(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094142
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】容器、中栓体、及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/12 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65D47/12 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210916
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内山 雄也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA03
3E084AA12
3E084AA23
3E084AA24
3E084AA34
3E084AA37
3E084AB06
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】容器において、キャップ開閉時の中栓の供回りを発生させず、内容物を最後まで使い切る。
【解決手段】キャップと係合可能な容器5であって、内容物を収容する収容部1及び収容部の上端に密着固定される口部2を備える容器本体3と、上方に突出し、嵌合部が設けられるノズル41と、該ノズル41の下側に位置して口部2と係合する取付部43とが形成され、口部2の上端及び外周側を覆う中栓体4を備え、中栓体4の取付部43では、ノズルの下端と接続する環状閉塞板44と、該環状閉塞板44の外縁から垂下する外筒45と、該外筒45の内側に位置する内筒46とが形成され、中栓体4の内筒46において外周面には螺合突起47が形成され、口部2において内周面には螺合突起23が形成され、キャップ6が中栓体4に対して下に押し込まれることで、キャップ6がノズル41に係合し、中栓体4の取付部43を、口部2に対して回転させることで、中栓体4を、容器本体3の口部2から取り外し可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップと係合可能な容器であって、
内容物を収容する収容部、及び該収容部の上端に密着固定される口部を備える容器本体と、
上方に突出し、嵌合部が設けられるノズルと、該ノズルの下側に位置して前記口部と係合する取付部とが形成され、前記口部の上端及び外周側を覆う中栓体、を備え、
前記中栓体の前記取付部では、前記ノズルの下端と接続する環状閉塞板と、該環状閉塞板の外縁から垂下する外筒と、該外筒の内側に位置する内筒とが形成され、
前記中栓体の前記内筒において、外周面には螺合突起が形成され、
前記口部において、内周面には螺合突起が形成され、
前記キャップが前記中栓体に対して下に押し込まれることで、前記キャップが前記ノズルに係合し、
前記中栓体の前記取付部を、前記口部に対して回転させることで、前記中栓体を、前記容器本体の前記口部から取り外し可能である
容器。
【請求項2】
容器の口部に装着される中栓体であって、
前記容器の口部の内周面には、螺合突起が形成され、
中栓体は、
上方に突出し、嵌合部が設けられるノズルと、
該ノズルの下側に位置し、前記口部と係合する取付部と、を備え、
前記取付部は、
前記ノズルの下端と接続する環状閉塞板、
該環状閉塞板の外縁から垂下する外筒、及び
該外筒の内側に位置し、外周面に螺合突起が設けられた内筒、を有し、
前記取付部を、前記口部に対して回転させることで、当該中栓体を前記口部から取り外し可能である
中栓体。
【請求項3】
キャップ付き容器であって、
容器は、
内容物を収容する収容部、及び該収容部の上端に密着固定される口部を備える容器本体と、
上方に突出し、嵌合部が設けられるノズルと、該ノズルの下側に位置して前記口部と係合する取付部と、が形成され、前記口部の上端及び外周側を覆う中栓体と、を備え、
キャップは、前記ノズルと嵌合する嵌合部を有し、
前記中栓体の前記取付部を、前記口部に対して回転させることで、前記中栓体を、前記容器本体の前記口部から取り外し可能であり、
前記キャップが前記中栓体に対して下に押し込まれることで、前記キャップの前記嵌合部が前記ノズルの前記嵌合部を乗り超えて、乗り上げ嵌合する
キャップ付き容器。
【請求項4】
前記中栓体の前記ノズルの外周面に、前記嵌合部として外周嵌合突起が設けられ、
前記キャップは、天面、該天面の外縁から垂下する外周壁、及び該外周壁よりも内周側で前記天面から垂下する係合筒が形成され、
前記キャップの前記係合筒の内周側に、前記嵌合部として内周嵌合突起が設けられ、
前記キャップは、前記ノズルを覆って、内周嵌合突起が、前記ノズルの前記外周嵌合突起を乗り超えて乗り上げ嵌合する
請求項3に記載のキャップ付き容器。
【請求項5】
前記中栓体の前記ノズルは、先端に内容物を排出する小孔が形成された径が小さい細ノズル、及び該細ノズルよりも後端側で径が大きい太ノズルを有し、
前記ノズルの前記外周嵌合突起は、前記細ノズルの外周面に形成されている
請求項4に記載のキャップ付き容器。
【請求項6】
前記中栓体の前記ノズルは、先端に内容物を排出する小孔が形成された径が小さい細ノズル、及び該細ノズルよりも後端側で径が大きい太ノズルを有し、
前記ノズルの前記外周嵌合突起は、前記太ノズルの外周面に形成されている
請求項4に記載のキャップ付き容器。
【請求項7】
前記中栓体の前記ノズルは、ノズル側面、及び該ノズル側面から屈曲して、内容物を排出する小孔が形成された環状天面を有し、前記環状天面において前記小孔を規定する内周縁が前記嵌合部となり、
前記キャップは、天面の下面から垂下するボス突起を有し、前記ボス突起には、前記嵌合として、垂下端に他の部分より径が大きい膨径部が形成されており、
前記キャップは、前記ノズルを覆って、前記ボス突起の前記膨径部が、前記ノズルの前記環状天面の前記小孔の内周縁を押し分けてボス嵌合する
請求項3に記載のキャップ付き容器。
【請求項8】
前記中栓体の前記取付部では、前記ノズルの下端と接続する環状閉塞板と、該環状閉塞板の外縁から垂下する外筒と、該外筒の内側に位置する内筒とが形成され、
前記中栓体の前記内筒において、外周面には螺合突起が形成され、
前記口部において、内周面には螺合突起が形成され、
前記口部の前記螺合突起と、前記中栓体の前記螺合突起とが係合することで、前記中栓体は前記容器本体と係合する
請求項3に記載のキャップ付き容器。
【請求項9】
前記キャップの天面の上側は、平坦である、
請求項3に記載のキャップ付き容器。
【請求項10】
前記中栓体及び前記キャップに対して、前記容器本体はレフィルとして交換可能である
請求項3乃至9のいずれか一項に記載のキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を最後まで使い切ることができる容器、該容器の容器本体と係合可能な中栓体、及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な社会をつくるための「SDGs(Sustainable Development Goals)」の認知度が急激に上がっており、化粧品の分野においても、内容物を最後まで使い切れる容器が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、チューブ容器の広口の口部に対して栓体を着脱自在に嵌合することによって、チューブに残留した化粧料を、栓体を外して無駄なく最後まで使い切る構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構成では、キャップと容器口部との係合も、容器口部と栓体との係合もいずれも螺合係合であって、口部におけるキャップとの係合部は栓体との係合部よりも下側に位置している。そのため、キャップをきつく締めたり、キャップの内側に内容物が付着したりすると、キャップを外す際に、意図せずに、キャップと一緒に栓体が外れてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、キャップ開閉時に中栓体を供回りさせず、かつ内容物を最後まで使い切ることができる、容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、
キャップと係合可能な容器であって、
内容物を収容する収容部、及び該収容部の上端に密着固定される口部を備える容器本体と、
上方に突出し、嵌合部が設けられるノズルと、該ノズルの下側に位置して前記口部と係合する取付部とが形成され、前記口部の上端及び外周側を覆う中栓体、を備え、
前記中栓体の前記取付部では、前記ノズルの下端と接続する環状閉塞板と、該環状閉塞板の外縁から垂下する外筒と、該外筒の内側に位置する内筒とが形成され、
前記中栓体の前記内筒において、外周面には螺合突起が形成され、
前記口部において、内周面には螺合突起が形成され、
前記キャップが前記中栓体に対して下に押し込まれることで、前記キャップが前記ノズルに係合し、
前記中栓体の前記取付部を、前記口部に対して回転させることで、前記中栓体を、前記容器本体の前記口部から取り外し可能である
容器、を提供する。
【発明の効果】
【0008】
一態様の容器は、キャップ開閉時に中栓体を供回りさせず、かつ内容物を最後まで使い切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態のキャップ付き容器の分解図。
【
図2】第1実施形態のキャップ付き容器の口部近傍の拡大断面図。
【
図4】第1実施形態の容器からキャップを外した状態を示す説明図。
【
図5】第1実施形態のキャップ付き容器から、中栓体及びキャップを外した使用状態を示す説明図。
【
図6】第2実施形態のキャップ付き容器の口部近傍の拡大断面図。
【
図7】第3実施形態のキャップ付き容器の口部近傍の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
本発明は、容器、中栓体、及びキャップ付き容器に関する。容器は、例えば、樹脂製、金属膜製、紙製などの可撓性のあるチューブ容器である。あるいは容器は、自立可能な容器であってもよい。
【0012】
本発明の容器に納められる内容物は、化粧料、歯磨きペースト、調味料等の1回使い切りではなく、何回かに分けて使用される粘性物質であると好ましい。本明細書において、粘性物質とは、粘性を有する、美容液、クリーム、ヘアワックス、軟膏、歯磨きペースト等の、粘性化粧料、粘性薬品、粘性石鹸等である。
【0013】
<第1実施形態>
まず、
図1~
図3を用いて、本開示の第1実施形態の容器の構成について説明する。
図1は、第1実施形態のキャップ付き容器の分解図である。
図2は、第1実施形態のキャップ付き容器の口部近傍の拡大断面図である。
図3は、第1実施形態の中栓体と口部の分解説明図である。
【0014】
図1を参照して、キャップ付き容器7は、容器5とキャップ6とを有する。
図2を参照して、容器(チューブ容器)5は、収容部1と、口部2と、中栓体4とを備える。
【0015】
収容部1は、内容物を収容する。収容部1は、例えば、チューブ等の可撓性のある収容体である。口部2は、該収容部の上端に密着固定される広口の筒状リングである。製造後の流通過程では、収容部1と口部(口部部材)2は密着しており、中栓体4を取り外しても分離しない。収容部1と口部2は、容器本体(チューブ容器本体)3となる。
【0016】
本例では、収容部1は、チューブであって、
図1の状態で上から、チューブ肩部11、胴部12、及び尾部13を有している。
【0017】
収容部1がチューブである場合、収容部1は、例えば、柔軟な可撓性を有する薄肉の樹脂膜、金属膜(例えばアルミ)、樹脂膜と金属膜との積層膜、樹脂膜に無機物質を蒸着させた膜、合成ゴム、紙等、柔軟な可撓性を有する素材によって形成されている。
【0018】
なお、収容部1は、尾部13が線状に閉塞するチューブに限られず、例えば、円筒形や外形角柱形等の有底の可撓性の容器、例えばパウチ容器等であってもよい。あるいは、収容部1は、剛性のある容器に、可撓性のある内袋が収容された二重容器であってもよい。
【0019】
口部2は、中央に孔部20が形成された筒状の口部部材であって、上部が口部筒部21であり、下部がリング側肩部22である。口部筒部21の内周面には、螺合突起(螺旋突起、ネジ突起、雌ネジ)23が設けられている。また、口部筒部21の外周面の下縁近傍が、一部が厚肉となることで、上側の他の外周面との間で段差24が形成されている。
【0020】
口部2は、例えば、収容部1よりも剛性を有する樹脂で形成されている。広口の口部2の孔部20は、ユーザーが指を挿入して内容物を拭い取ることが可能な程度の内径を有している。
【0021】
図2に示すように、口部2の下部に位置するリング側肩部22の外側には、チューブ肩部11が、インサート成形、熱溶着、接着等によって密着して取り付けられている。これにより、収容部1と口部2は密着しており、中栓体4を取り外しても分離しない容器本体3となる。
【0022】
また、中栓体(ノズル中栓)4は、上側にノズル41が形成され、下側に取付部43が形成された栓部材である。ノズル41は上方に突出しており、頂点に内容物が外に絞り出される小孔40が形成され、外周面に嵌合部としての環状突起である外周嵌合突起42が設けられている。また、ノズル41は、上側は径が小さい細ノズル41n、下側は径が大きい太ノズル41kとなっている。本実施形態では、外周嵌合突起42は、細ノズル41nの外周面に形成されている。また、ノズル41において、太ノズル41kの根元に、さらに径の太いノズル根本部41bが設けられていてもよい。
【0023】
また、
図2、
図3を参照して、本実施形態の中栓体4の取付部43は、ノズル41の下端から外側に広がる環状閉塞板44と、該環状閉塞板44から垂下する同心円状の外筒45及び内筒46を有している。また、内筒46の外周面には、螺合突起(螺旋突起、ネジ突起、雄ネジ)47が設けられている。外筒45の内周下端には、内側が薄肉となることで、上側の他の内周面との間で段差48が形成されている。
【0024】
本開示の容器5では、中栓体4の取付部43を、口部2に対して回転させることで、
図3に示すように、中栓体4を、容器本体3の口部2から取り外し可能である。
【0025】
なお、
図2に示すような組み立て状態の容器5では、口部2の口部筒部21は、中栓体4の外筒45と内筒46との間の環状隙間G(
図3参照)に入り込んだ状態で、内筒46の外側に設けられた螺合突起47は、口部2の内側の螺合突起23と係合している。この状態では、中栓体4は、口部2の上端及び外周側を覆っている。このように中栓体4が口部2を覆った状態では、口部筒部21の外周面の段差24と、中栓体4の外筒45の内周面の段差48とが対向した位置にあると好適である。
【0026】
中栓体4の取付部43では、螺合突起47が形成された内筒46よりも外側の、最外径の外筒45が、中栓体4の着脱時の持ち手となる。そのため、中栓体4の口部2に対する回転時にトルクが大きくなり、回しやすくなる。
【0027】
ここで、
図3に示す例では、口部2の螺合突起23は、口部筒部21の内周面の周方向で一周未満の長さである。一方、中栓体4の螺合突起(ネジ突起)47は、内筒46の外周面に一周以上設けられ、螺合突起47の一部が二重になるように形成されている。しかし、螺合突起23、47は、口部2又は中栓体4のいずれか一方が、周方向において一周以上に設けられていればよい。
【0028】
なお、
図3では、中栓体4の螺合突起47と口部2の螺合突起23は、一条ネジである例を示しているが、螺合突起47又は螺合突起23は、多条ネジであってもよい。多条ネジの場合は一条ネジよりも少ない回転数で、中栓体4の着脱ができる。
【0029】
また、
図2、
図4に示すように、チューブ容器である容器5はキャップ6と係合可能である。
図4は、第1実施形態の容器5からキャップ6を外した状態を示す説明図である。
【0030】
図2、
図4を参照して、キャップ6には、天面61、打栓突起(ボス突起)62、外周壁63、係合筒64が設けられ、係合筒64の内側に内周嵌合突起65が形成されている。打栓突起62は、天面61の下面中央から垂下している。外周壁63は、天面61の外縁から垂下した筒状の外壁である。
【0031】
係合筒64は、外周壁63よりも径が小さく、外周壁63と同心円状の筒であって、本実施形態では、ノズル41の上部の細ノズル41nの外径を取り囲む内径を有している。
【0032】
また、係合筒64では、
図4に示すように、下端から所定の高さまで延びる2本の一定の幅を有する溝状の切り欠き66が形成されていることで、切り欠き66が形成されている上下方向下部において、周方向において残った領域は断面円弧状のカーブ壁67となる。内周嵌合突起65は、カーブ壁67の内周面に設けられている。係合筒64は、上端側の根元以外は、切り欠き66によって周方向に分断されているため、2つのカーブ壁67は、下端を自由端として、片持ち梁のように径方向に変形可能である。
【0033】
この構成により、キャップ6を容器5に係合させる場合、キャップ6が中栓体4に対して下に押し込まれた際に、カーブ壁67が外方向に変形しながら、キャップ6の内周嵌合突起(嵌合部)65がノズル41の外周嵌合突起42(嵌合部)を乗り超えて外周嵌合突起42の下側に移動して、乗り上げ嵌合(スナップ係合)する。
【0034】
一方、キャップ6を把持しながら、容器5に対してキャップ6を引き上げることで、カーブ壁67が外方向に変形しながら、キャップ6の内周嵌合突起65がノズル41の外周嵌合突起42を乗り超えて外周嵌合突起42の上側に移動してキャップ6と中栓体4との係合が解除され、キャップ6が容器5から取り外される。
【0035】
本構成のキャップ付き容器7では、キャップ6はノズル41と係合するため、キャップ6と容器5とが係合した状態では、
図2に示すように、キャップ6はノズル41を覆って、中栓体4の取付部43の外周面が露出した状態になり、キャップ6の外周壁63の下端は取付部43の上に位置している。言い換えると、中栓体4の外筒45が口部2を抱え込むように容器本体3と係合しているため、中栓体4と口部2は、口部2とキャップ6との係合関係とは、無関係に係合できる。
【0036】
そのため、キャップを着脱させる際、例えば、中栓の取付部43の部分を把持して、キャップを引っ張ったり、押し込んだりして、キャップ6を容器5に対して着脱させることが可能になる。
【0037】
上記のように、本開示のキャップ付き容器7では、キャップ6の着脱の際は、上下の係合動作であり、中栓体4の着脱の際は、回転の係合動作である。そのため、用途に応じて動作が異なり、キャップ6の通常の着脱の際に回転動作が発生しないため、中栓体4の供回りも発生しない。
【0038】
また、キャップ6の着脱時、キャップ6の内周側の環状突条である内周嵌合突起65が、ノズル41の外周面に一周する環状突条である外周嵌合突起42を、乗り超えて係合する(スナップ係合)際、カーブ壁67が径方向外側に弾性変形可能である。
【0039】
この特性により、例えば、「係合状態においてノズル41の外側に内容物が付着して固化する」という状態により、キャップ6とノズル41との係合が硬くなる事情が発生したとしても、取付部43を把持しながら、キャップ6を引っ張ることで、引き離される力がダイレクトに掛かって、ノズル41の外周嵌合突起42に引っ掛かっていた内周嵌合突起65が設けられている係合筒64のカーブ壁67が大きく変形することで、キャップ6とノズル41との乗り上げ係合を解除することができる。
【0040】
さらに、上記事情によりキャップ6が硬く係合している状態において、キャップ6を回転する力をかけた場合も、キャップ6はノズル係合状態を維持したまま、突起同士の係合状態を維持したまま空転する。ノズル41の外側に固化した内容物などが付着していた場合も、カーブ壁67が、外側に変形しながら空転する。そのため、間違って容器5に対してキャップ6を回転させた場合であっても、キャップ6につられて、中栓体4が供回りすることは発生しない。
【0041】
なお、
図4では、キャップ6において、2本の溝状の切り欠き66が形成されていることで、係合筒64の円周方向において残った領域は、2つのカーブ壁67となる例を示したが、係合筒64において形成される切り欠き66は複数であれば、3つ以上であってもよく、この場合、切り欠き66の数と同数のカーブ壁67が形成される。また、係合筒64に形成される切り欠き66の数が4つ以上の偶数である場合、4つ以上のカーブ壁67に長短をつけ、複数のカーブ壁67の中で、内周嵌合突起65が形成される壁と形成されない壁が両方存在していてもよい。あるいは、キャップ6又は中栓体4のいずれかが弾性変形しやすい素材で形成されている場合は、キャップ6の係合筒64において、溝状の切り欠きが形成されずに、周方向に連続的な筒であってもよい。
【0042】
図5は、第1実施形態のキャップ付き容器7から、中栓体4及びキャップ6を外した状態を示す説明図である。
図5では、内容物の残量が少なくなった場合の容器の使用状態を示している。
【0043】
上述のように、容器本体3の口部2の内周面には螺合突起23が設けられ、中栓体4の内筒46の外周面には、螺合突起47が設けられている。よって、通常使用状態では、口部2の螺合突起23と、中栓体4の螺合突起47とが係合することで、中栓体4は、容器本体3と係合している。
【0044】
そのため、中栓体4の取付部43を、口部2に対して回転させることで、中栓体を、容器本体の口部2から取り外し可能である。このように、中栓体4を容器本体3から取り外すことで、使用者は、
図5に示すように、容器本体3の収容部1(チューブ)内に指Fや綿棒等の部材を差し込むことができ、内容物を最後まで使用できる。これにより、容器本体3とともに、使用後に廃棄される内容物を削減することができる。
【0045】
また、上述のように、キャップ係合状態では、キャップ6の下側から中栓体4の取付部43である外筒45が露出している。そのため、容器本体3から中栓体4を取り外す際に、キャップ6をつけた状態のまま、取付部43を容器本体3に対して回転させることで、中栓体4をキャップ6と一緒に外すことができる。
【0046】
よって、
図5に示すように、キャップ6を下にして中栓体4を載置できるため、残量が少なくなって内容物を掬い取って使用する時に反対側の手が汚れず、中栓体4を一時的に置く机や洗面台等の置き場が汚れることを防げ、衛生的である。この際、
図2に示したように、キャップ6の天面61の上面は、平坦である。そのため、中栓体4と係合したキャップ6を机等の置き場に安定して載置することができる。
【0047】
また、置き場所の汚れを気にすることなくキャップ6とともに中栓体4を机等に載置できるため、両手が空き、
図5のように、一方の手で容器本体3を押さえながら、他方の手で内容物のぬぐい取ることができる。
【0048】
また、
図5に示したように、容器本体3に対して、中栓体4は着脱することが可能であることから、中栓体4に対して、容器本体3はレフィルとして交換可能である。
【0049】
即ち、収容部1と口部2からなる容器本体3は、内容物である粘性物質ととともに交換可能な(外して差し替え可能な)レフィル(リフィルともいう)となる。一方、中栓体4とキャップ6は、レフィル交換後、再利用される。
【0050】
よって、空になった容器本体3を、同じ形状の新品のレフィルに付け替えて交換し、中栓体4及びキャップ6を、繰り返し使用することができる。これにより廃棄される樹脂量を削減することができる。
【0051】
付け替え用の、レフィルとして取り替え可能な容器本体3は、口部2の上を、フィルム、又は口部を取り囲むカバーで上面を覆うことができる。これにより、レフィルである容器本体3は、単体で流通することができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、
図6を用いて、本開示の第2実施形態の容器の構成について説明する。
図6は、第2実施形態のキャップ付き容器7Aの口部近傍の拡大断面図である。下記、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0053】
本実施形態では、中栓体4Aにおいて、外周嵌合突起42Aは、根本側の太ノズル41kAの外周面に設けられている。
【0054】
この構成に対応するように、キャップ6Aの係合筒64Aは、本実施形態では、ノズル41Aの太ノズル41kAの外径を取り囲む内径を有している。また、本実施形態においても、係合筒64Aには、
図4と同様に、下端から所定の高さまで延びる2本の溝状の切り欠き66A(不図示)が形成されていることで、円周方向において残った領域は、断面円弧状のカーブ壁67Aとなる。内周嵌合突起65Aは、カーブ壁67Aの内周面に設けられている。そのため、係合筒64Aにおいても、2つのカーブ壁67Aは、下端を自由端として、片持ち梁のように径方向に変形可能である。
【0055】
本実施形態のキャップ6Aでは、ノズル41Aの下部の太ノズル41kAの外周面に一周する環状突条である外周嵌合突起42Aを乗り超えて係合する、キャップ6A側の内周突条である内周嵌合突起65Aが設けられたカーブ壁67Aが、径方向外側に弾性変形可能である。
【0056】
そのため、キャップ付き容器7Aにおいても、キャップ6Aの着脱の際は上下の係合動作であり、中栓体4Aの容器本体3からの着脱の際は、回転の係合動作である。そのため、キャップ6Aの通常の着脱の際に回転動作が発生しないため、中栓体4Aの供回りも発生しない。
【0057】
さらに、本実施形態においても、キャップ6Aが硬く係合した状態で、誤ってキャップ6を回転する力をかけた場合も、突起同士の係合状態を維持したまま空転するため、キャップ6Aにつられて、中栓体4Aが供回りすることは発生しない。
【0058】
また、第1実施形態同様に、中栓体4Aは容器本体3に対して着脱可能であるため、収容部1内の内容物を最後まで使い切ることができる。
【0059】
<第3実施形態>
次に、
図7を用いて本開示の第3実施形態の容器について説明する。
図7は、第3実施形態のキャップ付き容器7Bの口部近傍の拡大断面図である。
【0060】
上記第1実施形態、及び第2実施形態では、キャップと中栓体は、キャップの係合筒の内側面に設けられた内周嵌合突起と、ノズルの外周面に設けられた外周嵌合突起とで係合(所謂ノズル係合)をしたが、第3実施形態では、キャップと中栓体は、ボス嵌合をする。
【0061】
詳しくは、本実施形態では、中栓体4Bのノズル41Bは、上側の細ノズル41nのノズル側面から中央側に屈曲して、小孔Bが形成された環状頂面41tを有している。言い換えると、ノズル41Bの上端が中央側に延び出たアンダーカット構成となっている。本実施形態では、環状頂面41tにおいて、小孔40Bを規定する内周縁がノズル41B側の嵌合部となる。
【0062】
一方、本実施形態のキャップ6Bでは、天面61の下面中央から垂下する打栓突起がボス突起62Bであり、ボス突起62Bには、下端に他の部分である軸部622より径が大きい膨径部621が形成されている。本実施形態において、ボス突起62Bの下端の膨径部621が、キャップ6B側の嵌合部となる。
【0063】
本実施形態では、
図7に示すように、ノズル41Bの環状頂面41tの小孔40の内壁の径は、ボス突起62Bの軸部622よりも広く、膨径部621よりも狭く構成されている。
【0064】
本実施形態では、キャップ6Bは、ノズル41Bを覆って、ボス突起62Bの膨径部621が、ノズル41Bの環状頂面41tの小孔40Bの内周縁を押し分けて入り込む、言い換えると、小孔40Bの内周縁に対して乗り上げ嵌合する。これによって、キャップ6Bとノズル41とが係合し、キャップ6Bは容器5Bと係合する。
【0065】
そのため、小孔40Bの内壁を規定するノズル41Bの環状頂面41t、ボス突起62Bの膨径部621のいずれか一方は弾性変形する素材で形成されていると好適である。なお、環状頂面41t、ボス突起62Bの膨径部621の両方が、弾性変形する構成であってもよい。
【0066】
上記構成により、膨径部621の外周は、弾性変形していない状態では、小孔40Bの内壁よりも径が大きいので、嵌合状態では膨径部621が小孔40Bを押し分ける力が掛からない限りキャップ6Bと中栓体4Bとは密閉状態は解除されないため、傾けたり、逆さまにしたり、振ったりしても、内容物は漏れない。
【0067】
また、本実施形態では、キャップ6Bの係合筒64Bには、切り欠きは設けられておらツ、周面が分断されない円筒形状であってもよい。そのため、本実施形態では、キャップ6Bの係合筒64Bが、中栓体4Bのノズル41Bの太ノズル41kの側壁の外周を取り囲むように、係合するため、横方向にずれにくい。
【0068】
本実施形態では、キャップ6Bの係合状態から引き上げることで、嵌合状態から膨径部621が小孔40Bを押し分ける力が掛かり、キャップ6Bと中栓体4Bとは密閉状態が解除されて、キャップが取り外される。
【0069】
そのため、キャップ付き容器7Bにおいても、キャップ6Bの着脱の際は上下の係合動作であり、中栓体4Bの容器本体3からの着脱の際は、回転の係合動作である。そのため、キャップ6Bの通常の着脱の際に回転動作が発生しないため、中栓体4Bの供回りも発生しない。
【0070】
さらに、本実施形態においても、キャップ6Bが硬く係合した状態で、誤ってキャップ6を回転する力をかけた場合も、突起同士の係合状態を維持したまま空転するため、キャップ6Bにつられて、中栓体4Bが供回りすることは発生しない。
【0071】
また、上記実施形態同様に、中栓体4Bは容器本体3に対して着脱可能であるため、中栓体4Bを取り外して、収容部1内の内容物を最後まで使い切ることができる。
【0072】
図7では、ノズル係合に代えて、第3実施形態のボス係合により、キャップとノズルとが係合する構成を示したが、1つのキャップ付き容器内において、ボス係合に加えて、ノズル係合をする構成であってもよい。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 収容部(チューブ)
11 チューブ肩部
12 胴部
13 尾部
2、2A、2B 口部
21 口部筒部
22 リング側肩部
23 螺合突起(ネジ突起)
3、3A,3B 容器本体(レフィル容器)
4 中栓体
40、40B 小孔
41 ノズル
41n 細ノズル
41k、41kA 太ノズル
42、42A 外周嵌合突起(環状突条)
43 取付部
44 環状閉塞板
45 外筒
46 内筒
47 螺合突起(内周螺合突起)
5、5A、5B 容器(チューブ容器)
6、8B キャップ
61 天面
62 打栓突起(ボス)
62B ボス突起
63 外周壁
64、64A、64B 係合筒
65、65A 内周嵌合突起(環状突条)
66 切り欠き
67、67A カーブ壁
7、7A、7B キャップ付き容器