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特開2024-94102間接費配賦装置、間接費配賦方法、及び間接費配賦プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094102
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】間接費配賦装置、間接費配賦方法、及び間接費配賦プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20240702BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210854
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 征士
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】従来の間接費の配賦基準の不均衡が是正された、従来の間接費の配賦基準よりも公平性の高い配賦基準を設定することで、より実態に近い実際原価計算が実現可能となる間接費配賦装置等を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態では、1)工数テーブルを参照して、人別総作業時間と人別各契約明細別作業時間を算出し、算出した人別各契約明細別作業時間を算出した人別総作業時間で除算して人別比重比率を社員別契約別に算出し、算出した人別比重比率を契約別に集計した契約明細別比重を算出し、2)契約明細テーブルと、工数テーブルと、社員マスタと、予定単価マスタと、を参照して、間接費を抽出するとともに、契約明細データと、仕入データと、を参照して、間接費を抽出し、抽出した間接費の合計を算出し、3)算出した合計に算出した契約明細別比重を乗算し、乗算で得られた値を当該合計の配賦対象とされる契約の数で除算することにより、契約別の間接費の配賦金額を算出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業時間を社員別日付別契約別に保持する作業時間データを参照して、ひと月あたりの社員別作業時間とひと月あたりの社員別契約別作業時間を算出し、前記算出された前記社員別作業時間に対する前記算出された前記社員別契約別作業時間の比の値を社員別契約別に算出し、前記算出された前記比の前記値を基に契約別の集計値を算出する配賦基準値算出部と、
契約管理データであって各契約が直接費または間接費という区分と紐付けられているものと、前記作業時間データと、間接費に関する社員の単価データと、を参照して、間接費を抽出するとともに、前記契約管理データと、契約と紐付けられている仕入データと、を参照して、間接費を抽出し、前記抽出した前記間接費の合計を算出する間接費集計部と、
前記間接費集計部で算出された前記合計に前記配賦基準値算出部で算出された前記集計値を乗算し、前記乗算で得られた値を前記合計の配賦対象とされる契約の数で除算することにより、契約別の間接費の配賦金額を算出する間接費配賦部と、
を備えることを特徴とする間接費配賦装置。
【請求項2】
前記間接費配賦部は、算出した契約別の間接費の配賦金額と、対応する契約と、間接費に関する所定の科目識別情報と、を含む原価データを作成すること、
を特徴とする請求項1に記載の間接費配賦装置。
【請求項3】
前記契約は、IT業界におけるプロジェクトに関するものであること、
を特徴とする請求項2に記載の間接費配賦装置。
【請求項4】
配賦基準値算出部が、作業時間を社員別日付別契約別に保持する作業時間データを参照して、ひと月あたりの社員別作業時間とひと月あたりの社員別契約別作業時間を算出し、前記算出された前記社員別作業時間に対する前記算出された前記社員別契約別作業時間の比の値を社員別契約別に算出し、前記算出された前記比の前記値を基に契約別の集計値を算出する配賦基準値算出ステップと、
間接費集計部が、契約管理データであって各契約が直接費または間接費という区分と紐付けられているものと、前記作業時間データと、間接費に関する社員の単価データと、を参照して、間接費を抽出するとともに、前記契約管理データと、契約と紐付けられている仕入データと、を参照して、間接費を抽出し、前記抽出した前記間接費の合計を算出する間接費集計ステップと、
間接費配賦部が、前記間接費集計部で算出された前記合計に前記配賦基準値算出部で算出された前記集計値を乗算し、前記乗算で得られた値を前記合計の配賦対象とされる契約の数で除算することにより、契約別の間接費の配賦金額を算出する間接費配賦ステップと、
を含むことを特徴とする間接費配賦方法。
【請求項5】
情報処理装置を、
作業時間を社員別日付別契約別に保持する作業時間データを参照して、ひと月あたりの社員別作業時間とひと月あたりの社員別契約別作業時間を算出し、前記算出された前記社員別作業時間に対する前記算出された前記社員別契約別作業時間の比の値を社員別契約別に算出し、前記算出された前記比の前記値を基に契約別の集計値を算出する配賦基準値算出手段、
契約管理データであって各契約が直接費または間接費という区分と紐付けられているものと、前記作業時間データと、間接費に関する社員の単価データと、を参照して、間接費を抽出するとともに、前記契約管理データと、契約と紐付けられている仕入データと、を参照して、間接費を抽出し、前記抽出した前記間接費の合計を算出する間接費集計手段、
前記間接費集計手段で算出された前記合計に前記配賦基準値算出手段で算出された前記集計値を乗算し、前記乗算で得られた値を前記合計の配賦対象とされる契約の数で除算することにより、契約別の間接費の配賦金額を算出する間接費配賦手段、
として機能させるための間接費配賦プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接費配賦装置、間接費配賦方法、及び間接費配賦プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、仕事の開始時間と終了時間との間に発生した人件費を、仕事の属性に関連づけられた配賦先に配賦する人件費配賦システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-58679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、IT業界で各プロジェクトに製造間接費を配賦する場合、工数時間または工数金額比率の何れかの人件費配賦が一般的である。しかし、工数時間または工数金額比率で配賦すると、結局一人が集中して案件に入ってしまうと間接費の配賦基準が偏ってしまう。つまり、トラブルシューティングを行う為に投入した人員によって、プロジェクト損益を悪化させてしまうことにつながる。工数時間による配賦は、一見正しいように見える(問題ないように思われる)が、不均衡を発生させるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、従来の間接費の配賦基準の不均衡が是正された、従来の間接費の配賦基準よりも公平性の高い配賦基準を設定することで、より実態に近い実際原価計算が実現可能となる間接費配賦装置、間接費配賦方法、及び間接費配賦プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる間接費配賦装置は、作業時間を社員別日付別契約別に保持する作業時間データを参照して、ひと月あたりの社員別作業時間とひと月あたりの社員別契約別作業時間を算出し、前記算出された前記社員別作業時間に対する前記算出された前記社員別契約別作業時間の比の値を社員別契約別に算出し、前記算出された前記比の前記値を基に契約別の集計値を算出する配賦基準値算出部と、契約管理データであって各契約が直接費または間接費という区分と紐付けられているものと、前記作業時間データと、間接費に関する社員の単価データと、を参照して、間接費を抽出するとともに、前記契約管理データと、契約と紐付けられている仕入データと、を参照して、間接費を抽出し、前記抽出した前記間接費の合計を算出する間接費集計部と、前記間接費集計部で算出された前記合計に前記配賦基準値算出部で算出された前記集計値を乗算し、前記乗算で得られた値を前記合計の配賦対象とされる契約の数で除算することにより、契約別の間接費の配賦金額を算出する間接費配賦部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明にかかる間接費配賦装置において、前記間接費配賦部は、算出した契約別の間接費の配賦金額と、対応する契約と、間接費に関する所定の科目識別情報と、を含む原価データを作成してもよい。
【0008】
また、本発明にかかる間接費配賦装置において、前記契約は、IT業界におけるプロジェクトに関するものでもよい。
【0009】
また、本発明にかかる間接費配賦方法は、配賦基準値算出部が、作業時間を社員別日付別契約別に保持する作業時間データを参照して、ひと月あたりの社員別作業時間とひと月あたりの社員別契約別作業時間を算出し、前記算出された前記社員別作業時間に対する前記算出された前記社員別契約別作業時間の比の値を社員別契約別に算出し、前記算出された前記比の前記値を基に契約別の集計値を算出する配賦基準値算出ステップと、間接費集計部が、契約管理データであって各契約が直接費または間接費という区分と紐付けられているものと、前記作業時間データと、間接費に関する社員の単価データと、を参照して、間接費を抽出するとともに、前記契約管理データと、契約と紐付けられている仕入データと、を参照して、間接費を抽出し、前記抽出した前記間接費の合計を算出する間接費集計ステップと、間接費配賦部が、前記間接費集計部で算出された前記合計に前記配賦基準値算出部で算出された前記集計値を乗算し、前記乗算で得られた値を前記合計の配賦対象とされる契約の数で除算することにより、契約別の間接費の配賦金額を算出する間接費配賦ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる間接費配賦プログラムは、情報処理装置を、作業時間を社員別日付別契約別に保持する作業時間データを参照して、ひと月あたりの社員別作業時間とひと月あたりの社員別契約別作業時間を算出し、前記算出された前記社員別作業時間に対する前記算出された前記社員別契約別作業時間の比の値を社員別契約別に算出し、前記算出された前記比の前記値を基に契約別の集計値を算出する配賦基準値算出手段、契約管理データであって各契約が直接費または間接費という区分と紐付けられているものと、前記作業時間データと、間接費に関する社員の単価データと、を参照して、間接費を抽出するとともに、前記契約管理データと、契約と紐付けられている仕入データと、を参照して、間接費を抽出し、前記抽出した前記間接費の合計を算出する間接費集計手段、前記間接費集計手段で算出された前記合計に前記配賦基準値算出手段で算出された前記集計値を乗算し、前記乗算で得られた値を前記合計の配賦対象とされる契約の数で除算することにより、契約別の間接費の配賦金額を算出する間接費配賦手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、従来の間接費の配賦基準の不均衡が是正された、従来の間接費の配賦基準よりも公平性の高い配賦基準を設定することで、より実態に近い実際原価計算が実現可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る業務支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、業務フローおよび処理フローの全体概要の一例を示す図である。
図3図3は、業務フローおよび処理フローの具体例ならびに登録されるデータ例を示す図である。
図4図4は、業務フローおよび処理フローの具体例、登録されるデータ例ならびに実行される計算例を示す図である。
図5図5は、業務フローおよび処理フローの具体例、登録されるデータ例ならびに実行される計算例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る間接費配賦装置、間接費配賦方法、および間接費配賦プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0014】
[1.構成]
本実施形態に係る業務支援装置100(本発明の間接費配賦装置を含む。)の構成の一例について、図1等を参照して説明する。図1は、業務支援装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
業務支援装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、業務支援装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0016】
業務支援装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。業務支援装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0017】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、業務支援装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、業務支援装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0018】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0019】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0020】
記憶部106は、予定単価マスタ106a、科目マスタ106b、社員マスタ106c、配賦基準マスタ106d、部署マスタ106e、部署別契約明細配賦手順マスタ106f、仕入商品マスタ106g、使用目的マスタ106h、契約明細テーブル106i(本発明の契約管理データに相当)、工数テーブル106j(本発明の作業時間データに相当)、仕入テーブル106k(本発明の仕入データに相当)、原価テーブル106l(本発明の原価データに相当)等を格納する。なお、本発明の単価データは、予定単価マスタ106aと社員マスタ106cを包含するものに相当する。また、業務支援装置100は、記憶部106に格納されている各種マスタをメンテナンス(新規登録、修正、または削除)する機能を備えてもよい。
【0021】
図3には、予定単価マスタ106aに格納される情報の一例が示されている。予定単価マスタ106aは、役職別の単価を管理するためのものである。予定単価マスタ106aは、図3で示すように、単価に割当てられた予定単価識別情報(例えば予定単価CD等)、単価名(例えば部長等の役職名など)、直接費金額、および間接費金額等を格納する。
【0022】
図3には、科目マスタ106bに格納される情報の一例が示されている。科目マスタ106bは、科目を管理するためのものである。科目マスタ106bは、図3で示すように、科目CDや科目名等といった科目識別情報等を格納する。
【0023】
図3には、社員マスタ106cに格納される情報の一例が示されている。社員マスタ106cは、社員の情報を管理するためのものである。社員マスタ106cは、図3で示すように、社員CDや社員名等といった社員識別情報、部署CDや部署名等といった部署識別情報、および予定単価識別情報(例えば予定単価CD等)等を格納する。
【0024】
図3には、配賦基準マスタ106dに格納される情報の一例が示されている。配賦基準マスタ106dは、配賦基準を管理するためのものである。配賦基準マスタ106dは、図3で示すように、配賦基準区分や配賦基準名等といった配賦基準識別情報等を格納する。
【0025】
図3には、部署マスタ106eに格納される情報の一例が示されている。部署マスタ106eは、部署の情報を管理するためのものである。部署マスタ106eは、図3で示すように、部署CDや部署名等といった部署識別情報を格納する。
【0026】
図3には、部署別契約明細配賦手順マスタ106fに格納される情報の一例が示されている。部署別契約明細配賦手順マスタ106fは、部署別の配賦基準を管理するためのものである。部署別契約明細配賦手順マスタ106fは、図3で示すように、部署識別情報および配賦基準識別情報等を格納する。
【0027】
図3には、仕入商品マスタ106gに格納される情報の一例が示されている。仕入商品マスタ106gは、「業務委託料」「準委任作業料」「作業時間」等の名称を、仕入商品として、料金や時間等の使用目的と紐づけて管理するためのものである。仕入商品マスタ106gは、図3で示すように、仕入商品CDや仕入商品名等といった仕入商品識別情報および使用目的識別情報(例えば使用目的CD等)等を格納する。
【0028】
図3には、使用目的マスタ106hに格納される情報の一例が示されている。使用目的マスタ106hは、直接費および間接費のそれぞれに適用される勘定科目等を使用目的別に管理するためのものである。使用目的マスタ106hは、図3で示すように、使用目的識別情報、直接費科目識別情報(例えば直接費科目CD等)、直接費勘定科目識別情報(例えば「外注費(直)」「労務費(直)」等)、間接費科目識別情報(例えば間接費科目CD等)および間接費勘定科目識別情報(例えば「外注費(間)」「労務費(間)」等)等を格納する。
【0029】
図3には、契約明細テーブル106iに格納される情報の一例が示されている。契約明細テーブル106iは、契約等の情報を管理するためのものである。契約明細テーブル106iは、直接費か間接費かを区別ための直間区分と部署(部門)とを紐づける役割も担っている。契約明細テーブル106iは、図3で示すように、契約明細識別情報(例えば契約明細番号や契約明細名等)、直間区分(例えば直接費を意味する「1」、間接費を意味する「2」など)、区分識別情報(例えば「直接」「間接」といった区分名等)、および部署識別情報(例えば部署CDや部署名等)等を格納する。業務支援装置100は、契約明細テーブル106iを更新(新規登録、修正、または削除)する登録機能(契約明細登録機能および間接プロジェクト登録機能)を備えてもよい。
【0030】
図3図4および図5には、工数テーブル106jに格納される情報の一例が示されている。工数テーブル106jは、社員の作業時間等を管理するためのものである。工数テーブル106jは、図3図4および図5で示すように、社員識別情報、日付、契約明細識別情報、および作業時間等を格納する。工数テーブル106jの「作業時間」には、仕入商品マスタ106gの仕入商品CD「H003」がセットされている。業務支援装置100は、工数テーブル106jを更新(新規登録、修正、または削除)するための工数入力機能を備えてもよい。
【0031】
図4および図5には、仕入テーブル106kに格納される情報の一例が示されている。仕入テーブル106kは、仕入の情報を管理するためのものである。仕入テーブル106kは、図4および図5で示すように、日付、伝票識別情報(例えば伝票番号等)、仕入先識別情報(例えば仕入先CDや仕入先名等)、仕入商品識別情報(例えば仕入商品CDや仕入商品名など)、税抜金額、および契約明細識別情報等を格納する。業務支援装置100は、仕入テーブル106kを更新(新規登録、修正、または削除)するための仕入入力機能を備えてもよい。
【0032】
図5には、原価テーブル106lに格納される情報の一例が示されている。原価テーブル106lは、契約ごとの直接費および間接費を管理するためのものである。原価テーブル106lは、図5で示すように、日付、契約明細識別情報、科目識別情報(例えば科目CDや科目名など)、および金額等を格納する。
【0033】
図1に戻り、制御部102は、業務支援装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の業務支援を実行する。
【0034】
制御部102は、機能概念的に、人別比重計算処理部102a(本発明の配賦基準値算出部に含まれる)、契約明細別比重集計処理部102b(本発明の配賦基準値算出部に含まれる)、直接間接費計算処理部102c(本発明の間接費集計部の一部を含む)、間接費配賦処理部102d(本発明の間接費集計部の一部と本発明の間接費配賦部を含む)などを備える。
【0035】
人別比重計算処理部102aは、図4の「(5)原価計算(人別比重計算)」で示すように、工数テーブル106jを基に社員別に各月に契約明細別に発生した作業時間を集計し、各社員の作業時間合計に依らず1.0になる様、社員別に契約明細別の比重案分を行い、「人別各契約明細別作業時間(本発明の「ひと月あたりの社員別契約別作業時間」に相当)÷人別総作業時間(本発明の「ひと月あたりの社員別作業時間」に相当)」という計算式で定義される人別比重比率(本発明の「比の値」に相当)を算出する。換言すると、人別比重計算処理部102aは、工数テーブル106jを参照して、人別総作業時間と人別各契約明細別作業時間を算出し、算出された人別総作業時間と人別各契約明細別作業時間を基に、人別比重比率を社員別契約明細別に算出する。
【0036】
契約明細別比重集計処理部102bは、図4の「(6)原価計算(契約明細別比重集計)」で示すように、社員別契約明細別に案分した人別比重比率を契約明細別に足し(つまり、契約明細ごとに、各社員の人別比重比率の総和を求め)、契約明細別の配賦基準(契約明細別比重(本発明の「集計値」に相当))を決定する。
【0037】
直接間接費計算処理部102cは、図5の「(7)原価計算(直間原価集計)」で示すように、1)社員マスタ106cを参照して、工数テーブル106jの各社員識別情報に紐づく予定単価識別情報を特定し、2)契約明細テーブル106iを参照して、工数テーブル106jの各契約明細識別情報に紐づく直間区分(または区分名)を特定し、3)予定単価マスタ106aを参照して、特定した予定単価識別情報に紐づく単価であって特定した直間区分(または区分名)に応じたものを取得し、4)取得した単価(直接費や間接費の単価)と工数テーブル106jの各作業時間を乗算して直接費や間接費を算出する。
【0038】
また、直接間接費計算処理部102cは、図5の「(8)原価計算(直間原価集計)」で示すように、1)契約明細テーブル106iを参照して、仕入テーブル106kの各契約明細識別情報に紐づく直間区分(または区分名)を特定し、2)仕入テーブル106kの各税抜金額を、特定した直間区分(または区分名)に従って直接費や間接費に振り分ける。
【0039】
間接費配賦処理部102dは、図5の「(9)原価計算(間接費配賦計算)」で示すように、1)直接間接費計算処理部102cで得られた間接費の合計を算出し、2)算出した間接費の合計に契約明細別比重集計処理部102bで算出した契約明細別比重を乗算し、その乗算した金額を間接費の配賦対象となる契約数で除算することにより、契約明細別の間接費配賦額を算出し、3)算出した契約明細別の間接費配賦額を、一緒に格納する情報(日付、契約明細識別情報、および科目識別情報)とともに原価テーブル106lに格納する。なお、原価テーブル106lには、工数テーブル106jを起源とする契約明細別に集計された直接費も格納される。
【0040】
[2.処理]
[2-1.処理の概要]
図2は、業務フローおよび処理フローの全体概要の一例を示す図である。一般的には、プロジェクト登録後、原価登録(工数入力、仕入入力等)がされ、原価計算処理において間接費を集計・配賦して原価を算出するが、本実施形態では、原価計算処理において人別比重計算と契約明細別比重集計を行ってから間接費を集計・配賦して原価を算出する。なお。間接費については、契約明細1001が間接プロジェクトの原資となり、各契約明細に配賦される。
【0041】
[2-2.処理の具体例]
図4および図5は、業務フローおよび処理フローの具体例、登録されるデータ例ならびに実行される計算例を示す図である。上述のように構成された業務支援装置100が行う処理の具体例について、特に、図4の「(5)原価計算(人別比重計算)」以降の処理を中心に説明する。
【0042】
[(5)原価計算(人別比重計算)(図4)]
まず、人別比重計算処理部102aは、工数テーブル106jの社員CD「S001」(山田太郎)について、間接費配賦対象である契約別に作業時間を取得する。本説明では、契約明細番号「0001」について50時間、契約明細番号「0002」について50時間、契約明細番号「0003」について60時間が取得される。
【0043】
次に、人別比重計算処理部102aは、社員CD「S001」に紐づく取得した作業時間を合算する。本説明では、社員CD「S001」について160時間と算出される。
【0044】
次に、人別比重計算処理部102aは、社員CD「S001」の人別比重比率を契約明細別に算出する。本説明では、契約明細番号「0001」の人別比重比率は、50時間を160時間で除算した「0.3125」が算出される。同様に、契約明細番号「0002」の人別比重比率は、50時間を160時間で除算した「0.3125」が算出される。契約明細番号「0003」の人別比重比率は、60時間を160時間で除算した「0.375」が算出される。なお、社員CD「S001」の人別比重比率の合計は「1.0」となる。
【0045】
以上の処理を、工数テーブル106jの社員CD「S002」(佐藤次郎)および社員CD「S0003」(秋山三郎)に対しても同様に行う。
【0046】
[(6)原価計算(契約明細別比重集計)(図4)]
契約明細別比重集計処理部102bは、人別比重計算処理部102aで算出した人別比重比率を契約明細番号別に合計して契約明細別比重を算出する。本説明では、契約明細番号「0001」(契約明細名「PJ-01」)に対して、契約明細別比重「1.6125」が算出され、契約明細番号「0002」(契約明細名「PJ-02」)に対して、契約明細別比重「0.8125」が算出され、契約明細番号「0003」(契約明細名「PJ-03」)に対して、契約明細別比重「0.575」が算出される。
【0047】
[(7)原価計算(直間原価集計)(図5)]
直接間接費計算処理部102cは、1)社員マスタ106cを参照して、工数テーブル106jの1レコード目の社員CD「S001」(山田太郎)に紐づく予定単価CD「1」を特定し、2)契約明細テーブル106iを参照して、1レコード目の契約明細番号「0001」に紐づく直間区分「1」(区分名「直接」)を特定し、3)予定単価マスタ106aを参照して、特定した予定単価CD「1」に紐づく単価であって特定した直間区分「1」に応じたもの(直接費金額「20,000」)を取得し、4)取得した直接費金額「20,000」と1レコード目の作業時間「50」を乗算して直接費「1,000,000」を算出する。
【0048】
直接間接費計算処理部102cは、工数テーブル106jの2レコード目以降についても、同様の計算を行って直接費または間接費を算出する。本説明では、2レコード目以降についても全て直接費が算出され、間接費は算出されない。
【0049】
[(8)原価計算(直間原価集計)(図5)]
直接間接費計算処理部102cは、1)契約明細テーブル106iを参照して、仕入テーブル106kの1レコード目の契約明細CD「0004」に紐づく直間区分「2」(区分名「間接」)を特定し、2)1レコード目の税抜金額「1,000,000」を、特定した直間区分「2」に従って間接費に振り分ける(間接費として認識する)。
【0050】
直接間接費計算処理部102cは、仕入テーブル106kの2レコード目以降についても、同様の計算を行って直接費または間接費への振り分けを行う。本説明では、2レコード目についても間接費に振り分けられるが、3レコード目については直接費に振り分けられる。
【0051】
[(9)原価計算(間接費配賦計算)(図5)]
間接費配賦処理部102dは、1)直接間接費計算処理部102cで得られた、仕入テーブル106kを起源とする間接費「1,000,000」と「2,000,000」の合計を算出し、2)間接費の配賦対象となる契約明細CD「0001」に対し、「算出した間接費の合計「3,000,000」×契約明細別比重「1.6125」÷配賦対象数「3」」という計算式で間接費配賦額「1,612,500」を算出し、3)算出した間接費配賦額「1,612,500」を、必要な情報とともに原価テーブル106lに格納する。なお、必要な情報について、間接費配賦処理部102dは、仕入テーブル106kにおいて間接プロジェクトと認識される契約明細CDに紐づく仕入商品CDを基に、仕入商品マスタ106gを参照して、これに紐づく使用目的CDを特定し、さらに、特定した使用目的CDを基に、使用目的マスタ106hを参照して、これに紐づく間接費科目CDと勘定科目名を取得する。
【0052】
間接費配賦処理部102dは、間接費の配賦対象となる残り2つの契約明細CD「0002」と「0003」についても、同様に、間接費配賦額の算出と、原価テーブル106lへの間接費配賦額等の情報の格納と、を行う。
【0053】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0056】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0057】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0058】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0059】
また、業務支援装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0060】
例えば、業務支援装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて業務支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0061】
また、このコンピュータプログラムは、業務支援装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0062】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0063】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0064】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0065】
また、業務支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、業務支援装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0066】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、IT業界など様々な業界において有用である。
【符号の説明】
【0068】
100 業務支援装置
102 制御部
102a 人別比重計算処理部
102b 契約明細別比重集計処理部
102c 直接間接費計算処理部
102d 間接費配賦処理部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 予定単価マスタ
106b 科目マスタ
106c 社員マスタ
106d 配賦基準マスタ
106e 部署マスタ
106f 部署別契約明細配賦手順マスタ
106g 仕入商品マスタ
106h 使用目的マスタ
106i 契約明細テーブル
106j 工数テーブル
106k 仕入テーブル
106l 原価テーブル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5