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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094113
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】区画貫通部防火構造および方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/04 20060101AFI20240702BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20240702BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16L5/04
H02G3/22
E04B1/94 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210883
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 嘉正
(72)【発明者】
【氏名】奥田 寿和
(72)【発明者】
【氏名】一色 春樹
(72)【発明者】
【氏名】川副 大樹
(72)【発明者】
【氏名】中丸 敬士
【テーマコード(参考)】
2E001
5G363
【Fターム(参考)】
2E001DE04
2E001EA01
2E001FA03
2E001FA11
2E001FA31
2E001GA07
2E001JA18
2E001JA21
2E001KA05
5G363AA05
5G363AA16
5G363CA05
5G363CB12
5G363CB14
(57)【要約】
【課題】適正な施工を行うこと。
【解決手段】区画貫通部防火構造は、区画体10で区画される一方領域10Aおよび他方領域10Bに貫通して設けられる筒状の貫通部材1と、貫通部材1の両端部1A,1Bを閉塞する閉塞部2A,2Bと、を含み、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aに設けられる一方の閉塞部2Aは、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aが通じる貯留部2AAと、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aを塞ぐ態様で貯留部2AAに貯留される耐熱性を有するシール材2ABと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画体で区画される一方領域および他方領域に貫通して設けられる筒状の貫通部材と、
前記貫通部材の各端部を閉塞する閉塞部と、
を含み、
前記貫通部材の少なくとも一方の端部に設けられる前記閉塞部は、
前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部が通じる貯留部と、
前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部を塞ぐ態様で前記貯留部に貯留される耐熱性を有するシール材と、
を含む、区画貫通部防火構造。
【請求項2】
前記シール材は、前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部に充填される第一シール材と、前記第一シール材を覆うように前記貯留部に貯留される第二シール材と、を含む、請求項1に記載の区画貫通部防火構造。
【請求項3】
前記第一シール材および前記第二シール材は、流動性を有する材料からなり、前記第一シール材が前記第二シール材よりも流動性が低い、請求項2に記載の区画貫通部防火構造。
【請求項4】
前記第一シール材は、発泡性を有する材料からなり、前記第二シール材は、流動性を有する材料からなる、請求項2に記載の区画貫通部防火構造。
【請求項5】
前記貫通部材は、配索材が挿通され、
前記シール材は、前記貫通部材と前記配索材との隙間を閉塞する、請求項1から4のいずれか1項に記載の区画貫通部防火構造。
【請求項6】
区画体で区画される一方領域および他方領域に貫通して設けられる筒状の貫通部材の各端部を閉塞部によって閉塞する、区画貫通部防火方法であって、
前記貫通部材の少なくとも一方の端部の前記閉塞部において、
前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部が通じる貯留部を設ける工程と、
前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部を塞ぐ態様で前記貯留部に耐熱性を有するシール材を貯留する工程と、
を含む、区画貫通部防火方法。
【請求項7】
前記シール材を貯留する前記工程は、
前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部に第一シール材を充填する工程と、
前記第一シール材を覆うように前記貯留部に第二シール材を貯留する工程と、
を含む、請求項6に記載の区画貫通部防火方法。
【請求項8】
前記第一シール材および前記第二シール材は、流動性を有する材料からなり、前記第一シール材が前記第二シール材よりも流動性が低い、請求項7に記載の区画貫通部防火方法。
【請求項9】
前記第一シール材は、発泡性を有する材料からなり、前記第二シール材は、流動性を有する材料からなる、請求項7に記載の区画貫通部防火方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、区画貫通部防火構造および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、防火区画体のケーブル用貫通孔に貫装された耐火性のスリーブと、スリーブに挿通されたケーブルと、スリーブの一方の端部とケーブルとの間の隙間を覆う熱膨張性シートと、を有する、区画体の貫通部構造が開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、防火区画の床や壁を貫通する金属製電線管内の電線・ケーブルの両端部外周に、難燃性発泡固化形組成物を金属製電線管の内径と略同径になるように巻き付け、金属製電線管の両端部に難燃性発泡固化形組成物を塞ぐように耐熱シール材を設けた、電線・ケーブルの床・壁貫通部の防火構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3148209号公報
【特許文献2】特開平10-030757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に示されているように、電線やケーブルなどの配索材がスリーブなどの貫通部材を通じて区画を貫通して設けられる構造がある。このような構造においては、区画体によって隔てられた他方領域での火災の影響が、貫通部材を通じて一方領域に及ぶことを防ぐため、貫通部材の両端部を塞いで密閉し窒息させる防火構造が適用される。
【0006】
しかし、例えば、貫通部材の端部において配索材が煩雑に設けられている場合、貫通部材の端部が塞ぎにくく、適正な施工を行うことが困難である。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、適正な施工を行うことのできる区画貫通部防火構造および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る区画貫通部防火構造は、区画体で区画される一方領域および他方領域に貫通して設けられる筒状の貫通部材と、前記貫通部材の各端部を閉塞する閉塞部と、を含み、前記貫通部材の少なくとも一方の端部に設けられる前記閉塞部は、前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部が通じる貯留部と、前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部を塞ぐ態様で前記貯留部に貯留される耐熱性を有するシール材と、を含む。
【0009】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る区画貫通部防火方法は、区画体で区画される一方領域および他方領域に貫通して設けられる筒状の貫通部材の各端部を閉塞部によって閉塞する、区画貫通部防火方法であって、前記貫通部材の少なくとも一方の端部の前記閉塞部において、前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部が通じる貯留部を設ける工程と、前記貫通部材の少なくとも前記一方の端部を塞ぐ態様で前記貯留部に耐熱性を有するシール材を貯留する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、適正な施工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態の区画貫通部防火構造の概略構成図である。
図2図2は、実施形態の区画貫通部防火方法のフローチャートである。
図3図3は、実施形態の区画貫通部防火構造の他の例の概略構成図である。
図4図4は、実施形態の区画貫通部防火構造の他の例の概略構成図である。
図5図5は、実施形態の区画貫通部防火構造の他の例の概略構成図である。
図6図6は、実施形態の区画貫通部防火構造の他の例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
図1は、実施形態の区画貫通部防火構造の概略構成図である。
【0014】
図1に示すように、区画貫通部防火構造は、一方領域10Aと他方領域10Bとに区画する区画体10に配索材11を貫通して設ける際に適用される。区画体10は、鉄筋コンクリートで構成される堅牢な板であって、床板(天井板)や壁板を含む。図1では、区画体10は、床板として示す。配索材11は、主として電線やケーブルがあり、ワイヤなどであってもよい。なお、一方領域10Aは、例えば、設備の制御室であり、他方領域10Bは、例えば、ケーブル処理室である。
【0015】
実施形態の区画貫通部防火構造は、貫通部材1と、閉塞部2と、を含む。
【0016】
貫通部材1は、不燃材からなる金属管によって筒状に形成されたもので、区画体10を貫通して設けられる。貫通部材1は、区画体10に設けられた貫通孔10Cに挿通され、固定される。貫通部材1は、区画体10に固定された状態において、一方の端部1Aが区画体10で区画された一方領域10Aに通じ、他方の端部1Bが区画体10で区画された他方領域10Bに通じる。従って、貫通部材1は、区画体10に固定され、一方領域10Aと他方領域10Bとを連通するように配置される。そして、貫通部材1は、配索材11が挿通され、配索材11を一方領域10Aと他方領域10Bとに通じさせる。なお、配索材11は、図では1本で示されているが複数本であってもよい。また、貫通部材1は、図では1つで示されているが複数であってもよい。
【0017】
閉塞部2は、貫通部材1の各端部1A,1Bをそれぞれ閉塞する。閉塞部2は、貫通部材1の一方の端部1Aを閉塞する一方の閉塞部2Aと、貫通部材1の他方の端部1Bを閉塞する他方の閉塞部2Bと、を含む。一方の閉塞部2Aの詳細は、後述する。他方の閉塞部2Bは、貫通部材1の他方の端部1Bに充填され、貫通部材1の内周面と配索材11の外周面との隙間を塞ぐものである。他方の閉塞部2Bは、粘土状に形成されて、貫通部材1の内周面と配索材11の外周面との隙間に詰められた後に硬化することで、当該隙間を塞ぐ。他方の閉塞部2Bは、火災時に発泡する難燃性の耐火シール材であり、炭素成形剤、発泡剤、難燃性脱水剤、鉱油系バインダ、無機質充填材、難燃性補強繊維などを主成分として構成される。
【0018】
一方の閉塞部2Aは、貯留部2AAと、シール材2ABと、を含む。貯留部2AAは、貫通部材1の一方の端部1Aが通じる。図1で示す貯留部2AAは、床板とした区画体10の板厚内に配置される。区画体10は、貫通部材1の一方の端部1Aが固定される部分に、貫通部材1の外径よりも大きい内径の貫通孔10Cが形成される。そして、貯留部2AAは、この貫通孔10Cの下部を金属板からなる底板2AAaで密閉して塞ぎ、貫通孔10Cの内周面を側壁2AAbとして構成される。これにより、貯留部2AAは、液密の容器として構成される。この貯留部2AAは、底板2AAaに貫通部材1の一方の端部1Aが貫通して固定される。従って、貯留部2AAは、その液密の容器内に貫通部材1の一方の端部1Aが通じて構成される。そして、貫通部材1の一方の端部1Aは、区画体10の板厚内に配置された貯留部2AAを介して一方領域10Aに通じる。なお、図には明示しないが、貯留部2AAは、底板2AAaの周縁に立ち上がる金属板からなる側板を側壁2AAbとして液密の容器として構成され、この容器が貫通部材1の外径よりも大きい内径の貫通孔10Cを密閉して塞ぐように、区画体10の板厚内に嵌め込まれて配置される構成であってもよい。
【0019】
シール材2ABは、耐熱性を有しており、貫通部材1の一方の端部1Aを塞ぐ態様で貯留部2AAに貯留されるものである。シール材2ABは、第一シール材2ABaと、第二シール材2ABbと、を含む。第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、共に耐熱性を有する。第一シール材2ABaは、貫通部材1の一方の端部1Aに充填される。第二シール材2ABbは、第一シール材2ABaを覆うように貯留部2AAの内部に配置される。
【0020】
第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、例えば、流動性を有する材料からなり、第一シール材2ABaが第二シール材2ABbよりも流動性が低い(高粘度)。言い換えると、第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、第二シール材2ABbが第一シール材2ABaよりも流動性が高い(低粘度)。この場合、第一シール材2ABaは、流し込み型の難燃性の耐熱シール材であり、有機質バインダ、難燃剤、無機質充填材、添加剤、硬化剤などを主成分として構成される。第一シール材2ABaは、貫通部材1の一方の端部1Aに充填され、貫通部材1の内周面と配索材11の外周面との隙間に入り込んだ後に硬化することで、当該隙間を塞ぐ。また、第二シール材2ABbは、流し込み型の難燃性の耐熱シール材であり、有機質バインダ、難燃剤、無機質充填材、添加剤、硬化剤などを主成分として構成される。第二シール材2ABbは、貫通部材1の一方の端部1Aを塞ぐ第一シール材2ABa、および貫通部材1の一方の端部1Aから貯留部2AAの内部に配索された配索材11を覆うように貯留部2AAの内部に貯留された後に硬化することで、当該部分を被覆する。第二シール材2ABbは、第一シール材2ABaよりも流動性が高いため、硬化する前は液状であり、表面張力によって貯留部2AAの側壁2AAbに接触する一方領域10Aとの境界部や、貯留部2AAの内部に配索された配索材11に接触する一方領域10Aとの境界部に対し、液面が下降した状態となり、硬化後も当該状態となる。例えば、第一シール材2ABaは、主剤と硬化剤を混合比100:15で混合して用いるに対し、第二シール材2ABbは、主剤と硬化剤を混合比100:60で混合して用いる。
【0021】
また、他の形態として、第一シール材2ABaは、発泡性を有する材料からなり、第二シール材2ABbは、流動性を有する材料からなる。この場合、第一シール材2ABaは、貫通部材1の一方の端部1Aに充填され、貫通部材1の内周面と配索材11の外周面との隙間に入り込んだ後に硬化することで、当該隙間を塞ぐ。第一シール材2ABaは、ウレタン樹脂を主成分とする材料を用いることができる。また、第二シール材2ABbは、流し込み型の難燃性の耐熱シール材であり、有機質バインダ、難燃剤、無機質充填材、添加剤、硬化剤などを主成分として構成される。第二シール材2ABbは、貫通部材1の一方の端部1Aを塞ぐ第一シール材2ABa、および貫通部材1の一方の端部1Aから貯留部2AAの内部に配索された配索材11を覆うように貯留部2AAの内部に貯留された後に硬化することで、当該部分を被覆する。第二シール材2ABbは、第一シール材2ABaよりも流動性が高いため、硬化する前は液状であり、表面張力によって貯留部2AAの側壁2AAbに接触する一方領域10Aとの境界部や、貯留部2AAの内部に配索された配索材11に接触する一方領域10Aとの境界部に対し、液面が下降した状態となり、硬化後も当該状態となる。
【0022】
図2は、実施形態の区画貫通部防火方法のフローチャートである。
【0023】
図2に示すように、まず、貫通部材1および貯留部2AAを設置し、貫通部材1に配索材11を通す(ステップS1)。ここで、ステップS1では、配索材11は、貫通部材1の一方の端部1Aが通じる貯留部2AAの内部において、当該一方の端部1Aの位置や周囲で煩雑に配置される(図1参照)。配索材11が複数本の場合、この傾向が強い。ステップS1の後、他方の閉塞部2Bによって貫通部材1の他方の端部1Bを塞ぐ(ステップS2)。また、ステップS1の後、一方の閉塞部2Aによって貫通部材1の一方の端部1Aを塞ぐ(ステップS3-1、ステップS3-2)。ステップS3-1では、貫通部材1の一方の端部1Aに第一シール材2ABaを充填する。このステップS3-1において、第一シール材2ABaは、煩雑に配置された配索材11を避けて貫通部材1の一方の端部1Aにアクセスできるように、細長い管状の充填器具によって貫通部材1の一方の端部1Aに充填される。また、ステップS3-2では、第一シール材2ABaを覆うように貯留部2AAの内部に第二シール材2ABbを配置する。このようにして、区画貫通部防火構造が施工される。
【0024】
なお、上記区画貫通部防火方法において、ステップS2と、ステップS3-1、ステップS3-2とは、どちらが先であってもよい。
【0025】
このように構成された区画貫通部防火構造は、区画体10によって隔てられた他方領域10Bでの火災の影響が、貫通部材1を通じて一方領域10Aに及ばないように、貫通部材1の両端部1A,1Bを塞いで密閉し窒息させることができる。
【0026】
図3から図6は、実施形態の区画貫通部防火構造の他の例の概略構成図である。
【0027】
図3に示す区画貫通部防火構造は、図1に示す区画貫通部防火構造に対し、貫通部材1の一方の端部1Aが床板とした区画体10を貫通し、一方領域10Aに延びて構成される。この場合、貫通部材1は、貫通孔10Cの内周面と自身の外周面とがモルタルによって隙間なく密閉された状態で区画体10に固定される。そして、この貫通部材1の一方の端部1Aに一方の閉塞部2Aが設けられる。一方の閉塞部2Aは、図1に示す構成と同様に、貯留部2AAと、シール材2ABと、を含む。貯留部2AAは、プルボックスとして構成され、金属板からなる底板2AAaと、底板2AAaの周縁に立ち上がる金属板からなる側板を側壁2AAbと、によって液密の容器として構成される。この貯留部2AAは、底板2AAaに貫通部材1の一方の端部1Aが貫通して固定される。従って、貯留部2AAは、その液密の容器内に貫通部材1の一方の端部1Aが通じて構成される。そして、貫通部材1の一方の端部1Aは、貯留部2AAを介して一方領域10Aに通じる。シール材2ABは、図1に示す構成と同様に、第一シール材2ABaと、第二シール材2ABbと、を含む。第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、図1に示す構成と同様であり、その構成や、防火方法についての説明を省略する。また、貫通部材1の他方の端部1Bに、図1に示す構成と同様に、他方の閉塞部2Bが設けられる。他方の閉塞部2Bは、図1に示す構成と同様であり、その構成や、防火方法についての説明を省略する。
【0028】
図4に示す区画貫通部防火構造は、区画体10が壁板として構成される。この区画貫通部防火構造は、貫通部材1の一方の端部1Aが区画体10を貫通し、一方領域10Aに通じる。貫通部材1は、貫通孔10Cの内周面と自身の外周面とがモルタルによって隙間なく密閉された状態で区画体10に固定される。そして、この貫通部材1の一方の端部1Aに一方の閉塞部2Aが設けられる。一方の閉塞部2Aは、図1に示す構成と同様に、貯留部2AAと、シール材2ABと、を含む。貯留部2AAは、プルボックスとして構成され、金属板からなる底板2AAaと、底板2AAaの周縁に立ち上がる金属板からなる側板を側壁2AAbと、によって液密の容器として構成される。この貯留部2AAは、側壁2AAbの一部が区画体10の一方領域10A側の板面に固定され、側壁2AAbに貫通部材1の一方の端部1Aが貫通して固定される。従って、貯留部2AAは、その液密の容器内に貫通部材1の一方の端部1Aが通じて構成される。そして、貫通部材1の一方の端部1Aは、貯留部2AAを介して一方領域10Aに通じる。シール材2ABは、図1に示す構成と同様に、第一シール材2ABaと、第二シール材2ABbと、を含む。第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、図1に示す構成と同様であり、その構成や、防火方法についての説明を省略する。また、貫通部材1の他方の端部1Bに、図1に示す構成と同様に、他方の閉塞部2Bが設けられる。他方の閉塞部2Bは、図1に示す構成と同様であり、その構成や、防火方法についての説明を省略する。
【0029】
図5に示す区画貫通部防火構造は、図4に示す区画貫通部防火構造に対し、貫通部材1の一方の端部1Aが壁板とした区画体10を貫通し、一方領域10Aに延びて構成される。そして、この貫通部材1の一方の端部1Aに一方の閉塞部2Aが設けられる。一方の閉塞部2Aは、図1に示す構成と同様に、貯留部2AAと、シール材2ABと、を含む。貯留部2AAは、プルボックスとして構成され、金属板からなる底板2AAaと、底板2AAaの周縁に立ち上がる金属板からなる側板を側壁2AAbと、によって液密の容器として構成される。この貯留部2AAは、底板2AAaに貫通部材1の一方の端部1Aが貫通して固定される。従って、貯留部2AAは、その液密の容器内に貫通部材1の一方の端部1Aが通じて構成される。そして、貫通部材1の一方の端部1Aは、貯留部2AAを介して一方領域10Aに通じる。シール材2ABは、図1に示す構成と同様に、第一シール材2ABaと、第二シール材2ABbと、を含む。第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、図1に示す構成と同様であり、その構成や、防火方法についての説明を省略する。また、貫通部材1の他方の端部1Bに、図1に示す構成と同様に、他方の閉塞部2Bが設けられる。他方の閉塞部2Bは、図1に示す構成と同様であり、その構成や、防火方法についての説明を省略する。
【0030】
図6に示す区画貫通部防火構造は、区画体10が壁板として構成される。この区画貫通部防火構造は、貫通部材1が地中に埋設され、区画体10の下方を貫通して一方の端部1Aが一方領域10Aに至り、他方の端部1Bが他方領域10Bに至る。図6で示す貫通部材1は、耐熱・耐火材からなるエフレックス管が用いられる。貫通部材1は、一方領域10Aにおいて、一方の端部1Aが地中に設けられたハンドホール3に固定され連通する。また、貫通部材1は、他方領域10Bにおいて、他方の端部1Bが地中に設けられたハンドホール3に固定され連通する。そして、この貫通部材1の一方の端部1Aに一方の閉塞部2Aが設けられる。一方の閉塞部2Aは、コンクリート製のハンドホール3からなる貯留部2AAと、シール材2ABと、を含む。貯留部2AAは、底板2AAaと、底板2AAaの周縁に立ち上がる側壁2AAbと、によって液密の容器として構成される。この貯留部2AAは、側壁2AAbに貫通部材1の一方の端部1Aが貫通して固定される。従って、貯留部2AAは、その液密の容器内に貫通部材1の一方の端部1Aが通じて構成される。そして、貫通部材1の一方の端部1Aは、貯留部2AAを介して一方領域10Aに通じる。シール材2ABは、図1に示す構成と同様に、第一シール材2ABaと、第二シール材2ABbと、を含む。第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、図1に示す構成と同様であり、その構成や、防火方法についての説明を省略する。また、貫通部材1の他方の端部1Bに、図1に示す構成と同様に、他方の閉塞部2Bが設けられる。他方の閉塞部2Bは、図1に示す構成と同様であり、その構成や、防火方法についての説明を省略する。
【0031】
なお、上述した実施形態において、一方の閉塞部2Aは、貫通部材1の一方の端部1Aに設けられているが、他方の閉塞部2Bに替えて貫通部材1の他方の端部1Bにも設けられてもよい。
【0032】
このように、実施形態の区画貫通部防火構造は、区画体10で区画される一方領域10Aおよび他方領域10Bに貫通して設けられる筒状の貫通部材1と、貫通部材1の両端部1A,1Bを閉塞する閉塞部2A,2Bと、を含み、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aに設けられる一方の閉塞部2Aは、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aが通じる貯留部2AAと、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aを塞ぐ態様で貯留部2AAに貯留される耐熱性を有するシール材2ABと、を含む。
【0033】
この区画貫通部防火構造によれば、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aが通じる貯留部2AAに耐熱性を有するシール材2ABを貯留することで、貫通部材1をシール材2ABによって隙間なく適正に塞ぐことができる。この結果、適正な施工を行うことができる。
【0034】
また、実施形態の区画貫通部防火構造では、シール材2ABは、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aに充填される第一シール材2ABaと、第一シール材2ABaを覆うように貯留部2AAに貯留される第二シール材2ABbと、を含む。
【0035】
この区画貫通部防火構造によれば、第一シール材2ABaで貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aを閉塞し、第二シール材2ABbで第一シール材2ABaを覆うように貯留部2AAに貯留することで、貫通部材1を確実に塞ぐことができる。
【0036】
また、実施形態の区画貫通部防火構造では、第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、流動性を有する材料からなり、第一シール材2ABaが第二シール材2ABbよりも流動性が低い。
【0037】
この区画貫通部防火構造によれば、流動性の低い第一シール材2ABaで貫通部材1の内部に留まるようにして閉塞し、流動性の高い第二シール材2ABbで第一シール材2ABaを隙間なく覆うように隙間なく貯留部2AAに貯留することで、貫通部材1をより確実に塞ぐことができる。
【0038】
また、実施形態の区画貫通部防火構造では、第一シール材2ABaは、発泡性を有する材料からなり、第二シール材2ABbは、流動性を有する材料からなる。
【0039】
この区画貫通部防火構造によれば、発泡性の第一シール材2ABaで貫通部材1の内部に留まるようにして閉塞し、流動性の第二シール材2ABbで第一シール材2ABaを隙間なく覆うように貯留部2AAに貯留することで、貫通部材1をより確実に塞ぐことができる。
【0040】
また、実施形態の区画貫通部防火構造では、貫通部材1は、配索材11が挿通され、シール材2ABは、貫通部材1と配索材11との隙間を閉塞する。
【0041】
この区画貫通部防火構造によれば、貫通部材1に配索材11が挿通される構成において、特に有用であり、貫通部材1と配索材11との隙間を閉塞する適正な施工を行うことができる。
【0042】
また、実施形態の区画貫通部防火方法は、区画体10で区画される一方領域10Aおよび他方領域10Bに貫通して設けられる筒状の貫通部材1の各端部1A,1Bを閉塞部2A,2Bによって閉塞する、区画貫通部防火方法であって、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aの閉塞部2Aにおいて、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aが通じる貯留部2AAを設ける工程と、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aを塞ぐ態様で貯留部2AAに耐熱性を有するシール材2ABを貯留する工程と、を含む。
【0043】
この区画貫通部防火方法によれば、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aが通じる貯留部2AAに耐熱性を有するシール材2ABを貯留することで、貫通部材1をシール材2ABによって隙間なく適正に塞ぐことができる。この結果、適正な施工を行うことができる。
【0044】
また、実施形態の区画貫通部防火方法では、シール材2ABを貯留する工程は、貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aに第一シール材2ABaを充填する工程と、第一シール材2ABaを覆うように貯留部2AAに第二シール材1ABbを配置する工程と、を含む。
【0045】
この区画貫通部防火方法によれば、第一シール材2ABaで貫通部材1の少なくとも一方の端部1Aを閉塞し、第二シール材2ABbで第一シール材2ABaを覆うように貯留部2AAに貯留することで、貫通部材1を確実に塞ぐことができる。
【0046】
また、実施形態の区画貫通部防火方法では、第一シール材2ABaおよび第二シール材2ABbは、流動性を有する材料からなり、第一シール材2ABaが第二シール材2ABbよりも流動性が低い。
【0047】
この区画貫通部防火方法によれば、流動性の低い第一シール材2ABaで貫通部材1の内部に留まるようにして閉塞し、流動性の高い第二シール材2ABbで第一シール材2ABaを覆うように隙間なく貯留部2AAに貯留することで、貫通部材1をより確実に塞ぐことができる。
【0048】
また、実施形態の区画貫通部防火方法では、第一シール材2ABaは、発泡性を有する材料からなり、第二シール材2ABbは、流動性を有する材料からなる。
【0049】
この区画貫通部防火方法によれば、発泡性の第一シール材2ABaで貫通部材1の内部に留まるようにして閉塞し、流動性の第二シール材2ABbで第一シール材2ABaを隙間なく覆うように貯留部2AAに貯留することで、貫通部材1をより確実に塞ぐことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 貫通部材
1A 端部
1B 端部
2 閉塞部
2A 閉塞部
2AA 貯留部
2AB シール材
2ABa 第一シール材
2ABb 第二シール材
10 区画体
10A 一方領域
10B 他方領域
11 配索材
図1
図2
図3
図4
図5
図6