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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094071
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ラベル装着装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 53/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65B53/00 C
B65B53/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210807
(22)【出願日】2022-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 納品日 令和3年12月28日 納品した場所 マルコメ株式会社(長野県長野市安茂里883) 公開者 株式会社フジシール
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄治
(57)【要約】
【課題】ラベルの加熱収縮時における容器への熱の影響を低減する。
【解決手段】ラベル装着装置(1)は、コンベア(2)の搬送面(21)上で内容物を揺らし、容器(B)の内部の空隙に面した内壁に内容物を移動させる付着部(3)と、付着部(3)によって内容物を内壁に移動させた後に、容器(B)に被嵌されたラベル(L)を加熱するシュリンクトンネル(5)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容した容器であって前記内容物が充填されていない空隙を内部に有する容器を搬送方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送部の搬送面上で前記内容物を揺らし、前記空隙に面した前記容器の内壁に前記内容物を移動させる移動部と、
前記容器にラベルを被嵌する被嵌部と、
前記移動部によって前記内容物を前記内壁に移動させた後に、前記容器に被嵌された前記ラベルを加熱する加熱部と、
を備える、ラベル装着装置。
【請求項2】
前記移動部は、前記容器を傾動させるまたは揺動させることにより、前記内容物を前記内壁に移動させる、請求項1に記載のラベル装着装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記搬送面上に設けられた段差を含み、該段差で前記容器を落下させることにより前記内容物を前記内壁に移動させる、請求項1に記載のラベル装着装置。
【請求項4】
前記内壁に前記内容物が移動することにより前記内容物が前記内壁に付着した状態で、前記加熱部によって前記ラベルを加熱する、請求項1から3のいずれか1項に記載のラベル装着装置。
【請求項5】
前記移動部は、前記搬送部の側面に設置され、該搬送部の幅方向に向かって前記容器を押動する押動部を有する、請求項1または2に記載のラベル装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送する容器にラベルを装着するラベル装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体が入った容器に対してラベルを装着する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-90995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、脱プラスチックの影響で容器の薄肉化が進んでいる。このため、容器に被嵌された熱収縮性のラベルを容器に密着させる加熱収縮(シュリンク)時に、内容物が充填されている充填部分と充填されていない空隙部分(例えば空気層)とで、容器表面に与える熱量が異なり、特に空隙部分の容器表面への熱による影響が発生する懸念がある。
【0005】
本発明の一態様は、ラベルの加熱収縮時における容器への熱による影響を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るラベル装着装置は、内容物を収容した容器であって前記内容物が充填されていない空隙を内部に有する容器を搬送方向へ搬送する搬送部と、前記搬送部の搬送面上で前記内容物を揺らし、前記空隙に面した前記容器の内壁に前記内容物を移動させる移動部と、前記容器にラベルを被嵌する被嵌部と、
前記移動部によって前記内容物を前記内壁に移動させた後に、前記容器に被嵌された前記ラベルを加熱する加熱部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ラベルの加熱収縮時における容器への熱による影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係るラベル装着装置の構成の一例を示す側面図である。
図2図1に示されるラベル装着装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図3図1に示される容器の外観の一例を示す模式図である。
図4図1に示される付着部及びラベル被嵌部を示す平面図である。
図5図4に示される付着部の動作の一例を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態2に係る付着部の構成の一例を示す側面図である。
図7】本発明の実施形態3に係る付着部の構成の一例を示す側面図である。
図8図7に示される付着部を示す平面図である。
図9図7に示される付着部の動作の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1図5に基づいて説明する。なお、以下の説明は本発明に係るラベル装着装置の例示であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0010】
[ラベル装着装置1の概要]
先ず、図1を参照して、本実施形態に係るラベル装着装置1の概要を説明する。図1は、本実施形態に係るラベル装着装置1の概略構成を示す側面図である。図1に示すように、ラベル装着装置1は、コンベア2によって容器Bを搬送しながら、未収縮のラベルLを容器Bに被嵌し、該ラベルLをシュリンクトンネル5内で加熱する。これにより、ラベルLが熱収縮(シュリンク)してボトルBに密着することで、ボトルBの胴部にラベルLが装着される。
【0011】
ラベル装着装置1では、コンベア2の搬送面21上で内容物Fを揺らし、内容物Fが充填されていない空隙Aに面した容器Bの内壁B1(図3参照)に内容物Fを移動させて、該内壁B1に内容物Fを付着させる付着部(移動部)3が、シュリンクトンネル5よりも上流側に設置される。このため、内容物Fが内壁B1に付着した状態で容器Bに被嵌されたラベルLがシュリンクトンネル5で加熱されるので、ラベルLの加熱収縮(シュリンク)時における空隙A部分の容器Bの変形が低減される。
【0012】
なお、以下の説明では、コンベア2によって容器Bが搬送される方向を搬送方向X、平面視で搬送方向Xに直交する方向を幅方向Y、搬送方向Xと幅方向Yとに直交する方向を高さ方向Zと称する場合がある。
【0013】
[ラベル装着装置1の構成]
次に、図1図3を参照して、本実施形態に係るラベル装着装置1の構成の一例を説明する。図1に示すように、ラベル装着装置1は、コンベア(搬送部)2と、付着部3と、ラベル被嵌部(被嵌部)4と、シュリンクトンネル(加熱部)5と、センサ(検出部)6とを含む。また、図2に示すように、ラベル装着装置1は、これらの各部を制御する制御部(ピッチ調整部)7を含む。
【0014】
(コンベア2)
コンベア2は、内容物Fを収容した容器Bを搬送方向Xへ搬送する。コンベア2は、容器Bを載置する搬送面21を有する。コンベア2は、例えば、ベルトコンベア、ローラコンベアなどによって構成することができる。また、コンベア2は、複数の単位コンベアをライン状に連結した構成であってもよい。これにより、コンベア2において、運転、停止または速度などを単位コンベア毎に切り替えることができる。
【0015】
図3は、コンベア2によって搬送される容器Bの外観の一例を示す模式図である。図3の3001は容器Bの側面図であり、図3の3002は容器Bの平面図である。なお、図3では、ボトルBにラベルLを装着した状態を示している。容器Bは、例えばブロー成形により形成されたポリエステル製のPETボトルなどの樹脂製容器である。図3に示すように、容器Bには、例えば液体、紛体などの内容物Fが内部に充填され、且つ、その口部はポリエチレンなどを成形して成る嵌合キャップCで閉塞されている。内容物Fは、容器Bを動かすことにより該容器2の内部で揺れ動く程度の流動性を有する。また、容器Bの内部には、内容物Fが充填されていない空間(例えば、空気層)である空隙Aが形成される。容器Bの内壁B1は、この空隙Aに面している。
【0016】
なお、図示の例では、容器Bは平面視で略矩形形状である。ただし、容器Bは、自立可能な形状であれば特に限定されない。容器Bは、平面視で円形、楕円形、多角形状、その他の異形形状であってもよい。
【0017】
(付着部3)
付着部3は、コンベア2の搬送面21上で内容物Fを揺らし、空隙Aに面した容器Bの内壁B1に内容物Fを移動させる。本明細書において「内容物Fを揺らす」とは、内容物Fが内壁B1に付着するように容器Bの内部で内容物Fを動かすことを意味し、例えば内容物Fを揺らす外力を容器Bへ加えて、容器Bを傾動、落下、揺動、振動または回転させることなどを含む。
【0018】
本実施形態に係る付着部3は、コンベア2によって搬送される容器Bを搬送面21上で傾動させることにより、内容物Fを内壁B1に付着させるようになっている。なお、付着部3の詳細は後述する。
【0019】
(ラベル被嵌部4)
ラベル被嵌部4は、付着部3の下流側に設置され、筒状のラベルLをボトルBに被嵌する。ラベル被嵌部4には、シート状に折り畳まれた長尺のラベルLが供給される。ラベル被嵌部4は、シート状に折り畳まれたラベルLを所定の長さに切断し、切断後のラベルLを開いて容器Bの上方から被せる。これにより、搬送される容器Bの胴部に筒状のラベルLが被嵌される。
【0020】
容器Bに被嵌されるラベルLは、例えば熱収縮性のポリエステル系フィルムまたはポリスチレン系フィルムなどから構成することができる。ラベルLには、文字、図柄などの製品情報が印刷される。
【0021】
なお、ラベル被嵌部4は、付着部3に対して搬送方向Xの上流側に設置されていてもよい。ただし、付着部3の上流側にラベル被嵌部4を設置した場合、付着部3において容器Bに被嵌されたラベルLの位置ずれが発生する可能性がある。このため、ラベル被嵌部4を付着部3の下流側に設置することにより、前述したラベルLの位置ずれの発生を防ぐことができる。
【0022】
(シュリンクトンネル5)
シュリンクトンネル5は、ラベル被嵌部4の下流側に設置され、ラベルLを加熱収縮させる加熱炉である。シュリンクトンネル5は、コンベア2を覆うように設置される。シュリンクトンネル5は、その内部に、蒸気または温風などの熱媒をラベルLへ噴出する複数のノズルを有する。シュリンクトンネル5を容器Bが通過する間に、容器Bに被嵌されたラベルLが熱収縮し、容器Bに密着するようになっている。
【0023】
このシュリンクトンネル5には、付着部3によって内容物Fを内壁B1に移動させた後、内容物Fが内壁B1に付着した状態の容器Bが搬入される。このため、内壁B1に付着した内容物Fによって空隙A部分の容器Bの温度上昇が抑えられる。従って、ラベルLの加熱収縮時における空隙A部分の容器Bの変形を低減することができる。
【0024】
(センサ6)
センサ6は、搬送される容器Bのピッチ間隔Pを検出する。センサ6は、付着部3の上流側に設置され、付着部3へ搬入される容器Bのピッチ間隔Pを検出する。センサ6は、検出信号を制御部7へ出力する。なお、センサ6は、付着部3の下流側に設置されていてもよい。つまり、センサ6は、付着部3から搬出される容器Bのピッチ間隔Pを検出し、検出信号を制御部7へ出力してもよい。
【0025】
(制御部7)
制御部7は、ラベル装着装置1の各部を制御する。制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを含み、情報処理に応じてラベル装着装置1の各部の制御を行う。
【0026】
例えば、制御部7は、センサ6から出力された検出信号に基づいて容器Bのピッチ間隔Pを求める。そして、ピッチ間隔Pが閾値を超える場合、閾値以下となるように前記ピッチ間隔Pを調整する。ピッチ間隔Pが閾値(例えば、1ピッチ)を超える場合、付着部3における容器Bの傾動中に、容器Bが搬送方向Xまたはその逆方向へ転倒する可能性がある。このため、制御部7は、ピッチ間隔Pが閾値以上である場合、例えば付着部3とラベル被嵌部4との間でコンベア2の一部を停止させることにより、ピッチ間隔Pを閾値未満になるようにする。例えば、ピッチ間隔Pは、隣り合う容器B同士が互いに接触する程度に調整される。これにより、上述した容器Bの転倒を低減することができる。制御部7は、ピッチ間隔Pが閾値揺動以下になった場合、停止させたコンベア2の運転を再開する。
【0027】
[付着部3の詳細]
次に、図4及び図5を参照して、付着部3の詳細を説明する。図4は、図1に示される付着部3及びラベル被嵌部4を示す平面図である。また、図5は、図4に示される付着部3の動作の一例を示す模式図である。
【0028】
(付着部3の構成)
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る付着部3は、コンベア2によって搬送される容器Bを傾けることによって内容物Fを揺らし、内容物Fを内壁B1に付着させる。付着部3は、第1押動板(押動部)31A及び第2押動板(押動部)31Bと、第1押動板31A及び第2押動板31Bを幅方向Yに沿って往復移動させる第1シリンダ32A及び第2シリンダ32Bとを備える。
【0029】
第1押動板31A及び第2押動板31Bは、幅方向Yから容器Bの側面を押して容器Bの姿勢(角度)を変化させる板状部材である。第1押動板31A及び第2押動板31Bの各々は、搬送方向Xに沿って延在し、コンベア2によって搬送される容器Bを挟んで幅方向Yに対向するように、コンベア2の側面側に設置される。
【0030】
第1押動板31A及び第2押動板31Bは、第1押動板31Aによって押される方向に容器Bが傾斜した際の容器Bの口部側の側面に当接し得る高さ位置に設置される。第1押動板31Aと第2押動板31Bとの間隔D1は、容器Bがその間を通過可能なように、幅方向Yにおける容器Bの寸法よりも大きく設定される。
【0031】
第1シリンダ32A及び第2シリンダ32Bは、第1押動板31A及び第2押動板31Bを幅方向Yに沿って往復移動させる機構である。具体的には、第1シリンダ32Aは、第1押動板31Aに接続され、第1押動板31Aを幅方向Yに沿って往復移動させる。この第1シリンダ32Aは、第1押動板31Aの背面に接続される第1ロッド33Aと、第1ロッド33Aを幅方向Yに沿って進退させる第1シリンダ本体34Aとを含む。また、第2シリンダ32Bは、第2押動板31Bに接続され、第2押動板31Bを幅方向Yに沿って往復移動させる。この第2シリンダ32Bは、第2押動板31Bの背面に接続される第2ロッド33Bと、第2ロッド33Bを幅方向Yに沿って進退させる第2シリンダ本体34Bとを含む。
【0032】
第1シリンダ32A及び第2シリンダ32Bの動作は、制御部7によって制御される。第1押動板31Aと第2押動板31Bとの間隔D1が略一定になるように、第1シリンダ32A及び第2シリンダ32Bは互いに連携して動作する。
【0033】
また、付着部3は、第1押動板31Aの下方に設置される第1ガイド部35Aと、第2押動板31Bの下方に設置される第2ガイド部35B及び第3ガイド部35Cとを備える。
【0034】
第1ガイド部35A及び第2ガイド部35Bは、コンベア2によって搬送される容器Bをガイドする案内部材である。第1ガイド部35Aは、第1押動板31Aよりも下方に設置された板状部材であり、搬送方向Xに沿って延在する。第1ガイド部35Aは、容器Bの底部側の側面に当接し得る高さ位置に設置される。また、第2ガイド部35Bは、第2押動板31Bよりも下方に設置され、搬送方向Xに沿って延在する。第2ガイド部35Bは、容器Bの底部側の側面に当接し得る高さ位置に設置される。
【0035】
第3ガイド部35Cは、容器Bを傾けた場合に、容器Bの側面を支持する支持部材である。第3ガイド部35Cは、第2押動板31Bと第2ガイド部35Bとの間の高さ位置に設置され、搬送方向Xに沿って延在する。
【0036】
(付着部3の動作)
図5の5001に示すように、制御部7はコンベア2を制御して、内容物Fが容器Bの内壁B1に付着していない状態の複数の容器Bを付着部3へ搬入する。このとき、容器Bは、第1ガイド部35A及び第2ガイド部35Bによって、搬送面21上で搬送方向Xに沿って一列に整列するように案内される。
【0037】
次に、図5の5002に示すように、制御部7は付着部3を制御して、幅方向Yの一方側(図5の紙面左側)へ向けて容器Bを押して、容器Bを傾ける。具体的には、制御部7は、第1シリンダ本体34Aを制御して第1ロッド33Aを進出させると共に、第2シリンダ本体34Bを制御して第2ロッド33Bを後退させる。これにより、容器Bの側面が第1押動板31Aによって押され、第2ガイド部35Bとの接点を支点として容器Bの口部側が回動し、第3ガイド部35Cによって傾いた状態で容器Bが支持される。このため、容器Bは傾いた状態で回転(自転)しながらコンベア2によって搬送される。
【0038】
搬送面21と容器Bの中心軸B2との成す角度である容器Bの傾き角度θは、容器Bの内壁B1に内容物Fを好適に付着させることができる範囲に設定される。
【0039】
次に、図5の5003に示すように、制御部7は付着部3を制御して、幅方向Yの他方側(図5の紙面右側)へ向けて容器Bを押し出し、容器Bを自立姿勢に戻す。具体的には、制御部7は、第2シリンダ本体34Bを制御して第2ロッド33Bを進出させると共に、第1シリンダ本体34Aを制御して第1ロッド33Aを後退させる。これにより、第2押動板31Bが容器Bの側面を押すことで、傾いた容器Bが自立姿勢に戻る。容器Bが自立姿勢へ戻るとき、第1ガイド部35Aによって容器Bの側面が支えられる。これにより、容器Bの転倒が防止される。
【0040】
このように、付着部3は、容器Bを傾動させることにより容器Bの内壁B1に内容物Fを付着させる。このため、内容物Fが内壁B1に付着した状態で容器Bに被嵌されたラベルLが加熱されるので、ラベルLの加熱収縮時における空隙A部分の容器Bの変形を低減することができる。
【0041】
なお、付着部3は、空隙Aに面した容器Bの内壁B1のうち、該内壁B1の総面積(内壁B1のうちキャップCで覆われる部分の面積を除く)の80%以上100%以下の範囲に内容物Fを付着させることが好ましい。これにより、ラベルLの加熱収縮時における空隙A部分の容器Bの変形を効果的に低減することができる。
【0042】
[ラベル装着装置1のまとめ]
以上のように、本実施形態に係るラベル装着装置1は、内容物Fが充填されていない空隙Aを内部に有する容器Bを搬送方向Xへ搬送するコンベア2と、コンベア2の搬送面21上で内容物Fを揺らし、空隙Aに面した容器Bの内壁B1に内容物Fを移動させる付着部3と、容器BにラベルLを被嵌するラベル被嵌部4と、付着部3によって内容物Fを内壁B1に移動させた後に、容器Bに被嵌されたラベルLを加熱するシュリンクトンネル5とを備える。
【0043】
ラベル装着装置1では、内容物Fを内壁B1に移動させた後に、内容物Fが内壁B1に付着した状態で容器Bに被嵌されたラベルLを加熱するため、内壁B1に付着した内容物Fによって空隙A部分の容器Bの温度上昇が抑えられる。従って、ラベル装着装置1によれば、ラベルLの加熱収縮時における容器Bの変形を低減することができる。
【0044】
また、ラベルLの加熱収縮時において、内容物Fが充填されている充填部分と充填されていない空隙A部分とで、容器Bに与える熱量が異なり、容器Bへの熱による影響を低減することができる。
【0045】
特に近年、脱プラスチックの影響で容器Bの薄肉化が進んでいる。このため、容器Bに被嵌された熱収縮性のラベルLを容器Bに密着させる加熱収縮時に、内容物Fが充填されていない空隙A部分で容器変形が起こる可能性があるが、本実施形態に係るラベル装着装置1によれば、容器変形が起こる可能性を低減することができる。
【0046】
また、ラベル装着装置1では、容器Bの変形が低減されるため、ラベルLの加熱収縮時の熱量を上げることが可能となる。このため、ラベル装着装置1によれば、ラベルLに皺などが発生し難くなり、熱収縮後のラベルLの仕上がりを改善することができる。
【0047】
また、ラベル装着装置1では、付着部3を備えない従来のラベル装着装置に付着部3を追加することにより、ラベルLの加熱収縮時における容器Bの変形を低減することができる。このため、ラベル装着装置1によれば、従来のラベル装着装置の設備を使用することができ、設備コストの増大を抑えることができる。
【0048】
さらに、ラベル装着装置1によれば、容器Bの熱変形が低減されるため、熱変形による不良品(廃棄品)の削減によって生産消費形態を確保することができる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「持続可能な生産消費形態を確保する」などの達成にも貢献するものである。
【0049】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図6に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0050】
本実施形態では、本発明に係るラベル装着装置が備える付着部の他の構成の一例について説明する。図6は、本実施形態に係る付着部3Aを示す側面図である。本実施形態に係る付着部3Aは、コンベア2によって搬送される容器Bを搬送面21上で落下させることにより内容物Fを内壁B1に付着させるようになっている。
【0051】
(付着部3Aの構成)
図6に示すように、付着部3Aは、コンベア2の搬送面21上に設けられた段差36を含む。付着部3Aは、段差36で容器Bを落下させることにより内容物Fを揺らし、内容物Fを内壁B1に付着させる。
【0052】
具体的には、コンベア2の搬送面21は、登り坂となるように上方へ傾斜した傾斜面21Aを含み、その傾斜面21Aの下流側に段差36が設けられる。搬送される容器Bは、段差36を通過する際に落下し、着地時の衝撃により内容物Fが大きく揺れる。これにより、内容物Fを内壁B1に付着させることができる。
【0053】
高さ方向Zにおける段差36の高さHは、着地時の衝撃で着地時の衝撃で内容物Fを揺らして容器Bの内壁B1に内容物Fを好適に付着させることができ、且つ、容器Bが転倒し難い範囲に設定される。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る付着部3Aは、コンベア2の搬送面21上に設けられた段差36を含み、該段差36で容器Bを落下させることにより内容物Fを内壁B1に付着させる。このため、ラベルLの加熱収縮時における空隙A部分の容器Bの変形を低減することができる。
【0055】
また、付着部3Aでは、コンベア2に段差36を設けることにより、内容物Fを内壁B1に付着させることができる。従って、より簡略化した構成で、ラベルLの加熱収縮時における容器Bの変形を低減することができる。
【0056】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図7図9に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0057】
本実施形態では、本発明に係るラベル装着装置が備える付着部のさらに他の構成の一例について説明する。図7は、本実施形態に係る付着部3Bを示す側面図である。また、図8は、付着部3Bを示す平面図であり、図9は、付着部3Bの動作の一例を示す模式図である。本実施形態に係る付着部3Bは、コンベア2によって搬送される容器Bを搬送面21上で揺動させることにより内容物Fを内壁B1に付着させるようになっている。
【0058】
(付着部3Bの構成)
図7図9に示すように、付着部3Bは、一対の第1押動部材371A及び一対の第2押動部材371Bと、一対の第1押動部材371A及び一対の第2押動部材371Bを幅方向Yに沿って往復移動させる第1シリンダ38A及び第2シリンダ38Bとを備える。
【0059】
一対の第1押動部材(押動部)371A及び一対の第2押動部材(押動部)371Bは、幅方向Yから容器Bの側面を押すことにより、容器Bを揺動させる棒状部材である。一対の第1押動部材371A及び一対の第2押動部材371Bの各々は、搬送方向Xに沿って延在し、コンベア2によって搬送される容器Bを挟んで幅方向Yに対向するように設置される。
【0060】
一対の第1押動部材371Aの各々は、幅方向Yに沿って移動可能な第1支持部372Aによってその両端が支持され、高さ方向Zにおいて互いに間隔をあけて平行に設置されている。同様に、一対の第2押動部材371Bの各々は、幅方向Yに沿って移動可能な第2支持部372Bにその両端が支持され、高さ方向Zにおいて互いに間隔をあけて平行に設置されている。これら一対の第1押動部材371A及び一対の第2押動部材371Bは、容器Bの側面のうち口部側及び底部側の2箇所に当接可能な高さ位置に、第1支持部371A及び第2支持部372Bによって支持される。一対の第1押動部材371Aと一対の第2押動部材371Bとの間隔D2は、容器Bがその間を通過可能なように、幅方向Yにおける容器Bの寸法よりも大きくなっている。
【0061】
第1シリンダ38A及び第2シリンダ38Bは、一対の第1押動部材371A及び一対の第2押動部材371Bを幅方向Yに沿って往復移動させる機構である。具体的には、第1シリンダ38Aは、第1支持部372Aに接続され、第1支持部372Aによって支持された一対の第1押動部材371Aを幅方向Yに沿って往復移動させる。この第1シリンダ38Aは、第1支持部372Aに接続される第1ロッド39Aと、第1ロッド39Aを幅方向Yに沿って進退させる第1シリンダ本体40Aとを含む。また、第2シリンダ38Bは、第2支持部372Bに接続され、第2支持部372Bによって支持された一対の第2押動部材371Bを幅方向Yに沿って往復移動させる。この第2シリンダ38Bは、第2支持部372Bに接続される第2ロッド39Bと、第2ロッド39Bを幅方向Yに沿って進退させる第2シリンダ本体40Bとを含む。
【0062】
第1シリンダ38A及び第2シリンダ38Bの動作は、制御部7によって制御される。一対の第1押動部材371Aと第2押動部材371Bとの間隔D2が略一定になるように、第1シリンダ38A及び第2シリンダ38Bは互いに連携して動作する。
【0063】
(付着部3Bの動作)
図8及び図9に示すように、制御部7は付着部3Bを制御して、幅方向Yの両側から容器Bを交互に押して、容器Bを自立姿勢のまま揺動させる。具体的には、制御部7は、第1シリンダ本体40Aを制御して第1ロッド39Aを繰り返し進退させると共に、第2シリンダ本体40Bを制御して第2ロッド39Bを繰り返し進退させる。これにより、一対の第1押動部材371A及び一対の第2押動部材371Bが容器Bの側面を交互に押し出すことで、容器Bが幅方向Yに沿って搬送面21上で揺動する。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る付着部3Bは、容器Bを揺動させることで内容物Fを揺らし、容器Bの内壁B1に内容物Fを付着させる。このため、ラベルLの加熱収縮時における空隙A部分の容器Bの変形を低減することができる。
【0065】
なお、上述した実施形態では、容器を傾動または揺動する機構として押動部によって容器を幅方向に押し出す機構、容器を落下する機構としてコンベアに段差を設ける機構を例として挙げた。ただし、これらの機構に代えて、ロボットアームを使用して容器を把持して、容器を左右に傾ける、上下逆にする、容器を上下左右に揺らすなどして内容物を容器の空隙へ移動させ、内壁に付着させてもよい。
【0066】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るラベル装着装置は、内容物を収容した容器であって前記内容物が充填されていない空隙を内部に有する容器を搬送方向へ搬送する搬送部(コンベア2)と、前記搬送部の搬送面上で前記内容物を揺らし、前記空隙に面した前記容器の内壁に前記内容物を移動させる移動部と、前記容器にラベルを被嵌する被嵌部(ラベル被嵌部4)と、前記移動部によって前記内容物を前記内壁に移動させた後に、前記容器に被嵌された前記ラベルを加熱する加熱部(シュリンクトンネル5)と、を備える。
【0067】
前記構成では、内容物を内壁に移動させた後に、容器に被嵌されたラベルを加熱するため、内容物によって空隙部分の容器の温度上昇が抑えられる。従って、前記構成によれば、ラベルの加熱収縮時における容器への熱による影響を低減することができる。
【0068】
また、本発明の態様2に係るラベル装着装置では、前記態様1において、前記移動部は、前記容器を傾動させるまたは揺動させることにより、前記内容物を前記内壁に移動させてもよい。
【0069】
前記構成によれば、容器を傾けて搬送するまたは容器を揺らして搬送することにより内容物を揺らして、内容物を内壁に移動させることができる。
【0070】
また、本発明の態様3に係るラベル装着装置では、前記態様1において、前記移動部は、前記搬送面上に設けられた段差を含み、該段差で前記容器を落下させることにより前記内容物を前記内壁に移動させてもよい。
【0071】
前記構成によれば、搬送される容器を段差で落下させた際の着地時の衝撃により内容物を揺らして、内容物を内壁に移動させることができる。
【0072】
また、本発明の態様4に係るラベル装着装置では、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記内壁に前記内容物が移動することにより前記内容物が前記内壁に付着した状態で、前記加熱部によって前記ラベルを加熱してもよい。
【0073】
前記構成によれば、内壁に付着した内容物によって空隙部分の容器の温度上昇を抑えることができる。
【0074】
また、本発明の態様5に係るラベル装着装置では、前記態様1または2において、前記移動部は、前記搬送部の側面に設置され、該搬送部の幅方向に向かって前記容器を押動する押動部を有していてもよい。
【0075】
前記構成によれば、押動部によって容器を押動することにより内容物を揺らして、内壁に内容物を移動させることができる。
【0076】
また、本発明の態様6に係るラベル装着装置では、前記態様1から5において、前記移動部へ搬入される前記容器のピッチ間隔または前記移動部から搬出される前記容器のピッチ間隔を検出する検出部(センサ6)と、前記ピッチ間隔が閾値を超える場合、前記閾値以下となるように前記ピッチ間隔を調整するピッチ調整部(制御部7)と、をさらに備えてもよい。
【0077】
前記構成によれば、容器のピッチ間隔が閾値以下に調整されるため、移動部における容器の転倒を低減することができる。
【0078】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1:ラベル装着装置
2:コンベア(搬送部)
3:付着部(移動部)
3A:付着部(移動部)
3B:付着部(移動部)
4:ラベル被嵌部(被嵌部)
5:シュリンクトンネル(加熱部)
6:センサ(検出部)
7:制御部(ピッチ調整部)
21:搬送面
31A:第1押動板(押動部)
31B:第2押動板(押動部)
371A:第1押動部材(押動部)
371B:第1押動部材(押動部)
A:空隙
B:容器
B1:内壁
F:内容物
L:ラベル
P:ピッチ間隔
X:搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9