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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094164
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/02 20060101AFI20240702BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20240702BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20240702BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240702BHJP
   F25B 41/42 20210101ALI20240702BHJP
【FI】
F25D11/02 F
F25D23/06 R
F25D19/00 510E
F25D11/00 101G
F25B41/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210945
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 晃洋
(72)【発明者】
【氏名】喜嶋 裕司
(72)【発明者】
【氏名】片岡 拓也
【テーマコード(参考)】
3L045
3L102
【Fターム(参考)】
3L045AA01
3L045AA03
3L045AA06
3L045BA01
3L045BA02
3L045BA04
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA03
3L045HA03
3L045HA07
3L045JA15
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L102JA01
3L102LB14
(57)【要約】
【課題】原価を抑えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫1は、出口側に接続可能な流路が2本かつ入口側に接続可能な流路が1本(1in2outタイプ)のバルブV1、V2を有する。バルブV1の入口はコンプレッサ41の出力側(吐出側)に接続され、バルブV1のa側出口に冷媒管45Rが接続され、バルブV1のb側出口にバルブV2の入口が接続され、バルブV2のa側出口に冷媒管45Mが接続され、バルブV2のb側出口に冷媒管45Lが接続される。冷蔵庫1は、バルブV1、V2のオンオフ(開閉)を制御することで、冷媒管45L、45M、45Rに同時に冷媒を流す制御や、冷媒管45L、45M、45Rのうち任意の2本に冷媒を流す制御が可能である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を出力する冷却機構と、
前記冷却機構が出力した冷媒が流れる第1、第2、および第3冷媒管と、
入口側と出口側の一方である第1側、および入口側と出口側の他方である第2側をそれぞれ有する第1および第2バルブと、を有し、
前記第1バルブの前記第1側に前記第3冷媒管が接続され、
前記第2バルブの前記第1側に前記第1冷媒管と前記第2冷媒管が接続され、
前記第1バルブの前記第2側に前記冷却機構が接続され、
前記第2バルブの前記第2側に前記第1バルブの前記第1側が接続される、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷蔵庫であって、
前記第1および第2バルブの各々は、前記第1側に接続可能な流路が2本、前記第2側に接続可能な流路が1本である、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
請求項2に記載の冷蔵庫であって、
前記第1および第2バルブの制御により、前記第1、第2、および第3冷媒管に交互に冷媒を流すことが可能である、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
請求項2に記載の冷蔵庫であって、
前記第1および第2バルブの制御により、前記第1、第2、および第3冷媒管に同時に冷媒を流すことが可能である、
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫であって、
第1、第2、および第3収容室を有し、
前記第1、第2、および第3冷媒管は、前記第1、第2、および第3収容室に対応して設けられている、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項6】
請求項5に記載の冷蔵庫であって、
前記第1および第2収容室を仕切る着脱可能な第1仕切板と、
前記第2および第3収容室を仕切る着脱可能な第2仕切板と、を有する、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項7】
請求項6に記載の冷蔵庫であって、
前記第1および第2仕切板の装着状態により、前記第1、第2、および第3冷媒管のいずれに冷媒を流すかの制御が異なる、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項8】
請求項6に記載の冷蔵庫であって、
前記第1および第2仕切板が装着されていない場合、前記第1、第2、および第3冷媒管に冷媒を流す制御を実行するよう構成される、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項9】
請求項6に記載の冷蔵庫であって、
前記第1仕切板が装着され、前記第2仕切板が装着されていない場合、
前記第1冷媒管のみに冷媒を流す制御と、
前記第2および第3冷媒管のみに冷媒を流す制御と、
前記第1、第2、および第3冷媒管に冷媒を流す制御と、
のいずれかを実行するよう構成される、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項10】
請求項6に記載の冷蔵庫であって、
前記第1仕切板が装着されず、前記第2仕切板が装着されている場合、
前記第1および第2冷媒管のみに冷媒を流す制御と、
前記第3冷媒管のみに冷媒を流す制御と、
前記第1、第2、および第3冷媒管に冷媒を流す制御と、
のいずれかを実行するよう構成される、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項11】
請求項6に記載の冷蔵庫であって、
前記第1および第2仕切板が装着されている場合、
前記第1冷媒管のみに冷媒を流す制御と、
前記第2冷媒管のみに冷媒を流す制御と、
前記第3冷媒管のみに冷媒を流す制御と、
前記第1、第2、および第3冷媒管のうち任意の2本のみに冷媒を流す制御と、
前記第1、第2、および第3冷媒管に冷媒を流す制御と、
のいずれかを実行するよう構成される、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項12】
請求項5に記載の冷蔵庫であって、
前記第1および第2収容室が隣接し、前記第2および第3収容室が隣接し、
前記第1収容室の設定温度L、前記第2収容室の設定温度M、前記第3収容室の設定温度Rが、L≧M≧RもしくはL≦M≦Rの関係となる温度設定のみが可能である、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項13】
請求項5に記載の冷蔵庫であって、
前記第3収容室の容積は、前記第1および第2収容室の容積の和と略等しい、
ことを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、1つの仕切板で収容室を2部屋に分割した冷蔵庫、および2つの仕切板で収容室を3部屋に分割した冷蔵庫を開示する。この冷蔵庫は、1本の流路を2本に分岐するバルブ(以下「1in2outバルブ」)または1本の流路を3本に分岐するバルブ(以下「1in3outバルブ」)を有する。仕切板は、上下に分割可能かつ収容室に着脱可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/172775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の収容室を冷却するためには、収容室の数に応じて設けられた冷媒管にバルブを設ける必要があるが、このバルブが原価の高額化に繋がっていた。1in3outバルブは、1本の流路に冷媒を出力することは可能なものの、同時に2本以上の流路に冷媒を出力することはできないため、3部屋の同時冷却が難しかった。また、1in3outバルブは高価なため原価の高額化に繋がっていた。
【0005】
上下に分割可能な仕切板は、目的に応じて下側の仕切板のみを装着するか上下の仕切り板を両方装着するかを選択可能である。下側の仕切板のみを装着する場合、収容室を分割せずに簡易的な間仕切りとして利用できる。上下の仕切り板を両方装着する場合、収容室を分割して互いに異なる温度にすること、例えば一方を冷蔵室として他方を冷凍室とすることができる。ユーザは、仕切板の装着状態に応じて1部屋モードと2部屋モードの制御を切り替える操作を行っていた。
【0006】
本発明者は、以下の課題を認識した。
・第1の課題…原価を抑えた冷蔵庫を提供すること。
・第2の課題…複数の部屋を同時に冷却することができる冷蔵庫を提供すること。
・第3の課題…バルブのコストを抑制しつつ複数の収容室のいずれかを急速冷却が可能な冷蔵庫を提供すること。
・第4の課題…バルブを用いなくても冷蔵室と冷凍室の2部屋にできる冷蔵庫を提供すること。
・第5の課題…冷蔵庫側において装着状態を検出可能な仕切板、および仕切板の装着状態を検出できる冷蔵庫を提供すること。
・第6の課題…操作性のよい冷蔵庫を提供すること。
【0007】
本発明の目的は、上記の第1、第2の課題の少なくともいずれかを解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、冷蔵庫である。この冷蔵庫は、
冷媒を出力する冷却機構と、
前記冷却機構が出力した冷媒が流れる第1、第2、および第3冷媒管と、
入口側と出口側の一方である第1側、および入口側と出口側の他方である第2側をそれぞれ有する第1および第2バルブと、を有し、
前記第1バルブの前記第1側に前記第3冷媒管が接続され、
前記第2バルブの前記第1側に前記第1冷媒管と前記第2冷媒管が接続され、
前記第1バルブの前記第2側に前記冷却機構が接続され、
前記第2バルブの前記第2側に前記第1バルブの前記第1側が接続される、
ことを特徴とする。
【0009】
本発明は「電気機器」や「冷温庫」等と表現されてもよく、そのように表現されたものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記の第1、第2の課題の少なくともいずれかを解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る冷蔵庫1の斜視図。
図2】第1蓋体6を開けた状態の冷蔵庫1の斜視図。
図3】別方向から見た冷蔵庫1の斜視図。
図4】冷蔵庫1の正面図。
図5】(A)は、冷蔵庫1の収容室8の壁面を成す金属板16L、16M、16Rの斜視図。(B)は、収容室8を仕切る仕切板P1、P2の斜視図。(C)は、仕切板P1、P2の厚さ方向の一方側を省略した斜視図。(D)は、仕切板P1、P2のガイドとなるレール18の斜視図。(E)は、別方向から見たレール18の斜視図。
図6】(A)は、冷蔵庫1の設定部60の外観図。(B)は、収容室8が3部屋に分割されている場合の部屋間の温度差制限を説明するための表。(C)は、3部屋モードの場合の表示部61の表示例を示す図。(D)は、3部屋モードに対応する仕切板P1、P2の装着状況を示す模式図。(E)は、2部屋モードBの場合の表示部61の表示例を示す図。(F)は、2部屋モードBに対応する仕切板P1、P2の装着状況を示す模式図。(G)は、2部屋モードAの場合の表示部61の表示例を示す図。(H)は、2部屋モードAに対応する仕切板P1、P2の装着状況を示す模式図。(I)は、1部屋モードの場合の表示部61の表示例を示す図。(J)は、1部屋モードに対応する仕切板P1、P2の装着状況を示す模式図。
図7】冷蔵庫1の機械構成の簡易ブロック図。
図8】冷蔵庫1における3部屋の冷却、停止の組合せのパターンと、各パターンに対応するコンプレッサ41の運転状態と、仕切板P1、P2の装着状況に各パターンの実行可否と、各パターンに対応するバルブV1、V2のオンオフ(開閉)と、をまとめた表。
図9】冷蔵庫1の回路ブロック図。
図10】冷蔵庫1の3部屋モードにおいて各部屋の設定温度を-18℃にして運転した場合におけるバルブV1、V2のオンオフ(開閉)と各部屋の温度変化の一例を示すグラフ。
図11】冷蔵庫1の3部屋モードにおいて各部屋の設定温度を左部屋から順に-18℃、-5℃、10℃にして運転した場合におけるバルブV1、V2のオンオフ(開閉)と各部屋の温度変化の一例を示すグラフ。
図12】比較例1に係る冷蔵庫の機械構成の簡易ブロック図。
図13】比較例1に係る冷蔵庫の3部屋モードにおいて各部屋の設定温度を-18℃にして運転した場合におけるバルブV3のオンオフ(開閉)と各部屋の温度変化の一例を示すグラフ。
図14】(A)は、冷蔵庫1における仕切板P1、P2の装着状況に応じたモード選択と温度設定切替のフローチャート。(B)は、図14(A)においてユーザの操作を待って温度設定切替ルーチン(S15)に進むようにした場合のフローチャート。
図15図14(A)の温度設定切替ルーチン(S15)のフローチャート。
図16図15の温度設定読み込みルーチン(S60)のフローチャート。
図17】本発明の実施形態2に係る冷蔵庫1Aの機械構成の簡易ブロック図。
図18】本発明の実施形態3に係る冷蔵庫1Bの機械構成の簡易ブロック図。
図19】本発明の実施形態4に係る冷蔵庫1Cの機械構成の簡易ブロック図。
図20】冷蔵庫1CにおいてバルブV7をオン(開)にして運転した場合の各部屋の温度変化の一例を示すグラフ。
図21】冷蔵庫1CにおいてバルブV7のオンオフ(開閉)を繰り返しながら運転した場合の各部屋の温度変化の一例を示すグラフ。
図22】比較例2に係る冷蔵庫の機械構成の簡易ブロック図。
図23】比較例2に係る冷蔵庫においてバルブV8のa側出口とb側出口のオンオフ(開閉)を繰り返しながら運転した場合の各部屋の温度変化の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
図1図16は、本発明の実施形態1に係る冷蔵庫1に関する。冷蔵庫1は、冷却および加温機能を備えた可搬型の冷温庫として構成される。図1図4により、冷蔵庫1における互いに直交する前後、上下、左右の各方向を定義する。前後方向は冷蔵庫1の奥行き方向(短手方向)であり、左右方向は冷蔵庫1の幅方向(長手方向)であり、上下方向は冷蔵庫1の高さ方向である。
【0013】
冷蔵庫1は、本体2を備える。本体2は、第1本体部3と、第1本体部3とは別の第2本体部4と、を有する。第1本体部3および第2本体部4は、左右方向に並ぶ。第2本体部4は、第1本体部3の外側かつ右側に位置する。
【0014】
第1本体部3は、左外箱12を有する。左外箱12は、上部が開放の略直方体の例えば樹脂成形体であり、第1本体部3の外装を構成する。第2本体部4は、右外箱13を有する。右外箱13は、上部および左部が開放の略直方体の例えば樹脂成形体であり、第2本体部4の外装を構成する。右外箱13は、左外箱12の右側面に、ネジ止め等により固定、一体化される。
【0015】
本体2は、メインフレーム11を有する。メインフレーム11は、例えば樹脂成形体である。メインフレーム11は、第1本体部3および第2本体部4の上部に跨がる枠体であって、第1本体部3および第2本体部4にそれぞれ対応する開口部を有する。
【0016】
冷蔵庫1は、蓋体5を備える。蓋体5は、本体2の上部に設けられて本体2に対して開閉可能である。蓋体5は、第1本体部3を開閉する第1蓋体6と、第2本体部4を開閉する第2蓋体7と、を有する。
【0017】
第1蓋体6は、図3に示すように、第1ヒンジ機構25によってメインフレーム11の後部に回動可能に連結される。図1等に示すように、第1蓋体6は把手部6aを有する。ユーザは、図1に示す閉状態の第1蓋体6の把手部6aを前方に回動させることでメインフレーム11に対する第1蓋体6の係止を解除し、そのまま把手部6aを持って図2に示すように第1蓋体6を開けられる。
【0018】
第2蓋体7は、図3に示すように、第2ヒンジ機構26によってメインフレーム11の後部に回動可能に連結される。図1等に示すように、第2蓋体7は把手部7aを有する。ユーザは、閉状態の第2蓋体7の把手部7aを上方に回動させることで第2蓋体7の係止を解除し、そのまま把手部7aを持って第2蓋体7を開けられる(図示省略)。第2蓋体7を開けると、図示しない電池パック収容部にアクセス可能となり、冷蔵庫1の電源となる電池パック29a、29b(図9)の着脱が可能となる。
【0019】
冷蔵庫1は、左右一対の把手部21を備え、また底部に接地部となる複数の(例えば4つの)脚部35を備える。ユーザは、左右の把手部21を持って冷蔵庫1を持ち上げて、冷蔵庫1を移動可能である。
【0020】
冷蔵庫1は、キャスター19および可動ハンドル(キャリーハンドル)20を有する。キャスター19は、本体2の右下部の前後にそれぞれ設けられる。キャスター19の回転軸方向は、左右方向と平行である。可動ハンドル20は、本体2の左側面に回動可能に設けられる。可動ハンドル20の回動軸方向は、左右方向と平行である。ユーザは、可動ハンドル20を上方に回動させ、可動ハンドル20を持って本体2の左部を地面から浮かせることで、キャスター19を利用して冷蔵庫1を移動可能である。
【0021】
冷蔵庫1は、第2本体部4の前面上部にUSB端子27Aおよびシガーソケット27Bを有し、第2本体部4の右側面下部に外部電源入力端子28を備える。冷蔵庫1は、USB端子27Aに接続した機器(以下「USB接続機器」)に直流5Vを供給できる。なお、図示の例では、USB端子27AはType-A用とType-C用の接続口を1個ずつ有する。
【0022】
シガーソケット27Bは、外部出力部の例示である。冷蔵庫1は、シガーソケット27Bに接続された外部機器(以下「シガーソケット接続機器」とも表記)に直流12Vを供給できる。
【0023】
外部電源入力端子28は、外部電源接続部の例示であり、車載電源とACアダプタとを択一的に接続可能である。冷蔵庫1は、外部電源入力端子28を介して外部から直流電力を入力できる。冷蔵庫1は、当該直流電力又は電池パック29a、29bの電力によって動作する。電池パック29a、29bは、電動工具や電動作業機に着脱可能に装着して電力供給が可能なものである。電池パック29a、29bの定格出力電圧は例えば18Vである。
【0024】
冷蔵庫1は、図4に示すように、右外箱13内にファン49を有する。ファン49は、図7に現れるコンプレッサ41や凝縮器42、図9の制御回路基板80等を冷却するファン風を発生する。ファン風を取り込むための吸気口23が、右外箱13の前面に設けられる。ファン風を排出するための排気口24が、右外箱13の背面に設けられる。ファン風は、吸気口23から排気口24に向けて前後方向に流れる。なお、吸排気の前後関係は逆でもよい。
【0025】
第1本体部3は、図2に示すように、収容室(収容部)8を有する。収容室8は、第1収容室としての左部屋8L、第2収容室としての中部屋8M、第3収容室としての右部屋8Rを有する。左部屋8Lおよび中部屋8Mは、互いに隣接し、着脱可能な仕切板P1によって分割される(仕切られる)。中部屋8Mおよび右部屋8Rは、互いに隣接し、着脱可能な仕切板P2によって分割される(仕切られる)。仕切板P1は第1仕切板に対応し、仕切板P2は第2仕切板に対応する。右部屋8Rの容積は、左部屋8Lおよび中部屋8Mの容積の和と略等しい。
【0026】
第1本体部3は、収容室8の内壁部材となる図5(A)に示すアルミ等の金属板16L、16M、16Rを有する。金属板16L、16Rは、それぞれ上下方向から見るとU字型である。金属板16Mは、前後方向に対向する一対の略平板である。金属板16Lは、左部屋8Lの側面を構成する。金属板16Mは、中部屋8Mの側面を構成する。金属板16Rは、右部屋8Rの側面を構成する。金属板16L、16M、16Rの各周囲に図7に現れる冷媒管45L、45M、45Rが設けられる。
【0027】
第1本体部3は、仕切板P1、P2の着脱をガイドするレール18(図5(D),(E))を有する。レール18は、金属板16L、16Mの間の2箇所の隙間、および金属板16M、16Rの2箇所の隙間にそれぞれ設けられる。レール18は、金属板16L、16M、16Rを連結する役割も持つ。レール18は、図示しないネジによりメインフレーム11に固定される。
【0028】
互いに組み合わされた金属板16L、16M、16Rおよびレール18は、例えば樹脂成形体である図示しない底面部材に上方から嵌め込まれ、底面部材と共に第1本体部3の内箱となる。この内箱と左外箱12との間には、図示しない断熱材、例えば発泡ウレタンが充填される。この断熱材は、充填後に硬化するので、左外箱12に対して内箱を固定し、更にメインフレーム11を固定する役割も持つ。
【0029】
図5(D)に示すように、各レール18は、仕切板P1またはP2の側辺部73がスライド可能に嵌まる凹部18a(凹溝)を有する。図5(E)に現れる仕切板検出センサ18bは、仕切板検出部の例示であり、仕切板P1またはP2が装着されているか否かを検出するセンサ(磁気センサ)であって、凹部18aの背後に設けられる。仕切板検出センサ18bは、仕切板P1、P2に対して1個ずつあれば足りるため、4個のレール18のうちの2個にのみ設ければよい。仕切板検出センサ18bは、図9に示すマイコン81に接続される。
【0030】
仕切板P1、P2は、図5(B)に示すように、互いに分割可能な上側仕切板71と下側仕切板72とを組み合わせたものである。上側仕切板71と下側仕切板72は、それぞれ内部空間に図示しない断熱材を有する。仕切板P1、P2は、上側仕切板71と下側仕切板72が互いに組み合わされて本体2(収容室8)に装着された状態で、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8R間の断熱材(断熱壁)として機能する。下側仕切板72は、上側仕切板71と組み合わされずに単独で収容室8に装着された状態で、収容室8に収容された収容物の散乱防止壁(簡易的な間仕切り)として機能する。
【0031】
上側仕切板71は、対向する2つの側辺部73の下部の裏側にそれぞれ磁石74(永久磁石)を有する。磁石74の発生する磁界は、レール18側の仕切板検出センサ18bによって検出される。側辺部73は、レール18にスライド係合する係合部である。
【0032】
冷蔵庫1は、設定部60を備える。設定部60は、本体2の右上前端部に設けられ、前上方向に臨む。ユーザは、設定部60により、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rの温度を個別に設定できる。
【0033】
図6(A)に示すように、設定部60は、表示部61、温度設定ボタン62、63、部屋選択ボタン64、電源ボタン65、USB機器通電切替ボタン66、シガーソケット通電切替ボタン68を有する。各ボタンの操作は、マイコン81に伝達される。
【0034】
表示部61は、電池残量表示部61a、外部電源接続表示部61b、USB機器通電表示部61c、シガーソケット通電表示部61g、左部屋温度表示部61L、中部屋温度表示部61M、右部屋温度表示部61Rを含む。表示部61による表示は、図9に示すマイコン81によって制御される。
【0035】
電池状態表示部61aは、図9に現れる電池パック装着部22aにした電池パック29a、29bの状態を表示する。外部電源接続表示部61bは、外部電源入力端子28を介して外部から直流電力が入力されている場合に点灯し、そうでない場合には消灯する。USB機器通電表示部61cは、USB接続機器に充電電力を供給している場合に点灯し、そうでない場合には消灯する。シガーソケット通電表示部61gは、シガーソケット接続機器に電力(DC12V)を供給している場合あるいはシガーソケット27BにDC12Vを出力している場合に点灯し、そうでない場合には消灯する。
【0036】
左部屋温度表示部61Lは、左部屋8Lの設定温度ないし現在温度を表示する。中部屋温度表示部61Mは、中部屋8Mの設定温度ないし現在温度を表示する。右部屋温度表示部61Rは、右部屋8Rの設定温度ないし現在温度を表示する。例えば、設定温度は点滅で表示し、現在温度は点灯で表示することで、同じ表示部で設定温度と現在温度を区別して表示できる。
【0037】
温度設定ボタン62、63は、対象となる部屋の設定温度を切り替えるための操作部である。例えば、温度設定ボタン62を押せば設定温度が5℃下降し、温度設定ボタン63を押せば設定温度が5℃上昇する。例えば、初期設定温度は10℃、最高設定温度は60℃、最低設定温度は-18℃である。
【0038】
部屋選択ボタン64は、温度設定ボタン62、63による温度設定の対象となる部屋を切り替えるための操作部である。電源ボタン65は、ユーザが冷蔵庫1の起動、停止を切り替えるための操作部である。USB機器通電切替ボタン66は、USB接続機器に電力(DC5V)を供給するか否かをユーザが切り替えるための操作部である。シガーソケット通電切替ボタン68は、シガーソケット接続機器に電力(DC12V)を供給するか否かをユーザが切り替えるための操作部である。
【0039】
冷蔵庫1において、隣接する部屋の設定温度差は所定値以内となるように制御される。これは、仕切板P1、P2による断熱効果で実現し得る左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rの最大温度差の限界を考慮したものである。図6(B)は、一例として、左部屋8Lと中部屋8Mの設定温度差、および中部屋8Mと右部屋8Rの設定温度差が、それぞれ40℃以内であることを示す。また、図6(B)は、左部屋8Lの設定温度L、中部屋8Mの設定温度M、右部屋8Rの設定温度Rが、L≧M≧RもしくはL≦M≦Rの関係となる温度設定のみが可能であることを示す(図6(B)中の「一方向の温度制限」)。なお、図6(B)において、設定温度L、Mは、決定された設定値を示し、設定温度Rは、決定済みの設定温度L、Mに応じた設定可能な温度範囲を示す。
【0040】
冷蔵庫1は、仕切板P1、P2の装着状態を検出してモードを自動的に切り替える機能を有する。
【0041】
図6(D)に示すように仕切板P1、P2の双方が装着されている場合、3部屋モードとなる。3部屋モードでは、図6(C)に示すように、左部屋温度表示部61Lと中部屋温度表示部61Mとの間、および中部屋温度表示部61Mと右部屋温度表示部61Rとの間に、それぞれ仕切線61hが表示され、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rの設定温度を別々に設定可能となる。3部屋モードにおいて、任意の1部屋または2部屋の設定温度を「無し」にすることで、当該部屋を冷却も加温もしないこともできる。設定温度を「無し」にするための操作は、例えば最低設定温度において温度設定ボタン62を押すこと、あるいは最高設定温度において温度設定ボタン63を押すことである。
【0042】
図6(F)に示すように仕切板P1のみが装着されている場合、2部屋モードBとなる。2部屋モードBでは、図6(E)に示すように、左部屋温度表示部61Lと中部屋温度表示部61Mとの間に仕切線61hが表示され、中部屋温度表示部61Mと右部屋温度表示部61Rとの間には仕切線61hが表示されない。2部屋モードBでは、左部屋8Lの温度は単独設定可能であるが、中部屋8Mおよび右部屋8Rの設定温度は共通となる。2部屋モードBにおいて、中部屋8Mおよび右部屋8Rの設定温度は、右部屋温度表示部61Rに表示してもよい。2部屋モードBにおいて、左部屋8Lと、中部屋8Mおよび右部屋8Rと、のいずれかの設定温度を「無し」にすることで、当該いずれかを冷却も加温もしないこともできる。
【0043】
図6(H)に示すように仕切板P2のみが装着されている場合、2部屋モードAとなる。2部屋モードAでは、図6(G)に示すように、左部屋温度表示部61Lと中部屋温度表示部61Mとの間には仕切線61hが表示されず、中部屋温度表示部61Mと右部屋温度表示部61Rとの間に仕切線61hが表示される。2部屋モードAでは、右部屋8Rの温度は単独設定可能であるが、左部屋8Lおよび中部屋8Mの設定温度は共通となる。2部屋モードAにおいて、左部屋8Lおよび中部屋8Mの設定温度は、左部屋温度表示部61Lに表示してもよい。2部屋モードAにおいて、左部屋8Lおよび中部屋8Mと、右部屋8Rと、のいずれかの設定温度を「無し」にすることで、当該いずれかを冷却も加温もしないこともできる。
【0044】
図6(J)に示すように仕切板P1、P2がいずれも装着されていない場合、1部屋モードとなる。1部屋モードでは、左部屋温度表示部61Lと中部屋温度表示部61Mとの間、および中部屋温度表示部61Mと右部屋温度表示部61Rとの間に仕切線61hは表示されず、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rの設定温度は共通となる。
【0045】
図7は、冷蔵庫1の機械構成の簡易ブロック図である。冷蔵庫1は、冷却機構としてのコンプレッサ41、凝縮器42、毛細管43(キャピラリーチューブ)、冷媒管45A~45C、45L、45M、45R、バルブV1、V2を含む。コンプレッサ41、凝縮器42、毛細管43は、第2本体部4に設けられる。
【0046】
バルブV1、V2の各々は、電磁バルブであり、出口側に接続可能な流路が2本、入口側に接続可能な流路が1本(1in2outタイプ)である。バルブV1、V2の各々の2つの出口の一方をa側出口、他方をb側出口として区別する。
【0047】
コンプレッサ41は、モータを有し、冷媒を圧縮し、高温高圧の気体として出力(吐出)する。凝縮器42は、コンプレッサ41から出力された冷媒の熱を放出し、冷媒を液体として排出する。毛細管43は、凝縮器42で液化された冷媒の流れに抵抗を生じさせ、圧力を低下させて後段の冷媒管45Aに送出する。なお、毛細管43も冷媒管の一部を成す。
【0048】
冷媒管45Aは、毛細管43の出口とバルブV1の入口とを接続する。バルブV1のa側出口に冷媒管45Rが接続される。冷媒管45Bは、バルブV1のb側出口とバルブV2の入口とを接続する。バルブV2のa側出口に冷媒管45Mが接続される。バルブV2のb側出口に冷媒管45Lが接続される。冷媒管45Lは、第1冷媒管に対応する。冷媒管45Mは、第2冷媒管に対応する。冷媒管45Rは、第3冷媒管に対応する。
【0049】
冷媒管45Lは左部屋8Lに対応して設けられ、冷媒管45Mは中部屋8Mに対応して設けられ、冷媒管45Rは右部屋8Rに対応して設けられる。冷媒管45L、45M、45Rは、それぞれ図5(A)に示す金属板16L、16M、16Rの外面に沿って延び、その先で合流する。冷媒管45Cは、冷媒管45L、45M、45Rの合流部とコンプレッサ41の入口とを接続する。
【0050】
冷蔵庫1は、バルブV1、V2の制御により、冷媒管45L、45M、45Rに交互に冷媒を流すこと、冷媒管45L、45M、45Rに同時に冷媒を流すこと、および冷媒管45L、45M、45Rのうち任意の1本または2本に冷媒を流すことが可能である。
【0051】
図8は、冷蔵庫1における3部屋の冷却、停止の組合せのパターンと、各パターンに対応するコンプレッサ41の運転状態と、仕切板P1、P2の装着状況に各パターンの実行可否と、各パターンに対応するバルブV1、V2のオンオフ(開閉)と、をまとめた表である。図8中の「停止」は、冷却も加温もしないことを意味する。
【0052】
パターン1は、左部屋8Lを冷却し、中部屋8Mと右部屋8Rは停止とするパターンである。パターン1では、コンプレッサ41は運転状態となる。パターン1が実行可能となるのは、左部屋8Lと中部屋8Mとの間が仕切られている場合、すなわち、仕切板P1のみが装着されている場合および仕切板P1、P2の双方が装着されている場合である。パターン1が実行不可となるのは、左部屋8Lと中部屋8Mとの間が仕切られていない場合、すなわち、仕切板P1、P2のいずれも装着されていない場合および仕切板P2のみが装着されている場合である。パターン1では、バルブV1のa側出口は閉状態(オフ状態)、バルブV1のb側出口は開状態(オン状態)、バルブV2のa側出口は閉状態(オフ状態)、バルブV2のb側出口は開状態(オン状態)にそれぞれ制御される。
【0053】
パターン2は、中部屋8Mを冷却し、左部屋8Lと右部屋8Rは停止とするパターンである。パターン2では、コンプレッサ41は運転状態となる。パターン2が実行可能となるのは、左部屋8Lと中部屋8Mとの間が仕切られ且つ中部屋8Mと右部屋8Rとの間が仕切られている場合、すなわち、仕切板P1、P2の双方が装着されている場合である。パターン2が実行不可となるのは、左部屋8Lと中部屋8Mとの間または中部屋8Mと右部屋8Rとの間が仕切られていない場合、すなわち、仕切板P1、P2のいずれも装着されていない場合、仕切板P2のみが装着されている場合、および仕切板P1のみが装着されている場合である。パターン2では、バルブV1のa側出口は閉状態(オフ状態)、バルブV1のb側出口は開状態(オン状態)、バルブV2のa側出口は開状態(オン状態)、バルブV2のb側出口は閉状態(オフ状態)にそれぞれ制御される。
【0054】
パターン3は、右部屋8Rを冷却し、左部屋8Lと中部屋8Mは停止とするパターンである。パターン3では、コンプレッサ41は運転状態となる。パターン3が実行可能となるのは、中部屋8Mと右部屋8Rとの間が仕切られている場合、すなわち、仕切板P2のみが装着されている場合および仕切板P1、P2の双方が装着されている場合である。パターン3が実行不可となるのは、中部屋8Mと右部屋8Rとの間が仕切られていない場合、すなわち、仕切板P1、P2のいずれも装着されていない場合および仕切板P1のみが装着されている場合である。パターン3では、バルブV1のa側出口は開状態(オン状態)、バルブV1のb側出口は閉状態(オフ状態)、バルブV2のa側出口は閉状態(オフ状態)、バルブV2のb側出口は閉状態(オフ状態)にそれぞれ制御される。
【0055】
パターン4は、左部屋8Lと中部屋8Mを冷却し、右部屋8Rは停止とするパターンである。パターン4では、コンプレッサ41は運転状態となる。パターン4が実行可能となるのは、中部屋8Mと右部屋8Rとの間が仕切られている場合、すなわち、仕切板P2のみが装着されている場合および仕切板P1、P2の双方が装着されている場合である。パターン4が実行不可となるのは、中部屋8Mと右部屋8Rとの間が仕切られていない場合、すなわち、仕切板P1、P2のいずれも装着されていない場合および仕切板P1のみが装着されている場合である。パターン4では、バルブV1のa側出口は閉状態(オフ状態)、バルブV1のb側出口は開状態(オン状態)、バルブV2のa側出口は開状態(オン状態)、バルブV2のb側出口は開状態(オン状態)にそれぞれ制御される。
【0056】
パターン5は、中部屋8Mと右部屋8Rを冷却し、左部屋8Lは停止とするパターンである。パターン5では、コンプレッサ41は運転状態となる。パターン5が実行可能となるのは、左部屋8Lと中部屋8Mとの間が仕切られている場合、すなわち、仕切板P1のみが装着されている場合および仕切板P1、P2の双方が装着されている場合である。パターン5が実行不可となるのは、左部屋8Lと中部屋8Mとの間が仕切られていない場合、すなわち、仕切板P1、P2のいずれも装着されていない場合および仕切板P2のみが装着されている場合である。パターン5では、バルブV1のa側出口は開状態(オン状態)、バルブV1のb側出口は開状態(オン状態)、バルブV2のa側出口は開状態(オン状態)、バルブV2のb側出口は閉状態(オフ状態)にそれぞれ制御される。
【0057】
パターン6は、左部屋8Lと右部屋8Rを冷却し、中部屋8Mは停止とするパターンである。パターン6では、コンプレッサ41は運転状態となる。パターン6が実行可能となるのは、左部屋8Lと中部屋8Mとの間が仕切られ且つ中部屋8Mと右部屋8Rとの間が仕切られている場合、すなわち、仕切板P1、P2の双方が装着されている場合である。パターン6が実行不可となるのは、左部屋8Lと中部屋8Mとの間または中部屋8Mと右部屋8Rとの間が仕切られていない場合、すなわち、仕切板P1、P2のいずれも装着されていない場合、仕切板P2のみが装着されている場合、および仕切板P1のみが装着されている場合である。パターン6では、バルブV1のa側出口は開状態(オン状態)、バルブV1のb側出口は開状態(オン状態)、バルブV2のa側出口は閉状態(オフ状態)、バルブV2のb側出口は開状態(オン状態)にそれぞれ制御される。
【0058】
パターン7は、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rを全て冷却するパターンである。パターン7では、コンプレッサ41は運転状態となる。パターン7は、仕切板P1、P2の装着状態に関わらず実行可能となる。パターン7では、バルブV1のa側出口、b側出口、バルブV2のa側出口、b側出口は全て開状態(オン状態)に制御される。
【0059】
パターン8は、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rを全て停止とするパターンである。パターン8では、コンプレッサ41は停止状態となる。パターン8は、仕切板P1、P2の装着状態に関わらず実行可能となる。パターン8では、バルブV1のa側出口、b側出口、バルブV2のa側出口、b側出口は全て閉状態(オフ状態)に制御される。
【0060】
図9は、冷蔵庫1の回路ブロック図である。
【0061】
DC電源90は、例えばACアダプタであり、図示しない外部交流電源に接続され、交流電力を直流電力(例えば直流12V)に変換して冷蔵庫1の外部電源入力端子28に供給する。あるいは、DC電源90は、例えば車載電源(車載バッテリ)であり、直流電力を外部電源入力端子28に供給する。外部電源入力端子28は、車載電源を接続可能な車載電源接続部としても機能する。
【0062】
コンプレッサ駆動回路48は、コンプレッサ41側に設けられ、コンプレッサ41の回転数を調節(変更)する回路であり、内部出力変更回路の例示である。コンプレッサ駆動回路48によりコンプレッサ41の回転数を変更することで、コンプレッサ41の消費電力を変更できる。
【0063】
冷蔵庫1は、制御回路基板80を有する。図示は省略するが、制御回路基板80は、左外箱12の右側面の外面(第1本体部3および第2本体部4の境界壁面)に設けられたボスに対してネジ止めにより固定され、左右方向と略垂直な状態で右外箱13内に位置する。すなわち、制御回路基板80は、第2本体部4に収容される。制御回路基板80は、コンプレッサ41を制御する機能および電池パック29a、29bの充電を制御する機能を有する。ここでの充電は、外部電源入力端子28を介して外部から入力される直流電力により、電池パック装着部22aに装着された電池パック29a、29bを充電することである。
【0064】
冷蔵庫1は、制御回路基板80に、運転制御部としてのマイコン81、充電制御部としてのマイコン82、制御用電源83、回転数設定回路84、シャント抵抗85、電池電圧検出回路86a、86b、DC電源電圧検出回路86c、充電回路88、シャント抵抗89、12V出力用DCDCコンバータ回路103(外部機器用電圧生成回路)、シャント抵抗104を有する。
【0065】
マイコン81、82は、コンプレッサ41への電力供給を制御する制御部として機能する。マイコン81、82は、互いに別体でなくてもよく、単一のマイコン(マイクロコントローラ)であってもよい。
【0066】
制御用電源83は、DC電源90又は電池パック29a若しくは29bからの入力電圧を、マイコン81、82等の電源電圧(例えば5V)に変換し、マイコン81、82等に供給する。
【0067】
電池電圧検出回路86a、86bは、それぞれ電池パック29a、29bの電圧に応じた検出信号をマイコン82に送信する。DC電源電圧検出回路86cは、DC電源90の電圧に応じた検出信号をマイコン81に送信する。
【0068】
12V出力用DCDCコンバータ回路103は、DC電源90又は電池パック29a若しくは29bからの入力電圧を、DC12Vに変換し、シガーソケット27Bに出力する。
【0069】
マイコン81は、冷蔵庫1における冷却、加温に係る全体の動作を制御する。マイコン81は、コンプレッサ駆動回路48の電流経路に設けられたスイッチング素子Q3のオンオフを制御し、コンプレッサ41の駆動、停止を制御する。マイコン81は、回転数設定回路84を介してコンプレッサ駆動回路48に回転数決定信号を送信し、コンプレッサ41の回転数を制御する。
【0070】
マイコン81は、設定部60に対する操作を電気信号として受信し、設定部60における表示(表示部61の表示)を制御する。マイコン81は、バルブV1、V2の開閉を制御し、冷媒管45L、45M、45Rにおける冷媒の流れを制御する。マイコン81は、仕切板検出センサ18b1、18b2の出力信号により仕切板P1、P2がそれぞれ装着されているか否かを検出し、検出結果に応じて前述の3部屋モード、2部屋モードB、2部屋モードA、1部屋モードのいずれかとなる。仕切板検出センサ18b1、18b2は、図5(E)に現れる仕切板検出センサ18bであり、仕切板P1の検出用と仕切板P2の検出用とを区別して示したものである。マイコン81は、仕切板P1、P2のいずれかが検出され、ユーザが温度設定を行うまで、コンプレッサ41の出力を切り替えないよう構成される。
【0071】
マイコン81は、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rに対応して設けられたヒータ51L、51M、51Rの電流経路にそれぞれ設けられたスイッチング素子Q4、Q5、Q6のオンオフを制御し、ヒータ51L、51M、51Rの駆動を個別に制御する。ヒータ51L、51M、51Rは、例えばワイヤヒーターであり、それぞれ冷媒管45L、45M、45Rを覆うように設けられる。
【0072】
マイコン81は、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rに対応して設けられたサーミスタ等の温度センサ55L、55M、55Rの出力信号により、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rの温度(現在温度)を検出する。
【0073】
マイコン81は、シャント抵抗85の電圧により、コンプレッサ41の駆動電流、ヒータ51L、51M、51Rの各駆動電流を検出する。シャント抵抗85は、スイッチング素子Q3~Q6にそれぞれ直列接続された抵抗をまとめたブロックである。マイコン81は、DC電源電圧検出回路86cからの検出信号により、DC電源90の電圧を検出する。
【0074】
マイコン81は、シガーソケット27Bへの出力電流の経路に設けられたスイッチング素子Q7のオンオフを制御し、シガーソケット27BへのDC12Vの出力、停止を制御する。スイッチング素子Q7は、外部機器への供給電力を変更する外部出力変更回路(外部出力オンオフ回路)である。マイコン81は、シガーソケット27Bへの出力電流の経路に設けられたシャント抵抗104の電圧により、シガーソケット接続機器への供給電流を検出する。
【0075】
マイコン82は、冷蔵庫1における、電池パック29a、29bの充電を制御する。マイコン82は、充電回路88の制御を通じて充電電圧を制御する。充電回路88は、外部電源からの供給電力(DC電源90からの供給電力)により電池パック29a、29bを充電可能な充電部である。充電回路88は、マイコン82の制御に従い、DC電源90からの入力電圧を、電池パック29a又は29bの充電電圧に変換し、電池パック29a又は29bに供給する(電池パック29a又は29bを充電する)。
【0076】
マイコン82は、充電回路88の出力端子と電池パック29a、29bの充電端子(C+端子)との間に設けられたスイッチング素子Q1、Q2のオンオフを制御し、電池パック29a、29bのいずれを充電するかを決定する。スイッチング素子Q1、Q2とマイコン82との間には、逆流防止用のダイオードD5、D6が接続される。マイコン82は、電池電圧検出回路86a、86bからの検出信号により、電池パック29a、29bの電圧を検出する。マイコン82は、充電回路88の出力電流経路に設けられたシャント抵抗89の電圧により、充電電流を検出する。
【0077】
マイコン82は、充電制御とは別に、電池パック29a、29bの正極端子(+端子)に接続されたスイッチとしてのリレーS1、S2のオンオフを制御し、電池パック29a、29bのいずれから放電するかを決定する。なお、DC電源90からの電力供給がある場合、マイコン82は、リレーS1、S2をオフし、電池パック29a、29bからの放電を行わない。ただし、シガーソケット接続機器への電力供給を行う場合、DC電源90からの電力供給があっても、マイコン82はリレーS1、S2の少なくとも一方をオンすることがある。
【0078】
電池パック29a、29bおよびDC電源90の各正極端子には、ヒューズF1~F3および逆流防止用のダイオードD1~D3が接続される。マイコン82は、ダイオードD3のカソードとダイオードD1、D2のカソードとの間に接続されたスイッチとしてのリレーS3のオンオフを制御する。
【0079】
DC電源90からの電力供給があり且つ電池パック29aおよび29bが接続されていない状態でリレーS3をオンにすると、コンプレッサ41、ヒータ51L、51M、51Rおよびシガーソケット接続機器に、DC電源90から電力供給する。コンプレッサ41およびヒータ51L、51M、51Rを合わせて以下「冷温機能負荷部」とも表記する。
【0080】
DC電源90からの電力供給があり且つ電池パック29aおよび29bが接続されていない状態でリレーS3をオフにすると、冷温機能負荷部にはDC電源90から電力供給し、シガーソケット接続機器には電力供給しない。
【0081】
DC電源90からの電力供給の有無によらず、電池パック29a又は29bが接続された状態でリレーS3をオンにすると、冷温機能負荷部、並びにシガーソケット接続機器に、電池パック29a又は29bから電力供給する。なお、DC電源90からの電力供給が無くかつ電池パック29a又は29bが接続された状態では、マイコン82は、リレーS3を常時オンにする。
【0082】
DC電源90からの電力供給があり且つ電池パック29a又は29bが接続された状態でリレーS3をオフにすると、冷温機能負荷部にはDC電源90から電力供給し、シガーソケット接続機器には電池パック29a又は29bから電力供給する。
【0083】
マイコン81、82は、互いに通信可能であり、様々な情報を共有できる。例えばマイコン82は、マイコン81との通信によりDC電源90の電圧情報を取得できる。
【0084】
図10は、冷蔵庫1の3部屋モードにおいて各部屋の設定温度を-18℃にして運転した場合におけるバルブV1、V2のオンオフ(開閉)と各部屋の温度変化の一例を示すグラフである。この例では、バルブV1のa側出口をオン、バルブV1のb側出口をオフ、バルブV2のa側出口とb側出口をオフにした状態と、バルブV1のa側出口をオフ、バルブV1のb側出口をオン、バルブV2のa側出口とb側出口をオンにした状態と、を5分間隔で交互に繰り返し、右部屋8Rと、左部屋8Lおよび中部屋8Mと、を交互に冷却する。最終的に各部屋の温度は-18℃±2~3℃の範囲に収まる。右部屋8Rの容積が左部屋8Lおよび中部屋8Mの容積の和と略等しいことで、同じ時間ずつの交互冷却で各部屋の温度を略等しくすることができる。なお、コンプレッサ41の能力に余裕がある場合には、バルブV1のa側出口およびb側出口ならびにバルブV1のa側出口およびb側出口を全てオンとして、各部屋を同時冷却してもよい。あるいは、所定温度、例えば0℃ないし5℃までは各部屋を同時冷却し、その後に右部屋8Rと左部屋8Lおよび中部屋8Mとの交互冷却に移行してもよい。
【0085】
図11は、冷蔵庫1の3部屋モードにおいて各部屋の設定温度を左部屋から順に-18℃、-5℃、10℃にして運転した場合におけるバルブV1、V2のオンオフ(開閉)と各部屋の温度変化の一例を示すグラフである。この例では、中部屋8Mが設定温度である-5℃以下になる35分までは、右部屋8Rと、左部屋8Lおよび中部屋8Mと、を交互に冷却する。その後、右部屋8Rのみの冷却(35分-40分の間)、左部屋8Lのみの冷却(40分-50分の間)、中部屋8Mおよび左部屋8Lのみの冷却(50分-55分の間)、右部屋8Rのみの冷却(55分-60分の間)、を順に行い、左部屋8Lのみの冷却(60分-70分の間)を順に行う。70分において左部屋8Lが設定温度である-18℃以下となり、その後は設定温度より2~3℃高くなった部屋を順次冷却する。なお、コンプレッサ41の能力に余裕がある場合には、右部屋8Rが設定温度である10℃以下になるまで各部屋を同時冷却してもよい。
【0086】
図12は、比較例1に係る冷蔵庫の機械構成の簡易ブロック図である。この冷蔵庫は、図7に示す冷蔵庫1においてバルブV1、V2を単一のバルブV3に置換したものである。バルブV3は、出口側に接続可能な流路が3本、入口側に接続可能な流路が1本(1in3outタイプ)である。
【0087】
図13は、比較例1に係る冷蔵庫の3部屋モードにおいて各部屋の設定温度を-18℃にして運転した場合におけるバルブV3のオンオフ(開閉)と各部屋の温度変化の一例を示すグラフである。バルブV3は、1本の流路に冷媒を出力することは可能なものの、同時に2本以上の流路に冷媒を出力することはできない。このため、冷媒管45L、45M、45Rに1本ずつ交互に冷媒を流し、左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rを1部屋ずつ交互に冷却することになる。この場合、各部屋ついて、冷却と冷却との間の待ち時間、すなわち別の2部屋を冷却している待ち時間が長い。このため、外部環境によっては待ち時間における温度の上昇幅が大きくなり、各部屋の温度を設定温度まで冷やすことができないリスクがある。なお、図13に示すような1部屋ずつの交互冷却は、冷蔵庫1の構成においても実行できる。
【0088】
図14(A)は、冷蔵庫1における仕切板P1、P2の装着状況に応じたモード選択と温度設定切替のフローチャートである。このフローチャートは、電源ボタン65のオン操作により開始される。
【0089】
マイコン81は、仕切板P1、P2がいずれも装着されていない場合(S1のNO、S2のNO)、1部屋モードとなり(S3)、温度設定切替ルーチン(S15)に進む。
【0090】
マイコン81は、仕切板P2のみが装着されている場合(S1のNO、S2のYES)、2部屋モードAとなり(S4)、温度設定切替ルーチン(S15)に進む。
【0091】
マイコン81は、仕切板P1のみが装着されている場合(S1のYES、S5のNO)、2部屋モードBとなり(S6)、温度設定切替ルーチン(S15)に進む。
【0092】
マイコン81は、仕切板P1、P2の双方が装着されている場合(S1のYES、S5のYES)、3部屋モードとなり(S7)、温度設定切替ルーチン(S15)に進む。
【0093】
図14(B)は、図14(A)においてユーザの操作を待って温度設定切替ルーチン(S15)に進むようにした場合のフローチャートである。この場合、マイコン81は、モード決定(S3~S7のいずれか)の後、電源ボタン65、部屋選択ボタン64、USB機器通電切替ボタン66、またはシガーソケット通電切替ボタン68の操作を検出すると(S9~S12のいずれかのYES)、温度設定切替ルーチン(S15)に進む。電源ボタン65、部屋選択ボタン64、USB機器通電切替ボタン66、およびシガーソケット通電切替ボタン68は、それぞれユーザが操作可能なスイッチの例示である。
【0094】
図15は、図14(A)の温度設定切替ルーチン(S15)のフローチャートである。
【0095】
図15中、「Setting_flag」および「Target_flag」はそれぞれモードを表すフラグであり、「1」は1部屋モード、「2」は2部屋モードA、「3」は2部屋モードB、「4」は3部屋モードに対応する。
【0096】
仕切板P1、P2の装着状況が変化していない場合、「Setting_flag」および「Target_flag」はそれぞれ現在のモードを示す。仕切板P1、P2の装着状況が変化した場合、すなわちモードが変化した場合、「Setting_flag」は、後述の温度設定読み込みルーチン(S60)で更新されるまでは、変化直前のモードを示し、「Target_flag」は、変化後のモードを示す。
【0097】
マイコン81は、1部屋モードの場合(S17のNO、S19のNO、S21のNO)において「Setting_flag」が「1」でない場合(S23のNO)、表示部61を図6(I)に示す1部屋モードに対応する表示に変更し(S25)、「Target_flag」に「1」を代入し(S27)、温度設定読み込みルーチン(S60)に進む。
【0098】
マイコン81は、2部屋モードAの場合(S17のNO、S19のNO、S21のYES)において「Setting_flag」が「2」でない場合(S33のNO)、表示部61を図6(G)に示す2部屋モードAに対応する表示に変更し(S35)、「Target_flag」に「2」を代入し(S37)、温度設定読み込みルーチン(S60)に進む。
【0099】
マイコン81は、2部屋モードBの場合(S17のNO、S19のYES)において「Setting_flag」が「3」でない場合(S43のNO)、表示部61を図6(E)に示す2部屋モードBに対応する表示に変更し(S45)、「Target_flag」に「3」を代入し(S47)、温度設定読み込みルーチン(S60)に進む。
【0100】
マイコン81は、3部屋モードの場合(S17のYES)において「Setting_flag」が「4」でない場合(S53のNO)、表示部61を図6(C)に示す3部屋モードに対応する表示に変更し(S55)、「Target_flag」に「4」を代入し(S57)、温度設定読み込みルーチン(S60)に進む。
【0101】
図15における各モードに対応する表示変更(S25、S35、S45、S55)の後の設定温度表示は、温度設定読み込みルーチン(S60)によって制御される。
【0102】
図16は、図15の温度設定読み込みルーチン(S60)のフローチャートである。
【0103】
・1部屋モード→3部屋モード
マイコン81は、「Target_flag」が「4」の場合(S61のYES)において「Setting_flag」が「1」の場合(S63のYES)、中部屋温度表示部61Mの表示温度、すなわち1部屋モードにおける設定温度を、3部屋モードにおける左部屋8L、中部屋8M、右部屋8Rの各々の設定温度とし、左部屋温度表示部61L、中部屋温度表示部61M、右部屋温度表示部61Rの各々に表示する(S65)。
【0104】
・2部屋モードA→3部屋モード
マイコン81は、「Target_flag」が「4」の場合(S61のYES)において「Setting_flag」が「2」の場合(S63のNO、S67のYES)、左部屋温度表示部61Lの表示温度、すなわち2部屋モードAにおける左部屋8Lおよび中部屋8Mの共通の設定温度を、3部屋モードにおける左部屋8Lおよび中部屋8Mの各々の設定温度とし、左部屋温度表示部61Lおよび中部屋温度表示部61Mの各々に表示する(S69)。また、マイコン81は、右部屋温度表示部61Rの表示温度、すなわち2部屋モードAにおける右部屋8Rの設定温度を、3部屋モードにおける右部屋8Rの設定温度とし、右部屋温度表示部61Rに表示する(S71)。
【0105】
・2部屋モードB→3部屋モード
マイコン81は、「Target_flag」が「4」の場合(S61のYES)において「Setting_flag」が「3」の場合(S63のNO、S67のNO)、左部屋温度表示部61Lの表示温度、すなわち2部屋モードBにおける左部屋8Lの設定温度を、3部屋モードにおける左部屋8Lの設定温度とし、左部屋温度表示部61Lに表示する(S73)。また、マイコン81は、中部屋温度表示部61Mの表示温度、すなわち2部屋モードBにおける中部屋8Mおよび右部屋8Rの共通の設定温度を、3部屋モードにおける中部屋8Mおよび右部屋8Rの各々の設定温度とし、中部屋温度表示部61Mおよび右部屋温度表示部61Rの各々に表示する(S75)。
【0106】
・1部屋モード→2部屋モードB
マイコン81は、「Target_flag」が「3」の場合(S61のNO、S77のYES)において「Setting_flag」が「1」の場合(S79のYES)、中部屋温度表示部61Mの表示温度、すなわち1部屋モードにおける設定温度を、2部屋モードBにおける左部屋8Lの設定温度、ならびに中部屋8Mおよび右部屋8Rの共通の設定温度とし、左部屋温度表示部61L、ならびに中部屋温度表示部61Mの各々に表示する(S81)。
【0107】
・2部屋モードA→2部屋モードB
マイコン81は、「Target_flag」が「3」の場合(S61のNO、S77のYES)において「Setting_flag」が「2」の場合(S79のNO、S83のYES)、左部屋温度表示部61Lの表示温度、すなわち2部屋モードAにおける左部屋8Lおよび中部屋8Mの共通の設定温度を、2部屋モードBにおける左部屋8Lの設定温度とし、左部屋温度表示部61Lに表示する(S85)。また、マイコン81は、右部屋温度表示部61Rの表示温度、すなわち2部屋モードAにおける右部屋8Rの設定温度を、中部屋8Mおよび右部屋8Rの共通の設定温度とし、中部屋温度表示部61Mに表示する(S87)。
【0108】
・3部屋モード→2部屋モードB
マイコン81は、「Target_flag」が「3」の場合(S61のNO、S77のYES)において「Setting_flag」が「4」の場合(S79のNO、S83のNO)、左部屋温度表示部61Lの表示温度、すなわち3部屋モードにおける左部屋8Lの設定温度を、2部屋モードBにおける左部屋8Lの設定温度とし、左部屋温度表示部61Lに表示する(S89)。また、マイコン81は、右部屋温度表示部61Rの表示温度、すなわち3部屋モードにおける右部屋8Rの設定温度を、2部屋モードBにおける中部屋8Mおよび右部屋8Rの共通の設定温度とし、中部屋温度表示部61Mに表示する(S91)。
【0109】
・1部屋モード→2部屋モードA
マイコン81は、「Target_flag」が「2」の場合(S61のNO、S77のNO、S93のYES)において「Setting_flag」が「1」の場合(S95のYES)、中部屋温度表示部61Mの表示温度、すなわち1部屋モードにおける設定温度を、2部屋モードAにおける左部屋8Lおよび中部屋8Mの共通の設定温度、ならびに右部屋8Rの設定温度とし、中部屋温度表示部61M、ならびに右部屋温度表示部61Rの各々に表示する(S97)。
【0110】
・2部屋モードB→2部屋モードA
マイコン81は、「Target_flag」が「2」の場合(S61のNO、S77のNO、S93のYES)において「Setting_flag」が「3」の場合(S95のNO、S99のYES)、左部屋温度表示部61Lの表示温度、すなわち2部屋モードBにおける左部屋8Lの設定温度を、2部屋モードAにおける左部屋8Lおよび中部屋8Mの共通の設定温度とし、中部屋温度表示部61Mに表示する(S101)。また、マイコン81は、中部屋温度表示部61Mの表示温度、すなわち2部屋モードBにおける中部屋8Mおよび右部屋8Rの共通の設定温度を、2部屋モードAにおける右部屋8Rの設定温度とし、右部屋温度表示部61Rに表示する(S103)。
【0111】
・3部屋モード→2部屋モードA
マイコン81は、「Target_flag」が「2」の場合(S61のNO、S77のNO、S93のYES)において「Setting_flag」が「4」の場合(S95のNO、S99のNO)、左部屋温度表示部61Lの表示温度、すなわち3部屋モードにおける左部屋8Lの設定温度を、2部屋モードAにおける左部屋8Lおよび中部屋8Mの共通の設定温度とし、中部屋温度表示部61Mに表示する(S105)。また、マイコン81は、右部屋温度表示部61Rの表示温度、すなわち3部屋モードにおける右部屋8Rの設定温度を、2部屋モードAにおける右部屋8Rの設定温度とし、右部屋温度表示部61Rに表示する(S107)。
【0112】
・2部屋モードA→1部屋モード
マイコン81は、「Target_flag」が「1」の場合(S61のNO、S77のNO、S93のNO)において「Setting_flag」が「2」の場合(S109のYES)、左部屋温度表示部61Lの表示温度、すなわち2部屋モードAにおける左部屋8Lおよび中部屋8Mの共通の設定温度を、1部屋モードにおける設定温度とし、中部屋温度表示部61Mに表示する(S111)。
【0113】
・2部屋モードB→1部屋モード
マイコン81は、「Target_flag」が「1」の場合(S61のNO、S77のNO、S93のNO)において「Setting_flag」が「3」の場合(S109のNO、S113のYES)、右部屋温度表示部61Rの表示温度、すなわち2部屋モードBにおける中部屋8Mおよび右部屋8Rの共通の設定温度を、1部屋モードにおける設定温度とし、中部屋温度表示部61Mに表示する(S115)。
【0114】
・3部屋モード→1部屋モード
マイコン81は、「Target_flag」が「1」の場合(S61のNO、S77のNO、S93のNO)において「Setting_flag」が「4」の場合(S109のNO、S113のNO)、中部屋温度表示部61Mの表示温度、すなわち3部屋モードにおける中部屋8Mの設定温度を、1部屋モードにおける設定温度とし、中部屋温度表示部61Mに表示する(S117)。
【0115】
マイコン81は、S65、S71、S75、S81、S87、S91、S97、S103、S107、S111、S115、またはS117の処理の実行後、「Setting_flag」に「Target_flag」を代入し、温度設定読み込みルーチン(S60)を終了する。
【0116】
本実施形態は、下記の作用効果を奏する。
【0117】
(1) 冷蔵庫1は、出口側に接続可能な流路が2本かつ入口側に接続可能な流路が1本(1in2outタイプ)のバルブV1、V2を有する。バルブV1の入口はコンプレッサ41の出力側(吐出側)に接続され、バルブV1のa側出口に冷媒管45Rが接続され、バルブV1のb側出口にバルブV2の入口が接続され、バルブV2のa側出口に冷媒管45Mが接続され、バルブV2のb側出口に冷媒管45Lが接続される。このため、冷蔵庫1は、マイコン81によりバルブV1、V2のオンオフ(開閉)を制御することで、3outバルブでは実現できなかった制御、すなわち冷媒管45L、45M、45Rに同時に冷媒を流す制御や、冷媒管45L、45M、45Rのうち任意の2本に冷媒を流す制御が可能である。したがって、図12および図13に示す比較例1の冷蔵庫のように冷媒管45L、45M、45Rに交互に冷媒を流す制御しかできない構成と比較して、各部屋の冷却と冷却との間の待ち時間を減らすことができ、各部屋の温度を設定温度まで冷やすことができないリスクを抑制できる。
【0118】
(2) 冷蔵庫1は、1in2outタイプのバルブV1、V2を組み合わせることで、比較例1の冷蔵庫で用いるバルブV3(1in3outタイプのバルブ)を使用せずに、3本の冷媒管45L、45M、45Rの冷媒の流れを制御できる。このため、高価な1in3outタイプのバルブの使用を回避でき、原価を抑制できる。
【0119】
(3) マイコン81は、仕切板P1、P2の装着状態により、モードを自動的に切り替え、冷媒管45L、45M、45Rのいずれに冷媒を流すかの制御が異なるよう構成される。このため、仕切板P1、P2の装着状態に応じたモード選択の負担が低減され、操作性が良い。以下、具体的に説明する。
【0120】
(3).1 マイコン81は、仕切板P1、P2が装着されていない場合、自動的に1部屋モードとなるため、ユーザはボタン操作等により1部屋モードを選択する必要が無く、操作性が良い。1部屋モードで運転する場合、マイコン81は、冷媒管45L、45M、45Rに冷媒を流す制御を実行するよう構成される。よって、1部屋モードにおける非効率な運転、例えば1部屋モードでの運転期間を通して任意の1本または2本の冷媒管のみに冷媒を流しつづけるような運転が自動的に除外され、消費電力が抑制される。なお、冷媒管45L、45M、45Rに冷媒を流す制御は、冷媒管45L、45M、45Rに同時に冷媒を流すことに限定されず、任意のモードでの運転期間全体で見て冷媒管45L、45M、45Rの全てに冷媒を流す制御であればよく、例えば冷媒管45L、45M、45Rに交互に冷媒を流す制御であってもよいし、冷媒管45L、45Mに冷媒を流す制御と冷媒管45Rに冷媒を流す制御とを交互に実行する制御であってもよい。すなわち、冷媒管45L、45M、45Rに冷媒を流す制御において、一時的に任意の1本または2本の冷媒管のみに冷媒を流すことがあってもよい。
【0121】
(3).2 マイコン81は、仕切板P1が装着され、仕切板P2が装着されていない場合、自動的に2部屋モードBとなるため、ユーザはボタン操作等により2部屋モードBを選択する必要が無く、操作性が良い。2部屋モードBで運転する場合、マイコン81は、冷媒管45Lのみに冷媒を流す制御と、冷媒管45M、45Rのみに冷媒を流す制御と、冷媒管45L、45M、45Rに冷媒を流す制御と、のいずれかを実行するよう構成される。このため、2部屋モードBにおける非効率な運転、例えば2部屋モードBでの運転期間を通して冷媒管45Rのみに冷媒を流しつづけるような運転が自動的に除外され、消費電力が抑制される。
【0122】
(3).3 マイコン81は、仕切板P1が装着されず、仕切板P2が装着されている場合、自動的に2部屋モードAとなるため、ユーザはボタン操作等により2部屋モードAを選択する必要が無く、操作性が良い。2部屋モードAで運転する場合、マイコン81は、冷媒管45L、45Mのみに冷媒を流す制御と、冷媒管45Rのみに冷媒を流す制御と、冷媒管45L、45M、45Rに冷媒を流す制御と、のいずれかを実行するよう構成される。このため、2部屋モードAにおける非効率な運転、例えば2部屋モードAでの運転期間を通して冷媒管45Lのみに冷媒を流しつづけるような運転が自動的に除外され、消費電力が抑制される。
【0123】
(3).4 マイコン81は、仕切板P1、P2が装着されている場合、自動的に3部屋モードとなるため、ユーザはボタン操作等により3部屋モードを選択する必要が無く、操作性が良い。3部屋モードで運転する場合、マイコン81は、冷媒管45Lのみに冷媒を流す制御と、冷媒管45Mのみに冷媒を流す制御と、冷媒管45Rのみに冷媒を流す制御と、冷媒管45L、45M、45Rのうち任意の2本のみに冷媒を流す制御と、冷媒管45L、45M、45Rの全てに同時にまたは交互に冷媒を流す制御と、のいずれかを実行するよう構成される。
【0124】
(4) 冷蔵庫1において、マイコン81は、左部屋8Lの設定温度L、中部屋8Mの設定温度M、右部屋8Rの設定温度Rが、L≧M≧RもしくはL≦M≦Rの関係となる温度設定のみを許容する。このため、例えば中部屋8Mの設定温度が高く左部屋8Lおよび右部屋8Rの設定温度が低いような温度設定が禁止され、非効率な運転が抑制される。
【0125】
(5) マイコン81は、仕切板検出センサ18b1、18b2の検出結果(仕切板P1、P2が装着されているか否かの検出結果)に応じた制御の切替(図15に示す温度設定切替ルーチン(S15))を、自動的に行い(図14(A))、またはユーザのスイッチ操作を契機として半自動的に行う(図14(B))。自動的に行う場合、必要な操作を削減できる。半自動的に行う場合、ユーザは自らのスイッチ操作で表示部61の表示が変化するので、モードが変更されたことを理解しやすい。
【0126】
(6) マイコン81は、仕切板P1、P2の装着状況が変化すると、変化後のモードにおいて温度設定画面を表示する(例えば表示部61において設定温度を点滅表示する)。このため、ユーザは仕切板P1、P2の抜き差しの後に温度設定を確認しやすく、使い勝手が良い。
【0127】
(7) 上側仕切板71に設けられた磁石74の発生する磁界を仕切板検出センサ18bによって検出する構成のため、収容物の散乱防止壁(簡易的な間仕切り)として下側仕切板72だけを装着した場合にはモードが切り替わらず、使い勝手が良い。
【0128】
(実施形態2)
図17は、本発明の実施形態2に係る冷蔵庫1Aの機械構成の簡易ブロック図である。以下、実施形態1との相違点を中心に説明する。
【0129】
バルブV4は、電磁バルブであり、出口側に接続可能な流路が2本、入口側に接続可能な流路が1本(1in2outタイプ)である。バルブV4の2つの出口の一方をa側出口、他方をb側出口として区別する。
【0130】
毛細管43L、43M、43R(キャピラリーチューブ)の出口は、それぞれ冷媒管45L、45M、45Rの入口に接続される。毛細管43Lの入口は、凝縮器42の出口に接続される。毛細管43M、43Rの入口は、バルブV4のa側出口、b側出口にそれぞれ接続される。バルブV4の入口は、凝縮器42の出口に接続される。
【0131】
毛細管43L、43M、43Rは、それぞれ凝縮器42で液化された冷媒の流れに抵抗を生じさせ、圧力を低下させて後段の冷媒管45L、45M、45Rに送出する。なお、毛細管43L、43M、43Rも冷媒管の一部を成す。
【0132】
毛細管43M、43Rは、毛細管43Lよりも流路抵抗が小さく構成される。具体的には、毛細管43M、43Rは、毛細管43Lと比較して、内径が大きい、および/または、長さが短い。これにより、冷媒管45M、45Rと毛細管43M、43Rとの各圧力比が、冷媒管45Lと毛細管43Lとの圧力比よりも小さくなる。例えば、冷媒管45M、45Rと毛細管43M、43Rとの各圧力比は1:6、冷媒管45Lと毛細管43Lとの圧力比は1:6.5に設定される。このため、バルブV4のa側出口とb側出口の少なくともいずれかを開いた場合、冷媒のほとんどがバルブV4のほうに流れ(毛細管43R、43Mの少なくともいずれかに流れ)、毛細管43Lにはほとんど冷媒が流れない。
【0133】
冷蔵庫1Aは、バルブV4の制御により、以下の制御a~dが可能である。
・制御a…冷媒管45Lのみに冷媒を流す制御。
・制御b…冷媒管45Mに大部分の冷媒を流して冷媒管45Rには冷媒を流さず冷媒管45Lにはほとんど冷媒を流さない制御。
・制御c…冷媒管45Rに大部分の冷媒を流して冷媒管45Mには冷媒を流さず冷媒管45Lにはほとんど冷媒を流さない制御。
・制御d…冷媒管45M、45Rに大部分の冷媒を流して冷媒管45Lにはほとんど冷媒を流さない制御。
【0134】
冷蔵庫1Aにおける各モードと制御a~dとの組合せ例を以下に示す。
・1部屋モード… 制御a、dを交互に実行。
・2部屋モードA…制御a~cを交互に実行、制御a、bを交互に実行、または制御cを実行。
・2部屋モードB…制御a、dを交互に実行、または制御a、dのいずれかを実行。
・3部屋モード… 制御a~cを交互に実行、制御a~cのいずれか2つを交互に実行、または制御a~cのうち1つを実行。
【0135】
本実施形態によれば、単一の1in2outタイプのバルブV4により、比較例1の冷蔵庫で用いるバルブV3(1in3outタイプのバルブ)を使用せずに、3本の冷媒管45L、45M、45Rの冷媒の流れを制御できる。このため、高価な1in3outタイプのバルブの使用を回避でき、また1in2outタイプのバルブの使用個数を1個に限定でき、原価を抑制できる。
【0136】
(実施形態3)
図18は、本発明の実施形態3に係る冷蔵庫1Bの機械構成の簡易ブロック図である。冷蔵庫1Bは、実施形態2の冷蔵庫1AのバルブV4がバルブV5、V6に置換されたものである。バルブV5、V6の各々は、電磁バルブであり、出口側に接続可能な流路が1本、入口側に接続可能な流路が1本(1in1outタイプ)である。
【0137】
冷蔵庫1Bは、バルブV5、V6の制御により、実施形態2の冷蔵庫1Aと同様の制御が可能である。本実施形態によれば、高価な1in2outタイプのバルブの使用を回避でき、原価を抑制できる。
【0138】
(実施形態4)
図19は、本発明の実施形態4に係る冷蔵庫1Cの機械構成の簡易ブロック図である。冷蔵庫1Cは、実施形態2、3の冷蔵庫1A、1Bを2部屋タイプに変更したものに対応する。
【0139】
冷蔵庫1Cの収容室8において、左部屋8Lおよび右部屋8Rは、互いに隣接し、着脱可能な仕切板P3によって分割される(仕切られる)。仕切板P3は、実施形態1~3の仕切板P1、P2と同構成である。左部屋8Lは第1収容室に対応し、右部屋8Rは第2収容室に対応する。冷媒管45Lは左部屋8Lに対応して設けられ、冷媒管45Rは右部屋8Rに対応して設けられる。
【0140】
バルブV7は、電磁バルブであり、出口側に接続可能な流路が1本、入口側に接続可能な流路が1本(1in1outタイプ)である。毛細管43L、43R(キャピラリーチューブ)の出口は、それぞれ冷媒管45L、45Rの入口に接続される。毛細管43Lの入口は、凝縮器42の出口に接続される。毛細管43Rの入口は、バルブV7の出口に接続される。バルブV7の入口は、凝縮器42の出口(コンプレッサ41の出力側)に接続される。
【0141】
毛細管43L、43Rは、それぞれ凝縮器42で液化された冷媒の流れに抵抗を生じさせ、圧力を低下させて後段の冷媒管45L、45Rに送出する。なお、毛細管43L、43Rも冷媒管の一部を成す。
【0142】
毛細管43Rは、毛細管43Lよりも流路抵抗が小さく構成される。具体的には、毛細管43Rは、毛細管43Lと比較して、内径が大きい、および/または、長さが短い。これにより、冷媒管45Rと毛細管43Rの圧力比が、冷媒管45Lと毛細管43Lとの圧力比よりも小さくなる。例えば、冷媒管45Rと毛細管43Rとの各圧力比は1:6、冷媒管45Lと毛細管43Lとの圧力比は1:6.5に設定される。このため、バルブV7を開いた場合、冷媒のほとんどがバルブV7のほうに流れ(毛細管43Rに流れ)、毛細管43Lにはほとんど冷媒が流れない。
【0143】
冷蔵庫1Cは、バルブV7の制御により、以下の制御e,fが可能である。
・制御e…冷媒管45Lのみに冷媒を流す制御。
・制御f…冷媒管45Rに大部分の冷媒を流して冷媒管45Lにはほとんど冷媒を流さない制御。
【0144】
冷蔵庫1Cにおける各モードと制御e,fとの組合せ例を以下に示す。
・1部屋モード…制御e、fを交互に実行。
・2部屋モード…制御eを実行、制御fを実行、または制御e、fを交互に実行。
【0145】
図20は、冷蔵庫1Cにおいて2部屋モード(仕切板P3の装着あり)でバルブV7をオン(開)にして運転した場合(制御fを実行した場合)の各部屋の温度変化の一例を示すグラフである。右部屋8Rは40分程度で設定温度である-18℃に到達する。図示は省略するが、コンプレッサ41は、右部屋8Rの温度が-21℃になると運転を停止し、右部屋8Rの温度が-15℃になると運転を再開する。これにより右部屋8Rの温度は-18℃±3℃の範囲に収まる。左部屋8Lの温度が低下しているのは、隣接する右部屋8Rの温度低下と、僅かではあるが左冷媒管45Lに流れる冷媒による吸熱のためである。
【0146】
図21は、冷蔵庫1Cにおいて2部屋モード(仕切板P3の装着あり)でバルブV7のオンオフ(開閉)を繰り返しながら運転した場合(制御e、fを交互に実行した場合)の各部屋の温度変化の一例を示すグラフである。冷蔵庫1Cは、バルブV7のオンオフ(開閉)を繰り返すことで、左部屋8Lおよび右部屋8Rの双方を設定温度である-18℃まで冷やすことができる。
【0147】
図22は、比較例2に係る冷蔵庫の機械構成の簡易ブロック図である。この冷蔵庫は、図19に示す冷蔵庫1Cにおいて1in1outタイプのバルブV7を1in2outタイプのバルブV8に置換したものである。バルブV8のa側出口に毛細管43Rの入口が接続され、バルブV8のb側出口に毛細管43Lの入口が接続される。毛細管43R、43Lの流路抵抗は互いに等しい。冷媒管45Rと毛細管43Rとの圧力比は、冷媒管45Lと毛細管43Lの圧力比と等しい(例えば1:6)。
【0148】
図23は、比較例2に係る冷蔵庫において2部屋モード(仕切板P3の装着あり)でバルブV8のa側出口とb側出口のオンオフ(開閉)を繰り返しながら運転した場合の各部屋の温度変化の一例を示すグラフである。バルブV8のa側出口とb側出口のオンオフ(開閉)を繰り返すことで、左部屋8Lおよび右部屋8Rの双方が設定温度である-18℃まで冷やされる。
【0149】
本実施形態によれば、単一の1in1outタイプのバルブV7により、比較例2で用いる1in2outタイプのバルブV8を使用せずに、比較例2と同様に2本の冷媒管45L、45Rの冷媒の流れを制御できる。このため、高価な1in2outタイプのバルブの使用を回避でき、原価を抑制できる。
【0150】
本実施の形態の別例として、バルブV7を省略してもよい。この場合、冷媒管45Rに大部分の冷媒を流して冷媒管45Lにはほとんど冷媒を流さないという運転形態(制御fに対応)のみ可能で、左部屋8Lおよび右部屋8Rの温度変化は図20のようになり、右部屋は冷凍室、左部屋は冷蔵室となる。換言すれば、右部屋は冷凍室、左部屋は冷蔵室という単用途でよければ、バルブV7は不要となり、さらに原価を抑制できる。これによれば、バルブを用いなくても冷蔵室と冷凍室の2部屋にできる冷蔵庫が実現される。
【0151】
以上、実施形態を例に本発明を説明したが、本発明は実施形態に限定されない。実施形態で具体的に説明した各事項には請求項に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【0152】
実施形態1において、バルブV1、V2は、冷媒管45L、45M、45Rの後段側、すなわち冷媒管45L、45M、45Rのうち各部屋から熱を吸収した後の冷媒が流れる位置に設けられてもよい。この場合、バルブV1、V2は、2in1outタイプとなり、バルブV1の一方の入口に冷媒管45Rが接続され、バルブV2の2つの入口に冷媒管45L、45Mがそれぞれ接続され、バルブV1の出口にコンプレッサ41の吸込口が接続され、バルブV2の出口にバルブV1の他方の入口が接続される。同様の変形例が実施形態2~4にも成立する。
【0153】
実施の形態で具体的な数値として例示した電池パックの接続可能個数や電池パックの定格出力電圧、DC電源90の電圧、温度ないし温度範囲等は、発明の範囲を何ら限定するものではなく、要求される仕様に合わせて任意に変更できる。
【符号の説明】
【0154】
1、1A~1C…冷蔵庫、2…本体、3…第1本体部、4…第2本体部、5…蓋体、6…第1蓋体、6a…把手部、7…第2蓋体、7a…把手部、8…収容室、8L…左部屋、8M…中部屋、8R…右部屋、11…メインフレーム、12…左外箱、13…右外箱、16L、16M、16R…金属板(内壁部材)、18…レール、18a…凹部、18b…仕切板検出センサ(磁気センサ)、19…キャスター、20…可動ハンドル、21…把手部、22a…電池パック装着部、23…吸気口、24…排気口、25…第1ヒンジ機構、26…第2ヒンジ機構、27A…USB端子、27B…シガーソケット、28…外部電源入力端子、29a、29b…電池パック、35…脚部、41…コンプレッサ(冷却機構)、42…凝縮器、43、43L、43M、43R…毛細管(キャピラリーチューブ)、45A~45C、45L、45M、45R…冷媒管、48…コンプレッサ駆動回路、49…ファン、51L、51M、51R…ヒータ、55L、55M、55R…温度センサ、60…設定部、61…表示部(表示パネル)、61a…電池状態表示部、61b…外部電源接続表示部、61c…USB機器通電表示部、61g…シガーソケット通電表示部、61h…仕切線、61L…左部屋温度表示部、61M…中部屋温度表示部、61R…右部屋温度表示部、62、63…温度設定ボタン、64…部屋選択ボタン、65…電源ボタン、66…USB機器通電切替ボタン、68…シガーソケット通電切替ボタン、71…上側仕切板、72…下側仕切板、73…側辺部(係合部)、74…磁石、80…制御回路基板、81…マイコン(運転制御部)、82…マイコン(充電制御部)、83…制御用電源、84…回転数設定回路、85…シャント抵抗、86a、86b…電池電圧検出回路、86c…DC電源電圧検出回路、88…充電回路、89…シャント抵抗、90…DC電源、103…12V出力用DCDCコンバータ回路、104…シャント抵抗、P1~P3…仕切板、V1~V8…バルブ。
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