bから離脱するようになっている。
すると、上記主弁体15は主弁座11aに着座して、入力室6と出力室7との連通が遮断され、出力室7に接続された被排気物3への負圧の供給が停止されることとなる。
【0015】
このように、上記構成を有する弁装置1を使用すると、上記被排気物3に対して負圧を供給することから、被排気物3中の内容物の一部が弁装置1に吸い込まれることがあり、上記負圧が流通する出力室7や入力室6に付着することとなる。
このため、上記弁装置1を定期的にメンテナンスする必要があり、具体的には下部ハウジング4から上部ハウジング5を取り外して、上記負圧が流通する出力室7や入力室6を清掃する必要がある。
しかして本実施形態の弁装置1の場合、図3のように上記下部ハウジング4と上部ハウジング5とを嵌合により組み立てており、これらをボルトB等の連結手段を用いずに連結していることから、メンテナンス時には下部ハウジング4から上部ハウジング5を容易に取り外すことが可能となっている。
そして上部ハウジング5を取り外した下部ハウジング4については、上方の開口部から上記筒状部11の内側および外側に形成された上記入力室6および出力室7に容易にアクセスすることができるため、これらを容易に洗浄することができる。
一方上部ハウジング5についても、上記ダイアフラムDにおける上記入力室6と出力室7とに面した図示下方側の面を清掃すればよい。なお主弁開閉室8には基本的には負圧供給手段17の負圧しか供給されないため、頻繁なメンテナンスは不要となっている。
【0016】
具体的に本実施形態の弁装置1は、上記下部ハウジング4の開口部の内周面4aと、上記上部ハウジング5のリブ13の外周面13aとが、それぞれ同径に形成されるとともに滑らかに構成されているため、これらを軸方向(図示上下方向)に摺動させるだけで、上部ハウジング5を下部ハウジング4に嵌合させることが可能となっている。
そして上記弁装置1を作動させた状態では、上記下部ハウジング4に形成された入力室6や出力室7に負圧が流通しているため、ダイアフラムDにおける下部ハウジング5側の面に負圧が作用するようになっている。
このため、弁装置1の外部の大気圧との間の差圧により、ボルトB等を用いずとも、下部ハウジング4と上部ハウジング5との嵌合状態を維持することができる。
さらに本実施形態では、弁装置1の作動時には上記上部ハウジング5に形成された主弁開閉室8にも負圧が流通しているため、ダイアフラムDの主弁体15が引き上げられた状態が維持され、弁装置1の外部の大気圧との間の差圧により、下部ハウジング4と上部ハウジング5との嵌合状態を維持することができる。
そして上記リブ13にはリングシール14が設けられているため、上記下部ハウジング4の開口部の内周面4aと、上記上部ハウジング5のリブ13の外周面13aとがシールされ、上記弁装置1を作動させた際に、上記入力室6や出力室7を流通する負圧がリークすることもない。
【0017】
さらに、弁装置1の入力室6に負圧源2ではなく正圧源を接続してしまった場合、出力室7に正圧が供給されると、外部の大気圧との差圧によって上部ハウジング5が下部ハウジング4から押し出されることとなる。
このとき、下部ハウジング4と上部ハウジング5とが摺動することにより嵌合する構成を有していることから、差圧によって上部ハウジング5が離脱するため、暴発の恐れや弁装置1の損傷を防止することができる。
なお、上記実施形態において、上部ハウジング5と下部ハウジング4にそれぞれねじ部を形成し、これらを螺合させてることでボルトB等を用いずに連結することが考えられる。
しかしながら、このような構成とすると、上述したように入力室6に正圧を供給した場合に、下部ハウジング4から上部ハウジング5を離脱させることができず、暴発や弁装置1の損傷を防止することができないこととなる。
【0018】
図4図5は第2実施形態にかかる弁装置101を示し、図4は動作状態を、図5は分解した状態を示したものとなっている。なお以下の説明のうち、上記第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態で使用した符号に100を加算したものとなっている。
本実施形態の弁装置101も下部ハウジング104と上部ハウジング105とを備えており、このうち下部ハウジング104については第1実施形態で用いたものと略同じ構成であるため詳細な説明については省略する。
上記上部ハウジング105は、上記ダイアフラムDが設けられるとともに、上記下部ハウジング104に対して軸方向に摺動させて嵌合するように構成されたリング状部材105Aと、上記リング状部材105Aの上部に嵌合するキャップ105Bとから構成されている。
上記リング状部材105Aは円筒状のリング部121と、当該リング部121の内周面4aの略中央に設けられたフランジ部122とから構成されており、上記フランジ部122の下面には上記ダイアフラムDがボルトBによって固定されるとともに、当該ダイアフラムDの中央には主弁体115が設けられている。
上記リング部121の内周面121aは滑らかに形成されており、これに対し、下部ハウジング104の開口部の外周面104bは滑らかに形成されており、当該外周面104bはリング部121の内周面121aと同径に形成されている。
また上記リング部121の内周面121aには、上記フランジ部122に対して上方および下方のそれぞれに無端状の収容溝121bが形成され、当該収容溝121bにはリングシール114が装着されている。
【0019】
上記キャップ105Bの外周縁には上下方向に肉厚に形成された肉厚部123が形成されており、当該肉厚部123の外周面123aは滑らかに形成されるとともに、上記リング状部材105Aのリング部121の内周面121aと同径となっている。
またキャップ105Bの上部には図示しない負圧供給手段に接続される接続ポート112が設けられ、また下面中央部には上記主弁体115に設けられた磁石116Aと磁着する磁石116Bが設けられている。
【0020】
上記構成を有する弁装置101は、上記第1実施形態の弁装置1と同様に作動させることができる。すなわち、入力室6に負圧源(図示せず)からの負圧を入力し、その状態で主弁開閉室108に負圧供給手段(図示せず)から負圧を供給することで、ダイアフラムDを変形させて主弁体115を主弁座111aから離脱させることができる。
離座した主弁体115は、上記上部ハウジング105を構成するキャップ105Bに設けられた磁石116Bによって離座状態に保持され、これにより上記入力室106と出力室107とが連通した状態が維持され、被排気物(図示せず)に対して負圧が供給されることとなる。
そして被排気物3への負圧の供給が終了すると、主弁開閉室108が大気開放され、これにより離座状態だった主弁体115が磁力に抗してキャップ105Bから離脱し、上記主弁座111aに着座した着座状態となって、入力室106と出力室107とが遮断されるようになっている。
【0021】
そして本実施形態の弁装置101も、図4に示すように、上記下部ハウジング104と、上部ハウジング105を構成するリング状部材105Aとキャップ105Bとを、それぞれ摺動させて嵌合させることにより連結することが可能となっており、ボルトB等の連結部材は不要となっている。
具体的には、下部ハウジング104を構成するリング部121の内周面121aに対し、下部ハウジング104の外周面104bおよびキャップ105Bの外周面123aの径が同一となっていることから、これらの部材を軸方向(図示上下方向)に摺動させるだけで、これらを嵌合させて連結することができる。
また、上記リング状部材105Aの内周面121aにリングシール114を設けたため、これらを嵌合させることで気密を保った状態で連結することができ、弁装置101の作動中に負圧が漏れることを防止することができる。
また入力室106に正圧が供給された場合には、外部との差圧によってダイアフラムDが押圧され、下部ハウジング104から上部ハウジング105を離脱させることができ、暴発や破損が防止されるようになっている。
【0022】
そしてメンテナンスの際には、上記第1実施形態と同様、上部ハウジング105と下部ハウジング104とを摺動させることで、上部ハウジング105を下部ハウジング104から離脱させることができ、下部ハウジング104の入力室106および出力室107を容易に洗浄することができる。
一方、上部ハウジング105についても、リング状部材105Aとキャップ105Bとを摺動させることで離脱させることができるため、上記主弁開閉室108の清掃も容易に行うことが可能となっている。
【0023】
なお上記実施形態では、上記主弁体15、115を駆動する駆動手段として、主弁開閉室8、108に負圧を供給する負圧供給手段17を用いているが、これに代えて、上記主弁体15、115を上下動させる電動のアクチュエーター等を用いてもよい。
この場合、主弁開閉室8、108に負圧を供給する必要はないが、上記ダイアフラムDは上記上部ハウジング5、105に対して気密を保った状態で装着する必要がある。
【符号の説明】
【0024】
1、101 弁装置 2 負圧源
3 被排気物 4、104 下部ハウジング
5、105 上部ハウジング 6、106 入力室
7、107 出力室 8、108 主弁開閉室
11、111 筒状部 11、111a 主弁座
14、114 リングシール 15、115 主弁体
D ダイアフラム
図1
図2
図3
図4
図5