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特開2024-94098作業機械の管接合用アタッチメント、それを備えた作業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094098
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】作業機械の管接合用アタッチメント、それを備えた作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20240702BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20240702BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E02F3/36 A
E02F9/22 P
F16L1/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210848
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】景山 早人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 裕介
【テーマコード(参考)】
2D003
2D012
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003AC11
2D003BA02
2D003CA02
2D012DA03
2D012GA03
(57)【要約】
【課題】作業機械のアームに接続される作業機械のアタッチメントにおいて、管の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化された作業機械の管接合用アタッチメントを実現する。
【解決手段】作業機械1000のアーム1003に接続される接続部11と、管W1を把持する把持部12と、把持部12に対して、把持部12によって把持される管W1の挿し口W1aの軸線L方向に位置し、管W1と接合される被接合管W2の外周面に接触する被接合管接触部16と、被接合管接触部16が被接合管W2に所定値よりも大きい荷重Fで接触した際に、荷重Fが減少する方向に被接合管接触部16を移動可能な逃がし機構17と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のアームに接続される接続部と、
管を把持する把持部と、
前記把持部に対して、前記把持部によって把持される前記管の挿し口の軸線方向に位置し、前記管と接合される被接合管の外周面に接触する被接合管接触部と、
前記被接合管接触部が前記被接合管に所定値よりも大きい荷重で接触した際に、前記荷重が減少する方向に前記被接合管接触部を移動可能な逃がし機構と、
を有する、
作業機械の管接合用アタッチメント。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械の管接合用アタッチメントにおいて、
前記逃がし機構は、
前記被接合管接触部を移動可能に支持するフレーム部と、
前記被接合管接触部を、前記管を前記被接合管に接合する際の管接合位置と、前記管接合位置から前記荷重が減少する方向に移動した離脱位置とに切り替え可能に保持する位置保持部と、
を有する、
作業機械の管接合用アタッチメント。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械の管接合用アタッチメントにおいて、
前記逃がし機構は、
前記被接合管接触部が前記被接合管に接触した際に、前記フレーム部から浮き上がることを防止する浮き上がり防止機構を有する、
作業機械の管接合用アタッチメント。
【請求項4】
請求項2または3に記載の作業機械の管接合用アタッチメントにおいて、
前記位置保持部は、
前記被接合管接触部に前記所定値よりも大きい荷重が加わるまで前記被接合管接触部の移動を制限する移動制限部材を有する、
作業機械の管接合用アタッチメント。
【請求項5】
請求項2または3に記載の作業機械の管接合用アタッチメントにおいて、
前記位置保持部は、
前記フレーム部と前記被接合管接触部との間に前記所定値の摩擦力が生じるように、前記被接合管接触部を前記フレーム部に押し付ける押し付け部を有する、
作業機械の管接合用アタッチメント。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一つに記載の作業機械の管接合用アタッチメントと、
先端に前記管接合用アタッチメントが取り付けられるアームと、
を有する、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のアームに接続され、管を被接合管に接合するために用いられる管接合用アタッチメント、それを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば水道管に使用される挿し口と受口を有するダクタイル鋳鉄管(水道管の一例)の敷設工事などにおいて、地中の溝内に配置された被接合管に対して、管を接合する管接合作業が行われている。この管接合作業では、作業者は、まず、前記被接合管と接合される前記管を、前記溝内に吊り下ろす必要がある。その後、作業者は、前記溝内で、前記管と前記被接合管とを芯合わせして、前記管の挿し口を前記被接合管の受口に挿入し、前記挿し口と前記受口とを接合する必要がある。
【0003】
このような従来の管接合作業では、作業者は、前記溝内で前記被接合管に対する前記管の位置を確認しながら、前記管を前記溝内に吊り下ろす必要がある。また、作業者は、前記溝内で、前記管と前記被接合管との芯合わせを手作業で行う必要がある。
【0004】
このように、従来の管接合作業では、作業者の作業負担が高く、狭い溝内での作業も作業性があまり良くなかった。
【0005】
これに対し、例えば特許文献1には、アームの先端で水平方向に回転自在な管保持本体が、管位置決め用のレーザ発信器からのレーザ光を受ける受光器と、両端部に爪を有する一対のクランプ材と、敷設管の自動調芯用のローラとを備える、管敷設機が開示されている。前記レーザ発信器は、前記溝内に、前記敷設管の中心をレーザ光が通過するように設置されている。前記受光器は、前記敷設管の中心で前記レーザ発信器のレーザ光を受光するように、前記管保持本体から突出した位置に配置されている。
【0006】
前記管敷設機は、前記一対のクランプ材によって前記敷設管を把持した状態で、前記アームを移動させつつ前記管保持本体を水平方向に移動させて、前記敷設管を前記溝内に降ろすことができる。前記管敷設機は、前記敷設管を前記溝内に降ろす際に、前記レーザ発信器のレーザが前記受光器に当たるように、前記アーム等を移動させて前記敷設管の位置を調整する。
【0007】
これにより、前記管敷設機では、前記溝内に人が入ることなく、安全で自動的に前記敷設管を前記溝内に敷設することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-323468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、例えば、地中の溝内に管を配置する場合、前記管は、被接合管に対して許容屈曲角度で配置される場合がある。このように、地中の溝内で管を被接合管に対して所定の角度で屈曲させて接合する場合、前記管を前記被接合管に接合させる管接合用アタッチメントに被接合管接触部を設け、前記被接合管の受口側の外周面に前記被接合管接触部を接触させて前記被接合管に対して前記管を任意の角度で位置決めする方法が考えられる。前記管接合用アタッチメントは、前記被接合管接触部を前記被接合管に接触させることにより、把持している前記管を前記被接合管の受口側の外周面を基準として位置合わせすることができる。
【0010】
このように構成される前記管接合用アタッチメントは、作業機械によって、前記被接合管接触部が前記被接合管に接触する位置まで移動される。前記被接合管接触部が前記被接合管に接触した場合、前記管接合用アタッチメントには、前記作業機械によって前記被接合管接触部を前記被接合管に押し付ける力が加わる。よって、前記管接合用アタッチメントは、前記被接合管接触部が前記被接合管に接触した際に前記作業機械から加わる力を許容できる程度の強度が望まれる。
【0011】
一方、前記管接合用アタッチメントは、管を把持した状態で前記作業機械によって搬送可能な重量でなければならない。前記管接合用アタッチメントが上述のような強度を有する場合、前記管接合用アタッチメントの重量が増大して、前記作業機械によって搬送可能な重量を超過する可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、作業機械のアームに接続される作業機械のアタッチメントにおいて、管の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化された作業機械の管接合用アタッチメントを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態に係る作業機械の管接合用アタッチメントは、作業機械のアームに接続されるアーム接続部と、管を把持する把持部と、前記把持部に対して、前記把持部によって把持される前記管の挿し口の軸線方向に位置し、前記管と接合される被接合管の受口側の外周面に接触する被接合管接触部と、前記被接合管接触部が前記被接合管に所定値よりも大きい荷重で接触した際に、前記荷重が減少する方向に前記被接合管接触部を移動可能な逃がし機構と、を有する(第1の構成)。
【0014】
把持部によって管を把持した管接合用アタッチメントの被接合管接触部を、被接合管の受口側の外周面に接触させることにより、前記管の挿し口を前記被接合管の受口に対して容易に位置決めできる。しかも、前記被接合管接触部に所定値よりも大きい荷重が加わると、逃がし機構による前記被接合管接触部の移動によって、前記管接合用アタッチメントに加わる荷重を減少させることができる。
【0015】
上述の構成により、前記管接合用アタッチメントは、前記作業機械から加わる力の最大値を考慮した強度を有する必要がない。よって、管の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化された作業機械の管接合用アタッチメントを実現することができる。
【0016】
前記第1の構成において、前記逃がし機構は、前記被接合管接触部を移動可能に支持するフレーム部と、前記被接合管接触部を、前記管を前記被接合管に接合する際の管接合位置と、前記管接合位置から前記荷重が減少する方向に移動した離脱位置とに切り替え可能に保持する位置保持部と、を有する(第2の構成)。
【0017】
上述のように被接合管接触部が、フレーム部に対して管接合位置と離脱位置とに切り替え可能に保持されているので、前記被接合管接触部に所定値よりも大きい荷重が加わってもフレーム部に所定値よりも大きい荷重が加わらない。また、前記離脱位置に移動した前記被接合管接触部を前記管接合位置に切り替えることができる。これにより、管の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化された構成を有し、且つ、前記被接合管接触部に所定値よりも大きい荷重が加わっても繰り返し使用可能な作業機械の管接合用アタッチメントを実現することができる。
【0018】
前記第2の構成において、前記逃がし機構は、前記被接合管接触部が前記被接合管に接触した際に、前記フレーム部から浮き上がることを防止する浮き上がり防止機構を有する(第3の構成)。
【0019】
これにより、把持部によって把持された管を、被接合管接触部によって被接合管に対して位置合わせする際に、前記把持部に対する前記被接合管接触部の位置がずれるのを防止できる。よって、上述の構成を有する管接合用アタッチメントにより、管同士の位置合わせの精度を向上することができる。
【0020】
前記第2または3の構成において、前記位置保持部は、前記被接合管接触部に所定値よりも大きい荷重が加わるまで前記被接合管接触部の移動を制限する移動制限部材を有する(第4の構成)。
【0021】
これにより、被接合管接触部に所定値以下の荷重が加わっても、前記被接合管接触部を管接合位置に位置付けることができる。つまり、管接合用アタッチメントは、前記被接合管接触部に所定値以下の荷重が加わった状態で管接合が可能な強度を有していればよい。よって、管の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化された作業機械の管接合用アタッチメントを実現することができる。
【0022】
前記第2または3の構成において、前記位置保持部は、前記フレーム部と前記被接合管接触部との間に所定値の摩擦力が生じるように、前記被接合管接触部を前記フレーム部に押し付ける押し付け部を有する(第5の構成)。
【0023】
これにより、フレーム部と被接合管接触部との間に生じる所定値の摩擦力を越える荷重が加わるまで、前記被接合管接触部を管接合位置に保持することができる。つまり、管接合用アタッチメントは、前記被接合管接触部に所定値以下の荷重が加わった状態で管接合が可能な強度を有していればよい。よって、管の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化した作業機械の管接合用アタッチメントを実現することができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る作業機械は、前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成を有する作業機械の管接合用アタッチメントと、先端部に前記管接合用アタッチメントが取り付けられるアームと、を有する(第6の構成)。
【0025】
これにより、前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成を有する管接合用アタッチメントを備えた作業機械を実現できる。よって、前記作業機械を用いて、管の挿し口を被接合管の受口に対して容易に位置決めできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態に係る作業機械の管接合用アタッチメントは、作業機械のアームに接続されるアーム接続部と、管を把持する把持部と、前記把持部に対して、前記把持部によって把持される前記管の挿し口の軸線方向に位置し、前記管と接合される被接合管の受口の外周面に接触する被接合管接触部と、前記被接合管接触部が前記被接合管に所定値よりも大きい荷重で接触した際に、前記荷重が減少する方向に前記被接合管接触部を移動可能な逃がし機構と、を有する。
【0027】
これにより、被接合管接触部に所定値よりも大きい荷重が加わると、逃がし機構による前記被接合管接触部の移動によって、前記管接合用アタッチメントに加わる荷重を減少させることができる。よって、上述の構成により、前記作業機械から加わる力の最大値を考慮した強度を有する必要がない。よって、管の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化された作業機械の管接合用アタッチメントを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、実施形態1に係る管接合用アタッチメントが接続された作業機械の概略構成を示す図である。
図2図2は、管接合用アタッチメントを幅方向の一方から見た図である。
図3図3は、管接合用アタッチメントを軸線方向の一方から見た図である。
図4図4は、管接合用アタッチメントを軸線方向の他方から見た図である。
図5図5は、管接合用アタッチメントを用いて、管と被接合管とを接合する際に前記管を搬送している様子を模式的に示す図である。
図6図6は、管接合用アタッチメントを用いて、管と被接合管とを接合する際に被接合管接触部が接合位置に位置する状態を模式的に示す図である。
図7図7は、管接合用アタッチメントを用いて、管と被接合管とを接合する際に被接合管接触部が離脱位置に移動した状態を模式的に示す図である。
図8図8は、管接合用アタッチメントを用いて、管と被接合管とを接合する際に被接合管接触部を接合位置に移動させる様子を模式的に示す図である。
図9図9は、実施形態2に係る管接合用アタッチメントを軸方向の一方から見た図である。
図10図10は、実施形態3に係る管接合用アタッチメントを幅方向の一方から見た部分断面図である。
図11図11は、その他の実施形態に係る管接合用アタッチメントを幅方向の一方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0030】
以下の説明において、前後左右の方向は、それぞれ、作業機械1000を操縦する操縦者から見た場合の前後左右の方向を意味する。また、軸線方向は、管接合用アタッチメント1,100、200が把持する管W1の軸線Lが延びる方向を意味する。幅方向は、水平方向で且つ前記軸線方向に直交する方向を意味する。前記水平方向は、厳密な水平方向だけでなく、上下方向に交差する方向も含む。
【0031】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0032】
[実施形態1]
(作業機械)
図1は、本発明の実施形態1に係る管接合用アタッチメント1が接続された作業機械1000の概略構成を示す図である。作業機械1000のアーム1003の先端部には、管接合用アタッチメント1が接続されている。作業機械1000は、アーム1003の先端部に接続されるアタッチメントを取り換えることにより、様々な工事及び作業等を行うことができる。本実施形態では、作業機械1000は、例えば、掘削用建設機械であるミニバックホーである。
【0033】
なお、作業機械1000は、ミニバックホー以外の建設機械であってもよいし、管接合用アタッチメント1を操作可能な機械であれば、どのような構成を有する機械であってもよい。
【0034】
図1に示すように、作業機械1000は、前後方向に走行可能であるとともに、上下方向に延びる回転軸線Pを中心として水平方向に旋回可能である。作業機械1000は、例えば油圧によって駆動可能である。なお、作業機械は、例えば電気モータによって駆動可能であってもよい。
【0035】
作業機械1000は、作業機械本体1001と、ブーム1002と、アーム1003とを有する。
【0036】
作業機械本体1001は、上部旋回体1011と、下部走行体1012とを有する。上部旋回体1011は、回転軸線Pを中心として水平方向に旋回可能である。下部走行体1012は、環状の無限軌道を有し、前後方向に走行可能である。
【0037】
ブーム1002は、上部旋回体1011から前方に向かって延びている梁状部材である。ブーム1002の一端側は、上部旋回体1011に接続されている。ブーム1002は、上部旋回体1011に対し、前記一端側を中心として上下方向に回転可能である。
【0038】
アーム1003は、ブーム1002の前端部に一端側が接続された梁状部材である。アーム1003は、ブーム1002に対して、前記一端側を中心として上下方向に回転可能である。アーム1003の他端側には、アタッチメントが接続可能である。本実施形態では、アーム1003の他端側には、管接合用アタッチメント1が接続されている。
【0039】
なお、ブーム1002及びアーム1003は、それぞれ、図示しない油圧シリンダによって駆動可能である。ブーム1002及びアーム1003は、電動モータなどによって駆動可能であってもよい。
【0040】
管接合用アタッチメント1は、アタッチメント装着部材を介して、アーム1003の他端側に接続されていてもよい。前記アタッチメント装着部材は、アーム1003の他端側に、アタッチメントを容易に取り付け可能に構成されている。
【0041】
作業機械1000における作業機械本体1001、ブーム1002及びアーム1003の各構成は、従来の構成と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0042】
(管接合用アタッチメント)
図2から図5は、管接合用アタッチメント1の概略構成を示す図である。図2は、管接合用アタッチメント1を幅方向の一方から見た図である。図3は、管接合用アタッチメント1を軸線方向の一方から見た図である。図4は、管接合用アタッチメント1を軸線方向の他方から見た図である。図5は、管接合用アタッチメント1を用いて、管W1と被接合管W2とを接合する際に管W1を搬送している様子を模式的に示す図である。以下で、管接合用アタッチメント1の概略構成を、図2から図5を用いて説明する。
【0043】
以下の説明において、管W1及び被接合管W2(図2から図8参照)は、例えば、所定の角度で屈曲可能な耐震型継手を有する耐震管が好ましい。なお、管W1及び被接合管W2は、耐震管以外の配管であってもよい。
【0044】
管接合用アタッチメント1は、管W1を把持可能に構成されているとともに、把持した管W1を、上下方向に延びる回転軸線Qを中心として水平方向に回転可能であり且つ管W1の軸線方向に移動可能である。図2から図5に示すように、管接合用アタッチメント1は、アーム接続部11と、把持部12と、軸線方向移動機構13と、水平方向回転機構14と、支持部15と、被接合管接触部16と、逃がし機構17とを有する。
【0045】
アーム接続部11は、管接合用アタッチメント1の上端部に位置し、作業機械1000のアーム1003の他端側に接続されている。アーム接続部11は、アーム1003の他端側にボルトまたはピンによって接続されていてもよいし、嵌合部によって嵌合されていてもよい。アーム接続部11は、アーム1003の他端側に対してどのような構成によって接続されていてもよい。
【0046】
把持部12は、後述する軸線方向移動機構13によって、軸線方向に移動可能に支持されている。把持部12は、管W1を把持する。把持部12は、一対の把持爪21と、把持駆動部22とを有する。
【0047】
一対の把持爪21は、管W1を把持可能なように、軸線方向に直交する幅方向に並んで位置する。一対の把持爪21の一端側は、把持駆動部22に接続されている。一対の把持爪21は、把持駆動部22に対し、前記一端側を中心として互いに近づく方向と離れる方向とに回転可能である。一対の把持爪21は、管W1を幅方向に挟み込む。
【0048】
本実施形態では、把持部12は、一対の把持爪21を2組有する。2組の一対の把持爪21は、把持駆動部22に対して、管W1の軸線方向に並んで配置されている。
【0049】
把持駆動部22は、一対の把持爪21の一端側に、該一端側を中心として一対の把持爪21が互いに近づく方向と離れる方向とに回転するような駆動力を与える。把持駆動部22は、例えば、作業機械1000から出力される油圧を用いて駆動力を生じてもよいし、電動モータ等によって駆動力を生じてもよい。
【0050】
軸線方向移動機構13は、後述する水平方向回転機構14によって、回転軸線Qを中心として水平方向に回転可能に支持されている。軸線方向移動機構13は、把持部12を、把持部12によって把持される管W1の軸線方向に移動させる。軸線方向移動機構13は、ガイド部31と、スライダ32と、軸線方向駆動部33とを有する。
【0051】
ガイド部31は、後述する水平方向回転機構14に、回転軸線Qを中心として水平方向に回転可能に接続されている。ガイド部31は、例えば、管W1の軸線Lに沿って延びる一対のガイドレール31aを有する。すなわち、一対のガイドレール31aは、軸線方向に延びている。よって、本実施形態では、一対のガイドレール31aの長手方向は、軸線方向と一致している。ガイドレール31aは、前記軸線方向に見て、上下に幅方向に突出したフランジを有するH形鋼である。なお、ガイドレール31aは、H形鋼以外の部材であってもよい。
【0052】
スライダ32は、ガイド部31に対して、ガイド部31の長手方向、すなわち軸線方向に移動可能に設けられている。スライダ32は、ガイド部31の一対のガイドレール31aの下面及び側面を覆うように、断面略U字状に形成されている。すなわち、スライダ32は、底面32aと、底面32aから上方向に延びる一対の側面32bとを有する。スライダ32の一対の側面32bには、ローラ32cが回転可能に支持されている。ローラ32cは、一対のガイドレール31aのフランジ上を転がって移動する。
【0053】
軸線方向駆動部33は、ガイド部31に対して、スライダ32を、ガイド部31の長手方向、すなわち軸線方向に移動可能である。例えば、軸線方向駆動部33は、油圧シリンダである。この油圧シリンダには、例えば作業機械1000から出力される油圧が供給される。特に図示しないが、油圧シリンダのシリンダチューブは、後述する被接合管接触部16を支持する支持部15を介して、ガイド部31に固定されている。油圧シリンダのピストンロッドは、スライダ32に固定されている。油圧シリンダは、ガイド部31の長手方向、すなわち軸線方向に延びるように配置されている。よって、油圧シリンダのピストンロッドがシリンダチューブに対して軸線方向に移動することにより、スライダ32をガイド部31に対して移動させることができる。
【0054】
これにより、管接合用アタッチメント1の把持部12によって把持された管W1を、軸線方向に移動させることができる。したがって、管接合用アタッチメント1によって、管W1の挿し口W1aを被接合管W2の受口W2a(図6から図8参照)に対して容易に位置決めできるとともに、管W1の挿し口W1aを被接合管W2の受口W2a内に容易に挿入できる。
【0055】
水平方向回転機構14は、アーム接続部11を介して、作業機械1000のアーム1003に接続されている。すなわち、水平方向回転機構14の上部には、アーム接続部11が固定されている。水平方向回転機構14の下部には、軸線方向駆動部33が回転軸線Qを中心として水平方向に回転可能に接続されている。
【0056】
これにより、水平方向回転機構14は、作業機械1000のアーム1003に対して、管接合用アタッチメント1を、回転軸線Qを中心として水平方向に回転させることができる。したがって、作業機械1000を移動及び旋回させることなく、管接合用アタッチメント1の把持部12によって把持された管W1を地中の溝内などに移動させることができる。
【0057】
支持部15は、例えば、軸線方向移動機構13のガイド部31に固定されている。支持部15は、支持本体15aと、接続支持部15bとを有する。支持本体15aは、平板状であり、軸線方向移動機構13のガイド部31に固定されている。接続支持部15bは、一対の平板状の部材であり、支持本体15aから下方且つ前方に向かって延びている。接続支持部15bは、支持本体15aに固定されている。接続支持部15bは、逃がし機構17のフレーム部171を支持している。
【0058】
被接合管接触部16は、把持部12に対して管W1の挿し口W1aの軸線方向に位置するように、支持部15によって、軸線方向移動機構13に固定されている。被接合管接触部16は、把持部12によって把持された管W1の挿し口W1aを被接合管W2の受口W2aに対して位置決めする際に、被接合管W2の受口W2a側に接触する。なお、被接合管W2の受口W2a側は、被接合管W2の受口W2aだけでなく、被接合管W2における管本体の受口W2a側も含む。
【0059】
被接合管接触部16は、本体部16aと、接触部16cとを有する。本体部16aは、平板状であり、軸線方向に見て下方に向かって延びている。本体部16aは、上下方向に延びる長孔である一対の案内溝16bを有する。案内溝16bは、本体部16aの左右両側に平行に位置している。接触部16cは、平板状であり、上端側が接続されているとともに下端側が幅方向に離間している一対の接触部16cを有する。つまり、接触部16cは、下方に向かうにつれて接触部16c同士の間隔が拡がる逆V字状に形成されている。接触部16cの上端側は、本体部16aの下端部に固定されている。被接合管接触部16は、逃がし機構17に上下方向に移動可能に支持されている。
【0060】
被接合管接触部16がこのような構成を有することにより、被接合管W2の受口W2a側の外径が異なる場合でも、被接合管W2の受口W2a側の外周面に被接合管接触部16の接触部16cを接触させることができる。
【0061】
被接合管接触部16の一対の接触部16cは、被接合管W2の受口W2aを軸線方向に見て、被接合管W2の受口W2a側の外周面のうち、幅方向に対して斜め方向(例えば、幅方向に対して45度の方向)に位置する部分に接触する。これにより、管接合用アタッチメント1は、被接合管W2の受口W2aに対して幅方向及び該幅方向に直交する方向に位置決めされる。
【0062】
なお、被接合管接触部16の一対の接触部16cは、被接合管W2の受口W2a側の外周面のうち幅方向の一方または他方に位置する部分に接触してもよいし、被接合管W2の受口W2a側の外周面のうち前記幅方向に直交する方向に位置する部分に接触してもよい。すなわち、被接合管接触部16は、受口W2aを被接合管W2の軸方向に見て、被接合管W2の受口W2a側の外周面のうち、幅方向及び前記幅方向に直交する方向の少なくとも一方に位置する部分に接触すればよい。被接合管接触部16の一対の接触部16cのうち一方が被接合管W2の受口W2a側の外周面に接触してもよい。
【0063】
逃がし機構17は、被接合管接触部16が被接合管W2に接触した際、許容最大荷重Ft以上の荷重Fが被接合管接触部16に加わらないように、荷重Fが減少する方向に被接合管接触部16を移動可能である。許容最大荷重Ftとは、管W1の挿し口W1aを被接合管W2の受口W2aに対して位置合わせする際、被接合管W2に接触した被接合管接触部16から管接合用アタッチメント1に伝達される力が、管接合用アタッチメント1の許容最大荷重になる場合における被接合管接触部16に加わる荷重である。逃がし機構17は、フレーム部171と、位置保持部172と、を有する。
【0064】
フレーム部171は、平板状であり、一対の接続支持部15bの先端部に固定されている。フレーム部171は、平面が軸線方向に垂直になるように位置している。つまり、フレーム部171は、平面を前方に向けて接続支持部15bの先端部に固定されている。フレーム部171は、一対のガイド部171aを有している。一対のガイド部171aは、棒状でありフレーム部171の平面に左右に離間して固定されている。ガイド部171aは、フレーム部171から前方に向かって延びている。ガイド部171aは、被接合管接触部16の案内溝16bにそれぞれ挿入されている。フレーム部171の平面には、被接合管接触部16の本体部16aの平面が接触している。よって、フレーム部171は、ガイド部171aによって被接合管接触部16を上下方向に案内可能に支持している。
【0065】
位置保持部172は、被接合管接触部16を、管W1を被接合管W2に接合する際の管接合位置P1と、管接合位置P1から荷重Fが減少する方向に移動した離脱位置P2とに切り替え可能に保持する。管接合位置P1は、被接合管接触部16の案内溝16bの上端部にフレーム部171のガイド部171aが接触している状態における被接合管接触部16の位置である。離脱位置P2は、被接合管接触部16の案内溝16bの上端部からフレーム部171のガイド部171aが離間している状態における被接合管接触部16の任意の位置である。位置保持部172は、トグルクランプ172aと押し付けプレート172bとを有する。
【0066】
トグルクランプ172aは、トグル機構を利用して、押し付けプレート172bを被接合管接触部16に押し付ける。トグルクランプ172aは、フレーム部171に固定されている。トグルクランプ172aは、出力部に押し付けプレート172bが固定されている。トグルクランプ172aは、入力部の操作により、出力部の押し付けプレート172bを被接合管接触部16に押し付ける押圧状態と、押し付けプレート172bを被接合管接触部16から離す離間状態とに切り替え可能である。
【0067】
トグルクランプ172aは、押圧状態において、押し付けプレート172bによって被接合管接触部16の平面をフレーム部171の平面に押し付ける。また、トグルクランプ172aにおける押し付けプレート172bの位置は、押圧状態において、被接合管接触部16の平面とフレーム部171の平面との間に所定値である摩擦力μFが生じるように、調整されている。具体的には、トグルクランプ172aにおける押し付けプレート172bの位置は、被接合管接触部16とフレーム部171との間に、被接合管接触部16の位置をフレーム部171に対して保持可能な最小摩擦力以上で且つ許容最大荷重Ft未満の摩擦力μFが生じるように調整されている。すなわち、摩擦力μFの幅は、被接合管接触部16の自重よりも大きく、被接合管接触部16が被接合管W2に接触した際に管接合用アタッチメント1に伝わる力が、管接合用アタッチメント1の許容最大荷重未満になる範囲に設定される。トグルクランプ172aは、押圧状態において、被接合管接触部16に摩擦力μFを超える荷重Fが上方向に加わった場合に被接合管接触部16がフレーム部171に対して上方向に移動するように、被接合管接触部16を保持する。
【0068】
図6から図8を用いて、管W1と被接合管W2とを接合する際に被接合管W2に接触した被接合管接触部16の状態について説明する。図6は、管接合用アタッチメント1を用いて、管W1と被接合管W2とを接合する際に被接合管接触部16が管接合位置P1に位置する状態を模式的に示す図である。図7は、管接合用アタッチメント1を用いて、管W1と被接合管W2とを接合する際に被接合管接触部16が離脱位置P2に移動した状態を模式的に示す図である。図8は、管接合用アタッチメント1を用いて、管W1と被接合管W2とを接合する際に被接合管接触部16を管接合位置P1に移動させる様子を模式的に示す図である。
【0069】
図6に示すように、管W1と被接合管W2とを接合する際に被接合管W2に接触した被接合管接触部16の下方から上方に向かって摩擦力μF以下の荷重Fが加わっている場合、接合管接触部16は、トグルクランプ172aが押圧状態の位置保持部172によって管接合位置P1に保持される。この際、管接合用アタッチメント1には、被接合管接触部16から管接合用アタッチメント1の許容範囲内(許容最大荷重Ft未満)の荷重が伝達されている。
【0070】
図7に示すように、管W1と被接合管W2とを接合する際に被接合管接触部16の下方から上方に向かって摩擦力μFよりも大きい荷重Fが加わった場合、接合管接触部16の位置は、フレーム部171に対して上方向に摺動し、離脱位置P2に切り替わる。この際、管接合用アタッチメント1には、被接合管接触部16から管接合用アタッチメント1の許容範囲内での最大の荷重が伝達される。なお、離脱位置P2は、被接合管接触部16に加わる荷重Fが減少するように、管接合位置P1よりも上方向に位置する。
【0071】
図8に示すように、管W1と被接合管W2とを接合する際に被接合管接触部16が被接合管W2から離間した状態でトグルクランプ172aを押圧状態から離間状態に切り替えた場合、被接合管接触部16は、重力によって離脱位置P2から下方向に位置する管接合位置P1に切り替わる。
【0072】
このように位置保持部172は、トグルクランプ172aによって、フレーム部171と被接合管接触部16との間に所定値の摩擦力μFが生じるように、被接合管接触部16をフレーム部171に押し付ける押し付け部として構成されている。
【0073】
上述のように管接合用アタッチメント1が被接合管W2に対して幅方向及び該幅方向に直交する方向に位置決めされることにより、管接合用アタッチメント1の把持部12によって把持された管W1の挿し口W1aを、被接合管W2の受口W2aに対して幅方向及び該幅方向に直交する方向に位置決めできる。
【0074】
なお、被接合管W2の受口W2aを軸線方向に見て、被接合管W2に対する幅方向が第1方向に対応し、前記幅方向に直交する方向が第2方向に対応する。被接合管W2の軸線Mが管W1の軸線Lに対して平行な場合で且つ軸線L,Mが水平方向に延びている場合、前記幅方向に直交する方向は、上下方向である。
【0075】
また、管接合用アタッチメント1の被接合管接触部16が被接合管W2の上方から摩擦力μFよりも大きい荷重Fで接触した際、逃がし機構17によって荷重Fが減少する上方向に被接合管接触部16を移動させることができる。
【0076】
以上より、本実施形態に係る作業機械1000の管接合用アタッチメント1は、作業機械1000のアーム1003に接続されるアーム接続部11と、管W1を把持する把持部12と、把持部12に対して、把持部12によって把持される管W1の挿し口W1aの軸線方向に位置し、管W1と接合される被接合管W2の受口W2a側の外周面に接触する被接合管接触部16と、被接合管接触部16が被接合管W2に所定値よりも大きい荷重Fで接触した際に、荷重Fが減少する方向に被接合管接触部16を移動可能な逃がし機構17と、を有する。
【0077】
作業機械1000のアーム1003に取り付けられた管接合用アタッチメント1によって把持された管W1の挿し口W1aを、被接合管W2の受口W2aに対して位置合わせする際、被接合管接触部16に摩擦力μF以上の荷重Fが加わると逃がし機構17による被接合管接触部16の移動によって管接合用アタッチメント1に加わる荷重を減少させることができる。
【0078】
よって、上述の構成により、管接合用アタッチメント1は、作業機械1000から加わる力の最大値を考慮した強度を有する必要がない。よって、管接合用アタッチメント1のフレーム構造を簡素化することができる。これにより、管W1の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化された作業機械の管接合用アタッチメント1を実現することができる。
【0079】
本実施形態では、逃がし機構17は、被接合管接触部16を移動可能に支持するフレーム部171と、被接合管接触部16を、管W1を被接合管W2に接合する際の管接合位置P1と、管接合位置P1から荷重Fが減少する方向に移動した離脱位置P2とに切り替え可能に保持する位置保持部172と、を有する。
【0080】
上述のように被接合管接触部16が、フレーム部171に対して管接合位置P1と離脱位置P2とに切り替え可能に保持されているので、被接合管接触部16に所定値よりも大きい荷重Fが加わってもフレーム部171に所定値よりも大きい荷重が加わらない。また、離脱位置P2に移動した被接合管接触部16を管接合位置P1に切り替えることができる。これにより、管W1の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化した構成で、被接合管接触部16に所定値よりも大きい荷重Fが加わっても繰り返し使用可能な作業機械1000用の管接合用アタッチメント1を実現することができる。
【0081】
本実施形態では、位置保持部172は、フレーム部171と被接合管接触部16との間に所定値の摩擦力μFが生じるように、被接合管接触部16をフレーム部171に押し付ける押し付け部であるトグルクランプ172a及び押し付けプレート172bを有する。
【0082】
これにより、フレーム部171と被接合管接触部16との間に生じる摩擦力μFによって所定値よりも大きい荷重Fが加わるまで被接合管接触部16を管接合位置P1に保持することができる。つまり、管接合用アタッチメント1は、被接合管接触部16に所定値以下の荷重Fが加わった状態で管接合が可能な強度を有していればよい。よって、管W1の接合に必要な強度を確保しつつ軽量化した作業機械1000用の管接合用アタッチメント1を実現することができる。
【0083】
本実施形態に係る作業機械1000は、本実施形態の構成を有する管接合用アタッチメント1と、先端部に管接合用アタッチメント1が取り付けられるアーム1003と、を有する。
【0084】
これにより、本実施形態の構成を有する管接合用アタッチメント1を備えた作業機械1000を実現できる。よって、作業機械1000を用いて、管W1の挿し口W1aを被接合管W2の受口W2aに対して容易に位置決めできる。
【0085】
[実施形態2]
図9に、実施形態2に係る管接合用アタッチメント100の概略構成を示す。図9は、管接合用アタッチメント100を軸方向の一方から見た図である。
【0086】
逃がし機構17は、フレーム部171と、位置保持部172と、浮き上がり防止機構173を有する。
【0087】
浮き上がり防止機構173は、被接合管接触部16が被接合管W2に接触した際に、フレーム部171から被接合管接触部16が浮き上がることを防止する。浮き上がり防止機構173は、案内溝16bの幅よりも大きい平板状であるフレーム部171が有する一対のガイド部171aにそれぞれ着脱可能に固定されている。
【0088】
浮き上がり防止機構173は、被接合管接触部16が上下方向に移動可能な状態で被接合管接触部16の平面に接触している。つまり、浮き上がり防止機構173は、被接合管接触部16のガイド部171aの軸線方向への移動を制限している。よって、浮き上がり防止機構173は、被接合管接触部16が移動した際に、被接合管接触部16がフレーム部171から浮き上がらないように被接合管接触部16の移動を抑制している。
【0089】
以上より、本実施形態の管接合用アタッチメント100は、被接合管接触部16が被接合管W2に接触した際に、フレーム部171から浮き上がることを防止する浮き上がり防止機構173を有する。
【0090】
このような構成を有する浮き上がり防止機構173によって、把持部12によって把持された管W1を、被接合管接触部16によって被接合管W2に対して位置合わせする際に、把持部12に対する被接合管接触部16の位置がずれるのを防止できる。よって、上述の構成を有する管接合用アタッチメント100により、管W1と被接合管W2との位置合わせの精度を向上することができる。
【0091】
[実施形態3]
図10に、実施形態3に係る管接合用アタッチメント200の概略構成を示す。図10は、管接合用アタッチメント200を幅方向の一方から見た部分断面図である。
【0092】
逃がし機構17は、フレーム部171と、位置保持部272と、を有する。
【0093】
位置保持部272は、被接合管接触部16を、管W1を被接合管W2に接合する際の管接合位置P1と、管接合位置P1から荷重が減少する方向に移動した離脱位置P2とに切り替え可能に保持する。位置保持部272は、移動制限部材272aを有する。
【0094】
移動制限部材272aは、被接合管接触部16に所定値である破断力Fbよりも大きい荷重Fが加わるまで被接合管接触部16の移動を制限するピンである。移動制限部材272aは、フレーム部171が有する貫通孔171bと、接合管接触部16が有する貫通孔16dとに挿入されている。貫通孔16dは、被接合管接触部16が管接合位置P1に位置する場合、軸線方向に見て貫通孔171bと重なる。よって、移動制限部材272aは、管接合位置P1に位置する被接合管接触部16をフレーム部171に対して保持している。
【0095】
移動制限部材272aは、被接合管接触部16に破断力Fbよりも大きい荷重Fが加わると破断するように形成されている。具体的には、移動制限部材272aは、外周面に環状のスリットを有している。移動制限部材272aは、環状のスリットが被接合管接触部16とフレーム部171との間に位置するように貫通孔171bに挿入されている。移動制限部材272aは、被接合管接触部16に破断力Fbよりも大きい荷重Fが上方向に加わった場合、環状のスリットから破断するように構成される。
【0096】
よって、移動制限部材272aは、被接合管接触部16をフレーム部171に対して管接合位置P1に保持可能である。また、位置保持部272は、被接合管接触部16の下方から上方に向かって破断力Fbよりも大きい荷重Fが加わると、管接合位置P1から被接合管接触部16に加わる荷重Fが減少する上方向に移動した離脱位置P2に切り替え可能である。
【0097】
以上より、本実施形態の管接合用アタッチメント200の位置保持部272は、被接合管接触部16に所定値よりも大きい荷重Fが加わるまで被接合管接触部16の移動を制限する移動制限部材272aを有する。
【0098】
このような構成を有する移動制限部材272aによって、被接合管接触部16に破断力Fb以下の荷重が加わる場合、被接合管接触部16を管接合位置P1に位置させることができる。つまり、管接合用アタッチメント200は、被接合管接触部16に破断力Fb以下の荷重Fが加わった状態で管接合が可能な強度を有していればよい。よって、管W1と被接合管W2との接合に必要な強度を確保しつつ軽量化した作業機械1000用の管接合用アタッチメント200を実現することができる。
【0099】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0100】
前記各実施形態では、管接合用アタッチメント1,100、200は、軸線方向移動機構13及び水平方向回転機構14を有する。しかしながら、管接合用アタッチメントは、軸線方向移動機構及び水平方向回転機構のうち少なくとも一方を有していなくてもよい。
【0101】
前記各実施形態では、アーム接続部11は、管接合用アタッチメント1,100、200の上端部に位置する。しかしながら、アーム接続部は、管接合用アタッチメントの上端部以外に位置していてもよい。
【0102】
前記各実施形態では、把持部12は、一対の把持爪21を有する。しかしながら、把持部は、管を把持可能な構成であれば、例えば吸着機構などの他の構成を有していてもよい。
【0103】
前記各実施形態では、管接合用アタッチメント1,100、200の一対の把持爪21は、軸線方向に直交する幅方向に並んで位置する。しかしながら、一対の把持爪は、上下方向にずれた位置に位置していてもよいし、軸線方向にずれた位置に位置していてもよい。
【0104】
前記各実施形態では、把持部12は、一対の把持爪21を2組有する。しかしながら、把持部は、一対の把持爪を3組以上有していてもよい。
【0105】
前記各実施形態では、管接合用アタッチメント1,100、200のガイド部31は、例えば、管W1の軸線Lに沿って延びる一対のガイドレール31aを有する。しかしながら、ガイド部は、1つまたは3つ以上のガイドレールを有していてもよい。ガイド部は、スライダが軸線方向に移動可能な構成であれば、ガイドレール以外の構成を有していてもよい。
【0106】
前記各実施形態では、管接合用アタッチメント1,100、200のスライダ32は、底面32aと、底面32aから上方に延びる一対の側面32bとを有する断面略U字状の部材である。しかしながら、スライダは、ガイド部に対して把持部12を軸線方向に移動可能な構成であれば、平板状またはブロック状など、どのような形状を有していてもよい。
【0107】
前記各実施形態では、軸線方向駆動部33は、油圧シリンダである。しかしながら、軸線方向駆動部は、ガイド部に対してスライダを軸線方向に移動可能な構成を有していれば、電動アクチュエータなどのように、油圧シリンダ以外の駆動装置であってもよい。
【0108】
前記各実施形態では、被接合管接触部16は、逆V字状に形成されている。しかしながら、被接合管接触部は、下方に向かって開口する逆U字状に形成されていてもよい。この場合には、逆U字状の被接合管接触部を構成する一対の直線部の間隔は、被接合管における管本体の受口側が挿入可能な寸法を有する。被接合管接触部は、被接合管の受口側に接触して、管接合用アタッチメントを被接合管の受口に対して幅方向及び該幅方向に直交する方向に位置決め可能な形状であれば、L字状、逆L字状、またはT字状などのように、V字状以外の形状を有していてもよい。被接合管接触部は、被接合管の受口側に接触して、管接合用アタッチメントを被接合管の受口に対して幅方向または該幅方向に直交する方向に位置決め可能な形状(直線状、平板状、曲面状など)を有していてもよい。
【0109】
前記各実施形態において、位置保持部172は、トグルクランプ172aの押し付けによる摩擦力を利用して、被接合管接触部16を、管接合位置P1と離脱位置P2とに切り替え可能に保持している。しかしながら、位置保持部は、電動モータ、油圧モータ、空気圧駆動モータ等のアクチュエータを利用して、被接合管接触部16を、管接合位置P1と離脱位置P2とに切り替え可能に保持してもよい。
【0110】
前記各実施形態において、位置保持部172は、トグルクランプ172aによって、フレーム部171と被接合管接触部16との間に、被接合管接触部16の位置をフレーム部171に対して保持可能な最小摩擦力以上で且つ許容最大荷重Ft未満の摩擦力μFが生じるように、押し付けプレート172bの位置が構成されている。しかしながら、位置保持部172は、フレーム部171と被接合管接触部16との間の摩擦力と、及び押し付けプレート172bと被接合管接触部16との間の摩擦力とを合わせた摩擦力が被接合管接触部16の位置をフレーム部171に対して保持可能な最小摩擦力以上で且つ許容最大荷重Ft未満の摩擦力μFになるように構成してもよい。
【0111】
前記各実施形態において、逃がし機構17の位置保持部172は、移動制限部材272aであるピンによって、被接合管接触部16をフレーム部171に対する移動を制限している。しかしながら、位置保持部は、被接合管接触部の移動を制限する移動制限部材としてプランジャ、圧縮ばね、クラッチ等によって所定値以下の荷重が加わった場合の被接合管接触部の移動を制限してもよい。
【0112】
前記各実施形態において、管接合用アタッチメント1,100、200は、把持部12及び被接合管接触部16を上下方向に弾性支持する弾性支持部を有していてもよい。例えば、図11に示すように、管接合用アタッチメント200は、水平方向回転機構14と軸線方向移動機構13との間に、水平方向回転機構14に対して軸線方向移動機構13を上下方向に弾性支持する弾性支持部70を有していてもよい。この弾性支持部70は、例えば、水平方向回転機構14と軸線方向移動機構13とを連結するばねやゴムなどの部材を含む。これにより、軸線方向移動機構13によって軸線方向に移動可能に支持される把持部12、及び、軸線方向移動機構13のガイド部31によって支持される被接合管接触部16を、弾性支持部70によって、水平方向回転機構14に対して上下方向に弾性支持することができる。したがって、管W1が把持部12によって把持された状態で被接合管接触部16が被接合管W2の受口W2a側の外周面に接触する際に、管接合用アタッチメント200に加わる衝撃を軽減できる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、作業機械のアームに接続され、管を被接合管に接合するために用いられる管接合用アタッチメントに利用可能である。
【符号の説明】
【0114】
1、100、200 管接合用アタッチメント
11 アーム接続部
12 把持部
13 軸線方向移動機構
14 水平方向回転機構
15 支持部
15a 支持本体
15b 接続支持部
15c 案内支持部
16 被接合管接触部
16a 本体部
16b 案内溝
16c 接触部
17 逃がし機構
171 フレーム部
16d、171b 貫通孔
172、272 位置保持部
172a トグルクランプ
172b 押し付けプレート
173 浮き上がり防止機構
272a 移動制限部材
21 把持爪
22 把持駆動部
31、171a ガイド部
31a ガイドレール
32 スライダ
32a 底面
32b 側面
32c ローラ
33 軸線方向駆動部
70 弾性支持部
1000 作業機械
1001 作業機械本体
1002 ブーム
1003 アーム
1011 上部旋回体
1012 下部走行体
W1 管
W1a 挿し口
W2 被接合管
W2a 受口
P、Q 回転軸線
L、M 軸線
P1 接合位置
P2 離脱位置
F 荷重
Ft 許容最大荷重
μF 摩擦力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11