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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094049
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240702BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20240702BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J11/42
B41J11/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210763
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】大橋 雅司
(72)【発明者】
【氏名】荒金 覚
(72)【発明者】
【氏名】次村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】疇地 悠
(72)【発明者】
【氏名】中野 靖大
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA23
2C058LC21
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HJ10
2C061HK06
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性の向上を図ることができる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷媒体を収容する収容部(21)と、印刷媒体を搬送路に沿って搬送する搬送部(60、62、64、66、108)と、搬送路の途中に印刷媒体を供給可能な供給部(55)と、印刷ジョブに含まれる印刷データを搬送路に沿って搬送される印刷媒体に印刷する印刷部(3)と、印刷部によって印刷された印刷媒体を切断する切断部(10)と、記憶部(104)と、制御部(100)と、を備え、制御部は、印刷ジョブに切断部によって切断する切断対象の印刷媒体を指定する切断指示が含まれているかを判定する第1切断判定処理と、第1切断判定処理にて、印刷ジョブに切断指示が含まれていると判定した場合は、印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとして記憶部に記憶する蓄積記憶処理と、を実行する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体を収容する収容部と、
前記印刷媒体を搬送路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送路の途中に印刷媒体を供給可能な供給部と、
印刷ジョブに含まれる印刷データを前記搬送路に沿って搬送される印刷媒体に印刷する印刷部と、
前記印刷部によって印刷された印刷媒体を切断する切断部と、
記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記印刷ジョブに前記切断部によって切断する切断対象の印刷媒体を指定する切断指示が含まれているかを判定する第1切断判定処理と、
前記第1切断判定処理にて、前記印刷ジョブに前記切断指示が含まれていると判定した場合は、前記印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとして前記記憶部に記憶する蓄積記憶処理と、
を実行する、印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1切断判定処理にて、前記印刷ジョブに前記切断指示が含まれていると判定した場合は、前記印刷ジョブに前記供給部から供給された印刷媒体を印刷対象として指定する指定指示が含まれているかを判定する指定判定処理を実行し、
前記指定判定処理にて、前記印刷ジョブに前記指定指示が含まれていると判定した場合は、前記蓄積記憶処理を実行する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1切断判定処理にて、前記印刷ジョブに前記切断指示が含まれていると判定した場合は、前記供給部に印刷媒体がセットされているかを判定する供給部判定処理を実行し、
前記供給部判定処理にて、前記供給部に印刷媒体がセットされていると判定した場合は、前記蓄積記憶処理を実行する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記供給部判定処理にて、前記供給部に印刷媒体がセットされていないと判定した場合は、前記収容部に収容されている印刷媒体が前記切断部によって切断可能な印刷媒体であるかを判定する第2切断判定処理を実行し、
前記第2切断判定処理にて、前記収容部に収容されている印刷媒体が前記切断部によって切断可能な印刷媒体でないと判定した場合は、前記蓄積記憶処理を実行する、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記蓄積記憶処理を実行した後、
前記供給部に印刷媒体がセットされたかを判定するセット判定処理と、
前記セット判定処理にて、前記供給部に印刷媒体がセットされたと判定した場合は、前記蓄積記憶処理にて記憶した前記蓄積印刷データを前記記憶部から読み出して、前記印刷部を介して前記供給部から供給される印刷媒体に印刷する印刷処理と、
を実行する、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記蓄積記憶処理を実行した後、
前記供給部から前記印刷媒体が取り除かれたかを判定する除去判定処理と、
前記除去判定処理にて、前記供給部から前記印刷媒体が取り除かれたと判定した場合は、前記蓄積記憶処理にて記憶した前記蓄積印刷データを前記記憶部から読み出して、前記印刷部を介して前記収容部に収容された印刷媒体に印刷する印刷処理と、
を実行する、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記蓄積記憶処理を実行した後、
前記収容部に収容されている印刷媒体が変更されたかを判定する変更判定処理と、
前記変更判定処理にて、前記収容部に収容されている印刷媒体が変更されたと判定した場合は、前記収容部に収容されている印刷媒体が前記切断部によって切断可能な印刷媒体であるかを判定する第3切断判定処理と、
前記第3切断判定処理にて、前記収容部に収容された印刷媒体が前記切断部によって切断可能な印刷媒体であると判定した場合は、前記蓄積記憶処理にて記憶した前記蓄積印刷データを前記記憶部から読み出して、前記印刷部を介して前記収容部に収容された印刷媒体に印刷する印刷処理と、
を実行する、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記蓄積印刷データに関連付けられた識別情報を特定可能な認証情報を取得する認証情報取得部をさらに備え、
前記制御部は、
前記印刷処理にて、
前記認証情報取得部にて取得された前記認証情報を認証する認証処理と、
前記記憶部に記憶されている前記蓄積印刷データの中から、前記認証処理によって認証された前記認証情報にて特定される前記識別情報と関連付けられている前記蓄積印刷データの読み出しを許可する許可処理と、
を実行する、請求項5から7のいずれか1項に記載の印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷のために搬送中である定型サイズのシートを切断する切断部を備え画像形成装置がある。例えば、特許文献1の画像形成装置では、A3サイズのシートを二等分に切断することにより、A4サイズのシートを2枚生成する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-186448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の画像形成装置のように、切断部を備えた画像形成装置では、受信した印刷データの設定にシートを切断するカット指定がある場合、印刷データを蓄積しておく。そして、ユーザの印刷指示があったタイミングで、蓄積した印刷データを印刷実行するほうが、利便性が高い場合がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ユーザの利便性の向上を図ることができる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る印刷装置では、印刷媒体を収容する収容部と、前記印刷媒体を搬送路に沿って搬送する搬送部と、前記搬送路の途中に印刷媒体を供給可能な供給部と、印刷ジョブに含まれる印刷データを前記搬送路に沿って搬送される印刷媒体に印刷する印刷部と、前記印刷部によって印刷された印刷媒体を切断する切断部と、記憶部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記印刷ジョブに前記切断部によって切断する切断対象の印刷媒体を指定する切断指示が含まれているかを判定する第1切断判定処理と、前記第1切断判定処理にて、前記印刷ジョブに前記切断指示が含まれていると判定した場合は、前記印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとして前記記憶部に記憶する蓄積記憶処理と、を実行するものである。
【0007】
上記の構成によれば、印刷ジョブに切断部によって切断する切断対象の印刷媒体を指定する切断指示が含まれている場合は、印刷ジョブが蓄積して印刷する蓄積印刷データとして記憶部に記憶される。これにより、ユーサは、都合のよいタイミングで印刷指示を入力して、記憶部に記憶された蓄積印刷データを印刷することが可能となり、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0008】
また、本開示の一態様に係る印刷装置では、前記制御部は、前記第1切断判定処理にて、前記印刷ジョブに前記切断指示が含まれていると判定した場合は、前記印刷ジョブに前記供給部から供給された印刷媒体を印刷対象として指定する指定指示が含まれているかを判定する指定判定処理を実行し、前記指定判定処理にて、前記印刷ジョブに前記指定指示が含まれていると判定した場合は、前記蓄積記憶処理を実行してもよい。
【0009】
上記の構成によれば、供給部に印刷媒体を検出するセンサがない場合には、印刷ジョブで供給部から供給された印刷媒体を印刷対象に指定しても、供給部に切断対象の印刷媒体がセットされているか否かの判定ができない。従って、印刷ジョブで供給部から供給された印刷媒体を印刷対象の印刷媒体に指定した場合は、印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとして記憶することによって、ユーザが所望する印刷媒体への印刷が可能となる。よってユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0010】
また、本開示の一態様に係る印刷装置では、前記制御部は、前記第1切断判定処理にて、前記印刷ジョブに前記切断指示が含まれていると判定した場合は、前記供給部に印刷媒体がセットされているかを判定する供給部判定処理を実行し、前記供給部判定処理にて、前記供給部に印刷媒体がセットされていると判定した場合は、前記蓄積記憶処理を実行してもよい。
【0011】
上記の構成によれば、印刷ジョブに切断部によって切断する切断対象の印刷媒体を指定する切断指示が含まれている場合に、供給部に印刷媒体がセットされているときは、印刷ジョブが蓄積印刷データとして記憶される。これにより、収容部に収容されている印刷媒体を利用して印刷することを予定していたユーザからの印刷ジョブに対して、ユーザが所望していない供給部にセットされている印刷媒体が使用されることを防止できる。すなわち、ユーザが所望する印刷媒体への印刷が可能となる。よってユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本開示の一態様に係る印刷装置では、前記制御部は、前記供給部判定処理にて、前記供給部に印刷媒体がセットされていないと判定した場合は、前記収容部に収容されている印刷媒体が前記切断部によって切断可能な印刷媒体であるかを判定する第2切断判定処理を実行し、前記第2切断判定処理にて、前記収容部に収容されている印刷媒体が前記切断部によって切断可能な印刷媒体でないと判定した場合は、前記蓄積記憶処理を実行してもよい。
【0013】
上記の構成によれば、供給部に印刷媒体がセットされていない場合でも、収容部に収容された印刷媒体が切断不可の場合は、印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとして記憶する。これにより、ユーザからの印刷ジョブに対して、ユーザが所望していない印刷媒体が使用されることを防止できる。すなわち、ユーザが所望する印刷媒体への印刷が可能となる。よってユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0014】
また、本開示の一態様に係る印刷装置では、前記制御部は、前記蓄積記憶処理を実行した後、前記供給部に印刷媒体がセットされたかを判定するセット判定処理と、前記セット判定処理にて、前記供給部に印刷媒体がセットされたと判定した場合は、前記蓄積記憶処理にて記憶した前記蓄積印刷データを前記記憶部から読み出して、前記印刷部を介して前記供給部から供給される印刷媒体に印刷する印刷処理と、を実行してもよい。上記構成によれば、ユーザは、供給部に切断対象の印刷媒体をユーザがセットすることによって、ユーザの要望する印刷を行うことができる。
【0015】
また、本開示の一態様に係る印刷装置では、前記制御部は、前記蓄積記憶処理を実行した後、前記供給部から前記印刷媒体が取り除かれたかを判定する除去判定処理と、前記除去判定処理にて、前記供給部から前記印刷媒体が取り除かれたと判定した場合は、前記蓄積記憶処理にて記憶した前記蓄積印刷データを前記記憶部から読み出して、前記印刷部を介して前記収容部に収容された印刷媒体に印刷する印刷処理と、を実行してもよい。上記構成によれば、ユーザは、供給部から印刷媒体を取り除くことによって、ユーザの要望する印刷を行うことができる。
【0016】
また、本開示の一態様に係る印刷装置では、前記制御部は、前記蓄積記憶処理を実行した後、前記収容部に収容されている印刷媒体が変更されたかを判定する変更判定処理と、前記変更判定処理にて、前記収容部に収容されている印刷媒体が変更されたと判定した場合は、前記収容部に収容されている印刷媒体が前記切断部によって切断可能な印刷媒体であるかを判定する第3切断判定処理と、前記第3切断判定処理にて、前記収容部に収容された印刷媒体が前記切断部によって切断可能な印刷媒体であると判定した場合は、前記蓄積記憶処理にて記憶した前記蓄積印刷データを前記記憶部から読み出して、前記印刷部を介して前記収容部に収容された印刷媒体に印刷する印刷処理と、を実行してもよい。
【0017】
上記構成によれば、ユーザは、収容部に切断可能な印刷媒体をセットすることによって、ユーザの要望する印刷を行うことができる。
【0018】
また、上記の構成を有する本開示の一態様に係る印刷装置では、前記蓄積印刷データに関連付けられた識別情報を特定可能な認証情報を取得する認証情報取得部をさらに備え、前記制御部は、前記印刷処理にて、前記認証情報取得部にて取得された前記認証情報を認証する認証処理と、前記記憶部に記憶されている前記蓄積印刷データの中から、前記認証処理によって認証された前記認証情報にて特定される前記識別情報と関連付けられている前記蓄積印刷データの読み出しを許可する許可処理と、を実行してもよい。上記の構成によれば、ユーザは、認証情報を入力することによって、認証されたユーザの識別情報に関連付けられている蓄積印刷データを印刷することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る印刷装置の内部構成の概略を示す断面図である。
図2】実施形態1に係る印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る印刷装置の制御部が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態1に係る印刷装置の制御部が、手差しトレイから用紙が除去された際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態1に係る印刷装置の制御部が、給送トレイの設定変更がされた際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態2に係る印刷装置の制御部が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態2に係る印刷装置の制御部が、手差しトレイに用紙がセットされた際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態3に係る印刷装置の制御部が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態3に係る印刷装置の制御部が、ユーザの認証情報を取得した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1における印刷装置1について、図1図5を参照して説明する。
【0022】
[印刷装置の構成]
図1は、実施形態1に係る印刷装置1の内部構造を示す断面図である。図1に示す印刷装置1は、インクジェットプリンタの一例である。なお、印刷装置1は、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファックス機能等の複数の機能を備えたMFP(Multi-Function Peripheral)であってもよい。以下の説明では、図1に示すように印刷装置1が使用可能に設置された状態を基準として、設置面側を下として上下方向を定義する。また、印刷された用紙Pが排出トレイ23に排出される方向側を前として前後方向を定義し、前方から印刷装置1を視て左側を左として左右方向を定義する。なお、左右方向は後述するキャリッジ31の移動方向である走査方向と称する場合がある。
【0023】
印刷装置1は、印刷ジョブにより指定される印刷データを、例えばインクを吐出することにより、印刷媒体の一例である用紙Pに印刷を行うインクジェット方式のプリント機能を有する。なお、印刷の方式は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式であってもよい。用紙Pに印刷される印刷データは、カラー印刷が可能であってもよいし、モノクロ印刷専用であってもよい。また、印刷媒体である用紙Pは、紙媒体に限らず、他にも、例えばOHPシートのような樹脂媒体であってもよい。
【0024】
図1に示すように、印刷装置1は、給送トレイ21と、排出トレイ23と、給送ローラ24と、第1搬送路R1と、印刷部3と、搬送ローラ60、62、64、66、68と、第1フラップ46と、第2フラップ48と、第2搬送路R2と、切断部10と、手差しトレイ55と、を備えている。手差しトレイ55は、供給部の一例である。給送ローラ24、及び搬送ローラ60、62、64、66は、搬送部の一例である。なお、第1搬送路R1及び第2搬送路R2に設けられる各ローラの数は、適宜変更可能であり、例えば搬送ローラ66はなくてもよい。
【0025】
印刷装置1には、収容部の一例である給送トレイ21と、排出トレイ23とが、着脱自在に配置される。給送トレイ21は、複数枚の用紙Pを収容するためのトレイであり、上面が開放している。給送トレイ21には、印刷媒体の一例としてA4サイズの用紙Pが収容される。なお、印刷装置1は、複数の給送トレイが配置されるものであってもよい。給送トレイ21の上方には、排出トレイ23が配置されている。排出トレイ23は、搬送ローラ66によって排出された用紙P、切断部10によって切断された第1用紙P1及び第2用紙P2を収容するためのトレイであり、上面が開放している。
【0026】
第1搬送路R1は、ガイド部材41、42、43、44、45、プラテン34及び印刷部3によって形成される空間をいう。第1搬送路R1は、給送トレイ21から印刷部3を経由して排出トレイ23に至る経路である。第1搬送路R1は、給送トレイ21の後端部から上方に延びている。第1搬送路R1は、ガイド部材41、42により区画される領域にて湾曲し、印刷部3の位置を経由して、ガイド部材43、44、45により区画される領域にて直線状に延びている。ここで、第1搬送路R1へ給送された用紙Pが、印刷装置1の後方から前方へ搬送される方向を第1搬送方向D1とする。
【0027】
第1搬送路R1における印刷部3よりも第1搬送方向D1の上流側には、搬送ローラ60が配置されている。搬送ローラ60の下部と対向する位置には、ピンチローラ61が配置されている。搬送ローラ60は、図2に示す搬送モータ108によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って回転する。搬送ローラ60及びピンチローラ61が正回転することにより、用紙Pは、搬送ローラ60及びピンチローラ61に挟持されて、印刷部3まで搬送される。
【0028】
印刷部3は、第1搬送路R1において、搬送ローラ60と搬送ローラ62との間に設けられている。印刷部3は、キャリッジ31と、ヘッド32と、ノズル33と、プラテン34とを有する。キャリッジ31は、図2に示すキャリッジモータ109の駆動力が伝達されることにより、用紙Pの幅方向(第1搬送方向D1に対して直交する方向、)に往復移動する。ヘッド32は、キャリッジ31に搭載される。ヘッド32の下面には、複数のノズル33が設けられている。ノズル33からインク滴を吐出することにより用紙Pに印刷がされる。プラテン34は、用紙Pが載置される矩形板状の部材である。
【0029】
プラテン34に支持された用紙Pに対して、キャリッジ31が移動する過程において、ノズル33がインク滴を選択的に吐出することによって、用紙Pに印刷が行われる。設定された印刷開始位置PL(不図示)に基づき、用紙Pへの印刷が行われる。制御部100は、用紙Pの搬送が停止している状態でキャリッジ31を用紙Pの幅方向に移動させながらノズル33からインクを吐出させ、用紙Pに1行分の印刷を行う印刷処理と、搬送ローラ60、62を駆動させて用紙Pを所定の改行量だけ搬送する改行処理とを繰り返すことによって、用紙Pへの印刷を行う。
【0030】
図1に示すように、第1搬送路R1における印刷部3より第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ62が配置されている。搬送ローラ62の上部と対向する位置には、拍車ローラ63が配置されている。搬送ローラ62は、図2に示す搬送モータ108によって駆動される。拍車ローラ63は、搬送ローラ62の回転に伴って回転する。搬送ローラ62及び拍車ローラ63が正回転することにより、用紙Pは、搬送ローラ62及び拍車ローラ63に挟持されて、第1搬送方向D1の下流側へ搬送される。
【0031】
また、図1に示すように、第1搬送路R1における搬送ローラ62よりも第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ64が配置されている。搬送ローラ64の上部と対向する位置には、拍車ローラ65が配置されている。搬送ローラ64は、搬送モータ108によって駆動される。拍車ローラ65は、搬送ローラ64の回転に伴って回転する。搬送ローラ64及び拍車ローラ65が正回転することで、用紙Pは、搬送ローラ64及び拍車ローラ65に挟持されて、切断部10側へ搬送される。
【0032】
一方、搬送ローラ64及び拍車ローラ65が逆回転することで、用紙Pは、搬送ローラ64及び拍車ローラ65に挟持されると共に、第1フラップ46の下面に沿って、第2搬送路R2へ搬送される。ここで、第1搬送方向D1とは反対の方向であって、第2搬送路R2へ搬送された用紙Pが、印刷装置1の前方から後方へ向かう方向を第2搬送方向とする。
【0033】
第1搬送路R1における搬送ローラ62と搬送ローラ64との間には、第1フラップ46が設けられている。第1フラップ46は、ガイド部材43に対向した分岐位置Yの付近に配置されている。第1フラップ46は、プラテン34によって第1状態及び第2状態の間を回動可能に支持されている。第1フラップ46は、コイルバネ47によって第1状態となるように付勢されている。第1フラップ46は、図1に実線で示される第1状態では、ガイド部材43と当接して第1搬送路R1を閉塞させる。一方、第1フラップ46は、図1に点線で示される第2状態では、第1状態よりも下方に位置して、ガイド部材43から離間して第1搬送方向D1に搬送される用紙Pを通過させる。
【0034】
切断部10は、第1搬送路R1において、搬送ローラ64と搬送ローラ66との間に配置されている。切断部10は、周知のカッター機構である。切断部10は、設定された切断位置CL(不図示)において用紙Pを切断することにより、用紙Pをn等分(nは2以上の整数)に分割する。例えば、用紙PがA4サイズの場合、A5サイズの第1用紙P1及び第2用紙P2が生成される。なお、用紙Pは、第1搬送方向D1において、第1用紙P1が第2用紙P2よりも先行するように第1搬送路R1に搬送される。
【0035】
第1搬送路R1における切断部10より第1搬送方向D1の下流側には、搬送ローラ66が配置されている。搬送ローラ66の上部と対向する位置には、拍車ローラ67が配置されている。搬送ローラ66は、図2に示す搬送モータ108によって駆動される。拍車ローラ67は、搬送ローラ66の回転に伴って回転する。搬送ローラ66及び拍車ローラ67が正回転することにより、用紙P、第1用紙P1及び第2用紙P2は、搬送ローラ66に搬送されて、排出トレイ23へ排出される。
【0036】
図1に示すように、第1搬送路R1と第2搬送路R2との合流位置Wには、第2フラップ48が、回動可能に配置されている。具体的には、第2フラップ48は、図1に実線で示される第1状態と、図1に点線で示される第2状態との間で回動可能になっている。第2フラップ48が第1状態のとき、第2フラップ48及びガイド部材42により、第2搬送路R2の一部が構成される。また、第2フラップ48が第2状態のとき、第2フラップ48及びガイド部材41により、第1搬送路R1の一部が構成される。
【0037】
第1搬送路R1における搬送ローラ60の上流側には、レジセンサ120が設けられている。レジセンサ120は、用紙Pの前端又は後端が搬送ローラ60との当接位置を通過することを検知するセンサである。レジセンサ120としては、用紙Pが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。
【0038】
搬送ローラ60には、搬送ローラ60の回転を検出するロータリエンコーダ121が設けられている。ロータリエンコーダ121は、搬送ローラ60の回転に応じてパルス信号を制御部100へ出力する(図2参照)。ロータリエンコーダ121は、エンコーダディスクと、光学センサとを有する。エンコーダディスクは、搬送ローラ60の回転と共に回転する。光学センサは、回転するエンコーダディスクを読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を制御部100に出力する。
【0039】
印刷部3には、メディアセンサ122が設けられている。メディアセンサ122は、プラテン34上に用紙Pが有るか否かを検知するためのセンサである。メディアセンサ122は、第1搬送路R1を搬送される用紙Pの前端が印刷部3に到達したことを検知するために用いられる。
【0040】
第2搬送路R2は、ガイド部材71、72、73、によって区画される経路である。第2搬送路R2には、搬送ローラ68及びピンチローラ69が配置されている。第2搬送路R2は、第1搬送路R1における搬送ローラ64よりも上流側の分岐位置Yから分岐し、第1搬送路R1における印刷部3よりも第1搬送方向D1の上流側にある合流位置Wに接続されている。
【0041】
制御部100により、搬送ローラ64、66を逆回転させると共に、搬送ローラ68を回転させることで、片面に印刷データが記録された用紙Pが、第2搬送路R2において第2搬送方向D2に沿って搬送される。第2搬送路R2に搬送された用紙Pは、合流位置Wにおいて表裏を1回反転させた状態で第1搬送路R1へ搬送される。これにより、印刷部3により、用紙Pの両面に印刷することが可能である。
【0042】
手差しトレイ55は、印刷装置1の後側に設けられたガイド部材41の上端部に配置され、用紙Pを支持する。また、ガイド部材41の第1搬送方向D1側の端部と搬送ローラ60との間に挿入口56が形成されている。そして、手差しトレイ55に支持された用紙Pは、挿入口56から第1搬送路R1の途中に供給されて、搬送ローラ60とピンチローラ61との間に挿入される。手差しトレイ55は、供給部の一例として機能する。
【0043】
従って、ユーザは、手差しトレイ55上に用紙Pをセットして、挿入口56へ差し込むことによって、用紙Pを第1搬送路R1の途中から搬送ローラ60に供給することができる。
【0044】
[印刷装置の電気的構成]
図2は、実施形態1における印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。図2に示すように、印刷装置1は、上述した各部に加え、制御部100と、給送モータ107と、搬送モータ108と、キャリッジモータ109と、USBインターフェース(I/F)110と、LANインターフェース(I/F)111と、通信インターフェース(I/F)112と、装着センサ123と、設定部124と、を備えている。
【0045】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、EEPROM104(登録商標)、及びASIC105を有し、これらが内部バス106によって接続されている。
【0046】
ROM102には、CPU101が各種動作を制御するためのプログラム等が格納されている。制御部100は、ROM102から読み出した制御プログラムに基づいて、給送モータ107、搬送モータ108、キャリッジモータ109、ヘッド32、及び切断部10等を制御する。
【0047】
また、EEPROM104には、例えば、受信した印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データが格納される。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記憶する記憶領域、又はデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM104には、電源オフ後も保持すべき設定情報が格納される。EEPROM104には、例えば複数種類の用紙Pに関する予め設定された用紙の長さLdef、印刷開始位置のデフォルト値PLdef、及び切断位置のデフォルト値CLdef等の予め設定された情報が格納されている。
【0048】
ASIC105には、給送モータ107、搬送モータ108、キャリッジモータ109、ヘッド32、切断部10、USBインターフェース110、LANインターフェース111、通信インターフェース112、レジセンサ120、ロータリエンコーダ121、メディアセンサ122、装着センサ123、及び設定部124が接続されている。ASIC105は、給送モータ107、搬送モータ108、及びキャリッジモータ109に駆動電流を供給する。制御部100は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、給送モータ107、搬送モータ108、及びキャリッジモータ109の回転を制御する。
【0049】
また、制御部100は、ヘッド32の振動素子に駆動電圧を印加することによって、ノズル33からインク滴を吐出させる。また、ASIC105には、レジセンサ120、ロータリエンコーダ121、メディアセンサ122、及び装着センサ123が接続されている。そして、制御部100は、レジセンサ120、ロータリエンコーダ121、メディアセンサ122、及び装着センサ123から出力される信号に基づいて、印刷装置1の状態を検知する。
【0050】
レジセンサ120は、用紙Pがレジセンサ120の位置を通過している状態でオン信号を出力し、用紙Pがレジセンサ120の位置を通過していない状態でオフ信号を出力する。即ち、用紙Pの前端がレジセンサ120の位置に到達したタイミングから用紙Pの後端がレジセンサ120の位置を通過するまでの間はオン信号を出力し、それ以外の間はオフ信号を出力する。レジセンサ120による検知信号は、制御部100へ出力される。
【0051】
装着センサ123は、給送トレイ21に設けられ、給送トレイ21が印刷装置1に装着されているか否かを検知する。装着センサ123は、給送トレイ21が印刷装置1に装着されている状態において、制御部100へオン信号を出力し、給送トレイ21が印刷装置1に装着されていない状態において、制御部100へオフ信号を出力する。装着センサ123は、給送トレイ21と当接することにより給送トレイ21の装着を検知する物理センサや、発光部及び受光部を有する光センサ等を用いることができる。
【0052】
なお、装着センサ123の代わりに、給送トレイ21が取り外されたことを検知する第3検知部としてのセンサを備えてもよい。また、印刷装置1は給送トレイ21に用紙Pが収容されているか否かを検知する第4検知部としてのセンサを備えてもよい。
【0053】
印刷装置1には、表示画面を有する設定部124が設けられている。設定部124は、例えばタッチパネルからなり、ユーザのタッチ操作により、印刷装置1の印刷に関する各種の設定を行うことが可能な構成となっている。設定部124は、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズの設定及び切断処理を実行するか否かの設定等を受け付ける。設定部124により設定された情報は、制御部100へ出力され、EEPROM104に記憶される。
【0054】
また、ユーザは、設定部124を介して、ユーザ認証を受けるためのユーザIDおよびパスワードを入力することができる。そして、ユーザは、ユーザ認証に成功すると、設定部124を介して、印刷装置1に印刷に関する各種の設定を行うことが可能な構成となっている。
【0055】
USBインターフェース110には、USBメモリ、USBケーブル等が接続される。LANインターフェース111には、LANケーブルを介してPCが接続される。制御部100は、USBインターフェース110又はLANインターフェース111を介して、印刷ジョブを受信すると、印刷装置1の各部を制御することで、印刷ジョブにより指定される印刷データを用紙Pに印刷する。
【0056】
[制御部100による制御の流れ]
次に、実施形態1に係る印刷装置1の制御部100による制御の流れについて、図3図5に基づいて説明する。先ず、実施形態1に係る印刷装置1の制御部100が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の流れについて、図3のフローチャートに基づいて説明する。図3は、実施形態1に係る印刷装置1の制御部100が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0057】
図3に示すように、S11において、制御部100は、USBインターフェース110またはLANインターフェース111等を介して印刷ジョブを受信したかを判定する。そして、制御部100は、印刷ジョブを受信していないと判定した場合は(S11:NO)、再度S11の処理を実行する。
【0058】
一方、制御部100は、印刷ジョブを受信していると判定した場合は(S11:YES)、S12の処理に進む。S12において、制御部100は、受信した印刷ジョブに含まれる印刷データの設定を解析して、S13の処理に進む。例えば、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、A4サイズの用紙Pが、印刷した後、A5サイズの第1用紙P1と第2用紙P2に切断するカット対象用紙として指定されているかを解析する。つまり、制御部100は、印刷データを印刷した用紙Pを第1用紙P1と第2用紙P2とに切断するように設定するカット印刷指示(切断指示)が印刷ジョブに含まれているかを解析する。
【0059】
続いて、S13において、制御部100は、カット対象用紙が指定されているかを判定する。具体的には、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されているかを判定する。例えば、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、A4サイズの用紙Pが、印刷した後、A5サイズの第1用紙P1と第2用紙P2に切断するカット対象用紙として指定されているかを判定する。そして、制御部100は、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されていないと判定した場合は(S13:NO)、後述のS19の処理に進む。
【0060】
一方、制御部100は、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されていると判定した場合は(S13:YES)、S14の処理に進む。S14において、制御部100は、手差しトレイ55の用紙状態を取得した後、S15の処理に進む。
【0061】
具体的には、制御部100は、搬送モータ108を駆動して、搬送ローラ60を所定回転数だけ反時計方向に回転させる。これにより、用紙Pが、手差しトレイ55にセットされて、挿入口56から搬送ローラ60に供給された場合は、用紙Pの前端がメディアセンサ122に対向する位置まで搬送される。その結果、制御部100は、印刷部3まで搬送された用紙Pの前端を検知した信号がメディアセンサ122から入力されたか否かによって、手差しトレイ55に用紙Pがセットされているか否かを判定することができる。
【0062】
S15において、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされているか否かを判定する。つまり、制御部100は、メディアセンサ122を介して、手差しトレイ55にセットされた用紙Pの前端を検知したか否かを判定する。そして、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされていると判定した場合は(S15:YES)、S16の処理に進む。
【0063】
S16において、制御部100は、上記S11で受信した印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとしてEEPROM104に記憶した後、当該処理を終了する。ここで「蓄積印刷」とは、印刷ジョブを受信した後、すぐには印刷を実行せず、その後に蓄積された印刷ジョブの印刷を許可する情報が印刷装置1に入力されたことを契機に印刷を開始する印刷設定をいう。
【0064】
一方、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされていないと判定した場合は(S15:NO)、S17の処理に進む。S17において、制御部100は、設定部124を介して設定された給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズの設定をEEPROM104から読み出し、給送トレイ21の設定状態を取得する。
【0065】
続いて、S18において、制御部100は、給送トレイ21の設定、つまり、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズが、カット可能な用紙Pのサイズであるかを判定する。例えば、制御部100は、給送トレイ21に収容される用紙Pが、A5サイズにカット可能なA4サイズの用紙Pであるかを判定する。
【0066】
そして、制御部100は、給送トレイ21の設定、つまり、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズが、カット可能な用紙Pのサイズでないと判定した場合は(S18:NO)、上記S16の処理に進む。S16において、制御部100は、上記S11で受信した印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとしてEEPROM104に記憶した後、当該処理を終了する。
【0067】
一方、制御部100は、給送トレイ21の設定、つまり、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズが、カット可能な用紙Pのサイズであると判定した場合は(S18:YES)、S19の処理に進む。S19において、制御部100は、給送モータ107および搬送モータ108を駆動することにより、給送ローラ24及び搬送ローラ60、62、64、66により、用紙Pを第1搬送路R1に搬送する。また、制御部100は、印刷部3を制御し、搬送された用紙Pに対し印刷データを印刷する。そして、制御部100は、印刷が終了した用紙Pを切断部10を介して切断した後、排出トレイ23へ排出する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。
【0068】
他方、上記S13において、制御部100は、印刷ジョブがカット対象用紙を指定していないと判定した場合は(S13:NO)、S19の処理に進む。S19において、制御部100は、印刷が終了した用紙Pを排出トレイ23へ排出する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。
【0069】
従って、印刷ジョブに切断部10によって切断するカット対象の用紙Pを指定するカット印刷指示が含まれている場合に、手差しトレイ55に用紙Pがセットされているときは、印刷ジョブが蓄積印刷データとして記憶される。これにより、給送トレイ21に収容されている用紙Pを利用して印刷することを予定していたユーザからの印刷ジョブに対して、ユーザが所望していない手差しトレイ55にセットされている用紙Pが使用されることを防止できる。すなわち、ユーザが所望する用紙Pへの印刷が可能となる。よってユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0070】
また、手差しトレイ55に用紙Pがセットされていない場合でも、給送トレイ21に収容された用紙Pが切断不可の場合は、印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとして記憶する。これにより、ユーザからの印刷ジョブに対して、ユーザが所望していない用紙Pが使用されることを防止できる。すなわち、ユーザが所望する用紙Pへの印刷が可能となる。よってユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0071】
[手差しトレイ55から用紙Pが除去された際の処理]
次に、実施形態1に係る印刷装置1の制御部100が、手差しトレイ55から用紙Pが除去された際に実行する処理の流れについて、図4のフローチャートに基づいて説明する。図4は、実施形態1に係る印刷装置1の制御部100が、手差しトレイ55から用紙Pが除去された際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。具体的には蓄積された印刷ジョブの印刷を許可する一例として、手差しトレイ55から用紙Pが除去されたことを契機に印刷を開始することを説明するフローチャートである。
【0072】
図4に示すように、S111において、制御部100は、ユーザによる手差しトレイ55からの用紙Pの除去があったかを判定する。具体的には、制御部100は、メディアセンサ122を介して、手差しトレイ55にセットされた用紙Pの前端が検知されなくなったかを判定する。そして、制御部100は、ユーザによる手差しトレイ55からの用紙Pの除去がないと判定した場合は(S111:NO)、再度S111の処理を実行する。
【0073】
一方、制御部100は、ユーザによる手差しトレイ55からの用紙Pの除去があったと判定した場合は(S111:YES)、S112の処理に進む。S112において、制御部100は、EEPROM104に蓄積印刷データを記憶しているかを判定する。そして、制御部100は、EEPROM104に蓄積印刷データを記憶していないと判定した場合は(S112:NO)、当該処理を終了する。
【0074】
一方、制御部100は、EEPROM104に蓄積印刷データを記憶していると判定した場合は(S112:YES)、S113の処理に進む。S113において、制御部100は、EEPROM104に記憶している各蓄積印刷データの設定を解析して、S114の処理に進む。例えば、制御部100は、各蓄積印刷データの設定に、印刷データを印刷した用紙Pを第1用紙P1と第2用紙P2とに切断するように設定するカット印刷指示(切断指示)が含まれているかを解析する。
【0075】
S114において、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定にカット印刷指示が含まれているかを判定する。そして、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定にカット印刷指示が含まれていないと判定した場合は(S114:NO)、当該処理を終了する。
【0076】
一方、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定にカット印刷指示が含まれていると判定した場合は(S114:NO)、S115の処理に進む。S115において、制御部100は、カット印刷指示を設定に含む蓄積印刷データをEEPROM104から対象印刷ジョブとして読み出す。そして、制御部100は、給送モータ107および搬送モータ108を駆動することにより、給送ローラ24及び搬送ローラ60、62、64、66により、用紙Pを第1搬送路R1に搬送する。
【0077】
また、制御部100は、印刷部3を制御し、搬送された用紙Pに対し対象印刷ジョブに含まれる印刷データを印刷する。そして、制御部100は、印刷が終了した用紙Pを切断部10を介して切断した後、排出トレイ23へ排出する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。これにより、ユーザは、手差しトレイ55から用紙Pを取り除くことによって、ユーザの要望する印刷を行うことができる。
【0078】
[給送トレイ21の設定変更がされた際の処理]
次に、実施形態1に係る印刷装置1の制御部100が、給送トレイ21の設定変更がされた際に実行する処理の流れについて、図5のフローチャートに基づいて説明する。図5は、実施形態1に係る印刷装置1の制御部100が、給送トレイ21の設定変更がされた際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。具体的には蓄積された印刷ジョブの印刷を許可する一例として、設定部124を介して、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズの設定変更が行われたことを契機に印刷を開始することを説明するフローチャートである。
【0079】
図5に示すように、S121において、制御部100は、設定部124を介して、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズの設定変更が行われたかを判定する。そして、制御部100は、設定部124を介して、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズの設定変更が行われていないと判定した場合は(S121:NO)、再度S121の処理を実行する。
【0080】
一方、制御部100は、設定部124を介して、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズの設定変更が行われたと判定した場合は(S121:YES)、S122の処理に進む。S122において、制御部100は、EEPROM104に蓄積印刷データを記憶しているかを判定する。そして、制御部100は、EEPROM104に蓄積印刷データを記憶していないと判定した場合は(S122:NO)、当該処理を終了する。
【0081】
一方、制御部100は、EEPROM104に蓄積印刷データを記憶していると判定した場合は(S122:YES)、S123の処理に進む。S123において、制御部100は、EEPROM104に記憶している各蓄積印刷データの設定を解析して、S124の処理に進む。例えば、制御部100は、各蓄積印刷データの設定に、印刷データを印刷した用紙Pを第1用紙P1と第2用紙P2とに切断するように設定するカット印刷指示(切断指示)が含まれているかを解析する。
【0082】
S124において、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定にカット印刷指示が含まれているかを判定する。そして、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定にカット印刷指示が含まれていないと判定した場合は(S124:NO)、当該処理を終了する。
【0083】
一方、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定にカット印刷指示が含まれていると判定した場合は(S124:NO)、S125の処理に進む。S125において、制御部100は、給送トレイ21の設定、つまり、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズが、カット可能な用紙Pのサイズであるかを判定する。例えば、制御部100は、給送トレイ21に収容される用紙Pが、A5サイズにカット可能なA4サイズの用紙Pであるかを判定する。
【0084】
そして、制御部100は、給送トレイ21の設定、つまり、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズが、カット可能な用紙Pのサイズでないと判定した場合は(S125:NO)、当該処理を終了する。
【0085】
一方、制御部100は、給送トレイ21の設定、つまり、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズが、カット可能な用紙Pのサイズであると判定した場合は(S125:YES)、S126の処理に進む。S126において、制御部100は、カット印刷指示を設定に含む蓄積印刷データをEEPROM104から対象印刷ジョブとして読み出す。そして、制御部100は、給送モータ107および搬送モータ108を駆動することにより、給送ローラ24及び搬送ローラ60、62、64、66により、用紙Pを第1搬送路R1に搬送する。
【0086】
また、制御部100は、印刷部3を制御し、搬送された用紙Pに対し対象印刷ジョブに含まれる印刷データを印刷する。そして、制御部100は、印刷が終了した用紙Pを切断部10を介して切断した後、排出トレイ23へ排出する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。これにより、ユーザは、給送トレイ21に切断可能な用紙Pをセットすることによって、ユーザの要望する印刷を行うことができる。
【0087】
[実施形態2]
次に、実施形態2について、図6および図7に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0088】
本実施形態2では、S31の判定処理が実行される点において実施形態1とは異なる。具体的には、制御部100が、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されており、かつ、手差しトレイ55が指定されているかを判定する点で、実施形態1と異なる。
【0089】
実施形態2に係る印刷装置1の制御部100が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の流れについて、図6のフローチャートに基づいて説明する。図6は、実施形態2に係る印刷装置1の制御部100が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
図6に示すように、S11~S13において、制御部100は、図3に示すS11~S13の処理を実行する。そして、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されていると判定した場合は(S13:YES)、S31の処理に進む。S31において、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として指定する指定指示が含まれているかを判定する。
【0091】
そして、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として指定する指定指示が含まれていないと判定した場合は(S31:NO)、図3に示すS14~S19の処理を実行する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。
【0092】
一方、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として指定する指定指示が含まれていると判定した場合は(S31:YES)、S16の処理に進む。
【0093】
つまり、本実施形態では、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されており、かつ、手差しトレイ55が指定されている場合、制御部100は、蓄積印刷を実行する。
【0094】
上記のように蓄積印刷を実行するのは、例えば、印刷装置1において、手差しトレイ55に用紙Pを検出するセンサがない場合、印刷ジョブで手差しトレイ55から供給された用紙Pを印刷対象に指定しても、手差しトレイ55に切断対象の用紙Pがセットされているか否かの判定ができないからである。従って、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されたとしても、印刷ジョブで手差しトレイ55が指定されている場合は、印刷ジョブを蓄積印刷データとして記憶する。これにより、ユーザが所望する印刷媒体への印刷が可能となる。よってユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0095】
[手差しトレイ55に用紙Pがセットされた際の処理]
次に、実施形態2に係る印刷装置1の制御部100が、手差しトレイ55に用紙Pがセットされた際に実行する処理の流れについて、図7のフローチャートに基づいて説明する。図7は、実施形態2に係る印刷装置1の制御部100が、手差しトレイ55に用紙Pがセットされた際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。具体的には蓄積された印刷ジョブの印刷を許可する一例として、手差しトレイ55に用紙Pがセットされたことを契機に印刷を開始することを説明するフローチャートである。
【0096】
なお、実施形態2に係る印刷装置1の制御部100は、図4にフローチャートで示される、手差しトレイ55から用紙Pが除去された際に実行する処理も実施する。また、実施形態2に係る印刷装置1の制御部100は、図5にフローチャートで示される、給送トレイ21の設定変更がされた際に実行する処理も実施する。
【0097】
図7に示すように、S131において、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされたかを判定する。具体的には、制御部100は、搬送モータ108を駆動して、搬送ローラ60を所定回転数だけ正回転させる。これにより、用紙Pが、手差しトレイ55にセットされて、挿入口56から搬送ローラ60に供給された場合は、用紙Pの前端がメディアセンサ122に対向する位置まで搬送される。そして、制御部100は、印刷部3まで搬送された用紙Pの前端を検知した信号がメディアセンサ122から入力されたか否かによって、手差しトレイ55に用紙Pがセットされているか否かを判定することができる。
【0098】
そして、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされていないと判定した場合は(S131:NO)、再度S131の処理を実行する。一方、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされたと判定した場合は(S131:YES)、S132の処理に進む。制御部100は、S132~S133において、図4に示すS112~S113の処理を実行するため、その説明を省略する。
【0099】
続いて、S134において、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として指定する指定指示が含まれているかを判定する。そして、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として指定する指定指示が含まれていないと判定した場合は(S134:NO)、当該処理を終了する。
【0100】
一方、制御部100は、解析した各蓄積印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として指定する指定指示が含まれていると判定した場合は(S134:YES)、S135の処理に進む。S135において、制御部100は、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として指定する指定指示を設定に含む蓄積印刷データをEEPROM104から対象印刷ジョブとして読み出す。
【0101】
そして、制御部100は、搬送モータ108を駆動することにより、搬送ローラ60、62、64、66により、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを第1搬送路R1に搬送する。また、制御部100は、印刷部3を制御し、搬送された用紙Pに対し対象印刷ジョブに含まれる印刷データを印刷する。そして、制御部100は、印刷が終了した用紙Pを切断部10を介して切断した後、排出トレイ23へ排出する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。
【0102】
これにより、手差しトレイ55に切断対象の用紙Pをユーザがセットすることによって、ユーザの要望する印刷を行うことができる。
【0103】
[実施形態3]
次に、実施形態3について、図8および図9に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0104】
本実施形態3では、印刷ジョブに切断部10によって切断する切断対象の用紙Pを指定する切断指示が含まれている場合は、印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとしてEEPROM104に記憶する点で、実施形態1と異なる。
【0105】
実施形態3に係る印刷装置1の制御部100が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の流れについて、図8のフローチャートに基づいて説明する。図8は、実施形態3に係る印刷装置1の制御部100が、印刷ジョブを受信した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0106】
図8に示すように、S11~S13において、制御部100は、図3に示すS11~S13の処理を実行するため、その説明を省略する。そして、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されていると判定した場合は(S13:YES)、S16の処理に進む。S16において、制御部100は、図3に示すS16の処理を実行する。つまり、制御部100は、上記S11で受信した印刷ジョブを蓄積して印刷する蓄積印刷データとしてEEPROM104(登録商標)に記憶する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。
【0107】
一方、S13にて、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されていないと判定した場合は(S13:NO)、S19の処理に進む。S19において、制御部100は、図3に示すS19の処理を実行する。つまり、制御部100は、給送モータ107および搬送モータ108を駆動することにより、給送ローラ24及び搬送ローラ60、62、64、66により、用紙Pを第1搬送路R1に搬送する。また、制御部100は、印刷部3を制御し、搬送された用紙Pに対し印刷データを印刷する。そして、制御部100は、印刷が終了した用紙Pを排出トレイ23へ排出した後、当該処理を終了する。
【0108】
従って、印刷ジョブに切断部10によって切断する切断対象の用紙Pを指定する切断指示が含まれている場合は、印刷ジョブが蓄積して印刷する蓄積印刷データとしてEEPROM104に記憶される。これにより、ユーザは、設定部124などを介して、都合のよいタイミングで印刷指示を入力して、EEPROM104に記憶された蓄積印刷データを印刷することが可能となり、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0109】
[ユーザの認証情報を取得した際に実行する処理]
次に、実施形態3に係る印刷装置1の制御部100が、ユーザの認証情報を取得した際に実行する処理の流れについて、図9のフローチャートに基づいて説明する。図9は、実施形態3に係る印刷装置1の制御部100が、ユーザの認証情報を取得した際に実行する処理の一例を示すフローチャートである。具体的には蓄積された印刷ジョブの印刷を許可する一例として、ユーザ認証に成功したことを契機に印刷を開始することを説明するフローチャートである。
【0110】
図9に示すように、S151において、制御部100は、設定部124を介して、ユーザIDおよびパスワードが入力されると、ユーザ認証を行い、ユーザ認証が成功したかを判定する。ユーザIDは識別情報の一例である。また、パスワードは、認証情報の一例である。
【0111】
具体的には、制御部100のEEPROM104には、認証データベースが構築されている。認証データベースには、印刷装置1を使用可能なユーザのユーザIDとパスワードとが対応付けて登録されている。ユーザ認証では、制御部100は、設定部124を介して入力されたユーザIDおよびパスワードの組合せが認証データベースに登録されているか否かを確認する認証処理を実行する。その結果、ユーザIDおよびパスワードの組合せが認証データベースに登録されている場合、ユーザ認証が成功となる。ユーザIDおよびパスワードの組合せが認証データベースに登録されていない場合、ユーザ認証が失敗となる。
【0112】
そして、制御部100は、ユーザ認証が失敗である場合は(S151:NO)、再度S151の処理を実行する。一方、制御部100は、ユーザ認証が成功である場合は(S151:YES)、S152の処理に進む。
【0113】
S152において、制御部100は、ユーザ認証が成功した認証ユーザのユーザIDに関連付けられた蓄積印刷データがEEPROM104に記憶されているかを判定する。なお、蓄積印刷データは、印刷ジョブを印刷装置1に送信したユーザのユーザIDに関連付けられてEEPROM104に記憶されている。
【0114】
そして、制御部100は、ユーザ認証が成功したユーザのユーザIDに関連付けられた蓄積印刷データがEEPROM104に記憶されていないと判定した場合は(S152:NO)、当該処理を終了する。
【0115】
一方、制御部100は、ユーザ認証が成功した認証ユーザのユーザIDに関連付けられた蓄積印刷データがEEPROM104に記憶されていると判定した場合は(S152:YES)、S153の処理に進む。S153において、制御部100は、EEPROM104に認証されたユーザのユーザIDに対応付けて記憶されている蓄積印刷データの設定を解析して、S154の処理に進む。
【0116】
S154において、制御部100は、蓄積印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として指定する指定指示が含まれているかを判定する。つまり、制御部100は、蓄積印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として印刷するように指示する印刷指示が含まれているかを判定する。そして、制御部100は、蓄積印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として印刷するように指示する印刷指示が含まれていると判定した場合は(S154:YES)、S155の処理に進む。
【0117】
S155において、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされているか否かを判定する。つまり、制御部100は、メディアセンサ122を介して、手差しトレイ55にセットされた用紙Pの前端を検知したか否かを判定する。そして、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされていないと判定した場合は(S155:NO)、当該処理を終了する。
【0118】
一方、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされていると判定した場合は(S155:YES)、S156の処理に進む。S156において、制御部100は、認証ユーザのユーザIDに対応付けられた蓄積印刷データをEEPROM104から対象印刷ジョブとして読み出す。
【0119】
そして、制御部100は、搬送モータ108を駆動することにより、搬送ローラ60、62、64、66により、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを第1搬送路R1に搬送する。また、制御部100は、印刷部3を制御し、搬送された用紙Pに対し対象印刷ジョブに含まれる印刷データを印刷する。そして、制御部100は、印刷が終了した用紙Pを切断部10を介して切断した後、排出トレイ23へ排出する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。
【0120】
一方、上記S154にて、制御部100は、蓄積印刷データの設定に、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷対象として印刷するように指示する印刷指示が含まれていないと判定した場合は(S154:NO)、S157の処理に進む。S157において、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされているか否かを判定する。つまり、制御部100は、メディアセンサ122を介して、手差しトレイ55にセットされた用紙Pの前端を検知したか否かを判定する。そして、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされていると判定した場合は(S157:YES)、当該処理を終了する。
【0121】
一方、制御部100は、手差しトレイ55に用紙Pがセットされていないと判定した場合は(S157:NO)、S158の処理に進む。S158において、制御部100は、図3のS18の処理を実行する。そして、制御部100は、給送トレイ21の設定、つまり、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズが、カット可能な用紙Pのサイズでないと判定した場合は(S158:NO)、当該処理を終了する。
【0122】
一方、制御部100は、給送トレイ21の設定、つまり、給送トレイ21に収容される用紙Pのサイズが、カット可能な用紙Pのサイズであると判定した場合は(S158:YES)、S156の処理に進む。S156において、制御部100は、給送モータ107および搬送モータ108を駆動することにより、給送ローラ24及び搬送ローラ60、62、64、66により、用紙Pを第1搬送路R1に搬送する。また、制御部100は、印刷部3を制御し、搬送された用紙Pに対し印刷データを印刷する。そして、制御部100は、印刷が終了した用紙Pを切断部10を介して切断した後、排出トレイ23へ排出する。その後、制御部100は、当該処理を終了する。
【0123】
これにより、ユーザは、設定部124を介して、ユーザID(識別情報)とパスワード(認証情報)を入力することによって、認証されたユーザのユーザIDに関連付けられている蓄積印刷データを印刷することができる。
【0124】
[変形例1]
また、例えば、手差しトレイ55に用紙Pを検出する用紙検出センサを設けてもよい。そして、図3および図6に示すS15の処理、および、図9に示すS155およびS157の処理において、制御部100は、用紙検出センサを介して、手差しトレイ55に用紙Pがセットされているか否かを判定するようにしてもよい。また、図4に示すS111の処理において、制御部100は、用紙検出センサを介して、手差しトレイ55にセットされた用紙Pが検知されなくなった場合に、ユーザによる手差しトレイ55からの用紙Pの除去があったと判定するようにしてもよい。また、図7に示すS131の処理において、制御部100は、用紙検出センサを介して、手差しトレイ55に用紙Pがセットされたか否かを判定するようにしてもよい。
【0125】
[変形例2]
また、例えば、印刷装置1の第1搬送路R1において、搬送ローラ60および挿入口56よりも上流側に切断部10を配置した構成にしてもよい。この場合には、手差しトレイ55にセットされた用紙Pを印刷部3で印刷した後、用紙Pを切断することができない。従って、制御部100は、印刷ジョブを受信した際に、図3図6、または、図8にフローチャートで示される処理のうちのいずれかを実施するようにしてもよい。
【0126】
その結果、制御部100は、カット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されている印刷ジョブを受信した場合や、手差しトレイ55に用紙Pがセットされている場合は、印刷ジョブを蓄積印刷データとしてEEPROM104に記憶する。これにより、ユーサは、都合のよいタイミングで設定部124を介して印刷指示を入力して、EEPROM104に記憶された蓄積印刷データを印刷することが可能となり、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0127】
[変形例3]
また、例えば、手差しトレイ55に替えて、ロール用紙を挿入口56にセットした構成にしてもよい。なお、ロール用紙のサイズは特に限定されない。例えば、A3サイズのロール用紙でもよいし、A4サイズのロール用紙でもよい。例えば、A3サイズのロール用紙を挿入口56にセットした場合に、制御部100は、印刷ジョブに含まれる印刷データの設定に、A4サイズの用紙Pが、A5サイズの第1用紙P1と第2用紙P2とに切断するカット対象用紙として指定されると、A3サイズのロール用紙を切断部10を介して切断できない。
【0128】
従って、制御部100は、印刷ジョブを受信した際に、図3図6、または、図8にフローチャートで示される処理のうちのいずれかを実施するようにしてもよい。なお、図3図6に示すS14及びS15において、制御部100は、「手差しトレイ55」を「挿入口56」に置き換えて各処理を実施するようにしてもよい。
【0129】
その結果、制御部100は、A4サイズのカット対象用紙が印刷データを印刷する用紙Pとして指定されている印刷ジョブを受信した場合は、印刷ジョブを蓄積印刷データとしてEEPROM104に記憶する。また、制御部100は、挿入口56にA3サイズのロール用紙がセットされている場合は、印刷ジョブを蓄積印刷データとしてEEPROM104に記憶する。これにより、ユーサは、都合のよいタイミングで設定部124を介して印刷指示を入力して、EEPROM104に記憶された蓄積印刷データを印刷することが可能となり、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0130】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
1 印刷装置、3 印刷部、10 切断部、21 給送トレイ、24 給送ローラ、55 手差しトレイ、56 挿入口、60、62、64、66 搬送ローラ、100 制御部、104 EEPROM(登録商標)、107 給送モータ、108 搬送モータ、124 設定部、P 用紙、R1 第1搬送路

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9