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特開2024-94051画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094051
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210766
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 浩一朗
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA07
4C096AA17
4C096AB36
4C096AC06
4C096AD14
4C096DC12
4C096DC31
4C096DC33
4C096DC35
(57)【要約】
【課題】1つの画像で評価対象部位の評価を行える画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置10は、評価対象部位の位置情報が揃った、少なくとも第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを取得する取得部101と、取得部101が取得した第1の医用画像データ及び第2の医用画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換する画像変換部103と、画像変換部103によりグレースケール画像に変換された第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る画像合成部104と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象部位の位置情報が揃った、少なくとも第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを取得する取得部と、
前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換する画像変換部と、
グレースケール画像に変換された前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る画像合成部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記評価画像データについて、評価対象部位以外の部位の信号を削除する削除部をさらに備える、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記削除部は、前記第1の医用画像データ上の、前記評価対象部位以外の部位の信号を削除する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記削除部は、予め機械学習により生成された学習済みモデル前記評価画像データを入力し、前記学習済みモデルからの出力を用いて、前記評価対象部位以外の部位の信号を削除する、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定の色は、色の三原色における少なくとも2つの色である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記所定の色は、赤色及び緑色である、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記取得部は、2種類の前記第2の医用画像データを取得し、
2種類の前記第2の医用画像データについて、対応する画素同士の差分値を演算して差分画像データを得る差分画像演算部をさらに備え、
前記画像変換部は、前記差分画像演算部が生成した前記差分画像データについて前記所定の色でのグレースケール画像に変換し、
前記画像合成部は、グレースケール画像に変換された前記第1の医用画像データ及び前記差分画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1の医用画像データは拡散強調画像データであり、前記第2の医用画像データはMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像データである、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データは、DICOM画像データである、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
プロセッサが、
評価対象部位の位置情報が揃った、少なくとも第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを取得し、
前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換し、
グレースケール画像に変換された前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る、
処理を実行する、画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
評価対象部位の位置情報が揃った、少なくとも第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを取得し、
前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換し、
グレースケール画像に変換された前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る、
処理を実行させる、画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被検体に関し互いに診断モードが異なる複数の3次元画像のうちの1つである第1の3次元画像データと、第1の3次元画像データとは異なる第2の3次元画像データとの位置ずれ情報を取得し、第2の3次元画像データと第1及び第2の3次元画像データとは異なる第3の3次元画像データとの位置ずれ情報を取得し、得られた位置ずれ情報に基づいて、第1の3次元画像データと第3の3次元画像データとの位置ずれ情報を求め、第1の3次元画像データと第3の3次元画像データとを合成して表示する3次元画像処理装置を開示している。
【0003】
特許文献2は、被検体の測定画像値データの第1の測定範囲内の測定画像値に対して第1のウィンドウ変換を行い第1の表示範囲内の表示画像値に対応させ、第1の範囲以外の第2の測定範囲内の測定画像値に対して第2のウィンドウ変換を行い、第1の表示範囲以外の第2の表示範囲(グレースケール)内の表示画像値に対応させ、得られた第1の表示画像と第2の表示画像とを合成して表示する医用画像表示装置を開示している。
【0004】
特許文献3は、撮影位置が異なる2以上の2次元の拡散強調画像を受け付け、2以上の拡散強調画像を用いて、当該2以上の拡散強調画像ごとに、当該2以上の各拡散強調画像を構成する1以上の各処理単位に対して、2種類以上のパラメータを取得し、2以上の拡散強調画像ごとに、2種類以上のパラメータを用いて、当該2種類以上のパラメータに対応するスコアを1以上の処理単位ごとに取得し、当該取得した1以上の処理単位ごとのスコアに対応する画素値を1以上の処理単位ごとに有する診断画像を構成し、当該構成した2以上の診断画像を合成し、3次元の診断画像を構成する画像処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-341085号公報
【特許文献2】特開2006-61277号公報
【特許文献3】特開2015-167610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチパラメトリックMRI(Magnetic Resonance Imaging)として拡散強調画像が撮像される際には、複数の他の画像が同時に撮像される。拡散強調画像の評価にあたっては、同時に撮像された画像(In-phaseとOpposed-phaseのT1強調画像、造影MR画像等)又は拡散強調画像から作成される画像(ADCマップ等)が参照される。従来は、拡散強調画像と共にこれらの複数画像を別々のウィンドウに同時表示し、拡散強調画像の評価が行われている。
【0007】
しかし、従来の拡散強調画像の評価は、拡散強調画像と同時に撮像された画像又は拡散強調画像から作成される画像を、拡散強調画像と共に参照しなければならず、評価を容易ではないものにしていた。例えば、拡散強調画像で高信号を呈する骨病変として、転移性骨腫瘍とともに、良性変化である赤色髄がある。転移性骨腫瘍と赤色髄とを識別するには、In-phaseとOpposed-phaseのT1強調画像の差分画像による脂肪成分の有無の評価が必要となる。従来は、これらの複数の画像を別々のウィンドウで表示し相互参照しなければ正しい評価ができなかった。
【0008】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、1つの画像で評価対象部位の評価を行える画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様に係る画像処理装置は、評価対象部位の位置情報が揃った、少なくとも第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを取得する取得部と、前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換する画像変換部と、グレースケール画像に変換された前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る画像合成部と、を備える。
【0010】
本開示の第1態様によれば、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得ることで、1つの画像で評価対象部位の評価が行える。
【0011】
本開示の第2態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置であって、前記評価画像データについて、評価対象部位以外の部位の信号を削除する削除部をさらに備える。
【0012】
本開示の第3態様に係る画像処理装置は、第2態様に係る画像処理装置であって、前記削除部は、前記第1の医用画像データ上の、前記評価対象部位以外の部位の信号を削除する。
【0013】
本開示の第4態様に係る画像処理装置は、第2態様に係る画像処理装置であって、前記削除部は、予め機械学習により生成された学習済みモデル前記評価画像データを入力し、前記学習済みモデルからの出力を用いて、前記評価対象部位以外の部位の信号を削除する。
【0014】
本開示の第2態様~第4態様によれば、評価対象部位以外の部位の信号を削除することで、評価対象部位以外の部位の信号を削除しない場合と比較して評価対象部位の評価を容易とすることができる。
【0015】
本開示の第5態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置であって、前記所定の色は、色の三原色における少なくとも2つの色である。
【0016】
本開示の第6態様に係る画像処理装置は、第5態様に係る画像処理装置であって、前記所定の色は、赤色及び緑色である。
【0017】
本開示の第5態様及び第6態様によれば、1枚の画像による評価対象部位で生じている現象の評価が可能となる。
【0018】
本開示の第7態様に係る画像処理装置は、第1態様に係る画像処理装置であって、前記取得部は、2種類の前記第2の医用画像データを取得し、2種類の前記第2の医用画像データについて、対応する画素同士の差分値を演算して差分画像データを得る差分画像演算部をさらに備え、前記画像変換部は、前記差分画像演算部が生成した前記差分画像データについて前記所定の色でのグレースケール画像に変換し、前記画像合成部は、グレースケール画像に変換された前記第1の医用画像データ及び前記差分画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る。
【0019】
本開示の第7態様によれば、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データから生成された差分画像データを減法混色により合成して評価画像データを得ることで、1つの画像で評価対象部位の評価が行える。
【0020】
本開示の第8態様に係る画像処理装置は、第1態様~第7態様のいずれかに係る画像処理装置であって、前記第1の医用画像データは拡散強調画像データであり、前記第2の医用画像データはMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像データである。
【0021】
本開示の第8態様によれば、拡散強調画像データ及びMRI画像データを減法混色により合成して評価画像データを得ることで、1つの画像で評価対象部位の評価が行える。
【0022】
本開示の第9態様に係る画像処理装置は、第1態様~第7態様のいずれかに係る画像処理装置であって、前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データは、DICOM画像データである。
【0023】
本開示の第9態様によれば、DICOM画像データを減法混色により合成して評価画像データを得ることで、1つの画像で評価対象部位の評価が行える。
【0024】
本開示の第10態様に係る画像処理方法は、プロセッサが、評価対象部位の位置情報が揃った、少なくとも第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを取得し、前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換し、グレースケール画像に変換された前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る、処理を実行する。
【0025】
本開示の第10態様によれば、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得ることで、1つの画像で評価対象部位の評価が行える。
【0026】
本開示の第11態様に係る画像処理プログラムは、コンピュータに、評価対象部位の位置情報が揃った、少なくとも第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを取得し、前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換し、グレースケール画像に変換された前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る、処理を実行させる。
【0027】
本開示の第11態様によれば、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データを減法混色により合成して評価画像データを得ることで、1つの画像で評価対象部位の評価が行える。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、1つの画像で評価対象部位の評価を行える画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】開示の技術の実施形態に係る画像処理装置を備えた画像処理システムの概略構成を示す図である。
図2】画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】画像処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図4】画像処理装置による画像処理の流れを示すフローチャートである。
図5】検査装置が撮像した画像及び画像処理装置が生成する画像の例を示す図である。
図6】検査装置が撮像した画像及び画像処理装置が生成する画像の例を示す図である。
図7】検査装置が撮像した画像及び画像処理装置が生成する画像の例を示す図である。
図8】検査装置が撮像した画像及び画像処理装置が生成する画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0031】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置を備えた画像処理システムの概略構成を示す図である。図1に示した画像処理システムは、検査装置1での被検体の検査により得られる画像を、画像処理装置10において画像処理するシステムである。本実施形態では、検査装置1はMRI装置である。MRI装置である検査装置1では、被検体の検査の際に複数の種類の画像が撮像されて画像処理装置2に送られる。
【0032】
検査装置1での被検体の検査において検査装置1で撮像される画像には、例えば、拡散強調画像(Diffusion Weighted Image:DWI)、MRI画像としてのIn-phase(同位相)及びOpposed-phase(逆位相)のT1強調画像、STIR(Short Inversion Time Inversion Recovery)法による画像がある。これらの画像は、検査装置1での被検体の検査において一度の撮影で取得される。従って、検査装置1で撮像された複数の画像は評価対象部位の位置情報が揃った画像である。
【0033】
そして、画像処理装置10は、検査装置1で撮像された複数の種類に対する画像処理を行う。画像処理装置10が、検査装置1で撮像された複数の種類に対する画像処理を行うことで、画像処理を行わない場合と比較して、検査装置1で撮像された画像を用いた被検体の評価を容易とすることができる。
【0034】
図2は、画像処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0035】
図2に示すように、画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0036】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、検査装置1で撮像された複数の種類に対する画像処理を行う画像処理プログラムが格納されている。
【0037】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0038】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0039】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0040】
通信インタフェース17は、検査装置1等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等の規格が用いられる。特に、検査装置1と画像処理装置10との間の通信にはDICOMが用いられ得る。
【0041】
上記の画像処理プログラムを実行する際に、画像処理装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。画像処理装置10が実現する機能構成について説明する。
【0042】
図3は、画像処理装置10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0043】
図3に示すように、画像処理装置10は、機能構成として、取得部101、差分画像演算部102、画像変換部103、画像合成部104および削除部105を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された画像処理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0044】
取得部101は、検査装置1での被検体の検査により撮像された、評価対象部位の撮像位置が揃った複数の画像を取得する。評価対象部位は、例えば骨髄である。本実施形態では、取得部101は、拡散強調画像データ、MRI画像データとしてのIn-phase及びOpposed-phaseのT1強調画像を取得する。拡散強調画像データは本開示の第1医用画像データの一例であり、MRI画像データは本開示の第2医用画像データの一例である。取得部101が取得した画像は、例えば一時的にRAM13又はストレージ14に格納される。
【0045】
取得部101が取得する画像データは、DICOM画像データでありうる。DICOM画像データは、フォーマット名、データ長、患者情報、音声データ、撮影時間等のDICOM規格で定められたタグが画像に付与されたデータである。
【0046】
差分画像演算部102は、In-phase及びOpposed-phaseのT1強調画像について、対応する画素同士の差分値を演算して差分画像データを得る。
【0047】
画像変換部103は、取得部101が取得した拡散強調画像データ及びMRI画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換する。本実施形態では、所定の色は、減法混色で用いられる原色のいずれかの色であり、画像変換部103は、拡散強調画像データを例えば赤色のグレースケール画像に変換し、MRI画像データを例えば緑色のグレースケール画像に変換する。差分画像演算部102において差分画像データが得られていれば、画像変換部103は、拡散強調画像データ及び差分画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換する。
【0048】
画像合成部104は、画像変換部103においてそれぞれ異なる所定の色のグレースケール画像に変換された拡散強調画像データ及びMRI画像データを減法混色により合成して評価画像データを得る。
【0049】
削除部105は、画像合成部104が生成した評価画像データについて、評価対象部位以外の部位の信号を削除する。より詳細には、削除部105は、画像合成部104が生成した評価画像データについて、拡散強調画像データ上の、評価対象部位以外の部位の信号を削除する。また、削除部105は、予め機械学習により生成された学習済みモデルに評価画像データを入力し、学習済みモデルからの出力を用いて評価対象部位以外の部位の信号を削除してもよい。
【0050】
画像処理装置10は、係る構成を有することで、1つの画像で評価対象部位の評価を行えるようにすることができる。画像処理装置10による評価画像データの生成処理については後に詳述する。
【0051】
次に、画像処理装置10の作用について説明する。
【0052】
図4は、画像処理装置10による画像処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から画像処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、画像処理が行われる。
【0053】
CPU11は、ステップS101において、検査装置1での被検体の検査により撮像された、撮像位置が揃った複数の画像を取得する。本実施形態では、取得部101は、拡散強調画像データ、MRI画像データとしてのIn-phase及びOpposed-phaseのT1強調画像を取得する。拡散強調画像データは本開示の第1医用画像データの一例であり、MRI画像データは本開示の第2医用画像データの一例である。CPU11が取得した画像は、例えば一時的にRAM13又はストレージ14に格納される。
【0054】
CPU11は、ステップS101で取得したIn-phase及びOpposed-phaseのT1強調画像について、対応する画素同士の差分値を演算して差分画像データを得てもよい。
【0055】
ステップS101に続いて、CPU11は、ステップS102において、ステップS101で取得した第1医用画像データ(拡散強調画像データ)及び第2医用画像データ(MRI画像データ)について、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換する。本実施形態では、所定の色は、減法混色で用いられる原色のいずれかの色であり、CPU11は、拡散強調画像データを例えば赤色のグレースケール画像に変換し、MRI画像データを例えば緑色のグレースケール画像に変換する。
【0056】
CPU11は、差分画像データを得ている場合、ステップS102において、拡散強調画像データ及び差分画像データについて、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換する。
【0057】
ステップS102に続いて、CPU11は、ステップS103において、それぞれ異なる所定の色でのグレースケール画像に変換した第1医用画像データ(拡散強調画像データ)及び第2医用画像データ(MRI画像データ)について、減法混色により合成して評価画像データを得る。
【0058】
CPU11は、ステップS103で評価画像データを得た後に、評価対象部位以外の部位の信号を削除してもよい。より詳細には、CPU11は、ステップS103が生成した評価画像データについて、拡散強調画像データ上の、評価対象部位以外の部位の信号を削除する。また、CPU11は、予め機械学習により生成された学習済みモデルに評価画像データを入力し、学習済みモデルからの出力を用いて評価対象部位以外の部位の信号を削除してもよい。
【0059】
画像処理装置10は、係る処理を実行することで、1つの画像で評価対象部位の評価を行えるようにすることができる。
【0060】
図5は、検査装置1が撮像した画像、及び画像処理装置10が生成する画像の例を示す図である。図5の各図は、骨転移を呈していない被検体を検査して得られる画像である。図5の(A)は、検査装置1が撮像した被検体の拡散強調画像データ、(B)は、検査装置1が撮像した同一の被検体のIn-phaseのT1強調画像データ、(C)は、検査装置1が撮像した同一の被検体のOpposed-phaseのT1強調画像データ、(D)は、検査装置1が撮像した同一の被検体のSTIR画像データ、(E)は、画像処理装置10が生成する、In-phaseからOpposed-phaseのT1強調画像の差分を取った差分画像データ、(F)は、拡散強調画像データ及びSTIR画像データに基づいて生成されるフュージョン画像データである。
【0061】
従来では、拡散強調画像データの評価には、差分画像データ又はフュージョン画像データを拡散強調画像データともに別々のウィンドウで参照する必要があり、その評価を容易ではないものとしていた。
【0062】
図6は、検査装置1が撮像した画像、及び画像処理装置10が生成する画像の例を示す図である。図6の(A)は、図5の(A)と同じく、検査装置1が撮像した被検体の拡散強調画像データ、(B)は、画像処理装置10が生成する、In-phaseからOpposed-phaseのT1強調画像の差分を取った差分画像データ、(C)は、画像処理装置10が生成する、(A)の拡散強調画像データ及び(B)の差分画像データをそれぞれ異なる色でのグレースケール画像に変換した後に、減法混色により合成した評価画像データである。
【0063】
拡散強調画像データを赤色のグレースケール画像に変換すると、良性変化である赤色髄は赤色で描写される。また、差分画像データを緑色のグレースケール画像に変換すると、赤色髄は脂肪を含むため緑色で描写される。そのため、拡散強調画像データと差分画像データとを減法混色により合成すると、画像処理装置10が生成する評価画像データでは、赤色髄は赤色と緑色とが合わさり黄色に描出される。図6の(D)において破線で囲んだ領域が、黄色に描出された場所の一例である。
【0064】
図7は、検査装置1が撮像した画像、及び画像処理装置10が生成する画像の例を示す図である。図7の各図は、骨転移を呈している被検体を検査して得られる画像である。図7の(A)は、検査装置1が撮像した被検体の拡散強調画像データ、(B)は、検査装置1が撮像した同一の被検体のIn-phaseのT1強調画像データ、(C)は、検査装置1が撮像した同一の被検体のOpposed-phaseのT1強調画像データ、(D)は、検査装置1が撮像した同一の被検体のSTIR画像データ、(E)は、画像処理装置10が生成する、In-phaseからOpposed-phaseのT1強調画像の差分を取った差分画像データ、(F)は、拡散強調画像データ及びSTIR画像データに基づいて生成されるフュージョン画像データである。
【0065】
図8は、検査装置1が撮像した画像、及び画像処理装置10が生成する画像の例を示す図である。図8の(A)は、図7の(A)と同じく、検査装置1が撮像した被検体の拡散強調画像データ、(B)は、画像処理装置10が生成する、In-phase及びOpposed-phaseのT1強調画像の差分を取った差分画像データ、(C)は、画像処理装置10が生成する、(A)の拡散強調画像データ及び(B)の差分画像データをそれぞれ異なる色でのグレースケール画像に変換した後に、減法混色により合成した評価画像データである。
【0066】
拡散強調画像データを赤色のグレースケール画像に変換すると、骨転移は赤色で描写される。また、差分画像データを緑色のグレースケール画像に変換すると、骨転移は脂肪を含んでいない無色で描写される。そのため、拡散強調画像データと差分画像データとを減法混色により合成すると、画像処理装置10が生成する評価画像データでは、骨転移は赤色に描出される。図8の(D)において破線で囲んだ領域が、赤色に描出された場所の一例である。
【0067】
このように、画像処理装置10は、減法混色により合成した評価画像データを生成することで、骨転移と、良性変化である赤色髄との鑑別評価が、1枚の評価画像データのみで可能となる。
【0068】
画像処理装置10は、評価画像データについて、拡散強調画像データ上の、評価対象部位以外の部位の信号を削除してもよい。図6の(D)は、画像処理装置10が図6の(A)の拡散強調画像データにおける陽性部分のみの信号を抜き出して、(B)の差分画像データと減法混色により合成した評価画像データの例である。同様に、図8の(D)は、画像処理装置10が図8の(A)の拡散強調画像データにおける陽性部分のみの信号を抜き出して、(B)の差分画像データと減法混色により合成した評価画像データの例である。画像処理装置10は、拡散強調画像データにおける陽性部分のみの信号を抜き出して減法混色処理することで、拡散強調画像データにおける骨転移による陽性部分の評価が容易となる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらの変更例または修正例についても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
また、上記実施形態において記載された効果は、説明的又は例示的なものであり、上記実施形態において記載されたものに限定されない。つまり、本開示に係る技術は、上記実施形態において記載された効果とともに、又は上記実施形態において記載された効果に代えて、上記実施形態における記載から、本開示の技術分野における通常の知識を有する者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0071】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した画像処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、画像処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0072】
また、上記各実施形態では、画像処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 検査装置
10 画像処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8