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特開2024-94160積層体、センサ、及び積層体の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094160
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】積層体、センサ、及び積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/16 20060101AFI20240702BHJP
   H10N 30/30 20230101ALI20240702BHJP
   H10N 30/857 20230101ALI20240702BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20240702BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240702BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20240702BHJP
   B32B 7/08 20190101ALI20240702BHJP
【FI】
G01L1/16 A
H10N30/30
H10N30/857
B32B7/025
B32B27/00 B
B32B3/24 Z
B32B7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210939
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】竹田 利奈
(72)【発明者】
【氏名】坂本 航士
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA37B
4F100AA37C
4F100AD11B
4F100AD11C
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK01D
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AK54B
4F100AK54C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA26A
4F100BA26B
4F100BA26C
4F100BA26D
4F100BA32
4F100CA02B
4F100CA02C
4F100CA21B
4F100CA21C
4F100CB00
4F100DC16A
4F100DC16D
4F100DG06A
4F100DG06D
4F100DJ00A
4F100DJ00D
4F100EC182
4F100EJ172
4F100GB61
4F100GB66
4F100JB13B
4F100JB13C
4F100JG01
4F100JG01A
4F100JG01B
4F100JG01C
4F100JG01D
4F100JK12A
4F100JK12B
4F100JK17
(57)【要約】
【課題】異なる導電率を有する複数の層を備え、かつ、空隙を有する層を備えた積層体を二次曲面等の曲面に沿って配置するときの耐久性の観点から有利な積層体を提供する。
【解決手段】積層体1aは、第一導電性樹脂層11と、第二導電性樹脂層12とを備えている。第一導電性樹脂層11は空隙11vを有している。第二導電性樹脂層12は、第一導電性樹脂層11の上に配置されている。積層体1aは、その厚さ方向において段階的に増加又は減少する導電率を有する。図1に示す通り、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12は、それらの境界において、機械的結合をなしている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体であって、
空隙を有する第一導電性樹脂層と、
前記第一導電性樹脂層の上に配置された第二導電性樹脂層と、を備え、
前記積層体は、前記積層体の厚さ方向において段階的に増加又は減少する導電率を有し、
前記第一導電性樹脂層及び前記第二導電性樹脂層は、前記第一導電性樹脂層と前記第二導電性樹脂層との境界において、機械的結合をなしている、
積層体。
【請求項2】
前記第二導電性樹脂層は、非多孔層である、
請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記積層体は、10%以上の接触距離を有し、
前記接触距離は、前記積層体の厚さ方向に沿った断面における、前記第一導電性樹脂層と前記第二導電性樹脂層との間の境界長さに対する、前記第一導電性樹脂層と前記第二導電性樹脂層との接触部の距離の比である、
請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記第一導電性樹脂層及び前記第二導電性樹脂層は、10×100Ω/□~10×106Ω/□の表面抵抗率を有する、
請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
前記第一導電性樹脂層は、アスカーCで5~60Cの硬度を有し、
前記第二導電性樹脂層は、非多孔層であり、かつ、アスカーCで40~95Cの硬度を有する、
請求項1に記載の積層体。
【請求項6】
前記第一導電性樹脂層は、繊維集合体、網状構造体、又は多孔質体を含む、
請求項1に記載の積層体。
【請求項7】
28.65mmの曲率半径を有する柱面に沿って前記積層体を変形させたときに、前記第一導電性樹脂層及び前記第二導電性樹脂層が互いに剥離しない、
請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
非多孔層である第三導電性樹脂層をさらに備え、
前記第一導電性樹脂層は、前記積層体の厚さ方向において、前記第二導電性樹脂層と前記第三導電性樹脂層との間に配置されている、又は、
前記第二導電性樹脂層は、前記積層体の厚さ方向において、前記第一導電性樹脂層と前記第三導電性樹脂層との間に配置されている、
請求項1に記載の積層体。
【請求項9】
空隙を有する第四導電性樹脂層をさらに備え、
前記第二導電性樹脂層は、前記積層体の厚さ方向において、前記第一導電性樹脂層と前記第四導電性樹脂層との間に配置されている、
請求項1に記載の積層体。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体を備えた、センサ。
【請求項11】
積層体の製造方法であって、
空隙を有し、かつ、第一導電性樹脂を含む第一層と第二導電性樹脂とを重ね、前記第二導電性樹脂を前記第一層に結合させて第二層を形成することを含み、
前記第二層の導電率は、前記第一層の導電率とは異なり、
前記積層体は、前記積層体の厚さ方向において段階的に増加又は減少する導電率を有する、
積層体の製造方法。
【請求項12】
第三導電性樹脂によって第三層を形成することをさらに含み、
前記第三層の導電率は、前記第一層の導電率及び前記第二層の導電率とは異なり、
前記積層体の厚さ方向において、前記第二層、前記第一層、及び前記第三層がこの順番で配置されている、又は、
前記積層体の厚さ方向において、前記第一層、前記第二層、及び前記第三層がこの順番で配置されている、
請求項11に記載の積層体の製造方法。
【請求項13】
空隙を有し、かつ、第四導電性樹脂を含む第四層を重ねることをさらに含み、
前記第四層の導電率は、前記第一層の導電率及び前記第二層の導電率とは異なり、
前記第二層は、前記積層体の厚さ方向において前記第一層と前記第四層との間に形成される、
請求項11に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、センサ、及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力センサ等のセンサのための部材が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧電部材が記載されている。この圧電部材は、第1導電ゴムシートと、第2導電ゴムシートと、圧電層とを有する。圧電層は、第1導電ゴムシートの主面と第2導電ゴムシートの主面との間に設けられている。圧電層は、第1導電ゴムシートの主面又は第2導電ゴムシートの主面に塗布された圧電性塗料によって形成されている。第1導電ゴムシート又は第2導電ゴムシートを介して圧電層に圧力が印加されると、第1導電ゴムシートと第2導電ゴムシートとの間に電位差が生じる。
【0004】
特許文献2には、シート状の基体の一方の表面に第一の電極と第二の電極を形成した構造を有する圧力センサが記載されている。シート状の基体は、薄肉のゴム又は樹脂エラストマー等で形成されている。
【0005】
特許文献3には、圧力に応じて電気抵抗値が変化するシート状の感圧導電部材が記載されている。この感圧導電部材は、第1のゴム層と、第2のゴム層とが積層されて構成されている。第1のゴム層において、第1のゴム成分に第1の導電性充填剤が分散している。第2のゴム層において、第2のゴム成分に第2の導電性充填剤が分散している。第1のゴム層は、第2のゴム層に比べて電気抵抗値が高い層である。
【0006】
特許文献4には、傾斜多孔質樹脂成形体が記載されている。この傾斜多孔質樹脂成形体において、樹脂中に空孔と導電性粒子とが分散しており、空孔の径が傾斜して分布している。この傾斜多孔質樹脂成形体を用いることにより、応力・ひずみセンサとして測定可能範囲を広げたりすること等が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-140227号公報
【特許文献2】特開2018-146428号公報
【特許文献3】特開2021-4872号公報
【特許文献4】特開2018-39862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧力センサ等のセンシングの分野において腕等の二次曲面又は二次曲面に類似する曲面に沿ってセンシングのための部材を配置することが考えられる。この場合、センシングの感度を高めるために異なる導電率を有する複数の層の積層体をセンシングのための部材として用いることが考えられる。一方、厚さ方向に変形可能な柔軟性を有し、二次曲面等の曲面に沿って変形しやすいように空隙を有する層を備えた積層体を用いることが考えられる。この場合、積層体の耐久性の観点から、積層体において空隙を有する層が剥離しにくいことが重要であると考えられる。特許文献1~4には、異なる導電率を有する層の積層体が空隙を有する層を備えることは記載されていない。
【0009】
そこで、本発明は、異なる導電率を有する複数の層を備え、かつ、空隙を有する層を備えた積層体を二次曲面等の曲面に沿って配置するときの耐久性の観点から有利な積層体を提供する。また、本発明は、そのような積層体を備えたセンサを提供する。また、本発明は、そのような積層体を製造する観点から有利な方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
積層体であって、
空隙を有する第一導電性樹脂層と、
前記第一導電性樹脂層の上に配置された第二導電性樹脂層と、を備え、
前記積層体は、前記積層体の厚さ方向において段階的に増加又は減少する導電率を有し、
前記第一導電性樹脂層及び前記第二導電性樹脂層は、前記第一導電性樹脂層と前記第二導電性樹脂層との境界において、機械的結合をなしている、
積層体を提供する。
【0011】
また、本発明は、
上記の積層体を備えた、センサを提供する。
【0012】
また、本発明は、
積層体の製造方法であって、
空隙を有し、かつ、第一導電性樹脂を含む第一層と第二導電性樹脂とを重ね、前記第二導電性樹脂を前記第一層に結合させて第二層を形成することを含み、
前記第二層の導電率は、前記第一層の導電率とは異なり、
前記積層体は、前記積層体の厚さ方向において段階的に増加又は減少する導電率を有する、
積層体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
上記の積層体は、この積層体を二次曲面等の曲面に沿って配置するときの耐久性の観点から有利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、積層体の一例を示す断面図である。
図2図2は、積層体の使用例を示す図である。
図3図3は、参考例に係る積層体を示す断面図である。
図4図4は、積層体の別の一例を示す断面図である。
図5図5は、積層体のさらに別の一例を示す断面図である。
図6図6は、積層体のさらに別の一例を示す断面図である。
図7図7は、センサの一例を示す断面図である。
図8A図8Aは、積層体の製造方法の一例を模式的に示す図面である。
図8B図8Bは、積層体の製造方法の別の一例を模式的に示す図面である。
図8C図8Cは、積層体の製造方法のさらに別の一例を模式的に示す図面である。
図8D図8Dは、積層体の製造方法のさらに別の一例を模式的に示す図面である。
図9A図9Aは、実施例1に係る積層体の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)像である。
図9B図9Bは、実施例1に係る積層体の断面のTEM像である。
図9C図9Cは、実施例1に係る積層体の断面のTEM像である。
図10A図10Aは、実施例3に係る積層体の断面のTEM像である。
図10B図10Bは、実施例3に係る積層体の断面のTEM像である。
図10C図10Cは、実施例3に係る積層体の断面のTEM像である。
図11図11は、フーリエ変換赤外分光法(FT‐IR)に従って得られた実施例3に係る積層体の接合部位の赤外線吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、下記の説明は、本発明を例示的に説明するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるわけではない。
【0016】
図1に示す通り、積層体1aは、第一導電性樹脂層11と、第二導電性樹脂層12とを備えている。第一導電性樹脂層11は空隙11vを有している。第二導電性樹脂層12は、第一導電性樹脂層11の上に配置されている。積層体1aは、その厚さ方向において段階的に増加又は減少する導電率を有する。図1に示す通り、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12は、それらの境界において、機械的結合をなしている。
【0017】
図2に示す通り、積層体1aは、腕などの二次曲面又は二次曲面に類似する曲面に沿って配置された状態で使用されうる。
【0018】
図3は、参考例に係る積層体3を示す断面図である。積層体3において、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12とは機械的結合をなしておらず、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との間に複数の導電性接着剤20がドット状に配置されている。複数の導電性接着剤20によって、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12とが接合されている。導電性接着剤20の導電率が第一導電性樹脂層11の導電率及び第二導電性樹脂層12の導電率より高い場合、積層体3では、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との間に複数の導電性接着剤20がドット状に配置されていることが積層体3を用いたセンシングの感度の観点からは有利であると考えられる。一方、二次曲面等の曲面に沿って積層体3を配置する場合、積層体3の変形に伴って第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12が互いに剥離する可能性がある。換言すると、積層体3は、二次曲面等の曲面に沿って配置するときの耐久性の観点から有利とは言い難い。
【0019】
上記の通り、積層体1aにおいて、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12は、それらの境界において、機械的結合をなしており、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12が直接接合されている。このため、積層体1aにおいて、二次曲面等の曲面に沿って配置するときに第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12が互いに剥離しにくく、所望の耐久性が発揮されやすい。例えば、28.65mmの曲率半径を有する柱面に沿って積層体1aを配置するときに、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12が互いに剥離しない。加えて、導電性接着剤20の使用を避けることができるので、積層体1aは、製造コストの低減及びリサイクルの観点からも有利である。
【0020】
第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12が機械的結合をなしていることは、例えば、積層体1aの断面における第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との接触部を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察することによって確認できる。例えば、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との接触部において第一導電性樹脂層11に由来する成分と第二導電性樹脂層12に由来する成分との相溶が確認されない場合、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12が機械的結合をなしていると判断できる。
【0021】
第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12は、例えば、互いに異なる導電率を有する。第一導電性樹脂層11の導電率は、第二導電性樹脂層12の導電率より高くてもよいし、第二導電性樹脂層12の導電率より低くてもよい。
【0022】
図1に示す通り、第二導電性樹脂層12は、例えば、非多孔層である。この場合、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12の境界において機械的結合がなされる面積が大きくなりやすい。このため、二次曲面等の曲面に沿って積層体1aを配置するときに第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12が互いにより剥離しにくく、所望の耐久性がより発揮されやすい。
【0023】
積層体1aは、例えば、10%以上の接触距離LCを有している。これにより、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12の境界において機械的結合がなされる面積が大きくなりやすい。このため、積層体1aにおいて、二次曲面等の曲面に沿って配置するときに第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12が互いにより剥離しにくく、所望の耐久性がより発揮されやすい。接触距離LCは、積層体1aの厚さ方向に沿った断面における、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との間の境界長さL1に対する、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との接触部の距離L2の比である。境界長さL1及び距離L2は、積層体1aの厚さ方向に垂直であり、かつ、上記の断面に平行な方向における長さ又は距離である。図1に示す通り、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との境界において、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との複数の接触部が存在する場合、距離L2は、複数の接触部の距離の和である。
【0024】
接触距離LCは、例えば、積層体1aの厚さ方向に沿った断面において、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との境界を含み、かつ、100μm以上の境界長さL1を有する領域を光学顕微鏡で観察することによって決定できる。この場合、複数(例えば、3以上)の領域が無作為に選択されてもよい。
【0025】
積層体1aにおいて、接触距離LCは、12%以上であってもよいし、14%以上であってもよいし、20%以上であってもよい。接触距離LCは、例えば、90%以下であり、85%以下であってもよいし、80%以下であってもよい。接触距離LCは、例えば、10%、12%、14%、及び20%からなる群より選ばれる1つの下限値と、90%、85%、及び80%からなる群より選ばれる1つの上限値とによって定まる範囲に収まっていてもよい。
【0026】
第一導電性樹脂層11の構造は、空隙11vを有する限り、特定の構造に限定されない。第一導電性樹脂層11は、例えば、繊維集合体、網状構造体、又は多孔質体を含んでいる。この場合、第一導電性樹脂層11が柔軟性を有しやすく、ひいては積層体1aが柔軟性を有しやすい。このため、二次曲面等の曲面に沿って積層体1aを配置しやすい。加えて、積層体1aが外力に応じて変形しやすく、積層体1aを用いたセンシングにおいて感度が高くなりやすい。多孔質体は発泡体であってもよいし、非発泡体であってもよい。
【0027】
第一導電性樹脂層11の厚さは特定の値に限定されない。第一導電性樹脂層11の厚さは、例えば0.05mm~10mmであり、0.1mm~5mmであってもよい。
【0028】
第一導電性樹脂層11の密度は特定の値に限定されない。第一導電性樹脂層11の密度は、例えば0.01~2.0g/cm3であり、0.02~1.7g/cm3であってもよく、0.03~1.2g/cm3であってもよい。
【0029】
第二導電性樹脂層12の厚さは特定の値に限定されない。第二導電性樹脂層12の厚さは、例えば0.05mm~10mmであり、0.1mm~5mmであってもよい。
【0030】
第二導電性樹脂層12の密度は特定の値に限定されない。第二導電性樹脂層12の密度は、例えば0.01~2.0g/cm3であり、0.02~1.7g/cm3であってもよく、0.03~1.2g/cm3であってもよい。
【0031】
第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12のそれぞれが有する表面抵抗率は特定の値に限定されない。第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12は、例えば、10×100Ω/□~10×106Ω/□の表面抵抗率を有する。この場合、積層体1aを用いたセンシングにおいて感度が高くなりやすい。
【0032】
第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12のそれぞれが有する表面抵抗率は、5×101Ω/□以上であってもよいし、10×101Ω/□以上であってもよいし、20×101Ω/□以上であってもよい。第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12のそれぞれが有する表面抵抗率は、5×106Ω/□以下であってもよいし、2×106Ω/□以下であってもよいし、10×105Ω/□以下であってもよいし、5×105Ω/□以下であってもよい。第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12のそれぞれが有する表面抵抗率は、10×100Ω/□、5×101Ω/□、10×101Ω/□、及び20×101Ω/□からなる群より選ばれる1つの下限値と、10×106Ω/□、5×106Ω/□、2×106Ω/□、10×105Ω/□、及び5×105Ω/□からなる群より選ばれる1つの上限値とによって定まる範囲に収まっていてもよい。
【0033】
積層体1aの硬度は特定の値に限定されない。積層体1aは、例えば、アスカーCで60C未満の硬度を有する。この場合、積層体1aは、その厚さ方向に変形可能な柔軟性を有しやすく、二次曲面等の曲面に沿って積層体1aを配置しやすい。加えて、積層体1aが外力に応じて変形しやすく、積層体1aを用いたセンシングにおいて感度が高くなりやすい。
【0034】
積層体1aは、アスカーCで、55C以下の硬度を有していてもよく、50C以下の硬度を有していてもよく、45C以下の硬度を有していてもよく、40C以下の硬度を有していてもよい。積層体1aは、アスカーCで、例えば、10C以上の硬度を有し、15C以上の硬度を有していてもよく、20C以上の硬度を有していてもよい。
【0035】
第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12の硬度は特定の値に限定されない。第一導電性樹脂層11は、例えば、アスカーCで5~60Cの硬度を有する。一方、第二導電性樹脂層12が非多孔層であるとき、第二導電性樹脂層12は、例えば、アスカーCで40~95Cの硬度を有する。この場合、積層体1aは、その厚さ方向に変形可能な柔軟性を有しやすく、二次曲面等の曲面に沿って積層体1aを配置しやすい。加えて、積層体1aが外力に応じて変形しやすく、積層体1aを用いたセンシングにおいて感度が高くなりやすい。
【0036】
第一導電性樹脂層11のアスカーCの硬度は、10以上であってもよいし、15C以上であってもよいし、20C以上であってもよいし、25C以上であってもよい。第一導電性樹脂層11のアスカーCの硬度は、55C以下であってもよいし、50C以下であってもよいし、45C以下であってもよいし、40C以下であってもよいし、35C以下であってもよい。
【0037】
第二導電性樹脂層12のアスカーCの硬度は、45C以上であってもよいし、50C以上であってもよいし、55C以上であってもよいし、60C以上であってもよいし、65C以上であってもよいし、70C以上であってもよい。第二導電性樹脂層12のアスカーCの硬度は、90C以下であってもよいし、85C以下であってもよい。
【0038】
積層体1aは、例えば、図4に示す積層体1b、図5に示す積層体1c、又は図6に示す積層体1dのように変更されてもよい。積層体1b、1c、及び1dは、特定に説明する部分を除き、積層体1aと同様に構成されている。積層体1aの構成要素と同一又は対応する積層体1b、1c、及び1dの構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。積層体1aに関する説明は、技術的に矛盾しない限り、積層体1b、1c、及び1dにも当てはまる。
【0039】
図4に示す通り、積層体1bは、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12に加えて、第三導電性樹脂層13をさらに備えている。第三導電性樹脂層13は、非多孔層である。積層体1bにおいて、第一導電性樹脂層11は、積層体1bの厚さ方向において、第二導電性樹脂層12と第三導電性樹脂層13との間に配置されている。このような構成によれば、積層体1bを用いたセンシングの感度を調整できる。
【0040】
例えば、第一導電性樹脂層11及び第三導電性樹脂層13は、第一導電性樹脂層11と第二導電性樹脂層12との境界において、機械的結合をなしている。このため、二次曲面等の曲面に沿って積層体1bを配置しても、第一導電性樹脂層11及び第三導電性樹脂層13が互いに剥離しにくい。
【0041】
積層体1bにおいて、第一導電性樹脂層11の導電率は、例えば、第二導電性樹脂層12の導電率より高く、かつ、第三導電性樹脂層13の導電率より低い。もしくは、第一導電性樹脂層11の導電率は、第二導電性樹脂層12の導電率より低く、かつ、第三導電性樹脂層13の導電率より高い。
【0042】
積層体1bにおいて、第一導電性樹脂層11の表面抵抗率は、例えば、第二導電性樹脂層12の表面抵抗率より高く、かつ、第三導電性樹脂層13の表面抵抗率より低い。もしくは、第一導電性樹脂層11の表面抵抗率は、第二導電性樹脂層12の表面抵抗率より低く、かつ、第三導電性樹脂層13の表面抵抗率より高い。
【0043】
第三導電性樹脂層13の厚さは特定の値に限定されない。その厚さは、例えば0.05mm~10mmであり、0.1mm~5mmであってもよい。
【0044】
第三導電性樹脂層13の密度は特定の値に限定されない。その密度は、例えば0.01~2.0g/cm3であり、0.02~1.7g/cm3であってもよく、0.03~1.2g/cm3であってもよい。
【0045】
第三導電性樹脂層13の表面抵抗率は特定の値に限定されない。その表面抵抗率は、例えば、10×100Ω/□、5×101Ω/□、10×101Ω/□、及び20×101Ω/□からなる群より選ばれる1つの下限値と、10×106Ω/□、5×106Ω/□、2×106Ω/□、10×105Ω/□、及び5×105Ω/□からなる群より選ばれる1つの上限値とによって定まる範囲に収まっていてもよい。
【0046】
積層体1bに関する説明は、技術的に矛盾しない限り、積層体1cにも当てはまる。図5に示す通り、積層体1cによれば、第二導電性樹脂層12は、積層体1cの厚さ方向において第一導電性樹脂層11と第三導電性樹脂層13との間に配置されている。このような構成によれば、積層体1cを用いたセンシングの感度を調整できる。
【0047】
例えば、第二導電性樹脂層12及び第三導電性樹脂層13は、第二導電性樹脂層12と第三導電性樹脂層13との境界において、機械的結合をなしている。このため、二次曲面等の曲面に沿って積層体1cを配置しても、第二導電性樹脂層12及び第三導電性樹脂層13が互いに剥離しにくい。
【0048】
積層体1cにおいて、第二導電性樹脂層12の導電率は、例えば、第一導電性樹脂層11の導電率より高く、かつ、第三導電性樹脂層13の導電率より低い。もしくは、第二導電性樹脂層12の導電率は、第一導電性樹脂層11の導電率より低く、かつ、第三導電性樹脂層13の導電率より高い。
【0049】
積層体1cにおいて、第二導電性樹脂層12の表面抵抗率は、例えば、第一導電性樹脂層11の表面抵抗率より高く、かつ、第三導電性樹脂層13の表面抵抗率より低い。もしくは、第二導電性樹脂層12の表面抵抗率は、第一導電性樹脂層11の表面抵抗率より低く、かつ、第三導電性樹脂層13の表面抵抗率より高い。
【0050】
図6に示す通り、積層体1dは、第一導電性樹脂層11及び第二導電性樹脂層12に加えて、空隙14vを有する第四導電性樹脂層14をさらに備えている。第二導電性樹脂層12は、積層体1dの厚さ方向において、第一導電性樹脂層11と第四導電性樹脂層14との間に配置されている。このような構成によれば、積層体1dを用いたセンシングの感度を調整できる。
【0051】
例えば、第四導電性樹脂層14及び第二導電性樹脂層12は、第四導電性樹脂層14と第二導電性樹脂層12との境界において、機械的結合をなしている。このため、二次曲面等の曲面に沿って積層体1dを配置しても、第四導電性樹脂層14及び第二導電性樹脂層12が互いに剥離しにくい。
【0052】
積層体1dにおいて、第二導電性樹脂層12の導電率は、例えば、第一導電性樹脂層11の導電率より高く、かつ、第四導電性樹脂層14の導電率より低い。もしくは、第二導電性樹脂層12の導電率は、第一導電性樹脂層11の導電率より低く、かつ、第四導電性樹脂層14の導電率より高い。
【0053】
積層体1dにおいて、第二導電性樹脂層12の表面抵抗率は、例えば、第一導電性樹脂層11の表面抵抗率より高く、かつ、第四導電性樹脂層14の表面抵抗率より低い。もしくは、第二導電性樹脂層12の表面抵抗率は、第一導電性樹脂層11の表面抵抗率より低く、かつ、第四導電性樹脂層14の表面抵抗率より高い。
【0054】
第四導電性樹脂層14の厚さは特定の値に限定されない。その厚さは、例えば0.05mm~10mmであり、0.1mm~5mmであってもよい。
【0055】
第四導電性樹脂層14の密度は特定の値に限定されない。その密度は、例えば0.01~2.0g/cm3であり、0.02~1.7g/cm3であってもよく、0.03~1.2g/cm3であってもよい。
【0056】
第四導電性樹脂層14の表面抵抗率は特定の値に限定されない。その表面抵抗率は、例えば、10×100Ω/□、5×101Ω/□、10×101Ω/□、及び20×101Ω/□からなる群より選ばれる1つの下限値と、10×106Ω/□、5×106Ω/□、2×106Ω/□、10×105Ω/□、及び5×105Ω/□からなる群より選ばれる1つの上限値とによって定まる範囲に収まっていてもよい。
【0057】
第四導電性樹脂層14の構造は、空隙14vを有する限り、特定の構造に限定されない。第四導電性樹脂層14は、例えば、繊維集合体、網状構造体、又は多孔質体を含んでいる。この場合、第四導電性樹脂層14が柔軟性を有しやすく、ひいては積層体1dが柔軟性を有しやすい。このため、二次曲面等の曲面に沿って積層体1dを配置しやすい。加えて、積層体1dが外力に応じて変形しやすく、積層体1dを用いたセンシングにおいて感度が高くなりやすい。第四導電性樹脂層14は発泡体を含んでいてもよいし、非発泡体を含んでいてもよい。
【0058】
積層体1a、1b、1c、及び1dにおいて、第一導電性樹脂層11、第二導電性樹脂層12、第三導電性樹脂層13、及び第四導電性樹脂層14のそれぞれは、例えば、樹脂及び導電性フィラーを含む複合材料によって形成されている。この複合材料において樹脂はマトリクスをなしうる。複合材料においてマトリクスをなす樹脂は、特定の樹脂に限定されない。その樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性エラストマーであってもよい。樹脂は、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの混合物であってもよい。
【0059】
複合材料における導電性フィラーの形状は、特定の形状に限定されず、例えば、球状、フレーク状、樹枝状、又は繊維状でありうる。導電性フィラーの例は、金属フィラー、金属で被覆された樹脂フィラー、カーボンナノチューブ、黒鉛、及びカーボンブラックである。黒鉛の形状の例は、例えば、鱗状、針状、繊維状、球状、フレーク状、凝集塊状、及び多孔質状である。金属フィラーの例は、銅粉、銀粉、ニッケル粉、銀コート銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、及び金コートニッケル粉である。
【0060】
図7に示す通り、例えば、積層体1aを備えたセンサ2aを提供できる。センサ2aは、例えば、積層体1aに加えて、電源3と、複数の電極5とを備えている。電源3によって積層体1aの一方の主面には電圧が印加される。複数の電極5は、例えば、積層体1aの他方の主面に沿って所定の間隔で配置されている。
【0061】
例えば、積層体1aの一方の主面の特定箇所に積層体1aが圧縮されるように外力Pが加わると、積層体1aが変形し、その特定箇所における積層体1aの厚み方向における電気抵抗が他の箇所に対して変化しうる。これにより、複数の電極5において特定箇所に対応する電極5の電位が変化する。この電位の変化に基づいて、外力Pの大きさ及び積層体1aの圧縮ひずみ等が測定される。換言すると、センサ2aは、圧力センサ又はひずみセンサとして機能しうる。積層体1b、1c、又は1dを備えたセンサ2aを提供することも可能である。
【0062】
積層体1a、1b、1c、及び1dの製造方法の一例について説明する。
【0063】
図8Aに示す通り、積層体1a、1b、1c、及び1dを製造する方法は、例えば、第一層11aと第二導電性樹脂12rとを重ね、第二導電性樹脂12rを第一層11aに結合させて第二層12aを形成することを含んでいる。第一層11aは、空隙11vを有し、かつ、第一導電性樹脂11rを含んでいる。第二層12aの導電率は、第一層11aの導電率とは異なっている。
【0064】
例えば、スペーサ32によって囲まれた空間に流動性を有する第二導電性樹脂12rが供給され、第二導電性樹脂12rが層状に成形される。その後、第二導電性樹脂12rと第一層11とが重ねられた状態で第二導電性樹脂12rが第一層11aに結合される。第二導電性樹脂12rを第一層11aに結合させるための処理は、加熱処理であってもよいし、冷却処理であってもよい。第二導電性樹脂12rを第一層11aに結合させるときに、第二導電性樹脂12rが第一層11aに対して押圧されてもよい。
【0065】
図8Bに示す通り、積層体1bを製造する方法は、例えば、第三導電性樹脂13rによって第三層13aを形成することをさらに含んでいる。第三層13aの導電率は、第一層11aの導電率及び第二層12aの導電率と異なっている。積層体1bの厚さ方向において、第二層12a、第一層11a、及び第三層13aがこの順番で配置されている。
【0066】
例えば、スペーサ33によって囲まれた空間に流動性を有する第三導電性樹脂13rが供給され、第三導電性樹脂13rが層状に成形される。その後、第二導電性樹脂12rと、第一層11aと、第三導電性樹脂13rとがこの順番で重ねられた状態で第三導電性樹脂13rが第一層11aに結合される。第三導電性樹脂13rを第一層11aに結合させるための処理は、加熱処理であってもよいし、冷却処理であってもよい。第三導電性樹脂13rを第一層11aに結合させるときに、第三導電性樹脂13rが第一層11aに対して押圧されてもよい。例えば、このようにして積層体1bが作製される。
【0067】
図8Cに示す通り、積層体1cを製造する方法は、例えば、第三導電性樹脂13rによって第三層13aを形成することをさらに含んでいる。第三層13aの導電率は、第一層11aの導電率及び第二層12aの導電率と異なっている。積層体1cの厚さ方向において、第一層11a、第二層12a、及び第三層13aがこの順番で配置されている。
【0068】
スペーサ33によって囲まれた空間に流動性を有する第三導電性樹脂13rが供給され、第三導電性樹脂13rが層状に成形される。その後、第一層11と第二導電性樹脂12rとが重ねられた状態で第一層11aに結合されて第二層12aが形成される。加えて、第三導電性樹脂13rが第二層12aに結合されて第三層13aが形成される。第三導電性樹脂13rを第二層12aに結合させるための処理は、加熱処理であってもよいし、冷却処理であってもよい。第三導電性樹脂13rを第二層12aに結合させるときに、第三導電性樹脂13rが第二層12aに対して押圧されてもよい。例えば、このようにして積層体1cが作製される。
【0069】
図8Dに示す通り、積層体1dを製造する方法は、第二層12aを形成することに加えて、第四層14aを積層することをさらに含んでいる。第四層14aは、空隙14vを有し、かつ、第四導電性樹脂14rを含んでいる。第四層14aの導電率は、第一層11aの導電率及び第二層12aの導電率とは異なっている。第二層12aは、積層体1dの厚さ方向において第一層11aと第四層14aとの間に形成される。
【0070】
例えば、第一層11aの上に配置されたスペーサ32によって囲まれた空間に流動性を有する第二導電性樹脂12rが供給され、第二導電性樹脂12rが層状に成形される。次に、第一層11aと第四層14aとの間に第二導電性樹脂12rが位置するように第四層14aが配置される。この状態で、第一層11a及び第四層14aが第二導電性樹脂12rに押圧される。加えて、第二導電性樹脂12rを第一層11a及び第四層14aに結合させるための処理がなされる。この処理は、加熱処理であってもよいし、冷却処理であってもよい。
【実施例0071】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。まず、実施例及び比較例の評価方法について説明する。
【0072】
(機械的結合の有無の確認)
各実施例及び各比較例に係る積層体から積層体の厚さ方向における断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察するための試料を作製し、日立ハイテク社製のTEM HT7820を用いて試料を観察した。この観察において、隣接する層が機械的結合をなしているか否かを確認した。隣接する層に由来する成分が相溶しているか否かを確認し、相溶が確認されない場合には機械的結合がなされていると判断した。
【0073】
(接触距離の測定)
光学顕微鏡を用いて積層体の厚さ方向に延びる断面を観察し、厚み方向に隣り合う層の接触部を特定した。積層体の厚み方向に垂直かつ積層体の断面に平行な方向である特定方向における隣り合う層の境界長さをその接触部の長さで除して接触距離を決定した。接触距離の決定には、隣り合う層の境界を含み、境界長さが100μm以上である画像を選択した。加えて、接触距離の決定のために異なる3つの視野の画像を用いた。結果を表1及び2に示す。
【0074】
(表面抵抗率及び導電率の測定)
日東精工アナリテック社製の抵抗率計MCP-T370を用いて実施例及び比較例に係る積層体の形成に用いた各層の体積抵抗率を求め、この体積抵抗率を各層の厚みで除して各層の表面抵抗率を求めた。加えて、各層の体積抵抗率の逆数を各層の導電率と決定した。結果を表1及び2に示す。
【0075】
(耐久性)
28.65mmの曲率半径を有する柱面に沿って、実施例及び比較例に係る積層体を平面視で13mmの短辺及び60mmの長辺を有する長方形状に切断して得られたサンプルの両端を固定した。このとき、積層体の厚さ方向に垂直な特定方向にサンプルを変形させた。加えて、積層体の厚さ方向において1層目をなす層が柱面に接触するように積層体を変形させた。各積層体をこのように変形させた状態を24時間保った後、積層体の変形を解消させた。その後、積層体の各層の剥離がないかを目視で確認した。結果を表1及び2に示す。
【0076】
(センシング感度の測定)
平板状の電極基板上に実施例及び比較例に係る積層体を化研テック社製の導電性接着剤TK PASETE CN-7120を用いて固定し、センシング感度を評価するための評価用センサを得た。表1において、各積層体の厚さ方向において1層目をなす層が電極基板に最も近い位置に配置された。評価用センサの中央に、導電性シリコーンを含み、かつ、10mmの直径を有する接触子を速度0.6mm/sで積層体の一方の主面から電極基板に向かって移動させ、0~5Nの範囲の荷重を加えた。この場合の評価用センサの中央における電圧の推定値A及び接触子の中心を通り電極基板に垂直な直線上における接触子と電極基板との間の電圧の推定値Bを算出した。荷重が5Nであるときの推定値B5と荷重が0Nであるときの推定値B0との差の絶対値|B0-B5|を5Nで除してセンシング感度を評価した。結果を表1及び2に示す。|B0-B5|/5の値が大きいほどセンシング感度が高いと理解される。
【0077】
(アスカー硬度)
テクロック社製の硬度計GS-701Nを用いて各積層体及び積層体の各層のアスカーCの硬度を測定した。結果を表1及び2に示す。
【0078】
(密度)
アルファーミラージュ社製の電子比重計EW-300SGを用いて各積層体及び積層体の各層の密度を測定した。結果を表1及び2に示す。
【0079】
<実施例1>
DIC社製のポリエーテルポリオール パンデックス GCB-41 98.2質量部と、日本ゼオン社製のカーボンナノチューブ SG-CNT HT1.8質量部と、三井化学社製の1,5ペンタメチレンジイソシアネート(スタビオ D-370N)15質量部との混合物を撹拌しながら脱泡し、混合物A1を得た。混合物A1をスペーサに流し込んで層状に成形し、1mmの厚さを有する樹脂層a1を得た。0.24g/cm3の密度を有する導電性樹脂多孔体b1を樹脂層a1の上に重ねて、410Paの圧力で樹脂層a1及び導電性樹脂多孔体b1の積層体を5分間圧縮した。導電性樹脂多孔体b1の厚さは5mmであった。その後、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a1を硬化させた。次に、DIC社製のポリエーテルポリオール パンデックス GCB-41 99.4質量部と、日本ゼオン社製のカーボンナノチューブ SG-CNT HT 0.6質量部と、三井化学)製の1,5ペンタメチレンジイソシアネート(スタビオ D-370N)15質量部との混合物を撹拌しながら脱泡し、混合物A2を得た。混合物A2をスペーサに流し込んで層状に成形し、1mmの厚さを有する樹脂層a2を得た。樹脂層a2が導電性樹脂多孔体b1に接するように樹脂層a2の上に樹脂層a1及び導電性樹脂多孔体b1の積層体を重ねて、410Paの圧力で樹脂層a1、導電性樹脂多孔体b1、及び樹脂層a2を含む積層体を5分間圧縮した。次に、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a2を硬化させた。このようにして、実施例1に係る積層体を得た。硬化後の樹脂層a1の表面抵抗率は5.6×102Ω/□であり、導電性樹脂多孔体b1の表面抵抗率は4.8×103Ω/□であり、硬化後の樹脂層a2の表面抵抗率は1.9×105Ω/□であった。
【0080】
図9A図9B、及び図9Cは、実施例1に係る積層体の断面のTEM像である。このTEM像において、樹脂層a1と導電性樹脂多孔体b1との境界が確認され、その境界において樹脂層a1と導電性樹脂多孔体b1とが機械的結合をなしていることが確認された。図9Aにおける白色の破線で囲まれた部分及び図9B及び図9Cの白色の実線で示した部分において樹脂層a1と導電性樹脂多孔体b1とが接触していた。加えて、樹脂層a2と導電性樹脂多孔体b1との境界においても、樹脂層a2と導電性樹脂多孔体b1とが機械的結合をなしていることが確認された。
【0081】
<実施例2>
実施例1と同様にして樹脂層a1を準備した。DIC社製のポリエーテルポリオール パンデックス GCB-41 98.8質量部と、日本ゼオン社製のカーボンナノチューブ SG-CNT HT 1.2質量部と、三井化学社製の1,5ペンタメチレンジイソシアネート(スタビオ D-370N)15質量部との混合物を撹拌しながら脱泡し、混合物A3を得た。混合物A3をスペーサに流し込んで層状に成形し、1mmの厚さを有する樹脂層a3を得た。樹脂層a3の上に導電性樹脂多孔体b2を重ねて積層体を得た。410Paの圧力でこの積層体を5分間圧縮した。導電性樹脂多孔体b2の厚さは5mmであり、導電性樹脂多孔体b2の密度は0.06g/cm3であった。次に、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a3を硬化させた。次に、樹脂層a1が樹脂層a3に接するように樹脂層a1の上に樹脂層a3及び導電性樹脂多孔体b2の積層体を重ね、樹脂層a1、樹脂層a3、及び導電性樹脂多孔体b2がこの順番で積層された積層体を得た。410Paの圧力でこの積層体を5分間圧縮した。次に、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a1を硬化させ、実施例2に係る積層体を得た。硬化後の樹脂層a1の表面抵抗率は5.6×102Ω/□であり、硬化後の樹脂層a3の表面抵抗率は7.4×103Ω/□であり、導電性樹脂多孔体b2の表面抵抗率は1.4×105Ω/□であった。
【0082】
実施例2に係る積層体の断面のTEM像によれば、樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b2との境界において、樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b2とが機械的結合をなしていることが確認された。
【0083】
<実施例3>
実施例1と同様にして1mmの厚さを有する樹脂層a2を準備した。実施例2と同様にして1mmの厚さを有する樹脂層a3を準備した。樹脂層a3の上に導電性樹脂多孔体b3を重ねて積層体を得た。導電性樹脂多孔体b3の厚さは5mmであり、導電性樹脂多孔体b3の密度は、0.15g/cm3であった。410Paの圧力でこの積層体を5分間圧縮した。その後、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a3を硬化させた。樹脂層a2が樹脂層a3に接するように樹脂層a3及び導電性樹脂多孔体b3の積層体と樹脂層a2とを重ねて、導電性樹脂多孔体b3、樹脂層a3、及び樹脂層a2がこの順番で積層された積層体を得た。410Paの圧力でこの積層体を5分間圧縮した。その後、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a2を硬化させ、実施例3に係る積層体を得た。導電性樹脂多孔体b3の表面抵抗率は4.0×102Ω/□であり、硬化後の樹脂層a3の表面抵抗率は7.4×103Ω/□であり、硬化後の樹脂層a2の表面抵抗率は1.9×105Ω/□であった。
【0084】
図10A図10B、及び図10Cは、実施例3に係る積層体の断面のTEM像である。このTEM像において導電性樹脂多孔体b3と樹脂層a3との境界が確認され、その境界において導電性樹脂多孔体b3と樹脂層a3とが機械的に結合していることが確認された。図10Aにおける白色の破線で囲まれた部分及び図10B及び図10Cの白色の実線で示した部分において樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b3とが接触していた。導電性樹脂多孔体b3と樹脂層a3との接合部位を含む試料に対してフーリエ変換赤外分光法(FT‐IR)測定用の試料を作製し、接合部位の赤外線吸収スペクトルを得た。結果を図11に示す。図11において、白色の矢印で示す赤外線吸収スペクトルは接合部位の赤外線吸収スペクトルであり、黒色の矢印で示す赤外線吸収スペクトルはポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)について別途測定された赤外線吸収スペクトルである。接合部位の主成分は、樹脂層a3のウレタン樹脂に由来するPTMEGであると理解される。また、破線の矢印で示す吸収ピークはウレタン結合に由来しており、ポリウレタン樹脂に由来していると理解される。
【0085】
<実施例4>
実施例2と同様にして1mmの厚さを有する樹脂層a3を準備した。導電性樹脂多孔体b3と樹脂層a3を重ねて、積層体を得た。410Paの圧力でこの積層体を5分間圧縮した。その後、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a3を硬化させ、実施例4に係る積層体を得た。導電性樹脂多孔体b3の表面抵抗率は4.0×102Ω/□であり、硬化後の樹脂層a3の表面抵抗率は7.4×103Ω/□であった。
【0086】
実施例4に係る積層体の断面のTEM像によれば、樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b3との境界において、樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b3とが機械的結合をなしていることが確認された。
【0087】
<実施例5>
実施例1と同様にして樹脂層a1及び樹脂層a2を得た。導電性樹脂多孔体b1を樹脂層a2の上に重ねて、410Paの圧力で樹脂層a2及び導電性樹脂多孔体b1の積層体を5分間圧縮した。その後、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a2を硬化させた。次に、樹脂層a1が導電性樹脂多孔体b1に接するように樹脂層a2及び導電性樹脂多孔体b1の積層体に樹脂層a1を重ねて、410Paの圧力で樹脂層a2、導電性樹脂多孔体b1、及び樹脂層a1を含む積層体を5分間圧縮した。次に、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a1を硬化させた。このようにして、実施例5に係る積層体を得た。
【0088】
実施例5に係る積層体の断面のTEM像によれば、樹脂層a1と導電性樹脂多孔体b1との境界において、樹脂層a1と導電性樹脂多孔体b1とが機械的結合をなしていることが確認された。加えて、樹脂層a2と導電性樹脂多孔体b1との境界において、樹脂層a2と導電性樹脂多孔体b1とが機械的結合をなしていることが確認された。
【0089】
<実施例6>
実施例4と同様にして混合物A3を調整した。導電性樹脂多孔体b3上に配置されたスペーサに混合物A3を流し込んで層状に成形し、1mmの厚さを有する樹脂層a3を得た。樹脂層a3が導電性樹脂多孔体b2に接するように導電性樹脂多孔体b3及び樹脂層a3の積層体と導電性樹脂多孔体b2とを重ねて、導電性樹脂多孔体b2、樹脂層a3、及び導電性樹脂多孔体b3を含む積層体を410Paの圧力で5分間圧縮した。次に、この積層体の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a3を硬化させた。このようにして、実施例6に係る積層体を得た。
【0090】
実施例6に係る積層体の断面のTEM像によれば、樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b2との境界において、樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b2とが機械的結合をなしていることが確認された。加えて、樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b3との境界において、樹脂層a3と導電性樹脂多孔体b3とが機械的結合をなしていることが確認された。
【0091】
<比較例1>
導電性樹脂多孔体c1と導電性樹脂多孔体c2との間に、化研テック社製の導電性接着剤TK PASTE CN-7120を正方形格子をなすように25箇所にドット状に配置して、導電性樹脂多孔体c1と導電性樹脂多孔体c2とを接合した。同様に、導電性樹脂多孔体c2と、導電性樹脂多孔体c3との間に、化研テック社製の導電性接着剤TK PASTE CN-7120を正方形格子をなすように25箇所にドット状に配置して、導電性樹脂多孔体c2と導電性樹脂多孔体c3とを接合した。このようにして比較例1に係る積層体を得た。導電性樹脂多孔体c1の表面抵抗率は5.6×102Ω/□であった。導電性樹脂多孔体c2の表面抵抗率は4.8×103Ω/□であった。導電性樹脂多孔体c3の表面抵抗率は1.4×105Ω/□であった。導電性接着剤の抵抗率は5×10-4Ω・cmであった。
【0092】
<比較例2>
実施例4と同様にして1mmの厚さを有する樹脂層a3を得た。樹脂層a3の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a3を硬化させた。次に、実施例1と同様にして混合物A1を調製した。樹脂層a3の上に配置されたスペーサに混合物A1を流し込んで層状に成形し、1mmの厚さを有する樹脂層a1を得た。樹脂層a1に600Paの圧縮応力を5分間加えた。その後、樹脂層a1の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a1を硬化させた。次に、実施例1と同様にして混合物A2を調製した。樹脂層a1が接する主面と反対側の樹脂層a3の主面上に配置されたスペーサに混合物A2を流し込み、1mmの厚さを有する樹脂層a2を得た。樹脂層a2に600Paの圧縮応力を5分間加えた。その後、樹脂層a2の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a2を硬化させた。このようにして比較例2に係る積層体を得た。硬化後の樹脂層a1の表面抵抗率は5.6×102Ω/□であった。硬化後の樹脂層a3の表面抵抗率は7.4×103Ω/□であった。硬化後の樹脂層a2の表面抵抗率は1.9×105Ω/□であった。
【0093】
<比較例3>
実施例1と同様にして混合物A1を調製した。スペーサに混合物A1を流し込んで層状に成形し、1mmの厚さを有する樹脂層a1を得た。樹脂層a1の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a1を硬化させた。実施例1と同様にして混合物A2を調製した。スペーサに混合物A2を流し込んで層状に成形し、1mmの厚さを有する樹脂層a2を得た。樹脂層a2の環境の温度を80℃に1時間保ち、樹脂層a2を硬化させた。樹脂層a1と導電性樹脂多孔体b1との間に、化研テック社製の導電性接着剤TK PASETE CN-7120を正方形格子をなすように25箇所にドット状に配置して、樹脂層a1と導電性樹脂多孔体b2とを接合した。同様に、導電性樹脂多孔体b1と、樹脂層a2との間に、化研テック社製の導電性接着剤TK PASETE CN-7120を正方形格子をなすように25箇所にドット状に配置して、導電性樹脂多孔体b1と樹脂層a2とを接合した。このようにして比較例3に係る積層体を得た。樹脂層a1の表面抵抗率は5.6×102Ω/□であった。導電性樹脂多孔体b1の表面抵抗率は4.8×103Ω/□であった。樹脂層a2の表面抵抗率は1.9×105Ω/□であった。導電性接着剤の抵抗率は5×10-4Ω・cmであった。
【0094】
表1及び2に示す通り、各実施例に係る積層体は所定のセンシング感度を発揮しうることが示唆された。加えて、柱面に沿って各実施例に係る積層体を変形させても層同士が剥離しにくく、二次曲面等の曲面に沿った配置において積層体が所望の耐久性を発揮しうることが示唆された。一方、層同士の接合に導電性接着剤が用いられた比較例1及び3に係る積層体を柱面に沿って変形させると層同士の剥離が確認され、これらの積層体は耐久性の観点から有利であるとは言い難かった。
【0095】
比較例2に係る積層体の硬度は高く、これらの積層体は厚さ方向に変形可能な柔軟性の観点から有利であるとは言い難かった。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
本発明の第1側面は、
積層体であって、
空隙を有する第一導電性樹脂層と、
前記第一導電性樹脂層の上に配置された第二導電性樹脂層と、を備え、
前記積層体は、前記積層体の厚さ方向において段階的に増加又は減少する導電率を有し、
前記第一導電性樹脂層及び前記第二導電性樹脂層は、前記第一導電性樹脂層と前記第二導電性樹脂層との境界において、機械的結合をなしている、
積層体を提供する。
【0099】
本発明の第2側面は、
前記第二導電性樹脂層は、非多孔層である、
第1側面に係る積層体を提供する。
【0100】
本発明の第3側面は、
前記積層体は、10%以上の接触距離を有し、
前記接触距離は、前記積層体の厚さ方向に沿った断面における、前記第一導電性樹脂層と前記第二導電性樹脂層との間の境界長さに対する、前記第一導電性樹脂層と前記第二導電性樹脂層との接触部の距離の比である、
第1側面又は第2側面に係る積層体を提供する。
【0101】
本発明の第4側面は、
前記第一導電性樹脂層及び前記第二導電性樹脂層は、10×100Ω/□~10×106Ω/□の表面抵抗率を有する、
第1側面~第3側面のいずれか1つに係る積層体を提供する。
【0102】
本発明の第5側面は、
前記第一導電性樹脂層は、アスカーCで5~60Cの硬度を有し、
前記第二導電性樹脂層は、非多孔層であり、かつ、アスカーCで40~95Cの硬度を有する、
第1側面~第4側面のいずれか1つに係る積層体を提供する。
【0103】
本発明の第6側面は、
前記第一導電性樹脂層は、繊維集合体、網状構造体、又は多孔質体を含む、
第1側面~第5側面のいずれか1つに係る積層体を提供する。
【0104】
本発明の第7側面は、
28.65mmの曲率半径を有する柱面に沿って前記積層体を変形させたときに、前記第一導電性樹脂層及び前記第二導電性樹脂層が互いに剥離しない、
第1側面~第6側面のいずれか1つに係る積層体を提供する。
【0105】
本発明の第8側面は、
非多孔層である第三導電性樹脂層をさらに備え、
前記第一導電性樹脂層は、前記積層体の厚さ方向において、前記第二導電性樹脂層と前記第三導電性樹脂層との間に配置されている、又は、
前記第二導電性樹脂層は、前記積層体の厚さ方向において、前記第一導電性樹脂層と前記第三導電性樹脂層との間に配置されている、
第1側面~第7側面のいずれか1つに係る積層体を提供する。
【0106】
本発明の第9側面は、
空隙を有する第四導電性樹脂層をさらに備え、
前記第二導電性樹脂層は、前記積層体の厚さ方向において、前記第一導電性樹脂層と前記第四導電性樹脂層との間に配置されている、
第1側面~第7側面のいずれか1つに係る積層体を提供する。
【0107】
本発明の第10側面は、
第1側面~第8側面のいずれか1つに係る積層体を備えた、センサを提供する。
【0108】
本発明の第11側面は、
積層体の製造方法であって、
空隙を有し、かつ、第一導電性樹脂を含む第一層と第二導電性樹脂とを重ね、前記第二導電性樹脂を前記第一層に結合させて第二層を形成することを含み、
前記第二層の導電率は、前記第一層の導電率とは異なり、
前記積層体は、前記積層体の厚さ方向において段階的に増加又は減少する導電率を有する、
積層体の製造方法を提供する。
【0109】
本発明の第12側面は、
第三導電性樹脂によって第三層を形成することをさらに含み、
前記第三層の導電率は、前記第一層の導電率及び前記第二層の導電率とは異なり、
前記積層体の厚さ方向において、前記第二層、前記第一層、及び前記第三層がこの順番で配置されている、又は、
前記積層体の厚さ方向において、前記第一層、前記第二層、及び前記第三層がこの順番で配置されている、
第11側面に係る積層体の製造方法を提供する。
【0110】
本発明の第13側面は、
空隙を有し、かつ、第四導電性樹脂を含む第四層を重ねることをさらに含み、
前記第四層の導電率は、前記第一層の導電率及び前記第二層の導電率とは異なり、
前記第二層は、前記積層体の厚さ方向において前記第一層と前記第四層との間に形成される、
第11側面に係る積層体の製造方法を提供する。
【符号の説明】
【0111】
1a、1b、1c、1d 積層体
2a センサ
11 第一導電性樹脂層
11a 第一層
11r 第一導電性樹脂
11v 空隙
12 第二導電性樹脂層
12a 第二層
12r 第二導電性樹脂
13 第三導電性樹脂層
13a 第三層
13r 第三導電性樹脂
14 第四導電性樹脂層
14a 第四層
14r 第四導電性樹脂
14v 空隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11