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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094131
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/08 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A01B33/08 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210902
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森脇 稔仁
【テーマコード(参考)】
2B033
【Fターム(参考)】
2B033AA06
2B033AB01
2B033AB11
2B033AC04
2B033AC08
2B033BD04
2B033BD05
2B033CA12
2B033CA14
2B033CA25
(57)【要約】
【課題】歩行型管理機において、耕耘装置の爪軸部が逆向き姿勢で正転方向に回転駆動される状態、並びに、耕耘装置の爪軸部が正向き姿勢で逆転方向に回転駆動される状態を回避することができるように構成する。
【解決手段】耕耘装置の爪軸部35,37が取り付けられる正転駆動軸11と逆転駆動軸12とが備えられる。正転駆動軸11は正転方向に回転駆動され、逆転駆動軸12は逆転方向に回転駆動される。正転駆動軸11及び逆転駆動軸12の一方が、筒状に形成されるとともに正転駆動軸11及び逆転駆動軸12の他方の外周部に支持され、正転駆動軸11及び逆転駆動軸12の他方と同軸芯周りに回転可能である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
爪軸部及び前記爪軸部に取り付けられた耕耘爪を有する耕耘装置の前記爪軸部が取り付けられ、前記機体に左右方向に沿って支持される正転駆動軸と、
前記爪軸部が取り付けられ、前記機体に左右方向に沿って支持される逆転駆動軸とが備えられ、
前記正転駆動軸は、前記耕耘爪が、前記爪軸部に対して上側から前側を通過して地面に突入し、地面の土を後方に向けて押し出す正転方向に回転駆動され、
前記逆転駆動軸は、前記耕耘爪が、前記爪軸部に対して上側から後側を通過して地面に突入し、地面の土を前方に向けて押し出す逆転方向に回転駆動され、
前記正転駆動軸及び前記逆転駆動軸の一方が、筒状に形成されるとともに前記正転駆動軸及び前記逆転駆動軸の他方の外周部に支持され、前記正転駆動軸及び前記逆転駆動軸の他方と同軸芯周りに回転可能である歩行型管理機。
【請求項2】
前記逆転駆動軸が、前記正転駆動軸の外周部に回転可能に支持され、
前記正転駆動軸が、前記逆転駆動軸の端部から外方に突出している請求項1に記載の歩行型管理機。
【請求項3】
前記機体に支持された原動部と、
前記原動部からの動力を前記正転駆動軸に伝達し、前記正転駆動軸を前記正転方向に回転駆動する伝動機構と、
前記伝動機構から分岐した動力を逆転させて前記逆転駆動軸に伝達し、前記逆転駆動軸を前記逆転方向に回転駆動する逆転機構とが備えられている請求項1又は2に記載の歩行型管理機。
【請求項4】
前記逆転機構は、前記伝動機構から分岐した動力が伝達されて前記正転方向に回転駆動される第1伝動ギヤと、前記逆転駆動軸に取り付けられ、前記第1伝動ギヤと咬合する第2伝動ギヤと有している請求項3に記載の歩行型管理機。
【請求項5】
前記正転駆動軸は、前記機体から右方及び左方に向けて突出して支持され、
右の前記逆転駆動軸及び左の前記逆転駆動軸が備えられ、前記右の逆転駆動軸が前記正転駆動軸の右部の外周部に回転可能に支持され、前記左の逆転駆動軸が前記正転駆動軸の左部の外周部に回転可能に支持され、
前記伝動機構は、前記機体の内部に設けられ、前記正転駆動軸に巻き掛けられた伝動チェーンであり、
前記第1伝動ギヤは、前記伝動チェーンの巻き掛け経路の内部に配置され、前記伝動チェーンと咬合し、前記伝動チェーンにより前記正転方向に回転駆動され、
前記右の逆転駆動軸に取り付けられ、前記第1伝動ギヤと咬合する右の前記第2伝動ギヤが備えられ、
前記左の逆転駆動軸に取り付けられ、前記第1伝動ギヤと咬合する左の前記第2伝動ギヤが備えられている請求項4に記載の歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘装置が機体に取り付けられる歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
歩行型管理機では、特許文献1に開示されているように、駆動軸が左右方向に沿って機体に支持されており、駆動軸は正転方向及び逆転方向に回転駆動される。
【0003】
耕耘装置は、駆動軸に取り付けられる爪軸部と、爪軸部に取り付けられた耕耘爪とを有している。駆動軸が正転方向に回転駆動されると、耕耘爪が爪軸部に対して上側から前側を通過して地面に突入し、地面の土を後方に向けて押し出す。駆動軸が逆転方向に回転駆動されると、耕耘爪が爪軸部に対して上側から後側を通過して地面に突入し、地面の土を前方に向けて押し出す。
【0004】
耕耘装置の爪軸部は、駆動軸に正向き姿勢及び逆向き姿勢で取り付けられる。
耕耘装置の爪軸部が駆動軸に正向き姿勢で取り付けられると、耕耘爪における爪軸部から半径方向外方の部分ほど、正転方向の上手側に位置する(特許文献1の図1の30(28)を参照)。耕耘装置の爪軸部が駆動軸に逆向き姿勢で取り付けられると、耕耘爪における爪軸部から半径方向外方の部分ほど、正転方向の下手側に位置する。
これにより、歩行型管理機において、耕耘装置の爪軸部が正向き姿勢で駆動軸に取り付けられ且つ駆動軸が正転方向に回転駆動される状態、並びに、耕耘装置の爪軸部が逆向き姿勢で駆動軸に取り付けられ且つ駆動軸が逆転方向に回転駆動される状態が、通常の作業状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-10384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、耕耘装置の爪軸部が逆向き姿勢で駆動軸に取り付けられて、駆動軸が正転方向に回転駆動されると、耕耘爪の中間部よりも先に耕耘爪の先端部が地面に突入することになるので、地面からの大きな反力により耕耘装置を前方に強く押し出す力が発生することがあり、歩行型管理機が前方に押し出される状態が発生することがある。
【0007】
これにより、耕耘装置の爪軸部が逆向き姿勢で駆動軸に取り付けられて、駆動軸が正転方向に回転駆動される状態を回避する要がある。
同様に通常の作業状態が適切に行われるようにするという観点から、耕耘装置の爪軸部が正向き姿勢で駆動軸に取り付けられて、駆動軸が逆転方向に回転駆動される状態を回避する必要がある。
【0008】
本発明は、歩行型管理機において、耕耘装置の爪軸部が逆向き姿勢で正転方向に回転駆動される状態、並びに、耕耘装置の爪軸部が正向き姿勢で逆転方向に回転駆動される状態を回避することができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の歩行型管理機は、機体と、爪軸部及び前記爪軸部に取り付けられた耕耘爪を有する耕耘装置の前記爪軸部が取り付けられ、前記機体に左右方向に沿って支持される正転駆動軸と、前記爪軸部が取り付けられ、前記機体に左右方向に沿って支持される逆転駆動軸とが備えられ、前記正転駆動軸は、前記耕耘爪が、前記爪軸部に対して上側から前側を通過して地面に突入し、地面の土を後方に向けて押し出す正転方向に回転駆動され、前記逆転駆動軸は、前記耕耘爪が、前記爪軸部に対して上側から後側を通過して地面に突入し、地面の土を前方に向けて押し出す逆転方向に回転駆動され、前記正転駆動軸及び前記逆転駆動軸の一方が、筒状に形成されるとともに前記正転駆動軸及び前記逆転駆動軸の他方の外周部に支持され、前記正転駆動軸及び前記逆転駆動軸の他方と同軸芯周りに回転可能である。
【0010】
本発明によると、正転方向に回転駆動される正転駆動軸、及び、逆転方向に回転駆動される逆転駆動軸が、機体に設けられているので、耕耘装置の爪軸部を正向き姿勢で正転駆動軸に取り付ければよく、耕耘装置の爪軸部を逆向き姿勢で逆転駆動軸に取り付ければよい。これにより、通常の作業状態が得られる。
【0011】
本発明によると、正転駆動軸及び逆転駆動軸の一方が、筒状に形成されて、正転駆動軸及び逆転駆動軸の他方の外周部に支持されており、正転駆動軸及び逆転駆動軸は同軸芯周りに回転可能である。これにより、正転駆動軸及び逆転駆動軸において、外径が互いに異なるものになっている。
【0012】
耕耘装置の爪軸部は正向き姿勢で正転駆動軸に無理なく取り付けられるのに対して、作業者が、耕耘装置の爪軸部を逆向き姿勢で正転駆動軸に取り付けようとしても、正転駆動軸及び逆転駆動軸の外径が異なることにより、耕耘装置の爪軸部を逆向き姿勢で正転駆動軸に取り付けることは困難である。
耕耘装置の爪軸部は逆向き姿勢で逆転駆動軸に無理なく取り付けられるのに対して、作業者が、耕耘装置の爪軸部を正向き姿勢で逆転駆動軸に取り付けようとしても、正転駆動軸及び逆転駆動軸の外径が異なることにより、耕耘装置の爪軸部を正向き姿勢で逆転駆動軸に取り付けることは困難である。
【0013】
前述の状態が生じると、作業者は、耕耘装置の爪軸部を逆向き姿勢で正転駆動軸に取り付けようとしたことを認識することができ、耕耘装置の爪軸部を正向き姿勢で逆転駆動軸に取り付けようとしたことを認識することができる。これにより、作業者は、耕耘装置の爪軸部を正向き姿勢で正転駆動軸に取り付ければよく、耕耘装置の爪軸部を逆向き姿勢で逆転駆動軸に取り付ければよい。
【0014】
以上のように、本発明によると、耕耘装置の爪軸部を逆向き姿勢で正転駆動軸に取り付けることが困難な状態を現出させ、耕耘装置の爪軸部を正向き姿勢で逆転駆動軸に取り付けることが困難な状態を現出させることにより、耕耘装置の爪軸部が逆向き姿勢で正転方向に回転駆動される状態、並びに、耕耘装置の爪軸部が正向き姿勢で逆転方向に回転駆動される状態を回避することができるようになって、歩行型管理機の作業性を向上させることができる。
【0015】
本発明において、前記逆転駆動軸が、前記正転駆動軸の外周部に回転可能に支持され、前記正転駆動軸が、前記逆転駆動軸の端部から外方に突出していると好適である。
【0016】
歩行型管理機では、耕耘装置の爪軸部が逆向き姿勢で逆転方向に回転駆動される作業状態に比べて、耕耘装置の爪軸部が正向き姿勢で正転方向に回転駆動される作業状態の頻度が高いので、正転駆動軸の使用頻度が逆転駆動軸の使用頻度に比べて高い。
【0017】
本発明によると、逆転駆動軸が正転駆動軸の外周部に回転可能に支持され、正転駆動軸が逆転駆動軸の端部から外方に突出している。これによって、耕耘装置の爪軸部を正向き姿勢で正転駆動軸に取り付け易くなるので、歩行型管理機の作業性の向上の面で有利である。
【0018】
本発明において、前記機体に支持された原動部と、前記原動部からの動力を前記正転駆動軸に伝達し、前記正転駆動軸を前記正転方向に回転駆動する伝動機構と、前記伝動機構から分岐した動力を逆転させて前記逆転駆動軸に伝達し、前記逆転駆動軸を前記逆転方向に回転駆動する逆転機構とが備えられていると好適である。
【0019】
本発明によると、原動部からの動力が伝動機構を介して正転駆動軸に伝達され、正転駆動軸が正転方向に回転駆動される。伝動機構から分岐した動力が、逆転機構により逆転されて逆転駆動軸に伝達され、逆転駆動軸が逆転方向に回転駆動される。
これにより、逆転機構が逆転駆動軸の近傍に配置されるので、逆転駆動軸の駆動構造をコンパクトに構成することができる。
【0020】
本発明において、前記逆転機構は、前記伝動機構から分岐した動力が伝達されて前記正転方向に回転駆動される第1伝動ギヤと、前記逆転駆動軸に取り付けられ、前記第1伝動ギヤと咬合する第2伝動ギヤと有していると好適である。
【0021】
本発明によると、逆転機構は第1伝動ギヤと第2伝動ギヤとを有している。伝動機構から分岐した動力が、第1伝動ギヤに伝達されて、第1伝動ギヤが正転方向に回転駆動される。逆転駆動軸に取り付けられた第2伝動ギヤが第1伝動ギヤと咬合しているので、第1伝動ギヤの動力が逆転されて第2伝動ギヤに伝達され、逆転駆動軸が逆転方向に回転駆動される。
これにより、逆転機構において第1伝動ギヤと第2伝動ギヤとを有することによって、逆転機構の構造の簡素化を図ることができる。
【0022】
本発明において、前記正転駆動軸は、前記機体から右方及び左方に向けて突出して支持され、右の前記逆転駆動軸及び左の前記逆転駆動軸が備えられ、前記右の逆転駆動軸が前記正転駆動軸の右部の外周部に回転可能に支持され、前記左の逆転駆動軸が前記正転駆動軸の左部の外周部に回転可能に支持され、前記伝動機構は、前記機体の内部に設けられ、前記正転駆動軸に巻き掛けられた伝動チェーンであり、前記第1伝動ギヤは、前記伝動チェーンの巻き掛け経路の内部に配置され、前記伝動チェーンと咬合し、前記伝動チェーンにより前記正転方向に回転駆動され、前記右の逆転駆動軸に取り付けられ、前記第1伝動ギヤと咬合する右の前記第2伝動ギヤが備えられ、前記左の逆転駆動軸に取り付けられ、前記第1伝動ギヤと咬合する左の前記第2伝動ギヤが備えられていると好適である。
【0023】
歩行型管理機では、駆動軸が機体から右方及び左方に向けて突出して支持され、耕耘装置の爪軸部が駆動軸の右部及び左部に取り付けられることが多い。
本発明によると、正転駆動軸が機体の後部から右方及び左方に向けて突出して支持されており、右の逆転駆動軸が正転駆動軸の右部の外周部に回転可能に支持され、左の逆転駆動軸が正転駆動軸の左部の外周部に回転可能に支持されている。
【0024】
本発明によると、伝動機構である伝動チェーンが、機体の内部に設けられて正転駆動軸に巻き掛けられており、伝動チェーンにより正転駆動軸が正転方向に回転駆動される。
逆転機構において、第1伝動ギヤが、伝動チェーンの巻き掛け経路の内部に配置されて伝動チェーンと咬合しており、伝動チェーンにより正転方向に回転駆動される。右及び左の第2伝動ギヤが第1伝動ギヤと咬合しており、第1伝動ギヤの動力が逆転されて右及び左の第2伝動ギヤに伝達され、右及び左の逆転駆動軸が逆転方向に回転駆動される。
【0025】
本発明によると、逆転機構において、伝動チェーンの巻き掛け経路の内部の空間を有効に利用して、第1伝動ギヤが配置される点、並びに、右及び左の第2伝動ギヤが伝動チェーンに対して左右対称に配置され易い点により、逆転機構の構造の簡素化の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】歩行型管理機の右側面図である。
図2】伝動ケースの内部の伝動系を示す概略図である。
図3】レバーガイドの平面図である。
図4】逆転機構の付近を示す右側面図である。
図5】正転駆動軸、右及び左の逆転駆動軸、逆転機構の付近を示す平面図である。
図6】正向き姿勢における耕耘装置の爪軸部及び耕耘爪、伝動ケースの後部の背面図である。
図7】逆向き姿勢における耕耘装置の爪軸部及び耕耘爪、伝動ケースの後部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図7に歩行型管理機が示されており、図1図7において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0028】
(歩行型管理機の全体構成)
図1に示すように、右及び左の走行用の車輪1が、伝動ケース2(機体に相当)の下部に設けられて、伝動ケース2が車輪1により支持されている。支持フレーム3が伝動ケース2の前部に連結されて、エンジン4(原動部に相当)が支持フレーム3に支持されている。
【0029】
操縦ハンドル5が、伝動ケース2の上部に連結されて、伝動ケース2から斜め後方上方に向けて延出されており、変速レバー6が、伝動ケース2から斜め後方上方に向けて延出されている。ロータリ型式の耕耘装置7が、伝動ケース2の後部に設けられている。
【0030】
図2に示すように、入力軸8が、伝動ケース2の上部に左右方向に沿って支持されており、エンジン4の動力が伝動ベルト9を介して入力軸8に伝達されている。走行用の変速装置10が伝動ケース2の内部に設けられており、入力軸8の動力が、後述するように変速装置10により変速されて車輪1に伝達される。
【0031】
正転駆動軸11及び逆転駆動軸12が、左右方向に沿って伝動ケース2の後部に支持されており、入力軸8の動力が、後述するように正転駆動軸11及び逆転駆動軸12に伝達されて、耕耘装置7が駆動される。
【0032】
(変速装置の構成)
図2に示すように、変速装置10は、前進2段及び後進1段に変速可能に、以下の説明のように構成されており、変速レバー6により操作される。
【0033】
伝動軸13,14,15が、入力軸8と平行に伝動ケース2の内部に支持されている。シフトギヤ16が、スプライン構造により入力軸8と一体回転及びスライド可能に支持されており、シフトギヤ17が、伝動軸13に対して回転可能及びスライド可能に支持されている。伝動ギヤ18,19が伝動軸14に連結され、伝動ギヤ20が伝動軸15に連結されており、伝動ギヤ19と伝動ギヤ20とが咬合している。
【0034】
デフ装置21が伝動ケース2の下部に設けられており、伝動チェーン22が伝動軸15とデフ装置21とに亘って巻き掛けられている。右及び左の車軸23が、デフ装置21から右方及び左方に延出されており、車輪1が車軸23に取り付けられている。
【0035】
シフトギヤ16をスライド操作するシフトフォーク24が設けられている。シフトフォーク24によりシフトギヤ16は、伝動ギヤ18と咬合する位置、シフトギヤ17と咬合する位置、伝動ギヤ18及びシフトギヤ17と咬合しない位置の3位置に操作される。
【0036】
シフトギヤ17をスライド操作するシフトフォーク25が設けられている。シフトフォーク25によりシフトギヤ17は、伝動ギヤ18と咬合する位置、伝動ギヤ20と咬合する位置、伝動ギヤ18,20と咬合しない位置の3位置に操作される。
【0037】
(変速装置の変速操作)
図2及び図3に示すように、レバーガイド26が伝動ケース2の上部に取り付けられ、変速レバー6がレバーガイド26を通って斜め後方上方に向けて延出されている。変速レバー6により、シフトフォーク24及びシフトギヤ16と、シフトフォーク25及びシフトギヤ17とが、以下の説明のように操作される。
【0038】
図2及び図3に示す状態は、変速レバー6が中立位置N1に操作された状態であり、シフトギヤ16が伝動ギヤ18及びシフトギヤ17と咬合しない位置に操作され、シフトギヤ17が伝動ギヤ18,20と咬合しない位置に操作された状態である。この状態において、入力軸8の動力は車輪1に伝達されず、車輪1は停止する。
【0039】
変速レバー6が中立位置N1から前進1速位置F1に操作されると、変速レバー6によりシフトフォーク24が操作され、シフトギヤ16は伝動ギヤ18と咬合する位置に操作される。この状態において、入力軸8の動力は、シフトギヤ16、伝動ギヤ18、伝動軸14、伝動ギヤ19,20、伝動軸15及び伝動チェーン22を介して、前進1速状態で車輪1に伝達される。
【0040】
変速レバー6が中立位置N1から中継位置N2に操作されると、変速レバー6によりシフトフォーク24が操作され、シフトギヤ16がシフトギヤ17と咬合する位置に操作される。変速レバー6が中継位置N2から中継位置N3に操作されると、シフトギヤ16がシフトギヤ17と咬合する位置に保持された状態で、変速レバー6によりシフトフォーク25が操作可能になる。
【0041】
変速レバー6が中継位置N3から前進2速位置F2に操作されると、変速レバー6によりシフトフォーク25が操作され、シフトギヤ17は、シフトギヤ16と咬合する状態を維持しながら、伝動ギヤ20と咬合する位置に操作される。この状態において、入力軸8の動力は、シフトギヤ16,17、伝動ギヤ20、伝動軸15及び伝動チェーン22を介して、前進2速状態で車輪1に伝達される。
【0042】
変速レバー6が中継位置N3から後進位置R1に操作されると、変速レバー6によりシフトフォーク25が操作され、シフトギヤ17は、シフトギヤ16と咬合する状態を維持しながら、伝動ギヤ18と咬合する位置に操作される。この状態において、入力軸8の動力は、シフトギヤ16,17、伝動ギヤ18、伝動軸14、伝動ギヤ19,20、伝動軸15及び伝動チェーン22を介して、後進状態で車輪1に伝達される。
【0043】
(正転駆動軸の構成)―1
図2に示すように、伝動ギヤ28が、伝動軸13に対して回転可能に支持されている。伝動ギヤ29と伝動ギヤ30とが一体で回転するように連結され、伝動ギヤ29,30が伝動軸14に対して回転可能に支持されており、伝動ギヤ28と伝動ギヤ30とが咬合している。作業クラッチ31が、伝動軸13と伝動ギヤ28との間に設けられている。
【0044】
図2,4,5に示すように、正転駆動軸11は、伝動ケース2の後部から右方及び左方に向けて突出して支持されており、伝動ケース2の内部において、正転駆動軸11にスプロケット41が連結されている。伝動軸13に連結されたスプロケット13aと、正転駆動軸11のスプロケット41とに亘って、伝動チェーン32(伝動機構に相当)が巻き掛けられている。
【0045】
シフトギヤ33が、スプライン構造により入力軸8と一体回転及びスライド可能に支持されており、シフトギヤ33をスライド操作するシフトフォーク34が設けられている。シフトフォーク34によりシフトギヤ33は、伝動ギヤ29と咬合する位置、伝動ギヤ29と咬合しない位置の2位置に操作される。
【0046】
図2及び図3に示すように、変速レバー6が、中立位置N1から前進1速位置F1に操作され、前進1速位置F1から停止位置N4に操作されると、シフトギヤ16が伝動ギヤ18と咬合する位置に保持された状態で、変速レバー6によりシフトフォーク34が操作可能になる。
【0047】
変速レバー6が前進1速位置F1及び停止位置N4に操作された状態において、シフトギヤ33は伝動ギヤ29と咬合しない位置(停止位置N4)に操作されており、入力軸8の動力は正転駆動軸11に伝達されず、正転駆動軸11は停止する。
【0048】
変速レバー6が停止位置N4から正転位置S11に操作されると、変速レバー6によりシフトフォーク34が操作され、シフトギヤ33は伝動ギヤ29と咬合する位置に操作される。
【0049】
前述の状態において、入力軸8の動力は、シフトギヤ33、伝動ギヤ29,30、伝動ギヤ28、作業クラッチ31、伝動軸13及び伝動チェーン32を介して、正転状態で正転駆動軸11に伝達される。正転状態において、正転駆動軸11は図1の時計方向の正転方向S12に回転駆動される。
【0050】
(正転駆動軸の構成)―2
以上の構成により、図1に示すように、機体(伝動ケース2)が備えられている。機体(伝動ケース2)に支持された原動部(エンジン4)が備えられている。
【0051】
後述する爪軸部35,37及び爪軸部35,37に取り付けられた耕耘爪36,38を有する耕耘装置7の爪軸部35,37が取り付けられ、機体(伝動ケース2)に左右方向に沿って支持される正転駆動軸11が備えられている。
【0052】
正転駆動軸11は、機体(伝動ケース2)から右方及び左方に向けて突出して支持されている。原動部(エンジン4)からの動力を正転駆動軸11に伝達し、正転駆動軸11を正転方向S12に回転駆動する伝動機構(伝動チェーン32)が備えられている。伝動機構は、機体(伝動ケース2)の内部に設けられ、正転駆動軸11に巻き掛けられた伝動チェーン32である。
【0053】
(逆転駆動軸の構成)―1
図2及び図5に示すように、右の逆転駆動軸12及び左の逆転駆動軸12が設けられている。
【0054】
右の逆転駆動軸12は、筒状に形成されて、正転駆動軸11の右部の外周部に回転可能に支持されている。左の逆転駆動軸12は、筒状に形成されて、正転駆動軸11の左部の外周部に回転可能に支持されている。これにより、右及び左の逆転駆動軸12は正転駆動軸11よりも大径であり、正転駆動軸11と右及び左の逆転駆動軸12とが同軸芯状に支持されている。
【0055】
右の逆転駆動軸12及び左の逆転駆動軸12は、伝動ケース2の後部から右方及び左方に向けて突出している。正転駆動軸11の右部が、右の逆転駆動軸12の右の端部から右の外方に突出しており、正転駆動軸11の左部が、左の逆転駆動軸12の左の端部から左の外方に突出している。
【0056】
(逆転駆動軸の構成)―2
以上の構成により、図2及び図5に示すように、後述する爪軸部35,37が取り付けられ、機体(伝動ケース2)に左右方向に沿って支持される逆転駆動軸12が備えられている。
【0057】
正転駆動軸11及び逆転駆動軸12の一方が、筒状に形成されるとともに正転駆動軸11及び逆転駆動軸12の他方の外周部に支持され、正転駆動軸11及び逆転駆動軸12の他方と同軸芯周りに回転可能である。
【0058】
逆転駆動軸12が正転駆動軸11の外周部に回転可能に支持され、正転駆動軸11が逆転駆動軸12の端部から外方に突出している。
右の逆転駆動軸12及び左の逆転駆動軸12が備えられ、右の逆転駆動軸12が正転駆動軸11の右部の外周部に回転可能に支持され、左の逆転駆動軸12が正転駆動軸11の左部の外周部に回転可能に支持されている。
【0059】
(逆転機構の構成)―1
図2,4,5に示すように、逆転機構43が伝動ケース2の後部の内部に設けられており、逆転機構43は、第1伝動ギヤ44と第2伝動ギヤ45とを有している。
【0060】
第1伝動ギヤ44は、右のギヤ部44aと、左のギヤ部44bと、スプロケット44cとを有している。右のギヤ部44aと左のギヤ部44bとの間にスプロケット44cが配置されて、右のギヤ部44aと左のギヤ部44bとスプロケット44cとが、互いに一体で回転可能に連結されている。
【0061】
伝動ケース2の内部において、第1伝動ギヤ44が、正転駆動軸11に対して前側に設けられ、伝動チェーン32の巻き掛け経路の内部に配置されており、左右方向に沿った軸芯P1周りに回転可能に支持されている。
【0062】
右の第2伝動ギヤ45が右の逆転駆動軸12に連結され、左の第2伝動ギヤ45が左の逆転駆動軸12に連結されている。第1伝動ギヤ44の右のギヤ部44aと右の第2伝動ギヤ45とが咬合し、第1伝動ギヤ44の左のギヤ部44bと左の第2伝動ギヤ45とが咬合している。
【0063】
伝動ケース2の内部において、案内輪46,47が回転可能に支持されており、伝動チェーン32が案内輪46の上部により案内され、伝動チェーン32が案内輪47の下部により案内されている。伝動チェーン32における正転駆動軸11のスプロケット41と案内輪46との間の部分が、第1伝動ギヤ44のスプロケット44cと咬合している。
【0064】
ガイド部材48が、伝動ケース2の内部に固定されている。ガイド部材48の後部により、第1伝動ギヤ44のスプロケット44cと伝動チェーン32との咬合が維持されている。伝動チェーン32における案内輪46,47の間の部分が、ガイド部材48の前部により下側から案内されている。
【0065】
変速レバー6が正転位置S11に操作されて、伝動チェーン32により正転駆動軸11が正転方向S12に回転駆動されると、伝動チェーン32と咬合する第1伝動ギヤ44が正転方向S12に回転駆動される。
【0066】
第1伝動ギヤ44に伝達された動力は、第1伝動ギヤ44の右及び左のギヤ部44a,44bと右及び左の第2伝動ギヤ45との咬合により、逆転されて第2伝動ギヤ45に伝達され、右の逆転駆動軸12が逆転方向G12に回転駆動され、左の逆転駆動軸12が逆転方向G12に回転駆動される。
変速レバー6が停止位置N4に操作されて(作業クラッチ31が遮断状態に操作されて)、正転駆動軸11が停止すると、逆転駆動軸12も停止する。
【0067】
(逆転機構の構成)―2
以上の構成により、図2,4,5に示すように、伝動機構(伝動チェーン32)から分岐した動力を逆転させて逆転駆動軸12に伝達し、逆転駆動軸12を逆転方向G12に回転駆動する逆転機構43が備えられている。
【0068】
逆転機構43は、伝動機構(伝動チェーン32)から分岐した動力が伝達されて正転方向S12に回転駆動される第1伝動ギヤ44と、逆転駆動軸12に取り付けられ、第1伝動ギヤ44と咬合する第2伝動ギヤ45と有している。
【0069】
第1伝動ギヤ44は、伝動チェーン32の巻き掛け経路の内部に配置され、伝動チェーン32と咬合し、伝動チェーン32により正転方向S12に回転駆動される。
右の逆転駆動軸12に取り付けられ、第1伝動ギヤ44と咬合する右の第2伝動ギヤ45が備えられている。左の逆転駆動軸12に取り付けられ、第1伝動ギヤ44と咬合する左の第2伝動ギヤ45が備えられている。
【0070】
(耕耘装置の構成)
図6及び図7に示すように、耕耘装置7は、爪軸部35及び耕耘爪36、爪軸部37及び耕耘爪38等を有している。
【0071】
爪軸部35,37は、丸パイプ状に構成されており、取付孔35aが爪軸部35に径方向に沿って開口され、取付孔37aが爪軸部37に径方向に沿って開口されている。2個の連結部39が、爪軸部35における取付孔35aの反対側の端部に連結され、2個の連結部40が、爪軸部37における取付孔37aの反対側の端部に連結されている。
【0072】
耕耘爪36が、爪軸部35の取付孔35a側の端部に向く姿勢で、爪軸部35に取り付けられている。耕耘爪38が、爪軸部37の取付孔37a側の端部に向く姿勢で、爪軸部37に取り付けられている。
【0073】
(耕耘装置の爪軸部における正転駆動軸への取付状態)―1
図5及び図6に示すように、右及び左の取付孔11a,11bが、正転駆動軸11の右部及び左部に径方向に沿って開口されている。右の逆転駆動軸12の端部から正転駆動軸11の右の取付孔11aまでの長さL11と、左の逆転駆動軸12の端部から正転駆動軸11の左の取付孔11bまでの長さL12とにおいて、長さL11が長さL12よりも少し長いものに設定されている。
【0074】
2個の連結部49が右の逆転駆動軸12に連結され、2個の連結部50が左の逆転駆動軸12に連結されている。連結部49,50は、後述するように、爪軸部35,37の連結部39,40が連結部49,50に連結されることにより、爪軸部35,37が逆転駆動軸12に連結される為のものでる。
【0075】
耕耘装置7において、爪軸部35の端部から取付孔35aまでの長さL21が、長さL11と同じ長さに設定されている。爪軸部37の端部から取付孔37aまでの長さL22が、長さL12と同じ長さに設定されている。
【0076】
図5に示すように、作業者が、爪軸部35の取付孔35a側から、爪軸部35を正転駆動軸11の右部に挿入すると、長さL11と長さL21とが同じ長さであることにより、正転駆動軸11の右の取付孔11aと爪軸部35の取付孔35aとが合致する。
これにより、作業者は、連結ピン42を爪軸部35の取付孔35aと、正転駆動軸11の右の取付孔11aとに亘って挿入することにより、爪軸部35を正転駆動軸11の右部に連結することができる。
【0077】
作業者が、爪軸部37の取付孔37a側から、爪軸部37を正転駆動軸11の左部に挿入すると、長さL12と長さL22とが同じ長さであることにより、正転駆動軸11の左の取付孔11bと爪軸部37の取付孔37aとが合致する。
これにより、作業者は、連結ピン42を爪軸部37の取付孔37aと、正転駆動軸11の左の取付孔11bとに亘って挿入することにより、爪軸部37を正転駆動軸11の左部に連結することができる。
【0078】
この場合、逆転駆動軸12が正転駆動軸11よりも大径である点、及び、爪軸部35,37の取付孔35a,37a側の端部に連結部39,40が存在しないことより、作業者は、爪軸部35を右の逆転駆動軸12に連結することができず、爪軸部37を左の逆転駆動軸12に連結することができない。
【0079】
(耕耘装置の爪軸部における正転駆動軸への取付状態)―2
以上の構成によって、図6に示す状態において、正転駆動軸11は、耕耘爪36,38が、爪軸部35,37に対して上側から前側を通過して地面に突入し、地面の土を後方に向けて押し出す正転方向S12に回転駆動される(図1参照)。
爪軸部35,37は、耕耘爪36,38における爪軸部35,37から半径方向外方の部分ほど、正転方向S12の上手側に位置する正向き姿勢となっている(図1参照)。
【0080】
作業者が、爪軸部35の取付孔35a側から、爪軸部35を正転駆動軸11の左部に挿入したとする。作業者が、爪軸部37の取付孔37a側から、爪軸部37を正転駆動軸11の右部に挿入したとする。
【0081】
この状態では、耕耘爪36,38の向きが前後逆転するので、爪軸部35,37は、耕耘爪36,38における爪軸部35,37から半径方向外方の部分ほど、正転方向S12の下手側に位置する逆向き姿勢となる(図1に示す耕耘爪36,38の姿勢とは前後逆の姿勢)。
【0082】
前述のような状態が生じた場合、長さL12と長さL21とが異なることにより(図5及び図6参照)、正転駆動軸11の左の取付孔11bと爪軸部35の取付孔35aとが合致しない。
これにより、作業者は、連結ピン42を爪軸部35の取付孔35aと正転駆動軸11の左の取付孔11bとに亘って挿入することができず、爪軸部35を正転駆動軸11の左部に連結することができない。
【0083】
長さL11と長さL22とが異なることにより(図5及び図6参照)、正転駆動軸11の右の取付孔11aと爪軸部37の取付孔37aとが合致しない。
これにより、作業者は、連結ピン42を爪軸部37の取付孔37aと正転駆動軸11の右の取付孔11aとに亘って挿入することができず、爪軸部37を正転駆動軸11の右部に連結することができない。
【0084】
(耕耘装置の爪軸部における逆転駆動軸への取付状態)―1
図5及び図7に示すように、右及び左の逆転駆動軸12において、連結部49,50に取付孔49a,50aが開口されている。右の逆転駆動軸12(正転駆動軸11)の中心から連結部49の取付孔49aまでの長さL13と、左の逆転駆動軸12(正転駆動軸11)の中心から連結部50の取付孔50aまでの長さL14とにおいて、長さL13が長さL14よりも少し長いものに設定されている。
【0085】
図5及び図6に示すように、耕耘装置7の爪軸部35,37において、連結部39,40に取付孔39a,40aが開口されている。爪軸部35の中心から連結部39の取付孔39aまでの長さL23が、長さL13と同じ長さに設定されている。爪軸部37の中心から連結部40の取付孔40aまでの長さL24が、長さL14と同じ長さに設定されている。
【0086】
図7に示すように、作業者が、爪軸部35の連結部39側から、爪軸部35を正転駆動軸11の右部に挿入すると、長さL13と長さL23とが同じ長さであることによって(図5及び図6参照)、右の逆転駆動軸12の連結部49の取付孔49aと爪軸部35の連結部39の取付孔39aとが合致する。
これにより、作業者は、ボルト51を爪軸部35の連結部39の取付孔39aと、右の逆転駆動軸12の連結部49の取付孔49aとに亘って連結することにより、爪軸部35を右の逆転駆動軸12に連結することができる。
【0087】
作業者が、爪軸部37の連結部40側から、爪軸部37を正転駆動軸11の左部に挿入すると、長さL14と長さL24とが同じ長さであることにより(図5及び図6参照)、左の逆転駆動軸12の連結部50の取付孔50aと爪軸部37の連結部40の取付孔40aとが合致する。
これにより、作業者は、ボルト51を爪軸部37の連結部40の取付孔40aと、左の逆転駆動軸12の連結部50の取付孔50aとに亘って連結することにより、爪軸部37を左の逆転駆動軸12に連結することができる。
【0088】
この場合、爪軸部35,37の取付孔35a,37aと正転駆動軸11の右及び左の取付孔11a,11bとが合致しないことにより、作業者は、爪軸部35を正転駆動軸11の右部に連結することができず、爪軸部37を正転駆動軸11の左部に連結することができない。
【0089】
(耕耘装置の爪軸部における逆転駆動軸への取付状態)―2
以上の構成により、図7に示す状態において、逆転駆動軸12は、耕耘爪36,38が、爪軸部35,37に対して上側から後側を通過して地面に突入し、地面の土を前方に向けて押し出す逆転方向G12に回転駆動される(図1参照)。
爪軸部35,37は、耕耘爪36,38における爪軸部35,37から半径方向外方の部分ほど、逆転方向G12の上手側に位置する逆向き姿勢となっている(図1に示す耕耘爪36,38の姿勢とは前後逆の姿勢)。
【0090】
作業者が、爪軸部35の連結部39側から、爪軸部35を正転駆動軸11の左部に挿入したとする。作業者が、爪軸部37の連結部40側から、爪軸部37を正転駆動軸11の右部に挿入したとする。
【0091】
この状態では、耕耘爪36,38の向きが前後逆転するので、爪軸部35,37は、耕耘爪36,38における爪軸部35,37から半径方向外方の部分ほど、逆転方向G12の下手側に位置する正向き姿勢となる(図1参照)。
【0092】
前述のような状態が生じた場合、長さL14と長さL23とが異なることにより(図5及び図6参照)、左の逆転駆動軸12の連結部50の取付孔50aと爪軸部35の連結部39の取付孔39aとが合致しない。
これにより、作業者は、ボルト51を爪軸部35の連結部39の取付孔39aと左の逆転駆動軸12の連結部50の取付孔50aとに亘って取り付けることができず、爪軸部35を左の逆転駆動軸12に連結することができない。
【0093】
長さL13と長さL24とが異なることにより(図5及び図6参照)、右の逆転駆動軸12の連結部49の取付孔49aと爪軸部37の連結部40の取付孔40aとが合致しない。
これにより、作業者は、ボルト51を爪軸部37の連結部40の取付孔40aと右の逆転駆動軸12の連結部49の取付孔49aとに亘って取り付けることができず、爪軸部37を右の逆転駆動軸12に連結することができない。
【0094】
(発明の実施の第1別形態)
右及び左の正転駆動軸11が、逆転駆動軸12の外周部に回転可能に支持されて、逆転駆動軸12が、右及び左の正転駆動軸11の端部から外方に突出するように構成してもよい。
【0095】
前述の構成によると、伝動チェーン32により逆転の動力が逆転駆動軸12に伝達されて、逆転駆動軸12が逆転方向G12に回転駆動されるように構成すればよい。伝動チェーン32から分岐した動力が、逆転機構43により逆転され、正転駆動軸11に伝達されて、正転駆動軸11が正転方向S12に回転駆動されるように構成すればよい。
【0096】
(発明の実施の第2別形態)
逆転機構43を廃止して、入力軸8の動力を、正転の動力及び逆転の動力として出力する正逆転装置(図示せず)を備えてもよい。
【0097】
前述の構成によると、正逆転装置の正転の動力を、第1伝動機構(図示せず)を介して正転駆動軸11に伝達して、正転駆動軸11が正転方向S12に回転駆動されるように構成する。正逆転装置の逆転の動力を、第2伝動機構(図示せず)を介して逆転駆動軸12に伝達して、逆転駆動軸12が逆転方向G12に回転駆動されるように構成する。
【0098】
(発明の実施の第3別形態)
図1図7に示す構成では、耕耘装置7において、2個の爪軸部35,37を備え、爪軸部35,37の姿勢を左右方向で入れ換えることにより、爪軸部35,37を正向き姿勢及び逆向き姿勢に設定している。
【0099】
前述の構成に対して、耕耘装置7において、正向き姿勢用の爪軸部35,37、及び、逆向き姿勢用の爪軸部35,37の4個の爪軸部35,37を用意してもよい。
これにより、正向き姿勢用の爪軸部35,37を正転駆動軸11の右部及び左部に取り付ければよく、逆向き姿勢用の爪軸部35,37を右及び左の逆転駆動軸12に取り付ければよい。
【0100】
(発明の実施の第4別形態)
8個の耕耘爪36,38が爪軸部35,37に取り付けられてもよく、4個の耕耘爪36,38が爪軸部35,37に取り付けられてもよい。
車輪1に代えて、クローラ走行装置(図示せず)を走行装置として備えてもよい。
エンジン4に代えて電動モータ(図示せず)を原動部として備えてもよい。この場合、車輪1を駆動する電動モータと、耕耘装置7を駆動する電動モータとを、別々に備えてもよい。
走行装置を廃止して、耕耘装置7により伝動ケース2が支持されながら、耕耘装置7による耕耘が行われるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、耕耘装置が機体に取り付けられる歩行型管理機に適用できる。
【符号の説明】
【0102】
2 伝動ケース(機体)
4 エンジン(原動部)
7 耕耘装置
11 正転駆動軸
12 逆転駆動軸
32 伝動チェーン(伝動機構)
35 爪軸部
36 耕耘爪
37 爪軸部
38 耕耘爪
43 逆転機構
44 第1伝動ギヤ
45 第2伝動ギヤ
S12 正転方向
G12 逆転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7