(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094122
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電源制御装置、および、電源制御装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240702BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240702BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240702BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
H02J1/00 306K
H02J9/06 110
H02J7/00 302C
B60R16/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210893
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
(72)【発明者】
【氏名】吉村 実
【テーマコード(参考)】
5G015
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA06
5G015HA02
5G015HA13
5G015JA04
5G015JA34
5G015JA47
5G015JA52
5G015KA12
5G165EA02
5G165FA01
5G165GA04
5G165JA04
5G165JA09
5G165LA01
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA11
5G503DA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GC04
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】電源失陥の誤検出を抑制することで、負荷の機能が制限されることを抑制する電源制御装置、および、制御方法を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る電源制御装置は、系統間接続部と、第1検出装置と、第2検出装置とを備える。系統間接続部は、第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統との電気的な接続を切断可能である。第1検出装置は、第1系統の状態、または、第2系統の状態を示す物理量が異常判定用の第1閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間継続すると、第1系統の異常、または、第2系統の異常を検出し、系統間接続部を遮断する。第2検出装置は、第1検出装置が異常を検出した後、第1系統と第2系統のうち、物理量が異常判定用の第2閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間よりも短い第2検出時間継続した系統を異常系統として特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統との電気的な接続を切断可能な系統間接続部と、
前記第1系統の状態、または、前記第2系統の状態を示す物理量が異常判定用の第1閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間継続すると、前記第1系統の異常、または、前記第2系統の異常を検出し、前記系統間接続部を遮断する第1検出装置と、
前記第1検出装置が異常を検出した後、前記第1系統と前記第2系統のうち、前記物理量が異常判定用の第2閾値を正常値側から超えた状態が前記第1検出時間よりも短い第2検出時間継続した系統を異常系統として特定する第2検出装置と
を備える電源制御装置。
【請求項2】
前記第1検出装置は、マイクロコンピュータによって構成され、
前記第2検出装置は、ハードウェア回路によって構成される、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記第1検出装置、および、前記第2検出装置は、マイクロコンピュータによって構成される、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記第1閾値と、前記物理量の正常値との差は、前記第2閾値と、前記物理量の正常値との差よりも小さい、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記第1閾値と、前記物理量の正常値との差は、前記第2閾値と、前記物理量の正常値との差よりも大きい、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記第1検出装置は、
前記物理量が、正常値側から前記第1閾値を超えた状態が、前記第1検出時間以上継続する前に、前記物理量が、正常値側から第3閾値を超えた場合、前記第1検出時間の経過を待たずに前記第1系統の異常、または、前記第2系統の異常を検出し、
前記第3閾値と、前記物理量の正常値との差は、前記第1閾値と、前記物理量の正常値との差よりも大きい、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項7】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統の状態、または、第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統の状態を示す物理量が異常判定用の第1閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間継続すると、前記第1系統の異常、または、前記第2系統の異常を検出して、前記第1系統と、前記第2系統との電気的な接続を切断可能な系統間接続部を遮断し、
前記第1系統の異常、または、前記第2系統の異常が検出された後、前記第1系統と前記第2系統のうち、前記物理量が異常判定用の第2閾値を正常値側から超えた状態が前記第1検出時間よりも短い第2検出時間継続した系統を異常系統として特定する、電源制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置、および、電源制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統と、第1系統、および、第2系統の電気的な接続を切断可能な系統間接続部とを備える電源制御装置がある。
【0003】
電源制御装置は、第1系統、または、第2系統において第1の所定時間継続して、電圧が低下した場合に、電源失陥の発生を一次判定し、系統間接続部によって第1系統と第2系統との電気的な接続を切断する。そして、電源制御装置は、系統間接続部によって第1系統と第2系統との電気的な接続を切断した後に、さらに、第2の所定時間継続して、電圧が低下した場合に、電源失陥の発生を確定させる二次判定を行う。そして、電源失陥が発生していない系統から負荷に電力が供給されることで、電源失陥が発生していない系統に接続される負荷によってフェイルセーフ制御が実行される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記する電源制御装置では、第1の所定時間は、第2の所定時間よりも短く設定されている。電源制御装置は、第1の所定時間継続して電圧が低下し、たとえば、第1系統、または、第2系統において、電源失陥として地絡の傾向がある場合には、系統間接続部によって第1系統と第2系統との電気的な接続を切断する。これにより、電源制御装置は、正常な系統に地絡の影響が及ぶことを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術における電源制御装置は、たとえば、実際には地絡が発生していない状態での電圧の変動などによって電圧が低下した場合に、地絡が発生したと一次判定で誤検出するおそれがある。そのため、実際には地絡が発生していない場合に、二次判定で正常であると判定されて元の通常状態に戻るまで、負荷の機能が制限されるおそれがある。また、第1電源、および、第2電源のうち、バックアップ用電源として用いられる電源の蓄電量が二次判定により低下することで、負荷の機能が制限される。たとえば、バックアップ用電源の蓄電量が低下すると、通常時に実行可能な負荷の機能において、機能の一部が禁止される。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電源失陥の誤検出を抑制することで、負荷の機能が制限されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る電源制御装置は、系統間接続部と、第1検出装置と、第2検出装置とを備える。系統間接続部は、第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統との電気的な接続を切断可能である。第1検出装置は、第1系統の状態、または、第2系統の状態を示す物理量が異常判定用の第1閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間継続すると、第1系統の異常、または、第2系統の異常を検出し、系統間接続部を遮断する。第2検出装置は、第1検出装置が異常を検出した後、第1系統と第2系統のうち、物理量が異常判定用の第2閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間よりも短い第2検出時間継続した系統を異常系統として特定する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、電源失陥の誤検出を抑制することで、負荷の機能が制限されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る電源制御装置1の構成例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、第1系統、および、第2系統に地絡が発生していない正常時を示す図である。
【
図3】
図3は、第2電源の蓄電量が第1所定蓄電量未満の状態を示す図である。
【
図4】
図4は、第1系統に地絡が発生した状態を示す図である。
【
図5】
図5は、第1系統に地絡が発生し、系統間接続部がOFFにされ、かつ、電池用スイッチがONにされた状態を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る異常発生処理を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る異常発生処理を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る異常発生処理を説明するフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る異常発生処理を説明するフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例に係る第2検出装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る電源制御装置、および、電源制御装置の制御方法が詳細に説明される。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する電源制御装置を例に挙げて説明するが、実施形態に係る電源制御装置は、自動運転機能を備えていない車両に搭載されてもよい。
【0012】
また、以下では、電源制御装置が搭載される車両が電気自動車、または、ハイブリット自動車である場合について説明するが、電源制御装置が搭載される車両は、内燃機関によって走行するエンジン自動車であってもよい。
【0013】
なお、実施形態に係る電源制御装置は、第1電源の電源系統に異常が発生した場合に、第2電源の電源系統によって第1電源をバックアップする任意の装置に搭載されてもよい。異常は、電源失陥を含む。電源失陥は、たとえば、地絡に起因して発生する。以下では、異常が、地絡である場合について説明する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電源制御装置1の構成例を示す説明図である。
図1に示すように、実施形態に係る電源制御装置1は、第1電源10と、第1負荷101と、一般負荷102と、第2負荷103と、自動運転制御装置100とに接続される。電源制御装置1は、第1系統110と、第2系統120とを備える。第1系統110は、第1電源10の電力を第1負荷101、および、一般負荷102に供給する。第2系統120は、後述する第2電源20の電力を第2負荷103に供給する。
【0015】
第1負荷101は、自動運転用の負荷を含む。例えば、第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、および、車載カメラ等を含む。
【0016】
一般負荷102は、自動運転に直接関与しない負荷であり、例えば、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、および各種ライト等を含む。
【0017】
第2負荷103は、第1負荷101が備える自動運転用の機能の一部を備える。例えば、第2負荷103は、ステアリングモータ、電動ブレーキ装置、および、レーダ等のFOP(フェールオペレーション)に最低限必要な装置を含む。第1負荷101、一般負荷102、および、第2負荷103は、電源制御装置1から供給される電力によって動作する。FOPは、自動運転制御装置100によって車両を安全な場所まで退避走行させる制御である。FOPは、自動運転中に、第1系統110、および、第2系統120のいずれか一方に地絡が発生した場合であっても、他方の系統を使用して実行される。
【0018】
自動運転制御装置100は、車両を自動運転制御する装置である。自動運転制御装置100は、第1負荷101、および、第2負荷103を動作させることにより、車両を自動運転によって走行させる。また、自動運転制御装置100は、自動運転中に第1系統110で地絡が発生した場合には、第2負荷103によってFOPを実施できる。自動運転制御装置100は、自動運転中に第2系統120で地絡が発生した場合には、第1負荷101によってFOPを実施できる。
【0019】
自動運転制御装置100は、自動運転中であることを示す信号を、電源制御装置1に出力する。たとえば、自動運転制御装置100は、自動運転中であることを示す信号を、後述する電源制御装置1の第1検出装置31に出力する。自動運転中ではない場合、自動運転制御装置100は、自動運転中であることを示す信号を、電源制御装置1に出力しない。自動運転中ではない場合、自動運転制御装置100は、自動運転中ではないことを示す信号を、電源制御装置1に出力してもよい。
【0020】
第1電源10は、DC/DCコンバータ(以下、「DC/DC11」と記載する。)と、鉛バッテリ(以下、「PbB12」と記載する。)とを含む。なお、第1電源10の電池は、PbB12以外の任意の2次電池であってもよい。
【0021】
DC/DC11は、図示しない発電機と、PbB12よりも電圧が高い図示しない高圧バッテリとに接続される。DC/DC11は、発電機、および、高圧バッテリの電圧を降圧して第1系統110に出力する。発電機は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。高圧バッテリは、例えば、電気自動車、および、ハイブリット自動車に搭載される車両駆動用のバッテリである。
【0022】
なお、第1電源10は、エンジン自動車に搭載される場合、DC/DC11の代わりにオルタネータ(発電機)が設けられる。DC/DC11は、PbB12の充電、第1負荷101、および、一般負荷102への電力供給を行う。DC/DC11は、第2負荷103への電力供給、および、後述する第2電源20の充電を行う。
【0023】
電源制御装置1は、第2電源20と、系統間接続部41と、電池用スイッチ42と、スイッチ駆動装置3と、第1電圧センサ51と、第2電圧センサ52とを備える。第2電源20は、第1電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。第2電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する。)を備える。なお、第2電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0024】
系統間接続部41は、第1系統110と第2系統120とを接続する系統間ライン130に設けられる。系統間接続部41は、第1系統110と第2系統120との電気的な接続を切断可能である。系統間接続部41は、第1系統110と第2系統120とを接続、および、切断可能なスイッチである。系統間接続部41は、起動することによって第1系統110、および、第2系統120間を導通させるDC/DCコンバータであってもよい。系統間接続部41がDC/DCコンバータである場合、DC/DCコンバータの動作を停止させることによって、第1系統110、および、第2系統120間が遮断される。
【0025】
系統間接続部41を接続することは、第1系統110と第2系統120とを電気的に接続、つまり導通させることを意味する。また、系統間接続部41を切断することは、第1系統110と第2系統120との電気的な接続を切断、つまり遮断することを意味する。
【0026】
電池用スイッチ42は、第2電源20を第2系統120に接続するスイッチである。電池用スイッチ42は、第2電源20と第2系統120とを接続、および、切断可能なスイッチである。
【0027】
第1電圧センサ51は、第1系統110に設けられる。第1電圧センサ51は、第1系統110の電圧を検出する。第1電圧センサ51は、検出結果をスイッチ駆動装置3に出力する。第2電圧センサ52は、第2系統120に設けられる。第2電圧センサ52は、第2系統120の電圧を検出する。第2電圧センサ52は、検出結果をスイッチ駆動装置3に出力する。
【0028】
スイッチ駆動装置3は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、スイッチ駆動装置3は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んでもよい。
【0029】
スイッチ駆動装置3は、電源制御装置1の動作を制御する。スイッチ駆動装置3は、第1検出装置31と、第2検出装置32とを備える。第1検出装置31、および、第2検出装置32の少なくとも一部の機能は、統合されてもよい。
【0030】
第1検出装置31は、マイクロコンピュータである。第1検出装置31は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する。
【0031】
第1検出装置31は、第1系統110の状態、または、第2系統120の状態を示す物理量と、第1検出時間と、第1閾値とに基づいて、第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡を検出する。物理量は、電圧、または、電流である。以下では、物理量が電圧である場合について説明する。なお、第1検出装置31における処理の詳細は、後述される。
【0032】
第1検出時間は、予め設定された時間である。第1検出時間は、第1系統110、および、第2系統120のいずれにも地絡が発生していない状態で、各系統110、120における電圧変化が、地絡の発生として誤検出されることを抑制可能な時間である。第1検出時間は、たとえば、100msである。
【0033】
第1閾値は、予め設定された値である。第1閾値は、異常判定用の閾値である。第1閾値は、物理量に関する閾値である。第1閾値は、物理量の正常値に対して設定される。物理量の正常値は、第1系統110、および、第2系統120のいずれにも地絡が発生していない状態における物理量の値である。たとえば、物理量の正常値は、第1系統110、および、第2系統120のいずれにも地絡が発生していない状態における物理量の平均値である。物理量の正常値は、実験、および、シミュレーションなどの結果に基づいて設定される。物理量が電圧である場合、第1閾値は、電圧に関する閾値である。物理量が電圧である場合、第1閾値は、物理量の正常値よりも小さい。
【0034】
第2電圧センサ52によって検出された電圧(以下、「第2系統電圧V2」と称する。)が、電圧の正常値側から第1閾値を超えた状態が、第1検出時間以上継続する場合、第1検出装置31は、第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡を検出する。具体的には、第2系統電圧V2が、第1閾値未満となる状態が第1検出時間以上継続する場合、第1検出装置31は、第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡を検出する。第2系統電圧V2が、第1閾値未満となる状態が第1検出時間以上継続する場合、第1検出装置31は、地絡の発生を仮判定する。
【0035】
なお、第1検出装置31は、第1電圧センサ51によって検出された電圧(以下、「第1系統電圧V1」と称する。)に基づいて、第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡を検出してもよい。
【0036】
第1検出装置31は、系統間接続部41、および、電池用スイッチ42を制御する。なお、系統間接続部41、および、電池用スイッチ42に関する処理の詳細は、後述される。
【0037】
第1検出装置31は、系統間接続部41をON、または、OFFに切り替え可能である。系統間接続部41がONになることで、第1系統110と第2系統120とが電気的に接続される。系統間接続部41がOFFになることで、第1系統110と第2系統120とが電気的に切断される。
【0038】
第1検出装置31は、電池用スイッチ42をON、または、OFFに切り替え可能である。電池用スイッチ42がONになることで、第2電源20と第2系統120とが電気的に接続される。電池用スイッチ42がOFFになることで、第2電源20と第2系統120とが電気的に切断される。
【0039】
第2検出装置32は、マイクロコンピュータである。第2検出装置32は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能する。なお、第2検出装置32は、ハードウェア回路で構成されてもよい。
【0040】
第2検出装置32は、物理量と、第2検出時間と、第2閾値とに基づいて、第1系統110、および、第2系統120について地絡が発生した異常系統を特定する。第2検出装置32は、第1検出装置31によって第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡が検出され、かつ、系統間接続部41によって第1系統110と第2系統120との電気的な接続が切断された後に、異常系統を特定する。なお、第2検出装置32における処理の詳細は、後述される。
【0041】
第2検出時間は、予め設定された時間である。第2検出時間は、第1検出時間よりも短い。第2検出時間は、第1検出装置31による地絡の検出後に、電圧の低下が検出されることで、早期に地絡の発生を確定させる時間である。たとえば、第2検出時間は、4msである。
【0042】
第2閾値は、予め設定された値である。第2閾値は、異常判定用の閾値である。第2閾値は、物理量に関する閾値である。第2閾値は、物理量の正常値に対して設定される。物理量が電圧である場合、第2閾値は、電圧に関する閾値である。物理量が電圧である場合、第2閾値は、物理量の正常値よりも小さい。たとえば、第2閾値は、第1閾値と同じ値である。
【0043】
第1系統電圧V1が、電圧の正常値側から第2閾値を超えた状態が、第2検出時間以上継続する場合、第2検出装置32は、第1系統110における地絡を検出する。具体的には、第1系統電圧V1が、第2閾値未満である状態が、第2検出時間以上継続する場合、第2検出装置32は、第1系統110における地絡を検出する。そして、第2検出装置32は、第1系統110を、地絡が発生した異常系統として特定する。第2検出装置32は、地絡の発生を本判定する。
【0044】
第1系統電圧V1が、第2閾値未満である状態が、第2検出時間以上継続しない場合、第2検出装置32は、第1系統110における地絡を検出しない。第1系統電圧V1が、第2閾値以上である場合、第2検出装置32は、第1系統110における地絡を検出しない。すなわち、第2検出装置32は、第1系統110が正常であると判定する。たとえば、第1系統電圧V1が、第2検出時間の間に、第2閾値以上となった場合、第2検出装置32は、第1系統110が正常であると判定する。
【0045】
第2系統電圧V2が、電圧の正常値側から第2閾値を超えた状態が、第2検出時間以上継続する場合、第2検出装置32は、第2系統120における地絡を検出する。具体的には、第2系統電圧V2が、第2閾値未満である状態が、第2検出時間以上継続する場合、第2検出装置32は、第2系統120における地絡を検出する。そして、第2検出装置32は、第2系統120を、地絡が発生した異常系統として特定する。第2検出装置32は、地絡の発生を本判定する。
【0046】
第2系統電圧V2が、第2閾値未満である状態が、第2検出時間以上継続しない場合、第2検出装置32は、第2系統120における地絡を検出しない。第2系統電圧V2が、第2閾値以上である場合、第2検出装置32は、第2系統120における地絡を検出しない。すなわち、第2検出装置32は、第2系統120が正常であると判定する。たとえば、第2系統電圧V2が、第2検出時間の間に、第2閾値以上となった場合、第2検出装置32は、第2系統120が正常であると判定する。
【0047】
第2検出装置32は、第1系統110、および、第2系統120が共に正常であると判定した場合、第1検出装置31による地絡の検出が誤検出であると判定する。そして、第1検出装置31による仮判定が取り消される。なお、第1検出装置31による仮判定は、第2検出装置32による誤検出判定の結果に基づいて、第1検出装置31によって取り消される。
【0048】
第2検出装置32は、系統間接続部41、および、電池用スイッチ42を制御する。なお、系統間接続部41、および、電池用スイッチ42に関する処理の詳細は、後述される。
【0049】
第2検出装置32は、系統間接続部41をON、または、OFFに切り替え可能である。第2検出装置32は、電池用スイッチ42をON、または、OFFに切り替え可能である。
【0050】
電源制御装置1が起動された場合、第1検出装置31は、系統間接続部41をONにし、かつ、電池用スイッチ42をOFFにする。各系統110、120において地絡が検出されていない場合、すなわち、各系統110、120が正常である場合、第1検出装置31は、系統間接続部41をONにし、かつ、電池用スイッチ42をOFFにする。
【0051】
なお、各系統110、120が正常であり、かつ、第2電源20の蓄電量が、予め設定された第1所定蓄電量よりも小さい場合、第1検出装置31は、電池用スイッチ42をONにする。これにより、第1電源10から第2電源20に電力が供給されることによって、第2電源20が充電される。第1所定蓄電量は、自動運転中に第1系統110で地絡が発生した場合に、第2電源20から第2負荷103への電力供給によって、FOPを実施可能な蓄電量である。
【0052】
また、第2電源20の充電が開始されて、第2電源20の蓄電量が、予め設定された第2所定蓄電量よりも大きくなると、第1検出装置31は、電池用スイッチ42をOFFにする。第2所定蓄電量は、第1所定蓄電量よりも大きい。蓄電量は、たとえば、SOC(State of Charge)である。蓄電量に代えて、充電率、および、残容量などが用いられてもよい。
【0053】
なお、上記した系統間接続部41、および、電池用スイッチ42の制御の少なくとも一部は、第2検出装置32によって行われてもよい。
【0054】
第1検出装置31は、第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡を検出した場合、系統間接続部41をOFFにし、かつ、電池用スイッチ42をONにする。
【0055】
第2検出装置32は、第2系統120における地絡が特定された場合、系統間接続部41のOFFを維持した状態で電池用スイッチ42をOFFにする。
【0056】
第1検出装置31は、第1系統110、または、第2系統120における地絡を検出していない場合、自動運転が可能な状態である旨を示す自動運転許可信号を自動運転制御装置100に出力する。具体的に、第1系統110、または、第2系統120における地絡が検出されておらず、かつ、第2電源20の蓄電量が、第1所定蓄電量以上である場合に、第1検出装置31は、自動運転許可信号を自動運転制御装置100に出力する。
【0057】
第1検出装置31は、第1系統110、または、第2系統120における地絡を検出していない場合であっても、第2電源20の蓄電量が、第1所定蓄電量未満である場合、自動運転許可信号を自動運転制御装置100には出力しない。この場合、第1検出装置31は、自動運転が不可能な状態である旨を示す自動運転禁止信号を自動運転制御装置100に出力する。
【0058】
第1検出装置31は、第1系統110、または、第2系統120における地絡を検出し場合、第1系統110、または、第2系統120における地絡が検出されたことを示すFOP仮判定信号を自動運転制御装置100に出力する。FOP仮判定信号が自動運転制御装置100に出力されることで、自動運転制御装置100は、第1電源10から供給される電力によって第1負荷101を動作させる。FOP仮判定信号が自動運転制御装置100に出力されることで、自動運転制御装置100は、第2電源20から供給される電力によって第2負荷103を動作させる。
【0059】
第2検出装置32は、第1系統110、または、第2系統120における地絡を特定した場合、第1系統110、または、第2系統120における地絡が特定されたことを示すFOP本判定信号を自動運転制御装置100に出力する。FOP本判定信号が自動運転制御装置100に出力されることで、自動運転制御装置100は、地絡が特定されていない系統によってFOPを実行する。すなわち、第2検出装置32は、FOP本判定信号を自動運転制御装置100に出力することで、FOPに移行させる。
【0060】
次に、スイッチ駆動装置3の動作が、
図2~
図5を参照し、説明される。
【0061】
第1系統110、および、第2系統120に地絡が発生していない正常時では、
図2に示すように、第1検出装置31は、電池用スイッチ42をOFFにし、かつ、系統間接続部41をONにする。
図2は、第1系統110、および、第2系統120に地絡が発生していない正常時を示す図である。なお、
図2は、第2電源20の蓄電量が、第1所定蓄電量以上の状態を示す。この場合、第1電源10から、第1負荷101、一般負荷102、および、第2負荷103に電力が供給される。第1検出装置31は、自動運転許可信号を自動運転制御装置100に出力する。
【0062】
第1系統110、および、第2系統120に地絡が発生していない正常時であっても、第2電源20の蓄電量が第1所定蓄電量未満である場合、第1検出装置31は、
図3に示すように、電池用スイッチ42をONにする。
図3は、第2電源20の蓄電量が第1所定蓄電量未満の状態を示す図である。なお、系統間接続部41はONである。これにより、第1電源10から電力が第2電源20に供給されて、第2電源20が充電される。第1検出装置31は、自動運転禁止信号を自動運転制御装置100に出力する。
【0063】
第1系統110、または、第2系統120に地絡が発生した場合、たとえば、
図4に示すように、第1系統110に地絡200が発生した場合、地絡点に向けて過電流が流れる。そのため、第1電圧センサ51、および、第2電圧センサ52によって検出される電圧が低下する。
図4は、第1系統110に地絡200が発生した状態を示す図である。電圧が第1閾値未満となる状態が、第1検出時間以上継続した場合、第1検出装置31は、第1系統110、または、第2系統120における地絡を検出する。第1検出装置31は、地絡200を検出した場合、
図5に示すように、電池用スイッチ42をONにし、かつ、系統間接続部41をOFFにする。第1検出装置31は、FOP仮判定信号を自動運転制御装置100に出力する。
図5は、第1系統110に地絡200が発生し、系統間接続部41がOFFにされ、かつ、電池用スイッチ42がONにされた状態を示す図である。
【0064】
第1検出装置31によって地絡が検出された後に、第1系統110の電圧が第2閾値未満となる状態が、第2検出時間以上継続した場合、第2検出装置32は、第1系統110における地絡を検出する。すなわち、第2検出装置32は、第1系統110を異常系統として特定する。第2検出装置32は、異常系統を特定した場合、
図5に示すように、電池用スイッチ42をONにし、かつ、系統間接続部41をOFFに維持する。第2検出装置32は、FOP本判定信号を自動運転制御装置100に出力する。これにより、自動運転制御装置100は、第2電源20の電力をもとに第2負荷103を制御してFOPを行う。
【0065】
なお、第1検出装置31によって地絡が検出された後に、第2系統120の電圧が第2閾値未満となる状態が、第2検出時間以上継続した場合、第2検出装置32は、第2系統120における地絡を検出する。すなわち、第2検出装置32は、第2系統120を異常系統として特定する。
【0066】
次に、第1実施形態に係る異常発生処理が、
図6~
図8を参照し説明される。
図6~
図8は、第1実施形態に係る異常発生処理を説明するフローチャートである。この異常発生処理は、第1検出装置31、および、第2検出装置32を単一のマイクロコンピュータで実現したものである。
【0067】
第1検出装置31は、電源制御装置1が起動された場合に、系統間接続部41をONにする(S100)。次いで、第1検出装置31は、電池用スイッチ42をOFFにする(S101)。これにより、第1負荷101、一般負荷102、および、第2負荷103には、第1電源10から電力が供給される。
【0068】
次いで、第1検出装置31は、自動運転中であるか否かを判定する(S102)。第1検出装置31は、自動運転制御装置100から、自動運転中であることを示す信号を取得しているか否かを判定する。第1検出装置31は、自動運転中であることを示す信号を取得している場合、自動運転中であると判定する。第1検出装置31は、自動運転中であることを示す信号を取得していない場合、自動運転中ではないと判定する。第1検出装置31は、自動運転中であることを示す信号を取得していない場合、手動運転中であると判定する。
【0069】
第1検出装置31は、自動運転中ではないと判定した場合(S102:No)、自動運転中であるか否かの判定を繰り返す(S102)。
【0070】
第1検出装置31は、自動運転中であると判定した場合(S102:Yes)、第2系統電圧V2が、第1閾値未満であるか否かを判定する(S103)。すなわち、第1検出装置31は、第1系統110、または、第2系統120において、電圧の低下が発生しているか否かを判定する。
【0071】
第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第1閾値未満であると判定した場合(S103:Yes)、仮異常タイマーをカウントアップする(S104)。第1検出装置31は、仮異常タイマーを有する。仮異常タイマーの値は、初期値として「0」に設定されている。仮異常タイマーの値は、第2系統電圧V2が、第1閾値未満となる継続時間を示す。すなわち、第1検出装置31は、第2系統電圧V2が連続して第1閾値未満となる時間を仮異常タイマーによって計測する。
【0072】
第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第1閾値以上であると判定した場合(S103:No)、仮異常タイマーをクリアする(S105)。すなわち、第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第1閾値以上であると判定した場合、仮異常タイマーの値を初期値にリセットする。第1検出装置31は、仮異常タイマーをクリアにした後、ステップS103に戻り、上記処理を繰り返す。
【0073】
次いで、第1検出装置31は、仮異常タイマーの値が第1検出時間以上であるか否かを判定する(S106)。すなわち、第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第1閾値未満となる時間が、第1検出時間以上継続するか否かを判定する。より詳細には、第1検出装置31は、第1系統110、または、第2系統120における電圧低下が第1検出時間以上継続するか否かを判定する。
【0074】
第1検出装置31は、仮異常タイマーの値が第1検出時間以上ではないと判定した場合(S106:No)、ステップS103に戻り、上記処理を繰り返す。
【0075】
第1検出装置31は、仮異常タイマーの値が第1検出時間以上であると判定した場合(S106;Yes)、仮異常判定を行う(S107)。仮異常判定は、第1系統110、または、第2系統120における地絡が検出されたことを示す判定である。すなわち、第1検出装置31は、第1系統110、または、第2系統120における地絡を検出する。
【0076】
次いで、第1検出装置31は、仮異常判定を行うと、系統間接続部41をOFFにする(S108)。また、第1検出装置31は、仮異常判定を行うと、電池用スイッチ42をONにする(S109)。すなわち、第1系統110、または、第2系統120における地絡が検出された場合、第1検出装置31は、系統間接続部41をOFFにし、かつ、電池用スイッチ42をONにする。
【0077】
なお、ステップS108、および、ステップS109の処理は、同時に行われてもよい。
【0078】
系統間接続部41がOFFになり、かつ、電池用スイッチ42がONになることで、第1負荷101、および、一般負荷102には、第1電源10から電力が供給される。また、系統間接続部41がOFFになり、かつ、電池用スイッチ42がONになることで、第2負荷103には、第2電源20から電力が供給される。
【0079】
系統間接続部41がOFFにされ(S108)、かつ、電池用スイッチ42がONにされた(S109)後に、第2検出装置32は、第1系統電圧V1が、第2閾値未満であるか否かを判定する(S110)。すなわち、第2検出装置32は、系統間接続部41がOFFにされた後に、第1系統110の電圧の低下が発生しているか否かを判定する。
【0080】
第2検出装置32は、第1系統電圧V1が、第2閾値未満であると判定した場合(S110:Yes)、第1異常タイマーをカウントアップする(S111)。第2検出装置32は、第1異常タイマーを有する。第1異常タイマーの値は、初期値として「0」に設定されている。第1異常タイマーの値は、第1系統電圧V1が、第2閾値未満となる継続時間を示す。すなわち、第2検出装置32は、第1系統電圧V1が連続して第2閾値未満となる時間を第1異常タイマーによって計測する。
【0081】
次いで、第2検出装置32は、第1正常タイマーをクリアする(S112)。第2検出装置32は、第1正常タイマーを有する。第1正常タイマーの値は、初期値として「0」に設定されている。第1正常タイマーの値は、第1系統電圧V1が、第2閾値以上となる継続時間を示す。第2検出装置32は、第1電圧センサ51によって検出した電圧が、第2閾値未満であると判定した場合、第1正常タイマーを初期値にリセットする。
【0082】
なお、ステップS111、および、ステップS112の処理の順番は、逆であってもよい。また、ステップS111、および、ステップS112の処理は、同時に行われてもよい。
【0083】
第2検出装置32は、第1異常タイマーの値が第2検出時間以上であるか否かを判定する(S113)。すなわち、第2検出装置32は、第1系統電圧V1が、第2閾値未満となる時間が、第2検出時間以上継続するか否かを判定する。より詳細には、第2検出装置32は、系統間接続部41がOFFにされた後に、第1系統110において、電圧が第2閾値未満となる状態が第2検出時間以上継続するか否かを判定する。
【0084】
第2検出装置32は、第1異常タイマーの値が第2検出時間未満であると判定した場合(S113:No)、後述するステップS120の処理を行う。
【0085】
第2検出装置32は、第1異常タイマーの値が第2検出時間以上であると判定した場合(S113:Yes)、第1異常判定フラグを「1」に設定する(S114)。第2検出装置32は、第1異常判定フラグを有する。第1異常判定フラグは、第1系統110における地絡の発生が検出されたか否かを示すフラグである。第1異常判定フラグが「1」である場合、第1異常判定フラグは、第1系統110において地絡の発生が検出されたことを示す。第1異常判定フラグは、初期値として「0」に設定されている。第2検出装置32は、第1異常タイマーの値が第2検出時間以上であると判定した場合、第1系統110における地絡の発生を検出する。すなわち、第2検出装置32は、第1異常タイマーの値が第2検出時間以上であると判定した場合、第1系統110を異常系統として特定する。
【0086】
次いで、第2検出装置32は、電池用スイッチ42をONにする(S115)。これにより、第2電源20から第2負荷103に電力を供給するフェイルセーフ制御が行われ、自動運転制御装置100によりFOPが行われる。なお、既に電池用スイッチ42がONとなっている場合には、ステップS115は、スキップされる。
【0087】
第2検出装置32は、第1系統電圧V1が、第2閾値以上であると判定した場合(S110:No)、第1正常タイマーをカウントアップする(S116)。すなわち、第2検出装置32は、第1系統電圧V1が連続して第2閾値以上となる時間を第1正常タイマーによって計測する。
【0088】
第2検出装置32は、第1異常タイマーをクリアする(S117)。すなわち、第2検出装置32は、第1系統電圧V1が、第2閾値以上であると判定した場合、第1異常タイマーを初期値にリセットする。より詳細には、第2検出装置32は、第1系統電圧V1が第2閾値未満になった後、第2検出時間内に、第1系統電圧V1が第2閾値以上になった場合、第1異常タイマーを初期値にリセットする。
【0089】
なお、ステップS116、および、ステップS117の処理の順番は、逆であってもよい。また、ステップS116、および、ステップS117の処理は、同時に行われてもよい。
【0090】
次いで、第2検出装置32は、第1正常タイマーの値が第3検出時間以上であるか否かを判定する(S118)。すなわち、第2検出装置32は、第1系統電圧V1が、第2閾値以上となる時間が、第3検出時間以上継続するか否かを判定する。第3検出時間は、予め設定された時間である。第3検出時間は、第1検出装置31における地絡の誤検出を確定させる時間である。たとえば、第3検出時間は、第2検出時間と同じである。
【0091】
第2検出装置32は、第1正常タイマーの値が第3検出時間未満であると判定した場合(S118:No)、後述するステップS120の処理を行う。
【0092】
第2検出装置32は、第1正常タイマーの値が第3検出時間以上であると判定した場合(S118:Yes)、第1正常判定フラグを「1」に設定する(S119)。第2検出装置32は、第1正常判定フラグを有する。第1正常判定フラグは、第1系統110に地絡が発生していないか否かを示すフラグである。第1正常判定フラグが「1」である場合、第1正常判定フラグは、第1系統110に地絡が発生していないことを示す。第1正常判定フラグは、初期値として「0」に設定されている。第2検出装置32は、第1正常タイマーの値が第3検出時間以上であると判定した場合、第1系統110において地絡が発生していないと判定する。すなわち、第2検出装置32は、第1系統110が正常であることを確定させる。
【0093】
第2検出装置32は、第2系統電圧V2が、第2閾値未満であるか否かを判定する(S120)。すなわち、第2検出装置32は、系統間接続部41がOFFにされた後、第2系統120の電圧の低下が発生しているか否かを判定する。
【0094】
第2検出装置32は、第2系統電圧V2が、第2閾値未満であると判定した場合(S120:Yes)、第2異常タイマーをカウントアップする(S121)。第2検出装置32は、第2異常タイマーを有する。第2異常タイマーの値は、初期値として「0」に設定されている。第2異常タイマーの値は、第2系統電圧V2が、第2閾値未満となる継続時間を示す。すなわち、第2検出装置32は、第2系統電圧V2が連続して第2閾値未満となる時間を第2異常タイマーによって計測する。
【0095】
次いで、第2検出装置32は、第2正常タイマーをクリアする(S122)。第2検出装置32は、第2正常タイマーを有する。第2正常タイマーの値は、初期値として「0」に設定されている。第2正常タイマーの値は、第2系統電圧V2が、第2閾値以上となる継続時間を示す。第2検出装置32は、第2電圧センサ52によって検出した電圧が、第2閾値未満であると判定した場合、第2正常タイマーを初期値にリセットする。
【0096】
なお、ステップS121、および、ステップS122の処理の順番は、逆であってもよい。また、ステップS121、および、ステップS122の処理は、同時に行われてもよい。
【0097】
次いで、第2検出装置32は、第2異常タイマーの値が第2検出時間以上であるか否かを判定する(S123)。すなわち、第2検出装置32は、第2系統電圧V2が、第2閾値未満となる時間が、第2検出時間以上継続するか否かを判定する。より詳細には、第2検出装置32は、系統間接続部41がOFFにされた後に、第2系統120において、電圧が第2閾値未満となる状態が第2検出時間以上継続するか否かを判定する。
【0098】
第2検出装置32は、第2異常タイマーの値が第2検出時間未満であると判定した場合(S123:No)、後述するステップS130の処理を行う。
【0099】
第2検出装置32は、第2異常タイマーの値が第2検出時間以上であると判定した場合(S123:Yes)、第2異常判定フラグを「1」に設定する(S124)。第2検出装置32は、第2異常判定フラグを有する。第2異常判定フラグは、第2系統120における地絡の発生が検出されたか否かを示すフラグである。第2異常判定フラグが「1」である場合、第2異常判定フラグは、第2系統120における地絡の発生が検出されたことを示す。第2異常判定フラグは、初期値として「0」に設定されている。第2検出装置32は、第2異常タイマーの値が第2検出時間以上であると判定した場合、第2系統120における地絡の発生を検出する。すなわち、第2検出装置32は、第2異常タイマーの値が第2検出時間以上であると判定した場合、第2系統120を異常系統として特定する。
【0100】
次いで、第2検出装置32は、電池用スイッチ42をOFFにする(S125)。これにより、第2電源20から第2負荷103に電力が供給されない。これにより、第1電源10から第1負荷101、一般負荷102に電力を供給するフェイルセーフ制御が行われ、自動運転制御装置100によりFOPが行われる。
【0101】
第2検出装置32は、第2系統電圧V2が、第2閾値以上であると判定した場合(S120:No)、第2正常タイマーをカウントアップする(S126)。すなわち、第2検出装置32は、第2系統電圧V2が連続して第2閾値以上となる時間を第2正常タイマーによって計測する。
【0102】
次いで、第2検出装置32は、第2異常タイマーをクリアする(S127)。すなわち、第2検出装置32は、第2系統電圧V2が、第2閾値以上であると判定した場合、第2異常タイマーを初期値にリセットする。より詳細には、第2検出装置32は、第2系統電圧V2が第2閾値未満になった後、第2検出時間内に、第2系統電圧V2が第2閾値以上になった場合、第2異常タイマーを初期値にリセットする。
【0103】
なお、ステップS126、および、ステップS127の処理の順番は、逆であってもよい。また、ステップS126、および、ステップS127の処理は、同時に行われてもよい。
【0104】
次いで、第2検出装置32は、第2正常タイマーの値が第3検出時間以上であるか否かを判定する(S128)。すなわち、第2検出装置32は、第2系統電圧V2が、第2閾値以上となる時間が、第3検出時間以上継続するか否かを判定する。
【0105】
第2検出装置32は、第2正常タイマーの値が第3検出時間未満であると判定した場合(S128:No)、後述するステップS130の処理を行う。
【0106】
第2検出装置32は、第2正常タイマーの値が第3検出時間以上であると判定した場合(S128:Yes)、第2正常判定フラグを「1」に設定する(S129)。第2検出装置32は、第2正常判定フラグを有する。第2正常判定フラグは、第2系統120に地絡が発生していないか否かを示すフラグである。第2正常判定フラグが「1」である場合、第2正常判定フラグは、第2系統120に地絡が発生していないことを示す。第2正常判定フラグは、初期値として「0」に設定されている。第2検出装置32は、第2正常タイマーの値が第3検出時間以上であると判定した場合、第2系統120において地絡が発生していないと判定する。すなわち、第2検出装置32は、第2系統120が正常であることを確定させる。
【0107】
なお、ステップS120~ステップS129までの処理、および、ステップS110~ステップS119までの処理の順番は逆であってもよい。
【0108】
第2検出装置32は、第1系統110の第1異常判定フラグ、または、第1正常判定フラグのどちらかが「1」に確定し、かつ、第2系統120の第2異常判定フラグ、または、第2正常判定フラグのどちらかが「1」に確定しているか否かを判定する(S130)。すなわち、第2検出装置32は、第1系統110が正常であるか異常であるか確定し、かつ、第2系統120が正常であるか異常であるか確定しているか否かを判定する。第2検出装置32は、両系統とも正常であるか異常であるかが確定していない場合(S130:No)、ステップS110に戻り、上記処理を繰り返す。換言すれば、第1系統110と第2系統120との正常または異常が確定するまで、ステップS110からステップS130までの処理が繰り返される。
【0109】
第2検出装置32は、第1系統110と第2系統120の正常または異常が確定した場合(S130:Yes)、すなわち、第1異常判定フラグ、および、第1正常判定フラグのどちらかが「1」であり、第2異常判定フラグ、および、第2正常判定フラグのどちらかが「1」である場合、両系統の正常判定フラグが「1」に設定されているか否かを判定する(S131)。より詳細には、第2検出装置32は、第1系統110、および、第2系統120において、正常判定フラグがともに「1」に設定されているか否かを判定する。換言すると、第2検出装置32は、各系統110、120において地絡が発生しておらず、正常であることが確定されているか否かを判定する。
【0110】
第2検出装置32は、各正常判定フラグが「1」に設定されている場合(S131:Yes)、すなわち、第1系統110、および、第2系統120において地絡が発生しておらず正常であることが確定されている場合、第1検出装置31で検出された電圧の低下は一時的な過負荷によるものであると判定し、系統間接続部41をONにする(S132)。また、第2検出装置32は、電池用スイッチ42をOFFにする(S133)。
【0111】
これにより、第1系統110と第2系統120とが電気的に接続され、通常状態に復帰し、第1負荷101、一般負荷102、および、第2負荷103には、第1電源10から電力が供給される。
【0112】
なお、ステップS132、および、ステップS133の処理の順番は、逆であってもよい。また、ステップS132、および、ステップS133の処理は、同時に行われてもよい。
【0113】
第2検出装置32は、各正常判定フラグの少なくとも1方のフラグが「1」に設定されていない場合(S131:No)、今回の処理を終了する。すなわち、ステップS131で「No」と判定される場合は、第1異常判定フラグ、または、第2異常判定フラグが「1」に設定されていることを示す。第2検出装置32は、現在の系統間接続部41の状態、および、現在の電池用スイッチ42の状態を維持する。これにより、スイッチ駆動装置3は、系統間接続部41を遮断したまま、正常な系統によりフェイルセーフ制御を行う。
【0114】
第1検出装置31によって第1系統110、または、第2系統120に地絡が発生していると判定された場合、系統間接続部41がOFFになり、第1系統110と第2系統120との電気的な接続が切断される。そして、第1電源10から第1負荷101、および、一般負荷102に電力が供給される。また、第2電源20から第2負荷103に電力が供給される。これにより、第2検出装置32がどちらの系統に地絡が発生しているかの本判定を行う。そのため、バックアップ用電源である第2電源20から本判定用に電力が消費され蓄電量が小さくなる。
【0115】
第2検出装置32によって、第1系統110、および、第2系統120に地絡が発生していないと判定された場合、すなわち、第1検出装置31によって検出された地絡が誤検出であった場合、系統間接続部41がONになり、自動運転が可能となる。
【0116】
しかしながら、第2電源20の蓄電量が、自動運転の許可閾値である第1所定蓄電量未満である場合には、自動運転が禁止される。たとえば、第1検出装置31によって地絡の誤検出が繰り返された場合、第2電源20の蓄電量が低下し、第2電源20の蓄電量が第1所定蓄電量未満となることがある。
【0117】
この場合、第2検出装置32によって、第1系統110、および、第2系統120に地絡が発生していないと判定されて、系統間接続部41がONになっても、自動運転が禁止される。このように、第1検出装置31における地絡の誤検出が生じると、負荷の機能が制限される。
【0118】
実施形態に係る電源制御装置1は、系統間接続部41と、第1検出装置31と、第2検出装置32とを備える。系統間接続部41は、第1電源10の電力を第1負荷101に供給する第1系統110と第2電源20の電力を第2負荷103に供給する第2系統120との電気的な接続を切断可能である。第1検出装置31は、第1系統110の状態、または、第2系統120の状態を示す電圧が異常判定用の第1閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間継続すると、第1系統110の異常、または、第2系統120の異常を検出し、系統間接続部41を遮断する。第2検出装置32は、第1検出装置31が異常を検出した後、第1系統110と第2系統120のうち、電圧が異常判定用の第2閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間よりも短い第2検出時間継続した系統を異常系統として特定する。
【0119】
これにより、電源制御装置1は、第1検出装置31における地絡の誤検出を抑制することができる。たとえば、電源制御装置1は、地絡ではなく電圧の変動によって、第2電圧センサ52によって検出される電圧が一時的に低下した場合、当該電圧は比較的長い第1検出時間内に元の状態に復帰する。それにより、第1検出装置31が地絡を検出することがなく、地絡の誤検出を抑制することができる。そのため、電源制御装置1は、第2電源20から第2負荷103へ電力が供給されることを抑制することができ、第2電源20の蓄電量の低下を抑制することができる。電源制御装置1は、第2電源20の蓄電量が低下した後に、第2電源20が充電されるまで、自動運転が禁止されることを抑制することができる。すなわち、電源制御装置1は、第1負荷101、および、第2負荷103の機能が制限されることを抑制することができる。電源制御装置1は、自動運転を実行可能な機会を多くすることができる。
【0120】
第1検出装置31、および、第2検出装置32は、マイクロコンピュータによって構成される。
【0121】
これにより、電源制御装置1は、各検出装置31、32における地絡の検出条件に対する設定の自由度を向上させることができる。
【0122】
なお、第1検出装置31、および、第2検出装置32は別々のマイクロコンピュータで構成されてもよい。具体的には、第1検出装置31を1つのマイクロコンピュータで構成し、第2検出装置32を別のマイクロコンピュータで構成する。その場合、第1検出装置31が地絡を検出すると、第2検出装置32に地絡の発生を通知する。第2検出装置32は、その通知を受けて本判定を行う。
【0123】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電源制御装置1が説明される。以下では、第1実施形態とは異なる箇所が説明される。第1実施形態と同じ構成、および、第1実施形態と同じ処理についての説明は省略される。
【0124】
第1実施形態では、第1検出装置31は、第2系統電圧V2が第1閾値以下に低下した状態が第1検出時間以上継続して初めて地絡を検出した。そのため、第1系統110または第2系統120に真の地絡が発生した場合に、地絡の検出が遅れてしまう恐れがある。第2実施形態は、一時的な電圧低下による誤検出を防止しつつ、真に地絡が発生した場合に素早く検出できるようにしたものである。
【0125】
第2実施形態に係る第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第3閾値未満である場合、第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡を検出する。第3閾値は、予め設定された値である。第3閾値は、第1閾値よりも小さい。すなわち、第3閾値と、電圧の正常値との差は、第1閾値と、電圧の正常値との差よりも大きい。
【0126】
第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第3閾値未満である場合、第1検出時間の経過を待つことなく、第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡を検出する。
【0127】
次に、第2実施形態に係る異常発生処理が、
図9、
図7、および、
図8を参照し説明される。
図9は、第2実施形態に係る異常発生処理を説明するフローチャートである。なお、第1実施形態に係る異常発生処理において、
図7、および、
図8に示される処理は、第2実施形態に係る異常発生処理と同じである。
【0128】
図9におけるステップS100~S105での処理は、
図6におけるステップS100~S105までの処理と同じである。
【0129】
第1検出装置31は、ステップS104の処理の後に、第2系統電圧V2が、第3閾値未満であるか否かを判定する(S200)。
【0130】
第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第3閾値未満であると判定した場合(S200:Yes)、第1検出時間の経過を待たずに仮異常判定を行う(S107)。
【0131】
第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第3閾値以上である場合(ステップS200:No)、仮異常タイマーの値が第1検出時間以上であるか否かを判定する(S106)。第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第1閾値未満であり、かつ、第3閾値以上である場合、仮異常タイマーの値が第1検出時間以上であるか否かを判定する。
【0132】
なお、ステップS104、および、ステップS200の処理の順番は、逆であってもよい。
【0133】
図9におけるステップS106~ステップS109までの処理は、
図6におけるステップS106~ステップS109までの処理と同じである。
【0134】
第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第1閾値未満となる状態が、第1検出時間以上継続する場合、第1系統110の地絡、または、第2系統120の地絡を検出する。一方で、第1検出装置31は、第2系統電圧V2が、第3閾値未満となった場合、第1検出時間の経過を待たずに第1系統110の地絡、または、第2系統120の地絡を検出する。第3閾値と、電圧の正常値との差は、第1閾値と、電圧の正常値との差よりも大きい。すなわち、第3閾値は、第1閾値よりも小さい。
【0135】
これにより、地絡が発生し、第2系統電圧V2の低下が大きい場合、すなわち、真に地絡が発生した可能性が高い場合、第1検出装置31は、素早く系統間接続部41をOFFにすることができ、第2検出装置32における地絡の特定を素早く終了させることができると共に、地絡による第1電源10または第2電源20の電力喪失を防止することができる。そのため、FOPが早期に実施され、車両は安全な場所まで早期かつ確実に退避走行できる。従って、電源制御装置1は、安全性を向上させることができる。
【0136】
なお、第2検出装置32は、ハードウェア回路によって構成されてもよい。たとえば、第2検出装置32は、
図10に示すように、第1コンパレータ32aと、第2コンパレータ32bと含む。第1コンパレータ32aは、第1系統電圧V1と、第2閾値とを比較するコンパレータである。第2コンパレータ32bは、第2系統電圧V2と、第2閾値とを比較するコンパレータである。
図10は、変形例に係る第2検出装置32を説明する図である。
【0137】
第2検出装置32がハードウェア回路によって構成されることで、第2検出装置32は、地絡の発生を素早く検出し、地絡の発生を特定することができる。そのため、地絡が発生した場合に、FOPが早期に実施される。FOPが早期に実施されるため、車両は安全な場所まで早期に退避走行できる。従って、電源制御装置1は、安全性を向上させることができる。なお、この場合の第2検出装置32が有する地絡検出用の第2検出時間は、電圧センサ51、52が第2閾値未満に低下したときに、コンパレータ32a、32bが正常側から異常側に反転するまでの時間であり、実質的に0である。
【0138】
上記実施形態では、第1閾値と第2閾値とが同じ値である一例について説明したが、これに限られることはない。第1閾値と第2閾値とは異なる値であってもよい。
【0139】
第1閾値、および、第2閾値は、第1閾値が、第2閾値よりも異常を検出する感度が高くなるように設定されてもよい。その場合、第1閾値と、物理量の正常値との差は、第2閾値と、物理量の正常値との差よりも小さい。物理量が電圧である場合、第1閾値は、第2閾値よりも大きい。
【0140】
これにより、第1検出装置31は、第1系統110における地絡、または、第2系統120における地絡の検出を早期に検出でき、第2検出装置32は地絡箇所の特定をより確実に行うことができる。そのため、FOPが早期に実施され、車両は安全な場所まで早期に退避走行できる。従って、電源制御装置1は、安全性を向上させることができる。
【0141】
また、第1閾値、および、第2閾値は、第1閾値が、第2閾値よりも異常を検出する感度が低くなるように設定されてもよい。その場合、第1閾値と、物理量の正常値との差は、第2閾値と、物理量の正常値との差よりも大きい。物理量が電圧である場合、第1閾値は、第2閾値よりも小さい。
【0142】
これにより、第1検出装置31は、実際には地絡が発生していない状態での電圧の変動などによって電圧が低下した場合に、地絡の誤検出を抑制することができる。そのため、電源制御装置1は、地絡の誤検出によって第2電源20から第2負荷103に電力が供給されることを抑制し、第2電源20の蓄電量が低下することを抑制することができる。従って、電源制御装置1は、第2電源20の蓄電量の低下に起因して自動運転が禁止されることを抑制することができる。すなわち、電源制御装置1は、自動運転を実行可能な機会を多くすることができる。
【0143】
また、上記実施形態では、物理量が電圧である一例について説明したが、これに限られることはない。物理量は、電流であってもよい。物理量が電流である場合、第1閾値、および、第2閾値は、正常値の電流よりも大きい。また、物理量が電流である場合、第3閾値は、第1閾値よりも大きい。
【0144】
付記として、本発明の特徴が以下の通り示される。
(1)
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統との電気的な接続を切断可能な系統間接続部と、
前記第1系統の状態、または、前記第2系統の状態を示す物理量が異常判定用の第1閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間継続すると、前記第1系統の異常、または、前記第2系統の異常を検出し、前記系統間接続部を遮断する第1検出装置と、
前記第1検出装置が異常を検出した後、前記第1系統と前記第2系統のうち、前記物理量が異常判定用の第2閾値を正常値側から超えた状態が前記第1検出時間よりも短い第2検出時間継続した系統を異常系統として特定する第2検出装置と
を備える電源制御装置。
(2)
前記第1検出装置は、マイクロコンピュータによって構成され、
前記第2検出装置は、ハードウェア回路によって構成される、前記(1)に記載の電源制御装置。
(3)
前記第1検出装置、および、前記第2検出装置は、マイクロコンピュータによって構成される、(1)に記載の電源制御装置。
(4)
前記第1閾値と、前記物理量の正常値との差は、前記第2閾値と、前記物理量の正常値との差よりも小さい、前記(1)~(3)のいずれか1つに記載の電源制御装置。
(5)
前記第1閾値と、前記物理量の正常値との差は、前記第2閾値と、前記物理量の正常値との差よりも大きい、前記(1)~(3)のいずれか1つに記載の電源制御装置。
(6)
前記第1検出装置は、
前記物理量が、正常値側から前記第1閾値を超えた状態が、前記第1検出時間以上継続する前に、前記物理量が、正常値側から第3閾値を超えた場合、前記第1検出時間の経過を待たずに前記第1系統の異常、または、前記第2系統の異常を検出し、
前記第3閾値と、前記物理量の正常値との差は、前記第1閾値と、前記物理量の正常値との差よりも大きい、前記(1)~(5)のいずれか1つに記載の電源制御装置。
(7)
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統の状態、または、第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統の状態を示す物理量が異常判定用の第1閾値を正常値側から超えた状態が第1検出時間継続すると、前記第1系統の異常、または、前記第2系統の異常を検出して、前記第1系統と、前記第2系統との電気的な接続を切断可能な系統間接続部を遮断し、
前記第1系統の異常、または、前記第2系統の異常が検出された後、前記第1系統と前記第2系統のうち、前記物理量が異常判定用の第2閾値を正常値側から超えた状態が前記第1検出時間よりも短い第2検出時間継続した系統を異常系統として特定する、電源制御装置の制御方法。
【0145】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0146】
1 電源制御装置
3 スイッチ駆動装置
10 第1電源
20 第2電源
31 第1検出装置
32 第2検出装置
32a 第1コンパレータ
32b 第2コンパレータ
41 系統間接続部
42 電池用スイッチ
51 第1電圧センサ
52 第2電圧センサ
100 自動運転制御装置
101 第1負荷
103 第2負荷
110 第1系統
120 第2系統
200 地絡