(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094146
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、及び施術施設
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240702BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210922
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】321010254
【氏名又は名称】株式会社CyberneX
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉水 亮介
(72)【発明者】
【氏名】馬場 基文
(72)【発明者】
【氏名】太田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】有川 樹一郎
(72)【発明者】
【氏名】中江 広悟
(72)【発明者】
【氏名】岡田 裕斗
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】被施術者が所定の生体状態になるための施術を、施術者が確認できることを目的とする。
【解決手段】情報処理方法は、被施術者の生体情報を取得し、生体情報から被施術者の生体状態を特定し、特定した生体状態に基づいて、被施術者が所定の生体状態になるために施術者が行う施術の内容を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の生体情報を取得し、
前記生体情報から前記被施術者の生体状態を特定し、
特定した生体状態に基づいて、前記被施術者が所定の生体状態になるために施術者が行う施術の内容を出力する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記被施術者に対して行われた施術の内容の履歴と、当該施術を受けている間の前記生体状態と、を更に取得し、
前記施術の内容の履歴と、当該施術を受けている間の前記生体状態と、に基づいて、前記施術の内容を出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
施術を受けている間の前記生体状態が前記所定の生体状態以外であった場合は、当該施術の内容とは異なる施術の内容を出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記施術を受ける前の前記生体情報を更に取得し、
前記施術を受ける前の前記生体情報から、前記施術を受ける前の前記生体状態を特定し、
前記施術を受ける前の前記生体状態に基づいて、前記施術の内容を出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記被施術者が前記施術を受けた後に予定している行動予定を更に取得し、
前記行動予定から、前記所定の生体状態を決定する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記施術者に関する施術者情報を更に取得し、
前記施術者情報に基づいて、前記施術を行う施術者を更に出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記施術の内容は、前記被施術者が前記施術を受ける身体の部位及び強度と、施術中に稼働する機器の設定情報とのうち少なくとも一方を含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記施術の内容を出力した後に、当該施術が予め定められた待機時間が経過するまでに行われない場合は、再度前記施術の内容を出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記施術の内容を出力する前に施術の内容の要望を受け付けた場合、前記生体状態に基づく前記施術の内容に代えて前記要望に係る施術の内容を出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記施術の内容を出力した後に施術の内容の要望を受け付けた場合、前記要望に係る前記施術の内容を更に出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記施術を受けた後の前記生体状態を維持するか否かに基づいて、前記施術を受けた後に推奨する行動である推奨情報を出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項12】
同一の時刻に施術を希望する希望者の生体情報を取得し、
前記希望者の生体情報に基づいて、前記希望者の施術順を出力する、
処理をコンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記生体情報は脳波である、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項14】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
被施術者の生体情報を取得し、
前記生体情報から前記被施術者の生体状態を特定し、
特定した生体状態に基づいて、前記被施術者が所定の生体状態になるために施術者が行う施術の内容を出力する、
情報処理装置。
【請求項15】
被施術者の生体情報を取得し、
前記生体情報から前記被施術者の生体状態を特定し、
特定した生体状態に基づいて、前記被施術者が所定の生体状態になるために施術者が行う施術の内容を出力する、
処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項16】
前記施術者が前記被施術者に対し、請求項14に記載の情報処理装置を利用して前記施術を行うための設備が設置されている、施術施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置、情報処理プログラム、及び施術施設に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、マッサージ機が開示されている。このマッサージ機は、被施療者の脳波を測定するための脳波測定装置と、マッサージが実行されているときに、脳波測定装置によって測定される脳波に基づいて被施療者の感情を推定する感情推定部と、を含む。また、このマッサージ機は、現在実行中のマッサージに対して、感情推定部によって推定された被施療者の感情に応じた設定変更を行うか否かを被施療者に伺うための質問メッセージを音声出力するための質問メッセージ出力部を含む。また、このマッサージ機は、質問メッセージに対する被施療者の返答が設定変更を容認するものである場合には、設定変更を行う設定変更部を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施術者は、被施術者がどのような生体状態のときに、どのような施術を行えば所定の生体状態になるかは分からない。被施術者を所定の生体状態にさせようと、施術を行う場合も、施術者は経験又は勘等に頼っていた。
【0005】
本開示は、被施術者が所定の生体状態になるための施術を、施術者が確認できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る情報処理方法は、被施術者の生体情報を取得し、前記生体情報から前記被施術者の生体状態を特定し、特定した生体状態に基づいて、前記被施術者が所定の生体状態になるために施術者が行う施術の内容を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0007】
第2態様に係る情報処理方法は、第1態様に係る情報処理方法において、前記被施術者に対して行われた施術の内容の履歴と、当該施術を受けている間の前記生体状態と、を更に取得し、前記施術の内容の履歴と、当該施術を受けている間の前記生体状態と、に基づいて、前記施術の内容を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0008】
第3態様に係る情報処理方法は、第2態様に係る情報処理方法において、施術を受けている間の前記生体状態が前記所定の生体状態以外であった場合は、当該施術の内容とは異なる施術の内容を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0009】
第4態様に係る情報処理方法は、第1態様~第3態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記施術を受ける前の前記生体情報を更に取得し、前記施術を受ける前の前記生体情報から、前記施術を受ける前の前記生体状態を特定し、前記施術を受ける前の前記生体状態に基づいて、前記施術の内容を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0010】
第5態様に係る情報処理方法は、第1態様~第4態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記被施術者が前記施術を受けた後に予定している行動予定を更に取得し、前記行動予定から、前記所定の生体状態を決定する、処理をコンピュータが実行する。
【0011】
第6態様に係る情報処理方法は、第1態様~第5態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記施術者に関する施術者情報を更に取得し、前記施術者情報に基づいて、前記施術を行う施術者を更に出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0012】
第7態様に係る情報処理方法は、第1態様~第6態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記施術の内容は、前記被施術者が前記施術を受ける身体の部位及び強度と、施術中に稼働する機器の設定情報とのうち少なくとも一方を含む。
【0013】
第8態様に係る情報処理方法は、第1態様~第7態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記施術の内容を出力した後に、当該施術が予め定められた待機時間が経過するまでに行われない場合は、再度前記施術の内容を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0014】
第9態様に係る情報処理方法は、第1態様~第8態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記施術の内容を出力する前に施術の内容の要望を受け付けた場合、前記生体状態に基づく前記施術の内容に代えて前記要望に係る施術の内容を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0015】
第10態様に係る情報処理方法は、第1態様~第9態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記施術の内容を出力した後に施術の内容の要望を受け付けた場合、前記要望に係る前記施術の内容を更に出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0016】
第11態様に係る情報処理方法は、第1態様~第10態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記施術を受けた後の前記生体状態を維持するか否かに基づいて、前記施術を受けた後に推奨する行動である推奨情報を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0017】
第12態様に係る情報処理方法は、第1態様~第11態様の何れか1つに係る情報処理方法において、同一の時刻に施術を希望する希望者の生体情報を取得し、前記希望者の生体情報に基づいて、前記希望者の施術順を出力する、処理をコンピュータが実行する。
【0018】
第13態様に係る情報処理方法は、第1態様~第12態様の何れか1つに係る情報処理方法において、前記生体情報は脳波である。
【0019】
第14態様に係る情報処理装置は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、被施術者の生体情報を取得し、前記生体情報から前記被施術者の生体状態を特定し、特定した前記生体状態に基づいて、前記被施術者が所定の生体状態になるために施術者が行う施術の内容を出力する。
【0020】
第15態様に係る情報処理プログラムは、被施術者の生体情報を取得し、前記生体情報から前記被施術者の生体状態を特定し、特定した前記生体状態に基づいて、前記被施術者が所定の生体状態になるために施術者が行う施術の内容を出力する、処理をコンピュータに実行させる。
【0021】
第16態様に係る施術施設は、第14態様に係る情報処理装置を利用し、前記施術者が前記被施術者に対し前記施術の内容に係る前記施術を行うための設備が設置されている。
【発明の効果】
【0022】
第1態様、第14態様、第15態様、及び第16態様によれば、被施術者が所定の生体状態になるための施術を、施術者が確認することができる。
【0023】
第2態様によれば、被施術者に対して行われた施術の内容の履歴に基づいた施術を施術者が行うことができる。
【0024】
第3態様によれば、生体状態が所定の生体状態以外となった施術を施術者が行わないようにすることができる。
【0025】
第4態様によれば、施術を受ける前の生体状態に基づいた施術を施術者が行うことができる。
【0026】
第5態様によれば、施術を受けた後に予定している行動予定に基づいた施術を施術者が行うことができる。
【0027】
第6態様によれば、施術を行う施術者を把握することができる。
【0028】
第7態様によれば、設定情報を出力しない場合に比較して、被施術者がより所定の生体状態になる可能性が高くなる。
【0029】
第8態様によれば、待機時間が経過するまでに施術が行われない場合に、再度施術の内容を出力しない場合に比較して、施術者が施術を行う可能性を高くすることができる。
【0030】
第9態様によれば、施術の内容を出力する前に受け付けた要望に係る施術を施術者が行うことができる。
【0031】
第10態様によれば、施術の内容を出力した後に受け付けた要望に係る施術を施術者が行うことができる。
【0032】
第11態様によれば、施術を受けた後に推奨する行動を把握できる。
【0033】
第12態様によれば、希望者が複数いる場合であっても、生体情報に基づいた施術順を把握できる。
【0034】
第13態様によれば、脳波から特定された生体状態に基づいて、被施術者が所定の生体状態になるための施術を、施術者が行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る提示装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る生体情報測定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る脳波データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図7】第1の実施形態に係る推奨情報出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る推奨データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図9】第1の実施形態に係る施術決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】第1の実施形態に係る第1施術データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図11】実施形態に係る履歴データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図12】実施形態に係る施術者データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図13】実施形態に係る順番決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施形態に係る提示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】実施形態に係る施術中画面の一例を示す模式図である。
【
図16】実施形態に係る継続画面の一例を示す模式図である。
【
図17】実施形態に係る内容画面の一例を示す模式図である。
【
図18】実施形態に係る要望画面の一例を示す模式図である。
【
図19】実施形態に係る脳波画面の一例を示す模式図である。
【
図20】第2の実施形態に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図21】第2の実施形態に係る目標データベースの構成の一例を示す模式図である。
【
図22】第2の実施形態に係る推奨情報出力処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図23】第2の実施形態に係る施術決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図24】第2の実施形態に係る第2施術データベースの構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0037】
[第1の実施形態]
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理システム100は、情報処理装置10と、1又は複数の生体情報測定装置15と、端末装置60と、カメラ40と、提示装置50と、を備えている。情報処理装置10と、生体情報測定装置15と、端末装置60と、カメラ40と、提示装置50とは、通信手段Nを介して相互に通信可能とされている。なお、生体情報測定装置15と、端末装置60と、カメラ40と、提示装置50と、の数は
図1に示す数に限定されない。また、情報処理システム100は、
図1に示されている装置以外の他の装置(例えばサーバ等の外部装置)を含んでもよい。端末装置60が用いられない場合、端末装置60は情報処理システム100に含まれなくてもよい。また、カメラ40が用いられない場合、カメラ40は情報処理システム100に含まれなくてもよい。また、提示装置50が用いられない場合、提示装置50は情報処理システム100に含まれてなくてもよい。
【0038】
本実施形態では、通信手段Nとしてインターネット又は電話回線等の公共の通信回線を適用している。しかし、この例に限られない。例えば、通信手段Nとして、LAN(Local Area Network)、又はWAN(Wide Area Network)等の企業内の通信回線を適用してもよいし、企業内の通信回線及び公共の通信回線を組み合わせて適用してもよい。また、本実施形態では、通信手段Nとして無線の通信回線を適用している。しかし、通信手段Nとして、有線の通信回線を適用してもよいし、有線及び無線の各通信回線を組み合わせて適用してもよい。
【0039】
カメラ40及び提示装置50は施設200に備えられている。施設200は、部屋又はブース(booth)等の壁又は仕切りで閉じられた施設であってもよいし、オープンスペース等の開放された施設であってもよい。本実施形態に係る施設200は、施術者が被施術者に対して情報処理装置10を利用した施術を行うための設備が設置された施術施設である。
【0040】
本実施形態に係る施術とは、被施術者が所定の生体状態になるための処方を提供することである。そして、本実施形態に係る処方とは、人間の五感(具体的には、視覚、触覚、味覚、聴覚、又は臭覚)を刺激する処方、又は人間の神経、脳、又は身体に作用を及ぼす処方である。例えば、施設200は、マッサージサロンであり、上記情報処理装置10を利用した施術は、施術者が被施術者に接触して行うマッサージである。また、上記施術を行うための設備は、被施術者が乗るベッド、空調、アロマディフューザー、及び音楽プレイヤーである。しかし、この例に限られない。上記施術を行うための設備として、被施術者が乗るベッドのみを適用してもよい。また、施設200では、1人の施術者が複数の被施術者に対して施術を行っていてもよいし、複数の施術者が1人の被施術者に対して施術を行っていてもよいし、複数の施術者が複数の被施術者に対して施術を行っていてもよい。
【0041】
また、施設200として、プラネタリウムを適用してもよい。この場合、上記情報処理装置10を利用した施術として、プラネタリウムの鑑賞を適用する。そして、上記施術を行うための設備として、音楽プレイヤー、被施術者が座る椅子、投影機、及び曲面状のスクリーン等を適用することができる。また、施設200として、航空機を適用してもよい。この場合、上記情報処理装置10を利用した施術として、機内サービスを適用する。そして、上記施術を行うための設備として、被施術者が座る椅子、テーブル、及び飲食物等を適用することができる。
【0042】
カメラ40は、被施術者及び施術者の行動を測定する手段の一例である。なお、カメラ40に代えて、ジャイロセンサ又は加速度センサ等のセンサを適用してもよい。
【0043】
提示装置50は、情報処理装置10から出力された情報を提示する装置である。なお、情報処理装置10が表示部又はスピーカ等の情報を提示する手段を有している場合、情報処理システム100は、提示装置50を備えていなくてもよい。
【0044】
図2に示すように、提示装置50は、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、ストレージ54、入力部55、表示部56、及び通信I/F(Interface)57の各構成を有する。各構成は、バス59を介して相互に通信可能に接続されている。
【0045】
CPU51は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU51は、ROM52又はストレージ54からプログラムを読み出し、RAM53を作業領域としてプログラムを実行する。CPU51は、ROM52又はストレージ54に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM52又はストレージ54に提示処理プログラムが記憶されている。
【0046】
ROM52は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM53は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ54は、HDD又はSSD等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0047】
入力部55は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0048】
表示部56は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部56は、タッチパネル方式を採用して、入力部55として機能しても良い。
【0049】
通信I/F57は、情報処理装置10等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0050】
端末装置60は、被施術者が所有するパーソナルコンピュータ、又はモバイル端末(例えば、スマートホン、携帯電話、又はタブレット端末等)である。
【0051】
生体情報測定装置15は、被施術者の耳に装着された状態で、当該被施術者の生体情報を計測する装置である。また、生体情報測定装置15は、一例として、生体情報としての被施術者の脳波を計測する脳波計測装置である。また、生体情報測定装置15は、音声の入力や出力の機能を有し、人体に密着して利用されるウェラブルデバイスの形態であってもよい。また、生体情報計測装置は、イヤホンに限らず、例えば、補聴器、ピアス型のデバイス、クリップ型のデバイス、眼鏡型のデバイス、又は耳に巻き付けられるバンド若しくはケーブルを含むデバイス等であってもよい。
【0052】
生体情報測定装置15は、被施術者の耳の周辺部の複数個所から電位を検知し、検知結果を示す情報(例えば計測された電位を示す信号、又は計測された電位を解析することにより生成された脳波信号等)を、脳波計測結果を示す情報として情報処理装置10等の外部装置に出力する。
【0053】
図3に示すように、生体情報測定装置15は、被施術者の右耳に装着される右側イヤホン20Rと、被施術者の左耳に装着される左側イヤホン20Lと、右側イヤホン20Rと左側イヤホン20Lとを電気的に接続するケーブル16とを備えている。なお、ケーブル16で左右の生体情報計測装置としての右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lを接続せず、各デバイス(右側イヤホン20R及び左側イヤホン20L)が独立して稼働するようにしてもよい。同様に、ケーブル16のように有線で左右の生体情報計測装置を接続せず、無線で左右の生体情報計測装置を接続して情報を同期すようにして稼働させてもよい。
【0054】
図3に示すように、右側イヤホン20Rは、スピーカ22と、第一電極部24と、第二電極部26と、基板28とを有している。一方、左側イヤホン20Lは、スピーカ22と、第三電極部38と、電池39とを有している。
【0055】
スピーカ(ドライバ)22は、音信号に基づいて音を発する。
【0056】
第一電極部24は、右側イヤホン20Rのイヤピース(外耳道ピース)の外表面に設けられ、被施術者の外耳道の内周面に接触した状態で、当該内周面から電位を検知する。第二電極部26は、右側イヤホン20Rの耳介ピース(耳甲介腔ピース)の外表面に設けられ、被施術者の耳甲介腔の表面に接触した状態で、当該表面から電位を検知する。
【0057】
第三電極部38は、左側イヤホン20Lのイヤピースの外表面に設けられ、被施術者の外耳道の内周面に接触した状態で、当該内周面の電位を計測する。なお、左側イヤホン20Lの耳介ピースの外表面には、被施術者の耳甲介腔の表面に接触した状態で、当該表面から電位を検知する第四電極部が設けられてもよい。
【0058】
なお、右側イヤホン20Rのイヤピースに設けられた電極部を第一電極部24とし、左側イヤホン20Lのイヤピースに設けられた電極部を第三電極部38として区別しているが、第一電極部24及び第三電極部38の構成は同様である。
【0059】
第一電極部24、第二電極部26、第三電極部38によってそれぞれ計測された被施術者の電位を示す信号は、後述する脳波演算処理部36に出力される。
【0060】
電池39は、例えば、充放電可能な二次電池である。この電池39から、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの各部に電力が供給される。なお、電池39は、二次電池に限らず、一次電池でもよい。
【0061】
基板28には、CPU及びメモリ等の複数の電子部品が実装されている。
【0062】
なお、基板28及び電池39は、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの少なくとも一方に設けることができる。
【0063】
図3に示すように、基板28は、機能として、制御部30、記憶部32、通信部34、及び脳波演算処理部36を有している。制御部30は、例えば、基板28に実装されたCPU等によって実現される。この制御部30は、右側イヤホン20R及び左側イヤホン20Lの各部の動作を制御する。
【0064】
記憶部32は、例えば、基板28に実装されたメモリによって実現される。この記憶部32は、例えば、第一電極部24、第二電極部26、及び第三電極部38によってそれぞれ計測された電位を示す信号、及び後述する脳波演算処理部36によって演算された脳波を示す信号等を記憶する。
【0065】
通信部34は、基板28に実装された通信チップ等によって実現される。この通信部34は、無線通信機能を有している。無線通信方式は、例えば、近距離無線通信(例えば、Bluetooth(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identifier)等)、赤外線通信、可視光通信、又はWi-Fi(登録商標)通信等である。通信部34は、情報処理装置10等の外部装置との間でデータを送受信する。例えば、通信部34は、後述する脳波演算処理部36によって演算された脳波を示す情報を、情報処理装置10等の外部装置に送信する。
【0066】
脳波演算処理部36は、基板28に実装された電子回路等によって実現される。この脳波演算処理部36は、第一電極部24、第二電極部26、及び第三電極部38によってそれぞれ計測された電位に基づいて脳波を演算する。
【0067】
ここで、例えば、第一電極部24は、脳波を計測するセンサ電極として用いられ、第二電極部26は、接地用のグランド電極として用いられ、第三電極部38は、計測された脳波と比較するためのリファレンス信号を計測する参照用電極として用いられる。
【0068】
脳波演算処理部36は、グランド電極である第二電極部26によって計測された電位を基準電位(グランド電位)とし、センサ電極である第一電極部24によって計測された脳波の電位と、参照用電極である第三電極部38によって計測されたリファレンス電位との電位差を、脳波計測結果として演算する。
【0069】
なお、脳波演算処理部36は、第一電極部24、第二電極部26、及び第三電極部38を含む電極群の中から選択された2つの電極部によって計測された電位に基づいて、脳波を演算してもよい。また、脳波演算処理部36は、第一電極部24及び第二電極部26の2つの電極部によって計測された電位に基づいて、脳波を演算してもよい。さらに、脳波演算処理部36は、3つ以上の電極部によって計測された電位に基づいて、脳波を演算してもよい。
【0070】
次に、情報処理装置10について説明する。本実施形態では、情報処理装置10としてサーバを適用する。しかし、この例に限られない。情報処理装置10としてパーソナルコンピュータ、又はモバイル端末を適用してもよい。また、情報処理装置10は生体情報測定装置15、端末装置60、又は提示装置50に内蔵されていてもよい。
【0071】
図4に示すように、情報処理装置10は、CPU11、ROM12、RAM13、ストレージ14、及び通信I/F17の各構成を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0072】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、情報処理プログラムが格納されている。
【0073】
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD又はSSD等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0074】
通信I/F17は、生体情報測定装置15、端末装置60、カメラ40、及び提示装置50等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0075】
次に、
図5を参照して、本実施形態の情報処理装置10における情報処理の流れについて説明する。情報処理は、情報処理装置10のCPU11がROM12又はストレージ14から情報処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、行なわれる。
【0076】
図5のステップS104において、CPU11は、提示装置50の入力部55を介して、被施術者に対して現在行われている施術の内容を受け付けるまで待機する。現在行われている施術の内容とは、被施術者が現在施術を受けている身体の部位及び強度と、施術中に稼働している機器の設定情報である。なお、被施術者が現在施術を受けている身体の部位及び強度は、カメラ40による撮影画像を提示装置50が解析することにより、入力部55を介さず自動的に取得してもよい。本実施形態では、設定情報として、空調の設定情報、アロマディフューザーの設定情報、及び音楽プレイヤーの設定情報を適用する。具体的に、空調の設定情報として、空調の設定温度及び風量を適用する。また、アロマディフューザーの設定情報として、芳香剤の種類及び拡散力の強さを適用する。また、音楽プレイヤーの設定情報として、音楽プレイヤーが流す音楽の曲名、及び音量を適用する。なお、設定情報としてマッサージチェアが被施術者にマッサージする部位及び強度等を適用してもよい。
【0077】
提示装置50は、提示装置50の入力部55を介して、被施術者に対して現在行われている施術の内容を受け付けると、当該現在行われている施術の内容を情報処理装置10に出力する。CPU11は、提示装置50から、被施術者に対して現在行われている施術の内容を受け付けると(ステップS104:YES)、ステップS106に移行する。
【0078】
ステップS106において、CPU11は、生体情報の一例としての脳波を取得する。具体的に、CPU11は、生体情報測定装置15から、施術を受けている被施術者の脳波を取得する。
【0079】
ステップS108において、CPU11は、被施術者が施術を受けている間の生体状態である施術中状態を特定し、当該施術中状態を提示装置50に対して出力する。本実施形態では、CPU11は、ROM12又はストレージ14から脳波データベースを読み出し、ステップS106において取得した脳波の周波数範囲毎に脳波の種類を特定する。CPU11は、特定した種類のうち、最も多く特定した種類に関連付けられた生体状態を、被施術者の施術中状態として特定する。しかし、この例に限られない。例えば、CPU11は、ステップS106において取得した脳波の周波数の平均値から、脳波の種類を特定する。そして、CPU11は、特定した種類に関連付けられた生体状態を、被施術者の施術中状態として特定してもよい。ここで、本実施形態に係る生体状態とは、被施術者の感情の状態を示す情報、被施術者の精神状態を示す情報、又は被施術者の心理状態を示す情報等の被施術者の状態を示す情報である。本実施形態では、生体状態として、睡眠状態、集中状態、安静状態、緊張状態、又は興奮状態を適用している。しかし、この例に限られない。
【0080】
図6に脳波データベースの構成の一例を示す。脳波データベースには、周波数の範囲と脳波の種類と生体状態とが関連付けて記憶されている。
図6に示すように、例えば、δ波は周波数が4[Hz]未満の脳波である。δ波が出現している場合の生体状態は睡眠状態である。また、θ波は周波数が4[Hz]以上8[Hz]未満の脳波である。θ波が出現している場合の生体状態は集中状態である。また、α波は周波数が8[Hz]以上13[Hz]未満の脳波である。α波が出現している場合の生体状態は安静状態である。また、β波は周波数が13[Hz]以上30[Hz]未満の脳波である。β波が出現している場合の生体状態は緊張状態である。また、γ波は周波数が30以上の脳波である。γ波が出現している場合の生体状態は興奮状態である。なお、周波数の範囲と脳波の種類と生体状態との例は、
図6に示した例に限定されない。
【0081】
また、脳波データベースは、被施術者の年齢毎に、周波数の範囲を変更してもよい。例えば、被施術者が成人(18歳以上)であった場合は、周波数が8[Hz]以上13[Hz]未満の脳波をα波とし、被施術者が幼児(6歳未満)であった場合は、周波数が4[Hz]以上8[Hz]未満の脳波をα波としてもよい。この場合、CPU11は、取得した生体情報及び被施術者の年齢から、当該被施術者の生体状態を特定する。
【0082】
ステップS110において、CPU11は、ステップS108において特定した施術中状態が、所定の生体状態としての安静状態であるか否かを判定する。CPU11は、施術中状態が安静状態である場合(ステップS110:YES)、ステップS112に移行する。なお、所定の生体状態は、睡眠状態、集中状態、安静状態、緊張状態、及び興奮状態のうち、何れの生体状態であってもよい。また、所定の生体状態は、被施術者又は施術者によって予め定められている。
【0083】
ステップS112において、CPU11は、提示装置50に対して、継続指示を出力する。具体的に、CPU11は、提示装置50に対して、脳波取得時に行われていた施術を継続する指示を出力する。言い換えると、CPU11は、提示装置50に対して、施術者が行う施術の内容として、実行中の施術の内容を出力する。
【0084】
ステップS114において、CPU11は、予め定められた待機時間(例えば、5分間)が経過するまで待機する。CPU11は、予め定められた待機時間が経過すると(ステップS114:YES)、ステップS116に移行する。
【0085】
ステップS116において、CPU11は、脳波取得時に行われていた施術が継続して行われているか否かを判定する。言い換えると、CPU11は、出力した継続指示に係る施術としての実行中の施術が行われているか否かを判定する。例えば、CPU11は、カメラ40を介して被施術者の画像を取得し、当該画像と脳波取得時にカメラ40を介して取得した画像とを比較することで、施術が継続して行われているか否かを判定する。CPU11は、脳波取得時に行われていた施術が継続して行われている場合(ステップS116:YES)、ステップS118に移行する。
【0086】
一方、CPU11は、脳波取得時に行われていた施術が継続して行われていない場合(ステップS116:NO)、ステップS112に戻る。この処理により、CPU11は、継続指示を出力した後に、継続指示に係る施術としての実行中の施術が予め定められた待機時間が経過するまでに行われない場合は、再度継続指示を出力することができる。この場合、CPU11は、継続指示と共に警告を出力してもよい。
【0087】
ステップS118において、CPU11は、予め定められた施術時間(例えば、90分間)が経過するまで待機する。CPU11は、予め定められた施術時間が経過すると(ステップS118:YES)、ステップS120に移行する。一方、CPU11は、予め定められた施術時間が経過していない場合(ステップS118:NO)、ステップS106に戻る。
【0088】
ステップS120において、CPU11は、生体情報測定装置15から、施術を受けている間の被施術者の脳波を取得し、当該脳波を提示装置50に対して出力する。
【0089】
ステップS122において、CPU11は、推奨情報出力処理を実行し、本情報処理を終了する。推奨情報出力処理については、詳細を後述する。
【0090】
ステップS110に戻って、CPU11は、施術中状態が安静状態でない場合、具体的には施術中状態が所定の生体状態ではない睡眠状態、集中状態、緊張状態、又は興奮状態である場合(ステップS110:NO)、ステップS124に移行する。
【0091】
ステップS124において、CPU11は、施術決定処理を実行する。施術決定処理については、詳細を後述する。
【0092】
ステップS126において、CPU11は、提示装置50に対して、内容指示を出力する。具体的に、CPU11は、提示装置50に対して、施術決定処理において決定した施術内容及び当該施術を行う施術者を出力する。
【0093】
ステップS128において、CPU11は、提示装置50から施術の内容の要望を受け付けたか否かを判定する。CPU11は、施術の内容の要望を受け付けた場合(ステップS128:YES)、ステップS124に戻る。一方、CPU11は、施術の内容の要望を受け付けていない場合(ステップS128:NO)、ステップS130に移行する。
【0094】
ステップS130において、CPU11は、予め定められた待機時間(例えば、5分間)が経過するまで待機する。CPU11は、予め定められた待機時間が経過すると(ステップS130:YES)、ステップS132に移行する。
【0095】
ステップS132において、CPU11は、内容指示に係る施術が行われているか否かを判定する。例えば、CPU11は、カメラ40を介して被施術者の画像を取得し、当該画像と内容指示に係る施術が行われる場合の画像とを比較することで、内容指示に係る施術が行われているか否かを判定する。CPU11は、内容指示に係る施術が行われている場合(ステップS132:YES)、ステップS106に戻る。
【0096】
一方、CPU11は、内容指示に係る施術が行われていない場合(ステップS132:NO)、ステップS126に戻る。この処理により、CPU11は、内容指示を出力した後に、内容指示に係る施術が予め定められた待機時間が経過するまでに行われない場合は、再度内容指示を出力することができる。この場合、CPU11は、内容指示と共に警告を出力してもよい。
【0097】
次に、
図7を参照して、情報処理において実行される推奨情報出力処理の流れについて説明する。
【0098】
図7のステップS200において、CPU11は、端末装置60から、施術を受けた後の生体状態を維持する維持指示を受け付けたか否かを判定する。CPU11は、維持指示を受け付けた場合(ステップS200:YES)、ステップS202に移行する。一方、CPU11は、維持指示を受け付けない場合、(ステップS200:NO)、ステップS204に移行する。
【0099】
ステップS202において、CPU11は、施術後の生体状態である施術後状態を、所定の生体状態としての安静状態として決定する。
【0100】
ステップS204において、CPU11は、端末装置60から、施術後状態を受け付ける。本実施形態では、施術後状態として、集中状態、安静状態、又は緊張状態を適用している。しかし、この例に限られない。例えば、施術後状態として、集中状態又は安静状態のみを適用してもよいし、これらの生体状態に加えて、睡眠状態等を適用してもよい。
【0101】
ステップS206において、CPU11は、施術後に推奨する行動である推奨情報を出力し、本推奨情報出力処理を終了する。具体的に、CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶された推奨データベースにおいて、施術後状態に関連付けられた推奨情報を端末装置60に出力する。端末装置60は推奨情報を受け付けると、表示部又はスピーカを介して推奨情報を提示する。
【0102】
図8に推奨データベースの構成の一例を示す。推奨データベースには、施術後状態と推奨情報とが関連付けて記憶されている。
図8に示すように、例えば、施術後状態が集中状態である場合の推奨情報は、歌手Aの音楽を聴き、耳つぼマッサージをすることを推奨するとの情報である。また、施術後状態が安静状態である場合の推奨情報は、歌手Bの音楽を聴き、体を温めることを推奨するとの情報である。また、施術後状態が緊張状態である場合の推奨情報は、歌手Cの音楽を聴き、ストレッチをするとの情報である。なお、施術後状態と推奨情報とは
図8に示す例に限られない。
【0103】
なお、CPU11は、端末装置60に代えて提示装置50に対して、推奨情報を出力してもよい。この場合、CPU11は、端末装置60に代えて提示装置50から、維持指示又は施術後状態を受け付けてもよい。
【0104】
また、施術後に情報処理装置10のCPU11は、定期的に被施術者の生体状態を特定し、当該生体状態が所定の生体状態でない場合は、特定した生体状態に基づいた推奨情報を出力してもよい。具体的に、CPU11は、施術後に生体情報測定装置15から定期的に生体情報としての脳波を取得する。そして、CPU11は、脳波から被施術者の生体状態を定期的に特定する。そして、CPU11は、特定した生体状態が所定の生体状態としての安静状態でない場合、又は特定した生体状態が安静状態でない回数が所定の回数以上である場合に、当該特定した生体状態を安静状態にするための推奨情報を端末装置60に出力してもよい。例えば、特定した生体状態を安静状態にするための推奨情報として、3日後に同一の施術を受けることを推奨するとの情報等を適用してもよい。
【0105】
次に、
図9を参照して、情報処理において実行される施術決定処理の流れについて説明する。
【0106】
図9のステップS300において、CPU11は、提示装置50から施術の内容の要望を受け付けたか否かを判定する。CPU11は、施術の内容の要望を受け付けていない場合(ステップS300:NO)、ステップS302に移行する。
【0107】
ステップS302において、CPU11は、施術を受ける前の被施術者の脳波である施術前脳波を取得する。具体的に、CPU11は、生体情報測定装置15から、施術を受ける前の予め定められた期間(例えば、情報処理の実行前の1時間)における脳波を取得する。
【0108】
ステップS304において、CPU11は、施術を受ける前の被施術者の生体状態である施術前状態を特定する。本実施形態では、CPU11は、ROM12又はストレージ14から脳波データベースを読み出し、ステップS302において取得した施術前脳波の周波数範囲毎に脳波の種類を特定する。CPU11は、特定した種類のうち、最も多く特定した種類に関連付けられた生体状態を、被施術者の施術前状態として特定する。しかし、この例に限られない。例えば、CPU11は、ステップS302において取得した施術前脳波の周波数の平均値から、脳波の種類を特定する。そして、CPU11は、特定した種類に関連付けられた生体状態を、被施術者の施術前状態として特定してもよい。
【0109】
ステップS306において、CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶された第1施術データベースから、施術内容を読み出す。具体的に、CPU11は、第1施術データベースにおいて、ステップS304において特定した施術前状態と、
図5のステップS108において特定した施術中状態とに関連付けられた施術内容を読み出す。
【0110】
図10に第1施術データベースの構成の一例を示す。第1施術データベースには、施術前状態と施術中状態と施術内容とが関連付けて記憶されている。施術内容とは、被施術者が施術を受ける身体の部位及び強度と、施術中に稼働する機器の設定情報である。
図10に示すように、例えば、施術前状態が興奮状態で、かつ施術中状態も興奮状態である場合、被施術者が施術を受ける身体の部位は太ももで、強度は相対的に弱い強度である。また、空調の設定温度は18[℃]であり、風量は相対的に強い風量である。また、アロマディフューザーの芳香剤の種類はラベンダーであり、拡散力は相対的に弱い拡散力である。また、音楽プレイヤーが流す音楽の曲名は「F」であり、音量は相対的に大きな音量である。なお、施術前状態と施術中状態と施術内容とは
図10に示す例に限られない。例えば、施術内容が、身体の部位及び強度、又は設定情報であってもよい。また、施術内容は、身体の部位及び強度と設定情報とのうち少なくとも一方を含めばよい。
【0111】
ステップS308において、CPU11は、被施術者の施術履歴を取得する。具体的に、CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶された履歴データベースを読み出し、被施術者を識別する被施術者ID(Identification)に関連付けて記憶された施術内容履歴と施術中状態とを取得する。
【0112】
図11に履歴データベースの構成の一例を示す。履歴データベースには、被施術者IDと施術内容履歴と施術中状態とが関連付けて記憶されている。施術内容履歴とは、被施術者に対して行われた施術の内容の履歴である。そして、
図11における施術中状態とは、関連付けられた施術内容履歴に係る施術を受けている間の被施術者の施術中状態である。具体的に、施術内容履歴は、被施術者が施術を受けた身体の部位及び強度と、施術中に稼働していた機器の設定情報である。
図11に示すように、例えば、空調が25[℃]の相対的に強い風量で稼働し、アロマディフューザーがラベンダーの芳香剤を相対的に強い拡散力で拡散し、音楽プレイヤーが「F」との曲名の音楽を相対的に大きな音量で流している環境下において、ふくらはぎと腰に相対的に強い強度の施術を受けた被施術者Aの施術中状態は緊張状態であったことが履歴データベースに記憶されている。
【0113】
ステップS310において、CPU11は、ステップS306において読み出した施術内容に係る施術を受けている間の施術中状態が安静状態以外の生体状態であるか否かを判定する。具体的に、CPU11は、ステップS308において取得した施術履歴において、ステップS306において読み出した施術内容に関連付けられた施術中状態が、安静状態以外の生体状態(すなわち、睡眠状態、集中状態、緊張状態、又は興奮状態)であるか否かを判定する。CPU11は、ステップS306において読み出した施術内容に係る施術を受けている間の施術中状態が安静状態以外の生体状態である場合(ステップS310:YES)、ステップS312に移行する。一方、CPU11は、ステップS306において読み出した施術内容に係る施術を受けている間の施術中状態が安静状態である、又は当該読み出した施術内容の施術履歴が記憶されていない場合(ステップS310:NO)、ステップS314に移行する。
【0114】
ステップS312において、CPU11は、被施術者に対して行う施術の内容を、他の被施術者の施術中状態が安静状態であった施術内容履歴に係る施術内容であって、かつステップS306において読み出した施術内容と異なる施術内容に決定する。なお、CPU11は、被施術者に対して行う施術の内容を、単にステップS306において読み出した施術内容と異なる施術内容に決定してもよい。
【0115】
ステップS314において、CPU11は、被施術者に対して行う施術の内容を、ステップS306において読み出した施術内容に決定し、ステップS318に移行する。
【0116】
ステップS300に戻って、CPU11は、提示装置50から施術の内容の要望を受け付けた場合(ステップS300:YES)、ステップS316に移行する。
【0117】
ステップS316において、CPU11は、被施術者に対して行う施術の内容を、受け付けた要望に係る施術内容に決定し、ステップS318に移行する。
【0118】
ステップS318において、CPU11は、決定した施術内容に係る施術を行う施術者を決定し、本内容決定処理を終了する。具体的に、CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶された施術者データベースから、決定した施術内容のうち、被施術者が施術を受ける身体の部位における施術レベルが最も高い施術者であって、現在施術可能な施術者を読み出す。なお、CPU11は、決定した施術内容に係る施術を行う施術者を、被施術者が過去に施術を受けたことがある施術者、又は被施術者が過去に施術を受けたことがない施術者に決定してもよい。
【0119】
図12に施術者データベースの構成の一例を示す。施術者データベースには、施術者に関する施術者情報が記憶されている。具体的に、施術者データベースには、施術者を識別する施術者IDと施術可否と部位と施術レベルが関連付けて記憶されている。施術可否とは、現在施術可能であるか否かを示す情報である。例えば、施術者が他の被施術者に施術を行っている場合、又は施術者が欠勤している場合は、「施術不可」として施術可否が記憶される。施術レベルは、関連付けられた身体の部位に対する施術のレベルである。本実施形態では、施術レベルは5段階である。しかし、この例に限られない。例えば、施術レベルは10段階であってもよい。また、施術レベルは施術者の上長等によって予め定められていてもよい。また、CPU11は、施術中状態が安静状態となった被施術者の数が多いほど、施術レベルを高いレベルにするように設定してもよい。
【0120】
また、CPU11は、決定した施術内容に係る施術を行う施術者を決定しなくてもよい。この場合、CPU11は、脳波取得時に施術を行っていた施術者に基づいて、被施術者に対して行う施術の内容を決定してもよい。例えば、CPU11は、脳波取得時に施術を行っていた施術者の施術レベルが最も高い身体の部位に対する施術を、被施術者に対して行う施術の内容として決定してもよい。
【0121】
また、CPU11は、施術前状態に関わらず、施術中状態が安静状態であった施術内容履歴に係る施術内容を、被施術者に対して行う施術の内容として決定してもよい。
【0122】
次に、
図13を参照して、本実施形態の情報処理装置10における順番決定処理の流れについて説明する。順番決定処理は、情報処理装置10のCPU11がROM12又はストレージ14から情報処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、行なわれる。
【0123】
図13のステップS400において、CPU11は、生体情報測定装置15から、同一の時刻に施術を希望する全ての希望者の脳波を取得する。
【0124】
ステップS402において、CPU11は、希望者の施術順を決定し、当該施術順を提示装置50に出力する。そして、CPU11は、本順番決定処理を終了する。具体的に、CPU11は、ステップS400において取得した脳波の周波数と、所定の生体状態としての安静状態に関連付けられた周波数範囲(本実施形態では、8[Hz]以上13[Hz]未満)との差分が大きいほど、順番が先になるように希望者の施術順を決定する。しかし、この例に限られない。CPU11は、ステップS400において取得した脳波の周波数が小さい程、順番が先になるように希望者の施術順を決定してもよい。
【0125】
次に、
図14を参照して、本実施形態の提示装置50における提示処理の流れについて説明する。提示処理は、提示装置50のCPU51がROM52又はストレージ54から提示処理プログラムを読み出して、RAM53に展開して実行することにより、行なわれる。
【0126】
図14のステップS500において、CPU51は、情報処理装置10から施術中状態を受け付けたか否かを判定する。CPU51は、情報処理装置10から施術中状態を受け付けると(ステップS500:YES)、ステップS502に移行する。一方、CPU51は、情報処理装置10から施術中状態を受け付けていない場合(ステップS500:NO)、ステップS504に移行する。
【0127】
ステップS502において、CPU51は、予め定められたフォーマットに従う施術中画面を表示部56に表示する。
【0128】
図15に示すように、本実施形態に係る施術中画面には、情報処理装置10から受け付けた施術中状態(
図15に示す例では、安静状態)が表示される。
【0129】
上述したように、CPU51は、表示部56に文字情報で施術中状態を表示していた。しかし、この例に限られない。例えば、CPU51は、表示部56に、静止画、動画、又はこれらの組み合わせにより施術中状態を表示してもよい。また、CPU51は、施術中状態を、スピーカを介して音声情報で提示してもよい。また、CPU51は、点灯部を介して、施術中状態を光で伝えてもよい。この場合、CPU51は、施術中状態毎に異なる色温度、発光パターン、又は色の光により点灯部を点灯させる。
【0130】
ステップS504において、CPU51は、情報処理装置10から継続指示を受け付けたか否かを判定する。CPU51は、情報処理装置10から継続指示を受け付けた場合(ステップS504:YES)、ステップS506に移行する。一方、CPU51は、情報処理装置10から継続指示を受け付けていない場合(ステップS504:NO)、ステップS508に移行する。
【0131】
ステップS506において、CPU51は、予め定められたフォーマットに従う継続画面を表示部56に表示する。
【0132】
図16に示すように、本実施形態に係る継続画面には、継続指示が表示される。具体的に、継続画面には、施術者が行う施術の内容として、実行中の施術の内容が表示される。
【0133】
ステップS508において、CPU51は、情報処理装置10から内容指示を受け付けたか否かを判定する。CPU51は、情報処理装置10から内容指示を受け付けた場合(ステップS508:YES)、ステップS510に移行する。一方、CPU51は、情報処理装置10から内容指示を受け付けていない場合(ステップS508:NO)、ステップS500に戻る。
【0134】
ステップS510において、CPU51は、予め定められたフォーマットに従う内容画面を表示部56に表示する。
【0135】
図17に示すように、本実施形態に係る内容画面には、施術決定処理において決定した施術の内容が表示される。また、内容画面には、脳波取得時に施術を行っていた施術者から、施術決定処理において決定した施術者に変更する旨の指示が表示される。具体的に、内容画面には、施術者が行う施術の内容としての施術決定処理において決定した施術の内容、及び当該施術を行う施術者が表示される。
【0136】
ステップS512において、CPU51は、予め定められたフォーマットに従う要望画面を表示部56に表示する。
【0137】
図18に示すように、本実施形態に係る要望画面には、施術の内容の要望がある場合は、当該要望を要望入力欄56Aに入力し、施術の内容の要望がない場合は、なしボタン56Bを選択する旨の指示が表示される。
【0138】
例えば、内容画面に、施術者が得意でない施術、又は故障中の機器の設定情報が表示された場合、当該施術者は要望入力欄56Aに施術の内容の要望を入力する。CPU51は、情報処理装置10に対して、要望入力欄56Aに入力された施術の内容の要望、又は施術の内容の要望がないとの情報を送信する。情報処理装置10のCPU11は、施術の内容の要望を受け付けた場合(
図5のステップS128:YES)、再度施術決定処理を実行する。そして、CPU11は、被施術者に対して行う施術の内容を、受け付けた要望に係る施術内容に決定する。一方、CPU11は、施術の内容の要望がないとの情報を受け付けた場合(
図5のステップS128:NO)、施術決定処理を実行しない。
【0139】
ステップS514において、CPU51は、情報処理装置10から施術を受けている間の被施術者の脳波を受け付けたか否かを判定する。CPU51は、情報処理装置10から施術を受けている間の被施術者の脳波を受け付けた場合(ステップS514:YES)、ステップS516に移行する。一方、CPU51は、情報処理装置10から施術を受けている間の被施術者の脳波を受け付けていない場合(ステップS514:NO)、ステップS500に戻る。
【0140】
ステップS516において、CPU51は、予め定められたフォーマットに従う脳波画面を表示部56に表示し、本提示処理を終了する。
【0141】
図19に示すように、本実施形態に係る脳波画面には、施術を受けている間の被施術者の脳波と生体状態と脳波の種類とが表示される。脳波画面には、受けた施術の内容が更に表示されてもよい。
【0142】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、所定の生体状態が被施術者又は施術者によって予め定められていた。第2の実施形態では、CPU11は被施術者が施術を受けた後に予定している行動予定から、所定の生体状態を決定する。
【0143】
なお、本実施形態に係る情報処理システム100のハードウェア構成については、第1の実施形態に係る構成(
図1~
図4参照。)と同一であるため、ここでの説明を省略する。
【0144】
まず、
図20を参照して、本実施形態の情報処理装置10における情報処理の流れについて説明する。なお、
図20に示す情報処理において、
図5に示す第1の実施形態に係る情報処理と同一の処理を実行するステップについては
図5と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0145】
図5に示す情報処理と
図20に示す情報処理とでは、ステップS104の処理の前にステップS100及びステップS102の処理を適用している点、及びステップS110の処理に代えて、ステップS111の処理を適用している点が異なっている。
【0146】
図20のステップS100において、CPU11は、被施術者の行動予定を取得する。具体的に、CPU11は、端末装置60から、施術を受けた後に予定している被施術者の行動予定を取得する。本実施形態では、行動予定として、デスクワーク、運動、又はデスクワーク及び運動以外の予定の3種類を適用している。しかし、この例に限られない。例えば、行動予定として、これらの予定に加えて、睡眠を適用してもよいし、デスクワーク又はデスクワーク以外の予定の2種類を適用してもよい。また、CPU11は、提示装置50から、被施術者の行動予定を取得してもよい。
【0147】
ステップS102において、CPU11は、被施術者が目標とする生体状態である目標状態を特定する。具体的に、CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶された目標データベースを読み出し、ステップS100において取得した行動予定に関連付けられた目標状態を特定する。
【0148】
図21に目標データベースの構成の一例を示す。目標データベースには、行動予定と目標状態とが関連付けて記憶されている。
図21に示すように、例えば、行動予定がデスクワークである場合、目標状態は集中状態である。そして、行動予定がデスクワーク及び運動以外である場合、目標状態は安静状態である。そして、行動予定が運動である場合、目標状態は緊張状態である。
【0149】
ステップS111において、CPU11は、ステップS108において特定した施術中状態が、ステップS102において特定した目標状態であるか否かを判定する。CPU11は、施術中状態が目標状態である場合(ステップS111:YES)、ステップS112に移行する。一方、CPU11は、施術中状態が目標状態でない場合(ステップS111:NO)、ステップS124に移行する。
【0150】
次に、
図22を参照して、本実施形態の情報処理において実行される推奨情報出力処理の流れについて説明する。なお、
図22に示す推奨情報出力処理において、
図7に示す第1の実施形態に係る推奨情報出力処理と同一の処理を実行するステップについては
図7と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0151】
図7に示す推奨情報出力処理と
図22に示す推奨情報出力処理とでは、ステップS202の処理に代えて、ステップS203の処理を適用している点が異なっている。
【0152】
図22のステップS203において、CPU11は、施術後状態を
図20のステップS102において特定した目標状態に決定する。
【0153】
次に、
図23を参照して、本実施形態の情報処理において実行される施術決定処理の流れについて説明する。なお、
図23に示す施術決定処理において、
図9に示す第1の実施形態に係る施術決定処理と同一の処理を実行するステップについては
図9と同一のステップ番号を付して、その説明を省略する。
【0154】
図9に示す施術決定処理と
図23に示す施術決定処理とでは、ステップS306の処理に代えてステップS307の処理を適用している点、及びステップS310の処理に代えてステップS311の処理を適用している点が異なっている。
【0155】
図23のステップS307において、CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶された第2施術データベースから、施術内容を読み出す。具体的に、CPU11は、第2施術データベースにおいて、施術前状態と、
図20のステップS102において特定した目標状態と、施術中状態と、に関連付けられた施術内容を読み出す。
【0156】
図24に第2施術データベースの構成の一例を示す。第2施術データベースには、施術前状態と施術中状態と目標状態と施術内容とが関連付けて記憶されている。すなわち、第2データベースは、目標状態が関連付けて記憶されている点が、第1の実施形態に係る第1データベースと異なる。
図24に示すように、例えば、施術前状態が興奮状態で、かつ施術中状態が集中状態であり、目標状態が安静状態である場合、被施術者が施術を受ける身体の部位は腰と背中で、強度は相対的に強い強度である。また、空調の設定温度は23[℃]であり、風量は相対的に弱い風量である。また、アロマディフューザーの芳香剤の種類はミントであり、拡散力は相対的に強い拡散力である。また、音楽プレイヤーが流す音楽の曲名は「H」であり、音量は相対的に大きな音量である。
【0157】
ステップS311において、CPU11は、ステップS307において読み出した施術内容に係る施術を受けている間の施術中状態が目標状態以外の生体状態であるか否かを判定する。具体的に、CPU11は、ステップS308において取得した施術履歴において、ステップS307において読み出した施術内容に関連付けられた施術中状態が、目標状態以外の生体状態であるか否かを判定する。CPU11は、ステップS307において読み出した施術内容に係る施術を受けている間の施術中状態が目標状態以外の生体状態である場合(ステップS311:YES)、ステップS313に移行する。一方、CPU11は、ステップS307において読み出した施術内容に係る施術を受けている間の施術中状態が目標状態である、又は当該読み出した施術内容の施術履歴が記憶されていない場合(ステップS311:NO)、ステップS314に移行する。
【0158】
ステップS313において、CPU11は、被施術者に対して行う施術の内容を、他の被施術者の施術中状態が目標状態(すなわち、
図20のステップS102において特定した目標状態)であった施術内容履歴に係る施術内容であって、かつステップS307において読み出した施術内容と異なる施術内容に決定する。なお、CPU11は、被施術者に対して行う施術の内容を、単にステップS307において読み出した施術内容と異なる施術内容に決定してもよい。
【0159】
(変形例)
次に、上記各実施形態の変形例について説明する。
【0160】
上記各実施形態では、被施術者が所定の生体状態になるために施術者が行う施術の内容をCPU11が出力していた。しかし、この例に限られない。例えば、被施術者が所定の生体状態になるためにマッサージチェア又はハンドマッサージャー等の機器が行う施術の内容をCPU11が出力してもよい。上記施術の内容は、被施術者が施術を受ける身体の部位及び強度等である。この場合、CPU11は、当該機器に対して上記施術の内容を出力してもよい。そして、上記施術の内容を受け付けた機器は、被施術者に対し、当該施術の内容に係る強度で、当該施術の内容に係る身体の部位の施術を行ってもよい。
【0161】
また、上記各実施形態では、CPU11は、施術決定処理において決定した施術内容を提示装置50に出力していた。しかし、この例に限られない。例えば、CPU11は、施術内容のうち施術中に稼働する機器の設定情報を、当該機器に対して出力してもよい。そして、当該機器は、受け付けた設定情報で稼働してもよい。
【0162】
上記各実施形態では、生体情報計測装置としての右側イヤホン20Rによって、生体情報としての被施術者の脳波を計測する。しかし、生体情報計測装置によって計測する生体情報は、被施術者の脳波に限らず、被施術者が発する様々な情報を含んでもよい。
【0163】
生体情報は、例えば、脳の活動を示す情報(例えば、脳波、脳の血流量、脳磁場信号等)、脈拍数を示す情報、筋電波形等の筋電情報、唾液に関する情報(例えば唾液量を示す情報)、脈波を示す情報、血圧を示す情報、血流量を示す情報、脈拍を示す情報、心拍数を示す情報、心電波形を示す情報、眼球運動を示す情報、体温を示す情報、発汗量を示す情報、視線を示す情報、音声情報、人の動きを示す情報、又は体液(例えば血液等)から得られる情報等である。
【0164】
また、バイオマーカによって特定される情報が、生体情報として用いられてもよい。生体情報は、被施術者から検出される電位に起因する情報であってもよい。例えば、生体情報は、脳の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である脳波、心臓の拍動に伴い発生する微小電流の測定結果である心電図、筋肉の活動に伴い発生する微小電流の測定結果である筋電図、又は皮膚に生じる微小電流の測定結果である皮膚電位等であってもよい。これらは生体情報の一例に過ぎず、これら以外の生体情報が用いられてもよい。生体情報計測装置は、1又は複数の種類の生体情報を測定する。
【0165】
したがって、生体情報測定装置15は、脳波に代えて上述した生体情報を計測してもよい。また、生体情報測定装置15は、脳波に加えて上述した生体情報を計測してもよい。この場合、情報処理装置10は、脳波と共に計測された生体情報をノイズとして扱ってもよいし、分離してもよい。或いは、情報処理装置10は、脳波と、当該共に計測した生体情報とから被施術者の生体状態を特定してもよい。例えば、生体情報測定装置15が脳波及び眼電位を測定できる場合、情報処理装置10は、被施術者の急速眼球運動及び緩徐眼球運動等における脳波及び眼電位から、被施術者の睡眠状態を特定してもよい。
【0166】
また、上記各実施形態では、施術として、被施術者の触覚を刺激するマッサージを適用していた。しかし、この例に限られない。例えば、施術として、飲食物又はサプリメント等を提供することで被施術者の味覚を刺激する施術、動画の視聴サービスを提供することで被施術者の視覚を刺激する施術、音楽を流すことで被施術者の聴覚を刺激する施術、又はアロマディフューザーを稼働させることで被施術者の臭覚を刺激する施術等を適用してもよい。
【0167】
また、施術として、被施術者にハンドクリームを塗る施術を適用してもよい。この場合、ハンドクリームが被施術者の皮膚を通じて浸透して作用することにより、被施術者の皮膚が潤い心地よくなるという作用を及ぼす。また、施術として、CBD(Cannabidiol)が配合されたオイルの提供を適用してもよい。この場合、CBDが被施術者の神経及び脳等に作用を及ぼすことで、被施術者の心と身体の恒常性を整えるという作用を及ぼす。また、施術として、被施術者に深呼吸をさせる施術を適用してもよい。この場合、被施術者の呼吸を整えることで、安静状態を促すという作用を及ぼす。また、施術として、被施術者に閉眼をさせる施術を適用してもよい。この場合、被施術者の視覚刺激をシャットダウンすることで、安静状態を促すという作用を及ぼす。
【0168】
また、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0169】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0170】
上記各実施形態では、情報処理プログラムがROM12又はストレージ14にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。上記各実施形態に係る情報処理プログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、上記各実施形態に係る情報処理プログラムを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る情報処理プログラムを、通信I/F17を介して外部の装置から取得するようにしてもよい。
【0171】
また、上記各実施形態では、情報処理システム100における処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、情報処理システム100における処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0172】
その他、上記各実施形態で説明した情報処理装置10と、生体情報測定装置15と、端末装置60と、カメラ40と、提示装置50と、の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0173】
また、上記各実施形態で説明した情報処理システム100における処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0174】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0175】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(((1)))
被施術者の生体情報を取得し、
前記生体情報から前記被施術者の生体状態を特定し、
特定した前記生体状態に基づいて、前記被施術者が所定の生体状態になるために機器が行う施術の内容を出力する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【符号の説明】
【0176】
10 情報処理装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 ストレージ
15 生体情報測定装置
16 ケーブル
17 通信I/F
19 バス
20L 左側イヤホン
20R 右側イヤホン
22 スピーカ
24 第一電極部
26 第二電極部
28 基板
30 制御部
32 記憶部
34 通信部
36 脳波演算処理部
38 第三電極部
39 電池
40 カメラ
50 提示装置
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 ストレージ
55 入力部
56 表示部
56A 要望入力欄
56B なしボタン
57 通信I/F
59 バス
60 端末装置
100 情報処理システム
200 施設