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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094111
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】断熱ボード
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/095 20060101AFI20240702BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20240702BHJP
   F16L 59/02 20060101ALI20240702BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B32B15/095
B32B5/18 101
F16L59/02
B32B27/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210881
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】596105644
【氏名又は名称】株式会社東北イノアック
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】清水 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲尭
(72)【発明者】
【氏名】千葉 駿太
【テーマコード(参考)】
3H036
4F100
【Fターム(参考)】
3H036AB03
3H036AB18
3H036AB25
3H036AC03
3H036AE01
4F100AB10C
4F100AB33C
4F100AK01B
4F100AK42B
4F100AK51A
4F100BA03
4F100BA07
4F100DJ01A
4F100GB07
4F100JA02B
4F100JA04B
4F100JJ02
(57)【要約】
【課題】不燃性が高く、意匠性も良好な断熱ボードを提供すること。
【解決手段】本技術では、ボード状のポリイソシアヌレート発泡体と、
前記ポリイソシアヌレート発泡体の面に積層された樹脂層と、
前記樹脂層に積層されたアルミニウム層と、を有し
前記樹脂層は、前記ポリイソシアヌレート発泡体の線膨張係数より小さく、前記アルミニウム層の線膨張係数より大きい線膨張係数を持ち、融点が200℃以上であり、
コーンカロリーメータ試験法(ISO5660-1)における20分間の総発熱量が8MJ/m以下である、断熱ボードを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボード状のポリイソシアヌレート発泡体と、
前記ポリイソシアヌレート発泡体の面に積層された樹脂層と、
前記樹脂層に積層されたアルミニウム層と、を有し
前記樹脂層は、前記ポリイソシアヌレート発泡体の線膨張係数より小さく、前記アルミニウム層の線膨張係数より大きい線膨張係数を持ち、融点が200℃以上であり、
コーンカロリーメータ試験法(ISO5660-1)における20分間の総発熱量が8MJ/m以下である、断熱ボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、断熱ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
建築分野、その他産業分野において、熱の伝わりを遮断することを目的とした断熱ボードが用いられている。近年では、断熱効果だけでなく、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐衝撃性、遮音性、防塵性、接着性など、さまざまな特長を持つ断熱ボードが開発されつつあり、耐熱性能やその他の機能に応じて、様々な用途で使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ポリオールとして、水酸基を2個以上有する芳香族ポリエステルポリオールを用い、発泡剤として、シクロペンタンを用い、発泡助剤として、水を用い、触媒として、酢酸カリウム100質量部に対しオクチル酸カリウムを25~200質量部含有するヌレート化触媒と、アミン触媒との混合触媒を用い、前記発泡剤と、前記発泡助剤とのモル比(発泡剤/発泡助剤)を70/30~95/5とし、イソシアネートインデックスが270~360となるように、前記イソシアネート成分と前記ポリオール成分とを反応させることにより、寸法安定性、断熱性、及び難燃性に優れたポリイソシアヌレート発泡体、及びこのポリイソシアヌレート発泡体にポリエチレン層を介してアルミニウム層が接着されている発泡ボードを製造する技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献2では、第一の透湿性面材と第二の透湿性面材の間でウレタン原料組成物を発泡させて、第一の透湿性面材と硬質ウレタンフォーム層と第二の透湿性面材とからなる積層成形体を作製する工程、および積層成形体の第一の透湿性面材の面に第一の非透湿性面材を積層し、積層成形体の第二の透湿性面材の面に第二の非透湿性面材を積層する工程を行うことで、成形時のガス抜き性および硬質ウレタンフォーム層と面材の接着性に優れ、更に高い断熱性能を長期に亘って保持することが可能な硬質ウレタンフォーム断熱ボードを製造する技術が開示されている。また、第二の非透湿性面材の外側には、合成樹脂層等の保護層を積層しても良い旨が記載されている。
【0005】
例えば、特許文献3では、樹脂基材と、上記樹脂基材の一方の面側に配置され、少なくとも金属を含有する無機薄膜とを備えることで、焼却灰を少なくし環境負荷を低減可能な外装フィルムが開示されている。この外装フィルムは、硬質ウレタン発泡体の外装フィルムとして好適に用いることができることが記載されている。
【0006】
例えば、特許文献4では、アルミニウム材被膜の片面をポリエチレンテレフタレート樹脂膜で被覆してなる表面材を、硬質発泡体板の少なくとも片面表面上に、該ポリエチレンテレフタレート樹脂膜面を外側にして積層一体化してなる表面材を有する硬質発泡体断熱板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-321882号公報
【特許文献2】特開2019-150989号公報
【特許文献3】特開2021-84395号公報
【特許文献4】実開昭54-173082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、断熱ボードの技術開発は進められつつあるが、更なる開発が望まれているのが実情である。例えば、特許文献1に開示された断熱ボードは、発泡体とアルミニウム層との接着性が悪く、生産が難しいといった問題があった。特許文献2に開示された断熱ボードは、最外層の合成樹脂フィルムの種類によっては、耐熱性が悪く、120℃程度において、硬質ウレタンフォーム層と非透湿性面材との間で剥離が発生する場合があり、また、硬質ウレタンフォームは、限界酸素指数(LOI値)が26%に達するように難燃性を向上させるためには、難燃剤を大量に使用する必要があるといった問題があった。特許文献3の外装フィルムを硬質ウレタン発泡体に積層させた断熱ボードは、フィルムが燃焼しやすいため、発熱性試験において不燃認定に合格できる構成ではなかった。特許文献4の硬質発泡体断熱板は、最外面のポリエチレンテレフタレート層が燃えてしまうために、発熱性試験において不燃認定に合格できないといった問題があった。
【0009】
そこで、本技術では、不燃性を有し、意匠性も良好な断熱ボードを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、断熱ボードに用いる発泡体と、表面材、及び発泡体と表面材の間の中間材の全てにおいて、その物性要件が満たされていなければ、不燃性及び意匠性を備えることが難しいことを見出し、本技術を完成させるに至った。
即ち、本技術では、ボード状のポリイソシアヌレート発泡体と、
前記ポリイソシアヌレート発泡体の面に積層された樹脂層と、
前記樹脂層に積層されたアルミニウム層と、を有し
前記樹脂層は、前記ポリイソシアヌレート発泡体の線膨張係数より小さく、前記アルミニウム層の線膨張係数より大きい線膨張係数を持ち、融点が200℃以上であり、
コーンカロリーメータ試験法(ISO5660-1)における20分間の総発熱量が8MJ/m以下である、断熱ボードを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本技術に係る断熱ボードの第1実施形態を示す概念模式図であり、図1Aは斜視図、図1B図1AのX-X線断面図である。
図2】本技術に係る断熱ボードの第2実施形態を示す概念模式図であり、図2Aは斜視図、図2B図2AのX-X線断面図である。
図3】本技術に係る断熱ボードの第3実施形態を示す概念模式図であり、図3Aは斜視図、図3B図3AのX-X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0013】
1.断熱ボード1
本技術に係る断熱ボード1は、ポリイソシアヌレート発泡体10と、樹脂層11と、アルミニウム層12と、を有する。また、本技術に係る断熱ボード1には、必要に応じて、接着剤層13等を備えていてもよい。以下、各構成について、詳細に説明する。
【0014】
(1)全体構成
図1は、本技術に係る断熱ボード1の第1実施形態を示す概念模式図である。図1Aは、第1実施形態に係る断熱ボード1の斜視図、図1Bは、図1AのX-X線断面図である。第1実施形態に係る断熱ボード1は、ボード状のポリイソシアヌレート発泡体10と、ポリイソシアヌレート発泡体10の面に積層された樹脂層11と、樹脂層11に積層されたアルミニウム層12と、を有する。
【0015】
第1実施形態に係る断熱ボード1では、ポリイソシアヌレート発泡体10の両面に、樹脂層11及びアルミニウム層12を有しているが、これに限定されず、ポリイソシアヌレート発泡体10の少なくとも一方の面に、内側から、ポリイソシアヌレート発泡体10、樹脂層11、アルミニウム層12の順になるように、樹脂層11及びアルミニウム層12を備えていれば、他方の面は自由に設計することができる。
【0016】
例えば、図2に示す第2実施形態に係る断熱ボードのように、ポリイソシアヌレート発泡体10の一方の面のみに樹脂層11及びアルミニウム層12を備え、他方の面には樹脂層11及びアルミニウム層12を備えない構成とすることもできる。
【0017】
また、図示しないが、例えば、ポリイソシアヌレート発泡体10の一方の面には、内側から、ポリイソシアヌレート発泡体10、樹脂層11、アルミニウム層12の順になるように、樹脂層11及びアルミニウム層12を備え、他方の面にはアルミニウム層のみを備えることもできる。
【0018】
また、図示しないが、例えば、ポリイソシアヌレート発泡体10の一方の面には、内側から、ポリイソシアヌレート発泡体10、樹脂層11、アルミニウム層12の順になるように、樹脂層11及びアルミニウム層12を備え、他方の面には樹脂層のみを備えることもできる。
【0019】
更に、図示しないが、例えば、ポリイソシアヌレート発泡体10の一方の面には、内側から、ポリイソシアヌレート発泡体10、樹脂層11、アルミニウム層12の順になるように、樹脂層11及びアルミニウム層12を備え、他方の面には、ポリイソシアヌレート発泡体10、アルミニウム層12、樹脂層11の順になるように、アルミニウム層12及び樹脂層11を備えることも可能である。
【0020】
加えて、図示しないが、例えば、ポリイソシアヌレート発泡体10の一方の面には、内側から、ポリイソシアヌレート発泡体10、樹脂層11、アルミニウム層12の順になるように、樹脂層11及びアルミニウム層12を備え、他方の面には、所望の機能を有する機能性層を備えることも可能である。
【0021】
このように、本技術に係る断熱ボード1は、少なくとも一方の面に、内側から、ポリイソシアヌレート発泡体10、樹脂層11、アルミニウム層12の順になるように、樹脂層11及びアルミニウム層12を備えていれば、他方の面は、用いる用途や期待する性能等に応じて、自由に設計することができる。
【0022】
図3は、本技術に係る断熱ボード1の第3実施形態を示す概念模式図である。図3Aは、第3実施形態に係る断熱ボード1の斜視図、図3Bは、図3AのX-X線断面図である。本技術に係る断熱ボード1は、図3に示す第3実施形態に係る断熱ボード1のように、樹脂層11及びアルミニウム層12の間に、接着剤層13を備えることもできる。
【0023】
本技術に係る断熱ボード1は、ポリイソシアヌレート発泡体10及びアルミニウム層12の間に、後述する特定の樹脂を含有する樹脂層11を備えることで、熱によるポリイソシアヌレート発泡体10からのアルミニウム層12の剥離を十分に防止することができるが、更に接着剤層13を備えることで、当該剥離防止性をより向上させることができる。
【0024】
なお、接着剤層13を備える場合も、図3に示す第3実施形態に係る断熱ボード1のように、ポリイソシアヌレート発泡体10の両面に備えることに限定されない。図示しないが、例えば、ポリイソシアヌレート発泡体10からのアルミニウム層12の剥離防止性をより高めたい面のみに、接着剤層13を備えることも可能である。
【0025】
(2)ポリイソシアヌレート発泡体10
ポリイソシアヌレート発泡体10は、ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、イソシアネート、難燃剤等を含むポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物から発泡形成されるものである。ポリイソシアヌレート発泡体10は、特定の触媒を使用し、ポリイソシアネートを過剰に配合する点で、硬質ポリウレタン発泡体とは相違し、ウレタンフォーム工業会が定める、イソシアネートインデックス150以上かつ三量化触媒を使用するものである。
【0026】
ポリイソシアヌレート発泡体10のイソシアネートインデックスは、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。イソシアネートインデックスの下限値は、例えば150以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上である。ポリイソシアヌレート発泡体10のイソシアネートインデックスの下限値をこの範囲とすることにより、ポリイソシアヌレート発泡体10の不燃性を向上させ、熱収縮を防止することができる。
【0027】
イソシアネートインデックスの上限値は、例えば1200以下、好ましくは1100以下、より好ましくは1000以下である。ポリイソシアヌレート発泡体10のイソシアネートインデックスの上限値をこの範囲とすることにより、発泡体がもろくなるのを防止し、圧縮強度や曲げ物性などを向上させることができる。
【0028】
なお、イソシアネートインデックスの定義は、ポリイソシアヌレート発泡体10におけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基や発泡剤としての水などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、具体的には、下記の数式(1)で算出された値である。
{(ポリイソシアネート重量部/ポリイソシアネートのNCO当量)/(活性水素成分重量/活性水素当量)}×100 ・・・(1)
【0029】
ポリイソシアヌレート発泡体10の密度は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。密度の下限値は、例えば20kg/m以上、好ましくは25kg/m以上、より好ましくは30kg/m以上である。ポリイソシアヌレート発泡体10の密度の下限値をこの範囲とすることにより、発泡体の強度を向上させることができる。
【0030】
密度の上限値は、例えば100kg/m以下、好ましくは80kg/m、より好ましくは60kg/mである。ポリイソシアヌレート発泡体10の密度の上限値をこの範囲とすることにより、単位面積当たりの重量が重くなるのを防止し、断熱ボード1を使用する上で作業性を向上させることができる。
【0031】
ポリイソシアヌレート発泡体10の厚みは、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。厚みの下限値は、例えば10mm以上、好ましくは12mm以上、より好ましくは15mm以上である。ポリイソシアヌレート発泡体10の厚みの下限値をこの範囲とすることで、断熱ボード1の不燃性をより向上させることができる。
【0032】
厚みの上限値は、例えば300mm以下、好ましくは200mm以下、より好ましくは150mm以下である。ポリイソシアヌレート発泡体10の厚みの上限値をこの範囲とすることで、断熱ボード1の不燃性を保ちつつ、断熱ボード1を薄化することができる。
【0033】
ポリイソシアヌレート発泡体10の線膨張係数は、後述する樹脂層11の線膨張係数より大きければ特に限定されず、ポリイソシアヌレート発泡体10の種類等に応じて、自由に設定することができる。ポリイソシアヌレート発泡体10の線膨張係数の下限値は、例えば20×10-5/K以上、好ましくは25×10-5/K以上、より好ましくは30×10-5/K以上、更に好ましくは35×10-5/K以上である。ポリイソシアヌレート発泡体10の線膨張係数の上限値は、例えば80×10-5/K以下、好ましくは70×10-5/K以下、より好ましくは65×10-5/K以下、更に好ましくは60×10-5/K以下である。ポリイソシアヌレート発泡体10の線膨張係数をこの範囲にすることで、ポリイソシアヌレート発泡体10からの後述するアルミニウム層12の剥離をより確実に防止することができる。
【0034】
次に、ポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物を構成する成分について説明する。
【0035】
(2-1)ポリオール
本技術に用いることができるポリオールとしては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができるポリオールを、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0036】
ポリオールは、水酸基の平均官能基数が1.0を超えるものであるが、本技術に用いることができるポリオールの水酸基の平均官能基数は特に限定されない。水酸基の平均官能基数の下限値としては、例えば1.0以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、更に好ましくは2.0以上である。また、水酸基の平均官能基数の上限値としては、例えば5.0以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4.0以下である。
【0037】
本技術に用いることができるポリオールの具体的な例としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール等を挙げることができる。
【0038】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;リシノレイン酸等の脂肪族カルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等、もしくは、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるポリプロピレングリコールなどのポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等を挙げることができる。また、これらのほかに、ポリエステルポリオールとしては、例えば、天然由来のエステル基を有するポリオールが挙げられる。
【0039】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものを挙げることができる。
【0040】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
【0041】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等、又は、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるものを挙げることができる。
【0042】
本技術では、環境に考慮して、生分解性ポリオールを用いることもできる。本技術に用いることができる生分解性ポリオールとしては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができる生分解性ポリオールを、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば 、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、セルロース、酢酸セルロース、キトサン、澱粉、加工澱粉、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ヒマシ油系ポリオール等の水酸基を有する天然由来エステル等が挙げられる。
【0043】
本技術に用いるポリオールの量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。ポリオールの配合量の下限値としては、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば3.0重量%以上、好ましくは5.0重量%以上、より好ましくは7.0重量%以上である。ポリオールの配合量の下限値をこの範囲とすることにより、発泡体がもろくなるのを防止し、圧縮強度や曲げ物性などを向上させることができる。
【0044】
ポリオールの配合量の上限値としては、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば40.0重量%以下、好ましくは30.0重量%以下、より好ましくは27.0重量%以下、更に好ましくは25.0重量%以下である。ポリオールの配合量の上限値をこの範囲とすることにより、ポリイソシアヌレート発泡体の不燃性を向上させ、熱収縮を防止することができる。
【0045】
(2-2)発泡剤
本技術に用いることができる発泡剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができる発泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0046】
本技術に用いることができる発泡剤としては、化学的発泡剤や物理的発泡剤のいずれも用いることができる。化学的発泡剤としては、例えば、水や、ギ酸、酢酸等のカルボン酸等の前述したイソシアネートと反応することにより炭酸ガスを発生させて発泡が起きる反応型発泡剤や、揮発性を有する炭化水素等の物理的発泡剤や、有機系又は無機系の熱分解型化学発泡剤が挙げられる。有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、N,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。無機系発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
【0047】
物理的発泡剤としては、例えば、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)及びハイドロフルオロカーボン(HFC)等のフロン類、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン、シクロペンタン等の炭化水素、二酸化炭素等が挙げられる。
【0048】
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体組成物中の発泡剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。組成物中の発泡剤の含有量の下限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば1.0重量%以上、好ましくは3.0重量%以上、より好ましくは5.0重量%以上とすることができる。組成物中の発泡剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、ポリイソシアヌレート発泡体の発泡不良を防止し、機械的特性や外観の優れたポリイソシアヌレート発泡体を得ることができる。
【0049】
また、組成物中の発泡剤の含有量の上限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば15.0重量%以下、好ましくは13.0重量%以下、より好ましくは11.0重量%以下とすることができる。組成物中の発泡剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、ポリイソシアヌレート発泡体の発泡過剰による形成不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0050】
(2-3)触媒
本技術では、触媒として、三量化触媒を用いる。本技術に用いることができる三量化触媒としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができる三量化触媒を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0051】
本技術に用いることができる三量化触媒としては、例えば、1)酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類;2)メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム等のアルコキシド類;3)酢酸カリウム、2-エチルヘキサンカリウム、オクチル酸カリウム、カプリル酸カリウム、シュウ酸鉄等の有機金属塩類;4)2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、N,N′,N”-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類;5)エチレンイミンの誘導体;6)アルカリ金属、アルミニウム、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類、4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、有機金属塩類や4級アンモニウム塩を使用することがより好ましい。有機金属塩類として好適には、酢酸カリウムとオクチル酸カリウムの組み合わせが挙げられる。
【0052】
本技術では、触媒として三量化触媒のみを用いても良いが、その他、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができる触媒を、1種又は2種以上、自由に併用して用いることができる。
【0053】
本技術に用いることができる三量化触媒以外の触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン等のアミン触媒、スタナスオクトエート等のスズ系触媒、フェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒)を挙げることができる。
【0054】
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体組成物中の触媒の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。組成物中の触媒の含有量の下限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上とすることができる。組成物中の触媒の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、製造時における各種反応を促進させることができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリイソシアヌレート発泡体を得ることができる。
【0055】
また、組成物中の触媒の含有量の上限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば5.0重量%以下、好ましくは4.0重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下とすることができる。組成物中の触媒の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、製造時における各種反応の不安定化を防止することができる。その結果、機械的特性や外観の優れたポリイソシアヌレート発泡体を得ることができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0056】
(2-4)整泡剤
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体の製造には、整泡剤を用いることができる。本技術に用いることができる整泡剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができる整泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0057】
整泡剤としては、例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤、界面活性剤等を挙げることができる。シリコーン系整泡剤としては、シロキサン鎖主体からなるもの、シロキサン鎖とポリエーテル鎖が線状の構造をとるもの、分岐し枝分かれしたもの、ポリエーテル鎖がシロキサン鎖にペンダント状に変性されたもの等が挙げられる。
【0058】
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体組成物中の整泡剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。組成物中の整泡剤の含有量の下限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上とすることができる。組成物中の整泡剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、発泡反応を安定化することができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリイソシアヌレート発泡体を得ることができる。
【0059】
また、組成物中の整泡剤の含有量の上限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば9.0重量%以下、好ましくは7.0重量%以下、より好ましくは5.0重量%以下とすることができる。組成物中の整泡剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、コスト削減に貢献することができる。
【0060】
(2-5)イソシアネート
本技術に用いることができるイソシアネートは、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができるイソシアネートを、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び脂環族イソシアネートから1種以上を自由に組み合わせて用いることができる。
【0061】
本技術に用いることができる芳香族イソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート(TDI)、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート(クルードMDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0062】
本技術に用いることができる脂肪族イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネ-ト、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、デカメチレンジイソシアネート、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0063】
脂環族イソシアネートとしては、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネ-ト、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート(水添TDI)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート(水加TMXDI)等の単環式脂環族イソシアネート;ノルボルネンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シイソシアナートメチルビシクロヘプタン、ジ(ジイソシアナートメチル)トリシクロデカン等の架橋環式脂環族イソシアネート、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0064】
本技術に用いるイソシアネートの量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、組成物中のイソシアネートの量は、前述したイソシアネートインデックスの好ましい範囲となるように調整することが好ましい。
【0065】
具体的には、本技術では、組組成物中のイソシアネートの含有量の下限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは55重量%以上とすることができる。組成物中のイソシアネートの含有量の下限値を、この範囲とすることにより、ポリイソシアヌレート発泡体の不燃性を向上させ、熱収縮を防止することができるとともに、機械的強度を向上させることもできる。
【0066】
また、組成物中のイソシアネートの含有量の上限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば85重量%以下、好ましくは83重量%以下、より好ましくは80重量%以下とすることができる。組成物中のイソシアネートの含有量の上限値を、この範囲とすることにより、発泡体がもろくなるのを防止し、圧縮強度や曲げ物性などを向上させることができる。
【0067】
(2-6)難燃剤
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体の製造には、難燃剤を用いることができる。本技術に用いることができる難燃剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができる難燃剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0068】
難燃剤としては、例えば、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリマー、リン酸エステルやハロゲン化リン酸エステル化合物、あるいはメラミン樹脂やウレア樹脂などの有機系難燃剤、酸化アンチモンや水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤等を挙げることができる。
【0069】
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いる組成物中の難燃剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。組成物中の難燃剤の含有量の下限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば2.0重量%以上、好ましくは3.0重量%以上、より好ましくは5.0重量%以上とすることができる。組成物中の難燃剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、ポリイソシアヌレート発泡体の不燃性を向上させることができる。
【0070】
また、組成物中の難燃剤の含有量の上限値は、発泡剤を除くポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物の配合量100重量%中に、例えば25.0重量%以下、好ましくは23.0重量%以下、より好ましくは20.0重量%以下、更に好ましくは18.0重量%以下とすることができる。組成物中の難燃剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、アルミニウム層の剥離を防止することができると共に、コスト削減に貢献することができる。
【0071】
(2-7)その他
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体の製造には、本技術の目的や効果を損なわない限り、その他の成分として、ポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができる各種成分を、目的に応じて1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。
【0072】
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いることができる成分としては、例えば、顔料、染料、安定剤、可塑剤、着色剤、架橋剤、抗菌剤、分散剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0073】
本技術に用いるポリイソシアヌレート発泡体は、以上説明したポリイソシアヌレート発泡体製造用組成物を発泡装置等で混合することにより、各成分が反応して発泡し、ポリイソシアヌレート発泡体が形成される。
【0074】
(3)樹脂層11
本技術に係る断熱ボード1の樹脂層11は、ポリイソシアヌレート発泡体10の線膨張係数より小さく、後述するアルミニウム層12の線膨張係数より大きい線膨張係数を持つことを特徴とする。この樹脂層11が後述するアルミニウム層12と、前述のポリイソシアヌレート発泡体10の間に配置されていることで、アルミニウム層12の熱膨張とポリイソシアヌレート発泡体10の熱膨張によって、層間にかかる力を緩和することができる。その結果、前述のポリイソシアヌレート発泡体10からのアルミニウム層12の剥離を防止することができる。
【0075】
樹脂層11の具体的な線膨張係数は、ポリイソシアヌレート発泡体10の線膨張係数より小さく、後述するアルミニウム層12の線膨張係数より大きければ特に限定されず、前述したポリイソシアヌレート発泡体10の種類等に応じて、自由に設定することができる。樹脂層11の線膨張係数の下限値は、例えば2.4×10-5/K以上、好ましくは3.0×10-5/K以上、より好ましくは4.0×10-5/K以上、更に好ましくは4.5×10-5/K以上である。樹脂層11の線膨張係数の上限値は、例えば40×10-5/K以下、好ましくは35×10-5/K以下、より好ましくは30×10-5/K以下、更に好ましくは20×10-5/K以下である。樹脂層11の線膨張係数をこの範囲にすることで、前述のポリイソシアヌレート発泡体10からのアルミニウム層12の剥離をより確実に防止することができる。
【0076】
また、樹脂層11は、融点が200℃以上であり、好ましくは210℃以上、より好ましくは220℃以上である。融点が200℃以上の樹脂層11を用いることにより、200℃までは樹脂層11の溶融が進行しないため、高温下においても、ポリイソシアヌレート発泡体10からのアルミニウム層12の剥離を防止することができる。
【0077】
本技術に係る断熱ボード1の樹脂層11は、ガスバリア性能を有することが好ましい。具体的には、本技術に係る断熱ボード1の樹脂層11は、酸素透過度が、例えば、120mL/(m・d・MPa)以下であってもよい。酸素透過度が上記の範囲であると、発熱性試験時にポリイソシアヌレート発泡体10内に内包する発泡ガスの膨張噴出を抑制できるので、ポリイソシアヌレート発泡体10とアルミニウム層12との剥離をより確実に防止できる。
【0078】
なお、本技術において、酸素透過度は、JIS K7126-2:2006(プラスチック-フィルム及びシート-ガス透過度試験方法-第2部:等圧法、付属書A:電解センサ法による酸素ガス透過度の試験方法)に準拠して、酸素ガス透過度測定装置を用いて、温度23℃、湿度60%RHの条件で測定した値である。
【0079】
酸素ガス透過度測定装置としては、例えば、米国MOCON社製の「OXTRAN」を用いることができる。測定は、例えば、所望のサイズに切り取ったフィルムを上記装置内に装着し、透過面積約50cm(透過領域:直径8cmの円形)として、キャリアガスおよび試験ガスの状態を温度23℃、湿度60%RHの条件として測定を行うことができる。測定の際、酸素ガス透過度測定装置内にキャリアガスを流量10cc/分で60分以上供給してパージすることができる。キャリアガスは5%程度水素を含む窒素ガスを用いることができる。パージ後、酸素ガス透過度測定装置内に試験ガスを流し、流し始めてから平衡状態に達するまでの時間として12時間を確保した後に測定することができる。試験ガスは少なくとも99.5%の乾燥酸素を用いることができる。酸素透過度の測定は、1つの条件で少なくとも3つのサンプルについて行い、それらの測定値の平均をその条件での酸素透過度の値とすることが好ましい。
【0080】
樹脂層11を構成する樹脂としては、前述のポリイソシアヌレート発泡体10の線膨張係数より小さく、後述するアルミニウム層12の線膨張係数より大きい線膨張係数を持ち、融点が200℃以上の樹脂を、1種又は2種上組み合わせて用いることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)等を挙げることができる。なお、これらの樹脂の融点及び線膨張係数は、概ね、下記の表1に示す通りである。
【0081】
【表1】
【0082】
樹脂層11の厚みは、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。樹脂層11は、後述するアルミニウム層12よりも薄いことが好ましい。樹脂層11をアルミニウム層12よりも薄くすることで、後述するアルミニウム層12の表面にシワが入ることを防止し、断熱ボード1の意匠性を向上することができる。
【0083】
具体的に、樹脂層11の厚みの下限値は、例えば4μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは6μm以上である。樹脂層11の厚みの下限値をこの範囲とすることで、前述のポリイソシアヌレート発泡体10からのアルミニウム層12の剥離をより確実に防止することができる。
【0084】
樹脂層11の厚みの上限値は、例えば150μm以下、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下である。樹脂層11の厚みの上限値をこの範囲とすることで、後述するアルミニウム層12の表面にシワが入ることを防止し、断熱ボード1の意匠性を向上することができる。
【0085】
(4)アルミニウム層12
アルミニウム層12は、アルミニウムを含有していれば、他の金属との合金からなる層であってもよい。アルミニウムと合金を構成する他の金属としては、例えば、スズ、インジウム、銅等を挙げることができる。
【0086】
また、アルミニウム層12に含有されるアルミニウムは、アルミニウムを単体又は他の金属と共に含有する化合物としてアルミニウム層12に含有されていてもよい。金属を含む化合物としては、例えば、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化物、金属酸化炭化物、金属酸化炭化窒化物が挙げられる。これらの化合物に用いられるアルミニウム以外の金属としては、例えば、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、インジウム、ナトリウム、チタン、ホウ素、イットリウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛が挙げられる。
【0087】
本技術に係る断熱ボード1のアルミニウム層12は、ガスバリア性能を有することが好ましい。具体的には、本技術に係る断熱ボード1のアルミニウム層12は、酸素透過度が、例えば、10mL/(m・d・MPa)以下であってもよい。
【0088】
アルミニウム層12の厚みは、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。アルミニウム層12は、前述の樹脂層11よりも厚いことが好ましい。アルミニウム層12を樹脂層11よりも厚くすることで、アルミニウム層12の表面にシワが入ることを防止し、断熱ボード1の意匠性を向上することができる。
【0089】
具体的に、アルミニウム層12の厚みの下限値は、例えば5μm以上、好ましくは6μm以上、より好ましくは7μm以上である。アルミニウム層12の厚みの下限値をこの範囲とすることで、断熱ボード1の不燃性を向上させることができると共に、アルミニウム層12の表面にシワが入ることを防止し、断熱ボード1の意匠性を向上することができる。
【0090】
アルミニウム層12の厚みの上限値は、例えば200μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは120μm以下である。アルミニウム層12の厚みの上限値をこの範囲とすることで、断熱ボード1を軽量化することができ、断熱ボード1を使用する上で作業性を向上させることができる。
【0091】
アルミニウム層12は、圧延によるアルミニウム箔のほか、蒸着膜とすることができる。具体的には、アルミニウム層12は、酸化アルミニウム(アルミナ)蒸着膜、又は、アルミニウム蒸着膜が挙げられる。これらの蒸着膜は、樹脂膜11との密着性が高く、高いガスバリア性能を発揮することができる。
【0092】
アルミニウム層12を形成する方法としては、例えば、圧延によりアルミニウム箔を形成できるほか、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法等を挙げることができる。
【0093】
(5)接着剤層13
本技術に係る断熱ボード1の樹脂層11及びアルミニウム層12の間には、接着剤層13を備えることもできる。接着剤層13に用いる接着剤としては、例えば、ポリエステル系接着剤、水エマルジョン系接着剤やエポキシ系等の反応型接着剤等を挙げることができる。
【0094】
接着剤層13の厚みは、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。接着剤層13は、前述の樹脂層11やアルミニウム層12よりも薄いことが好ましい。接着剤層13を樹脂層11やアルミニウム層12よりも薄くすることで、アルミニウム層12の表面にシワが入ることを防止し、断熱ボード1の意匠性を向上することができる。
【0095】
具体的に、接着剤層13の厚みの下限値は、例えば1μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上である。接着剤層13の厚みの下限値をこの範囲とすることで、前述のポリイソシアヌレート発泡体10からのアルミニウム層12の剥離をより確実に防止することができる。
【0096】
接着剤層13の厚みの上限値は、例えば30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。接着剤層13の厚みの上限値をこの範囲とすることで、アルミニウム層12の表面にシワが入ることを防止し、断熱ボード1の意匠性を向上することができる。また、発熱性試験時のアルミニウム層12と樹脂層11との膨張変形に追従できる。接着剤層13は熱分解温度もしくは融点が200℃以上であることが望ましい。接着剤13の熱分解温度もしくは融点が200℃であることにより、200℃までは接着剤層13の分解もしくは溶融が進行しないため、高温下においても、樹脂層11からのアルミニウム層12の剥離を防止することができる。
【0097】
(6)その他
本技術に係る断熱ボード1には、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、用途や目的に応じて、他の構成を自由に設計することができる。前述した通り、本技術に係る断熱ボード1は、少なくとも一方の面に、内側から、ポリイソシアヌレート発泡体10、樹脂層11、アルミニウム層12の順になるように、樹脂層11及びアルミニウム層12を備えていれば、他方の面は、用いる用途や期待する性能等に応じて、自由に設計することができる。
【0098】
(7)断熱ボード1の難燃性
本技術に係る断熱ボード1は、防火材料として難燃性が不燃以上で合格するものである。断熱ボード1の難燃性は、コーンカロリーメータを用いる発熱性試験(ISO5660準拠)の測定結果によって判定することができる。具体的には、本技術に係る断熱ボード1は、コーンカロリーメータ試験法(ISO5660-1)における20分間の総発熱量が8MJ/m以下である。
【0099】
コーンカロリーメータを用いる発熱性試験は、輻射電気ヒーターによって50kW/mをサンプルに照射して加熱し、発熱量等を測定して次の評価要件にしたがって難燃性を評価する試験である。
【0100】
コーンカロリーメータを用いる発熱性試験の結果に対する評価要件には、次の評価要件[1]~[4]がある。
[1]総発熱量が8MJ/m以下であること
[2]防火上有害な裏面まで貫通する亀裂・穴がないこと
[3]最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないこと
[4]スパークがリークしないこと
【0101】
評価要件[1]~[3]を満たすことができる以下の継続時間によって、不燃、準不燃、難燃に区分される。なお、[4]の「スパークがリーク」とは、プラグ間のスパークが試験体に取られた現象をいい、[4]を満たさない場合には判定不能になる。
【0102】
不燃の合格基準は、加熱開始後1200秒(20分)間の継続時間において、[1]~[3]の全てを満たすことである。
準不燃の合格基準は、加熱開始後600秒(10分)間の継続時間において、[1]~[3]の全てを満たすことである。
難燃の基準は、加熱開始後300秒(5分)間の継続時間において、[1]~[3]の全てを満たすことである。
【0103】
即ち、本技術に係る断熱ボード1は、加熱開始後1200秒(20分)間の継続時間において、[1]~[3]の全てを満たす。
【0104】
(8)断熱ボード1のその他の特徴
本技術に係る断熱ボード1は、120℃以下の雰囲気温度までは、アルミニウム層12とポリイソシアヌレートフォーム発泡体10との剥離がないものである。なお、アルミニウム層12とポリイソシアヌレートフォーム発泡体10との剥離は、後述する実施例において、[耐熱温度]の試験方法で確認することができる。
【0105】
(9)断熱ボード1の製造方法
本技術に係る断熱ボード1は、その構造や用いる材料に特徴があり、製造方法は特に限定されず、一般的な断熱ボード1の製造方法を自由に組み合わせて用いることができる。例えば、アルミニウム層12と樹脂層11を発泡成形型に設置した状態で、前述したポリイソシアヌレートフォーム発泡体製造用組成物を所要量注入し、発泡させることにより、ポリイソシアヌレートフォーム発泡体10に、樹脂層11とアルミニウム層12が積層された断熱ボード1を製造することができる。
【0106】
また、例えば、樹脂層11が積層されたアルミニウム層12を2枚、樹脂層11を内側に向い合わせにした状態で連続供給し、2枚のアルミニウム層12の間に前述したポリイソシアヌレートフォーム発泡体製造用組成物を挟んだ状態で発泡させることにより、前述した図1に示す第1実施形態に係る断熱ボード1を製造することができる。
【実施例0107】
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0108】
(1)発泡体製造用組成物の調製
下記の表2及び表3に示す配合で、各実施例及び各比較例の発泡体製造用組成物を調製した。表2及び表3における配合比は、発泡体製造用組成物から発泡剤を除いた配合量の合計100重量%中における比率(%)である。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
ポリオール:オルトフタル酸とジエチレングリコール(DEG)とを脱水縮合してなるポリエステルポリオール:OHV400mgKOH/g
イソシアネート:ポリメリックMDI、NCO%;31.3、品名;ミリオネートMR-200、東ソー株式会社製
触媒1:オクチル酸カリウム溶液、水酸基価271mgKOH/g
触媒2:酢酸カリウム溶液、水酸基価270mgKOH/g
整泡剤:シリコーン系、品名;SH-193 東レ・ダウコーニング社製
難燃剤:トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)、品名;レバガードPP、LANXESS社製
発泡剤:シクロペンタン
【0112】
(2)断熱ボードの製造
下型と上型で構成されるモールド(発泡成形型)を用い、下型のキャビティの底面に表面材及び中間材(比較例3は中間材なし)を載置し、上型の型面には裏面材及び中間材(比較例3は中間材なし)を配置し、15℃に温調した発泡体製造用組成物を5000rpmのプロペラ攪拌機で10秒撹拌してキャビティに所要量注入し、発泡させることにより、発泡体に表面材及び中間材(比較例3は中間材なし)が積層された断熱ボードを製造した。
【0113】
モールドのキャビティは、300mm×300mmの平面寸法を有し、厚み(深さ)を15mm、20mm、50mmの三種類用意し、表4~表7に示す各実施例及び各比較例における発泡体の厚みとほぼ等しいモールドの厚み(深さ)を有するモールドを用いた。キャビティへの発泡体製造用組成物の注入量は、表4~表7に示す発泡体の密度となるように調整した。
【0114】
(3)発泡体の物性の測定
[圧縮強度]
発泡体の圧縮強度は、JIS K 7220に準拠して測定した。
【0115】
[密度]
発泡体の密度は、JIS K 7222に準拠して測定した。
【0116】
[厚さ]
発泡体の厚さは、各実施例及び各比較例の断熱ボードの厚みを測定し、表面材、樹脂層、裏面側樹脂層および裏面材の厚みを減算して求めた。
【0117】
[酸素指数]
発泡体の酸素指数は、JIS A 7021に準拠して測定した。
【0118】
(4)断熱ボードの物性の評価・測定
[意匠性]
製造した断熱ボードを目視し、下記の基準に基づいて、評価した。
○:表面材に剥がれや反りがなく良好。
△:表面材にシワがある。
×:表面材の剥がれ及び/又は反りがあり不良。
【0119】
[発熱性試験]
発熱性試験は、株式会社東洋精機製作所製コーンカロリーメータC4を用い、ISO5660-1に準拠して行った。なお、表4~表7中の「リーク時間」における「なし」はリークを生じなかったことを示し、時間が記入されている場合はリークを生じるまでの加熱時間を示す。表4~表7中の「総発熱量」は、20分間の総発熱量が8MJ/m以下の場合を「○」、8MJ/mを超えた場合を「×」、リークが生じて測定不能であった場合を「-」とした。表4~表7中の「評価」は、加熱開始後20分間の不燃合格基準を満たした場合に「不燃相当」とし、「5分」、「10分」及び「20分」の何れの合格基準も満たさない場合に「不合格」とし、発熱試験中にスパークがリークして前記評価要件[4]を満たさない場合「判定不能」とした。
【0120】
[耐熱温度]
送風定温恒温器DKN912(ヤマト株式会社製)を用いて、恒温槽内熱電対によって測定した温度(以下、「雰囲気温度」という)が80℃、100℃および120℃に達してから、それぞれ2時間静置し、加熱を5回繰り返して試験を行い、表面材の剥離が無い場合は「〇」とし、剥離がある場合は「×」とした。
【0121】
[熱伝導率]
断熱ボードの熱伝導率は、JIS A 1412に準拠して測定した。
【0122】
(5)結果
結果を、表4~表7に示す。
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
【表7】
【0127】
アルミニウム:アルミニウム箔(線膨張係数:2.4×10-5、株式会社UACJ製箔製)
PET:ポリエチレンテレフタレート(融点:224℃)
PE:ポリエチレン(融点:125℃)
アルミクラフト:アルミニウム箔7μmにポリエチレンフィルム50μmとクラフト紙120g/mを貼り合わせた面材(株式会社トライフ製)(構成:外側から、ポリエチレン→アルミニウム箔→ポリエチレン→クラフト紙→ポリエチレン)
【0128】
(6)考察
発泡体をポリイソシアヌレート発泡体で形成し、ポリイソシアヌレート発泡体の線膨張係数より小さく、アルミニウム層の線膨張係数より大きい線膨張係数を持ち、融点200℃以上である樹脂層を中間材とし、表面材をアルミニウム層とした実施例1~実施例16の断熱ボードは、全て発熱性試験の評価が「不燃相当」であった。
【0129】
一方、ポリイソシアヌレート発泡体に比べてイソアネートインデックスの低い硬質ウレタンフォームを発泡材として用いた比較例1、及び、発泡剤を除く発泡体形成用組成物の配合量100重量%中に20重量%の難燃剤が添加された硬質ウレタンフォームを発泡材として用いた比較例2の断熱ボードは、発熱性試験中に硬質ウレタンフォームの熱分解が発生した。
【0130】
中間材として樹脂層を有さない比較例3の断熱ボードは、発熱性試験の結果は合格となったが、雰囲気温度が80℃を超えると表面材の剥離が発生した。
【0131】
ポリイソシアヌレート発泡体の線膨張係数より小さく、アルミニウム層の線膨張係数より大きい線膨張係数を持ち、融点200℃以上である樹脂層を有していても、表面材を樹脂層で形成し、中間材をアルミニウム層で形成した比較例4の断熱ボードは、発熱性試験中に樹脂層(表面材)に引火してしまった。
【0132】
中間材に用いる樹脂層を、融点が200℃未満のポリエチレンを用いた比較例5の断熱ボードは、発熱性試験中に樹脂層が高熱に耐えられず、表面材と発泡材の間で剥離してしまった。
【0133】
表面材にアルミクラフトを用いた比較例6の断熱ボードは、発熱性試験中にクラフト紙に引火してしまった。
【0134】
次に、実施例の中で比較を行う。実施例1と実施例16を比較すると、発泡体の密度が低い実施例16の方が、圧縮強度の低下が見られたが、JIS A 9521に基づく硬質ウレタンフォーム断熱材2種2号に相当する基準を満たしていたため、問題のない品質であった。
【0135】
実施例1と実施例15を比較すると、樹脂層の厚さが100μmと厚い実施例15の断熱ボードには、表面に若干のシワを有していたが、その他の評価は全て良好であり、意匠性も問題のない範囲内であった。
【0136】
また、硬質ウレタンフォームを発泡材として用いた前述の比較例2の断熱ボードは、難燃剤の添加量を多くすることで表面材の反りが発生していたが、ポリイソシアヌレート発泡体を発泡材として用いた実施例13の断熱ボードは、発泡剤を除く発泡体形成用組成物の配合量100重量%中に20重量%の難燃剤が添加されていても、意匠性が良好であった。
【符号の説明】
【0137】
1 断熱ボード
10 ポリイソシアヌレート発泡体
11 樹脂層
12 アルミニウム層
13 接着剤層
図1
図2
図3