(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094088
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】作業機械の操作レバー装置及び作業機械
(51)【国際特許分類】
B66C 13/56 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B66C13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210834
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 達也
(72)【発明者】
【氏名】本庄 浩平
(57)【要約】
【課題】操作レバーの回転角度をより精度よく検出できる操作レバー装置を提供する。
【解決手段】作業機械の操作レバー装置(10)は、固定軸(13)周りに回転する操作レバー(11)と、固定軸を回転不能に支持する支持部材(14L,14R)と、操作レバー(11)と一体的に回転する補助レバー(15)と、補助レバー(15)に固定され、操作レバー(15)の固定軸周りの回転角度を直接検出する回転角度センサ(18)とを備えた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定軸周りに回転する操作レバーと、
前記固定軸を回転不能に支持する支持部材と、
前記操作レバーと一体的に回転する補助レバーと、
前記補助レバーに固定され、前記操作レバーの前記固定軸周りの回転角度を直接検出する回転角度センサと、を備えた作業機械の操作レバー装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械の操作レバー装置において、
前記支持部材は、前記操作レバーよりも前記固定軸の軸方向外側に取り付けられ、
前記補助レバーは、前記支持部材よりも前記固定軸の軸方向外側に取り付けられることを特徴とする作業機械の操作レバー装置。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械の操作レバー装置において、
前記補助レバーは、突起部を備え、
前記突起部は、前記支持部材に設けられた穴の内側を通り、前記操作レバーに固定されることを特徴とする作業機械の操作レバー装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の作業機械の操作レバー装置において、
前記回転角度センサは、前記固定軸と軸方向に重なることを特徴とする作業機械の操作レバー装置。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械の操作レバー装置において、
前記回転角度センサは、前記補助レバーに固定されるボディと、前記固定軸と係合する検出軸とを含み、
前記検出軸に対する前記ボディの回転角度を検出することで、前記操作レバーの前記固定軸に対する回転角度を検出することを特徴とする作業機械の操作レバー装置。
【請求項6】
請求項5に記載の作業機械の操作レバー装置において、
前記固定軸と前記回転角度センサとの間には、前記固定軸と前記回転角度センサの前記検出軸とを同心軸上に位置決めを行う位置決め部材を有することを特徴とする作業機械の操作レバー装置。
【請求項7】
請求項1に記載の作業機械の操作レバー装置を備えた作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の操作レバー装置及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば特許文献1には、回転不能な固定軸の周りを回転する操作レバーの回転角度(操作量)を、回転角度センサを用いて電気信号に変換する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、回転角度センサの検出軸が操作レバーの回転軸とは異なる軸上に配置されており、操作レバーの回転角度を間接的に検出する構成である。そのため、機構のガタ、遊び、摩耗などの外的要因によって、回転角度の検出精度が低いという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、操作レバーの回転角度をより精度よく検出できる操作レバー装置及びこれを搭載したクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明は、固定軸周りに回転する操作レバーと、前記固定軸を回転不能に支持する支持部材と、前記操作レバーと一体的に回転する補助レバーと、前記補助レバーに固定され、前記操作レバーの前記固定軸周りの回転角度を直接検出する回転角度センサと、を備えた作業機械の操作レバー装置である。
【0007】
本発明によれば、操作レバーの回転角度をより精度よく検出できる操作レバー装置及びこれを搭載した作業機械を得ることができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】第1実施形態に係る操作レバー装置の分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る操作レバー装置の組立斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る操作レバー装置の平面図である。
【
図6】
図3とは反対側から見た操作レバー装置(A)及びポテンショメータ(B)の斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る操作レバー装置の踏み込み前(A)及び踏み込み中(B)の側面図である。
【
図8】第2実施形態に係る操作レバー装置の分解斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る操作レバー装置の組立斜視図である。
【
図10】第2実施形態に係る操作レバー装置の平面図である。
【
図11】第2実施形態に係る操作レバー装置の踏み込み前(A)及び踏み込み中(B)の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るクレーンの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、クレーン100の側面図である。クレーン100は、クローラクレーンであり、走行体101と、旋回輪102を介して走行体101上に旋回可能に設けられた旋回体103と、旋回体103に回動可能に軸支されたブーム104とを有する。走行体101は、トラックフレーム101aと、トラックフレーム101aに取り付けられるクローラ101bとを有する。
【0011】
旋回体103には運転室109が設けられ、原動機であるエンジン107のほか、ウインチ装置である巻上ドラム105及びリヤウインチドラム106が搭載されている。巻上ドラム105には巻上ロープ105aが巻回され、巻上ドラム105の駆動により巻上ロープ105aが巻き取りまたは繰り出され、フック110が昇降する。リヤウインチドラム106には起伏ロープ106aが巻回され、リヤウインチドラム106の駆動により起伏ロープ106aが巻き取りまたは繰り出され、ブーム104が起伏する。
【0012】
旋回体103は旋回輪102を介して旋回用油圧モータ(不図示)により旋回駆動され、巻上ドラム105は巻上用油圧モータ(不図示)により駆動され、リヤウインチドラム106はリヤウインチ用油圧モータ(不図示)により駆動される。
【0013】
図2は運転室109の全体を示す斜視図である。
図2に示すように、運転室109には、オペレータが着座する運転席201と、運転席201に着座したオペレータが右手で操作する右側レバー群(走行レバー、ウインチ操作レバーなど)210と、運転席201に着座したオペレータが左手で操作する左側レバー(旋回レバー)221と、が設けられている。また、運転席201の左前方には、表示装置231が設けられており、クレーン100の運転状態や警告などの各種情報が表示される。
【0014】
運転室109の床には、巻上ドラム105を制動するための巻上ドラムブレーキペダル251と、リヤウインチドラム106を制動するためのリヤドラムブレーキペダル252と、エンジン107の回転速度を増減させるためのアクセルペダル261と、旋回体103を制動するための旋回ブレーキペダル262とが設けられている。
【0015】
巻上ドラムブレーキペダル251は、巻上ドラム105を制動するオペレータの操作を受け付ける操作レバー装置10の一例である。すなわち、巻上ドラムブレーキペダル251は、オペレータによる踏み込み操作を受け付ける。そして、オペレータによる巻上ドラムブレーキペダル251の踏込量(操作量)に応じて、巻上ドラム105の制動力(動作量)が調整される。すなわち、巻上ドラム105を所望の制動力で制動するためには、巻上ドラムブレーキペダル251の踏込量を正確に検出する必要がある。
【0016】
なお、操作レバー装置10の具体例は、巻上ドラムブレーキペダル251に限定されず、リヤドラムブレーキペダル252、アクセルペダル261、旋回ブレーキペダル262でもよい。また、操作レバー装置10の具体例は、オペレータが足で操作(踏み込み操作)するものに限定されず、右側レバー群210及び左側レバー221のように、オペレータが手で操作(倒伏操作)するものでもよい。
【0017】
図3~
図7を参照して、第1実施形態に係る操作レバー装置10の詳細を説明する。
図3は、第1実施形態に係る操作レバー装置10の分解斜視図である。
図4は、第1実施形態に係る操作レバー装置10の組立斜視図である。
図5は、第1実施形態に係る操作レバー装置10の平面図である。
図6は、
図3とは反対側から見た操作レバー装置10(A)及びポテンショメータ18(B)の斜視図である。
図7は、第1実施形態に係る操作レバー装置10の踏み込み前(A)及び踏み込み中(B)の側面図である。
【0018】
なお、
図3~
図7の「前後」、「左右」、「上下」は相対的な方向であって、以下の例に限定されない。また、
図3~
図7の前後、左右、上下それぞれは逆転していてもよい。
【0019】
図3~
図7に示すように、操作レバー装置10は、操作レバー11と、足踏板12と、固定軸13と、一対の支持ブラケット14L、14R(支持部材)と、補助レバー15と、位置決めブッシュ16(位置決め部材)と、六角支柱17a、17b(突起部)と、ポテンショメータ18(回転角度センサ)とを主に備える。
【0020】
操作レバー11は、オペレータによる踏み込み操作によって回転(揺動)する長尺状の部材である。
図7に示すように、操作レバー11の一端(上端)には、足踏板12を取り付けるための踏板支持部111が設けられている。また、
図3~
図6に示すように、操作レバー11の他端(足踏板12の取付位置と異なる位置)には、固定軸13が挿通されるブッシュ112が設けられている。
【0021】
足踏板12は、厚み方向が左右方向に直交するように、踏板支持部111に取り付けられる。なお、足踏板12の厚み方向は、オペレータによる足踏板12の踏み込み方向に一致する。すなわち、足踏板12は、オペレータによって踏み込まれることによって、左右方向に直交する平面上を移動する。固定軸13は、ベアリング(不図示)を介してブッシュ112に挿通されている。また、固定軸13は、左右方向に延設されている。
【0022】
図5に示すように、支持ブラケット14L、14Rは、左右方向に所定の間隔を隔てて、運転室109の内部に立設されている。また、支持ブラケット14L、14Rは、操作レバー11を挟んで左右方向に対向配置されている。以下、固定軸13の軸方向において、支持ブラケット14L、14Rで挟まれた領域(操作レバー11が配置されている領域)を「支持ブラケット14L、14Rの内側」と表記することがある。また、固定軸13の軸方向において、支持ブラケット14Lの左側及び支持ブラケット14Rの右側の領域を「支持ブラケット14L、14Rの外側」と表記することがある。
【0023】
支持ブラケット14L、14Rは、ブッシュ112から突出した固定軸13の両端部を、厚み方向(左右方向)に貫通させる。
図3に示すように、支持ブラケット14Lの外側に突出した固定軸13の左端には、切り欠き131が形成されている。一方、
図6(A)に示すように、支持ブラケット14Rの外側に突出した固定軸13の右端には、支持ブラケット14Rの外面に取り付けられた廻り止めプレート132が当接している。これにより、支持ブラケット14L、14Rは、固定軸13を回転不能に支持する。また、支持ブラケット14L、14Rは、固定軸13を両持ち支持している。
【0024】
これにより、オペレータによって足踏板12が厚み方向に踏み込まれると、操作レバー11が固定軸13の周りに回転する。一方、支持ブラケット14L、14Rに固定された固定軸13は、足踏板12が踏み込まれても(すなわち、操作レバー11が回転しても)回転しない。
【0025】
図5に示すように、補助レバー15は、支持ブラケット14Lを挟んで操作レバー11と反対側に配置されている。すなわち、補助レバー15は、支持ブラケット14Lの外側に配置されている。より詳細には、支持ブラケット14Lは、操作レバー11よりも固定軸13の軸方向外側に取り付けられている。そして、補助レバー15は、支持ブラケット14Lよりも固定軸13の軸方向外側に取り付けられている。
図3に示すように、補助レバー15は、互いに異なる方向に突出する第1アーム151及び第2アーム152を有する。また、第1アーム151及び第2アーム152の接続部分、第1アーム151の突出端、及び第2アーム152の突出端それぞれには、補助レバー15を厚み方向に貫通する貫通穴153、154、155が形成されている。
【0026】
貫通穴153には、位置決めブッシュ16が挿入される。位置決めブッシュ16は、潤滑剤の補給を必要とせずに、補助レバー15をスムーズに回転させることができる、所謂「無給脂ブッシュ」である。位置決めブッシュ16は、例えば、テフロン(登録商標)やポリプロピレンなどの樹脂、金属、またはこれらの組み合わせで構成される。他の例として、補助レバー15及び位置決めブッシュ16は、樹脂材料などで一体成形されてもよい。さらに、位置決めブッシュ16の右端には、切り欠き131が形成された固定軸13の左端が圧入される。すなわち、補助レバー15は、位置決めブッシュ16を介して固定軸13に回転可能に支持されている。
【0027】
図3に示すように、貫通穴154、155には、ワッシャ154a、155aを介してボルト154b、155bが挿通される。貫通穴154、155に挿通されたボルト154b、155bは、六角支柱17a、17bの左端に螺合される。また、
図4に示すように、六角支柱17a、17bの右端は、固定軸13(ブッシュ112)を挟んで反対側において、操作レバー11に固定(例えば、溶接、圧入)される。すなわち、補助レバー15は、六角支柱17a、17bによって操作レバー11に連結されて、操作レバー11の回動に伴って位置決めブッシュ16の周りに回転する。
【0028】
なお、第1実施形態に係る操作レバー11及び補助レバー15は、リンクやガイドなどを介さずに、直接連結されている。これにより、補助レバー15は、操作レバー11との間にガタや遊びを生じることなく、操作レバー11と一体的に回転する。
【0029】
また、
図4に示すように、第1実施形態に係る六角支柱17a、17bは、支持ブラケット14Lの延設範囲外において、操作レバー11及び補助レバー15を連結する。第1実施形態に係る六角支柱17aは、支持ブラケット14Lの前端より前方において、操作レバー11及び補助レバー15を連結する。また、第1実施形態に係る六角支柱17bは、支持ブラケット14Lの下端より下方において、操作レバー11及び補助レバー15を連結する。そのため、第1実施形態に係る第1アーム151及び第2アーム152は、支持ブラケット14Lの延設範囲外まで突出させる必要がある。
【0030】
図6(B)に示すように、ポテンショメータ18は、ボディ181と、位置決めボス182と、検出軸183(回転軸)とを備える。位置決めボス182は、ボディ181の厚み方向の一方側に露出した円筒形状の部分である。検出軸183は、位置決めボス182の中心から突出して、ボディ181に回転可能に支持されている。そして、ポテンショメータ18は、ボディ181及び検出軸183が相対回転することによって、回転量に応じた電気信号を出力する。
【0031】
図3に示すように、ボディ181は、補助レバー15を挟んで支持ブラケット14L(固定軸13)と反対側において、ワッシャ184及びボルト185によって補助レバー15に固定される。これにより、ボディ181は、補助レバー15(すなわち、操作レバー11)と一体的に回転する。位置決めボス182は、貫通穴153に挿入された位置決めブッシュ16の左端に圧入される。これにより、固定軸13の中心、補助レバー15の回転中心、及び検出軸183の中心が同心軸上に位置決めされる。すなわち、ポテンショメータ18は、固定軸13の軸方向からみたときに、固定軸13に重なる位置に配置されている。
【0032】
検出軸183は、中心軸を挟んで互いに平行な平面部を備える、所謂「Iカット軸」である。そして、検出軸183の突出端は、位置決めブッシュ16内において、固定軸13の切り欠き131に挿入(係合)される。また、検出軸183は、スプリングリターン機構または留めネジを用いて、固定軸13との間にガタや遊びを生じないように固定される。これにより、検出軸183は、操作レバー11及び補助レバー15が回転しても回転しない。
【0033】
図7に示すように、オペレータが足踏板12を踏み込むと、操作レバー11は、固定軸13の周り(
図7の反時計回り)に回転する。これにより、六角支柱17a、17bによって操作レバー11に連結された補助レバー15は、位置決めブッシュ16の周りに、操作レバー11の回転角度と同じだけ回転する。同様に、補助レバー15に固定されたポテンショメータ18のボディ181も、操作レバー11の回転角度と同じだけ回転する。一方、支持ブラケット14L、14Rに固定された固定軸13及び固定軸13に固定(係合)された検出軸183は回転しない。これにより、ボディ181及び検出軸183の相対回転角は、操作レバー11の回転角度に一致する。その結果、ポテンショメータ18は、操作レバー11の回転角度に対応する電気信号を出力する。即ち、ポテンショメータ18は、ボディ181が検出軸183に対して回転した角度を検出することで、操作レバー11の回転角度を直接検出している。換言すれば、本実施形態において、ポテンショメータ18は、操作レバー11の回転角度を、操作レバー11と連動して別の動きをする部材(例えばリンク機構など)を介して間接的に検出する構成とはなっていない。
【0034】
第1実施形態によれば、支持ブラケット14Lの外側に配置された補助レバー15にポテンショメータ18を取り付けることによって、支持ブラケット14L、14Rの内側に配置された操作レバー11の回転角度を、正確かつ簡易に電気信号として取り出すことができる。また、固定軸13を挟んだ反対側に配置された六角支柱17a、17bで操作レバー11及び補助レバー15を連結することによって、操作レバー11及び補助レバー15を安定して一体回転させることができる。その結果、ポテンショメータ18による操作レバー11の回転角度の検出をより精度よく行うことができる。このように、第1実施形態では、操作レバー11の固定軸周りの回転角度を直接検出しているので、操作レバー11の回転角度をより精度よく検出できる。
【0035】
また、第1実施形態によれば、操作レバー11と一体的に回転する補助レバー15にポテンショメータ18を固定して、操作レバー11の回転角度を検出することによって、外的要因(ガタ、遊び、摩耗など)に起因する検出精度のよりよい操作レバー装置10を得ることができる。なお、本発明は、支持ブラケット14L、14Rで固定軸13が両持ち支持(換言すれば、操作レバー11が支持ブラケット14L、14Rの内側に配置)された操作レバー装置10に適用することによって、特に有利な作用効果を奏する。
【0036】
さらに、第1実施形態によれば、固定軸13の先端及びポテンショメータ18の位置決めボス182を、補助レバー15の貫通穴153に挿入された位置決めブッシュ16に圧入することによって、固定軸13の中心、補助レバー15の回転中心、及び検出軸183の中心が同心軸上に位置決めされる。その結果、補助レバー15の回転時にポテンショメータ18の検出軸183が捩じれることがないので、操作レバー11の回転角度の検出精度がさらに向上する。尚、ここでいう、同心軸上とは設計上の同心軸であり、多少の製造誤差によるずれよって軸がずれていることは、同心軸上に位置することを意味する。
【0037】
一方、操作レバーと回転角度センサとが異なる軸上に配置されていると、操作レバーの回転角度と回転角度センサの検出角度の関係は同一とならず、両者の関係は機構系によって決定される変換関数を以って演算しなければならない。そして、機構系によっては変換関数が非線形となり、操作量と電気信号のゲインが変化してしまう事で精度のよい変換が行えない。これに対して、上記の実施形態では、操作レバー11とポテンショメータ18とを同一軸上に配置しているので、検出精度がよく、変換機構のガタや遊びによる不感帯を発生させない。
【0038】
<第2実施形態>
次に、
図8~
図11を参照して、第2実施形態に係る操作レバー装置10Aの詳細を説明する。
図8は、第2実施形態に係る操作レバー装置10Aの分解斜視図である。
図9は、第2実施形態に係る操作レバー装置10Aの組立斜視図である。
図10は、第2実施形態に係る操作レバー装置10Aの平面図である。
図11は、第2実施形態に係る操作レバー装置10Aの踏み込み前(A)及び踏み込み中(B)の側面図である。なお、第1実施形態との共通点の詳細な説明は省略し、相違点を中心に説明する。
【0039】
第2実施形態に係る支持ブラケット14Lには、厚み方向に貫通する長穴141(穴)が形成されている。長穴141は、支持ブラケット14L、14Rに固定された固定軸13を中心とする円弧状に形成されている。また、長穴141の径方向の開口幅は、六角支柱17aの直径より大きく設定されている。
【0040】
第2実施形態に係る六角支柱17aは、長穴141を通じて、操作レバー11と補助レバー15の第1アーム151Aとを連結する。すなわち、六角支柱17aは、長穴141の内部に配置されている。そして、操作レバー11の固定軸13周りの回転に伴って、六角支柱17aは、長穴141に案内されて(長穴141に沿って)移動する。なお、穴の形状は長穴141に限定されず、六角支柱17aが穴の内側を取って操作レバー11に固定され、且つ操作レバー11の回転に伴って六角支柱17aが移動できる形状であればよい。他の例として、支持ブラケット14Lを厚み方向に貫通する穴は、六角支柱17aの移動範囲を確保した円形でもよい。これにより、長穴141を形成するのと比較して加工が容易になる。
【0041】
例えば、固定軸13以外の部材を支持ブラケット14Lに支持させる場合、強度を確保するために支持ブラケット14Lを大きくする必要がある。そこで第2実施形態によれば、支持ブラケット14Lの大きさに拘わらず、所望の位置で操作レバー11と第1アーム151Aとを六角支柱17aで連結することができる。これにより、第1実施形態に係る第1アーム151と比較すれば、支持ブラケット14Lの大きさに拘わらず、第2実施形態に係る第1アーム151Aの突出長さを短く(すなわち、補助レバー15をコンパクト化)することができる。一方、第1実施形態では、長穴141を省略できるので、支持ブラケット14L、14Rの構造がシンプルになる。
【0042】
なお、第2実施形態では、六角支柱17aを通過させる長穴141のみを形成したが、六角支柱17bを通過させる長穴を形成してもよい。すなわち、六角支柱17a、17bの一方または両方が、長穴の内部に配置され、長穴に案内されて移動すればよい。
【0043】
<その他の実施形態>
なお、第1及び第2実施形態では、回転角度センサの一例として、固定軸13及び補助レバー15の両方に固定されたポテンショメータ17を例示したが、本発明は、これに限らず、操作レバー11の回転角度を検出できるあらゆるセンサを採用することができる。他の例として、回転角度センサは、補助レバー15に固定され、固定軸13とは係合せずに非接触で、操作レバー11の固定軸13周りの回転角度を直接計測する非接触センサでもよい。
【0044】
また、第1及び第2実施形態では、作業機械の一例として、クローラクレーンを例示したが、本発明は、これに限らず、ホイールクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン等の他の移動式クレーンに加えて、タワークレーン、天井クレーン、ジブクレーン、引込みクレーン、スタッカークレーン、門型クレーン、アンローダ、アースドリル、フォークリフト、ショベル等のあらゆる作業機械に適用可能である。
【0045】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10,10A 操作レバー装置
11 操作レバー
12 足踏板
13 固定軸
14L,14R 支持ブラケット
15 補助レバー
16 位置決めブッシュ
17a,17b 六角支柱
18 ポテンショメータ
100 クレーン
101 走行体
101a トラックフレーム
101b クローラ
102 旋回輪
103 旋回体
104 ブーム
105 巻上ドラム
105a 巻上ロープ
106 リヤウインチドラム
106a 起伏ロープ
107 エンジン
109 運転室
110 フック
111 踏板支持部
112 ブッシュ
131 切り欠き
132 廻り止めプレート
141 長穴
151,151A 第1アーム
152 第2アーム
153,154,155 :貫通穴
154a,155a,184 ワッシャ
154b,155b,185 ボルト
181 ボディ
182 位置決めボス
183 検出軸
201 運転席
210 右側レバー群
221 左側レバー
231 表示装置
251 巻上ドラムブレーキペダル
252 リヤドラムブレーキペダル
261 アクセルペダル
262 旋回ブレーキペダル