(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094162
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ショベル、及びショベルの遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20240702BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E02F9/22 C
E02F9/20 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210943
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】原 孝介
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB02
2D003AB04
2D003AC06
2D003BA03
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003DB08
2D003DC07
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】作業効率の向上を実現する。
【解決手段】一態様に係るショベルは、下部走行体と、下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、当該ショベルの周辺に存在する第1の土砂形状を取得する周辺監視装置と、を備え、記憶部に記憶された第2の土砂形状と、第1の土砂形状と、に基づいて、第1の土砂形状を形成している土砂の特性を示したパラメータを推定するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
当該ショベルの周辺に存在する第1の土砂形状を取得する周辺監視装置と、を備え、
記憶部に記憶された第2の土砂形状と、前記第1の土砂形状と、に基づいて、前記第1の土砂形状を形成している土砂の特性を示したパラメータを推定するように構成されている、
ショベル。
【請求項2】
前記パラメータに基づいて、前記アタッチメントを移動させる軌跡を生成する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記パラメータは、前記第1の土砂形状を構成している区画毎に、前記アタッチメントによる掘削が容易か否かの判断の基準が示されている、
請求項1又は2に記載のショベル。
【請求項4】
前記第1の土砂形状を構成している前記区画のうち、前記第2の土砂形状と比べて、土砂が増加した領域については、前記アタッチメントによる掘削が容易であることが示した前記パラメータが推定されている、
請求項3に記載のショベル。
【請求項5】
前記第1の土砂形状を構成している前記区画毎に、前記パラメータが表された情報を、外部の装置に出力する、
請求項3に記載のショベル。
【請求項6】
前記記憶部に記憶された前記第2の土砂形状は、前記ショベルが掘削作業を行う前に、前記周辺監視装置によって取得された前記ショベルの周辺の計測結果を示している、
請求項1に記載のショベル。
【請求項7】
ショベルと、当該ショベルを操作可能な通信端末と、を備えたショベルの遠隔操作システムであって、
前記ショベルは、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、
前記ショベルの周辺に存在する第1の土砂形状を取得する周辺監視装置と、
記憶部に記憶された第2の土砂形状と、前記第1の土砂形状と、に基づいて、前記第1の土砂形状を形成している土砂の特性を示したパラメータを推定し、前記パラメータを送信するように構成されている制御部と、を備え、
前記通信端末は、
受信した前記パラメータを用いて処理を行うように構成されている、
ショベルの遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル、及びショベルの遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ショベルによる作業を支援するための技術が提案されている。例えば、ショベルによって掘削作業を自動で行う技術等が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載されているような掘削作業を自動で行う技術の他にも、操作者の操作をアシストする等、ショベルの掘削作業の負担を軽減するために様々な技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、掘削対象となる土砂の特性を考慮して掘削作業を行う技術ではない。例えば、掘削等によって動きが生じた土砂は空気を多く含んでいるため柔らかいという特性を有していると想定される。土砂の特性によってはショベルのアタッチメントで一度に掘削できる量などに変化が生じる可能性がある。換言すれば土砂の特性を認識した上で作業を行う場合、作業効率を向上させることができると考えられる。
【0005】
上述に鑑み、土砂の特性を表したパラメータを推定することで、当該土砂に対する作業効率の向上を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るショベルは、下部走行体と、下部走行体に旋回自在の搭載される上部旋回体と、上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、当該ショベルの周辺に存在する第1の土砂形状を取得する周辺監視装置と、を備え、記憶部に記憶された第2の土砂形状と、第1の土砂形状と、に基づいて、第1の土砂形状を形成している土砂の特性を示したパラメータを推定するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、土砂の特性を表したパラメータを推定することで、当該土砂に対する作業効率の向上を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るショベル(掘削機)を示す側面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るショベルのコントローラの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る前方空間認識装置の計測結果の概念を示した図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る補間部による土砂の高さの補間の概念を説明した図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るコントローラにより特定された固い土砂の高さ及び柔らかい土砂の高さの概念を説明した図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るショベルによる、施工前と施工後とによる土砂の高さの特定結果の変化を示した図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る軌跡生成部によって生成された移動軌跡の第1例を示した図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る軌跡生成部によって生成された移動軌跡の第2例を示した図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る軌跡生成部によって生成された移動軌跡の第3例を示した図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る軌跡生成部によって生成された移動軌跡の第4例を示した図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係るショベルの掘削を行う前の処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【
図13】
図13は、第1の実施形態に係るショベルの掘削を行う後の処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【
図14】
図14は、第1の実施形態の変形例2に係る複数のショベルが連携して施工を行う概念を示した図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係る遠隔操作システムの一例を示す概要図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態に係る表示装置に表示された画面例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る建設機械としてのショベル100を示している。ショベル100の下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0011】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成している。ブーム4はブームシリンダ7により駆動され、アーム5はアームシリンダ8により駆動され、バケット6はバケットシリンダ9により駆動される。
【0012】
ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケットリンクにはバケット角度センサS3が取り付けられている。上部旋回体3には、旋回角速度センサS4が取り付けられている。
【0013】
ブーム角度センサS1は、姿勢検出センサの1つであり、ブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサであり、ブームシリンダ7のストローク量に基づいて上部旋回体3とブーム4とを連結するブームフートピン回りのブーム4の回動角度を導き出す。
【0014】
アーム角度センサS2は、姿勢検出センサの1つであり、アーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は、アームシリンダ8のストローク量を検出するストロークセンサであり、アームシリンダ8のストローク量に基づいてブーム4とアーム5とを連結する連結ピン回りのアーム5の回動角度を導き出す。
【0015】
バケット角度センサS3は、姿勢検出センサの1つであり、バケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は、バケットシリンダ9のストローク量を検出するストロークセンサであり、バケットシリンダ9のストローク量に基づいてアーム5とバケット6とを連結する連結ピン回りのバケット6の回動角度を導き出す。
【0016】
なお、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3のそれぞれは、ロータリエンコーダ、加速度センサ、ポテンショメータ(可変抵抗器)、傾斜センサ、又は、慣性計測装置等であってもよい。慣性計測装置は、例えば、加速度センサとジャイロセンサとの組み合わせで構成されていてもよい。
【0017】
旋回角速度センサS4は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。本実施形態では、旋回角速度センサS4は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS4は、旋回角速度に基づいて旋回角度を算出するように構成されていてもよい。旋回角速度センサS4は、ロータリエンコーダ等の他のセンサで構成されていてもよい。
【0018】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10、エンジン11、測位装置S5、空間認識装置C1、及び通信装置T1等が搭載されている。また、キャビン10内には、コントローラ30が搭載されている。また、キャビン10内には、運転席及び操作装置等が設置されている。
【0019】
エンジン11は、ショベル100の駆動源の一例である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。本実施形態では、エンジン11を搭載したショベル100について説明する。しかしながら、本実施形態は、駆動源をエンジン11に制限するものではない。例えば、ショベルの駆動源として、電動モータを搭載してもよい。つまり、本実施形態を示す技術を、電動ショベルに適用してもよい。
【0020】
測位装置S5は、ショベル100の位置を測定するように構成されている。本実施形態では、測位装置S5は、GNSS(Global Navigation Satellite System)コンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを測定できるように構成されている。取得する位置及び向きは、例えば、世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向に、Y軸を東経90度の方向に、そして、Z軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。
【0021】
空間認識装置C1は、ショベル100の周囲の空間の状態を認識するように構成されている。空間認識装置C1は、ショベル100の後方の空間の検知を行う後方空間認識装置C1B、ショベル100の左方の空間の検知を行う左方空間認識装置C1L、ショベル100の右方の空間の検知を行う右方空間認識装置C1R、及び、ショベル100の前方の空間の検知を行う前方空間認識装置C1Fを含む。
【0022】
空間認識装置C1は、ショベル100の周辺に存在する物体を検出するためにLIDARを用いてもよい。LIDARは、例えば、監視範囲内にある100万点以上の点とLIDARとの間の距離を測定する。なお、本実施形態は、LIDARを用いる手法に制限するものではなく、物体との間の距離を計測可能な空間認識装置であればよい。例えば、ステレオカメラを用いてもよいし、距離画像カメラ、又はミリ波レーダなどの測距装置を用いてもよい。空間認識装置C1としてミリ波レーダ等が利用される場合には、空間認識装置C1から多数の信号(レーザ光等)を物体に向けて発信し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を導き出してもよい。
【0023】
後方空間認識装置C1Bは、上部旋回体3の上面の後端に取り付けられる。左方空間認識装置C1Lは、上部旋回体3の上面の左端に取り付けられる。右方空間認識装置C1Rは、上部旋回体3の上面の右端に取り付けられる。前方空間認識装置C1Fは、キャビン10の上面の前端に取り付けられる。
【0024】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある機器との通信を制御するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1は、無線通信網を介し、通信装置T1とショベル100の外部にある機器との間の無線通信を制御するように構成されている。通信装置T1は、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する移動体通信モジュールや衛星通信網に接続するための衛星通信モジュール等を含む。
【0025】
表示装置D1は、コントローラ30からの指令に応じて各種画像情報を出力する。本実施形態では、表示装置D1は、コントローラ30に直接接続される車載液晶ディスプレイである。
【0026】
記憶装置D2は、各種情報を記憶するための装置である。本実施形態では、記憶装置D2として、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体が用いられる。記憶装置D2は、コントローラ30等が出力する各種情報を記憶してもよい。
【0027】
コントローラ30は、各種演算を実行する演算装置である。コントローラ30は、例えば、キャビン10内に設けられ、ショベル100の駆動制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、その組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び各種入出力用のインターフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、不揮発性の補助記憶装置にインストールされる各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0028】
図2は、
図1のショベル100の駆動制御系の構成例を示す図である。
図2において、機械的動力伝達系は二重線、作動油ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は点線でそれぞれ示される。
【0029】
本実施形態に係るショベル100の駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
【0030】
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
【0031】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(傾転角)を調節する。
【0032】
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30による制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることでピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御される。
【0033】
コントロールバルブ17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブ17は、制御弁171~176を含む。コントロールバルブ17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171~176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行油圧モータ1L、1R、及び旋回油圧モータ2Aを含む。より具体的には、制御弁171は、左走行油圧モータ1Lに対応し、制御弁172は、右走行油圧モータ1Rに対応し、制御弁173は、旋回油圧モータ2Aに対応する。また、制御弁174は、バケットシリンダ9に対応し、制御弁175は、ブームシリンダ7に対応し、制御弁176は、アームシリンダ8に対応する。
【0034】
パイロットポンプ15は、パイロット圧生成装置の一例であり、パイロットラインを介して油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロット圧生成装置は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給する機能に加え、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給する機能を備えていてもよい。この場合、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。
【0035】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも一方を含む。
【0036】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出するように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0037】
操作センサ29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出するように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。本実施形態では、コントローラ30は、操作センサ29の出力に応じて比例弁31の開口面積を制御する。そして、コントローラ30は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、原則として、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。このように、操作装置26は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。
【0038】
マシンコントロール用制御弁として機能する比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17内の制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。
【0039】
本実施形態では、コントローラ30は、複数の電磁弁のそれぞれの開口面積を個別に制御することで、各制御弁のパイロットポートに作用するパイロット圧を制御することができる。そのため、コントローラ30は、各油圧アクチュエータに流入する作動油の流量、及び、各油圧アクチュエータから流出する作動油の流量を制御することができ、ひいては、各油圧アクチュエータの動きを制御することができる。
【0040】
コントローラ30は、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブ17内の制御弁のパイロットポートに供給できる。つまり、コントローラ30は、操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。
【0041】
従って、コントローラ30は、操作装置26からの操作に応じて、又は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、ブーム4の上げ下げ、アーム5の開閉、バケット6の開閉、上部旋回体3の旋回、及び下部走行体1の走行等を実現できる。さらには、コントローラ30は、外部の通信端末から受信した操作信号に応じて、ブーム4の上げ下げ、アーム5の開閉、バケット6の開閉、上部旋回体3の旋回、及び下部走行体1の走行等を実現できる。
【0042】
また、コントローラ30は、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
【0043】
また、コントローラ30は、例えば、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能に関する制御を行ってもよい。また、コントローラ30は、例えば、操作者による操作装置26を通じたショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能に関する制御を行ってもよい。
【0044】
なお、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散される態様で実現されてもよい。例えば、マシンガイダンス機能及びマシンコントロール機能は、専用のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。
【0045】
<コントローラのブロック構成>
ショベル100に搭載されているコントローラ30が有する機能について説明する。
図3は、本実施形態に係るショベル100のコントローラ30の構成例を示す機能ブロック図である。
【0046】
コントローラ30の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、コントローラ30のCPUにて実行されるプログラムにて実現される。または各機能ブロックをワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。
図3に示すように、コントローラ30は、取得部301と、補間部302と、特定部303と、算出部304と、軌跡生成部305と、制御部306と、出力部307と、を備える。
【0047】
また、記憶装置D2は、土砂高さ情報記憶部D21と設計情報記憶部D22とを備える。土砂高さ情報記憶部D21は、施工前のショベル100周辺の土砂の高さ情報を記憶している。具体的な高さ情報については後述する。設計情報記憶部D22は、ショベル100の施工後の土砂形状を示した情報を記憶している。
【0048】
本実施形態は、設計情報記憶部D22に記憶された施工後の土砂形状を形成するように、コントローラ30が自動制御を行う例とする。なお、本実施形態は、コントローラ30の制御の一例を示したものであって、自動制御を行う例に制限するものではない。
【0049】
取得部301は、ショベル100内の各種構成の信号を取得する。例えば、取得部301は、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、バケット角度センサS3の各々から角度の測定結果を取得する。さらには、取得部301は、旋回角速度センサS4から上部旋回体3の旋回角の測定結果を取得する。
【0050】
取得部301は、測位装置S5から、ショベル100の現在位置の緯度、経度、及び高度、並びにショベル100の向きを示した測定結果を取得する。
【0051】
取得部301は、記憶装置D2から情報の読み出しを行う。さらに、取得部301は、操作センサ29から、操作信号を取得する。これにより、コントローラ30は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を認識できる。また、取得部301は、通信装置T1を介して、外部装置からの通信情報を取得する。
【0052】
さらに、取得部301は、空間認識装置C1からショベル100の周辺に存在する物体(例えば土砂)の高さの測定結果を取得する。本実施形態に係る物体の高さとは、例えば、ショベル100が設置している水平面を基準とし、当該水平面からの垂直方向(高さ方向)の長さとする。当該高さは、正の値でも負の値でもよい。以降で示される物体の高さも同様とする。
【0053】
図4は、本実施形態に係る前方空間認識装置C1Fの計測結果の概念を示した図である。
図4に示されるように、前方空間認識装置C1Fは、ショベル100の前方領域1401について所定の区画(例えば、0.05m×0.05m)毎に、当該区画に存在する物体の高さを測定する。本実施形態は、空間認識装置C1が物体(例えば土砂)の高さを測定する領域(例えば、前方領域1401)の広さを制限するものではなく、空間認識装置C1の性能等に基づいて定められれば良い。なお、本実施形態は、区画のサイズを制限するものではなく、任意のサイズでよい。
図4に示される例では、前方空間認識装置C1Fの計測結果について説明するが、他の空間認識装置C1R、C1L、C1Bの測定結果を用いて同様の処理を行ってもよい。
【0054】
図3に戻り、取得部301は、ショベル100が施工を行う前に、ショベル100の周辺に存在する物体(例えば土砂)の高さの測定結果を取得する。
【0055】
一般的に、ショベル100がバケット6で土砂の掘削を行う際、バケット6で掘削された土砂、バケット6から零れ落ちた土砂、ショベル100によって積み上げられた土砂、バケット6で掘削された近傍に存在する土砂等は、掘削される前の土砂と比べて柔らかくなる。これは、土砂の掘削によって土砂に対する空気の含有率や土砂に含まれている水分が変化することで生じるものである。つまり、本実施形態においては、施工前の土砂は、固いという特性を有しているものとみなし、施工によって移動した土砂は柔らかいという特性を有しているとみなす。
【0056】
そこで、取得部301は、ショベル100が施工を行う前に、ショベル100の周辺の区画毎に固い土砂の高さの測定結果を取得する。
【0057】
補間部302は、空間認識装置C1による検出対象である領域のうち、土砂(物体)の高さが検出できなかった区画について、物体の高さを補間する。
【0058】
図5は、補間部302による土砂の高さの補間の概念を説明した図である。
図5に示される例では、施工前に、固い土砂形状1501Aに対して空間認識装置C1が測定を行う例とする。なお、本実施形態で示される測定は、空間認識装置C1F、C1R、C1L、C1Bのうちいずれか一つ以上が行えばよい。
【0059】
図5に示される例では、区画R11~R17が固い土砂の高さの特定対象となる。空間認識装置C1が発信する信号(レーザ光等)1511~1515を示している。空間認識装置C1が発信する信号1511~1515によって、区画R11の高さh1、区画R12の高さh2、区画R14の高さh4、区画R15の高さh5、区画R17の高さh7が測定されている。そして、区画R13及び区画R16が、土砂の高さを測定できなかった区画である。つまり、空間認識装置C1が区画毎に土砂の高さを検出する際に発信する信号の間隔、又は周辺の土砂の高さによって、空間認識装置C1が土砂の高さが検出できない場合がある。この場合、補間部302が土砂の高さを補間する。
【0060】
図5に示される例では、補間部302が、区画R13及び区画R16に対して、土砂の高さを補間する。具体的には、空間認識装置C1の信号1513が、区画R13で土砂に当たらなかったので、補間部302は、信号1513が区画R13を通る際に最も低い位置1521までの高さh3を、区画R13の高さとみなす。
図5に示されるように、補間された高さh3と、実際の土砂形状1501Aの区画R13の高さと、は異なる。しかしながら、補間された高さh3まで土砂が存在するものみなして施工を行うことで、推定された固い土砂の高さが、実際の固い土砂の高さよりも高くなることを抑制する。これにより、コントローラ30は、固い土砂が推定よりも多いことに基づいたアタッチメントの動作の低下を抑制できるので、ショベル100の掘削効率の低減を抑制できる。
【0061】
同様に、空間認識装置C1の信号1515が、区画R16で土砂に当たらなかったので、補間部302は、信号1516が区画R16を通る際に最も低い位置1522までの高さh6を、区画R16の高さとみなす。
【0062】
補間部302は、空間認識装置C1で物体の高さの測定対象となっている領域のうち、高さを測定できなかった区画全てについて、高さを補間する。これによって、コントローラ30は、施工前のショベル100の周辺について区画単位で土砂の高さを認識できる。
【0063】
図3に戻り、特定部303は、取得部301が取得した空間認識装置C1の測定結果と、補間部302による区画の高さの補間結果と、に基づいて、ショベル100の周辺の区画毎に、固い土砂の高さを特定し、特定結果を、土砂高さ情報記憶部D21に登録する。これにより、施工前の固い土砂の高さの情報が保存される。
【0064】
このように、土砂高さ情報記憶部D21は、ショベル100が掘削作業を行う前に、空間認識装置C1(周辺監視装置の一例)によって取得されたショベル100の周辺の計測結果、及び補間部302による補間結果に基づいた、施工前の土砂形状(第2の土砂形状の一例)を記憶している。本実施形態は、空間認識装置C1による計測結果、及び補間部302による補間結果を記憶する例について説明するが、空間認識装置C1による計測結果による土砂形状のみを記憶してもよい。
【0065】
本実施形態においては、ショベル100の施工が開始された後も、コントローラ30が、空間認識装置C1の測定結果に基づいて、ショベル100の周辺の区画毎の高さを特定する。その際、施工前と比べて高くなっている区画は、ショベル100の施工によって土砂が積み上げられた区画、又は土砂が零れ落ちた区画などと考えられる。そこで、本実施形態では、施工が開始された後、施工前と比べて高くなった区画については、柔らかい土砂が配置された区画とみなす。
【0066】
このように、本実施形態に係るコントローラ30は、土砂高さ情報記憶部D21に記憶された区画毎の土砂の高さを表した土砂形状(第2の土砂形状の一例)と、取得部301及び補間部302により導出された区画毎の現在の土砂の高さを表した土砂形状(第1の土砂形状の一例)と、に基づいて、現在の土砂形状の形成している土砂の特性を示したパラメータを推定する。推定される土砂の特性を示したパラメータは、例えば、当該土砂が固い又は柔らかいとする。本実施形態において、固いとは、例えば、施工前の土砂であること又は締固められた土砂であることを示し、柔らかいとは、例えば、締固められた土砂と比べて柔らかい土砂であること(掘削又は崩れたことによって柔らかくなった)を示している。
【0067】
本実施形態は、推定する土砂の特性のパラメータの一例を示したものであって、固い又は柔らかいに制限するものではない。土砂の特性を示したパラメータは、取得結果及び補間結果による土砂形状を構成している区画毎に、バケット6による掘削が容易か否かを判断する基準となるパラメータであればよい。例えば、土砂の特性を示したパラメータとして、土砂の空気の含有率を推定してもよい。コントローラ30が、推定された土砂の特性のパラメータを用いることで、バケット6の適切な移動軌跡の生成が容易になる。次に、区画毎の土砂の特性の推定手順について説明する。
【0068】
図6は、本実施形態に係るコントローラ30により特定された固い土砂の高さ及び柔らかい土砂の高さの概念を説明した図である。
図6に示される例では、施工中に、土砂形状1601Aに対して空間認識装置C1が測定を行う例とする。土砂形状1601Aは、施工前の土砂形状1501Aと比べて、区画R13、R14で土砂の高さが高くなり、区画R15、R16、R17で土砂の高さが低くなっている。
図6で示される領域では、ショベル100による施工によって固い土砂1601Hと、柔らかい土砂1601Sと、が存在している。そこで、本実施形態に係るコントローラ30は、区画毎に、固い土砂1601Hと、柔らかい土砂1601Sの各々の高さを導出する。
【0069】
図6に示される例では、区画R11~R17が土砂の高さの特定対象となる。空間認識装置C1が発信する信号(レーザ光等)1611~1615を示している。空間認識装置C1が発信する信号1611~1615によって、区画R11の高さh1'(高さh1と略同一)、区画R12の高さh2'(高さh1と略同一)、区画R13の高さh3'、区画R16の高さh6'が計測されている。そして、区画R14、区画R15及び区画R17は、土砂の高さを測定できなかった区画である。
【0070】
そこで、補間部302が、区画R14、区画R15及び区画R17に対して、土砂の高さを補間する。具体的には、空間認識装置C1の信号1514が、区画R14で土砂に当たらなかったので、補間部302は、信号1514が区画R14を通る際に最も低い位置1621までの高さh4'を、区画R14の高さとみなす。
【0071】
同様に、空間認識装置C1の信号1514が、区画R15で土砂に当たらなかったので、補間部302は、信号1514が区画R15を通る際に最も低い位置1622までの高さh5'を、区画R15の高さとみなす。
【0072】
同様に、空間認識装置C1の信号1515が、区画R17で土砂に当たらなかったので、補間部302は、信号1515が区画R17を通る際に最も低い位置1623までの高さh7'を、区画R17の高さとみなす。
【0073】
図3に戻り、特定部303は、土砂高さ情報記憶部D21に登録された施工前の固い土砂の高さの情報と、取得部301が取得した空間認識装置C1の測定結果と、補間部302による区画の高さの補間結果と、に基づいて、ショベル100の周辺の区画毎に、固い土砂の高さを特定する。
【0074】
特定部303は、土砂の高さの変化を考慮して、固い土砂の高さを特定する。
【0075】
例えば、特定部303は、(土砂高さ情報記憶部D21に登録された)施工前の土砂の高さと比べて土砂の高さが変化していない区画R11、R12に対して、検出結果である、区画R11の高さh1'、区画R12の高さh2'が固い土砂の高さと特定する。
【0076】
また、特定部303は、(土砂高さ情報記憶部D21に登録された)施工前の土砂の高さと比べて土砂の高さが減少した区画R15、R16、R17に対して、区画R15の高さh5'、区画R16の高さh6'、区画R17の高さh7'が固い土砂の高さと特定する。つまり、区画R15、R16、R17は、掘削によって固い土砂が減少したにとどまり、現在も固い土砂が存在する区画とみなす。
【0077】
また、特定部303は、(土砂高さ情報記憶部D21に登録された)施工前の土砂の高さと比べて土砂の高さが増加した区画R13、R14に対して、(土砂高さ情報記憶部D21に登録された)施工前の区画R13の高さh3及び区画R14の高さh4が、固い土砂の高さとして特定する。つまり、区画R13、R14は、ショベル100の施工によって土砂が増加したが、増加した土砂は施工によって積み上げられた(又はバケット6から零れ落ちた)土砂のため柔らかいとみなされ、施工前に登録された土砂の高さが、固い土砂の高さとして特定される。
【0078】
算出部304は、特定部303により特定された区画毎の固い土砂の高さと、取得部301及び補間部302によって導出された区画毎の現在の土砂の高さと、に基づいて、区画毎に柔らかい土砂の高さを算出する。
【0079】
図6に示される例では、算出部304は、区画R13、R14について柔らかい土砂の高さを算出する。具体的には、算出部304は、区画R13の高さh3'と、硬い土砂の高さh3と、の減算結果を、区画R13の柔らかい土砂の高さ(h3'-h3)として算出する。同様に、算出部304は、区画R14の高さh4'と、硬い土砂の高さh4と、の減算結果を、柔らかい土砂の高さ(h4'-h4)として算出する。なお、
図6に示されるように、固い土砂の高さh3が実際の固い土砂の高さよりも高いので、区画R13の柔らかい土砂の高さ(h3'-h3)は、実際の柔らかい土砂の高さよりも低くなる。
【0080】
実際にショベル100が自動制御で施工する際、土砂が柔らかいと推定しているのにもかかわらず固い場合と比べて、土砂が固いと推定しているにもかかわらず柔らかい方が好ましい。これは、土砂が固いと推定してバケット6の動作させた場合、土砂が柔らかくても施工可能であるが、土砂が柔らかいと推定してバケット6の動作させた場合に、土砂が固いとバケット6の動作が難しくなる可能性があるためである。つまり、本実施形態においては、上述した推定手法を行うことで、バケット6による動作の確実性を向上させて、作業効率の向上を実現できる。
【0081】
図7は、本実施形態に係るショベル100による、施工前と施工後とによる土砂の高さの特定結果の変化を示した図である。
図7の領域1701は施工前に特定された土砂の高さを示し、
図7の領域1702は施工後に特定された土砂の高さを示している。
【0082】
図7に示される例では、施工後の領域1702は、施工前の領域1701と比べて、領域1721において土砂の高さが増加している。このため、算出部304は、領域1721において、施工前と比べて増加した土砂を、柔らかい土砂として、土砂の高さを算出する。このように、本実施形態のコントローラ30は、柔らかい土砂が存在する範囲及び当該範囲における柔らかい土砂の高さを推定できる。
【0083】
このように、算出部304は、施工後の領域1702の土砂形状のうち、施工前の領域1701の土砂形状と比べて、土砂が増加した領域1721については、バケット6による掘削が容易であることを示したパラメータ、換言すれば土砂が柔らかいと推定する。
【0084】
つまり、本実施形態においては、特定部303及び算出部304が、土砂の高さ情報の変化に基づいて、土砂の特性を推定する。具体的には、特定部303及び算出部304が、土砂の高さ情報の変化に基づいて、特性の異なる土砂(例えば、固い土砂、柔らかい土砂)毎に、当該土砂の高さを特定する。例えば、特定部303及び算出部304は、施工前の土砂形状と、現在の土砂形状と、を比較し、施工前と比べて増加した土砂について、所定の特性(例えば柔らかい)を割り当てる。また、特定部303及び算出部304は、掘削前の土砂形状と、掘削後の土砂形状と、を比較し、掘削前と比べて増加した土砂について、所定の特性(例えば柔らかい)を割り当ててもよい。
【0085】
本実施形態に係るコントローラ30は、ショベル100の施工による土砂形状の変化に基づいて、土砂に対して特性を割り当てる。本実施形態においては、特性を割り当てる際に、空間認識装置C1の測定結果等を用いるので、ショベル100のバケット6が直接接触した土砂に特性を割り当てるだけではなく、ショベル100の施工で間接的に変化が生じた土砂、例えば施工によって崩れた土砂等についても特性を割り当てることができる。
【0086】
図3に戻り、軌跡生成部305は、算出部304により算出されたパラメータ(区画毎の柔らかい土砂の高さ)に基づいて、設計情報記憶部D22で示される施工後の土砂形状を形成するためのバケット6の移動軌跡を生成する。次に、算出部304により算出されたパラメータ(区画毎の柔らかい土砂の高さ)に基づいて生成されるバケット6の移動軌跡について説明する。
【0087】
制御部306は、軌跡生成部305によって生成された移動軌跡に従って、バケット6を移動させるために、アタッチメントを動作させるためのシリンダ(例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)の制御を行う。
【0088】
出力部307は、算出部304により算出されたパラメータに関する情報を、通信装置T1を介して、外部の装置に送信してもよい。また、出力部307は、算出部304により算出されたパラメータに関する情報を示した画面を、表示装置D1に出力してもよい。
【0089】
<土砂の特性を考慮した移動軌跡の説明>
図8は、本実施形態に係る軌跡生成部305によって生成された移動軌跡の第1例を示した図である。
図8に示される例では、上述した処理を行うことで、固い土砂1802の区画毎の高さ、及び柔らかい土砂1801の区画毎の高さに基づいて、固い土砂1802の表面を沿うように移動軌跡1811が生成された例とする。本実施形態に係る制御部306は、当該移動軌跡1811に沿ってバケット6を移動させることで、エンジン11の駆動力を所定の基準と比べて低い状態で、大量の土砂を掘削できる。これにより、作業効率の向上を実現できる。
【0090】
図9は、本実施形態に係る軌跡生成部305によって生成された移動軌跡の第2例を示した図である。
図9に示される例では、上述した処理を行うことで、固い土砂1902の区画毎の高さ、及び柔らかい土砂1901の区画毎の高さに基づいて、移動軌跡1911、1912が生成された例とする。
図9で示される例は、
図8で示された例と比べて、柔らかい若い土砂が少ないため、柔らかい土砂を掘削した後に、固い土砂の掘削を行うような移動軌跡1911、1912が生成されたものとする。移動軌跡1912に従ってバケット6を移動させる時のエンジン11の駆動力は、移動軌跡1911に従ってバケット6を移動させる時の駆動力と比べて大きくしてもよい。
【0091】
本実施形態においては、柔らかい土砂形状と、固い土砂形状と、を考慮した移動軌跡の生成を実現できる。換言すれば、現在の土砂の特性を考慮した掘削を実現しているので、作業効率の向上を実現できる。
【0092】
図10は、本実施形態に係る軌跡生成部305によって生成された移動軌跡の第3例を示した図である。
図10に示される例では、固い土砂2001と、柔らかい土砂2002と、が推定された状態であって、面2000Aを形成するためにショベル100が施工を行っている状態とする。この場合、面2000Aより下に柔らかい土砂が存在することが推定されているので、軌跡生成部305は、バケット6で転圧を行うための移動軌跡2011を生成する。制御部306は、移動軌跡2011に沿ってバケット6を駆動させることで、柔らかい土砂を下方向に転圧することで、面2000Aを形成できる。
【0093】
図11は、本実施形態に係る軌跡生成部305によって生成された移動軌跡の第4例を示した図である。
図11に示される例では、固い土砂2101が推定された状態であって、面2100Aを形成するためにショベル100が施工を行っている状態とする。この場合、
図11に示される状況では、土砂2101に対して転圧しても、面2100Aを形成するのは難しい。そこで、2100Aより上の土砂を掘削する必要がある。そこで、軌跡生成部305は、面2100Aより上の土砂を削り取るような移動軌跡2111を生成する。そして、制御部306は、移動軌跡2111に沿ってバケット6を駆動させることで、面2100Aより上の土砂を削り取って面2100Aを形成できる。
【0094】
本実施形態に係る軌跡生成部305には、上述したように、施工前と施工後の土砂形状が同一であっても、土砂の特性を考慮することで、生成されるバケット6の移動軌跡を異ならせている。つまり、現在の土砂の特性を考慮することで、より現在の状況に応じた施工が可能になるので、作業効率の向上を実現できる。
【0095】
<ショベルにより実行される制御を示したフローチャート>
次に、ショベル100が行う制御の流れについて説明する。
図12は、本実施形態に係るショベル100の掘削を行う前の処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【0096】
取得部301は、空間認識装置C1によるショベル100の周辺の土砂形状(区画毎の土砂の高さ)の計測結果を取得する(S2201)。
【0097】
補間部302は、空間認識装置C1による検出対象である領域のうち、土砂の高さが検出できなかった区画について、土砂の高さを補間する(S2202)。
【0098】
特定部303は、取得部301が取得した空間認識装置C1の測定結果と、補間部302による区画の高さの補間結果と、に基づいて、ショベル100の周辺の区画毎に、固い土砂の高さを特定し、特定結果を、土砂高さ情報記憶部D21に登録する(S2203)。
【0099】
図13は、本実施形態に係るショベル100の掘削を行う後の処理の流れの一例を示したフローチャートである。
【0100】
取得部301は、空間認識装置C1によるショベル100の周辺の土砂形状(区画毎の土砂の高さ)の計測結果を取得する(S2301)。
【0101】
補間部302は、空間認識装置C1による検出対象である領域のうち、土砂の高さが検出できなかった区画について、土砂の高さを補間する(S2302)。
【0102】
次に、特定部303は、取得部301が取得した空間認識装置C1の測定結果と、補間部302による区画の高さの補間結果と、土砂高さ情報記憶部D21に記憶された土砂の高さと、に基づいて、ショベル100の周辺の区画毎に、固い土砂の高さを特定する(S2303)。例えば、特定部303は、土砂高さ情報記憶部D21に記憶された土砂の高さより現在の土砂の方が高い区画については、土砂高さ情報記憶部D21に記憶された土砂の高さを、固い土砂の高さとする。一方、特定部303は、土砂高さ情報記憶部D21に記憶された土砂の高さと比べて、現在の土砂が低い又は同じ区画については、現在の土砂の高さを、固い土砂の高さとする。
【0103】
そして、算出部304が、特定部303により特定された区画毎の固い土砂の高さと、取得部301及び補間部302によって導出された区画毎の現在の土砂の高さと、に基づいて、区画毎に柔らかい土砂の高さを算出する(S2304)。算出手法は、上述したので説明を省略する。
【0104】
軌跡生成部305は、区画毎における、固い土砂の高さと、柔らかい土砂の高さと、に基づいて、設計情報記憶部D22に記憶されている施工後の土砂形状を形成するためのバケット6の移動軌跡を生成する(S2305)。
【0105】
制御部306は、生成された移動軌跡に従って、バケット6を移動させるために各種シリンダの制御を行う(S2306)。
【0106】
上述した処理手順によって、本実施形態に係るコントローラ30は、土砂の特性を考慮したアタッチメントの制御を実現できる。
【0107】
上述した実施形態においては、施工前との変化によって、土砂が柔らかいか否かを判定する例について説明した。しかしながら、当該施工前は、一日の作業開始時を示すものではなく、日々の作業を積算する際の作業開始時であってもよい。さらには、施工前か否かは、作業場所における環境の変化に基づいて初期化してもよい。例えば、雨が降った場合には雨が降った後の作業開始時を、施工前としてもよい。
【0108】
(第1の実施形態の変形例1)
上述した実施形態は、変化した土砂の高さに基づいて土砂の特性を推定する例について説明した。しかしながら、土砂の特性が変化するのは、高さが変化した領域に制限するものではない。例えば、バケット6で土砂の掘削が行われた場合に、掘削された周辺領域について空気の含有率が変化することで、高さが変化していなくとも、土砂の特性が変化することがある。
【0109】
そこで変形例では、機械学習を用いて土砂の特性を推定する例とする。まずは、ショベルが作業を行う前に学習モデルを用意する必要がある。本変形例では、ショベルが実際の掘削を行って実験データを導き出す。そして、学習モデルを生成するための情報処理装置が、実験データから、実際のショベルによる動作と、当該動作が行われた後の土砂形状と、当該土砂形状の区画毎に特性毎の土砂の高さ(例えば、区画毎に柔らかい土砂の高さ及び固い土砂の高さを示した情報)と、を表した教師データを生成する。そして、当該情報処理装置が、当該教師データを用いて機械学習を行うことで、学習モデルを生成する。当該機械学習は、ディープラーニング等を用いてよく、具体的には、ニューラルネットワークを用いてバックプロパゲーションにより学習を行う。そして、当該学習モデルをコントローラ30に搭載する。
【0110】
そして、コントローラ30は、空間認識装置C1の計測結果と、ショベル100が行った動作とを、学習モデルに入力することで、当該学習モデルから、バケット6が作業後における、各区画に土砂の特性毎の高さ(例えば固い土砂の高さ及び柔らかい土砂の高さ)を受け取る。
【0111】
これによりコントローラ30は、区画毎の土砂の特性毎の高さを考慮して、バケット6の動作制御を実現できる。したがって、上述した実施形態と同様に作業効率の向上を実現できる。
【0112】
(第1の実施形態の変形例2)
次に、複数のショベル100を連携する例について説明する。
図14は、第1の実施形態の変形例2に係るショベル100aとショベル100bとが連携して施工を行う概念を示した図である。
図14に示される、ショベル100a及びショベル100bの各々が自動制御を行う。
【0113】
ショベル100(100a)は、設計情報記憶部D22で示された土砂形状になるように、土砂の傾斜2411に対して、バケット6によって法面2412を形成している。法面2412を形成するために削り取られた土砂は、土砂2421の表面上に土砂2422として積み上げられる。
【0114】
ショベル100(100b)は、空間認識装置C1による測定結果から、施工前に検出された土砂2421から土砂形状が変化していることを認識できる。そこで、ショベル100(100b)のコントローラ30は、積み上げられた土砂2422が柔らかいことを推定できる。
【0115】
なお、本実施形態では、土砂の特性の推定は、ショベル100bが行う手法に制限するものではない。例えば、当該土砂の特性の推定結果を、ショベル100aからショベル100bに送信してもよい。
【0116】
そして、ショベル100(100b)は、土砂2422は柔らかいことを考慮した掘削と、トラック2401に積み込みと、を行う。換言すれば、ショベル100bは、土砂2422が柔らかいことを認識しているので、土砂が固い場合と比べて多くの土砂を書き取るように自動制御を行うことができる。例えば、ショベル100(100b)は、バケット6が固い土砂2421に沿うように、柔らかい土砂2422をかき取ってもよい。このように、本変形例では、ショベル100bが、土砂の特質を考慮した上で、土砂2422のかき取りを行うことで、作業効率の向上を実現できる。
【0117】
(第2の実施形態)
上述した実施形態は、ショベル100が全自動制御を行う場合について説明した。しかしながら、上述した実施形態はショベル100が全自動制御を行う場合に制限するものではない。そこで第2の実施形態は、操作者の操作に従って、コントローラ30が半自動制御を行う例である。
【0118】
本実施形態においては、コントローラ30が、バケット6の移動軌跡を生成する。当該移動軌跡を生成するまでの手順は、上述した実施形態と同様として説明を省略する。つまり、本実施形態においても、土砂の特性を考慮した移動軌跡の生成が行われる。
【0119】
そして、操作者が操作装置26を用いて操作が行われた場合に、コントローラ30が、当該操作に対応するように、移動軌跡に沿ってバケット6が移動するように制御を行う。
【0120】
例えば、
図9に示されるような柔らかい土砂をかき取った後に、固い土砂をかき取るような移動軌跡の場合に、コントローラ30は、土砂の特性に応じてエンジン11の出力を切り替えるよう制御を行ってもよい。これにより、操作者は、土砂の特性を意識することなく、作業を行うことができる。したがって、本実施形態に係るショベル100を用いることで、操作性の向上を実現できる。
【0121】
(第3の実施形態)
上述した実施形態及び変形例は、ショベル100の各々が推定した結果に基づいて、制御を行う例について説明した。そこで、第3の実施形態では、複数のショベル100の各々の推定結果を共有する場合について説明する。本実施形態においては、複数のショベル100を制御可能な遠隔操作システムを適用した場合について説明する。
【0122】
図15は、第3の実施形態に係る遠隔操作システムSYSの一例を示す概要図である。
図15に示すように、第3の実施形態に係る遠隔操作システムSYSは、3台のショベル100と、管理サーバ2501と、遠隔操作室RCと、を含んでいる。
【0123】
管理サーバ2501は、3台のショベル100によって特定された土砂の高さ情報を管理する。
【0124】
3台のショベル100は、同じ作業現場に存在している。本実施形態で示したショベル100の台数は、一例として示したものであって、ショベル100の台数は2台でもよいし、4台以上でもよい。
【0125】
そして、3台のショベル100は、作業現場に関する情報を、遠隔操作室RCに送信できる。これにより、遠隔操作室RCは、作業現場を多角的に確認することができる。
【0126】
また、3台のショベル100の各々に設けられた撮像装置で撮像された画像データを、遠隔操作室RCに送信する。
【0127】
遠隔操作室RCには、通信装置T2、遠隔コントローラ2513、操作装置2511、操作センサ2512、及び表示装置D11を備えている。また、遠隔操作室RCには、ショベル100を遠隔操作する操作者OPが座る操作席DSが設置されている。遠隔操作室RCは、ショベル100a~ショベル100cのうち少なくとも一つ以上の制御を行う。遠隔操作室RCの制御対象は、ショベル100a~ショベル100cのうち、どのショベルであってもよく、本実施形態では制御対象をショベル100と示す。遠隔操作室RCが操作するショベル100以外のショベルは、上述した実施形態と同様に自動制御であってもよい。
【0128】
通信装置T2は、ショベル100に取り付けられた通信装置T1(
図1参照)との間で通信を制御するように構成されている。
【0129】
遠隔コントローラ2513は、各種演算を実行する演算装置である。本実施形態では、遠隔コントローラ2513は、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータで構成されている。そして、遠隔コントローラ2513の各種機能は、CPUがメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0130】
表示装置D11は、遠隔操作室RCにいる操作者OPがショベル100の周囲を視認するために、ショベル100の各々から送信された情報に基づいた画面を表示する。表示装置D11は、操作者が遠隔操作室RCにいるにもかかわらず、ショベル100の周囲を含む作業現場の状況を確認できる。
【0131】
操作装置2511(操作部の一例)には、操作装置2511の操作内容を検出するための操作センサ2512が設置されている。操作センサ2512は、例えば、操作レバーの傾斜角度を検出する傾斜センサ、又は、操作レバーの揺動軸回りの揺動角度を検出する角度センサ等である。操作センサ2512は、圧力センサ、電流センサ、電圧センサ、又は距離センサ等の他のセンサで構成されていてもよい。操作センサ2512は、検出した操作装置2511の操作内容に関する情報を遠隔コントローラ2513に対して出力する。遠隔コントローラ2513は、受信した情報に基づいて操作信号を生成し、生成した操作信号をショベル100に向けて送信する。操作センサ2512は、操作信号を生成するように構成されていてもよい。この場合、操作センサ2512は、遠隔コントローラ2513を経由せずに、操作信号を通信装置T2に出力してもよい。これにより、遠隔操作室RCから、ショベル100の遠隔操作を実現できる。
【0132】
3台のショベル100は、上述した実施形態と同様に、施工前に当該ショベル100が作業を行う領域内の固い土砂形状を特定し、領域内の固い土砂の高さを示す情報を、管理サーバ2501に送信する。
【0133】
本実施形態に係る管理サーバ2501は、3台のショベル100から送信された、ショベル100が測定を行った領域毎の固い土砂の高さ情報を記憶装置2502に保存する。そして、管理サーバ2501は、記憶装置2502に保存された、領域毎の固い土砂の高さ情報を、3台のショベル100の各々に送信する。これにより、3台のショベル100のコントローラ30は、施工前の土砂形状及び土砂の特性を認識できる。
【0134】
その後も、3台のショベル100のコントローラ30が、固い土砂の高さと柔らかい土砂の高さとを特定する毎に、固い土砂の高さ情報と、柔らかい土砂の高さ情報と、を管理サーバ2501に送信する。
【0135】
管理サーバ2501は、受信する毎に、記憶装置2502に記憶された、固い土砂の高さ情報と、柔らかい土砂の高さ情報とを更新していく。そして、管理サーバ2501は、更新結果を、3台のショベル100の各々に送信する。
【0136】
これにより、3台のショベル100のコントローラ30は、3台のショベル100の作業領域において、区画単位で、固い土砂の高さと、柔らかい土砂の高さと、を認識できる。
【0137】
また、本実施形態においては、固い土砂の高さ、及び柔らかい土砂の高さの情報は、バケット6の移動軌跡の生成以外にも用いてもよい。そこで、本実施形態においては、遠隔操作室RCの表示に用いる例について説明する。
【0138】
そして、本実施形態に係る遠隔コントローラ2513は、管理サーバ2501から、記憶装置2502に記憶された、区画毎の固い土砂の高さ、及び柔らかい土砂の高さの情報を受信する。
【0139】
そして、遠隔コントローラ2513は、遠隔操作室RCで遠隔操作しているショベル100の現在のバケット6が移動可能な軌跡上に存在する各区画の土砂の高さを表した画面を生成する。そして、遠隔コントローラ2513は、生成した画面を、表示装置D11に表示する。
【0140】
図16は、表示装置D11に表示された画面例を示した図である。
図16に示される画面2600では、遠隔操作しているショベル100の俯瞰画像2601が表されている。当該俯瞰画像2601は、例えばショベル100に設けられた撮像装置が撮像した画像データに基づいて生成されてもよいし、ショベル100の周辺に存在する(図示しない)ドローン又は(図示しない)定点計測装置の計測結果に基づいて生成されてもよい。
【0141】
俯瞰画像2601では、遠隔操作しているショベル100のアイコン2603と共に、ショベル100の周囲が表されている。さらに、俯瞰画像2601には、バケット6の移動可能な軌跡2602を表している。
【0142】
そして、画面2600の領域2610には、軌跡2602上に存在する区画毎の固い土砂の高さ2611~2617と、柔らかい土砂の高さ2621~2622と、が示されている。
【0143】
画面2600の領域2610に示された固い土砂の高さ、及び柔らかい土砂の高さは、ショベル100のコントローラ30によって特定された情報である。
【0144】
つまり、コントローラ30が、空間認識装置C1によって計測された土砂形状を構成している区画毎に、土砂の特性(例えば、柔らかい土砂の高さ及び固い土砂の高さ)が示された情報を、管理サーバ2501に送信する。そして、管理サーバ2501が、遠隔コントローラ2513に当該情報を送信する。
【0145】
これにより、遠隔コントローラ2513は、表示装置D11に、
図16に示される画面を表示できる。
【0146】
なお、本実施形態においては、遠隔操作室RCに
図16に示される画面を表示する例について説明したが、当該画面を表示するのを遠隔操作室RCに制限するものではない。例えば、ショベル100のキャビン10に設けられた表示装置D1に表示してもよい。
【0147】
本実施形態においては、遠隔操作室RCで操作者OPが操作を行う際に、ショベル100周辺の土砂の特性を考慮して、作業を行うことができるので、作業効率の向上を実現できる。
【0148】
<作用>
上述した実施形態及び変形例においては、土砂高さ情報記憶部D21に記憶された、施工前の土砂形状と、空間認識装置C1で計測された土砂形状と、に基づいて、現在の土砂形状を形成している土砂の特性を推定している。推定された土砂の特性は、画面の表示又はショベル100の制御に用いられる。例えば土砂が柔らかいため大量にかき取るなど、土砂の特性を考慮して作業を行うことができるので、作業効率の向上を実現できる。
【0149】
土砂の特性は、ショベル100が行った作業で土砂が動いたか否かによって、土砂が柔らかいか否かを保持している。土砂が柔らかいか否かは、土砂の空気の含有率や水分の変化であり、土砂の比重の変化とも考えられる。このように土砂の比重の変化によって、バケット6で大量に掘削可能か否かの判断が可能となる。したがって、上述した実施形態及び変形例では、バケット6による掘削が容易か否かの判断基準を考慮して移動軌跡の生成が可能になるので、作業効率の向上を実現できる。
【0150】
以上、作業機械の一例としてショベルを用いた場合の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
【0151】
つまり、上述した遠隔操作システムは、ショベルを含む作業機械の操作を行うシステムに適用した場合について説明したが、他の態様のシステムに適用してもよい。例えば、道路を走行している車両の遠隔監視、又は当該車両の遠隔操作するためのシステムに適用してもよい。さらには、多くの人が存在する領域における防犯監視システム(人及び人の所持物の3次元モデルの表示)に適用してもよい。このように、遠隔地において、物体の監視又は操作を行うシステムであれば適用できる。
【符号の説明】
【0152】
100 ショベル
C1 空間認識装置
T1、T2 通信装置
1 下部走行体
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
11 エンジン
30 コントローラ
301 取得部
302 補間部
303 特定部
304 算出部
305 軌跡生成部
306 制御部
307 出力部
D1 表示装置
D2 記憶装置
D21 土砂高さ情報記憶部
D22 設計情報記憶部