(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094172
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】吸収性物品の個装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20240702BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/56 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210964
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 綾
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA03
3B200BA08
3B200BA15
3B200BA16
3B200BB03
3B200CA11
3B200DA25
3B200DE07
3B200DF08
3B200DF09
3B200EA18
(57)【要約】
【課題】包装シートとして不織布を用いた場合でも、性能表記が見えやすい個装体を提供することに関する。
【解決手段】包装シート20により個別に包装された吸収性物品の個装体30であって、吸収性物品10は、使用時に非肌対向面となる裏面シート側の面を包装シート20側に向けた状態で、該包装シート20とともに長手方向に折り畳まれており、包装シート20は個装体30の外面を形成する面側が少なくとも不織布から形成されており、包装シート20における、個装体30の少なくとも開封面40を形成する領域に、吸収性物品10の性能を表す性能表記2が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品が包装シートにより個別に包装された吸収性物品の個装体であって、
前記吸収性物品は、使用時に非肌対向面となる裏面シート側の面を前記包装シート側に向けた状態で、該包装シートとともに長手方向に折り畳まれており、
前記包装シートは、前記個装体の外面を形成する面側が少なくとも不織布から形成されており、該包装シートにおける、前記個装体の少なくとも開封面を形成する領域に、前記吸収性物品の性能を表す性能表記が設けられており、
前記性能表記は、前記裏面シートの色と異なる色で表示されており、且つ前記吸収性物品と重なる領域に存在する、吸収性物品の個装体。
【請求項2】
前記吸収性物品は、前記裏面シート側にズレ止め部を有しており、該ズレ止め部と前記性能表記とが少なくとも一部重なっている、請求項1に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項3】
前記吸収性物品は、三つ折り状態に折り曲げられており、該吸収性物品の長手方向の端部同士が重なった重なり部を有しており、前記性能表記は、前記重なり部における前記開封面に近い方の端部と重なっている、請求項1又は2に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項4】
前記性能表記は、前記裏面シートの色よりも彩度が高い色で表記されている、請求項1ないし3の何れか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項5】
前記包装シートは、前記開封面を形成する二つの正面領域と、該開封面とは反対側の非開封面を形成する背面領域とを有しており、前記開封面は、前記二つの正面領域が一部同士を重ねた状態に連結されて形成され、該二つの正面領域のうちの、両方又はいずれか一方に、前記性能表記が設けられている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項6】
前記二つの正面領域のうちの一方の正面領域に止着テープの一部が剥離困難に固定され、他方の正面領域に該止着テープの他の一部が剥離可能に固定されており、
前記性能表記は、
前記一方の正面領域に、前記長手方向に直交する幅方向に延びる端縁に沿って配置されており、且つ前記二つの正面領域同士が重なった領域に形成されている、請求項5に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項7】
前記性能表記と前記吸収性物品のブランド表記とを一方向に沿って交互に有しており、且つ前記性能表記及び前記ブランド表記は、それぞれの一つ以上が、前記包装シートの短縁の位置で途切れることなく、全体が完全な形で表れている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項8】
前記包装シートは、全光線透過率50%以上の不織布から構成されている、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項9】
前記性能表記の前記幅方向の長さが、前記止着テープの前記幅方向の長さより長い、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項10】
前記性能表記の色と、前記止着テープの色とが異なる、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項11】
前記性能表記は、数字で構成されている、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の個装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品が包装シートにより個別に包装された、吸収性物品の個装体が知られている。吸収性物品の個装体は、その複数が1つの包装袋に収容された状態で市販されることが多い。また消費者は、所要数の個装体を、その複数が収容された包装袋から取り出して携行することができるが、吸収性物品の性能に関する表示は、包装袋に表示される場合が多いため、取り出した後の個装体の状態では、それに含まれる吸収性物品の吸収性能を知ることができなくなる。
他方、吸収性物品の個装体に、吸収性物品の性能についての情報を表示することがある。例えば、特許文献1には、包装シートに吸収性物品に関する情報が表示されている包装シート付き吸収性物品が開示されている。特許文献2には、外側面に、吸収性物品の吸収容量の区分に応じて異なる色で表示された本体表記部が設けられた、吸収性物品の個装体が開示されている。特許文献3には、吸収性物品の吸収容量の区分を表す文字又は記号を含む表記部の背景部、文字又は記号と封止テープとが同じ色で表示されるとともに、吸収容量の区分に応じて異なる色で表示されている、吸収性物品の包装体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5280059号
【特許文献2】特開2020-74928号公報
【特許文献3】実用新案登録第3218795号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、個装体の包装シートとして不織布を用いることがある。不織布は光透過性が高いため、個装体の外面に吸収性物品の性能についての表記を印刷しても、外側から見たとき、内部の吸収性物品の色彩が透過し、包装シートの表記の色彩よりも目立ってしまうこと等によって、性能表記が見えにくくなるという課題がある。
【0005】
本発明は、吸収性物品の個装体において、使用者が個装体を包装袋から出した場合でも、容易にその吸収性物品の吸収性能等を認識できるとともに、包装シートとして不織布を用いた場合でも、性能表記が見えやすい個装体を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収性物品が包装シートにより個別に包装された吸収性物品の個装体に関する。
前記吸収性物品は、使用時に非肌対向面となる裏面シート側の面を前記包装シート側に向けた状態で、該包装シートとともに長手方向に折り畳まれていることが好ましい。
前記包装シートは、前記個装体の外面を形成する面側が少なくとも不織布から形成されており、該包装シートにおける、前記個装体の少なくとも開封面を形成する領域に、前記吸収性物品の性能を表す性能表記が設けられていることが好ましい。
前記性能表記は、前記裏面シートの色と異なる色で表示されていることが好ましく、また前記吸収性物品と重なる領域に存在することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸収性物品の個装体において、使用者が個装体を包装袋から出した場合でも、容易にその吸収性物品の吸収性能等を認識できるとともに、包装シートとして不織布を用いた場合でも、性能表記が見えやすい個装体を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1(a)は、本発明の個装体の好ましい一実施形態を模式的に示す展開図であり、(b)は個装体の開封面の平面図であり、(c)は個装体の非開封面の平面図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の個装体の開封面の好ましい一実施形態を模式的に示す平面図であり、(b)は(a)に示す個装体において止着テープによる封止を外して開封した状態を模式的に示す展開図である。
【
図3】
図3は、本発明の個装体の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の個装体の好ましい一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、本発明の性能表記の好ましい実施形態を模式的に示す展開図である。
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。本実施形態の吸収性物品の個装体30における吸水性物品10は、例えば失禁パッド、生理用ナプキン、おりものシートであり、図示例は、失禁パッドである。
【0010】
本実施形態において、個装体30及び個装体30に含まれる吸収性物品10は、
図2(b)に示すように、縦長の形状を有しており、着用者の前後方向に対応する長手方向Xとこれに直交する幅方向Yとを有している。個装体30は、
図1及び
図2に示すように、吸収性物品10の長手方向Xに一致する方向Xとこれに直交する方向Yとを有している。本明細書において、個装体30の長手方向Xは、吸収性物品10の長手方向Xと一致する方向であり、個装体30の幅方向Yは、吸収性物品10の幅方向Yと一致する方向である。以下の説明では、吸収性物品10の長手方向X及び個装体30の長手方向Xを「長手方向X」ともいい、吸収性物品10の幅方向Y及び個装体30の幅方向Yを「幅方向Y」ともいう。吸収性物品10は、未使用時には、
図2(b)に示す如き、展開状態から長手方向Xに折り畳まれて、
図4に示す個装体30とされている。
【0011】
個装体30は、
図2(a)及び(b)に示すように、吸収性物品10と、該吸収性物品10を包装する包装シート20とを備えている。吸収性物品10は、吸収体13と、該吸収体13の肌対向面側に配された表面シート11と、該吸収体13の非肌対向面側に配された裏面シート12と、吸収体の両脇に配されたサイドギャザー14とを有する。さらに、
図3に示すように、非肌対向面を形成する裏面シート12に、間欠的に配されたズレ止め部15を有する。
【0012】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品10又はその構成部材(例えば吸収体13)における、吸収性物品10の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側の面であり、「非肌対向面」は、吸収性物品10又はその構成部材における、吸収性物品10の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側の面である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品10の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0013】
個装体30における包装シート20は、吸収性物品10における裏面シート12側に配され、吸収性物品10の非肌対向面側を被覆している。吸収性物品10は、その非肌対向面に形成されたズレ止め部15によって、包装シート20に剥離可能に接着されている。ズレ止め部15の具体的な構成は後述する。
【0014】
吸収性物品10の非肌対向面には、ズレ止め部15が設けられている。ズレ止め部15は、裏面シート12の非肌対向面に設けられている。ズレ止め部15は、吸収性物品10の使用時における下着固定用としても用いられるものである。ズレ止め部15は、裏面シート12に粘着剤が塗工されて形成されていることが好ましいが、粘着剤以外にも、摩擦力を高める手段を適用してもよい。粘着剤を塗工する場合、その塗工パターンに特に制限はなく、例えば、幅方向に延びる帯状の粘着部が、ズレ止め部15の幅と同程度の間隔を開けて、長手方向Xに間欠的に多数配置したものが一例として挙げられる(
図3参照)。ズレ止め部15は、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シートによって被覆されている。
吸収性物品10は、
図1(b)(c)、
図2(a)(b)及び
図3に示すとおり、その包装シート20と共に、長手方向Xに離間した複数の部位において長手方向Xに折り曲げられて、長手方向Xに折り畳まれている。折り畳まれた包装シート20における、折り畳まれた状態の吸収性物品10の幅方向Yの側縁から延出する部分は、ヒートシール等の公知の接合手段により接合されていてもよい。
【0015】
本実施形態の個装体30において、吸収性物品10は、三つ折り状態に折り畳まれている。具体的には、吸収性物品10及び包装シート20は、それぞれ幅方向Yに延びる第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2のそれぞれに沿って、表面シート11を内側にして折り曲げられており、全体として三つ折りされた状態に折り畳まれている。
また個装体30は、吸収性物品10の長手方向Xの端部同士が重なった重なり部80を有している。またズレ止め部15は、
図3に示すように、重なり部80における、開封面に近い方の端部に、その一部が存在している。
【0016】
包装シート20は、
図1(a)ないし(c)に示すとおり、第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2のそれぞれに沿って、裏面側を内側にして折り曲げられており、個装体30の状態において、開封面40を形成する二つの正面領域60A,60Bと、開封面40の反対側の非開封面50を形成する背面領域70とを有する。包装シート20の裏面は、個装体30において吸収性物品10側に向けられる面である。
【0017】
包装シート20を、前述のように、二つの正面領域60A,60Bと背面領域70とに区分したときに、止着テープ21は、その一部である固定部21aが、一方の正面領域60Aに剥離困難に固定されており、他の一部が、他方の正面領域60Bに剥離可能に固定されている。
より具体的には、個装体30における開封開始端となる側の包装シート20の一端部20aには、止着テープ21が設けられており、該一端部20aは、止着テープ21を介して該一端部20aを重ねた面に、引き剥がし可能に接合されている。
本実施形態では、止着テープ21は、
図1(a)(b)、及び
図2(a)(b)に示すように、展開状態の包装シート20の一端部20aに剥離困難に固定された固定部21aと、該一端部20aから延出し、該包装シート20の外面に剥離可能に固定された止着部21bとを有する。止着部21bは脱着自在であってもよい。一端部20aは、止着テープ21を介して該一端部20aを重ねた面に、引き剥がし可能に接合されている。
【0018】
止着テープ21は、その長手方向の一端側に、包装シート20に剥離困難に固定された固定部21aを有し、他端側に、他の部材に対して剥離可能に固定された止着部21bを有している。この止着テープ21の止着部21bにおける、個装体30において包装シート20と対向する面(個装体30において露出する面とは反対側の面)には粘着剤(図示せず)が設けられている。止着テープ21における、他方の正面領域60Bに剥離可能に固定された止着部21bは、個装体30を開封する際に、手で摘まんで容易に剥離させることができる。止着テープ21は、未使用状態の個装体30の封止部として機能すると共に、個装体30を開封する際に手指で摘まむ開封用摘み部としても機能する。
【0019】
個装体30においては、吸収性物品10を、使用時に非肌対向面となる裏面シート12側の面を包装シート側に向けた状態で、それぞれ幅方向Yに延びる第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2のそれぞれに沿って、裏面シート12を内側にして折り曲げ、該包装シート20とともに長手方向に三つ折り又は四つ折り状態、好ましくは三つ折りに折り畳んだ後、止着テープ21により、開封開始端が意図せずに開封しないように閉鎖されている。個装体30は、図柄の設けられた包装シート20と、個装体30における開封開始端となる側の包装シート20の一端部20aに設けられた止着テープ21とにより構成されている。
【0020】
包装シート20は、個装体30の外面を形成する面側が少なくとも不織布から形成されており、該包装シート20における、個装体30の開封面40を形成する領域に、吸収性物品10の性能を表す性能表記2が設けられている。性能表記2が示す内容としては、吸収性物品の吸収容量、製品長、ウイング付きか否か、昼用/夜用等が挙げられる。本実施形態では、吸収性物品の性能表記2として、吸収性物品の吸収容量を示す数値が表されている。吸収容量を示す数値は、mL等の単位付きでも、単位のない数値のみであってもよい。
また性能表記2は、吸収性物品10の裏面シート12の色と異なる色で表示され、且つ、吸収性物品10と重なる領域に存在する。このことにより、包装シート20が、光透過性が高く透けやすい不織布であっても、使用者から見た時、性能表記2が目立つようになる。なお、吸収性物品10と重なる領域とは、開封面40と非開封面50との間に、吸収性物品10が介在している領域であり、「性能表記2が、吸収性物品10と重なる領域に存在する」とは、少なくとも一つの性能表示2が吸収性物品10と重なっていることを意味する。開封面40は、開封を開始する開封開始端を有する側の面、非開封面50は、開封面とは反対側の面である。
また、本発明において、「表記」は、文字や記号で表し記すこと又はそのように表し記されたものを示し、「表示」は、外部へ表し示すこととする。文字には、数字も含まれる。また表記方法は、好ましくは印刷であるが、それに限られるものではない。またなお、吸収容量を示す数値は、吸収性物品10の吸収容量に応じて、任意に設定可能である。
【0021】
包装シート20の性能表記2は、個装体30の非展開状態、すなわち個装状態において、外部から視認可能になされている。
本実施形態の個装体30は、個装体を構成する包装シート20に性能表記2を有するため、使用者が包装袋から出した後の単独状態においても、容易にその吸収性物品10の吸収性能を認識することができ、しかも、その性能表記2が、包装シート20における吸収性物品10と重なる領域に表記されているため、包装シート20として不織布を用いた場合や不織布を外面に有するラミネートシートであって光透過性を有するもの等を用いた場合であっても、性能表記が見えやすく、その観点からも、消費者は、容易にその吸収性物品10の吸収性能を認識することができる。
【0022】
本実施形態では、性能表記2は、包装シート20における外面、即ち包装シート20における吸収性物品10側とは反対側に向けられる面に、吸収性物品10の性能とは関係のない図柄とともに印刷により施されており、性能表記2が目立たないようになされている。そのため、使用者に吸収性物品10に対して華やかな印象や工夫された印象を与え、着用前の使用者の吸収性物品10を使用することへの憂鬱な気分を和らげることができる。また、図柄は審美性が高いものを採用することで、使用者に吸収性物品10に対して華やかな印象や工夫された印象を与えやすくなる。
【0023】
個装体30において、
図1(a)に示す包装シート20は、吸収性物品10とともに、L1及びL2において折り曲げられて、三つ折り状態とされている。その三つ折り状態において、吸収性物品10は、その長手方向の端部同士が重なった重なり部80を有している。吸収性物品は、前述のとおり、裏面シート12にズレ止め部15を有している。性能表記2は、重なり部80において、吸収性物品10のズレ止め部15と性能表記2が重なるようになされる。より具体的には、性能表記2は、重なり部80における開封面40に近い方の端部と重なっている。
吸収性物品10の重なり部80及びズレ止め部15、性能表記2が重なり、性能表記2とズレ止め部15が密着することにより、外面からの性能表記2の確認がさらに容易になる。
【0024】
性能表記2は、吸収性物品10の裏面シート12の色よりも彩度が高い色で表記される。裏面シート12の色彩は、一般的に白色、薄い水色、薄桃色等、淡い色が用いられることが多い。折り曲げられた裏面シート12と重なる性能表記2の彩度をより高くすることで、外面からの性能表記2の確認がさらに容易になる。
【0025】
個装体状態において、包装シート20の開封面40は、二つの正面領域60A,60Bが一部同士を重ねた状態に連結されて形成され、二つの正面領域60A,60Bのうちの、両方又はいずれか一方に性能表記2が設けられている。具体的には、
図5(a)及び(b)に示すとおり、個装体30の開封面40の二つの正面領域60A,60Bのみに性能表記2が表示される。このことにより、使用者が個装体30を開封するときのみに性能表記2が視認されるようになり、非開封面50側からは性能表記2が視認できないため周囲への秘匿性が高まる等の利点がある。
包装シート20の、開封面40とは反対側の非開封面50には、背面領域70が形成される。背面領域70には、図柄のみが表示される。
性能表記2は、二つの正面領域60A,60Bのいずれか一方のみに表記されていてもよく、両方に表記されていてもよい。また二つの正面領域60A,60Bのそれぞれについて、性能表記が一つのみであっても複数であってもよい。複数の性能表記2は、一方向に複数が並ぶ列22を形成していることが好ましく、複数の性能表記2が一方向に並んだ列22は、例えば
図1(a)に示すように、幅方向Yに延びていてもよいし、
図5(a)に示すように、長手方向X及び幅方向Yの両方向に対して斜め方向に延びていてもよい。
複数の性能表記2が一方向に並んだ列22は、性能表記2と性能表記2との間に、ブランド表記3を有することも好ましい。
【0026】
止着テープ21は、開封面40の二つの正面領域60A,60Bのうち、60Aの領域に設けられており、性能表記2は、止着テープ21が剥離困難に固定されている方の正面領域60Aに設けられていることが好ましい。また性能表記2は、止着テープ21が設けられた一方の正面領域60Aの領域に、長手方向Xに直交する幅方向Yに延びる端縁に沿って配置されていることが好ましい。止着テープ21が設けられた一方の正面領域60Aとは、止着テープ21が固定部21aにより剥離困難に固定されている方の正面領域60Aを意味する。また、性能表記2は、二つの正面領域60A,60Bの一部同士が重なった状態に連結された領域に形成されていることが好ましい。
性能表記2がこのような態様で配されていると、指で押さえたときに隠されやすい60Bの領域のシートにより性能表記2が隠れることなく、性能表記2が、使用者に判りやすく示され、性能表記2を読みやすくなる等の利点がある。
【0027】
複数の性能表記2が一方向に並んだ列22は、吸収容量を示す数値等の性能表記2に加えて、吸収性物品10のブランド表記3を有していることが好ましい。性能表記とブランド表記とは、包装シート20の長手方向Xと直交する幅方向Yに沿って交互に並列していることが好ましい。
本実施形態の個装体30は、
図1に示すように、性能表記2と吸収性物品のブランド表記3とを一方向に沿って交互に有しており、且つ性能表記2及びブランド表記3は、それぞれの一つ以上が、包装シート20の短縁の位置で途切れることなく、全体が完全な形で表れている。このような、個装体30を製造する際には、例えば、包装シート20の製造工程において、ロール状の原反から繰り出した包装シートの連続体を、所定の位置で、順次切断して、個々の個装体に適する寸法の短尺の包装シート20とする際に、長尺状の包装シートの連続体として、搬送方向に沿って性能表記2及びブランド表記3が繰り返し表記されたものを用い、切断の際に、長手方向のいずれの位置で切断しても、切断により生じる個々の短尺シートのすべてに、性能表記2及びブランド表記3が、それぞれ1つ以上が完全な姿で存在するようにする。
これにより、使用者は、性能表記2及びブランド表記3の両方を確実に視認することができ、それによって、次回同様の製品を購入する際、同様のブランドロゴを有する個装体30や、吸収性物品10を迷わず購入及び使用できるといった、繰り返し購入する製品に対して非常に有利な効果が奏される。なお、性能表記2及びブランド表記3は、切断工程より上流の工程にて、インラインで印刷表記してもよい。
【0028】
性能表記2は、通常、印刷によって、包装シート20の非肌対向面に設けられる。性能表記2の印刷は、公知の印刷方法に従って実施可能であり、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、シール印刷、インクジェット印刷等を用いることができる。
【0029】
本発明は、包装シート20が、透光性が高い不織布、例えば、全光線透過率が50%以上の不織布により構成されている場合であっても、それに表記された性能表記について高い視認性が得られるという効果が奏される。
本発明において「全光線透過率」は、JIS K7361-1:1997に準拠して測定した値を指す。全光線透過率が高いほど、透光性が高いと評価できる。
〔全光線透過率の測定方法〕
全光線透過率は、市販のヘーズメーター(例えば日本電色工業株式会社製の「NDH500」)を用いて測定することができる。測定光束の直径は14mm、入射開口の直径は25mmである。
包装シート20における全光線透過率は、例えばグラビア印刷による塗工量を変化させたり、フレキソ印刷又はスクリーン印刷による色彩の異なる着色材料を使用したりすることによって調整することができる。また、全光線透過率が相互に異なる部位は、例えば単一の着色材料で、その単位面積当たりの塗工量を変化させたり、色彩の異なる複数の着色材料を使用したりすることによって形成することができる。
不織布の全光線透過率は、好ましくは45.0%以上、より好ましくは50.0%以上であり、また好ましくは90.0%以下、より好ましくは80.0%以下であり、また好ましくは45.0%以上90.0%以下、より好ましくは50.0%以上80.0%以下である。
【0030】
性能表記2において、吸収性物品10の性能表記及びブランド表記のそれぞれは、幅方向Yの長さが止着テープ21の幅方向Yより長いことが好ましい。
また、性能表記2の色は、止着テープ21の色とも異なることが好ましい。具体的には、止着テープ21の色は、性能表記2の色として用いられることが好ましい薄桃色や水色等の色と異なる色であることが好ましい。
さらに、性能表記2において、吸収性物品10の性能表記は数字で構成されることが好ましい。数字は、算用数字で表記されることが好ましく、丸付き数字も含める。該数字の周辺部は、性能表記とは関係のない図柄により囲まれていてもよい。
これらの構成は、外面から性能表記2を目立たせ、使用者に性能表記2を視認させやすくする効果がある。
【0031】
次に、個装体を構成する各部の構成材料について説明する。
表面シート11としては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シート11は、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シート11の肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シート11の肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。そのような目的のために、2枚以上の不織布を用いて表面シート11を形成することもできる。
【0032】
裏面シート12としては、例えば液難透過性のフィルムやスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液難透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。吸収性物品10の肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シート12は、樹脂フィルムの外面に不織布等の風合いの良好なシートが積層されていてもよい。
【0033】
吸収体13が有する吸収性コアは、例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。吸収体13は、吸収性コアのみからなるものであってもよい。
【0034】
吸収性コアは、シート状の吸収体である吸収性シートを主体とするものであってもよい。吸収性シートは、典型的には、木材パルプ等の繊維材料を主体とする繊維シートと、該繊維シートの内部又は表面に固定された吸収性ポリマー等の吸水性材料とを含んで構成されている。吸収性シートは、相対向する2枚のシート間に吸収性ポリマーの粒子が介在配置された構成を有するものであり得る。
【0035】
包装シート20としては、吸収性物品の個装体において通常用いられているものを用いることができる。例えば、単層又は多層構造の不織布が好ましく用いられる。また不織布と樹脂フィルムとのラミネートを用いることもできる。ラミネートシートは、個装体の外面に不織布が位置するように用いられることが好ましい。ラミネートシートも、その一部を構成する不織布の全光線透過率が50%以上であることが好ましく、ラミネートシート全体の全光線透過率も50%以上であることが好ましい。
【0036】
包装シート20に、印刷される図柄は図示されるものに限らず、吸収性物品10の使用目的等に合わせて適宜変更できる。例えば、星空を模したデザインや、チェック柄、直線等のみからなるよりシンプルなデザインにしてもよい。例えば星空を模した図柄であれば、夜に使用する吸収性物品10の個装体30に好適に適用でき、シンプルなデザインとすれば、内包される吸収性物品10の秘匿性を高め、男性用の吸収性物品10の個包体に好適に適用できる。また性能表記として、吸収容量に代えて、吸収性物品の長手方向の長さ、ウイングの有無等を表記してもよい。複数の性能表記2が一方向に並んだ列22は、ブランド表記を含まないものであってもよい。
性能表記2は、包装シート20における開封面40に代えて又は該開封面40とともに、非開封面50を形成する領域に設けられていてもよい。
【0037】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は前記実施形態に制限されない。
【符号の説明】
【0038】
10 吸収性物品
30 個装体
X 長手方向
Y 幅方向
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収体
14 サイドギャザー
15 ズレ止め部
20 包装シート
20a 一端部
21 止着テープ
21a 固定部
21b 止着部
2 性能表記
3 ブランド表記
22 複数の性能表記2が一方向に並んだ列
L1 第1折り曲げ線
L2 第2折り曲げ線
40 開封面
50 非開封面
60A,60B 二つの正面領域
70 背面領域
80 重なり部