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  • 特開-センサ回路 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094140
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】センサ回路
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/04 20060101AFI20240702BHJP
   G01D 3/028 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01L19/04
G01D3/028 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210914
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】時岡 良宜
【テーマコード(参考)】
2F055
2F075
【Fターム(参考)】
2F055AA39
2F055EE11
2F055FF02
2F055GG32
2F075AA03
2F075EE01
2F075EE18
(57)【要約】
【課題】回路構成の複雑化を抑制しつつ、温度依存性の影響を軽減する。
【解決手段】センサ回路100は、圧力を電圧に変換して出力する圧力センサ1と、所定の基準電圧に基づいて、圧力センサ1の出力電圧をデジタル値に変換して出力するA/D変換器4と、両端に発生する端子電圧を基準電圧としてA/D変換器4に供給する抵抗器5と、圧力センサ1に定電流を供給して圧力センサ1を駆動する第1電流源2Aと、抵抗器5に定電流を供給して端子電圧を発生させる第2電流源2Bとを備える。第1電流源2Aの仕様と第2電流源2Bの仕様は、同一である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の物理量を電圧に変換して出力するセンサと、
所定の基準電圧に基づいて、前記センサの出力電圧をデジタル値に変換して出力するA/D変換器と、
両端に発生する端子電圧を前記基準電圧として前記A/D変換器に供給する抵抗器と、
前記センサに電力を供給して前記センサを駆動する第1電源と、
前記抵抗器に電力を供給して前記端子電圧を発生させる第2電源とを備え、
前記第1電源の仕様と前記第2電源の仕様は、同一である
ことを特徴とするセンサ回路。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ回路において、
前記第1電源および前記第2電源を供給可能な電源ユニットをさらに備えている
ことを特徴とするセンサ回路。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサ回路において、
前記第1電源の型番と前記第2電源の型番は、同一である
ことを特徴とするセンサ回路。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサ回路において、
前記第1電源から前記センサに電力が供給され、前記第2電源から前記抵抗器に電力が供給される第1状態と、前記第1電源から前記抵抗器に電力が供給され、前記第2電源から前記センサに電力が供給される第2状態とを切り替える切替動作を行う切替器と、
前記切替器に前記切替動作を少なくとも1回行わせ、前記切替動作ごとに前記A/D変換器から出力される前記デジタル値の平均値を算出する制御器とをさらに備えている
ことを特徴とするセンサ回路。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサ回路において、
前記センサは、圧力を電圧に変換する圧力センサである
ことを特徴とするセンサ回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、センサ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、温度変化に対してセンサ感度を一定に維持するための温度特性補償回路が知られている。この補償回路は、基準電圧に第1可変抵抗と第2可変抵抗の抵抗温度係数の差と電流源の温度特性を加算して温度特性を持つ電流を生成し、それを後段へと供給することで、温度に対して所望の次数を持った関数のセンサ駆動電流を生成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-170834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1の補償回路は、回路構成が複雑化するという問題がある。そのため、小型化および低コスト化が困難となる。
【0005】
本開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回路構成の複雑化を抑制しつつ、温度依存性の影響を軽減し得るセンサ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のセンサ回路は、センサと、A/D変換器と、抵抗器と、第1電源と、第2電源とを備えている。前記センサは、所定の物理量を電圧に変換して出力する。前記A/D変換器は、所定の基準電圧に基づいて、前記センサの出力電圧をデジタル値に変換して出力する。前記抵抗器は、両端に発生する端子電圧を前記基準電圧として前記A/D変換器に供給する。前記第1電源は、前記センサに電力を供給して前記センサを駆動する。前記第2電源は、前記抵抗器に電力を供給して前記端子電圧を発生させる。前記第1電源の仕様と前記第2電源の仕様は、同一である。
【発明の効果】
【0007】
前記のセンサ回路によれば、回路構成の複雑化を抑制しつつ、温度依存性の影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るセンサ回路の概略構成を示す回路図である。
図2図2は、実施形態2に係るセンサ回路の概略構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
《実施形態1》
実施形態1のセンサ回路100について図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態1に係るセンサ回路100の概略構成を示す回路図である。センサ回路100は、例えば、蒸気システムの配管等に設けられ、蒸気の圧力や温度を検出するセンサに係るものである。センサは、検出対象である圧力や温度等の物理量を電圧に変換する。
【0011】
具体的に、センサ回路100は、圧力センサ1と、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bを供給可能な電源ユニット2と、マルチプレクサ3と、A/D変換器4と、抵抗器5と、マイコン6とを備えている。
【0012】
圧力センサ1は、圧力、詳しくは蒸気の圧力を検出する。つまり、圧力センサ1は、物理量である圧力を電圧に変換して出力する。圧力センサ1は、センサの一例である。圧力センサ1は、ブリッジ結線された4つのひずみゲージ11,12,13,14を有している。圧力センサ1は、第1電源端子15、第2電源端子16、第1出力端子17および第2出力端子18を有している。以下、4つのひずみゲージ11,12,13,14を区別して説明する場合には、第1ひずみゲージ11、第2ひずみゲージ12、第3ひずみゲージ13および第4ひずみゲージ14と称する。この例では、圧力センサ1は電流駆動型のセンサである。
【0013】
第1電源端子15は、第1ひずみゲージ11と第3ひずみゲージ13との接点であり、マルチプレクサ3を介して第1電流源2Aおよび第2電流源2Bに接続されている。第2電源端子16は、第2ひずみゲージ12と第4ひずみゲージ14との接点であり、グランドに接続されている。第1出力端子17は、第1ひずみゲージ11と第2ひずみゲージ12との接点であり、A/D変換器4に接続されている。第2出力端子18は、第3ひずみゲージ13と第4ひずみゲージ14との接点であり、A/D変換器4に接続されている。第1出力端子17および第2出力端子18は、一方が正極側の出力端子であり、他方が負極側の出力端子である。
【0014】
電源ユニット2は、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bを供給可能に形成されている。例えば、電源ユニット2は、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bを供給可能な電源回路20を有している。なお、電源ユニット2は、1つの筐体に第1電流源2Aおよび第2電流源2Bの両者が収容された電源装置であってもよい。電源回路20または筐体には、第1出力端子21および第2出力端子22が設けられている。第1出力端子21は第1電流源2Aと電気的に接続され、第2出力端子22は第2電流源2Bと電気的に接続されている。つまり、第1出力端子21および第2出力端子22が、マルチプレクサ3を介して圧力センサ1の第1電源端子15に接続されている。
【0015】
第1電流源2Aは、圧力センサ1に電力を供給して圧力センサ1を駆動する。詳しくは、第1電流源2Aは、圧力センサ1に定電流を供給して圧力センサ1を駆動する。第1電流源2Aは、マルチプレクサ3を介して圧力センサ1の第1電源端子15に接続されている。第1電流源2Aは、第1電源の一例である。
【0016】
圧力センサ1は、第1電流源2Aの定電流が第1電源端子15に供給されることで駆動される。圧力センサ1は、駆動されることで、圧力を電圧に変換して出力する。つまり、圧力センサ1は、変換した電圧を第1出力端子17および第2出力端子18からA/D変換器4に出力する。圧力センサ1では、圧力に応じて出力電圧が変化する。
【0017】
第2電流源2Bは、抵抗器5に電力を供給して抵抗器5の両端に端子電圧を発生させる。詳しくは、第2電流源2Bは、抵抗器5に定電流を供給することで端子電圧を発生させる。第2電流源2Bは、マルチプレクサ3を介して抵抗器5に接続されている。第2電流源2Bは、第2電源の一例である。
【0018】
そして、第1電流源2Aの仕様と第2電流源2Bの仕様は、同一である。仕様は、製品を作る場合に、その製品に要求する特定の形状、構造、能力、成分、寸法、精度、性能等である。そのため、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bの両者の温度特性は、略同程度である。温度特性は、温度依存性とも称される。
【0019】
A/D変換器4は、所定の基準電圧に基づいて、圧力センサ1の出力電圧をデジタル値に変換して出力する。つまり、A/D変換器4は、圧力センサ1の第1出力端子17および第2出力端子18から出力された電圧であるアナログ電圧を基準電圧に基づいてデジタル信号に変換する。A/D変換器4は、変換したデジタル信号をマイコン6に出力する。
【0020】
抵抗器5は、両端に発生する端子電圧を基準電圧としてA/D変換器4に供給する。抵抗器5は、マルチプレクサ3を介して第2電流源2Bに接続されている。具体的に、抵抗器5は、両端である第1端子51および第2端子52を有している。抵抗器5の第1端子51は、マルチプレクサ3を介して第2電流源2Bに接続されている。抵抗器5の第2端子52は、グランドに接続されている。
【0021】
抵抗器5では、第2電流源2Bから電力(詳しくは、定電流)が供給されることで、両端に端子電圧が発生する。また、抵抗器5の第1端子51は、A/D変換器4に接続されている。そのため、抵抗器5に発生した端子電圧が、A/D変換器4の基準電圧としてA/D変換器4に供給される。なお、抵抗器5の温度依存性は、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bの温度依存性よりも十分小さい。
【0022】
マルチプレクサ3は、第1電流源2Aから圧力センサ1に定電流が供給され、第2電流源2Bから抵抗器5に定電流が供給される第1状態と、第1電流源2Aから抵抗器5に定電流が供給され、第2電流源2Bから圧力センサ1に定電流が供給される第2状態とを切り替える切替動作を行う。マルチプレクサ3は、切替器の一例である。
【0023】
具体的に、マルチプレクサ3は、第1入力端子31、第2入力端子32、第1出力端子33および第2出力端子34を有している。第1状態のマルチプレクサ3では、第1入力端子31と第1出力端子33とが電気的に繋がり、且つ、第2入力端子32と第2出力端子34とが電気的に繋がる。第2状態のマルチプレクサ3では、第1入力端子31と第2出力端子34とが電気的に繋がり、且つ、第2入力端子32と第1出力端子33とが電気的に繋がる。
【0024】
マイコン6には、前述したように、A/D変換器4からデジタル値が出力される。マイコン6は、A/D変換器4から出力されたデジタル値をアナログ値に変換して出力する。マイコン6は、制御器の一例である。この例のマイコン6は、マルチプレクサ3に切替動作を少なくとも1回行わせ、切替動作ごとにA/D変換器4から出力されるデジタル値の平均値を算出する。そして、マイコン6は、算出したデジタル値の平均値をアナログ値に変換して出力する。
【0025】
このように構成されたセンサ回路100の動作について説明する。この例では、マルチプレクサ3が第1状態に切り替わっている状態から説明する。
【0026】
第1電流源2Aから圧力センサ1の第1電源端子15に定電流が供給され、圧力センサ1が駆動される。圧力センサ1では、検出対象である圧力に応じた電圧が第1出力端子17および第2出力端子18からA/D変換器4に出力される。一方、第2電流源2Bから抵抗器5に定電流が供給され、抵抗器5の両端に端子電圧が発生する。端子電圧は、A/D変換器4の基準電圧としてA/D変換器4に供給される。A/D変換器4は、圧力センサ1からの出力電圧を基準電圧に基づいてデジタル値に変換する。
【0027】
ここで、第1電流源2Aと第2電流源2Bとは同一仕様であるため、温度特性が略同程度である。そのため、第1電流源2Aから圧力センサ1への供給電流と第2電流源2Bから抵抗器5への供給電流との相対精度により、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bの両者全体の温度依存性が決まる。一般的に、IC(即ち、電子部品)の温度特性は、絶対精度よりも相対精度の方が、例えば3~10倍程度高く、温度依存性の相性もよい。そのため、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bによる温度依存性の影響、即ち周囲温度による影響が抑制される。例えば、第2電流源2Bを省略し且つ抵抗器5を電圧源に代えて、電圧源からの供給電圧を基準電圧としてA/D変換器4に供給するような従来形態では、第1電流源および電圧源のそれぞれの温度依存性が絶対精度により決まる。つまり、A/D変換器4への入力電圧は第1電流源による温度依存性の影響を受け、A/D変換器4の基準電圧は電圧源による温度依存性の影響を受ける。その結果、第1電流源および電圧源が与える温度依存性の影響が大きくなる。この例によれば、そのような従来形態に比べ、温度依存性の影響が軽減される。
【0028】
こうして、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bによる温度依存性の影響が軽減されることにより、第1電流源2Aからの供給電流および第2電流源2Bからの供給電流の周囲温度による変動を小さくすることができる。そのため、圧力センサ1からA/D変換器4へ出力される電圧の変動と、抵抗器5からA/D変換器4へ供給される基準電圧としての端子電圧変動との差を抑制することができる。そのため、A/D変換器4によるデジタル値への変換精度が向上する。
【0029】
A/D変換器4で変換されたデジタル値は、1つ目のデジタル値としてマイコン6に出力される。マイコン6は、A/D変換器4からデジタル値が出力されると、マルチプレクサ3を第2状態に切り替える。マルチプレクサ3が第2状態に切り替わると、第1電流源2Aから抵抗器5に定電流が供給され、第2電流源2Bから圧力センサ1の第1電源端子15に定電流が供給される。そして、圧力センサ1の第1出力端子17および第2出力端子18からA/D変換器4に電圧が出力され、抵抗器5の端子電圧が基準電圧としてA/D変換器4に供給される。A/D変換器4では、圧力センサ1からの出力電圧が、基準電圧に基づいてデジタル値に変換される。このデジタル値は、2つ目のデジタル値としてマイコン6に出力される。
【0030】
このように、マイコン6がマルチプレクサ3に切換動作を1回行わせると、A/D変換器4からマイコン6に2つのデジタル値が出力される。この例では、マイコン6は、マルチプレクサ3に切替動作を例えば3回行わせるとする。その場合、A/D変換器4からマイコン6には計4つのデジタル値が出力される。
【0031】
マイコン6は、A/D変換器4から4つ目のデジタル値が出力されると、4つのデジタル値の平均値を算出する。マイコン6は、算出した平均値を圧力検出値として出力する。こうして、A/D変換器4から出力された複数(この例では、4つ)のデジタル値の平均値を圧力検出値とすることで、例えば1つのデジタル値を圧力検出値とする場合に比べて、温度依存性の影響がより軽減される。
【0032】
以上のように、センサ回路100では、圧力センサ1に電流を供給する第1電流源2Aの仕様と抵抗器5に電流を供給する第2電流源2Bの仕様とが同一である。そのため、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bの両者の温度特性は、略同程度である。これにより、回路構成の複雑化を抑制しつつ、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bによる温度依存性の影響を軽減することができる。つまり、第1電流源2Aからの供給電流および第2電流源2Bからの供給電流の周囲温度による変動を小さくすることができる。そのため、圧力センサ1からA/D変換器4へ出力される電圧の変動と、抵抗器5からA/D変換器4へ供給される端子電圧の変動との差を抑制することができる。そのため、A/D変換器4によるデジタル値への変換精度が向上する。その結果、圧力の検出精度が向上する。
【0033】
また、センサ回路100は、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bを供給可能な電源回路20を有する電源ユニット2をさらに備えている。そのため、コンパクトなセンサ回路100を構築することができる。
【0034】
また、センサ回路100では、第1状態と第2状態とを切り替える切替動作を行うマルチプレクサ3が設けられている。そして、マイコン6は、マルチプレクサ3に切替動作を少なくとも1回行わせ、切替動作ごとにA/D変換器4から出力されるデジタル値の平均値を算出する。そのため、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bによる温度依存性の影響をより軽減することができる。したがって、圧力の検出精度をより向上させることができる。
【0035】
《実施形態2》
実施形態2のセンサ回路100について図2を参照しながら説明する。図2は、実施形態2に係るセンサ回路100の概略構成を示す回路図である。ここでは、実施形態1のセンサ回路100と異なる点について説明する。
【0036】
本実施形態のセンサ回路100は、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bに代えて、第1電圧源2Cおよび第2電圧源2Dを備えている。つまり、この例の電源ユニット2は、第1電圧源2Cおよび第2電圧源2Dを供給可能な電源回路20を有している。電源回路20の第1出力端子21は第1電圧源2Cと電気的に接続され、電源回路20の第2出力端子22は第2電圧源2Dと電気的に接続されている。第1電圧源2Cは第1電源の一例であり、第2電圧源2Dは第2電源の一例である。また、センサ回路100は、抵抗器5に代えて、第1抵抗器7および第2抵抗器8を備えている。
【0037】
第1電圧源2Cは、圧力センサ1に定電圧を供給して圧力センサ1を駆動する。第1電圧源2Cは、実施形態1と同様、マルチプレクサ3を介して圧力センサ1の第1電源端子15に接続されている。圧力センサ1は、第1電圧源2Cの定電圧が第1電源端子15に供給されることで駆動される。つまり、この例の圧力センサ1は、電圧駆動型のセンサである。圧力センサ1は、駆動されることで、圧力を電圧に変換して、第1出力端子17および第2出力端子18からA/D変換器4に出力する。
【0038】
第2電圧源2Dは、第1抵抗器7および第2抵抗器8のそれぞれの両端に端子電圧を発生させる。第1抵抗器7および第2抵抗器8は、互いに直列接続されている。具体的に、第1抵抗器7の第1端子71は、マルチプレクサ3を介して第2電圧源2Dに接続されている。第2抵抗器8の第1端子81は、第1抵抗器7の第2端子72に接続されている。第2抵抗器8の第2端子82は、グランドに接続されている。第1抵抗器7および第2抵抗器8のそれぞれの両端には、第2電圧源2Dから定電圧が供給されることで、自身の抵抗値に応じた端子電圧が発生する。つまり、第2抵抗器8に発生する端子電圧は、第2電圧源2Dの定電圧よりも低い。また、第2抵抗器8の第1端子81は、A/D変換器4に接続されている。第2抵抗器8は、両端に発生する端子電圧を基準電圧としてA/D変換器4に供給する。つまり、この例においては、第2抵抗器8が抵抗器の一例である。なお、第2抵抗器8の温度依存性は、第1電圧源2Cおよび第2電圧源2Dの温度依存性よりも十分小さい。
【0039】
そして、第1電圧源2Cの仕様と第2電圧源2Dの仕様は、同一である。そのため、第1電圧源2Cから圧力センサ1への供給電圧と第2電圧源2Dから第2抵抗器8への供給電圧との相対精度により、第1電圧源2Cおよび第2電圧源2Dの両者全体の温度依存性が決まる。したがって、この例においても、回路構成の複雑化を抑制しつつ、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bによる温度依存性の影響、即ち周囲温度による影響を軽減することができる。
【0040】
こうして、第1電圧源2Cおよび第2電圧源2Dによる温度依存性の影響が軽減されることにより、第1電圧源2Cからの供給電圧および第2電圧源2Dからの供給電圧の周囲温度による変動を小さくすることができる。そのため、圧力センサ1からA/D変換器4へ出力される電圧の変動と、第2抵抗器8からA/D変換器4へ供給される基準電圧としての端子電圧の変動との差を抑制することができる。そのため、A/D変換器4によるデジタル値への変換精度が向上する。その他の構成、作用および効果は、実施形態1と同様である。
【0041】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0042】
センサは、圧力センサ1以外のものであってもよい。例えば、センサは、蒸気等の温度を検出する温度センサであってもよい。
【0043】
また、マイコン6は、マルチプレクサ3に、1回の切換動作を行わせてもよいし、3回以外の複数回の切換動作を行わせてもよい。
【0044】
また、マルチプレクサ3は、省略してもよい。
【0045】
また、圧力センサ1とA/D変換器4との間に増幅器を設けるようにしてもよい。その場合、圧力センサ1の出力電圧は、増幅器で増幅された後、A/D変換器4に送られる。
【0046】
また、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bは、互いに別個独立で設けられてもよい。その場合、第1電流源2Aの型番と第2電流源2Bの型番は同一であることが好ましい。つまり、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bは、互いに同じメーカによって製造された同じ型式の製品である。型番は、あるメーカにおいて製品の型式ごとに付された番号であり、型式番号とも称される。そのため、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bの両者の温度特性はより同程度となりやすい。この点は、第1電圧源2Cおよび第2電圧源2Dについても同様である。
【0047】
本開示の技術をまとめると、以下のようになる。
【0048】
[1] センサ回路100は、圧力(所定の物理量)を電圧に変換して出力する圧力センサ1(センサ)と、所定の基準電圧に基づいて、前記圧力センサ1の出力電圧をデジタル値に変換して出力するA/D変換器4と、両端に発生する端子電圧を前記基準電圧として前記A/D変換器4に供給する抵抗器5と、前記圧力センサ1に定電流(電力)を供給して前記圧力センサ1を駆動する第1電流源2A(第1電源)と、前記抵抗器5に定電流(電力)を供給して前記端子電圧を発生させる第2電流源2B(第2電源)とを備え、前記第1電流源2Aの仕様と前記第2電流源2Bの仕様は、同一である。
【0049】
この構成によれば、第1電流源2Aの仕様と第2電流源2Bの仕様が同一であるため、両者の温度特性が略同程度である。そのため、回路構成の複雑化を抑制しつつ、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bによる温度依存性の影響を軽減することができる。つまり、第1電流源2Aからの供給電流および第2電流源2Bからの供給電流の周囲温度による変動を小さくすることができる。そのため、圧力センサ1からA/D変換器4へ出力される電圧の変動と、抵抗器5からA/D変換器4へ供給される端子電圧の変動との差を抑制することができる。そのため、A/D変換器4によるデジタル値への変換精度が向上する。したがって、圧力の検出精度を向上させることができる。
【0050】
[2] [1]に記載のセンサ回路100は、前記第1電流源2Aおよび第2電流源2Bを供給可能な電源ユニット2をさらに備えている。
【0051】
この構成によれば、センサ回路100のコンパクト化を図ることができる。
【0052】
[3] [1]または[2]に記載のセンサ回路100において、前記第1電流源2Aの型番と前記第2電流源2Bの型番は、同一である。
【0053】
この構成によれば、第1電源第1電流源2Aの型番と第2電流源2Bの型番が同一であるため、両者の温度特性がより同程度に近づく。したがって、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bによる温度依存性の影響を一層軽減することができる。その結果、圧力の検出精度がより向上する。
【0054】
[4] [1]乃至[3]の何れか1つに記載のセンサ回路100において、前記第1電流源2Aから前記圧力センサ1に定電流が供給され、前記第2電流源2Bから前記抵抗器5に定電流が供給される第1状態と、前記第1電流源2Aから前記抵抗器5に定電流が供給され、前記第2電流源2Bから前記圧力センサ1に定電流が供給される第2状態とを切り替える切替動作を行うマルチプレクサ3(切替器)と、前記マルチプレクサ3に前記切替動作を少なくとも1回行わせ、前記切替動作ごとに前記A/D変換器4から出力される前記デジタル値の平均値を算出するマイコン6(制御器)とをさらに備えている。
【0055】
この構成によれば、切替動作ごとにA/D変換器4から出力されるデジタル値の平均値を算出するため、第1電流源2Aおよび第2電流源2Bによる温度依存性の影響をより軽減することができる。したがって、圧力の検出精度がより向上する。
【0056】
[5] [1]乃至[4]の何れか1つに記載のセンサ回路100において、前記センサは、圧力を電圧に変換する圧力センサ1である。
【0057】
この構成によれば、圧力の検出精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本開示の技術は、センサ回路について有用である。
【符号の説明】
【0059】
100 センサ回路
1 圧力センサ(センサ)
2 電源ユニット
2A 第1電流源(第1電源)
2B 第2電流源(第2電源)
2C 第1電圧源(第1電源)
2D 第2電圧源(第2電源)
3 マルチプレクサ(切替器)
4 A/D変換器
5 抵抗器
6 マイコン(制御器)
8 第2抵抗器(抵抗器)
図1
図2