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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094173
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】吸収性物品の個装体
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20240702BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/511 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210965
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角 友紀也
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA16
3B200BB03
3B200BB09
3B200CA11
3B200DA25
3B200DE07
3B200DF08
3B200DF09
3B200EA07
3B200EA09
3B200EA18
(57)【要約】
【課題】吸収性物品の使用者が、吸収性物品の性能を容易に把握することができるとともに、気付かれたくない吸水性物品の使用を他人に気付かれる可能性を低減させることのできる、吸収性物品の個装体を提供する。
【解決手段】吸収性物品10が包装シート20により個別に包装された吸収性物品の個装体30であって、吸収性物品10は、使用時に非肌対向面となる裏面シート側の面を包装シート20側に向けた状態で、包装シート20とともに長手方向に折り畳まれており、包装シート20は、吸収容量を示す第1柄2と、吸収容量以外を示す第2柄3とを有し、個装体の開封面40を形成する領域において、第1柄2が、第2柄3により挟まれているか又は囲まれており、且つ第1柄2の総面積が、第2柄3の総面積より小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品が包装シートにより個別に包装された吸収性物品の個装体であって、
前記吸収性物品は、使用時に非肌対向面となる裏面シート側の面を前記包装シート側に向けた状態で、該包装シートとともに長手方向に折り畳まれており、
前記包装シートは、
吸収容量を示す第1柄と、吸収容量以外を示す第2柄とを有し、
前記個装体の開封面又は非開封面を形成する領域において、
第1柄が、第2柄により挟まれているか又は囲まれており、且つ
第1柄の総面積が、第2柄の総面積より小さい、吸収性物品の個装体。
【請求項2】
第2柄が、第1柄よりも面積の大きい図柄である第2柄を含む、請求項1に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項3】
第1柄と第2柄は、同系色である、請求項1又は2に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項4】
第1柄と前記包装シートの背景色とが、同系色である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項5】
第1柄は、数字で構成されている、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項6】
第2柄は、前記吸収性物品のブランド表記を含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項7】
前記包装シートは、前記開封面を形成する二つの正面領域と、前記非開封面を形成する背面領域とを有しており、
前記二つの正面領域のうちの一方の正面領域に止着テープが設けられており、
前記止着テープの色は、第1柄及び第2柄と異なる色である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項8】
前記止着テープの面積は、第1柄より大きい、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項9】
前記吸水性物品は、肌対向面を形成する表面シート側に、前記包装シートの一部の第2柄と類似の柄を有する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【請求項10】
前記吸収性物品は、三つ折り又は四つ折り状態に折り畳まれており、該吸収性物品の長手方向における、前記個装体の端部近傍に位置する一対の折り曲げ線それぞれより外方の2領域のうち、前記開封面を開封した際に最初に展開される方の領域の肌対向面に、前記包装シートの第2柄と類似の柄を有する、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の吸収性物品の個装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の個装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収性物品が包装シートにより個別に包装した吸収性物品の個装体が知られている。
吸収性物品の個装体は、その複数が1つの包装袋に収容された状態で市販されることが多い。また消費者は、所要数の個装体を、その複数が収容された包装袋から取り出して携行することができるが、吸収性物品の性能に関する表示は、包装袋に表示される場合が多いため、取り出した後の個装体の状態では、それに含まれる吸収性物品の吸収性能を知ることができなくなる。
他方、吸収性物品の個装体の外面に、装飾等を目的として、図柄や色等を付与することがある。特許文献1には、吸収性物品の包装する包装シートに、第1画像及び第2画像を付与し、且つ第2画像より第1画像の面積率を大きく表示することが開示されている。
さらに、図柄や色等で吸収性物品の性能についての情報を表示することも知られている。例えば、特許文献2には、収容された吸収性物品の包装シート及び封止シールに絵柄及び/又は記号で吸収性能の性能を表す表示要素を付与することが開示されている。また特許文献3には、吸収性物品の包装材に、素材の情報を示す図柄と、一部展開されて視認可能な図柄が設けられていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6145483号
【特許文献2】特許5711944号
【特許文献3】再公表2020-095762
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、個装体の表面に図柄や色とともに、吸収容量等の吸収性物品の性能を表す性能表記を数字として付与する場合、例えば、吸収性物品が軽失禁パッドであれば、吸収容量が外面から誰が見ても視認できるよう明瞭に表示されていると、使用者が軽失禁パッドを使用することについての秘匿性が損なわれたり、使用者が軽失禁パッドを使用することに対して憂鬱に感じる要因ともなり得る。
【0005】
本発明は、吸収性物品の個装体において、吸収容量等の性能表記に適度な識別性を持たせるとともに、吸収性物品の性能とは関連のない吸収容量以外の柄を目立たせることができることによって、吸収性物品の使用者が、吸収性物品の性能を容易に把握することができるとともに、気付かれたくない吸水性物品の使用を他人に気付かれる可能性を低減させることのできる、吸収性物品の個装体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、吸収性物品が包装シートにより個別に包装された吸収性物品の個装体に関する。
前記吸収性物品は、使用時に非肌対向面となる裏面シート側の面を前記包装シート側に向けた状態で、該包装シートとともに長手方向に折り畳まれていることが好ましい。
前記包装シートは、吸収容量を示す第1柄と、吸収容量以外を示す第2柄とを有することが好ましい。
前記包装シートは、前記個装体の開封面又は非開封面を形成する領域において、第1柄が、第2柄により挟まれているか又は囲まれていることが好ましい。前記個装体の開封面又は非開封面において、且つ第1柄の総面積が、第2柄の総面積より小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品の個装体によれば、吸収容量等の性能表記に適度な識別性を持たせるとともに、吸収性物品の性能とは関連のない吸収容量以外の柄を目立たせることができることによって、吸収性物品の使用者が、吸収性物品の性能を容易に把握することができるとともに、気付かれたくない吸水性物品の使用を他人に気付かれる可能性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)は、本発明の個装体の好ましい一実施形態を模式的に示す展開図であり、(b)は個装体の開封面の平面図であり、(c)は個装体の非開封面の平面図あり、(d)は図柄の拡大図である。
図2図2(a)は、本発明の個装体の開封面の好ましい一実施形態を模式的に示す平面図であり、(b)は(a)に示す個装体において止着テープによる封止を外して開封した状態を模式的に示す展開図である。
図3図3は、本発明の個装体の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。
図4図4は、本発明の個装体の好ましい一実施形態を模式的に示す斜視図である。
図5図5は、図1に示す個装体において止着テープを外して開封した状態を模式的に示す斜視図である。
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。本実施形態の吸収性物品の個装体30における吸水性物品10は、例えば失禁パッド、生理用ナプキン、おりものシートであり、図示例は失禁パッドである。本発明は、個装体における吸収性物品が、軽失禁パッド等の他人に使用を知られたくない人が多い吸収性物品である場合に適しており、他人からの秘匿性を向上させることができる。
【0010】
本実施形態において、個装体30及び個装体30に含まれる吸収性物品10は、図2(b)に示すように、縦長の形状を有しており、着用者の前後方向に対応する長手方向Xと、これに直交する幅方向Yとを有している。個装体30は、図1及び図2に示すように、吸収性物品10の長手方向Xに一致する方向Xとこれに直交する方向Yとを有している。本明細書において、個装体30の長手方向Xは、吸収性物品10の長手方向Xと一致方向であり、個装体30の幅方向Yは、吸収性物品10の幅方向Yと一致する方向である。以下の説明では、吸収性物品10の長手方向X及び個装体30の長手方向Xを「長手方向X」ともいい、吸収性物品10の幅方向Y及び個装体30の幅方向Yを「幅方向Y」ともいう。吸収性物品10は、未使用時には、図2(b)に示す如き、展開状態から長手方向Xに折り畳まれて、図3に示す個装体30とされている。
【0011】
個装体30は、図2(a)及び(b)に示すように、吸収性物品10と、該吸収性物品10を包装する包装シート20とを備えている。吸収性物品10は、吸収体13と、該吸収体13の肌対向面側に配された表面シート11と、該吸収体13の非肌対向面側に配された裏面シート12と、吸収体の両脇に配されたサイドギャザー14とを有する。さらに、非肌対向面を形成する裏面シート12に配されたズレ止め部(図示せず)を有する。
【0012】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品10又はその構成部材(例えば吸収体13)における、吸収性物品10の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌に近い側の面であり、「非肌対向面」は、吸収性物品10又はその構成部材における、吸収性物品10の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち相対的に着用者の肌から遠い側の面である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品10の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0013】
個装体30における包装シート20は、吸収性物品10における裏面シート12側に配され、吸収性物品10の非肌対向面側を被覆している。吸収性物品10は、その非肌対向面に形成された、ズレ止め部(図示せず)によって、包装シート20に剥離可能に接着されている。ズレ止め部の具体的な構成は後述する。
【0014】
吸収性物品10の非肌対向面には、ズレ止め部が設けられている。ズレ止め部は、裏面シート12の非肌対向面に設けられている。ズレ止め部は、吸収性物品10の使用時における下着固定用としても用いられるものである。ズレ止め部は、裏面シート12に粘着剤が塗工されて形成されていることが好ましいが、粘着剤以外にも、摩擦力を高める手段を適用してもよい。粘着剤を塗工する場合、その塗工パターンに特に制限はなく、例えば、幅方向に延びる帯状の粘着部が、ズレ止め部の幅と同程度の間隔を開けて、長手方向Xに間欠的に多数配置したものが一例として挙げられる。ズレ止め部は、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シートによって被覆されている。
吸収性物品10は、図1(b)(c)、図2(a)(b)及び図3に示すとおり、その包装シート20と共に、長手方向Xに離間した複数の部位において長手方向Xに折り曲げられて、長手方向Xに折り畳まれている。折り畳まれた包装シート20における、折り畳まれた状態の吸収性物品10の幅方向Yの側縁から延出する部分は、ヒートシール等の公知の接合手段により接合されていてもよい。
【0015】
本実施形態の個装体30において、吸収性物品10は、三つ折り状態に折り畳まれている。具体的には、吸収性物品10及び包装シート20は、それぞれ幅方向Yに延びる第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2のそれぞれに沿って、表面シート11を内側にして折り曲げられており、全体として三つ折りされた状態に折り畳まれている。
【0016】
包装シート20は、図1(a)ないし(c)に示すとおり、第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2のそれぞれに沿って、裏面側を内側にして折り曲げられており、個装体30の状態において、開封面40を形成する二つの正面領域60A,60Bと、開封面40の反対側の非開封面50を形成する背面領域70とを有する。包装シート20の裏面は、個装体30において吸収性物品10側に向けられる面である。
【0017】
また個装体30における開封開始端となる側の包装シート20の一端部20aには、止着テープ21が設けられており、該一端部20aは、止着テープ21を介して該一端部20aを重ねた面に、引き剥がし可能に接合されている。
本実施形態では、止着テープ21は、図1(a)(b)、及び図2(a)(b)に示すように、展開状態の包装シート20の一端部20aに剥離困難に固定された固定部21aと、該一端部20aから延出し、該包装シート20の外面に剥離可能に固定された止着可能な止着部21bとを有する。止着部21bは脱着自在であってもよい。一端部20aは、止着テープ21を介して該一端部20aを重ねた面に、引き剥がし可能に接合されている。
【0018】
止着テープ21は、その長手方向の一端側に、包装シート20に剥離困難に固定された固定部21aを有し、他端側に、他の部材に対して剥離可能に固定された止着部21bを有している。この止着テープ21の止着部21bにおける、個装体30において包装シート20と対向する面(個装体30において露出する面とは反対側の面)には粘着剤(図示せず)が設けられている。止着テープ21における、他方の正面領域60Bに剥離可能に固定された止着部21bは、個装体30を開封する際に、手で摘まんで容易に剥離させることができる。止着テープ21は、未使用状態の個装体30の封止部として機能すると共に、個装体30を開封する際に手指で摘まむ開封用摘み部としても機能する。
【0019】
個装体30においては、吸収性物品10を、使用時に非肌対向面となる裏面シート12側の面を包装シート側に向けた状態で、それぞれ幅方向Yに延びる第1折り曲げ線L1及び第2折り曲げ線L2のそれぞれに沿って、裏面シート12を内側にして折り曲げ、該包装シート20とともに長手方向に折り畳んで包装し、止着テープ21により、開封開始端が意図せずに開封しないように閉鎖されている。吸収性物品10は、包装シート20とともに、使用時に肌対向面となる裏面シート12側の面を包装シート20側に向けた状態で、三つ折り又は四つ折りにして折り畳むことが好ましい。
【0020】
本実施形態における包装シート20は、個装体30の開封面40を形成する領域に、吸収性物品10の吸収容量を示す第1柄2と、吸収容量以外を示す第2柄3とを有する。第2柄3は、花柄、草木柄等の図柄3bであることが好ましく、花柄等の、使用者が癒される図柄であることが好ましい。第2柄3は、ブランド表記3bであってもよい。
【0021】
本実施形態において、開封面40を形成する領域は、開封面40を形成する二つの正面領域60A及び60Bのうち、一方の正面領域60Aの全域と、他方の正面領域60Bにおける正面領域60Aに覆われていない部分である。開封面40を形成する領域には、止着テープ21で覆われて柄があってもその柄が外部から見えない部分は含まれない。
本実施形態における包装シート20は、開封面40を形成する領域において、第1柄2が、第2柄3により挟まれているか又は囲まれている。
第1柄2が、第2柄3により囲まれている態様としては、第1柄2が、その周囲を連続して単一の第2柄3に完全に囲まれている態様、第1柄2が、その周囲を、周方向に間欠的に配された複数の第2柄3によって囲まれている態様等が挙げられる。単一の第1柄2の周囲が完全に囲まれている場合を360度囲まれていると表現すると、第1柄2は、その周囲を180度超360度以下囲まれていることが好ましく、270度以上360度以下囲まれていることが好ましい。
第1柄2が、第2柄3により挟まれている態様としては、二つの第2柄3の間に単一の第1柄2が存在している態様等が挙げられる。第1柄2及びそれを挟む二つの第2柄3は、個装体の幅方向Yに並んでいても、長手方向Xに並んでいても、幅方向Y及び長手方向Xの両方向に対して非平行な斜め方向に並んでいてもよい。
【0022】
また開封面40を形成する領域のみを考えたときに、第1柄2の総面積が第2柄3の総面積より小さい。
第2柄3により挟まれているか又は囲まれている第1柄2が開封面40に存在する場合、第1柄2の総面積及び第2柄3の総面積は、その開封面40に存在する第1柄2及び第2柄3それぞれの総面積とする。
第1柄2の総面積が第2柄3の総面積よりも小さいと、吸収容量以外を示す第2柄3の表示が、包装シート20の表示の大部分を占めるため、他者が外面から個装体を視認しても、個装体の吸収性物品の種類が気付かれにくいという効果が奏される。
また使用者本人が見ても、性能表示を示す第1柄2を把握できる一方、第2柄3の存在によって、第1柄2が目立たないため、他人に使用を悟られる心配が低減し、吸収性物品を使用することによる、使用者を憂鬱な気分にさせたりする可能性を低下させることもできる。
【0023】
吸収容量を示す第1柄2としては、単位付きの数字や、数字によって構成されているものが挙げられる。単位付きの数字の単位としては、ccやmlが挙げられる。また数字には、吸収容量から単位を除いた数字のみであることが好ましく、例えば、吸収容量が3mLの場合、第1柄2の表記は「3」とすることが好ましい。吸収容量を示す数値は、算用数字に代えて、アラビア数字、ローマ数字、一や壱等の漢字等でもよい。また吸収容量を示す第1柄2は、吸収容量を、その大きさに応じて複数の区分に区分したときの区分を示す表示であってもよい。
吸収容量を示す第1柄2が、数字であると、外面から第1柄2を目立たせ、使用者に第1柄2を視認させやすくする効果がある。
【0024】
数字には、数字を囲む円を有する丸付き数値も含まれる。丸付き数字は、円を含めて数字とみなし、該円の輪郭を含む該円の内側全体を、第1柄2の面積とする。また第1柄2が、数字のみで構成されている場合、該数字を囲む最小円の面積を、第1柄2の面積とする。第1柄2が、単位付き数字のみで構成されている場合、単位部分を含む単位付き数字の全体を囲む最小円の面積を、第1柄2の面積とする。
第2柄3が、例えば、色付きの線で輪郭が表された図柄、例えば花や花びらの図柄である場合、輪郭の内側の着色されていない部分の面積も第2柄3の面積に含める。
【0025】
第1柄2の総面積及び第2柄3の総面積は、以下の方法により求めることができる。
吸収性物品の個装体の第1柄2及び第2柄3をパーソナルコンピュータ向けスキャナー(キャノン製 CanoScan MP Navigator EX)でスキャンし、画像解析ソフト(株式会社ネクサス製 nexus New Qube)を用いてそれぞれの面積を求める。第1柄2、第2柄3の面積をそれぞれ合計し、第1柄2、第2柄3それぞれの総面積を求める。
【0026】
本実施形態の個装体30においては、図1(a)及び(b)に示すように、開封面40とは反対側の非開封面50には第1柄2が存在しない。すなわち、包装シート20における、非開封面50を形成する領域である背面領域70には第1柄2が存在しない。
開封面40及び非開封面50のうちの一方のみに第1柄2を有することにより、他人が、吸収容量を示す第1柄2により軽失禁パッドの使用を知る可能性を一層軽減することができる。さらに、開封面40に第1柄2を有し、非開封面50に第1柄2を有しないことで、他人に、吸収性物品の使用を知られにくい上に、使用者は、開封の際等に、吸収性物品の吸収容量を容易に把握することができる。
開封面40に代えて非開封面50に、第1柄2及び第1柄2を挟むか囲む第2柄3を有していてもよい。その場合、包装シート20における非開封面50を形成4している領域内において、第1柄2の総面積と第2柄3の総面積とを比較する。
本発明の個装体は、開封面40及び非開封面50の少なくとも一方に、上述した条件を満たす第1及び第2領域を備えていてもよい。
【0027】
第1柄2からそれを挟むか囲む第2柄3までの距離は、あまり大きくないことが、第1柄2を、第2柄3により目立ちにくくする観点から、好ましい。
例えば、第1柄2を有する開封面40又は非開封面50のそれぞれにおいて、第1柄2を挟むか囲む第2柄3は、第1柄2の図心を中心とする半径30mmの円内に、第1柄2を挟むか囲む部分を有することが好ましく、第1柄2の図心を中心とする半径20mmの円内に、第1柄2を挟むか囲む部分を有することがより好ましい。第1柄2の図心は、第1柄が、数字からなる構成されている場合、該数字を囲む最小円の中心である。ここでいう数字には単位付き数字も含まれる。
【0028】
本実施形態における第2柄3は、包装シート20の全体に、分散した状態に配された図柄3aを含む。図柄3aは、個装体30の外部から視認可能になされている。本実施形態における第1柄2は、包装シート20における外面、即ち吸収性物品10とは反対側に向けられる面に、吸収性物品の吸収容量とは関係のない図柄である第2柄3とともに印刷により施されており、第1柄2が目立たないようになされている。そのため、使用者に吸収性物品10に対して華やかな印象や工夫された印象を与え、着用前の使用者の吸収性物品10を使用することへの憂鬱な気分を和らげることができる。また、図柄は審美性が高いものを採用することで、使用者に吸収性物品10に対して華やかな印象や工夫された印象を与えやすくなる。
【0029】
包装シート20は、開封面40又は非開封面50を形成する領域のうち、第1柄2及びそれを挟むか囲む第2柄3を有する一方又は両方の領域において、第2柄3が、第1柄2よりも面積の大きい図柄3aである第2柄3を含むことが好ましい。例えば開封面40において、第2柄3が、第1柄2より大きい面積の図柄3aを含んでいると、第2柄3の割合が高くなり、第1柄2を視認させづらくなる。このことにより、個装体を外面から視認する場合において、第1柄2はより一層目立ちにくくなる。
同様の観点から、第1柄2を挟んでいるか囲んでいる複数の第2柄3のうちの少なくとも一つ、好ましくは複数が、第1柄2よりも面積の大きい図柄3aであることが好ましい。
【0030】
包装シート20において、第1柄2と第2柄3は、同系色であることが好ましい。吸収容量を示す第1柄2と、それ以外の第2柄3の色を同調させることで、第1柄2をより一層目立たなくさせる効果がある。同系色とは、色相が類似の組み合わせを意味し、例えば、第1柄2と第2柄3とが同系色である場合の組み合わせの例としては、第1柄2が赤色、第2柄3が橙色の場合、第1柄2が紺色、第2柄3が青色の場合等を例示することができる。
また、第1柄2の色彩と包装シート20の背景色、すなわち包装シート20の下地の色は、同系色であることが好ましい。第1柄2が背景色と同調することで、第1柄2の性能表記の数字をより一層目立たなくさせる効果がある。第1柄2及び第2柄3の色彩は、吸収性物品10の裏面シート12の色と異なる色で表示され、典型的には、白色に近い赤色、青色等の彩色が挙げられるが、これらに限定されない。色彩は単色を主体とするものであるが、複数の色彩を組み合わせて構成してもよい。
【0031】
第2柄3は、図柄3a以外に、吸収性物品10のブランド表記3bを含んでいてもよい。ブランド表記3bは、図形と文字とを組み合わせた表記でもよいし、商品を想起させる図形のみからなる表記や、ブランド名を表す文字からのみなる表記でも構わない。ブランド表記3bは、生理用ナプキン等の他の吸収性物品と共通するものが用いられることも多い。そのため、使用することに対して使用者が憂鬱な気分に陥りがちな軽失禁用の吸水性物品の個装体であっても、生理用ナプキンの個装体等と見分けがつかず、憂鬱感を軽減できるほか、外面から他者が視認した場合であっても、軽失禁用の吸収性物品とは気づかれにくくする効果を奏する。またブランド表記3bは、吸収容量を示す第1柄2とは異なり、他人に見られることに対する抵抗が少ない場合が多く、また吸収容量を示す第1柄2とは異なり、図柄3aとともに印象のよい模様を形成しやすい。そのため、第2柄3として、ブランド表記3bを含むことで、個装体のデザイン性を向上させることもできる。
第1柄2において、第1柄2である吸収容量を示す数値と、第2柄3であるブランド表記3bとが交互に並列していることが好ましい。また、開封面40の二つの正面領域60A,60Bの一方あるいはその両方において、第1柄2及びブランド表記3bの少なくとも1つ以上の一部が欠けることなく、全体が表れるようにされることが好ましい。このことにより、使用者がブランド表記3bの全体像を正確に視認することができ、次回同様の製品を購入する際、同様のブランド表記3bを有する、個装体30、個装体30のパッケージ入り商品、又は吸収性物品10等を迷わず購入及び使用でき、繰り返し購入する製品に対し有利な効果を発揮する。また第1柄2は、斜め方向に数列表記されていてもよい。
【0032】
第1柄2は、通常、印刷によって、包装シート20の非肌対向面に設けられる。第1柄2の印刷は、公知の印刷方法に従って実施可能であり、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、シール印刷、インクジェット印刷等を用いることができる。
【0033】
包装シート20の開封面40は、二つの正面領域60A,60Bが一部同士を重ねた状態に連結されて形成されており、止着テープ21は、一方の正面領域60Aに設けられている。止着テープ21が設けられた一方の正面領域60Aは、止着テープ21が固定部21aにより剥離困難に固定されている方の正面領域60Aである。
第1柄2は、一方向に複数が並ぶ列を形成していることが好ましく、複数の第1柄2が一方向に並んだ列は、幅方向Yに延びていてもよいし、長手方向Xに延びていてもよいし、長手方向X及び幅方向Yの両方向に対して斜め方向に延びていてもよい。
第1柄2が一方向に並んだ列は、第1柄2と第1柄2との間に、ブランド表記3を有することも好ましい。
開封面40において、止着テープ21の面積は第1柄2の面積より大きいことが好ましい。止着テープ21が第1柄2よりも大きく視認されるようにすることで、第1柄2が一層目立ちにくくなり、軽失禁パッド等の他人に使用を知られたくない吸収性物品であることの秘匿性を一層向上させることができる。
同様の観点から、止着テープ21の色は、第1柄2及び第2柄3と異なる色であり、該2つの柄よりも目立つ色彩から構成されることが好ましい。止着テープ21を第1柄2より目立たせることで、第1柄2を外面から視認した際に一層気づかれにくくする効果がある。
【0034】
吸水性物品10は、肌対向面を形成する表面シート11側に、包装シート20の一部の第2柄3と類似の柄を有することが好ましい。例えば、個装体30の一例における吸収性物品10は、三つ折り又は四つ折り状態に折り畳まれており、吸収性物品10の長手方向Xにおける、個装体30の端部近傍に位置する一対の折り曲げ線L1,L2それぞれより外方の2領域のうち、開封面40を開封した際に最初に展開される方の領域の肌対向面、すなわち第1折り曲げ線より外方の領域の肌対向面に、包装シート20の第2柄3aと類似の柄を有することが好ましい。より具体的に説明すると、図1及び図2に示す個装体30においては、図5に示すとおり、第2柄3aの一部を構成する花の図柄を拡大した図柄を、図3に示す3層に積層された吸収性物品10の3層のうちの最上部の層の肌対向面側に、エンボス加工により表している。吸収性物品10に表された図柄は、表面シート11側から、表面シート11及び吸収体13が一体的に圧搾されて形成された圧搾溝によってその輪郭が形成されている。第2柄3と類似の図柄を、最初に開封される領域の肌対向面側に施すことにより、癒される図柄である第2柄3aと吸収性物品10の図柄とに、一体感を感じさせる効果がある。吸水性物品が仮に軽失禁用のものである場合であっても、斯かる第2柄3a及び吸収性物品10の類似の図柄は、軽失禁症状とは関連のない柄であるため、使用者が該吸収性物品を使用する場合であっても、憂鬱な気分が癒される。また個装体の柄と類似の柄が、個装を開封した際にすぐに認識できる位置にあることで、吸収性物品の使用時も柄によって癒される。なお、表面シート11に施す柄は花柄に限られず、適宜変更可能である。
【0035】
次に、個装体を構成する各部の構成材料について説明する。
表面シート11としては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。表面シート11は、その肌対向面側が凹凸形状になっていてもよい。例えば表面シート11の肌対向面側に、散点状に複数の凸部を形成することができる。あるいは、表面シート11の肌対向面側に、一方向に延びる畝部と溝部とを交互に形成することができる。そのような目的のために、2枚以上の不織布を用いて表面シート11を形成することもできる。
【0036】
裏面シート12としては、例えば液難透過性のフィルムやスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液難透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。吸収性物品10の肌触り等を一層良好にする目的で、裏面シート12の外面に不織布等の風合いの良好なシートを積層してもよい。
【0037】
吸収体13が有する吸収性コアは例えばパルプを初めとするセルロース等の親水性繊維の積繊体、該親水性繊維と吸収性ポリマーとの混合積繊体、吸収性ポリマーの堆積体などから構成される。吸収性コアは、少なくともその肌対向面が液透過性のコアラップシートで覆われていてもよく、肌対向面及び非肌対向面を含む表面の全域がコアラップシートで覆われていてもよい。コアラップシートとしては、例えば親水性繊維からなる薄葉紙や、液透過性を有する不織布などを用いることができる。吸収体13は、吸収性コアのみからなるものであってもよい。
【0038】
吸収性コアは、シート状の吸収体である吸収性シートを主体とするものであってもよい。吸収性シートは、典型的には、木材パルプ等の繊維材料を主体とする繊維シートと、該繊維シートの内部又は表面に固定された吸収性ポリマー等の吸水性材料とを含んで構成されている。吸収性シートは、相対向する2枚のシート間に吸収性ポリマーの粒子が介在配置された構成を有するものであり得る。
【0039】
包装シート20としては、吸収性物品の個装体において通常用いられているものを用いることができる。例えば、単層又は多層構造の不織布が好ましく用いられる。また樹脂フィルムを用いることもでき、不織布と樹脂フィルムとのラミネートを用いることもできる。ラミネートシートは、個装体の外面に不織布が位置するように用いられることが好ましい。
【0040】
包装シート20に、印刷される図柄である第2柄3aは図示されるものに限らず、吸収性物品10の使用目的に合わせて適宜変更できる。例えば、星空を模したデザインや、チェック柄、直線等のみからなるよりシンプルなデザインにしてもよい。例えば星空を模した図柄であれば、夜に使用する吸収性物品10の個装体30に好適に適用でき、シンプルなデザインとすれば、内包される吸収性物品10の秘匿性を高め、男性用の吸収性物品10の個包体に好適に適用できる。複数の第1柄2が一方向に並んだ列は、ブランド表記を含まないものであってもよい。
【0041】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は前記実施形態に制限されない。
【符号の説明】
【0042】
10 吸収性物品
30 個装体
X 長手方向
Y 幅方向
13 吸収体
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収体
14 サイドギャザー
20 包装シート
20a 一端部
21 止着テープ
21a 固定部
21b 止着部
2 第1柄
3 第2柄
3a ブランド表記以外の図柄
3b ブランド表記
22 複数の性能表記2が一方向に並んだ列
L1 第1折り曲げ線
L2 第2折り曲げ線
40 開封面
50 非開封面
60A,60B 二つの正面領域
70 背面領域
図1
図2
図3
図4
図5