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特開2024-94104光学素子、光検出装置、および電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094104
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】光学素子、光検出装置、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240702BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240702BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
H01L27/146 D
G02B5/00 Z
H04N25/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210860
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤島 雄祐
【テーマコード(参考)】
2H042
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
2H042AA03
2H042AA06
2H042AA18
2H042AA22
4M118AA01
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118CA34
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA38
4M118GA02
4M118GA09
4M118GC08
4M118GC14
4M118GC20
4M118GD03
4M118GD04
4M118GD11
4M118HA25
5C024CX41
5C024EX42
5C024EX51
5C024EX56
5C024GX01
5C024GX03
5C024GY31
(57)【要約】
【課題】効率良く集光可能な光学素子を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の光学素子は、第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられ、前記第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含み、柱状の形状を有する構造体と、前記構造体の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する充填部材とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられ、前記第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含み、柱状の形状を有する構造体と、
前記構造体の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する充填部材と
を備える光学素子。
【請求項2】
前記第1の部材の屈折率は、前記第2の部材の屈折率よりも高く、
前記第2の部材の屈折率は、前記充填部材の屈折率よりも高い
請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記第1の部材の屈折率は、前記充填部材の屈折率よりも高く、
前記充填部材の屈折率は、前記第2の部材の屈折率よりも高い
請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記構造体は、可視光の波長以下の幅、または赤外光の波長以下の幅を有する
請求項1に記載の光学素子。
【請求項5】
複数の前記構造体を有し、
前記充填部材は、隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられる
請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
前記構造体として、互いに異なる幅を有する第1構造体及び第2構造体を有する
請求項1に記載の光学素子。
【請求項7】
前記構造体は、前記第2の部材の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第3の部材を含む
請求項1に記載の光学素子。
【請求項8】
柱状の形状を有する第1構造体及び前記第1構造体の周囲に設けられる充填部材を含む第1導光部材と、
前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子と
を備え、
前記第1構造体は、第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられ、前記第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含み、
前記充填部材は、前記第1構造体の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する
光検出装置。
【請求項9】
前記第1の部材の屈折率は、前記第2の部材の屈折率よりも高く、
前記第2の部材の屈折率は、前記充填部材の屈折率よりも高い
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項10】
前記第1の部材の屈折率は、前記充填部材の屈折率よりも高く、
前記充填部材の屈折率は、前記第2の部材の屈折率よりも高い
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記第1構造体は、可視光の波長以下の幅、または赤外光の波長以下の幅を有する
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記第1構造体は、前記第1光電変換素子の上方に設けられ、入射した光を分光する
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項13】
柱状の形状を有する第2構造体と、前記第2構造体の周囲に設けられる前記充填部材とを含む第2導光部材と、
前記第2導光部材を介して入射する光を光電変換する第2光電変換素子と、
柱状の形状を有する第3構造体と、前記第3構造体の周囲に設けられる前記充填部材とを含む第3導光部材と、
前記第3導光部材を介して入射する光を光電変換する第3光電変換素子と、を備える
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記第1導光部材と前記第1光電変換素子との間に設けられ、青色光を透過する第1フィルタを有する
請求項13に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記第2導光部材と前記第2光電変換素子との間に設けられ、緑色光を透過する第2フィルタを有し、
前記第2構造体は、前記第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられる前記第2の部材とを含む
請求項14に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記第3導光部材と前記第3光電変換素子との間に設けられ、赤色光を透過する第3フィルタを有し、
前記第3構造体は、前記第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられる前記第2の部材とを含む
請求項15に記載の光検出装置。
【請求項17】
前記第1構造体は、前記第2の部材の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第3の部材を含む
請求項8に記載の光検出装置。
【請求項18】
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
柱状の形状を有する第1構造体及び前記第1構造体の周囲に設けられる充填部材を含む第1導光部材と、
前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子と
を有し、
前記第1構造体は、第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられ、前記第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含み、
前記充填部材は、前記第1構造体の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学素子、光検出装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のナノポストを有し、入射光を波長別に分離させて集光する色分離レンズアレイが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-69119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学素子では、入射光を効率良く集光できることが望ましい。
【0005】
効率良く集光可能な光学素子を提供することが望まれる。
【0006】
本開示の一実施形態の光学素子は、第1の部材と、第1の部材の周囲に設けられ、第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含み、柱状の形状を有する構造体と、構造体の周囲に設けられ、第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する充填部材とを備える。
本開示の一実施形態の光検出装置は、柱状の形状を有する第1構造体及び第1構造体の周囲に設けられる充填部材を含む第1導光部材と、第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子とを備える。第1構造体は、第1の部材と、第1の部材の周囲に設けられ、第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含む。充填部材は、第1構造体の周囲に設けられ、第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する。
本開示の一実施形態の電子機器は、光学系と、光学系を透過した光を受光する光検出装置とを備える。光検出装置は、柱状の形状を有する第1構造体及び第1構造体の周囲に設けられる充填部材を含む第1導光部材と、第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子とを有する。第1構造体は、第1の部材と、第1の部材の周囲に設けられ、第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含む。充填部材は、第1構造体の周囲に設けられ、第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
図5A図5Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図5B図5Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図5C図5Cは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の比較例に係る撮像装置の構造体の構成例を示す図である。
図7図7は、本開示の比較例に係る撮像装置の導光部における位相遅延量の一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の構造体の構成例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の導光部における位相遅延量の一例を示す図である。
図10A図10Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図10B図10Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図10C図10Cは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図10D図10Dは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図10E図10Eは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図10F図10Fは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図10G図10Gは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。
図11図11は、本開示の変形例1に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。
図12A図12Aは、本開示の変形例1に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
図12B図12Bは、本開示の変形例1に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
図13図13は、本開示の変形例1に係る撮像装置の平面構成の別の例を示す図である。
図14図14は、本開示の変形例2に係る撮像装置の導光部の構成例を説明するための図である。
図15図15は、本開示の変形例2に係る撮像装置の導光部の構成例を説明するための図である。
図16図16は、本開示の変形例3に係る撮像装置の導光部の構成例を説明するための図である。
図17図17は、本開示の変形例3に係る撮像装置の導光部の別の構成例を説明するための図である。
図18図18は、本開示の変形例4に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。
図19図19は、撮像装置を有する電子機器の構成例を表すブロック図である。
図20図20は、車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図21図21は、車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
図22図22は、内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図23図23は、カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.適用例
4.応用例
【0009】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。光検出装置は、入射する光を検出可能な装置である。光検出装置である撮像装置1は、光電変換部(光電変換素子)を有する複数の画素Pを有し、入射した光を光電変換して信号を生成するように構成される。撮像装置1(光検出装置)は、光学レンズを含む光学系を透過した光を受光して信号を生成し得る。
【0010】
撮像装置1の各画素Pの光電変換部は、例えばフォトダイオードであり、光を光電変換可能に構成される。撮像装置1は、複数の画素Pが行列状に2次元配置された領域(画素部100)を、撮像エリアとして有する。画素部100は、複数の画素Pが配置される画素アレイともいえる。
【0011】
撮像装置1は、光学レンズを含む光学系(不図示)を介して、被写体からの入射光(像光)を取り込む。撮像装置1は、光学レンズにより形成される被写体の像を撮像する。撮像装置1は、受光した光を光電変換して画素信号を生成し得る。撮像装置1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像装置1は、例えば、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等の電子機器に利用可能である。
【0012】
[撮像装置の概略構成]
撮像装置1は、図1に示す例のように、画素部100(画素アレイ)の周辺領域に、例えば、画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、処理部114等を有する。また、撮像装置1には、複数の制御線L1と、複数の信号線L2が設けられる。
【0013】
制御線L1は、画素Pを制御する信号を伝えることが可能な信号線であり、画素駆動部111と画素部100の画素Pとに接続される。図1に示す例では、画素部100では、水平方向(行方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素行ごとに、複数の制御線L1が配線される。制御線L1は、画素Pからの信号読み出しのための制御信号を伝送するように構成される。
【0014】
撮像装置1の画素行ごとの複数の制御線L1には、一例として、転送トランジスタを制御する信号を伝送する配線、選択トランジスタを制御する信号を伝送する配線、リセットトランジスタを制御する信号を伝送する配線等が含まれる。制御線L1は、画素Pを駆動する信号を伝送する駆動線(画素駆動線)ともいえる。
【0015】
信号線L2は、画素Pからの信号を伝えることが可能な信号線であり、画素部100の画素Pと信号処理部112とに接続される。画素部100には、例えば、垂直方向(列方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列ごとに、信号線L2が配線される。信号線L2は、垂直信号線であり、画素Pから出力される信号を伝送するように構成される。
【0016】
画素駆動部111は、画素部100の各画素Pを駆動可能に構成される。画素駆動部111は、駆動回路であり、例えば、バッファ、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等を含む複数の回路によって構成される。画素駆動部111は、画素Pを駆動するための信号を生成し、制御線L1を介して画素部100の各画素Pへ出力する。画素駆動部111は、制御部113により制御され、画素部100の画素Pの制御を行う。
【0017】
画素駆動部111は、例えば、画素Pの転送トランジスタを制御する信号、及びリセットトランジスタを制御する信号等の画素Pを制御するための信号を生成し、制御線L1によって各画素Pに供給する。画素駆動部111は、各画素Pから画素信号を読み出す制御を行い得る。画素駆動部111は、各画素Pを制御可能に構成された画素制御部ともいえる。なお、画素駆動部111と制御部113とを併せて、画素制御部ということもできる。
【0018】
信号処理部112は、入力される画素の信号の信号処理を実行可能に構成される。信号処理部112は、信号処理回路であり、例えば、負荷回路部、AD(Analog Digital)変換部、水平選択スイッチ等を有する。なお、信号処理部112は、信号線L2を介して画素Pから読み出される信号を増幅するように構成された増幅回路部を有していてもよい。
【0019】
画素駆動部111によって選択走査された各画素Pから出力される信号は、信号線L2を介して信号処理部112に入力される。信号処理部112は、例えば、画素Pの信号のAD変換、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)等の信号処理を行い得る。信号線L2の各々を通して伝送される各画素Pの信号は、信号処理部112により信号処理が施され、処理部114に出力される。
【0020】
処理部114は、入力される信号に対して信号処理を実行可能に構成される。処理部114は、信号処理回路であり、例えば、画素信号に対して各種の信号処理を施す回路により構成される。処理部114は、プロセッサ及びメモリを含んでいてもよい。処理部114は、信号処理部112から入力される画素の信号に対して信号処理を行い、処理後の画素の信号を出力する。処理部114は、例えば、ノイズ低減処理、階調補正処理等の各種の信号処理を行い得る。
【0021】
制御部113は、撮像装置1の各部を制御可能に構成される。制御部113は、外部から与えられるクロック、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像装置1の内部情報等のデータを出力し得る。制御部113は、制御回路であり、例えば、各種のタイミング信号を生成可能に構成されたタイミングジェネレータを有する。制御部113は、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号(パルス信号、クロック信号等)に基づき、画素駆動部111及び信号処理部112等の駆動制御を行う。なお、制御部113及び処理部114は、一体的に構成されていてもよい。
【0022】
画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、処理部114等は、1つの半導体基板に設けられていてもよいし、複数の半導体基板に分けて設けられていてもよい。撮像装置1は、複数の基板を積層して構成された構造(積層構造)を有していてもよい。
【0023】
[画素の構成]
図2は、実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を示す図である。画素Pは、光電変換部12(光電変換素子)と、読み出し回路20とを有する。読み出し回路20は、光電変換された電荷に基づく信号を出力可能に構成される。読み出し回路20は、一例として、転送トランジスタ13と、FD(フローティングディフュージョン)14と、増幅トランジスタ15と、選択トランジスタ16と、リセットトランジスタ17とを有する。
【0024】
転送トランジスタ13、増幅トランジスタ15、選択トランジスタ16、及びリセットトランジスタ17は、それぞれ、ゲート、ソース、ドレインの端子を有するMOSトランジスタ(MOSFET)である。図2に示す例では、転送トランジスタ13、増幅トランジスタ15、選択トランジスタ16、及びリセットトランジスタ17は、それぞれNMOSトランジスタにより構成される。なお、画素Pのトランジスタは、PMOSトランジスタにより構成されてもよい。
【0025】
光電変換部12は、光を受光して信号を生成するように構成される。光電変換部12は、受光部(受光素子)であり、光電変換により電荷を生成可能に構成される。図2に示す例では、光電変換部12は、フォトダイオード(PD)であり、入射する光を電荷に変換する。光電変換部12は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。
【0026】
転送トランジスタ13は、光電変換部12で光電変換された電荷をFD14に転送可能に構成される。図2に示すように、転送トランジスタ13は、信号TRGにより制御され、光電変換部12とFD14とを電気的に接続または切断する。転送トランジスタ13は、光電変換部12で光電変換されて蓄積された電荷をFD14に転送し得る。
【0027】
FD14は、蓄積部であり、転送された電荷を蓄積可能に構成される。FD14は、光電変換部12で光電変換された電荷を蓄積し得る。FD14は、転送された電荷を保持可能な保持部ともいえる。FD14は、転送された電荷を蓄積し、FD14の容量に応じた電圧に変換する。
【0028】
増幅トランジスタ15は、FD14に蓄積された電荷に基づく信号を生成して出力するように構成される。図2に示すように、増幅トランジスタ15のゲートは、FD14と電気的に接続され、FD14で変換された電圧が入力される。増幅トランジスタ15のドレインは、電源電圧VDDが供給される電源線に接続され、増幅トランジスタ15のソースは、選択トランジスタ16を介して信号線L2に接続される。増幅トランジスタ15は、FD14に蓄積された電荷に基づく信号、即ちFD14の電圧に基づく信号を生成し、信号線L2へ出力し得る。
【0029】
選択トランジスタ16は、画素の信号の出力を制御可能に構成される。選択トランジスタ16は、信号SELにより制御され、増幅トランジスタ15からの信号を信号線L2に出力可能に構成される。選択トランジスタ16は、画素の信号の出力タイミングを制御し得る。なお、選択トランジスタ16は、電源電圧VDDが与えられる電源線と増幅トランジスタ15との間に設けられてもよい。また、必要に応じて、選択トランジスタ16を省略してもよい。
【0030】
リセットトランジスタ17は、FD14の電圧をリセット可能に構成される。図2に示す例では、リセットトランジスタ17は、電源電圧VDDが与えられる電源線と電気的に接続され、画素Pの電荷のリセットを行うように構成される。リセットトランジスタ17は、信号RSTにより制御され、FD14に蓄積された電荷をリセットし、FD14の電圧をリセットし得る。なお、リセットトランジスタ17は、転送トランジスタ13を介して、光電変換部12に蓄積された電荷を排出し得る。
【0031】
画素駆動部111(図1参照)は、上述した制御線L1を介して、各画素Pの転送トランジスタ13、選択トランジスタ16、リセットトランジスタ17等のゲートに制御信号を供給し、トランジスタをオン状態(導通状態)又はオフ状態(非導通状態)とする。撮像装置1の複数の制御線L1には、転送トランジスタ13を制御する信号TRGを伝送する配線、選択トランジスタ16を制御する信号SELを伝送する配線、リセットトランジスタ17を制御する信号RSTを伝送する配線等が含まれる。
【0032】
転送トランジスタ13、選択トランジスタ16、リセットトランジスタ17等は、画素駆動部111によってオンオフ制御される。画素駆動部111は、各画素Pの読み出し回路20を制御することによって、各画素Pから画素信号を信号線L2に出力させる。画素駆動部111は、各画素Pの画素信号を信号線L2へ読み出す制御を行い得る。
【0033】
[撮像装置の構成]
図3は、実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。図3は、撮像装置1における画素部100の画素Pの配置例を示している。撮像装置1の画素Pは、フィルタ25を有する。また、画素Pは、後述するが、構造体30を用いて構成される導光部40(導光部材)を有する。なお、図3に示すように、被写体からの光の入射方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する紙面左右方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する紙面上下方向をY軸方向とする。以降の図において、図3の矢印の方向を基準として方向を表記する場合もある。
【0034】
フィルタ25は、入射する光のうちの特定の波長域の光を選択的に透過させるように構成される。フィルタ25は、例えば、RGBのカラーフィルタ、赤外光を透過するフィルタ等である。撮像装置1の画素部100に設けられた複数の画素Pには、赤(R)の光を透過するフィルタ25が設けられた複数の画素Prと、緑(G)の光を透過するフィルタ25が設けられた複数の画素Pgと、青(B)の光を透過するフィルタ25が設けられた複数の画素Pbが含まれる。
【0035】
画素部100では、図3に示す例のように、複数の画素Pr、複数の画素Pg、及び複数の画素Pbが繰り返し配置される。画素Pr、画素Pg、及び画素Pbは、例えば、ベイヤー配列に従って配置されている。画素Pr、画素Pg、及び画素Pbは、それぞれ、R成分の画素信号、G成分の画素信号、及びB成分の画素信号を生成する。撮像装置1は、RGBの画素信号を得ることができる。
【0036】
なお、画素部100の画素Pに設けられるフィルタ25は、原色系(RGB)のカラーフィルタに限定されず、例えばCy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(イエロー)等の補色系のカラーフィルタであってもよい。W(ホワイト)に対応したフィルタ、即ち入射光の全波長域の光を透過させるフィルタを配置するようにしてもよい。
【0037】
また、撮像装置1では、必要に応じて、フィルタ25を省略してもよい。例えば、白(W)の光を受光して光電変換を行う画素Pでは、フィルタ25を設けなくてよい。また、例えば、導光部40の特性によっては、撮像装置1の一部又は全部の画素Pにフィルタ25を設けなくてもよい。
【0038】
図4は、実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。図5A図5Cは、実施の形態に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。撮像装置1は、例えば、図4に示すように、導光部40と、絶縁層50と、フィルタ25と、半導体層10と、多層配線層90とがZ軸方向に積層された構成を有する。
【0039】
半導体層10は、図4に示すように、対向する第1面11S1及び第2面11S2を有する。第2面11S2は、第1面11S1とは反対側の面である。半導体層10は、半導体基板、例えばSi(シリコン)基板により構成される。半導体層10の第1面11S1は、受光面(光入射面)である。半導体層10の第2面11S2は、トランジスタ等の素子が形成される素子形成面である。半導体層10の第2面11S2には、ゲート電極、ゲート酸化膜等が設けられ得る。
【0040】
図4に示す例では、半導体層10の第1面11S1側に、フィルタ25及び導光部40等が設けられる。半導体層10の第2面11S2側には、多層配線層90が設けられる。光学系からの光が入射する側に導光部40及びフィルタ25等が設けられ、光が入射する側とは反対側に多層配線層90が設けられる。撮像装置1は、いわゆる裏面照射型の撮像装置である。
【0041】
半導体層10では、半導体層10の第1面11S1及び第2面11S2に沿って、複数の光電変換部12(光電変換素子)が設けられる。半導体層10には、例えば、複数の光電変換部12が埋め込み形成される。なお、半導体層10は、SOI(Silicon On Insulator)基板、SiGe(シリコンゲルマニウム)基板、SiC(シリコンカーバイド)基板等であってもよく、III-V族の化合物半導体材料等により構成されてもよい。
【0042】
多層配線層90は、例えば、導体膜および絶縁膜を含み、複数の配線およびビア(VIA)等を有する。多層配線層90は、例えば2層以上の配線を含む。多層配線層90は、複数の配線が絶縁膜を間に積層された構成を有する。多層配線層90の絶縁膜は、層間絶縁膜(層間絶縁層)ともいえる。
【0043】
多層配線層90の配線は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)等の金属材料を用いて形成される。多層配線層90の配線は、ポリシリコン(Poly-Si)、その他の導電材料を用いて構成されてもよい。層間絶縁膜は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等を用いて形成される。
【0044】
半導体層10及び多層配線層90には、例えば、上述した読み出し回路20(図2参照)が設けられる。なお、上述した画素駆動部111、信号処理部112、制御部113、及び処理部114等は、半導体層10とは別の基板、又は、半導体層10及び多層配線層90に設けられ得る。
【0045】
絶縁層50は、導光部40が設けられる層と、フィルタ25が設けられる層との間に設けられる。絶縁層50は、スペーサ層であり、導光部40と半導体層10との間において、フィルタ25に積層して設けられる。絶縁層50は、例えば、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜等の絶縁膜を用いて形成される。
【0046】
絶縁層50は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)及び酸窒化シリコン(SiON)等により構成されてもよいし、他の絶縁材料を用いて構成されてよい。絶縁層50は、平坦化層(平坦化膜)ともいえる。また、絶縁層50は、光を透過する透明層ともいえる。
【0047】
また、撮像装置1には、分離部60と、導光壁65と、反射防止膜45aとが設けられる。分離部60は、隣り合う複数の光電変換部12の間に設けられ、光電変換部12間を分離する。分離部60は、隣り合う画素P(又は光電変換部12)の境界に設けられるトレンチ(溝部)を有する。分離部60は、例えば、半導体層10において光電変換部12を囲むように設けられる。
【0048】
分離部60は、例えば、図4に示す例のように、半導体層10を貫通するように設けられ得る。分離部60のトレンチ内には、一例として、絶縁膜、例えばシリコン酸化膜が設けられる。なお、分離部60のトレンチには、ポリシリコン、金属材料等が埋め込まれていてもよい。分離部60は、低屈折率を有する他の誘電体材料を用いて形成されてもよい。例えば、分離部60のトレンチ内には、空隙(空洞)が設けられていてもよい。分離部60が設けられることで、周囲の画素Pに光が漏れることが抑制される。
【0049】
導光壁65は、隣り合う複数のフィルタ25の間に設けられる。導光壁65は、例えば、壁状の構造体であり、フィルタ25の四方を囲むように設けられる。導光壁65は、フィルタ25の側部に位置し、周囲の媒質の屈折率よりも低い屈折率を有する。導光壁65は、フィルタ25の屈折率よりも低い屈折率を有する。導光壁65は、隣り合う画素Pの境界に設けられ、フィルタ25間を分離する分離壁(又は分離部)ともいえる。
【0050】
導光壁65は、例えば、酸化シリコン、空隙(空洞)等により構成される。なお、導光壁65は、低屈折率を有する他の誘電体材料を用いて形成されてもよい。導光壁65は、有機材料を用いて構成されてもよい。導光壁65は、導光壁65とその周囲の媒質との屈折率差によって、入射した光の進行方向を変化させる。導光壁65が設けられることで、周囲の画素Pへの光の漏れ込みを抑制し、混色が低減される。
【0051】
なお、撮像装置1は、固定電荷膜を有していてもよい。固定電荷膜は、例えば、半導体層10とフィルタ25との間に設けられる。固定電荷膜は、一例として、金属化合物(金属酸化物、金属窒化物等)により構成される。固定電荷膜は、例えば負の固定電荷を有する膜であり、半導体層10の界面における暗電流の発生を抑制する。
【0052】
反射防止膜45aは、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO)等の絶縁材料を用いて構成される。図4に示す例では、反射防止膜45aは、絶縁層50の上に設けられ、反射を低減(抑制)する。なお、絶縁層50又は導光部40は、反射防止膜45aを含んで構成されてもよい。
【0053】
導光部40(導光部材)は、構造体30を有し、入射した光を光電変換部12側へ導光するように構成される。導光部40には、計測対象である被写体からの光が入射する。構造体30は、入射する光の所定波長以下の大きさの微細(微小)な構造体である。構造体30は、例えば、可視光の波長以下の大きさを有する。構造体30は、赤外光の波長以下の大きさを有していてもよい。
【0054】
導光部40は、構造体30と、構造体30の周囲に設けられる充填部材35とを有する。構造体30は、複数の材料を用いて構成され、柱状(ピラー状)の形状を有する。図4に示す例では、構造体30は、第1部材31と、第1部材31の周囲に設けられる第2部材32とを有する。第2部材32は、第1部材31を囲むように設けられる。第2部材32は、例えば、第1部材31の側面(側部)を覆うように形成される。
【0055】
充填部材35は、隣り合う構造体30の間を充填するように設けられる。充填部材35は、複数の構造体30の間に埋め込まれている。なお、充填部材35は、第1部材31及び第2部材32を含む構造体30を覆うように形成されていてもよい。第1部材31及び第2部材32は、充填部材35内に設けられ、充填部材35の一部に置換して配置されるともいえる。
【0056】
また、導光部40は、図4に示すように、反射防止膜45bを有する。反射防止膜45bは、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料を用いて構成される。なお、反射防止膜45bは、酸窒化シリコン(SiON)を用いて構成されてもよいし、その他の材料を用いて構成されてもよい。反射防止膜45bは、構造体30の上に設けられ、反射を低減(抑制)する。反射防止膜45bは、例えば、構造体30及び充填部材35を覆うように設けられる。
【0057】
導光部40は、光を導光(伝搬)する光学素子(光学部材)である。導光部40(導光部材)は、微細構造体である構造体30を利用し、光を光電変換部12へ伝搬させる。導光部40は、メタマテリアル(メタサーフェス)技術を利用した光学素子であり、光を導光可能な導光素子ともいえる。本実施の形態に係る導光部40は、後述するが、分光部(分光素子)でもあり、入射する光を分光するように構成される。導光部40は、例えば、画素Pごと又は複数の画素Pごとに設けられ得る。
【0058】
構造体30は、例えば、図4に示すように、柱状(ピラー状)の構造体である。図4に模式的に示すように、複数の構造体30は、充填部材35の一部を挟んで、紙面左右方向(X軸方向)に互いに並んで配置される。撮像装置1の各画素Pでは、入射光の所定波長以下、例えば可視光(又は赤外光)の波長以下の間隔で、複数の構造体30が配置され得る。
【0059】
構造体30は、隣の媒質の屈折率とは異なる屈折率を有する。図4に示す例では、構造体30の第1部材31は、第1部材31の周りに配置された第2部材32の屈折率とは異なる屈折率を有する。構造体30の第2部材32は、充填部材35の屈折率とは異なる屈折率を有する。
【0060】
構造体30の第1部材31は、例えば、第2部材32の屈折率より高い屈折率を有していてもよい。また、第1部材31は、充填部材35の屈折率より高い屈折率を有していてもよい。第1部材31は、第2部材32の屈折率及び充填部材35の屈折率よりも高い屈折率を有する材料により構成され得る。
【0061】
構造体30の第2部材32は、例えば、第2部材32の周りに配置された第1部材31の屈折率及び充填部材35の屈折率とは異なる屈折率を有する。一例として、第2部材32は、充填部材35の屈折率よりも高い屈折率を有する材料により構成され、充填部材35の屈折率より高い屈折率を有する。また、例えば、第2部材32は、充填部材35の屈折率よりも低い屈折率を有する材料により構成され、充填部材35の屈折率より低い屈折率を有する。
【0062】
第1部材31の屈折率と第2部材32の屈折率との差は、例えば、1.0以上である。また、例えば、第1部材31の屈折率と第2部材32の屈折率との差は、1.2以上であってもよいし、1.5以上であってもよい。なお、第1部材31の屈折率と第2部材32の屈折率との差は、0.3以上であってもよい。
【0063】
第2部材32の屈折率と充填部材35の屈折率との差は、例えば、1.0以上である。また、例えば、第2部材32の屈折率と充填部材35の屈折率との差は、1.2以上であってもよいし、1.5以上であってもよい。なお、第2部材32の屈折率と充填部材35の屈折率との差は、0.3以上であってもよい。
【0064】
構造体30は、一例として、酸化チタンを用いて構成される。構造体30は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、ニオブ、インジウム等の単体、酸化物、窒化物、酸窒化物、或いはこれらの複合物で構成されてもよい。また、構造体30は、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、炭化シリコン、酸化炭化シリコン、他のシリコン化合物を用いて形成されてもよい。構造体30は、アモルファスシリコン(a-Si)、ポリシリコン、ゲルマニウム(Ge)等を用いて構成されてもよい。
【0065】
また、構造体30は、シロキサンなどの有機物から構成されてもよい。例えば、構造体30は、シロキサン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いて構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかにフッ素を含有した材料により、構造体30が構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかに、その樹脂よりも高い屈折率を有するビーズ(フィラー)を内填した材料を用いて、構造体30を形成してもよい。
【0066】
構造体30の第1部材31及び第2部材32は、上述のように、無機材料を用いて構成されてもよいし、有機材料を用いて構成されてもよい。例えば、第1部材31は、酸化チタン等の金属化合物(金属酸化物、金属窒化物等)により構成されてもよい。第1部材31及び第2部材32は、異なる材料を用いて構成されてもよいし、同種の材料を用いて構成されてもよい。
【0067】
充填部材35は、一例として、酸化物、窒化物、酸窒化物等の無機材料を用いて形成される。充填部材35は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、炭化シリコン、酸化炭化シリコン等により構成される。なお、充填部材35は、有機材料を用いて構成されてもよい。充填部材35は、シロキサン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いて構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかにフッ素を含有した材料により、充填部材35が構成されてもよい。これらの樹脂のいずれかに、その樹脂よりも高い屈折率を有するビーズを内填した材料を用いて、充填部材35を形成してもよい。
【0068】
第1部材31、第2部材32、及び充填部材35の材料は、周囲の媒質との屈折率差、計測対象となる入射光の波長域に応じて選択され得る。なお、第1部材31、第2部材32、及び充填部材35の一部は、空気(空隙)を用いて構成されてもよい。即ち、導光部40は、空間(空洞)を有していてもよい。
【0069】
導光部40は、構造体30とその周囲の媒質との屈折率差によって、入射する光に位相遅延を生じさせ、波面に影響を与えることができる。導光部40は、光の波長に応じて異なる位相遅延量を与えることで、光の伝搬方向を調整し、入射した光を各波長域の光に分離することが可能となる。
【0070】
入射光に含まれる各波長域の光が所望の方向に進むように、各構造体30の大きさ(サイズ)、形状、屈折率、ピッチ(配置間隔)等が定められる。図4に示す例では、構造体30の第1部材31及び第2部材32の各々の大きさ(幅、高さ等)、形状、屈折率、ピッチと、充填部材35の屈折率等が調整され得る。
【0071】
導光部40(分光部)は、メタマテリアル(メタサーフェス)技術を利用して光を分光可能な分光素子であり、スプリッター(カラースプリッター)ともいえる。本実施の形態に係る撮像装置1は、カラースプリッター構造を有するともいえる。
【0072】
導光部40による各波長の光の伝搬方向は、第1部材31及び第2部材32及び充填部材35等の材料(光学定数)、構造体30の形状、高さ、配置位置等によって調整可能である。導光部40は、入射した光を分光可能に構成された分光部である。なお、撮像装置1の各導光部40は、構造体30によって入射光を分光する領域(分光領域)ともいえる。
【0073】
導光部40は、複数の波長域の光、例えば第1の波長域~第3の波長域の光にそれぞれ異なる位相遅延を与える。これにより、撮像装置1では、導光部40に入射した光を、第1の波長域の光(例えば青の波長域の光)、第2の波長域の光(例えば緑の波長域の光)、及び第3の波長域の光(例えば赤の波長域の光)に分けることが可能となる。撮像装置1は、例えば、青色光、緑色光、及び赤色光の各々の進行方向を調整し得る。
【0074】
画素Pbの導光部40は、入射する光のうち、青(B)の光をその画素Pbのフィルタ25及び光電変換部12へ、赤(R)の光を画素Prのフィルタ25及び光電変換部12へそれぞれ伝搬可能に構成される。画素Pbの導光部40は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち赤の波長域の光を画素Prの方へ導く。
【0075】
また、画素Pbの導光部40は、入射する光のうち、緑(G)の光を画素Pgのフィルタ25及び光電変換部12へ伝搬するように構成される。画素Pbの導光部40は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち緑の波長域の光を画素Pgの方へ導く。
【0076】
画素Prの導光部40は、入射する光のうち、赤(R)の光をその画素Prのフィルタ25及び光電変換部12へ、青(B)の光を画素Pbのフィルタ25及び光電変換部12へそれぞれ伝搬可能に構成される。画素Prの導光部40は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち青の波長域の光を画素Pbの方へ導く。
【0077】
また、画素Prの導光部40は、入射する光のうち、緑(G)の光を画素Pgのフィルタ25及び光電変換部12へ伝搬するように構成される。画素Prの導光部40は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち緑の波長域の光を画素Pgの方へ導く。
【0078】
画素Pgの導光部40は、入射する光のうち、緑(G)の光をその画素Pgのフィルタ25及び光電変換部12へ、青(B)の光を画素Pbのフィルタ25及び光電変換部12へそれぞれ伝搬可能に構成される。画素Pgの導光部40は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち青の波長域の光を画素Pbの方へ導く。
【0079】
また、画素Pgの導光部40は、入射する光のうち、赤(R)の光を画素Prのフィルタ25及び光電変換部12へ伝搬するように構成される。画素Pgの導光部40は、入射光のスプリットを行い、入射した光のうち赤の波長域の光を画素Prの方へ導く。
【0080】
こうして、図5Aにおいて矢印で模式的に示すように、画素Pbを囲む複数の画素は、入射光のうち青の波長の光を画素Pbの方へ導く。画素Pbに入射する青色光と、画素Pbの周囲の画素の各々に入射する青色光とを、画素Pbのフィルタ25及び光電変換部12へ集光させることができる。画素Pbの光電変換部12は、青の波長域の光を効率よく受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成することが可能となる。
【0081】
図5Bにおいて矢印で模式的に示すように、画素Pgを囲む複数の画素は、入射光のうち緑の波長の光を画素Pgの方へ導く。画素Pgに入射する緑色光と、画素Pgの周囲の画素の各々に入射する緑色光とを、画素Pgのフィルタ25及び光電変換部12へ集光させることができる。画素Pgの光電変換部12は、緑の波長域の光を効率よく受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成することが可能となる。
【0082】
また、図5Cにおいて矢印で模式的に示すように、画素Prを囲む複数の画素は、入射光のうち赤の波長の光を画素Prの方へ導く。画素Prに入射する赤色光と、画素Prの周囲の画素の各々に入射する赤色光とを、画素Prのフィルタ25及び光電変換部12へ集光させることができる。画素Prの光電変換部12は、赤の波長域の光を効率よく受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成することが可能となる。
【0083】
このように、撮像装置1では、より多くの光を効果的に画素P内に取り込むことができ、量子効率(QE)を向上させることが可能となる。なお、上述した画素Pb、画素Pg、画素Prの各導光部40の構造体30は、例えば、各々の大きさ(例えば幅)、形状等が異なるように形成され得る。
【0084】
各画素Pの光電変換部12には、上述したように、導光部40及びフィルタ25等を介して、被写体からの光が入射する。光電変換部12は、導光部40の構造体30を介して入射する光を受光して光電変換を行い、受光量に応じた電荷を生成し得る。こうして、撮像装置1は、光電変換部12による光電変換によって得られる画素信号を用いて、例えば、可視画像、赤外画像等を生成することが可能となる。撮像装置1では、導光部40によって適切に光を集光することができ、入射光に対する感度を向上させることが可能となる。
【0085】
本実施の形態では、上述したように、導光部40の構造体30は、第1部材31及び第2部材32を用いて構成される。このため、導光部40の平均屈折率を設定して、各波長域の光の位相遅延量を細かく調整することができ、所望の位相遅延量の分布を実現することが可能となる。このため、カラースプリッターを実現するための理想の位相分布と実際の位相分布との差が小さくなり、適切に集光することができる。入射光に対する感度を向上させることが可能となる。以下では、比較例と対比して、本実施の形態に係る撮像装置1について、さらに説明する。
【0086】
図6は、比較例に係る撮像装置の構造体の構成例を示す図である。図7は、比較例に係る撮像装置の導光部における位相遅延量の一例を示す図である。比較例は、構造体30が第2部材32を有しない場合である。比較例に係る構造体30は、1つの第1部材31により構成される。第1部材31は屈折率n1を有し、充填部材35は屈折率n0を有する。
【0087】
図7において、縦軸は緑色光の位相遅延量(単位はdeg)、横軸は青色光の位相遅延量を表している。図7は、n1>n0とし、第1部材31の幅W1を変化させた場合の位相遅延量を表している。なお、幅W1は、被写体からの光の入射方向(即ち、導光部40と半導体層10との積層方向(Z軸方向))と直交する方向における幅(長さ)である。
【0088】
比較例の場合、図7に示す例のように、第1部材31の幅W1を変化させるだけでは、RGBの3波長の光の取りうる位相値の組み合わせの数が制限される。この場合、カラースプリッターを実現するための理想の位相分布と実際の位相分布との差が大きくなることが考えられる。このため、理想通りに集光できず、感度向上効果が低下するおそれがある。
【0089】
図8は、実施の形態に係る撮像装置の構造体の構成例を示す図である。図9は、実施の形態に係る撮像装置の導光部における位相遅延量の一例を示す図である。図8に示す例のように、本実施の形態に係る構造体30は、上述した第1部材31及び第2部材32を用いて構成される。第1部材31は屈折率n1を有し、第2部材32は屈折率n2を有する。また、充填部材35は、屈折率n0を有する。
【0090】
図9は、n1>n0>n2とし、第1部材31の幅W1と第2部材32のW2とをそれぞれ変化させた場合の位相遅延量を表している。なお、幅W1,W2は、それぞれ、被写体からの光の入射方向(即ち、導光部40と半導体層10との積層方向(Z軸方向))と直交する方向における幅(長さ)である。
【0091】
本実施の形態では、図9に示す例のように、RGBの3波長の光の取りうる位相値の組み合わせの数を増やすことができる。このため、カラースプリッターを実現するための理想の位相分布と実際の位相分布との差を小さくすることができる。これにより、撮像装置1は、入射する光を適切に集光し、入射光に対する感度を向上させることが可能となる。
【0092】
第1部材31、第2部材32、及び充填部材35は、n1>n0>n2を満たすように設けられてもよい。また、第1部材31、第2部材32、及び充填部材35は、n1>n2>n0を満たすように設けられてもよい。光電変換部12へ効率よく光を集光することができ、量子効率(QE)を向上させることができる。分光特性が低下することを防ぐことが可能となる。
【0093】
図10A図10Gは、実施の形態に係る撮像装置の製造方法の一例を示す図である。まず、図10Aに示すように、光電変換部12及びフィルタ25等が形成された半導体層10上に、スペーサ層である絶縁層50を成膜する。そして、図10Bに示すように、絶縁層50上に、反射防止膜45a及び充填部材35を形成する。
【0094】
次に、リソグラフィ及びエッチングによって充填部材35を選択的に除去し、図10Cに示すように充填部材35に複数のホール(孔)を形成する。そして、図10Dに示すように、充填部材35の各ホールに対して、第2部材32を埋め込み形成する。
【0095】
次に、リソグラフィ及びエッチングによって第2部材32を選択的に除去し、図10Eに示すように第2部材32にホールを形成する。そして、図10Fに示すように、各第2部材32のホールに対して、第1部材31を埋め込み形成する。さらに、図10Gに示すように、反射防止膜45bを成膜する。その後、フィルタ25等が形成される。以上のような製造方法によって、図4等に示す撮像装置1を製造することができる。なお、上述した製造方法は、あくまでも一例であって、他の製造方法を採用してもよい。
【0096】
[作用・効果]
本実施の形態に係る光学素子は、第1の部材(第1部材31)と、第1の部材の周囲に設けられ、第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材(第2部材32)とを含み、柱状の形状を有する構造体(構造体30)と、構造体の周囲に設けられ、第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する充填部材(充填部材35)とを備える。
【0097】
本実施の形態に係る光学素子(導光部40)は、第1部材31及び第2部材32を有する柱状の構造体30と充填部材35とを有する。このため、入射する光を適切に集光することが可能となる。効率良く集光可能な光学素子を実現することが可能となる。
【0098】
本実施の形態に係る光検出装置は、柱状の形状を有する第1構造体(構造体30)及び第1構造体の周囲に設けられる充填部材(充填部材35)を含む第1導光部材(導光部40)と、第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子(光電変換部12)とを備える。第1構造体は、第1の部材(第1部材31)と、第1の部材の周囲に設けられ、第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材(第2部材32)とを含む。充填部材は、第1構造体の周囲に設けられ、第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する。
【0099】
本実施の形態に係る光検出装置(撮像装置1)では、第1部材31及び第2部材32を有する柱状の構造体30と充填部材35とを含む導光部40が設けられる。これにより、入射する光を光電変換部12へ効率よく集光することができる。効率良く集光可能な光検出装置を実現することが可能となる。
【0100】
次に、本開示の変形例について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0101】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
上述した実施の形態では、画素Pr、画素Pg、及び画素Pbの各々の構造体30が複数の材料を用いて構成される例について説明した。しかし、画素Pr、画素Pg、及び画素Pbのいずれか1種類または2種類の画素Pのみに、複数の材料により構成された構造体30を設けるようにしてもよい。
【0102】
例えば、青の波長域の光および緑の波長域の光は、赤の波長域の光と比較して、構造体30の幅(径)の変化に対する位相変化が大きい傾向がある。このため、画素Pg及び画素Pbに、複数の部材(例えば第1部材31及び第2部材32)を含む構造体30を有する導光部40を設けるようにしてもよい。
【0103】
このように、画素Pg及び画素Pbに対応するする位置(例えば画素Pg及び画素Pbの光電変換部の上方)に、複数の部材を有する構造体30を配置することで、より正確な位相分布の設計が可能となる。言い換えると、赤の波長帯の光よりも短波長の波長帯の光を光電変換する画素上に、複数の部材を有する構造体30を配置することが望ましい。
【0104】
図11は、本開示の変形例1に係る撮像装置の平面構成の一例を示す図である。図12A及び図12Bは、変形例1に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。図11及び図12Aに示す例のように、画素Pg及び画素Pbは、それぞれ、第1部材31及び第2部材32により構成された構造体30を有していてもよい。また、図11及び図12Bに示す例のように、画素Prは、第1部材31により構成された構造体30を有していてもよい。各波長帯域の光の取りうる位相値の組み合わせの数を増やすことができ、高精度な位相設計を行うことが可能となる。
【0105】
図13は、本開示の変形例1に係る撮像装置の平面構成の別の例を示す図である。図13に示す例のように、画素Pbは、第1部材31及び第2部材32により構成された構造体30を有していてもよい。また、画素Pg及び画素Prは、それぞれ、第1部材31により構成された構造体30を有していてもよい。なお、図11図13に示す例のように、画素Pb、画素Pg、画素Prの各構造体30の第1部材31及び第2部材32の幅(径)は、各々の大きさ(幅)が異なるように形成されてもよい。
【0106】
Cyのフィルタ25を有する画素Pc、Mgのフィルタ25を有する画素Pm、およびYeのフィルタ25を有する画素Pyが配置される場合、これらの1種類または2種類の画素Pのみに、複数の材料により構成された構造体30を設けるようにしてもよい。
【0107】
(2-2.変形例2)
図14及び図15は、変形例2に係る撮像装置の導光部の構成例を説明するための図である。上述した実施の形態及び変形例では、構造体30を有する導光部40の構成例について説明した。導光部40の構造体30の形状は、上述した例に限られない。構造体30の形状は、適宜変更可能であり、例えば、図14に示す例のように、平面視において四角形の形状であってもよい。
【0108】
また、例えば、構造体30の形状は、図15に示す例のように、平面視において十字状の形状であってもよい。なお、構造体30の形状は、多角形、楕円、又はその他の形状であってもよい。
【0109】
(2-3.変形例3)
図16は、変形例3に係る撮像装置の導光部の構成例を説明するための図である。導光部40の構造体30は、3つ以上の材料を組み合わせた構成を有していてもよい。例えば、図16に示す例のように、構造体30は、第2部材32の周囲に設けられる第3部材33を有していてもよい。
【0110】
構造体30の第3部材33は、周囲の媒質の屈折率とは異なる屈折率を有する。第3部材33は、例えば、第3部材33の周りに配置された第2部材32の屈折率及び充填部材35の屈折率とは異なる屈折率を有する。例えば、第3部材33は、第2部材32の屈折率より高い屈折率を有していてもよい。また、第3部材33は、充填部材35の屈折率より高い屈折率を有していてもよい。
【0111】
また、例えば、第3部材33は、第2部材32の屈折率より低い屈折率を有していてもよい。また、第3部材33は、充填部材35の屈折率より低い屈折率を有していてもよい。なお、第1部材31は、例えば、第3部材33の屈折率より高い屈折率を有していてもよい。本変形例の場合も、上記した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0112】
なお、構造体30の形状は、適宜変更可能である。図16に示す例のように、構造体30は、平面視において四角形の形状を有していてもよい。図17に示す例のように、構造体30は、平面視において十字状の形状を有していてもよい。
【0113】
(2-4.変形例4)
図18は、変形例4に係る撮像装置の断面構成の一例を示す図である。撮像装置1は、図18に示すように、レンズ部21を有していてもよい。レンズ部21は、上方から入射する光をフィルタ25及び光電変換部12側へ導く。レンズ部21は、オンチップレンズとも呼ばれる光学部材である。レンズ部21は、例えば、画素P毎または複数の画素P毎に、導光部40の上方に設けられる。
【0114】
レンズ部21には、撮像レンズ等の光学系を介して被写体からの光が入射する。光電変換部12は、レンズ部21及び導光部40及びフィルタ25を介して入射する光を光電変換し得る。なお、レンズ部21は、導光部40とフィルタ25との間に設けるようにしてもよい。レンズ部21は、インナーレンズともいえる。
【0115】
(2-5.変形例5)
光学素子である導光部40は、構造体30の設計によって、光を集光するレンズとして構成されてもよい。また、導光部40は、光の偏光状態を制御する光学素子として構成されてもよい。これらの場合、導光部40は、メタレンズ、偏光メタレンズ等と呼ばれる。
【0116】
また、例えば、導光部40は、入射する光のうちの特定の波長域の光を選択的に透過させるフィルタとして構成されてもよい。導光部40は、特定の波長域の光の進行方向を変える光学素子(ディフレクターと呼ばれる)して構成されてもよい。本開示に係る光学素子(導光部40)及び光検出装置は、種々の機器に適用することができる。
【0117】
<3.適用例>
上記撮像装置1等は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話等、撮像機能を備えたあらゆるタイプの電子機器に適用することができる。図19は、電子機器1000の概略構成を表したものである。
【0118】
電子機器1000は、例えば、レンズ群1001と、撮像装置1と、DSP(Digital Signal Processor)回路1002と、フレームメモリ1003と、表示部1004と、記録部1005と、操作部1006と、電源部1007とを有し、バスライン1008を介して相互に接続されている。
【0119】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像装置1の撮像面上に結像するものである。撮像装置1は、レンズ群1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1002に供給する。
【0120】
DSP回路1002は、撮像装置1から供給される信号を処理する信号処理回路である。DSP回路1002は、撮像装置1からの信号を処理して得られる画像データを出力する。フレームメモリ1003は、DSP回路1002により処理された画像データをフレーム単位で一時的に保持するものである。
【0121】
表示部1004は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、撮像装置1で撮像された動画または静止画の画像データを、半導体メモリやハードディスク等の記録媒体に記録する。
【0122】
操作部1006は、ユーザによる操作に従い、電子機器1000が所有する各種の機能についての操作信号を出力する。電源部1007は、DSP回路1002、フレームメモリ1003、表示部1004、記録部1005および操作部1006の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給するものである。
【0123】
<4.応用例>
(移動体への応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0124】
図20は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0125】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図20に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0126】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0127】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0128】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0129】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0130】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0131】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0132】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0133】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0134】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図20の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0135】
図21は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0136】
図21では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0137】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0138】
なお、図21には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0139】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0140】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0141】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0142】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0143】
以上、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。具体的には、例えば、撮像装置1等は、撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、高精細な撮影画像を得ることができ、移動体制御システムにおいて撮影画像を利用した高精度な制御を行うことができる。
【0144】
(内視鏡手術システムへの応用例)
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0145】
図22は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0146】
図22では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0147】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0148】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0149】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0150】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0151】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0152】
光源装置11203は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0153】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0154】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0155】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0156】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0157】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0158】
図23は、図22に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0159】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0160】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0161】
撮像部11402は、撮像素子で構成される。撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(Dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0162】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0163】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0164】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0165】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0166】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0167】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0168】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0169】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0170】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0171】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0172】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0173】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0174】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0175】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、内視鏡11100のカメラヘッド11102に設けられた撮像部11402に好適に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、撮像部11402を高感度化することができ、高精細な内視鏡11100を提供することができる。
【0176】
以上、実施の形態、変形例および適用例ならびに応用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した変形例は、上記実施の形態の変形例として説明したが、各変形例の構成を適宜組み合わせることができる。例えば本開示は、裏面照射型イメージセンサに限定されるものではなく、表面照射型イメージセンサにも適用可能である。
【0177】
本開示の一実施形態の光学素子は、第1の部材と、第1の部材の周囲に設けられ、第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含み、柱状の形状を有する構造体と、構造体の周囲に設けられ、第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する充填部材とを備える。このため、各波長域の光の取りうる位相値の組み合わせの数を増やすことができ、入射する光を適切に導光することができる。効率良く集光可能な光学素子を実現することが可能となる。
【0178】
本開示の一実施形態の光検出装置は、柱状の形状を有する第1構造体及び第1構造体の周囲に設けられる充填部材を含む第1導光部材と、第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子とを備える。第1構造体は、第1の部材と、第1の部材の周囲に設けられ、第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含む。充填部材は、第1構造体の周囲に設けられ、第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する。このため、各波長域の光の取りうる位相値の組み合わせの数を増やすことができ、入射する光を適切に導光することができる。効率良く集光可能な光検出装置を実現することが可能となる。
【0179】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
第1レンズと、
前記第1レンズを透過した光が入射する第1面と前記第1面とは反対側の第2面とを有する半導体層と、
前記半導体層の前記第1面側に設けられ、入射光の第1波長以下の大きさを有する第1構造体と、
前記半導体層の前記第1面と前記第2面との間に設けられ、前記第1構造体を介して入射する光を受光する第1受光部と
を備える光学素子。
(2)
前記第1の部材の屈折率は、前記第2の部材の屈折率よりも高く、
前記第2の部材の屈折率は、前記充填部材の屈折率よりも高い
前記(1)に記載の光学素子。
(3)
前記第1の部材の屈折率は、前記充填部材の屈折率よりも高く、
前記充填部材の屈折率は、前記第2の部材の屈折率よりも高い
前記(1)または(2)に記載の光学素子。
(4)
前記構造体は、可視光の波長以下の幅、または赤外光の波長以下の幅を有する
前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光学素子。
(5)
複数の前記構造体を有し、
前記充填部材は、隣り合う複数の前記構造体の間を充填するように設けられる
前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の光学素子。
(6)
前記構造体として、互いに異なる幅を有する第1構造体及び第2構造体を有する
前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光学素子。
(7)
前記構造体は、前記第2の部材の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第3の部材を含む
前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の光学素子。
(8)
柱状の形状を有する第1構造体及び前記第1構造体の周囲に設けられる充填部材を含む第1導光部材と、
前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子と
を備え、
前記第1構造体は、第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられ、前記第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含み、
前記充填部材は、前記第1構造体の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する
光検出装置。
(9)
前記第1の部材の屈折率は、前記第2の部材の屈折率よりも高く、
前記第2の部材の屈折率は、前記充填部材の屈折率よりも高い
前記(1)に記載の光検出装置。
(10)
前記第1の部材の屈折率は、前記充填部材の屈折率よりも高く、
前記充填部材の屈折率は、前記第2の部材の屈折率よりも高い
前記(8)または(9)に記載の光検出装置。
(11)
前記第1構造体は、可視光の波長以下の幅、または赤外光の波長以下の幅を有する
前記(8)から(10)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(12)
前記第1構造体は、前記第1光電変換素子の上方に設けられ、入射した光を分光する
前記(8)から(11)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(13)
柱状の形状を有する第2構造体と、前記第2構造体の周囲に設けられる前記充填部材とを含む第2導光部材と、
前記第2導光部材を介して入射する光を光電変換する第2光電変換素子と、
柱状の形状を有する第3構造体と、前記第3構造体の周囲に設けられる前記充填部材とを含む第3導光部材と、
前記第3導光部材を介して入射する光を光電変換する第3光電変換素子と、を備える
前記(8)から(13)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(14)
前記第1導光部材と前記第1光電変換素子との間に設けられ、青色光を透過する第1フィルタを有する
前記(8)から(13)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(15)
前記第2導光部材と前記第2光電変換素子との間に設けられ、緑色光を透過する第2フィルタを有し、
前記第2構造体は、前記第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられる前記第2の部材とを含む
前記(14)に記載の光検出装置。
(16)
前記第3導光部材と前記第3光電変換素子との間に設けられ、赤色光を透過する第3フィルタを有し、
前記第3構造体は、前記第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられる前記第2の部材とを含む
前記(15)に記載の光検出装置。
(17)
前記第1構造体は、前記第2の部材の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第3の部材を含む
前記(8)から(16)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(18)
光学系と、
前記光学系を透過した光を受光する光検出装置と
を備え、
前記光検出装置は、
柱状の形状を有する第1構造体及び前記第1構造体の周囲に設けられる充填部材を含む第1導光部材と、
前記第1導光部材を介して入射する光を光電変換する第1光電変換素子と
を有し、
前記第1構造体は、第1の部材と、前記第1の部材の周囲に設けられ、前記第1の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の部材とを含み、
前記充填部材は、前記第1構造体の周囲に設けられ、前記第2の部材の屈折率とは異なる屈折率を有する
電子機器。
【符号の説明】
【0180】
1…撮像装置、10…半導体層、12…光電変換部、25…フィルタ、30…構造体、31…第1部材、32…第2部材、33…第3部材、35…充填部材、40…導光部、50…絶縁層。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
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図10B
図10C
図10D
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図12B
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