(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094073
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03K 17/22 20060101AFI20240702BHJP
H03K 17/28 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H03K17/22 E
H03K17/28 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210811
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清家 健
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX15
5J055AX57
5J055AX63
5J055BX41
5J055DX13
5J055DX22
5J055EY01
5J055EY10
5J055EZ10
5J055EZ25
5J055EZ32
(57)【要約】
【課題】温度による特性設定のばらつきを抑えることが可能となる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置(10)は、コンデンサ(9)を外部に接続可能に構成されるコンデンサ接続端子(CT端子)と、前記コンデンサへの充電を行うように構成される充電部(5)と、前記コンデンサ接続端子に接続されるESD保護素子(6)と、前記ESD保護素子と同一の素子である同一素子(11A)を有し、前記同一素子に流れるリーク電流に基づく電流を前記充電部により充電を行う充電経路に流し込むように構成される電流注入部(11)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサを外部に接続可能に構成されるコンデンサ接続端子と、
前記コンデンサへの充電を行うように構成される充電部と、
前記コンデンサ接続端子に接続されるESD保護素子と、
前記ESD保護素子と同一の素子である同一素子を有し、前記同一素子に流れるリーク電流に基づく電流を前記充電部により充電を行う充電経路に流し込むように構成される電流注入部と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
平面視において、前記ESD保護素子の幾何中心位置と前記同一素子の幾何中心位置とを結ぶ線上には、素子として前記ESD保護素子および前記同一素子のみが配置される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電流注入部は、前記リーク電流をミラーリングして前記充電経路に注入するように構成されるカレントミラーを有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記カレントミラーは、前記同一素子に接続される入力側トランジスタと、前記充電経路に接続される出力側トランジスタと、を有し、
前記入力側トランジスタと前記出力側トランジスタは、平面視において隣接して配置される、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
リセット信号を出力可能に構成される第1出力端子と、
前記第1出力端子に接続される出力スイッチと、
をさらに備え、
前記充電部は、電源電圧が所定電圧に達すると充電を開始するように構成され、
前記コンデンサ接続端子の電圧に基づいて前記出力スイッチが制御される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電源電圧の印加端を接続可能に構成される検出端子と、
前記検出端子の電圧を分圧した電圧と基準電圧とが入力されるように構成される第1コンパレータと、
をさらに備え、
前記充電部は、第1定電流源と、前記第1定電流源に接続される第1スイッチと、を有し、
前記第1定電流源および前記第1スイッチは、前記第1コンパレータの出力に基づいてオン/オフを制御される、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記コンデンサ接続端子の電圧と前記基準電圧とが入力され、前記出力スイッチのオン/オフを制御するように構成される第2コンパレータをさらに備える、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記コンデンサによって、クロック入力を監視するための監視時間を設定されるように構成されるウォッチドッグタイマをさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記充電部は、前記コンデンサ接続端子に接続される第2定電流源を有し、
当該半導体装置は、
前記コンデンサ接続端子に抵抗を介して接続可能に構成される放電端子と、
前記放電端子に接続される第2スイッチと、
第2出力端子と、
前記第2出力端子に接続される出力段と、
前記第2定電流源および前記第2スイッチのオン/オフ、および前記出力段を制御するように構成されるオシレータと、
をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の外部端子にコンデンサを外部接続することで、当該コンデンサによって特性を設定することが知られている。例えば、特許文献1では、リセットICにコンデンサを外部接続することで、当該コンデンサによって遅延時間を設定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような半導体装置では、温度による特性設定のばらつきを抑えることが要望されている。
【0005】
本開示は、温度による特性設定のばらつきを抑えることが可能となる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係る半導体装置は、
コンデンサを外部に接続可能に構成されるコンデンサ接続端子と、
前記コンデンサへの充電を行うように構成される充電部と、
前記コンデンサ接続端子に接続されるESD保護素子と、
前記ESD保護素子と同一の素子である同一素子を有し、前記同一素子に流れるリーク電流に基づく電流を前記充電部により充電を行う充電経路に流し込むように構成される電流注入部と、を備える構成としている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る半導体装置によれば、温度による特性設定のばらつきを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、比較例に係る半導体装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例に係る半導体装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図3】
図3は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、リセット解除遅延時間の温度特性を本開示の実施形態(実線)と比較例(破線)で比較した例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、同一素子のESD保護素子に対するレイアウトの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る半導体装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の第3実施形態に係る半導体装置の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る半導体装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<1.第1実施形態>
ここでは、本開示の適用例として、リセットICへ適用した場合について、以下第1実施形態および第2実施形態について説明する。まず、第1実施形態について説明する前に、対比のための比較例について説明する。これにより、本開示の課題がより明らかとなる。
【0011】
図1は、比較例に係る半導体装置1の構成を示す図である。半導体装置1は、
図1に図示する内部構成を集積化して有するリセットICである。リセットICは、図示しないマイコン等に対してリセット信号を出力するように構成される。
【0012】
半導体装置1は、分圧抵抗2,3と、コンパレータ4と、充電部5と、ESD(Electro-Static Discharge)保護素子6と、コンパレータ7と、NMOSトランジスタ(NチャネルMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor))(出力スイッチ)8と、を備える。また、半導体装置1は、外部との電気的接続を確立するための外部端子として、SENSE端子(検出端子)、VDD端子(電源端子)、GND端子(グランド端子)、CT端子(コンデンサ接続端子)、およびOUT端子(出力端子)を備える。VDD端子には、外部から電源電圧VDDが印加される。GND端子には、外部からグランド電位が印加される。
【0013】
SENSE端子には、外部に電源電圧VDDの印加端が接続される。なお、SENSE端子に印加される電圧は、電源電圧には限らず、任意のモニタ対象の電圧とすることができる。SENSE端子とグランド電位の印加端との間には、分圧抵抗2,3が直列に接続される。コンパレータ4の反転入力端(-)は、分圧抵抗2,3が接続されるノードN1に接続される。コンパレータ4の非反転入力端(+)には、基準電圧VREFの印加端が接続される。
【0014】
充電部5は、CT端子に外部接続されるコンデンサ9に対して充放電を行うように構成され、定電流源5Aと、NMOSトランジスタ5Bと、を有する。定電流源5Aは、内部電圧PREREGと、NMOSトランジスタ5Bのドレインとの間に接続される。定電流源5AおよびNMOSトランジスタ5Bのゲートは、コンパレータ4の出力端に接続される。NMOSトランジスタ5Bのソースは、グランド電位の印加端に接続される。NMOSトランジスタ5Bのドレインは、CT端子に接続されるとともに、コンパレータ7の反転入力端に接続される。コンパレータ7の非反転入力端は、基準電圧VREFの印加端に接続される。NMOSトランジスタ8のゲートは、コンパレータ7の出力端に接続される。NMOSトランジスタ8のソースは、グランド電位の印加端に接続される。NMOSトランジスタ8のドレインは、OUT端子に接続される。OUT端子は、図示しないプルアップ抵抗に接続されるとともに、図示しないマイコン等に接続される。
【0015】
OUT端子からリセット信号RSTが出力される。リセット信号RSTは、NMOSトランジスタ8がオフ状態の場合、ハイレベルであり、オン状態の場合、ローレベルである。
【0016】
ESD保護素子6は、ゲート・ソース間が短絡されたNMOSトランジスタにより構成される。ESD保護素子6のドレインは、CT端子に接続される。ESD保護素子6のソースは、グランド電位の印加端に接続される。ESD保護素子6は、CT端子から入力される静電気による不具合を抑制するための素子である。なお、ESD保護素子6は、
図1の構成に限らず、例えばツェナーダイオードなどで構成してもよい。
【0017】
このような構成の半導体装置1の動作について、
図2に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、
図2において、上段から順に、電源電圧VDD、CT端子電圧Vct、およびリセット信号RSTの各波形例を示す。
【0018】
タイミングt1で電源電圧VDDが立ち上りを開始する。このとき、SENSE端子の電圧(すなわちVDD)を分圧抵抗2,3により分圧した電圧(ノードN1の電圧)Vdが0Vであり、コンパレータ4の出力はハイレベルである。これにより、定電流源5Aはオフ状態であり、かつNMOSトランジスタ5Bはオン状態である。従って、CT端子電圧Vctは0Vであり、コンパレータ7の出力がハイレベルであり、NMOSトランジスタ8がオン状態である。従って、OUT端子から出力されるリセット信号RSTは、ローレベルである。
【0019】
その後、タイミングt2で電源電圧VDDが所定の基準電圧REFに達する。このとき、電圧Vdが基準電圧VREFを上回るため、コンパレータ4の出力がローレベルに切り替わり、定電流源5Aがオン状態、かつNMOSトランジスタ5Bがオフ状態に切り替わる。これにより、コンデンサ9への充電が開始され、CT端子電圧Vctが立ち上がりを開始する。
【0020】
その後、タイミングt3でCT端子電圧Vctが基準電圧VREFに達すると、コンパレータ7の出力がローレベルに切り替わり、NMOSトランジスタ8がオフ状態に切り替わる。従って、リセット信号RSTがハイレベルに切り替わる。これにより、リセット解除がリセット信号RSTによってマイコン等に通知される。
【0021】
ここで、
図1に示すように、コンデンサ9の充電は、定電流源5Aによる定電流I1により行われるが、ESD保護素子6に流れるリーク電流I2により、定電流I1からリーク電流I2だけ減少した電流がコンデンサ9に供給される。これにより、コンデンサ9の充電開始からCT端子電圧Vctが基準電圧VREFに達するまでのリセット解除遅延時間Td1(
図2のタイミングt2とt3の間)が長くなってしまう。リーク電流I2は高温になるほど増えるため、温度によってリセット解除遅延時間Td1にばらつきが生じる。
【0022】
本開示の実施形態は、上記のような温度によるリセット解除遅延時間Td1のばらつきを抑制する課題を解決すべく実施される。
図3は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置10の構成を示す図である。
【0023】
図3に示す半導体装置10の上記比較例に係る半導体装置1(
図1)との構成上の相違点は、電流注入部11が追加されていることである。電流注入部11は、同一素子11Aと、カレントミラー11Bと、を有する。同一素子11Aは、ESD保護素子6と同一の素子であり、ゲート・ソース間を短絡されるNMOSトランジスタにより構成される。カレントミラー11Bは、入力側トランジスタ111と、出力側トランジスタ112と、を有する。入力側トランジスタ111および出力側トランジスタ112は、ともにPMOSトランジスタ(PチャネルMOSFET)により構成される。同一素子11Aのソースは、グランド電位の印加端に接続される。同一素子11Aのドレインは、入力側トランジスタ111のドレインに接続される。入力側トランジスタ111のゲート・ドレイン間は、短絡される。入力側トランジスタ111のゲートと、出力側トランジスタ112のゲートは、接続される。入力側トランジスタ111のソースおよび出力側トランジスタ112のソースは、内部電圧PREREGの印加端に接続される。出力側トランジスタ112のドレインは、NMOSトランジスタ5Bのドレインに接続される。すなわち、出力側トランジスタ112のドレインは、充電部5によってコンデンサ9を充電する充電経路に接続される。
【0024】
このような構成により、同一素子11Aには、ESD保護素子6に流れるリーク電流I2に近いリーク電流I3が流れ、リーク電流I3がカレントミラー11Bによりミラーリングされて電流I4が充電部5により充電が行われる充電経路に注入される。従って、リーク電流I2を電流I4によってキャンセルすることができ、コンデンサ9に供給される電流のばらつきを抑制し、温度によるリセット解除遅延時間Td1のばらつきを抑制できる。
図4は、リセット解除遅延時間の温度特性を本開示の実施形態(実線)と比較例(破線)で比較した例を示すグラフである。このように、本開示の実施形態であれば、高温の場合にESD保護素子6に流れるリーク電流の影響をキャンセルし、リセット解除遅延時間の温度特性を向上させることができる。
【0025】
なお、同一素子11AのESD保護素子6に対するレイアウトの一例を
図5に示す。
図5は、半導体基板を上方から視た平面図である。
図5に示すように、同一素子11Aは、破線で示す同一素子11Aのように、ESD保護素子6に対して上下左右のいずれかに隣接させることが望ましい。または、同一素子11Aは、一点鎖線で示す同一素子11Aのように、ESD保護素子6に対して斜めに隣接させることが望ましい。なお、隣接とは、ESD保護素子6の幾何中心位置P1と同一素子11Aの幾何中心位置P2とを結ぶ線分L上に、素子としてESD保護素子6および同一素子11Aのみが配置されることである。このようにすることで、同一素子11Aに流れるリーク電流をESD保護素子6に流れるリーク電流により近づけることができ、リセット解除遅延時間のばらつきをより抑制できる。なお、
図5では、平面視における素子の形状を四角形としているが、これに限らない。
【0026】
また、カレントミラー11Bによるミラーリングのため、入力側トランジスタ111と出力側トランジスタ112も、上記の同一素子11AおよびESD保護素子6のレイアウトと同様に、隣接させることが望ましい。
【0027】
<2.第2実施形態>
図6は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置20の構成を示す図である。半導体装置20は、
図6に図示する内部構成を集積化して有するリセットICであり、ウォッチドッグタイマ機能付きのICとなっている。
【0028】
半導体装置20は、分圧抵抗21,22と、コンパレータ23と、フリップフロップ24と、インバータ25と、NMOSトランジスタ26と、抵抗27と、インバータ28と、NOR回路29と、NAND回路30と、NMOSトランジスタ31と、ESD保護素子32と、電流注入部33と、を備える。さらに、半導体装置20は、パルス発生器34と、ウォッチドッグタイマ35と、ESD保護素子36と、電流注入部37と、を備える。
【0029】
また、半導体装置20は、外部端子として、CLK端子(クロック端子)と、CT端子(コンデンサ接続端子)と、CTW端子(コンデンサ接続端子)と、VDD端子(電源端子)と、RESET端子(リセット端子)と、INH端子(ウォッチドッグタイマオン/オフ設定端子)と、GND端子(グランド端子)と、を備える。GND端子は、グランド電位の印加端に接続される。VDD端子は、電源電圧VDDの印加端に接続される。
【0030】
分圧抵抗21,22は、電源電圧VDDの印加端とGND端子との間に直列に接続される。分圧抵抗21,22が接続されるノードN2は、コンパレータ23の反転入力端に接続される。コンパレータ23の非反転入力端は、基準電圧Vrefの印加端に接続される。コンパレータ23の出力端は、フリップフロップ24のセット端子に接続される。フリップフロップ24のQ出力端子は、NMOSトランジスタ26のゲートに接続される。NMOSトランジスタ26のソースは、GND端子に接続される。抵抗27は、電源電圧VDDの印加端と、NMOSトランジスタ26のドレインと、の間に接続される。NMOSトランジスタ26のドレインは、インバータ25の入力端に接続される。インバータ25の出力端は、フリップフロップ24のリセット端子に接続される。インバータ28は、ヒステリシスを有する。インバータ28の入力端は、NMOSトランジスタ26のドレインに接続される。インバータ28の出力端は、NOR回路29の第1入力端に接続される。フリップフロップ24のQ出力端子は、NOR回路29の第2入力端に接続される。
【0031】
CT端子は、NMOSトランジスタ26のドレインに接続される。CT端子には、コンデンサ38が外部接続される。
【0032】
ウォッチドッグタイマ35は、定電流源35A,35Bと、コンパレータ35C,35Dと、フリップフロップ35Eと、を有する。定電流源35Aは、電源電圧VDDの印加端とCTW端子との間に接続される。定電流源35Bは、CTW端子とGND端子との間に接続される。CTW端子は、コンパレータ35Cの非反転入力端に接続されるとともに、コンパレータ35Dの反転入力端に接続される。コンパレータ35Cの反転入力端は、基準電圧VthHの印加端に接続される。コンパレータ35Dの非反転入力端は、基準電圧VthLの印加端に接続される。VthH>VthLである。コンパレータ35Cの出力端は、フリップフロップ35Eのリセット端子に接続される。コンパレータ35Dの出力端は、フリップフロップ35Eのセット端子に接続される。
【0033】
CTW端子には、コンデンサ39が外部接続される。パルス発生器34は、CLK端子に入力されるクロック信号CLKに基づいてパルスを発生する。
【0034】
NOR回路29の出力端は、NAND回路30の第1入力端に接続される。フリップフロップ35EのQ出力端子は、NAND回路30の第2入力端に接続される。NAND回路30の出力端は、NMOSトランジスタ31のゲートに接続される。NMOSトランジスタ31のソースは、GND端子に接続される。NMOSトランジスタ31のドレインは、RESET端子に接続される。RESET端子には、プルアップ抵抗40が外部接続される。
【0035】
なお、INH端子をハイレベルまたはローレベルとすることで、ウォッチドッグタイマ35をオン/オフすることができる。
【0036】
このような構成の半導体装置20の動作について、
図7に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、
図7において、上段から順に、電源電圧VDD、INH端子電圧、クロック信号CLK、CT端子電圧Vct、CTW端子電圧Vctw、およびリセット信号RSTの各波形例を示す。
【0037】
まず、タイミングt11で電源電圧VDDが立ち上りを開始する。その後、タイミングt12で電源電圧VDDが所定の電圧Vtに達すると、リセット信号RSTがローレベルとなる。その後、タイミングt13で電源電圧VDDがリセット検出電圧Vdethに達すると、電源電圧VDDを分圧抵抗21,22により分圧した電圧(ノードN2の電圧)が基準電圧Vref以上となり、フリップフロップ24がリセットされ、NMOSトランジスタ26がオフ状態に切り替わる。これにより、電源電圧VDDの印加端から抵抗27およびCT端子を介した充電経路でコンデンサ38の充電が開始される。従って、CT端子電圧Vctの立ち上がりが開始される。
【0038】
その後、タイミングt14でCT端子電圧Vctが閾値電圧Vcthに達すると、インバータ28の出力がローレベルに切り替わり、NMOSトランジスタ31がオフ状態に切り替わる。これにより、リセット信号RSTがハイレベルに切り替わる。このように、電源電圧VDDがリセット検出電圧Vdethに達してからリセット信号RSTがハイレベルとなってリセット解除されるまでのリセット解除遅延時間td11(タイミングt13とt14の間)が発生する。
【0039】
リセット信号RSTがハイレベルに立ち上がると、定電流源35AによるCTW端子を介したコンデンサ39の充電が開始され、ウォッチドッグタイマ35が動作する。これにより、CTW端子電圧Vctwが立ち上りを開始する。タイミングt15でCTW端子電圧Vctwが基準電圧VthHに達すると、フリップフロップ35Eがリセットされ、NMOSトランジスタ31がオン状態に切り替わる。これにより、リセット信号RSTがローレベルに切り替わる。このとき、定電流源35Bによるコンデンサ39の放電に切り替わる。従って、CTW端子電圧Vctwの立ち下がりが開始される。
【0040】
その後、タイミングt16でCTW端子電圧Vctwが基準電圧VthLに達すると、フリップフロップ35Eがセットされ、NMOSトランジスタ31がオフ状態に切り替わる。これにより、リセット信号RSTがハイレベルに切り替わる。このとき、定電流源35Aによるコンデンサ39の充電に切り替わる。従って、CTW端子電圧Vctwが再び立上りを開始する。
【0041】
その後、タイミングt17でCTW端子電圧Vctwが基準電圧VthHに達すると、リセット信号RSTがローレベルに切り替わる。CTW端子電圧Vctwが立ち上りを開始してからCTW端子電圧Vctwが基準電圧VthHに達するまでの時間が監視時間twhとなる。タイミングt18,t19のように、CTW端子電圧Vctwが立ち上りを開始してから監視時間twhが経過する前にクロック信号CLKの立ち上がりが発生すると、定電流源35Bによるコンデンサ39の放電に切り替わり、CTW端子電圧Vctwは立下りを開始する。このとき、リセット信号RSTはハイレベルを維持される。すなわち、リセット解除が維持される。
【0042】
ここで、CT端子には、ESD保護素子32が接続される。コンデンサ38の充電は、電源電圧VDDの印加端、抵抗27、およびCT端子を介した充電経路に流れる電流I11により行われるが、ESD保護素子32にリーク電流I12が流れる。そこで、電流注入部33を設けている。電流注入部33は、ESD保護素子32と同一の素子を有し、当該素子に流れる電流に基づく電流I13を上記充電経路に注入する。これにより、リーク電流I12をキャンセルし、温度によるリセット解除遅延時間td11のばらつきを抑制できる。
【0043】
また、CTW端子には、ESD保護素子36が接続される。コンデンサ39の充電は、定電流源35AおよびCTW端子を介した充電経路に流れる電流I14により行われるが、ESD保護素子36にリーク電流I15が流れる。そこで、電流注入部37を設けている。電流注入部37は、ESD保護素子36と同一の素子を有し、当該素子に流れる電流に基づく電流を上記充電経路に注入する。これにより、リーク電流I15をキャンセルし、温度による監視時間twhのばらつきを抑制できる。
【0044】
<3.第3実施形態>
図8は、本開示の第3実施形態に係る半導体装置50の構成を示す図である。半導体装置50は、
図8に図示する内部構成を集積化して有するタイマICである。
【0045】
半導体装置50は、定電流源51と、NMOSトランジスタ(スイッチ)52と、オシレータ53と、出力段54と、ESD保護素子55と、電流注入部56と、を備える。また、半導体装置50は、外部端子として、VIN端子(電源端子)と、CRT端子(コンデンサ接続端子)と、DISC端子(放電端子)と、GND端子(グランド端子)と、DCENB端子(DCイネーブル端子)と、OUT端子(出力端子)と、を備える。VIN端子は、電源電圧の印加端に接続される。GND端子は、グランド電位の印加端に接続される。
【0046】
CRT端子には、コンデンサ57と、抵抗58の第1端が外部接続される。定電流源51は、CRT端子に接続される。DISC端子には、抵抗58の第2端が接続される。NMOSトランジスタ52のドレインは、DISC端子に接続される。NMOSトランジスタ52のソースは、GND端子に接続される。オシレータ53は、CRT端子電圧Vcrtに応じて出力段54を制御する。出力段54は、PMOSトランジスタ54Aと、NMOSトランジスタ54Bと、を有する。PMOSトランジスタ54Aのソースは、VIN端子に接続される。PMOSトランジスタ54Aのドレインは、NMOSトランジスタ54Bのドレインに接続される。NMOSトランジスタ54Bのソースは、GND端子に接続される。PMOSトランジスタ54AとNMOSトランジスタ54Bが接続されるノードN3は、OUT端子に接続される。PMOSトランジスタ54AとNMOSトランジスタ54Bの各ゲートは、オシレータ53により相補的に制御される。すなわち、PMOSトランジスタ54Aがオン状態のとき、NMOSトランジスタ54Bはオフ状態、PMOSトランジスタ54Aがオフ状態のとき、NMOSトランジスタ54Bはオン状態に制御される。また、オシレータ53は、定電流源51のオン/オフ、およびNMOSトランジスタ52のオン/オフの制御も行う。
【0047】
このような構成の半導体装置50の動作について
図9に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、
図9においては、上段から順に、CRT端子電圧VcrtおよびOUT端子の電圧である出力電圧Voutの波形例を示す。
【0048】
タイミングt31で、オシレータ53によりNMOSトランジスタ52がオフ状態、定電流源51がオン状態とされ、CRT端子を介してコンデンサ57の充電が開始され、CRT端子電圧Vcrtが立ち上りを開始する。このとき、オシレータ53により出力電圧Voutは、ローレベルに制御される。その後、タイミングt32でCRT端子電圧Vcrtが所定の放電閾値電圧Vcrt_disに達すると、オシレータ53は、定電流源51をオフ状態、NMOSトランジスタ52をオン状態に切り替え、DISC端子を介したコンデンサ57の放電が開始され、CRT端子電圧Vcrtが立ち下りを開始する。このとき、オシレータ53により出力電圧Voutは、ハイレベルに制御される。その後、タイミングt33でCRT端子電圧Vcrtが所定の充電閾値電圧Vcrt_chaに達すると、オシレータ53は、定電流源51をオン状態、NMOSトランジスタ52をオフ状態に切り替え、コンデンサ57の充電が開始され、CRT端子電圧Vcrtが立ち上りを開始する。このとき、オシレータ53により出力電圧Voutは、ローレベルに制御される。以降、同様の動作が繰り返され、CRT端子電圧Vcrtは三角波に制御され、OUT端子からパルス状の出力電圧Voutが出力される。
【0049】
ここで、CRT端子には、ESD保護素子55が接続される。コンデンサ57の充電は、定電流源51およびCRT端子を介した充電経路に流れる電流I21により行われるが、ESD保護素子55にリーク電流I22が流れる。そこで、電流注入部56を設けている。電流注入部56は、ESD保護素子55と同一の素子を有し、当該素子に流れる電流に基づく電流I23を上記充電経路に注入する。これにより、リーク電流I22をキャンセルし、温度によるCRT端子電圧Vcrtの立ち上り時間T1(
図9)のばらつきを抑制できる。また、コンデンサ57の放電時には、NMOSトランジスタ52を放電電流I24が流れるが、ESD保護素子55に流れるリーク電流I22を電流I23によりキャンセルするので、温度によるCRT端子電圧Vcrtの立ち下り時間T2(
図9)のばらつきを抑制できる。
【0050】
<4.その他>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0051】
<5.付記>
上記のように例えば、本開示の一態様に係る半導体装置(10)は、
コンデンサ(9)を外部に接続可能に構成されるコンデンサ接続端子(CT端子)と、
前記コンデンサへの充電を行うように構成される充電部(5)と、
前記コンデンサ接続端子に接続されるESD保護素子(6)と、
前記ESD保護素子と同一の素子である同一素子(11A)を有し、前記同一素子に流れるリーク電流に基づく電流を前記充電部により充電を行う充電経路に流し込むように構成される電流注入部(11)と、を備える(第1の構成)。
【0052】
また、上記第1の構成において、平面視において、前記ESD保護素子(6)の幾何中心位置と前記同一素子(11A)の幾何中心位置とを結ぶ線上(L)には、素子として前記ESD保護素子および前記同一素子のみが配置される構成としてもよい(第2の構成)。
【0053】
また、上記第1または第2の構成において、前記電流注入部(11)は、前記リーク電流をミラーリングして前記充電経路に注入するように構成されるカレントミラー(11B)を有する構成としてもよい(第3の構成)。
【0054】
また、上記第3の構成において、前記カレントミラー(11B)は、前記同一素子(11A)に接続される入力側トランジスタ(111)と、前記充電経路に接続される出力側トランジスタ(112)と、を有し、
前記入力側トランジスタと前記出力側トランジスタは、平面視において隣接して配置される構成としてもよい(第4の構成)。
【0055】
また、上記第1から第4のいずれかの構成において、リセット信号を出力可能に構成される第1出力端子(OUT端子)と、
前記第1出力端子に接続される出力スイッチ(8)と、
をさらに備え、
前記充電部(5)は、電源電圧(VDD)が所定電圧に達すると充電を開始するように構成され、
前記コンデンサ接続端子(CT端子)の電圧に基づいて前記出力スイッチが制御される構成としてもよい(第5の構成)。
【0056】
また、上記第5の構成において、前記電源電圧の印加端を接続可能に構成される検出端子(SENSE端子)と、
前記検出端子の電圧を分圧した電圧と基準電圧(VREF)とが入力されるように構成される第1コンパレータ(4)と、
をさらに備え、
前記充電部(5)は、第1定電流源(5A)と、前記第1定電流源に接続される第1スイッチ(5B)と、を有し、
前記第1定電流源および前記第1スイッチは、前記第1コンパレータの出力に基づいてオン/オフを制御される構成としてもよい(第6の構成)。
【0057】
また、上記第6の構成において、前記コンデンサ接続端子の電圧(Vct)と前記基準電圧(VREF)とが入力され、前記出力スイッチ(8)のオン/オフを制御するように構成される第2コンパレータ(7)をさらに備える構成としてもよい(第7の構成)。
【0058】
また、上記第1から第4のいずれかの構成において、前記コンデンサ(39)によって、クロック入力を監視するための監視時間を設定されるように構成されるウォッチドッグタイマ(35)をさらに備える構成としてもよい(第8の構成)。
【0059】
また、上記第1から第4のいずれかの構成において、
前記充電部は、前記コンデンサ接続端子(CRT端子)に接続される第2定電流源(51)を有し、
当該半導体装置(50)は、
前記コンデンサ接続端子に抵抗(58)を介して接続可能に構成される放電端子(DISC端子)と、
前記放電端子に接続される第2スイッチ(52)と、
第2出力端子(OUT端子)と、
前記第2出力端子に接続される出力段(54)と、
前記第2定電流源および前記第2スイッチのオン/オフ、および前記出力段を制御するように構成されるオシレータ(53)と、をさらに備える構成としてもよい(第9の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、様々な用途のリセットIC、タイマICなどに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 半導体装置
2,3 分圧抵抗
4 コンパレータ
5 充電部
5A 定電流源
5B NMOSトランジスタ
6 ESD保護素子
7 コンパレータ
8 NMOSトランジスタ
9 コンデンサ
10 半導体装置
11 電流注入部
11A 同一素子
11B カレントミラー
20 半導体装置
21,22 分圧抵抗
23 コンパレータ
24 フリップフロップ
25 インバータ
26 NMOSトランジスタ
27 抵抗
28 インバータ
29 NOR回路
30 NAND回路
31 NMOSトランジスタ
32 ESD保護素子
33 電流注入部
34 パルス発生器
35 ウォッチドッグタイマ
35A,35B 定電流源
35C,35D コンパレータ
35E フリップフロップ
36 ESD保護素子
37 電流注入部
38,39 コンデンサ
40 プルアップ抵抗
50 半導体装置
51 定電流源
52 NMOSトランジスタ
53 オシレータ
54 出力段
54A PMOSトランジスタ
54B NMOSトランジスタ
55 ESD保護素子
56 電流注入部
57 コンデンサ
58 抵抗
111 入力側トランジスタ
112 出力側トランジスタ