特開 2024-94169 カラオケシステム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024094169

(43)【公開日】2024-07-09

(54)【発明の名称】カラオケシステム

(51)【国際特許分類】

   G10K 15/04 20060101AFI20240702BHJP

【ＦＩ】

G10K15/04 302D

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022210953

(22)【出願日】2022-12-27

(71)【出願人】

【識別番号】390004710

【氏名又は名称】株式会社第一興商

(74)【代理人】

【識別番号】110000176

【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】岡田 勇太

【テーマコード（参考）】

5D208

【Ｆターム（参考）】

5D208CF04

5D208CG06

(57)【要約】

【課題】自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲をカラオケ歌唱する場合にカラオケ歌唱の評価を調整可能なカラオケシステムを提供する。
【解決手段】利用者属性情報を記憶する第１の記憶部、楽曲属性情報を記憶する第２の記憶部、ある利用者に対応する利用者属性情報を取得し、ある利用者が選曲したある楽曲の楽曲属性情報を取得する取得部、属性項目の選択を受け付ける第１の受付部、利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性とある楽曲の楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度を判定する判定部、ある利用者によるある楽曲のカラオケ歌唱の評価を、判定した乖離度に応じて補正する評価部を有するカラオケシステム。
【選択図】図１０

【特許請求の範囲】

【請求項1】

利用者の属性に対応する複数の属性項目を含む利用者属性情報を記憶する第１の記憶部と、
楽曲をカラオケ歌唱した利用者の属性に基づいて決定された属性に対応する複数の属性項目を含む楽曲属性情報を記憶する第２の記憶部と、
前記第１の記憶部からある利用者に対応する利用者属性情報を取得し、前記第２の記憶部から当該ある利用者が選曲したある楽曲の楽曲属性情報を取得する取得部と、
取得した前記ある利用者の利用者属性情報及び前記ある楽曲の楽曲属性情報に共通する属性項目のうち、少なくとも1つの属性項目の選択を受け付ける第１の受付部と、
選択された前記属性項目に基づいて、前記ある利用者の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性と前記ある楽曲の楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度を判定する判定部と、
前記ある利用者による前記ある楽曲のカラオケ歌唱の評価を、判定した前記乖離度に応じて補正する評価部と、
を有するカラオケシステム。

【請求項2】

前記属性項目は、年代、性別、職業、趣味、カラオケ装置を利用した利用時期の少なくとも一つであることを特徴とする請求項１記載のカラオケシステム。

【請求項3】

前記評価部は、前記乖離度が大きいほどカラオケ歌唱の評価が高くなるよう補正を行うことを特徴とする請求項１記載のカラオケシステム。

【請求項4】

利用者属性情報及び楽曲属性情報に含まれる属性項目のうち少なくとも1つの属性項目と、利用者が希望する乖離度の選択を受け付ける第２の受付部と、
選択された前記属性項目に対応する前記ある利用者の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度が、選択された前記乖離度となる、楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性を特定する特定部と、
前記第２の記憶部から、特定された前記属性が含まれる楽曲属性情報を抽出する抽出部と、
抽出された前記楽曲属性情報に紐付けられた楽曲識別情報に基づく楽曲を前記利用者に対して提示する提示部と、
を有することを特徴とする請求項１から３のいずれか１項に記載のカラオケシステム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明はカラオケシステムに関する。

【背景技術】

【0002】

カラオケ装置を利用する利用者は、たとえば、年齢、性別、職業、趣味のような様々な属性を有している。

【0003】

ここで、特許文献１には、年齢の要素に応じてメリハリの利いた演奏評価を実現するカラオケ装置が開示されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１２－３２５４６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

ところで、カラオケ装置を利用する利用者の中には、自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲のカラオケ歌唱にチャレンジしたいと考える者もいる。たとえば、自分と異なる世代でよく歌われる楽曲や、異性によく歌われる楽曲をカラオケ歌唱したいと考える利用者がいる。一方でこのような場合、属性の違いに起因してカラオケ歌唱の評価は低くなりがちである。

【0006】

本発明の目的は、自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲をカラオケ歌唱する場合にカラオケ歌唱の評価を調整可能なカラオケシステムを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記目的を達成するための一の発明は、利用者の属性に対応する複数の属性項目を含む利用者属性情報を記憶する第１の記憶部と、楽曲をカラオケ歌唱した利用者の属性に基づいて決定された属性に対応する複数の属性項目を含む楽曲属性情報を記憶する第２の記憶部と、前記第１の記憶部からある利用者に対応する利用者属性情報を取得し、前記第２の記憶部から当該ある利用者が選曲したある楽曲の楽曲属性情報を取得する取得部と、取得した前記ある利用者の利用者属性情報及び前記ある楽曲の楽曲属性情報に共通する属性項目のうち、少なくとも1つの属性項目の選択を受け付ける第１の受付部と、選択された前記属性項目に基づいて、前記ある利用者の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性と前記ある楽曲の楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度を判定する判定部と、前記ある利用者による前記ある楽曲のカラオケ歌唱の評価を、判定した前記乖離度に応じて補正する評価部と、を有するカラオケシステムである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。

【発明の効果】

【0008】

本発明によれば、自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲をカラオケ歌唱する場合にカラオケ歌唱の評価を調整できる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】第１実施形態に係るカラオケシステムを示す図である。

【図2】第１実施形態に係るサーバ装置を示す図である。

【図3】第１実施形態に係るサーバ装置に記憶されている利用者属性情報のテーブルを示す図である。

【図4】第１実施形態に係るサーバ装置に記憶されている職業グループリストを示す図である。

【図5】第１実施形態に係るサーバ装置に記憶されている趣味グループリストを示す図である。

【図6】第１実施形態に係るサーバ装置に記憶されている楽曲属性情報のテーブルを示す図である。

【図7】第１実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。

【図8】第１実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。

【図9】第１実施形態に係るカラオケ装置に記憶されている属性と乖離度とを対応付けたテーブルを示す図である。

【図10】第１実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。

【図11】第１実施形態に係るサーバ装置から取得した利用者の利用者属性情報を示す図である。

【図12】第１実施形態に係るサーバ装置から取得した楽曲の楽曲属性情報を示す図である。

【図13】第２実施形態に係るサーバ装置を示す図である。

【図14】第２実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。

【図15】第２実施形態に係るカラオケ装置に記憶されている属性と乖離度とを対応付けたテーブルを示す図である。

【図16】第２実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。

【発明を実施するための形態】

【0010】

＜第１実施形態＞
図１～図１２を参照して、第１実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。

【0011】

＝＝カラオケシステム＝＝
図１に示すように、カラオケシステム１は、カラオケ装置Ｋ及びサーバ装置Ｓを含む。カラオケ装置Ｋは、ネットワークＮを介してサーバ装置Ｓと通信可能に接続されている。ネットワークＮは、たとえば公衆電話回線網やインターネット回線等の伝送路である。

【0012】

サーバ装置Ｓは、各種情報を管理するコンピュータである。サーバ装置Ｓは、ネットワークＮを介してカラオケ装置Ｋ以外の他のカラオケ装置（図示なし）とも通信可能となっている。

【0013】

＝＝サーバ装置＝＝
図２に示すように、サーバ装置Ｓは、記憶手段１０、通信手段２０、及び制御手段３０を備える。各構成はインターフェース（図示なし）を介してバスＢに接続されている。

【0014】

［記憶手段］
記憶手段１０は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。本実施形態において、記憶手段１０の記憶領域の一部は、第１の記憶部１０ａ及び第２の記憶部１０ｂとして機能する。

【0015】

（第１の記憶部）
第１の記憶部１０ａは、利用者の属性に対応する複数の属性項目を含む利用者属性情報を記憶する。

【0016】

利用者の属性は、たとえば、利用者の年齢または生年月日（或いは当該年齢を含む年代）、利用者の性別、利用者の職業、利用者の趣味、利用者がカラオケ装置を最後に利用した時期（たとえば春夏秋冬）または日付、利用者が好きな楽曲のジャンル、利用者が好きなアーティスト、利用者の住所のような、利用者固有の情報である。

【0017】

利用者の属性項目は、利用者の属性に対応する項目である。利用者の属性項目は、属性に応じて予め設定されている。たとえば、年齢または生年月日の属性項目として「年代」、利用者の性別の属性項目として「性別」、利用者がカラオケ装置を最後に利用した時期または日付として「利用時期」を設定することができる。利用者属性情報は、複数の属性項目を含む情報であって、各利用者に固有の情報である。

【0018】

第１の記憶部１０ａは、利用者属性情報に対して利用者識別情報を紐付けて記憶する。利用者識別情報は、個々の利用者を識別するための利用者ＩＤ等、各利用者に固有の情報である。

【0019】

図３は、第１の記憶部１０ａに記憶されている利用者属性情報のテーブルを示す図である。図３において、属性項目は「年代」、「性別」、「職業」、「趣味」、「利用時期」の５項目が設定されている。たとえば、利用者Ｕ１の利用者属性情報としては、属性「５６歳」に対応する属性項目「年代」、属性「男性」に対応する属性項目「性別」、属性「漁業」に対応する属性項目「職業」、属性「料理」に対応する属性項目「趣味」、及び属性「冬」に対応する属性項目「利用時期」が含まれている。また利用者Ｕ１の利用者属性情報に対しては利用者ＩＤ＊＊＊Ｕ１が紐付けられている。

【0020】

（第２の記憶部）
第２の記憶部１０ｂは、楽曲をカラオケ歌唱した利用者の属性に基づいて決定された属性に対応する複数の属性項目を含む楽曲属性情報を記憶する。

【0021】

楽曲の属性は、たとえば、当該楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の年齢の平均値または当該平均値を含む年代、当該楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の性別のうち多いほうの性別、当該楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の職業や趣味が含まれるグループのうち、最も多いグループ、当該楽曲のカラオケ歌唱が最も行われた時期、当該楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者が好きなジャンルのうち最も多いジャンル、当該楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者が好きなアーティストのうち最も多いアーティスト、当該楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の住所が含まれるエリア（都道府県、市町村等）のうち最も多いエリアのような、楽曲固有の情報である。

【0022】

楽曲の属性は、当該楽曲をカラオケ歌唱した利用者の属性に基づいて決定される。具体的に、サーバ装置Ｓは、通信可能となっているカラオケ装置から定期的（たとえば１日毎、１週間毎）にカラオケ演奏された楽曲の楽曲識別情報及び当該楽曲のカラオケ歌唱を行った利用者の利用者識別情報を取得する。楽曲識別情報は、個々の楽曲を識別するための楽曲ＩＤ等、各楽曲に固有の情報である。

【0023】

サーバ装置Ｓは、利用者識別情報に基づいて第１の記憶部１０ａから利用者属性情報を読み出す。サーバ装置Ｓは、楽曲毎且つ利用者属性情報に含まれる属性項目毎に属性の統計を求めることで楽曲の属性を決定する。

【0024】

たとえば、サーバ装置Ｓは、一の楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の利用者属性情報に含まれる年齢の平均値を求める。サーバ装置Ｓは、当該平均値を含む年代（たとえば３０代）を当該一の楽曲の属性項目「年代」に対応する属性として決定する。また、サーバ装置Ｓは、当該一の楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の利用者属性情報に含まれる性別（男性または女性）をそれぞれカウントする。サーバ装置Ｓは、数が多いほうの性別を当該一の楽曲の属性項目「性別」に対応する属性として決定する。また、サーバ装置Ｓは、当該一の楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の利用者属性情報に含まれる職業について、予め設定されている職業グループリスト（図４）を参照し、職業毎にグループを特定する。サーバ装置Ｓは、最も数が多いグループを当該一の楽曲の属性項目「職業」に対応する属性として決定する。また、サーバ装置Ｓは、当該一の楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の利用者属性情報に含まれる趣味について、予め設定されている趣味グループリスト（図５）を参照し、趣味毎にグループを特定する。サーバ装置Ｓは、最も数が多いグループを当該一の楽曲の属性項目「趣味」に対応する属性として決定する。職業グループリスト及び趣味グループリストは、サーバ装置Ｓに記憶されている。更に、サーバ装置Ｓは、当該一の楽曲のカラオケ歌唱を行った複数の利用者の利用者属性情報に含まれる利用者がカラオケ装置を最後に利用した時期（春夏秋冬）をそれぞれカウントする。サーバ装置Ｓは、最も数が多い時期を当該一の楽曲の属性項目「利用時期」に対応する属性として決定する。

【0025】

楽曲の属性項目は、楽曲の属性に対応する項目である。楽曲の属性項目は、属性に応じて予め設定されている。ある属性に対応する属性項目は、楽曲及び利用者で共通している。たとえば、利用者の属性「年齢」及び楽曲の属性「年代」は、いずれも共通する属性項目「年代」に対応する。楽曲属性情報は、複数の属性項目を含む情報であって、各楽曲に固有の情報である。上述の通り、楽曲属性情報は定期的に更新される。

【0026】

図６は、第２の記憶部１０ｂに記憶されている楽曲属性情報のテーブルを示す図である。図６において、属性項目は「年代」、「性別」、「職業」、「趣味」、「利用時期」の５項目が設定されている。たとえば、楽曲Ｘ１の楽曲属性情報としては、属性「３０代」に対応する属性項目「年代」、属性「女性」に対応する属性項目「性別」、属性「グループＢ（図４参照）」に対応する属性項目「職業」、属性「グループＣ（図５参照）」に対応する属性項目「趣味」、及び属性「春」に対応する属性項目「利用時期」が含まれている。また楽曲Ｘ１の楽曲属性情報に対しては楽曲ＩＤ＊＊＊Ｘ１が紐付けられている。なお、図４及び図５に示したグループは一例である。たとえば、更に細分化したグループを設けてもよいし、逆にグループの数を４つ以下に減らしてもよい。

【0027】

［通信手段］
通信手段２０は、カラオケ装置Ｋとの通信を行うためのインターフェースを提供する。

【0028】

［制御手段］
制御手段３０は、サーバ装置Ｓにおける各種の制御を行う。制御手段３０は、ＣＰＵおよびメモリ（いずれも図示無し）を備える。ＣＰＵは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。

【0029】

＝＝カラオケ装置＝＝
カラオケ装置Ｋは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。図７に示すように、カラオケ装置Ｋは、カラオケ本体４０、スピーカ５０、表示装置６０、マイク７０、及びリモコン装置８０を備える。

【0030】

カラオケ本体４０は、選曲された楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク７０を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ５０は、カラオケ本体４０からの信号に基づいて放音するための構成である。表示装置６０は、カラオケ本体４０からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク７０は、利用者のカラオケ歌唱に基づく歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体４０に入力するための構成である。リモコン装置８０は、カラオケ本体４０に対する各種操作をおこなうための装置である。

【0031】

図８に示すように、カラオケ本体４０は、記憶手段４０ａ、通信手段４０ｂ、入力手段４０ｃ、演奏手段４０ｄ、及び制御手段４０ｅを備える。各構成はインターフェース（図示なし）を介してバスＢに接続されている。

【0032】

［記憶手段］
記憶手段４０ａは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶手段４０ａは、楽曲データを記憶する。楽曲データは、楽曲識別情報が付与されている。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータを含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、楽曲の主旋律を示すデータである。また、記憶手段４０ａは、カラオケ演奏に合わせて楽曲の歌詞を表示装置６０等に表示させるための歌詞テロップデータや、カラオケ演奏時に表示装置６０等に表示される背景映像等の背景映像データを楽曲毎に記憶する。

【0033】

［通信手段・入力手段］
通信手段４０ｂは、リモコン装置８０やサーバ装置Ｓとの通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段４０ｃは、利用者が各種の指示入力を行うための構成である。入力手段４０ｃは、カラオケ本体４０に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置８０が入力手段４０ｃとして機能してもよい。

【0034】

［演奏手段］
演奏手段４０ｄは、制御手段４０ｅの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏及びマイク７０を通じて入力された歌唱音声に基づく信号の処理を行う。演奏手段４０ｄは、音源、ミキサ、アンプ等を含む（いずれも図示なし）。

【0035】

［制御手段］
制御手段４０ｅは、カラオケ装置Ｋにおける各種の制御を行う。制御手段４０ｅは、ＣＰＵおよびメモリ（いずれも図示なし）を備える。ＣＰＵは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。

【0036】

本実施形態においては、メモリに記憶されるプログラムをＣＰＵが実行することにより、制御手段４０ｅは、取得部１００、第１の受付部２００、判定部３００、及び評価部４００として機能する。

【0037】

（取得部）
取得部１００は、第１の記憶部１０ａからある利用者に対応する利用者属性情報を取得し、第２の記憶部１０ｂから当該ある利用者が選曲したある楽曲の楽曲属性情報を取得する。

【0038】

利用者属性情報の取得は、利用者がカラオケシステム１を利用する際に行われる。カラオケ装置Ｋを利用する利用者は、リモコン装置８０を操作し、自己の利用者ＩＤを入力する。リモコン装置８０は、入力された利用者ＩＤを含むログイン要求をサーバ装置Ｓに送信する。

【0039】

サーバ装置Ｓは、リモコン装置８０から受信したログイン要求に含まれる利用者ＩＤを記憶手段１０に記憶させることによりカラオケシステム１へのログインを完了させる。また、サーバ装置Ｓは、当該利用者ＩＤが紐付けられている利用者属性情報が第１の記憶部１０ａに記憶されているかどうかを検索する。当該利用者ＩＤが紐付けられている利用者属性情報が第１の記憶部１０ａに記憶されていた場合、サーバ装置Ｓは、当該利用者属性情報を第１の記憶部１０ａから読み出す。サーバ装置Ｓは、ログイン要求を送信したカラオケ装置Ｋに対し、読み出した利用者属性情報を送信する。取得部１００は、サーバ装置Ｓから送信された利用者属性情報を取得する。取得部１００は、取得した利用者属性情報を利用者ＩＤと紐付けて記憶手段４０ａに記憶させる。

【0040】

一方、楽曲属性情報の取得は、利用者がカラオケ歌唱を行う楽曲を選曲した際に行われる。本実施形態において、自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲のカラオケ歌唱にチャレンジしたいと考えた利用者は、リモコン装置８０を操作し、専用のモード（以下、「ギャップ曲歌唱モード」という場合がある）を選択する。その後、利用者は、リモコン装置８０を操作し、カラオケ歌唱を希望する楽曲を選曲する。リモコン装置８０は、選択された楽曲に対応する楽曲ＩＤを含む情報要求をサーバ装置Ｓに送信する。

【0041】

サーバ装置Ｓは、リモコン装置８０から受信した情報要求に含まれる楽曲ＩＤが紐付けられている楽曲属性情報が第２の記憶部１０ｂに記憶されているかどうかを検索する。当該楽曲ＩＤが紐付けられている楽曲属性情報が第２の記憶部１０ｂに記憶されていた場合、サーバ装置Ｓは、当該楽曲属性情報を第２の記憶部１０ｂから読み出す。サーバ装置Ｓは、情報要求を送信したカラオケ装置Ｋに対し、読み出した楽曲属性情報を送信する。取得部１００は、サーバ装置Ｓから送信された楽曲属性情報を取得する。取得部１００は、取得した楽曲属性情報を楽曲ＩＤと紐付けて記憶手段４０ａに記憶させる。

【0042】

なお、利用者属性情報の取得は、ログイン要求のタイミングとは別のタイミングで行われてもよい。たとえば、利用者がギャップ曲歌唱モードを選択した場合、リモコン装置８０は、予め入力された利用者ＩＤを含む情報要求をサーバ装置Ｓに送信する。利用者ＩＤが紐付けられている利用者属性情報が第１の記憶部１０ａに記憶されていた場合、サーバ装置Ｓは、当該利用者属性情報を第１の記憶部１０ａから読み出し、情報要求を送信したカラオケ装置Ｋに対して送信する。取得部１００は、サーバ装置Ｓから送信された利用者属性情報を取得する。

【0043】

（第１の受付部）
第１の受付部２００は、取得したある利用者の利用者属性情報及びある楽曲の楽曲属性情報に共通する属性項目のうち、少なくとも1つの属性項目の選択を受け付ける。

【0044】

利用者がギャップ曲歌唱モードを選択した場合、第１の受付部２００は、たとえばリモコン装置８０の表示画面に属性項目のリストを表示させる。表示される属性項目は、取得部１００が取得した利用者属性情報及び楽曲属性情報に含まれる属性項目のうち、いずれの情報にも共通して含まれている項目である。

【0045】

利用者は、リモコン装置８０を操作し、表示された属性項目の中から少なくとも１つの項目を選択する。第１の受付部２００は利用者が選択した属性項目を受け付け、判定部３００に出力する。

【0046】

（判定部）
判定部３００は、選択された属性項目に基づいて、ある利用者の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性とある楽曲の楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度を判定する。

【0047】

乖離度は、利用者属性情報及び楽曲属性情報に共通する属性項目に対応する属性がどれくらい乖離しているかを示す度合いである。乖離度は、たとえば１（乖離が少ない）～５（乖離が大きい）のような数値で示すことができる。

【0048】

具体的に、判定部３００は、属性項目に対応する属性と乖離度とを対応付けたテーブルを参照することで乖離度を判定することができる。テーブルは記憶手段４０ａに予め記憶されている。

【0049】

テーブルは、たとえば図９に示すような年代の属性項目に対応する属性と乖離度を対応付けたテーブルを用いることができる。図９の例において、乖離度は、１（乖離が少ない）～５（乖離が大きい）の５段階となっている。

【0050】

図９のテーブルにおいて、利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性と、楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離が大きい場合（たとえば、利用者の属性が２０代であるのに対して楽曲の属性が６０代の場合）、乖離度は高い値となる。一方、利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性と、楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離が小さい場合（たとえば、利用者の属性が２０代であるのに対して楽曲の属性が２０代の場合）、乖離度は低い値となる。

【0051】

ある属性項目が選択された場合、判定部３００は、選択された属性項目に対応する属性と乖離度とを対応付けたテーブルを記憶手段４０ａから読み出す。判定部３００は、読み出したテーブルを参照し、利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性と楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度を判定する。

【0052】

たとえば、属性項目「年代」が選択された場合、判定部３００は、図９のテーブルを記憶手段４０ａから読み出す。判定部３００は、読み出したテーブルを参照し、利用者属性情報に含まれる属性項目「年代」に対応する属性と楽曲属性情報に含まれる属性項目「年代」に対応する属性との乖離度を判定する。判定部３００は、判定結果を評価部４００に出力する。

【0053】

（評価部）
評価部４００は、カラオケ歌唱の評価を行う。カラオケ歌唱の評価は公知の手法を用いることができる。たとえば、評価部４００は、カラオケ歌唱に伴う歌唱音声に対応する歌唱音声データと、カラオケ演奏された楽曲の主旋律を示すリファレンスデータとを比較することにより、カラオケ歌唱の巧拙を、たとえば１００点を満点とする０～１００の数値で示すことで、カラオケ歌唱の評価を行うことができる。

【0054】

本実施形態において、評価部４００は、ある利用者によるある楽曲のカラオケ歌唱の評価を、判定した乖離度に応じて補正する。

【0055】

評価の補正は、利用者が自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲のカラオケ歌唱にチャレンジしたこと（すなわち、上手く歌えない可能性があること）を想定して行う処理である。従って、評価部４００は、乖離度が大きいほどカラオケ歌唱の評価が高くなるよう補正を行うことが望ましい。評価の補正は、様々な方法で行うことができる。たとえば、評価部４００は、求めた評価に対して乖離度の値を加算することで評価の補正を行うことができる。或いは、カラオケ装置Ｋは、乖離度毎に予め所定の割合（たとえば、乖離度が１の場合は１．０倍、乖離度が５の場合は１．５倍）を設定しておく。評価部４００は、求めたカラオケ歌唱の評価に対し、乖離度に応じた所定の割合を乗算することで評価の補正を行うことができる。

【0056】

評価部４００は、補正したカラオケ歌唱の評価を、たとえば表示手段６０の表示画面に表示させることにより、利用者に対して提示する。

【0057】

＝＝カラオケシステムにおける処理について＝＝
次に、図１０から図１２を参照して本実施形態に係るカラオケシステム１における処理について述べる。図１０は、カラオケシステム１における処理を示すフローチャートである。図１１はサーバ装置Ｓから取得した利用者Ｕ１の利用者属性情報ＵＰ１を示す図であり、図１２はサーバ装置Ｓから取得した楽曲Ｘ１の楽曲属性情報ＭＰ１を示す図である。利用者Ｕ１は「ある利用者」の一例であり、楽曲Ｘ１は「ある楽曲」の一例である。この例において、サーバ装置Ｓは、図３に示した利用者属性情報のテーブル及び図６に示した楽曲属性情報のテーブルを記憶している。また、カラオケ装置Ｋは、図９に示した属性項目「年代」に対応する属性と乖離度とを対応付けたテーブルを記憶している。

【0058】

カラオケ装置Ｋを利用する利用者Ｕ１は、リモコン装置８０を操作し、利用者ＩＤ＊＊＊Ｕ１を入力する。リモコン装置８０は、入力された利用者ＩＤ＊＊＊Ｕ１を含むログイン要求をサーバ装置Ｓに送信する（利用者ＩＤを含むログイン要求を送信。ステップ１０）。

【0059】

サーバ装置Ｓは、リモコン装置８０から受信したログイン要求に含まれる利用者ＩＤ＊＊＊Ｕ１を記憶手段１０に記憶させることによりカラオケシステム１へのログインを完了させる。また、サーバ装置Ｓは、利用者ＩＤ＊＊＊Ｕ１が紐付けられている利用者属性情報が第１の記憶部１０ａに記憶されている利用者属性情報のテーブルに含まれているかどうかを検索する。この例では、図３に示す利用者属性情報のテーブルに利用者ＩＤ＊＊＊Ｕ１が含まれている。よって、サーバ装置Ｓは、利用者ＩＤ＊＊＊Ｕ１に対応付けられている利用者属性情報ＵＰ１を第１の記憶部１０ａから読み出し、カラオケ装置Ｋに送信する（ログイン処理及び利用者属性情報を送信。ステップ１１）。

【0060】

取得部１００は、サーバ装置Ｓから送信された利用者属性情報ＵＰ１を取得する（利用者属性情報を取得。ステップ１２）。取得部１００は、取得した利用者属性情報ＵＰ１を利用者ＩＤ＊＊＊Ｕ１と紐付けて記憶手段４０ａに記憶させる（図１１参照）。

【0061】

その後、利用者Ｕ１は、リモコン装置８０を操作し、カラオケ歌唱を希望する楽曲Ｘ１を選曲する。また、利用者Ｕ１は、リモコン装置８０を操作し、ギャップ曲歌唱モードを選択する。リモコン装置８０は、選択された楽曲に対応する楽曲ＩＤ＊＊＊Ｘ１を含む情報要求をサーバ装置Ｓに送信する（楽曲ＩＤを含む情報要求を送信。ステップ１３）。

【0062】

サーバ装置Ｓは、リモコン装置８０から受信した情報要求に含まれる楽曲ＩＤ＊＊＊Ｘ１が紐付けられている楽曲属性情報が第２の記憶部１０ｂに記憶されている楽曲属性情報のテーブルに含まれているかどうかを検索する。この例では、図６に示す楽曲属性情報のテーブルに楽曲ＩＤ＊＊＊Ｘ１が含まれている。よって、サーバ装置Ｓは、楽曲ＩＤ＊＊＊Ｘ１に対応付けられている楽曲属性情報ＭＰ１を第２の記憶部１０ｂから読み出し、カラオケ装置Ｋに送信する（楽曲属性情報を送信。ステップ１４）。

【0063】

取得部１００は、サーバ装置Ｓから送信された楽曲属性情報ＭＰ１を取得する（楽曲属性情報を取得。ステップ１５）。取得部１００は、取得した楽曲属性情報ＭＰ１を楽曲ＩＤ＊＊＊Ｘ１と紐付けて記憶手段４０ａに記憶させる（図１２参照）。なお、図１２に示した属性項目「職業」に対応する属性「グループＢ」は、図４に示した「卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業、物品賃貸業」のグループに対応する。また図１２に示した属性項目「趣味」に対応する属性「グループＣ」は図５に示した「グルメ、料理、ショッピング」のグループに対応する。

【0064】

利用者Ｕ１がギャップ曲歌唱モードを選択した場合、第１の受付部２００は、ステップ１２で取得した利用者Ｕ１の利用者属性情報、及びステップ１５で取得した楽曲Ｘ１の楽曲属性情報に共通する属性項目をリモコン装置８０の表示画面を表示させる。図１１及び図１２から明らかなように、この例において共通する属性項目は、「年代」、「性別」、「職業」、「趣味」、「利用時期」の５つである。よって、第１の受付部２００は当該５つの属性項目を表示させる。

【0065】

利用者Ｕ１は、リモコン装置８０を操作し、表示された属性項目の中から「年代」の属性項目を選択したとする。この場合、第１の受付部２００は、利用者が選択した属性項目「年代」を受け付ける（属性項目の受付。ステップ１６）。

【0066】

判定部３００は、選択された属性項目に基づいて、利用者Ｕ１の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性と楽曲Ｘ１の楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度を判定する（乖離度を判定。ステップ１７）。

【0067】

具体的に、判定部３００は、選択された属性項目「年代」に基づいて、図９に示したテーブルを参照する。ここで図９に示したテーブルにおいて、利用者Ｕ１の属性項目「年代」に対応する属性「５６歳（すなわち、５０代）」と、楽曲Ｘ１の属性項目「年代」に対応する属性「３０代」との乖離度は「４」である。よって、判定部３００は、乖離度が「４」であると判定する。判定部３００は判定結果を評価部４００に出力する。

【0068】

その後、カラオケ装置Ｋは、楽曲Ｘ１の楽曲ＩＤを元に、楽曲の伴奏データを記憶手段４０ａから取得する。カラオケ装置Ｋは、取得した伴奏データを再生し、スピーカ５０からカラオケ演奏音を放音させるよう、演奏手段４０ｄを制御する。利用者Ｕ１は、スピーカ５０から放音されるカラオケ演奏音に合わせ、マイク７０を用いてカラオケ歌唱を行う。

【0069】

評価部４００は、利用者Ｕ１による楽曲Ｘ１のカラオケ歌唱の評価を、判定した乖離度に応じて補正する（乖離度に応じて評価を補正。ステップ１８）。

【0070】

たとえば、評価部４００は、カラオケ歌唱の評価として「８０点」を求めたとする。この場合、評価部４００は、求めた評価「８０点」に対して乖離度の値「４」を加算することで評価の補正を行い、利用者Ｕ１による楽曲Ｘ１のカラオケ歌唱の評価として「８４点」を求める。評価部４００は、求めた評価「８４点」を表示装置６０の表示画面に表示させることにより、利用者Ｕ１に対して提示する。

【0071】

以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケシステム１は、利用者の属性に対応する複数の属性項目を含む利用者属性情報を記憶する第１の記憶部１０ａと、楽曲をカラオケ歌唱した利用者の属性に基づいて決定された属性に対応する複数の属性項目を含む楽曲属性情報を記憶する第２の記憶部１０ｂと、第１の記憶部１０ａからある利用者に対応する利用者属性情報を取得し、第２の記憶部１０ｂから当該ある利用者が選曲したある楽曲の楽曲属性情報を取得する取得部１００と、取得したある利用者の利用者属性情報及びある楽曲の楽曲属性情報に共通する属性項目のうち、少なくとも1つの属性項目の選択を受け付ける第１の受付部２００と、選択された属性項目に基づいて、ある利用者の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性とある楽曲の楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度を判定する判定部３００と、ある利用者によるある楽曲のカラオケ歌唱の評価を、判定した乖離度に応じて補正する評価部４００とを有する。

【0072】

このようなカラオケシステム１によれば、利用者が専用のモードを選択した場合、利用者の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性と当該利用者が選曲した楽曲の楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度に応じてカラオケ歌唱の評価を補正することができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケシステム１によれば、自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲をカラオケ歌唱する場合にカラオケ歌唱の評価を調整できる。

【0073】

また、本実施形態に係る評価部４００は、乖離度が大きいほどカラオケ歌唱の評価が高くなるよう補正を行う。このような評価部４００を備えるカラオケシステム１によれば、属性の違いに起因してカラオケ歌唱の評価が低くなることを抑制できる。

【0074】

＜第２実施形態＞
次に、図１３～図１６を参照して、第２実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。本実施形態は、乖離度に基づいて楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性を特定し、特定した属性に基づいてカラオケ歌唱をする楽曲を提示する例について述べる。第１実施形態と同様の構成については説明を省略する場合がある。

【0075】

＝＝サーバ装置＝＝
［制御手段］
本実施形態においては、メモリに記憶されるプログラムをＣＰＵが実行することにより、制御手段３０は、抽出部３０ａとして機能する（図１３参照）。

【0076】

（抽出部）
抽出部３０ａは、第２の記憶部１０ｂから、特定された属性が含まれる楽曲属性情報を抽出する。

【0077】

カラオケ装置から特定された属性が送信された場合（詳細は後述）、抽出部３０ａは、特定された属性と同じ属性が含まれる楽曲属性情報を、第２の記憶部１０ｂに記憶されている楽曲属性情報の中から抽出する。例えば、特定された属性が「３０代」の場合、抽出部３０ａは、第２の記憶部１０ｂに記憶されている楽曲属性情報の中から、属性「３０代」を含む楽曲属性情報を抽出する。なお、属性「３０代」を含む楽曲属性情報が複数ある場合、抽出部３０ａは、全ての楽曲属性情報を抽出してもよいし、予め設定されている数だけ抽出してもよい。

【0078】

抽出部３０ａは、特定した楽曲属性情報に紐付けられた楽曲ＩＤを、特定された属性を送信したカラオケ装置に対して送信する。

【0079】

＝＝カラオケ装置＝＝
［制御手段］
本実施形態においては、メモリに記憶されるプログラムをＣＰＵが実行することにより、制御手段４０ｅは、取得部１００、第１の受付部２００、判定部３００、評価部４００、第２の受付部５００、特定部６００、及び提示部７００として機能する（図１４参照）。

【0080】

（第２の受付部）
第２の受付部５００は、利用者属性情報及び楽曲属性情報に含まれる属性項目のうち少なくとも1つの属性項目と、利用者が希望する乖離度の選択を受け付ける。

【0081】

自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲を選曲したいと考えた利用者は、リモコン装置８０を操作し、専用のモード（以下、「ギャップ曲検索モード」という場合がある）を選択する。

【0082】

第２の受付部５００は、たとえばリモコン装置８０の表示画面に属性項目のリストを表示させる。表示される属性項目は、第１の記憶部１０ａに記憶されている利用者属性情報及び第２の記憶部１０ｂに記憶されている楽曲属性情報に含まれる属性項目のうち、少なくとも一方に含まれている項目である。

【0083】

利用者は、リモコン装置８０を操作し、表示された属性項目の中から少なくとも１つの項目を選択する。第２の受付部５００は利用者が選択した属性項目を受け付ける。

【0084】

一方、第２の受付部５００は、属性項目に対応する属性と乖離度とを対応付けたテーブルを参照することで乖離度を求める。テーブルは記憶手段４０ａに予め記憶されている。第２の受付部５００は、たとえば、リモコン装置８０の表示画面に求めた乖離度のリストを表示させる。

【0085】

テーブルは、たとえば図１５に示すような利用時期の属性項目に対応する属性と乖離度を対応付けたテーブルを用いることができる。図１５の例において、乖離度は、たとえば１（乖離が少ない）、３（乖離が中程度）、５（乖離が大きい）の３段階となっている。

【0086】

図１５のテーブルにおいて、利用者の属性項目に対応する属性と楽曲の属性項目に対応する属性との乖離が大きい場合（たとえば、利用者の属性が春であるのに対して楽曲の属性が秋の場合）、乖離度は高い値となる。一方、利用者の属性項目に対応する属性と楽曲の属性項目に対応する属性との乖離が小さい場合（たとえば、利用者の属性が春であるのに対して楽曲の属性が春の場合）、乖離度は低い値となる。

【0087】

第２の受付部５００は、たとえば、図１５のテーブルに含まれる乖離度「１」、「３」、「５」の値をリモコン装置８０の表示画面に表示させる。なお、乖離度の表示は乖離度の値でなくてもよい。たとえば、第２の受付部５００は、乖離度に応じた単語（「小さい」、「普通」、「大きい」）を表示させることができる。

【0088】

利用者は、リモコン装置８０を操作し、表示された乖離度の中から一の乖離度を選択する。たとえば、属性の乖離が大きい楽曲のカラオケ歌唱を希望する利用者は、値が大きい乖離度を選択する。一方、属性の乖離が小さい楽曲のカラオケ歌唱を希望する利用者は、値が小さい乖離度を選択する。第２の受付部５００は利用者が選択した乖離度を受け付ける。

【0089】

（特定部）
特定部６００は、選択された属性項目に対応するある利用者の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度が、選択された乖離度となる、楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性を特定する。

【0090】

たとえば、上記例において利用者Ｕ１により属性項目として「春」が選択され、乖離度として「３」が選択されたとする。特定部６００は、属性項目に対応する属性と乖離度とを対応付けたテーブルを参照し、利用者Ｕ１の利用者属性情報に含まれる属性項目「利用時期」に対応する属性「春」との乖離度が「３」となる楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性を特定する。たとえば図１５のテーブルを用いる場合、特定部６００は、楽曲属性情報に含まれる属性項目「利用時期」に対応する属性「夏」を特定する。特定部６００は、特定した属性をサーバ装置Ｓに送信する。

【0091】

（提示部）
提示部７００は、抽出された楽曲属性情報に紐付けられた楽曲識別情報に基づく楽曲を利用者に対して提示する。

【0092】

抽出部３０ａから楽曲ＩＤが送信された場合、提示部７００は、楽曲ＩＤに基づいて記憶手段４０ａから楽曲を特定し、利用者に対して提示する。提示は様々な方法で行うことができる。たとえば提示部７００は、表示装置６０の表示画面に「あなたにお勧めの楽曲は●●（楽曲名）です」というメッセージと合わせて楽曲名を提示することができる。

【0093】

＝＝カラオケシステムにおける処理について＝＝
次に、図１６を参照して本実施形態に係るカラオケシステム１における処理について述べる。図１６は、カラオケシステム１における処理を示すフローチャートである。利用者Ｕ１は「ある利用者」の一例である。この例において、カラオケ装置Ｋは、図１５に示した属性項目「利用時期」に対応する属性と乖離度とを対応付けたテーブルを記憶しているとする。またこの例では、利用者Ｕ１が既にカラオケシステム１にログインしているものとする。

【0094】

利用者Ｕ１は、リモコン装置８０を操作し、ギャップ曲検索モードを選択する。この場合、第２の受付部５００は、利用者属性情報及び楽曲属性情報に含まれる属性項目のうち少なくとも1つの属性項目と、利用者Ｕ１が希望する乖離度の選択を受け付ける（属性項目及び乖離度の受付。ステップ２０）。

【0095】

具体的に、第２の受付部５００は、利用者属性情報及び楽曲属性情報に共通する属性項目「年代」、「性別」、「職業」、「趣味」、「利用時期」をリモコン装置８０の表示画面を表示させる。ここで、利用者Ｕ１は、リモコン装置８０を操作し、表示された属性項目の中から属性項目「利用時期」を選択したとする。第２の受付部５００は利用者Ｕ１が選択した属性項目「利用時期」を受け付ける。

【0096】

また、第２の受付部５００は、受け付けた属性項目「利用時期」に対応する属性と乖離度とを対応付けたテーブルを参照することで乖離度を求める。第２の受付部５００は、記憶手段４０ａからテーブルを読み出し、テーブルに含まれる乖離度を特定する。図１５の例によると、乖離度は「１」、「３」、「５」の３段階である。よって、第２の受付部５００は、乖離度「１」、「３」、「５」の値をリモコン装置８０の表示画面に表示させる。

【0097】

利用者Ｕ１は、リモコン装置８０を操作し、表示された乖離度の中から一の乖離度を選択する。この例では、利用者Ｕ１が乖離度「３」を選択したとする。第２の受付部５００は利用者Ｕ１が選択した乖離度「３」を受け付ける。

【0098】

特定部６００は、選択された属性項目「利用時期」に対応する利用者Ｕ１の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性「春」との乖離度が、選択された乖離度「３」となる、楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性を特定する（受け付けた属性項目及び乖離度に基づいて、楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性を特定。ステップ２１）。特定部６００は、特定した属性をサーバ装置Ｓに送信する（特定した属性を送信。ステップ２２）。

【0099】

具体的に、特定部６００は、図１５のテーブルを参照し、利用者属性情報に含まれる属性項目「利用時期」に対応する属性「春」との乖離度が、選択された乖離度「３」となる、楽曲属性情報に含まれる属性項目「利用時期」に対応する属性として「夏」を特定する。特定部６００は、特定した属性「夏」をサーバ装置Ｓに送信する。

【0100】

サーバ装置Ｓの抽出部３０ａは、第２の記憶部１０ｂから、特定された属性が含まれる楽曲属性情報を抽出する（楽曲属性情報を抽出。ステップ２３）。

【0101】

抽出部３０ａは、特定された属性「夏」と一致する属性が含まれる楽曲属性情報を、第２の記憶部１０ｂに記憶されている楽曲属性情報の中から抽出する。

【0102】

抽出部３０ａは、抽出した楽曲属性情報に紐付けられた楽曲ＩＤを、特定された属性を送信したカラオケ装置Ｋに対して送信する（抽出した楽曲属性情報に紐付けられた楽曲ＩＤを送信。ステップ２４）。

【0103】

提示部７００は、抽出された楽曲属性情報に紐付けられた楽曲識別情報に基づく楽曲を利用者に対して提示する（利用者に対して楽曲を提示。ステップ２５）。

【0104】

以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケシステム１は、利用者属性情報及び楽曲属性情報に含まれる属性項目のうち少なくとも1つの属性項目と、利用者が希望する乖離度の選択を受け付ける第２の受付部５００と、選択された属性項目に対応するある利用者の利用者属性情報に含まれる属性項目に対応する属性との乖離度が、選択された乖離度となる、楽曲属性情報に含まれる属性項目に対応する属性を特定する特定部６００と、第２の記憶部１０ｂから、特定された属性が含まれる楽曲属性情報を抽出する抽出部３０ａと、抽出された楽曲属性情報に紐付けられた楽曲識別情報に基づく楽曲を利用者に対して提示する提示部７００と、を有する。

【0105】

このようなカラオケシステム１によれば、利用者が選択した属性項目及び乖離度に基づき、当該利用者に対して楽曲を提示することができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケシステム１によれば、自分の属性とは異なる属性の利用者によく歌われる楽曲をカラオケ歌唱する際に、利用者に対して適当な楽曲を勧めることができる。

【0106】

＜その他＞
第１実施形態の例において、サーバ装置Ｓが備える第１の記憶部１０ａ及び第２の記憶部１０ｂをカラオケ装置Ｋが備えていてもよい。また、第２実施形態の例において、サーバ装置Ｓが備える第１の記憶部１０ａ、第２の記憶部１０ｂ、及び抽出部３０ａをカラオケ装置Ｋが備えていてもよい。これらの場合、カラオケ装置Ｋが「カラオケシステム」として機能する。

【0107】

上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【符号の説明】

【0108】

１ カラオケシステム
１０ａ 第１の記憶部
１０ｂ 第２の記憶部
３０ａ 抽出部
１００ 取得部
２００ 第１の受付部
３００ 判定部
４００ 評価部
５００ 第２の受付部
６００ 特定部
７００ 提示部
Ｋ カラオケ装置
Ｓ サーバ装置

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】