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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094082
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】作業機械のペダル装置及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/56 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B66C13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210825
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 達也
(72)【発明者】
【氏名】本庄 浩平
(57)【要約】
【課題】オペレータの好みに応じて足踏板の操作性が向上したペダル装置を提供する。
【解決手段】作業機械のペダル装置には、足踏板(14)を備えた足踏ペダル(10)が設けられている。足踏ペダル(10)は、第1位置と、第1位置に対して、上から見たときに、左右方向に回転した第2位置とに変更して固定可能な調整機構を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足踏板を備えた足踏ペダルが設けられた作業機械のペダル装置であって、
前記足踏ペダルは、第1位置と、前記第1位置に対して、上から見たときに、左右方向に回転した第2位置とに変更して固定可能な調整機構を備えることを特徴とする作業機械のペダル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械のペダル装置において、
前記足踏ペダルは、前記足踏板と、前記足踏板を固定するベース部と、前記ベース部に連結され、回動によって作業機械の動作速度または動作量を決定する回動部と、を有し、
前記調整機構は、前記足踏板の向きを、前記ベース部に対して左右に回転させて、前記第1位置と前記第2位置とに変更可能であることを特徴とする作業機械のペダル装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業機械のペダル装置において、
前記足踏板は、手前側に設けられた支点を中心に先端側が回転することで、前記第1位置と前記第2位置とに変更可能な構造であることを特徴とする作業機械のペダル装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の作業機械のペダル装置において、
前記調整機構は、前記足踏板の位置を、予め定められた前記第1位置及び前記第2位置に選択的に変更可能であることを特徴とする作業機械のペダル装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の作業機械のペダル装置において、
前記調整機構は、前記足踏板の位置を無段階に変更可能であることを特徴とする作業機械のペダル装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の作業機械のペダル装置において、
前記足踏ペダルを複数有し、
複数の前記足踏ペダルの各々が、前記調整機構を有することを特徴とする作業機械のペダル装置。
【請求項7】
請求項6に記載の作業機械のペダル装置において、
前記複数の足踏ペダルは共通の形状を有することを特徴とする作業機械のペダル装置。
【請求項8】
請求項1に記載の作業機械のペダル装置を備えた作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のペダル装置及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーンのペダル装置として、例えば特許文献1には、足踏板の前後の位置を調整する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58-51323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のペダル装置では、足踏板の操作性に改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、足踏板の操作性を向上したペダル装置及びこれを搭載した作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明は、足踏板を備えた足踏ペダルが設けられた作業機械のペダル装置であって、前記足踏ペダルは、第1位置と、前記第1位置に対して、上から見たときに、左右方向に回転した第2位置とに変更して固定可能な調整機構を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、足踏板の操作性を向上できる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】クレーンの側面図である。
図2】運転室の全体を示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係る足踏ペダルの組立斜視図である。
図4】第1実施形態に係る足踏ペダルの分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係るベース板の平面図である。
図6】第1実施形態に係るペダル装置のレイアウトを示す図である。
図7】第2実施形態に係る足踏ペダルの分解斜視図である。
図8】第2実施形態に係るベース板の平面図である。
図9】第2実施形態の変形例に係る足踏ペダルの外観斜視図である。
図10】第2実施形態の変形例に係る足踏ペダルの分解斜視図である。
図11】第3実施形態に係る足踏ペダルの組立斜視図である。
図12】第3実施形態に係る足踏ペダルの分解斜視図である。
図13】第3実施形態に係るベース板の平面図である。
図14】第3実施形態に係るペダル装置のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るクレーンの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、クレーン100の側面図である。クレーン100は、クローラクレーンであり、走行体101と、旋回輪102を介して走行体101上に旋回可能に設けられた旋回体103と、旋回体103に回動可能に軸支されたブーム104とを有する。走行体101は、トラックフレーム101aと、トラックフレーム101aに取り付けられるクローラ101bとを有する。
【0011】
旋回体103には運転室109が設けられ、原動機であるエンジン107のほか、ウインチ装置である巻上ドラム105およびリヤウインチドラム106が搭載されている。巻上ドラム105には巻上ロープ105aが巻回され、巻上ドラム105の駆動により巻上ロープ105aが巻き取りまたは繰り出され、フック110が昇降する。リヤウインチドラム106には起伏ロープ106aが巻回され、リヤウインチドラム106の駆動により起伏ロープ106aが巻き取りまたは繰り出され、ブーム104が起伏する。
【0012】
旋回体103は旋回輪102を介して旋回用油圧モータ(不図示)により旋回駆動され、巻上ドラム105は巻上用油圧モータ(不図示)により駆動され、リヤウインチドラム106はリヤウインチ用油圧モータ(不図示)により駆動される。
【0013】
図2は運転室109の全体を示す斜視図である。図2に示すように、運転室109には、オペレータが着座する運転席201と、運転席201に着座したオペレータが右手で操作する右側レバー群(走行レバー、ウインチ操作レバーなど)210と、運転席201に着座したオペレータが左手で操作する左側レバー(旋回レバー)221と、が設けられている。また、運転席201の左前方には、表示装置231が設けられており、クレーン100の運転状態や警告などの各種情報が表示される。
【0014】
運転室109の床には、巻上ドラム105を制動するための巻上ドラムブレーキペダル251と、リヤウインチドラム106を制動するためのリヤドラムブレーキペダル252と、エンジン107の回転速度を増減させるためのアクセルペダル261と、旋回体103を制動するための旋回ブレーキペダル262とが設けられている。
【0015】
巻上ドラムブレーキペダル251、リヤドラムブレーキペダル252、アクセルペダル261、旋回ブレーキペダル262は、図3に示す足踏ペダル10の一例である。また、巻上ドラムブレーキペダル251、リヤドラムブレーキペダル252、アクセルペダル261、旋回ブレーキペダル262(すなわち、複数の足踏ペダル10)の全部または一部が左右方向に並列に設けられて、図6に示す作業機械のペダル装置1が構成される。なお、足踏ペダル10の具体例は前述の例に限定されず、例えば、第3のドラムを制動するものでもよい。
【0016】
図3図6を参照して、第1実施形態に係る足踏ペダル10及びペダル装置1の詳細を説明する。図3は、第1実施形態に係る足踏ペダル10の組立斜視図である。図4は、第1実施形態に係る足踏ペダル10の分解斜視図である。図5は、第1実施形態に係るベース板13の平面図である。図6は、第1実施形態に係るペダル装置1のレイアウトを示す図である。
【0017】
図3及び図4に示すように、足踏ペダル10は、操作レバー11(回動部)と、固定軸12と、ベース板13(ベース部)と、足踏板14と、ボルト15a、15b、15c(固定部材)を主に備える。
【0018】
操作レバー11は、オペレータによる踏み込み操作によって回転(揺動)する長尺状の部材である。図3に示すように、操作レバー11の一端(下端)には、固定軸12が挿通されるブッシュ111が設けられている。また、図4に示すように、操作レバー11の他端(上端)には、ベース板13及び足踏板14を取り付けるための踏板支持部112が設けられている。なお、ブッシュ111及び踏板支持部112は、操作レバー11の延設方向の異なる位置に設けられていれば、操作レバー11の端部に限定されない。また、回動部は操作レバー11の形態に限定されず、ベース板13に連結され、回動によってクレーン100の動作速度または動作量を決定できればよい。
【0019】
図3に示すように、固定軸12は、ベアリング(不図示)を介してブッシュ111に挿通されている。また、固定軸12は、左右方向に延設されている。さらに、固定軸12の両端部は、一対の支持ブラケット(不図示)に固定される。これにより、操作レバー11は、固定軸12周りに回転可能に支持される。
【0020】
図5に示すように、ベース板13は、長手方向及び短手方向を有する板状の部材である。また、ベース板13には、基端側ボルト穴131及び複数の先端側ボルト穴132a、132b、132c、132d、132e、132f(以下、これらを総称して、「先端側ボルト穴132」と表記することがある。)が形成されている。基端側ボルト穴131及び先端側ボルト穴132は、ベース板13の異なる位置において、ベース板13を厚み方向に貫通している。なお、先端側ボルト穴132a~132fの数は、6個に限定されず、2個以上であればよい。
【0021】
基端側ボルト穴131は、先端側ボルト穴132(より詳細には、長手方向の中央)よりベース板13の基端側(後方側)に配置されている。先端側ボルト穴132は、基端側ボルト穴131(より詳細には、長手方向の中央)よりベース板13の先端側(前方側)に配置されている。また、複数の先端側ボルト穴132a~132fは、基端側ボルト穴131を中心とする円弧に沿って分散配置されている。換言すれば、先端側ボルト穴132a~132fは、基端側ボルト穴131から等距離の位置で、且つベース板13の短手方向(左右方向)に離間して配置されている。
【0022】
そして、図4に示すように、ベース板13は、長手方向を前後方向に向けた状態で、厚み方向の一方側の面(下面)が操作レバー11の踏板支持部112に固定(例えば、溶接)される。また、ベース板13は、厚み方向の他方側の面(上面)で足踏板14を着脱可能に支持(固定)する。
【0023】
足踏板14は、長手方向及び短手方向を有する板状の部材である。また、足踏板14には、基端側ボルト穴141及び複数の先端側ボルト穴142a、142b(以下、これらを総称して、「先端側ボルト穴142」と表記することがある。)が形成されている。基端側ボルト穴141及び先端側ボルト穴142は、足踏板14の異なる位置において、足踏板14を厚み方向に貫通している。なお、先端側ボルト穴142a、142bの数は、2個に限定されず、1個以上であればよい。
【0024】
基端側ボルト穴141は、先端側ボルト穴142(より詳細には、長手方向の中央)より足踏板14の基端側(後方側)に配置されている。先端側ボルト穴142は、基端側ボルト穴141(より詳細には、長手方向の中央)より足踏板14の先端側(前方側)に配置されている。また、複数の先端側ボルト穴142a、142bは、基端側ボルト穴141を中心とする円弧に沿って分散配置されている。換言すれば、先端側ボルト穴142a、142bは、基端側ボルト穴141から等距離の位置で、且つ足踏板14の短手方向(左右方向)に離間して配置されている。
【0025】
足踏板14は、基端側ボルト穴141がベース板13の基端側ボルト穴131に連通し、先端側ボルト穴142a、142bがベース板13の先端側ボルト穴132a~132fのいずれかに連通するように、ベース板13上に載置される。そして、連通する基端側ボルト穴131、141にボルト15aが螺合され、連通する2組の先端側ボルト穴132、142にボルト15b、15cが螺合されることによって、足踏板14がベース板13に固定(締結)される。
【0026】
一例として、ベース板13の先端側ボルト穴132b、132eと、足踏板14の先端側ボルト穴142a、142bとにボルト15b、15cを螺合すると、図6(A)の足踏ペダル10A~10C及び図6(B)の足踏ペダル10Bのように、足踏板14が中立位置でベース板13に固定される。中立位置とは、足踏板14を上から見たときに、足踏板14の長手方向が前後方向(換言すれば、操作レバー11の延設方向)に沿う足踏板14の位置である。
【0027】
他の例として、ベース板13の先端側ボルト穴132a、132dと、足踏板14の先端側ボルト穴142a、142bとにボルト15b、15cを螺合すると、図6(B)及び図6(C)の足踏ペダル10Aのように、足踏板14が左傾斜位置でベース板13に固定される。左傾斜位置とは、足踏板14を上から見たときに、足踏板14の長手方向が前後方向(換言すれば、操作レバー11の延設方向)に対して、前方に向かって左傾斜する足踏板14の位置である。
【0028】
さらに他の例として、ベース板13の先端側ボルト穴132c、132fと、足踏板14の先端側ボルト穴142a、142bとにボルト15b、15cを螺合すると、図6(B)の足踏ペダル10C及び図6(C)の足踏ペダル10B、10Cのように、足踏板14が右傾斜位置でベース板13に固定される。右傾斜位置とは、足踏板14を上から見たときに、足踏板14の長手方向が前後方向(換言すれば、操作レバー11の延設方向)に対して、前方に向かって右傾斜する足踏板14の位置である。
【0029】
すなわち、足踏板14を上から見たときに、足踏板14は、連通する基端側ボルト穴131、141の位置を回転中心(支点)として、先端側が左右方向に回転する。また、ベース板13及び足踏板14の基端側の取付位置(連通する基端側ボルト穴131、141)を固定し、ベース板13及び足踏板14の先端側の取付位置(連通する先端側ボルト穴132、142の組み合わせ)を左右方向にずらすことによって、足踏板14の先端側が左右方向に回転する。さらに、足踏板14の位置は、連通する先端側ボルト穴132、142の組み合わせを変更することによって、予め定められた中立位置、左傾斜位置、及び右傾斜位置に選択的に変更可能である。
【0030】
中立位置、左傾斜位置、及び右傾斜位置のうち、少なくとも1つは第1位置の一例であり、他の少なくとも1つは第2位置の一例である。すなわち、足踏板14は、中立位置、左傾斜位置、及び右傾斜位置のうちの少なくとも2つの間を移動(回転)可能であればよい。また、足踏板14の位置は、前述の3つに限定されず、4つ以上でもよい。さらに、基端側ボルト穴131、141、先端側ボルト穴132、142、及びボルト15a、15b、15cは、足踏板14の位置を変更して固定可能な調整機構の一例を構成する。具体的には、調整機構は、足踏板14の向きを、ベース板13に対して左右に回転させて、第1位置と第2位置とに変更させるものである。
【0031】
なお、オペレータによって足踏板14が厚み方向に踏み込まれると、操作レバー11が固定軸12の周りに回転する。そして、操作レバー11の回転が伝達されたリンク機構が油圧弁を機械的に開閉することによって、対応するアクチュエータの動作が制御される。他の例として、操作レバー11の回転角度は、回転角度センサ(不図示)によって検出されてもよい。そして、回転角度センサによって検出された回転角度に応じて、対応するアクチュエータの動作が制御されてもよい。
【0032】
ここで、オペレータによって足踏板14が踏み込まれていない状態において、ベース板13及び足踏板14は、先端側(前方側)に向かって上り傾斜している。また、オペレータによって足踏板14が踏み込まれると、ベース板13及び足踏板14の先端が下がる方向に操作レバー11が回転する。すなわち、オペレータによる足踏板14の踏込量が多い程、水平面に対するベース板13及び足踏板14の傾斜角が小さくなる。
【0033】
そして、ベース板13及び足踏板14の傾斜角(すなわち、足踏板14の踏込量)に拘わらず、足踏ペダル10の構成部品の位置関係は、ベース板13及び足踏板14を上から見たときに前述した通りとなる。但し、ベース板13及び足踏板14を「上から見たときに」は、例えば、以下のように言い換えることもできる。
【0034】
一例として、ベース板13及び足踏板14の板厚が一定の場合において、ベース板13及び足踏板14を「上から見たときに」は、ベース板13及び足踏板14を「厚み方向からみたときに」と言い換えることができる。他の例として、ベース板13及び足踏板14を「上から見たときに」は、ベース板13及び足踏板14を「ボルト15a~15cの軸方向からみたときに」または「足踏板14の踏み込み方向(固定軸12を中心とする足踏板14の回転軌跡の接線方向)から見たときに」と言い換えることができる。
【0035】
図6に示すように、第1実施形態に係るペダル装置1は、左右方向に並列に配置された複数の足踏ペダル10A、10B、10Cを備える。足踏ペダル10A、10B、10Cの構成は、図3図5に示す足踏ペダル10と共通する。すなわち、ペダル装置1は、形状が共通する複数の足踏ペダル10A、10B、10Cを備える。一例として、複数の足踏ペダル10A、10B、10Cは、左右方向に離間した位置において、操作レバー11が平行になるように配置される。他の例として、複数の足踏ペダル10A、10B、10Cは、固定軸12が一直線上に並ぶように配置される。但し、複数の足踏ペダル10A、10B、10Cの具体的な配置は、前述の例に限定されない。また、ペダル装置1を構成する足踏ペダル10の数は、3つに限定されず、2つ以上であればよい。
【0036】
図6(A)は、全ての足踏ペダル10A~10Cの足踏板14を中立位置にした例である。このようなレイアウトは、例えば、脚を揃えた状態で運転席201に着席するオペレータに好適である。図6(B)は、左側の足踏ペダル10Aの足踏板14を左傾斜位置とし、中央の足踏ペダル10Bの足踏板14を中立位置とし、右側の足踏ペダル10Cの足踏板14を右傾斜位置とした例である。このようなレイアウトは、例えば、脚を少し広げた状態で運転席201に着席するオペレータに好適である。図6(C)は、左側の足踏ペダル10Aの足踏板14を左傾斜位置とし、中央及び右側の足踏ペダル10B、10Cの足踏板14を右傾斜位置とした例である。このようなレイアウトは、例えば、脚を大きく広げた状態で運転席201に着席するオペレータに好適である。但し、複数の足踏ペダル10A~10Cの足踏板14のレイアウトは、図6の例に限定されない。
【0037】
第1実施形態によれば、例えば図6に示すように、並列に配置された複数の足踏ペダル10A~10Cそれぞれの足踏板14を、独立して回転させることができる。これにより、オペレータの好みに応じて、複数の足踏板14の操作性が向上したペダル装置1を得ることができる。
【0038】
なお、第1実施形態に係る足踏板14には、N(=2)個の先端側ボルト穴142が形成されている。また、第1実施形態に係るベース板13には、N×M(=6)個の先端側ボルト穴132a~132fが形成されている。ここで、Nは、正の整数であればよい。また、M(=3)は、足踏板14の取り得る位置(中立位置、左傾斜位置、右傾斜位置)の数に対応し、2以上の整数であればよい。
【0039】
また、第1実施形態によれば、基端側ボルト穴131、141(換言すれば、ボルト15a)の位置を支点とし、連通する先端側ボルト穴132、142の組み合わせを変更することによって、レイアウトの変更が容易になる。まず、ボルト15aを緩めると共に、ボルト15b、15cを取り外す。次に、所望の先端側ボルト穴132、142が連通するように、ボルト15bを回転中心として足踏板14の先端側を回転させる。そして、新たに連通した先端側ボルト穴132、142にボルト15b、15cを螺合すると共に、ボルト15aを締め込めばよい。
【0040】
このように、足踏板14は、手前側に設けられた支点を中心に先端側が回転することで、第1位置と第2位置とに変更可能な構造なので、ペダル装置1の後ろにオペレータに座った際の足の回動の仕方(オペレータの手前側を支点に足先が回転する回動の仕方)と同じように足踏板14が回転するので第1位置と第2位置とに変更した際にもオペレータに対する足踏板14の位置自体は変わりにくい。
【0041】
また、第1実施形態によれば、足踏ペダル10A~10Cの形状を共通にすることによって、部品点数を増加させることなく、オペレータの所望のレイアウトを実現できる。但し、足踏ペダル10A~10Cの構成部品の一部は、異なる形状でもよい。また、足踏板14が回転可能なのは、ペダル装置1を構成する複数の足踏ペダル10A~10Cの一部であってもよい。すなわち、ペダル装置1を構成する複数の足踏ペダル10A~10Cのうちの少なくとも1つが、調整機構を備えてもよい。
【0042】
なお、第1実施形態では、複数の足踏ペダル10A~10Cを有するペダル装置1において、複数の足踏ペダル10A~10Cの各々が調整機構を有する例を説明したが、ペダル装置1が備える足踏ペダル10は1つでもよい。ただし、複数の足踏ペダルを備えた構成の場合において、オペレータが2つの足踏ペダルに同時に足を掛けた場合、オペレータの姿勢は制限されることになるが、複数の足踏ペダルのうち少なくともいずれか一つが調整機構を有していると、操作性の向上に非常に有利である。特に、足踏ペダルが3つ以上の場合、必ず足踏ペダルの踏替えが生じるので、それぞれの足踏ペダルの作業内容の頻度などが異なる作業内容に応じて調整機構による調整ができ、操作性の向上の効果がより大きい。後述する第2実施形態~第3実施形態についても同様である。
【0043】
<第2実施形態>
次に、図7及び図8を参照して、第2実施形態に係る足踏ペダル20を説明する。図7は、第2実施形態に係る足踏ペダル20の分解斜視図である。図8は、第2実施形態に係るベース板23の平面図である。なお、第1実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0044】
第2実施形態に係るベース板23は、複数の先端側ボルト穴132に代えて長穴232が形成されている点で、第1実施形態に係るベース板13と相違する。長穴232は、基端側ボルト穴131(より詳細には、長手方向の中央)よりベース板23の先端側(前方側)において、ベース板23を厚み方向に貫通している。また、長穴232は、基端側ボルト穴131を中心とする円弧形状に形成されている。さらに、基端側ボルト穴131、141が連通するようにベース板23及び足踏板14を重ねると、長穴232は、先端側ボルト穴142に連通する位置に形成されている。
【0045】
第2実施形態に係る足踏ペダル20によれば、連通する基端側ボルト穴131、141の位置を支点として、足踏板14を左右方向に任意の角度に回転させても、先端側ボルト穴142が長穴232に連通した状態が維持される。これにより、先端側ボルト穴142に挿通したボルト15b、15cは、長穴232を通過してベース板23の下面に突出する。そして、ベース板23を貫通したボルト15b、15cにナット16b、16cを螺合することによって、足踏板14が所望の角度でベース板23に固定される。
【0046】
基端側ボルト穴131、141、先端側ボルト穴142、長穴232、ボルト15a、15b、15c、及びナット16b、16cは、第2実施形態に係る調整機構の一例を構成する。そして、第2実施形態に係る調整機構は、ベース板23に対して足踏板14を任意の角度で固定(すなわち、足踏板14の位置を無段階に変更)することができる。
【0047】
第2実施形態によれば、第1実施形態と比較して、足踏板14の位置(ベース板23に対する角度)の微調整が可能になる。その結果、足踏板14の操作性がさらに向上したペダル装置1を得ることができる。
【0048】
また、第2実施形態によれば、ボルト15a、15b、15cを緩めて、足踏板14を所望の角度に回転させ、ボルト15a、15b、15cを締め込むことによって、足踏板14の調整が完了する。すなわち、第1実施形態のように、ボルト15b、15cを取り外す必要がないので、足踏板14のレイアウト変更がさらに容易になる。
【0049】
<第2実施形態の変形例>
次に、図9及び図10を参照して、第2実施形態の変形例に係る足踏ペダル20’を説明する。図9は、変形例に係る足踏ペダル20’の外観斜視図である。図10は、変形例に係る足踏ペダル20’の分解斜視図である。なお、第1実施形態及び第2実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0050】
第2実施形態の変形例に係る足踏板24は、複数の先端側ボルト穴142a、142bに代えて長穴242が形成されている点で、第1及び第2実施形態に係るベース板13と相違する。一方、第2実施形態の変形例に係るベース板13には、第1実施形態に係るベース板13に設けられた先端側ボルト穴132a~132fの一部(図10では、2つの先端側ボルト穴132c、132d)のみが形成されている。
【0051】
長穴242は、基端側ボルト穴141(より詳細には、長手方向の中央)より足踏板24の先端側(前方側)において、足踏板24を厚み方向に貫通している。また、長穴242は、基端側ボルト穴141を中心とする円弧形状に形成されている。さらに、基端側ボルト穴131、141が連通するようにベース板13及び足踏板24を重ねると、長穴242は、先端側ボルト穴132c、132dに連通する位置に形成されている。
【0052】
すなわち、変形例では、第2実施形態と比較して、先端側ボルト穴132c、132d及び長穴242が形成される部材(ベース板13及び足踏板24)が逆転している。これにより、第2実施形態と同様の作用効果を得ることができると共に、ナット16b、16cが省略できるので第2実施形態より簡易な構成となる。すなわち、第2実施形態では、ベース板及び足踏板の一方に先端側ボルト穴が形成され、ベース板及び足踏板の他方に長穴が形成されていればよい。
【0053】
<第3実施形態>
次に、図11図14を参照して、第3実施形態に係る足踏ペダル30及びペダル装置3を説明する。図11は、第3実施形態に係る足踏ペダル30の組立斜視図である。図12は、第3実施形態に係る足踏ペダル30の分解斜視図である。図13は、第3実施形態に係るベース板33の平面図である。図14は、第3実施形態に係るペダル装置3のレイアウトを示す図である。なお、第1実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0054】
第3実施形態に係る足踏板34には、左右方向に離間したN(=2)個の基端側ボルト穴341a、341bと、左右方向に離間したN個の先端側ボルト穴342a、342bとが形成されている。また、第3実施形態に係るベース板33には、N×M個(=6)の基端側ボルト穴331a、331b、331c、331d、331e、331fと、N×M個の先端側ボルト穴332a、332b、332c、332d、332e、332fとが形成されている。
【0055】
そして、足踏板34の基端側ボルト穴341a、341bと、ベース板33の6つの基端側ボルト穴331a~331fから選ばれた2つの基端側ボルト穴331とを連通させて、ボルト15a、15bが螺合される。また、足踏板34の先端側ボルト穴342a、342bと、ベース板33の6つの先端側ボルト穴332a~332fから選ばれた2つの先端側ボルト穴332とを連通させて、ボルト15c、15dが螺合される。基端側ボルト穴331a~33f、341a、341b、先端側ボルト穴332a~332f、342a、342b、及びボルト15a~15dは、第3実施形態に係る調整機構の一例を構成する。
【0056】
より詳細には、足踏板34の基端側ボルト穴341a、341bと、ベース板33の基端側ボルト穴331a、331bとを連通させてボルト15a、15bを螺合し、足踏板34の先端側ボルト穴342a、342bと、ベース板33の先端側ボルト穴332a、332bとを連通させてボルト15c、15dを螺合すると、ベース板33に対して足踏板34が中立位置に固定される。
【0057】
また、足踏板34の基端側ボルト穴341a、341bと、ベース板33の基端側ボルト穴331c、331dとを連通させてボルト15a、15bを螺合し、足踏板34の先端側ボルト穴342a、342bと、ベース板33の先端側ボルト穴332c、332dとを連通させてボルト15c、15dを螺合すると、ベース板33に対して足踏板34が左傾斜位置に固定される。
【0058】
さらに、足踏板34の基端側ボルト穴341a、341bと、ベース板33の基端側ボルト穴331e、331fとを連通させてボルト15a、15bを螺合し、足踏板34の先端側ボルト穴342a、342bと、ベース板33の先端側ボルト穴332e、332fとを連通させてボルト15c、15dを螺合すると、ベース板33に対して足踏板34が右傾斜位置に固定される。
【0059】
第3実施形態のように構成しても、ベース板33に対して足踏板34を左右方向に回転させることができる。その結果、足踏板34の操作性が向上したペダル装置3を得ることができる。なお、第3実施形態に係る足踏板34は、基端側ボルト穴341a、341b及び先端側ボルト穴342a、342bの間の位置を支点として回転する。すなわち、第1実施形態の足踏板14のように、連通する基端側ボルト穴131、141(換言すれば、ボルト15a)の位置を支点として回転することに限定されない。
【0060】
<その他の実施形態>
なお、第1~第3実施形態では、調整機構は、足踏板の向きをベース板に対して左右に回転させて第1位置と第2位置とに変更可能である例を例示したが、これに限られず、例えば、操作レバーも含めて足踏ペダル全体を、上から見て左右方向に回転させて第1位置と第2位置とに変更可能な調整機構を有するものであってもよい。ただし、調整機構は、足踏板の向きをベース板に対して左右に回転させて第1位置と第2位置とに変更可能であると、操作レバー自体の位置は変更しないので、操作の機構自体には影響なく容易に変更ができる。
【0061】
なお、第1~第3実施形態では、作業機械の一例として、クローラクレーンを例示したが、本発明は、これに限らず、ホイールクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン等の他の移動式クレーンに加えて、タワークレーン、天井クレーン、ジブクレーン、引込みクレーン、スタッカークレーン、門型クレーン、アンローダ、アースドリル、フォークリフト、ショベルエンドアタッチメントとしてリフティングマグネットが取り付けられたリフマグ機、ブルドーザ、ホイールローダ、アスファルトフィニッシャ、林業機械等のあらゆる作業機械に適用可能である。
【0062】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1,3 ペダル装置
10,20,20’,30 足踏ペダル
11 操作レバー
12 固定軸
13,23,33 ベース板
14,24,34 足踏板
15 ボルト
16 ナット
100 クレーン
101 走行体
101a トラックフレーム
101b クローラ
102 旋回輪
103 旋回体
104 ブーム
105 巻上ドラム
105a 巻上ロープ
106 リヤウインチドラム
106a 起伏ロープ
107 エンジン
109 運転室
110 フック
111 ブッシュ
112 踏板支持部
131,141,331、341 基端側ボルト穴
132,142,332,342 先端側ボルト穴
201 運転席
231 表示装置
232,242 長穴
251 巻上ドラムブレーキペダル
252 リヤドラムブレーキペダル
261 アクセルペダル
262 旋回ブレーキペダル
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
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