(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094127
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 49/00 20060101AFI20240702BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240702BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B62D49/00 N
B62D49/00 D
B60R11/02 W
B60R16/02 620Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210898
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】小栗 健史
(72)【発明者】
【氏名】萬▲徳▼ 直人
(72)【発明者】
【氏名】三ツ井 遥己
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA06
3D020BB06
3D020BC18
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】作業車において通信ユニットを通信状態の良い状態で簡素な構成で設置する。
【解決手段】走行装置1と、走行装置1に支持される機体2と、機体2の情報を外部へ送信する通信ユニット8と、を備え、通信ユニット8は、少なくとも一部が機体2から外部に露出する位置に設けられている作業車。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、
前記走行装置に支持される機体と、
前記機体の情報を外部へ送信する通信ユニットと、を備え、
前記通信ユニットは、少なくとも一部が前記機体から外部に露出する位置に設けられている作業車。
【請求項2】
前記通信ユニットは、前記機体が前記通信ユニットの上方から重複しない位置に設けられている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記機体に、運転座席を有する運転部が備えられ、
前記通信ユニットは、前記運転座席よりも後側に設けられている請求項1に記載の作業車。
【請求項4】
前記通信ユニットの外側端部は、機体左右方向において、前記運転座席の外側端部よりも外側に位置している請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記運転部に設けられた制御装置と、前記制御装置と前記通信ユニットとを繋ぐワイヤハーネスと、が備えられ、
前記制御装置は、前記通信ユニットよりも前側に設けられ、
前記ワイヤハーネスは、前記制御装置から、前記運転部の下方を通されて、前記運転座席よりも後側まで延ばされ、前記通信ユニットに接続され、
前記ワイヤハーネスのうち、前記運転部よりも後側に位置する部分に、コネクタが設けられ、前記ワイヤハーネスは、前記制御装置側の部分と、前記通信ユニット側の部分と、に分離可能である請求項3または4に記載の作業車。
【請求項6】
前記機体に、運転部と、前記運転部を囲うロプスと、が備えられ、
前記ロプスに、前記運転部の左右両端部に立設された左右の縦部材と、前記左右の縦部材の上端部を連結する横部材と、が備えられ、
前記通信ユニットは、前記左右の縦部材の間に設けられている請求項1から4の何れか一項に記載の作業車。
【請求項7】
前記機体に、前記走行装置を覆う左右のフェンダーと、左右の前記フェンダーを連結する連結部材と、が備えられ、
前記通信ユニットは、前記連結部材に設けられている請求項1から4の何れか一項に記載の作業車。
【請求項8】
前記通信ユニットに、前記機体の情報を外部へ送信するアンテナ部が備えられ、
前記アンテナ部は、前記連結部材と平面的に重複しない位置に設けられている請求項7に記載の作業車。
【請求項9】
前記機体に、運転部と、前記運転部を囲うロプスと、が備えられ、
前記ロプスに、前記運転部の左右両端部に立設された左右の縦部材と、前記左右の縦部材の上端部を連結する横部材と、が備えられ、
前記通信ユニットは、前記横部材に設けられている請求項1から4の何れか一項に記載の作業車。
【請求項10】
前記機体に、運転座席を有する運転部が備えられ、
前記通信ユニットは、前記運転座席に着座した運転者の手による作業の範囲と干渉しない位置に設けられている請求項1から4の何れか一項に記載の作業車。
【請求項11】
前記通信ユニットに、前記機体の情報を取得する情報取得装置と、前記機体の情報を外部へ送信する通信装置と、が備えられ、
前記通信装置は、前記情報取得装置よりも上側に位置する状態で、前記情報取得装置と上下に重ねられている請求項1から4の何れか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体の情報を外部へ送信する通信ユニットを備える作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗用作業車で収集された情報を遠隔地にある管理センタなどに送信する通信装置をボンネットの内部に設けた乗用作業車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものであると、通信装置がボンネットの内部にあるため、通信装置がボンネットによって保護される一方で、電磁波が減衰されて通信状態が落ちてしまう可能性があり、電磁波強度を上げるなどの対策が必要になる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、作業車において通信ユニットを通信状態の良い状態で簡素な構成で設置することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る作業車の特徴は、走行装置と、前記走行装置に支持される機体と、前記機体の情報を外部へ送信する通信ユニットと、を備え、前記通信ユニットは、少なくとも一部が前記機体から外部に露出する位置に設けられている点にある。
【0007】
本構成によると、通信ユニットは、少なくとも一部が機体から外部に露出する位置に設けられているため、通信ユニットの通信状態を良くすることができる。つまり、通信ユニットを通信状態の良い状態で作業車に設置することができる。
【0008】
本発明においては、前記通信ユニットは、前記機体が前記通信ユニットの上方から重複しない位置に設けられていると好適である。
【0009】
本構成によると、さらに通信ユニットの通信状態を良くすることができる。
【0010】
本発明においては、前記機体に、運転座席を有する運転部が備えられ、前記通信ユニットは、前記運転座席よりも後側に設けられていると好適である。
【0011】
通信ユニットの設置場所よっては運転者の運転時の視界を妨げることがある。本構成によると、通信ユニットは、運転座席よりも後側に位置しているので、運転者の運転時の視界を妨げない。
【0012】
本発明においては、前記通信ユニットの外側端部は、機体左右方向において、前記運転座席の外側端部よりも外側に位置していると好適である。
【0013】
本構成によると、運転座席が通信ユニットの通信の障害となりにくく、通信ユニットの通信状態を良くすることができる。
【0014】
本発明においては、前記運転部に設けられた制御装置と、前記制御装置と前記通信ユニットとを繋ぐワイヤハーネスと、が備えられ、前記制御装置は、前記通信ユニットよりも前側に設けられ、前記ワイヤハーネスは、前記制御装置から、前記運転部の下方を通されて、前記運転座席よりも後側まで延ばされ、前記通信ユニットに接続され、前記ワイヤハーネスのうち、前記運転部よりも後側に位置する部分に、コネクタが設けられ、前記ワイヤハーネスは、前記制御装置側の部分と、前記通信ユニット側の部分とに分離可能であると好適である。
【0015】
本構成によると、前後に離れた制御装置と通信ユニットとを繋ぐワイヤハーネスを運転部の下方の空間を利用して、外部に露出させることなく配策することができ、かつ、機体後方からのアクセスがしやすく、かつ、通信ユニットに近い位置(運転部の後部)にコネクタが設けられているため、通信ユニットの取外し時の作業性を向上させることができる。
【0016】
本発明においては、前記機体に、運転部と、前記運転部を囲うロプスと、が備えられ、前記ロプスに、前記運転部の左右両端部に立設された左右の縦部材と、前記左右の縦部材の上端部を連結する横部材と、が備えられ、前記通信ユニットは、前記左右の縦部材の間に設けられていると好適である。
【0017】
本構成であると、例えば、機体の側方側部分が障害物と接触したような場合でも、ロプスによって通信ユニットを保護することができる。
【0018】
本発明においては、前記機体に、前記走行装置を覆う左右のフェンダーと、左右の前記フェンダーを連結する連結部材と、が備えられ、前記通信ユニットは、前記連結部材に設けられていると好適である。
【0019】
本構成によると、通信ユニットは、左右のフェンダーを繋ぐ連結部材は安定した部材であるため、専用の支持部材を設けることなく、通信ユニットを安定した状態で支持することができる。
【0020】
本発明においては、前記通信ユニットに、前記機体の情報を外部へ送信するアンテナ部が備えられ、前記アンテナ部は、前記連結部材と平面的に重複しない位置に設けられていると好適である。
【0021】
本構成によると、連結部材がアンテナ部の通信状態に与える影響を低く抑えることができる。
【0022】
本発明においては、前記機体に、運転部と、前記運転部を囲うロプスと、が備えられ、前記ロプスに、前記運転部の左右両端部に立設された左右の縦部材と、前記左右の縦部材の上端部を連結する横部材と、が備えられ、前記通信ユニットは、前記横部材に設けられていると好適である。
【0023】
本構成によると、横部材は高い位置にあり、かつ、横部材の周囲には障害物がないため、通信ユニットの通信状態を良くすることができる。
【0024】
本発明においては、前記機体に、運転座席を有する運転部が備えられ、前記通信ユニットは、前記運転座席に着座した運転者の手による作業の範囲と干渉しない位置に設けられていると好適である。
【0025】
本構成によると、運転者の人体が通信ユニットの通信に影響を与えにくく、かつ、運転者に通信ユニットの通信電磁波の影響を与えにくい。
【0026】
本発明においては、前記通信ユニットに、前記機体の情報を取得する情報取得装置と、前記機体の情報を外部へ送信する通信装置と、が備えられ、前記通信装置は、前記情報取得装置よりも上側に位置する状態で、前記情報取得装置と上下に重ねられていると好適である。
【0027】
本構成によれば、通信装置と情報取得装置とを、平面的にコンパクトに配置できるともに、情報取得装置が通信装置の通信状態の障害になりにくく、通信ユニットの通信状態を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図4】運転者の腕の最大作業域を示す平面図である。
【
図5】機体情報の通信構成を示すブロック図である。
【
図6】通信ユニットの取付構造を示す背面図である。
【
図7】通信ユニットの取付構造を示す底面図である。
【
図9】別実施形態における作業車の別の一例を示す右側面図である。
【
図10】別実施形態における作業車の別の一例を示す正面図である。
【
図11】別実施形態における作業車の別の一例を示す右側面図である。
【
図12】別実施形態における作業車の別の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
【0030】
〔全体構成〕
図1、2に示すように、作業車は、電力で走行する電動トラクタであり、走行装置1と、走行装置1に支持される機体2と、が備えられている。
【0031】
機体2は、バッテリ4と、バッテリ4から供給された電力によって駆動され、走行装置1を駆動する電動モータ3と、電動モータ3から伝達される動力を変速して走行装置1に伝達するトランスミッション11と、機体2の前部に設けられ、バッテリ4を収容するボンネット5と、ボンネット5の後方に設けられ、運転者が搭乗する運転部9と、を備えている。電動モータ3はボンネット5の下方に設けられ、トランスミッション11は、運転部9の下方に設けられている。バッテリ4の近傍に、バッテリ4からの直流電流を交流電流に変換するインバータが備えられているが特に図示はしていない。
【0032】
走行装置1は、左右の前輪1Aと、前輪1Aを連結する前車軸1Bと、左右の後輪1Cと、後輪1Cを連結する後車軸1Dと、を備える。前輪1Aは、駆動可能かつ操向可能である。後輪1Cは、駆動可能である。運転部9の左右の横隣に、後輪1Cのための左右のフェンダー10が備えられている。運転座席91よりも後側において、左右のフェンダー10の後端部同士は、機体左右方向に沿って延びる連結部材10Aによって連結されている。連結部材10Aは金属製のフレームであって、樹脂材料などと比較して高い剛性を有している。
【0033】
機体2の後部に、ロータリ耕耘装置などの作業装置(図示なし)が連結される三点リンク式のリンク機構13が備えられている。作業装置は、トランスミッション11にて変速された動力を出力するPTO軸(図示なし)に連結されて駆動され、リンク機構13によって昇降可能である。
【0034】
図2、3に示すように、機体2に、制御装置18と、制御装置18にワイヤハーネス17を介して接続され、制御装置18のメモリ(図示なし)に蓄積された機体2の情報を外部へ送信する通信ユニット8と、が備えられている。制御装置18は、CPU及びEEPROMなどを有するマイクロプロセッサを備える。例えば、制御装置18はECU(Electric Control Unit)である。制御装置18は、走行装置1や機体2に設けられた各種センサから出力される信号を取得して、機体2の制御を行う。通信ユニット8は、上記メモリから、必要な情報を取得する。通信ユニット8が取得して外部へ送信する機体2の情報には、例えば、圃場毎の収穫量、土壌の状態、車速、道路走行距離、作業走行距離、作業装置駆動時間及び電動モータ3の駆動時間、などが含まれている。
【0035】
制御装置18に、車載式故障診断装置(以後、「OBD」と略称する。)が構築されており、制御装置18にワイヤハーネス17を介してOBDポート19が接続されており、OBDポート19に、外部の診断装置を接続して、DTC(Diagnostic Trouble Code:故障コード)を読み取ることが可能である。
【0036】
〔運転部〕
図1、2に示すように、運転部9に、走行装置1(前輪1A)を操向するステアリングハンドル6と、ステアリングハンドル6を支持するハンドルポスト7と、運転者が着座する運転座席91と、運転座席91の後部(シートバック91a)付近に立設されたロプス92と、運転座席91に着座した運転者の足が置かれるフロア部93と、が備えられている。ハンドルポスト7に、制御装置18が収容されている。運転部9には、運転部9を覆うキャビンが設けられていない。
【0037】
図1において、一点鎖線Aは、運転座席91におけるシートバック91aの後面に沿って延びる仮想線であり、ロプス92は、シートバック91aの後面よりも後側の位置から立ち上がっている。ロプス92は、フェンダー10に立設する左右の縦部材92aと、左右の縦部材92aの上端部を連結する横部材92bと、を有する。ロプス92の基端部は、トランスミッション11に連結されている。ロプス92は、使用位置D1と、収納位置D2と、に機体左右方向に延びる回動軸Dを中心に回動可能である。
図1及び
図2における二点鎖線D2は、収納位置にあるロプス92を表している。
【0038】
使用位置D1において、通信ユニット8は、機体左右方向においてロプス92と重複する位置に設けられている。これにより、例えば、機体2の側方側部分が障害物と接触した場合でも、ロプス92によって通信ユニット8が障害物と接触することを抑制することができる。
【0039】
収納位置D2において、ロプス92は、通信ユニット8の後方に位置している。これにより、例えば、機体2の後方側部分が障害物と接触した場合でも、ロプス92によって通信ユニット8が障害物と接触することを抑制することができる。
【0040】
運転部9の後部において、通信ユニット8と、工具等を収納するツールボックス14と、ナンバープレート等を掲示するライセンスプレート12とが、この順で、平面視で機体左右方向において横並びの状態で設けられている。
【0041】
〔通信ユニット〕
図2、3に示すように、通信ユニット8は、連結部材10Aに支持されている。通信ユニット8に、機体2の情報を機体外部に送信する通信装置81と、機体2の情報を取得する情報取得装置82と、支持部材84と、が備えられている。
【0042】
通信ユニット8は、少なくとも一部が機体2から外部に露出する位置に設けられている。また、通信ユニット8は、機体2の一部が通信ユニット8の上方から重複しない位置に設けられている。
【0043】
図2において、破線Bは、機体左右方向において通信ユニット8の外側端部に沿って延びる仮想線であり、かつ、破線Cは、機体左右方向において運転座席91の外側端部に沿って延びる仮想線である。機体左右方向において、仮想線Bは、仮想線Cよりも機体外側に位置する。つまり、通信ユニット8の機体左右方向における外側端部は、運転座席91の機体左右方向における外側端部よりも機体外側に位置している。さらに、通信ユニット8は、機体左右方向において、全体的に、運転座席91よりも機体外側に設けられている。
【0044】
通信ユニット8は、電磁波を発生させるものであるため、通信ユニット8の設置位置と運転者との距離を適切に設定する必要がある。
図4において、距離aは、通信ユニット8と運転者の頭部との距離を表す。距離aは、20cmよりも離れていると好ましい。
【0045】
また、
図4において、Eで示された領域は、水平面における運転者の左右の腕の最大作業域である。最大作業域Eは、運転座席91に着座した運転者の肩を固定したことを前提として、平面視で、運転者の手の届く範囲を示している。最大作業域Eは、運転者の左右の肩の機体前後方向における中心RO,LOを通って機体左右方向に延びる線L1と、運転者の右の肩関節(中心RO)を中心として右手の届く範囲を示す半円CRと、運転者の左の肩関節(中心LO)を中心として左手の届く範囲を示す半円CLと、で囲まれた領域である。通信ユニット8は、最大作業域Eの範囲外に設けられている。つまり、通信ユニット8は、運転座席91に着座した運転者の手による作業の範囲と干渉しない位置に設けられている。
【0046】
〔ワイヤハーネス〕
図3、5に示すように、通信ユニット8は、ワイヤハーネス17を介してバッテリ4及び制御装置18と接続されている。ワイヤハーネス17は、バッテリ4からの電源供給と、通信ユニット8と制御装置18との間の信号通信と、に用いられる。
【0047】
ワイヤハーネス17に、メインハーネス17Aと、通信ユニット8側に延びる分岐ハーネス17aと、OBDポート19側に延びる分岐ハーネス17bと、が備えられている。メインハーネス17Aは、制御装置18から運転部9の下方を通って、トランスミッション11と連結部材10Aとの間の空間まで延ばされている。メインハーネス17Aは、トランスミッション11と連結部材10Aとの間の空間において、通信ユニット8側の分岐ハーネス17aと、OBDポート19側の分岐ハーネス17bと、に分岐されている。通信ユニット8から延びるワイヤハーネス17とOBDポート19から延びるワイヤハーネス17は、通信ユニット8及びOBDポート19の下方において、コネクタcnを介して分岐ハーネス17a及び分岐ハーネス17bに着脱可能である。
【0048】
通信ユニット8は、外部装置15との間で機体2の情報を、インターネット網などを介して送受信する。外部装置15は、例えば、メーカ(製造会社)やディーラ(販売及び保守会社)に設置されるサーバ等であり、機体2から離れた遠隔地に設けられている。
【0049】
〔支持部材〕
図6、8に示すように、支持部材84は、中間部材84aと、取付プレート84bと、複数の支持脚84dと、を備える。通信ユニット8は、支持部材84によって連結部材10Aに支持されている。
【0050】
複数の支持脚84dは、連結部材10A及びフェンダー10にボルトなどで固定されている。右の支持脚84dは、金属製の板材を湾曲して形成されており、右のフェンダー10の上面及び連結部材10Aの側面にボルトなどで連結されている。左の支持脚84dは、金属製の板材を湾曲して形成されており、連結部材10Aの上面にボルトなどで連結されている。
【0051】
中間部材84aは、支持脚84dと取付プレート84bとの間に設けられている。中間部材84aは、U字状に形成された鋼板で形成されており、支持脚84dの上部に連結されている。中間部材84aの下面には、情報取得装置82がボルトなどで連結されている。
【0052】
取付プレート84bは、金属製の板材で形成されており、中間部材84aの上部に連結されている。取付プレート84bの上面には、通信装置81がボルトなどで連結されている。
【0053】
〔通信装置〕
図6、8に示すように、通信装置81に、筐体81aと、アンテナ部81bと、コネクタ部81cと、カバー部材81dと、が備えられている。通信装置81は、DCU(Direct Cоmmunicatiоn Unit)である。
【0054】
筐体81aは、取付プレート84bの上面にボルトなどで連結されている。筐体81aは上面、側面及び下面を有する箱状である。アンテナ部81bは、筐体81aに収容されている。
【0055】
コネクタ部81cは、ワイヤハーネス17が着脱可能である。コネクタ部81cは、筐体81aの側面に形成されている。コネクタ部81cは、機体2の左右中央に向いて形成されている。これにより、ワイヤハーネス17は、機体2の左右中央側から着脱される。したがって、ワイヤハーネス17の一部が、通信ユニット8よりも機体左右方向において外側に位置する後輪1Cなどに干渉することを抑制できる。
【0056】
カバー部材81dは、合成樹脂によって形成されており、筐体81aの上面及び側面を上方から覆っている。これにより、雨水等で筐体81aが濡れることを抑制できる。カバー部材81dは、金属製の取付プレート84bにボルトなどで連結されている。
【0057】
〔情報取得装置〕
図6、8に示すように、情報取得装置82は上面、側面、及び下面を有する箱状であり、ワイヤハーネス17を着脱可能なコネクタ部82Aが側面に形成されている。情報取得装置82は、機体2の情報を一時的に蓄積して通信装置81に送信する。情報取得装置82は、CAN(Controller Area Network)またはフレックスレイ(Flex Ray)等などの車内ネットワークとワイヤハーネス17を介して接続されている。
【0058】
情報取得装置82は、通信装置81に機体2の情報を送信する。
【0059】
〔測位アンテナ〕
図5に示すように、測位アンテナ83は、通信装置81の内部に配置されており、全地球航法衛星システムGNSS(Global Navigation Satellite System)の一例であるGPS(Global Positioning System)を利用して機体2の位置を測定する。測位アンテナ83は、衛星から位置情報を受信して、受信した位置情報に基づいて機体2の位置を測定する。測位アンテナ83で検出された位置情報は、機体2の情報として、その他の情報とともに、通信装置81によって外部装置15に送信される。
【0060】
測位アンテナ83が測定した位置情報には、測位アンテナ83の位置に起因した測位誤差が含まれる。通信ユニット8は、測位誤差を取り除く補正は行わない。
【0061】
図6に示すように、通信装置81は、情報取得装置82よりも上側に位置する状態で、情報取得装置82と上下に重ねられている。通信装置81は、支持部材84の中間部材84aの上部に固定され、情報取得装置82は、支持部材84の中間部材84aの下部に固定されている。つまり、情報取得装置82は、支持部材84を間に挟んで通信装置81と対向する位置に設けられている。支持部材84は、通信ユニット8と連結部材10Aとの間に間隔kを設ける。これにより、通信ユニット8と連結部材10Aとの間に空気が流れるように構成されており、通信ユニット8の温度上昇を抑制できる。
【0062】
図7は、通信ユニット8の取付構造を示す底面図である。
図7に示すように、アンテナ部81bは、連結部材10A及び支持部材84と平面的に重複しない位置に設けられている。詳しく説明すると、取付プレート84bには、凹部84cが形成されており、アンテナ部81bは凹部84cの上方に設けられ、アンテナ部81bの下方に取付プレート84bが位置しないように構成されている。したがって、連結部材10Aや取付プレート84bが金属製であっても、アンテナ部81bの通信状態が、連結部材10Aや取付プレート84bの影響を受けにくい。
【0063】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下の別実施形態のように構成しても良い。以下に説明する別実施形態では、実施形態と同じ構成には、実施形態と共通の番号、符号を付している。
【0064】
(1)
図9、10に示すように、通信ユニット8は、ロプス92の横部材92bに設けられていてもよい。具体的には、通信ユニット8は、取付ブラケット16によって横部材92bに取り付けられている。また、通信ユニット8は、横部材92bの左右中央の位置に設けられている。上記の実施形態と同様に通信ユニット8と取付ブラケット16との間には間隔kが設けられている。また、上記の実施形態と同様に運転者の頭部と通信ユニット8との距離bは、20cmよりも離れていると好ましい。
【0065】
図9における一点鎖線Fは、後車軸1Dの軸芯を通って機体2の上下方向に延びる仮想線である。通信ユニット8は、仮想線Fよりも機体前後方向における前側に設けられている。つまり、通信ユニット8は、後車軸1Dよりも機体2の前側に設けられている。
【0066】
図9における二点鎖線D2は、収納位置にあるロプス92を表す。
図9に示すように、収納位置D2において、横部材92bが、後輪1Cの上端部とほぼ同じ高さに設けられている。これにより、通信ユニット8を、メンテナンスしやすい高さまで移動させることができる。
【0067】
通信ユニット8に接続されるワイヤハーネス17は、ロプス92に設けられた開口(図示なし)などからロプス92の内部を通るように敷設されている。ワイヤハーネス17は、回動軸Dの上方に設けられた開口(図示なし)などからロプス92の外部に出される。これに限らず、ワイヤハーネス17は、ロプス92の内部を通らずに、ロプス92の外面に沿って敷設されてもよい。この場合、ロプス92の外面は、ロプス92における機体2の左右中央側の側面であるとよい。これにより、ワイヤハーネス17は、機体左右方向において、ロプス92の機体外側に位置する後輪1Cなどと干渉しない。通信ユニット8は、横部材92bではなく、縦部材92aに設けられていてもよい。ロプス92は、運転部9の後部(運転座席91)の近傍に立設されるものでなくても、運転部9の前部の近傍に立設されるもので合って良い。
【0068】
(2)
図11、12に示すように、通信ユニット8は、ボンネット5に設けられていてもよい。具体的には、通信ユニット8は、取付ブラケット16によってボンネット5の上面に取り付けられている。通信ユニット8は、ボンネット5の左右中央の位置に設けられている。上記の実施形態と同様に、通信ユニット8と取付ブラケット16との間には間隔kが設けられている。
図11における距離cは、ステアリングハンドル6の上端部と下端部との距離である。通信ユニット8は、距離cの範囲内に収まるように配置されている。つまり、通信ユニット8は、ステアリングハンドル6の上端部よりも下側に位置している。
図11における一点鎖線Gは、運転座席91に着座した運転者の視線を表す仮想線である。通信ユニット8は、仮想線Gよりも下側に位置している。これにより、通信ユニット8は、運転者の視界を遮らない。
【0069】
図11における一点鎖線Hは、前車軸1Bの軸芯を通って機体2の上下方向に延びる仮想線である。通信ユニット8は、仮想線Hよりも機体後側に設けられている。つまり、通信ユニット8は、前車軸1Bよりも機体2の後側に設けられている。ここで、通信ユニット8は、機体前後方向において、ボンネット5の前側に設けられるほど運転者の視界を妨げやすい。つまり、通信ユニット8を運転者の視界を妨げない位置に設けることができる。
【0070】
図12における距離dは、ステアリングハンドル6の左右端部間の距離を表す。通信ユニット8は、距離dの範囲内に収まるように配置されている。つまり、通信ユニット8は、ステアリングハンドル6の左右端部よりもボンネット5の左右中央の位置に設けられている。これより、通信ユニット8の左右幅が大きくなりすぎず、運転者の視界の妨げにならない。
【0071】
(3)特に図示はしないが、ロプス92に、横部材92bの下方において、左右の縦部材92aの上下中間部分を連結する連結フレームを備え、通信ユニット8を、その連結フレームに設けてもよい。
【0072】
(4)特に図示はしないが、通信ユニット8は、他の部材が上方に位置しない状態でフロア部93の上面に設けられていてもよい。
【0073】
(5)特に図示はしないが、通信ユニット8は、他の部材が上方に位置しない状態でハンドルポスト7に設けられていてもよい。
【0074】
(6)特に図示はしないが、通信ユニット8は、他の部材が上方に位置しない状態でフェンダー10の上面に設けられていてもよい。
【0075】
(7)特に図示はしないが、作業車は、運転部9を覆うキャビンが備えられたキャビン機であっても良い。この場合は、通信ユニット8は、キャビンのルーフ部に設けられていると好適である。
【0076】
(8)外部装置15は、上記実施形態に示すものに限られず、通信ユニット8と無線通信が可能であれば、運転部9に配置されたタブレットPC、スマートフォン及び携帯電話であってもよい。
【0077】
(9)上記実施形態においては、情報取得装置82の全体が、通信装置81と平面的に重複する例を示した。これに限らず、情報取得装置82の一部が、通信装置81と平面的に重複する構成や、情報取得装置82が、通信装置81と平面的に重複しない構成であっても良い。
【0078】
(10)上記実施形態においては、バッテリ4及び電動モータ3によって走行する電動トラクタが開示されていた。これに限らず、エンジン(図示なし)を備えているトラクタであってもよい。
【0079】
(11)上記実施形態においては、運転者による運転によって走行するトラクタが開示されていた。これに限らず、作業車は、無人走行可能なトラクタであってもよい。
【0080】
(12)上記実施形態においては、通信ユニット8が扱う機体2の情報として、圃場毎の収穫量、土壌の状態、車速、道路走行距離、作業走行距離、作業装置駆動時間及び電動モータ3の駆動時間、位置情報を例示した。しかし、この例に限られない。通信ユニット8が位置情報を機体2の情報として送信しない形態であっても良い。
【0081】
(13)上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、トラクタに限られず、機体の情報を外部へ送信する通信ユニットを備える作業車であれば、田植機、コンバイン、コンバイン以外の収穫機、草刈機、建設機械などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 :走行装置
2 :機体
4 :バッテリ
8 :通信ユニット
81 :通信装置
81b :アンテナ部
82 :情報取得装置
9 :運転部
91 :運転座席
10 :フェンダー
10A :連結部材
12 :制御装置
17 :ワイヤハーネス
17A :メインハーネス(ワイヤハーネス)
17b :分岐ハーネス(ワイヤハーネス)
17b :分岐ハーネス(ワイヤハーネス)
92 :ロプス
92a :縦部材
92b :横部材
cn :コネクタ