(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000942
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】おろし器
(51)【国際特許分類】
A47J 43/25 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A47J43/25
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114165
(22)【出願日】2022-07-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2022099514
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518270562
【氏名又は名称】株式会社トミタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】冨田 雅俊
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA03
(57)【要約】
【課題】どのようなユーザーであっても取扱が容易なおろし器を提供する。
【解決手段】おろし面となる表面10aと、表面10aの反対の面である裏面10bと、を有する基材10と、表面10aから立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろす複数の突起20と、を有する。各突起20は、曲面形状を有する先端を有する。先端の曲率半径は、1mm以上、3mm以下であってもよい。各突起20は、球欠形状、または曲面形状を有する先端を有する円錐形状、角錐形状であってもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おろし面となる表面と、前記表面の反対の面である裏面と、を有する基材と、
前記表面から立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろす複数の突起と、を有し、
各前記突起は、曲面形状を有する先端を有する、おろし器。
【請求項2】
前記先端の曲率半径は、1mm以上である、請求項1記載のおろし器。
【請求項3】
前記先端の曲率半径は、3mm以下である、請求項1記載のおろし器。
【請求項4】
各前記突起は、球欠形状、または前記曲面形状を有する前記先端を有する円錐形状、角錐形状からなる、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項5】
各前記突起の前記表面からの高さは、1.0~1.5mmである、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項6】
前記表面から立ち上がることにより形成されるサブ突起をさらに備え、
少なくとも二つの前記複数の突起が、前記サブ突起上から立ち上がることにより形成される、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項7】
前記表面から立ち上がることにより形成され前記突起よりも高さが小さいサブ突起をさらに備え、
前記サブ突起は、隣接する二つの前記突起を連結するように配置される、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項8】
前記基材は、少なくとも第一領域と第二領域に二分されている平坦面であり、
前記複数の突起は、前記第一領域に形成され、前記第二領域には形成されない、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項9】
金属からなる、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項10】
セラミックスまたは樹脂からなる、請求項1または2記載のおろし器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おろし器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大根やわさびなどの食材をすりおろすための種々のおろし器が知られている。例えば、特許文献1には、セラミックス製のおろし器であって、皿状態の中央部に、小さい突起刃を多数有するおろし器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のおろし器をはじめとする公知のおろし器は、食材をすりおろすための鋭利な刃が多数設けられている。このため、例えば子どもなどが使用する際に怪我をしやすいこともあり、おろし器には扱いにくさがあった。また、マニキュアやネイルアートされた爪が刃によって傷ついたり折れてしまったりするなどの理由から、おろし器は使用しづらいという側面もある。さらに、使用後にスポンジなどでおろし器を洗う際に、スポンジが刃に引っ掛かる結果、おろし器に付着した食材かすを十分に取り除くことができず、おろし器が不衛生になるおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、どのようなユーザーであっても取扱が容易なおろし器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るおろし器は、上述した課題を解決するために、おろし面となる表面と、前記表面の反対の面である裏面と、を有する基材と、前記表面から立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろす複数の突起と、を有し、各前記突起は、曲面形状を有する先端を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るおろし器においては、どのようなユーザーであっても取扱が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るおろし器の一実施形態を示す平面図。
【
図35】第二突起が三角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【
図36】第一突起により連結された第二突起が四角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【
図37】第一突起により連結された第二突起が五角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【
図38】第一突起により連結された第二突起が六角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【
図39】第一突起により連結された第二突起が七角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【
図40】第一突起により連結された第二突起が八角錐である場合の突起の変形例1420を示す図。
【
図41】第一突起により連結された第二突起が九角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【
図42】第一突起により連結された第二突起が十角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【
図43】第一突起により連結された第二突起が十一角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【
図44】第一突起により連結された第二突起が十二角錐である場合の突起の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るおろし器の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明に係るおろし器の一実施形態を示す平面図である。
図2は、おろし器1の底面図である。
図3は、おろし器1の左側面図である。
図4は、おろし器1の正面図である。
図5は、
図1のV-V線に沿う断面図である。
図6は、一の第一突起31および第二突起41の拡大図である。
図7は、
図6のVII-VII線に沿う断面図である。
図8は、
図6のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9は、おろし器1の表面10aを斜視で示す写真である。
図10は、
図9の突起20を拡大した写真である。
図11は、おろし器1の裏面10bを斜視で示す写真である。
図12は、
図11の突起20を拡大した写真である。
【0011】
なお、おろし器1の背面図は正面図と対称に表れるため図示を省略する。また、おろし器1の右側面図は、左側面図と同一に表れるため図示を省略する。
【0012】
おろし器1は、例えば大根、わさび、しょうが、にんにく、チーズ、チョコレートなどの種々の食材である対象物をすりおろすために用いられる。
【0013】
おろし器1は、例えばステンレスやアルミ、チタンなどの金属材料からなる。おろし器1は、例えば板厚約1mmの薄板を金型を用いてプレス成形することにより製造される。
【0014】
おろし器1は、基材10と、周壁11と、を有する。基材10は、平坦な長方形状である。基材10は、おろし面となる表面10aと、表面10aの反対の面である裏面10bと、を有する。周壁11は、外縁10cから基材10の外側に広がるように立ち上がる。周壁11は、表面10aですりおろされた食材を基材10上に留めたり、おろし器1の使用時にユーザーに保持されたりする部分となる。
【0015】
基材10(表面10a)は、第一領域14と第二領域15に二分されている平坦面である。第一領域14には、複数の突起20が形成される。第二領域15には、複数の突起20が形成されない。すなわち、第二領域15は、基材10が凹凸加工されないそのままの平坦面である。第一領域14は、例えば右側に形成され、第二領域15は左側に形成される。なお、基材10は、少なくとも2つの領域に二分されていればよく、さらに別の領域を有していてもよい。例えば、基材10は、突起20が形成される領域を挟んで左右両側に、突起20が形成されない領域を有していてもよい。第二領域15は、おろし器1が食卓などで使用される場合には、すりおろす食材を置いておくためのお皿としても機能する。
【0016】
突起20は、裏面10bが凹、表面10aが凸になるように基材10(表面10a)から上方に立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろすために用いられる。突起20は、左右方向に第一パターン21と、第二パターン22とが交互に現われるように、複数列(
図1においては11列)配列されている。第一パターン21においては、突起20は、前後方向に対して反時計回りに略45度傾いた直線に長手方向を沿わせるように配置されている。第二パターン22においては、突起20は、前後方向に対して時計回りに略45度傾いた直線に長手方向を沿わせるように配置されている。また、第一パターン21は、前後方向に一定量ずれた状態で配置されており、前後方向で見ると第一パターン21と第二パターン22とが交互に現われるように配置されている。
突起20は、第一突起31と、第二突起41と、を有する。
【0017】
第一突起31(サブ突起)は、基材10の表面10aから立ち上がることにより形成される。第一突起31は、
図6に示すように、上方視において、対向して長手方向に延びる一対の直線33と、各直線33の対向する端部を接続する一対の円弧34と、からなる、略長丸形状(小判型、円形)の外縁32を有する。第一突起31は、例えば長手方向長さと短手方向長さが2:1となるように形成される。第一突起31は、例えば長手方向長さが10mmであり、短手方向長さが5mmである。第一突起31は、前後方向視において、外縁32から所定割合(例えば、外縁32全域に亘り一定割合)で緩やかに立ち上がる逆お椀型を有する。第一突起31は、外縁32が位置する基材10の表面10aから、最も高くなる頂面35(外表面の内最も高い位置)までの距離が、例えば約0.3mmである。
【0018】
第一突起31は、外縁32を底面の外周とする円錐台状であるともいえる。この円錐台状の第一突起31の頂面35(上面)は、曲面状であってもよいし、平坦面状であってもよい。
【0019】
第二突起41(突起)は、裏面10bが凹、表面10aが凸になるように第一突起31の外表面から立ち上がることにより形成される2つ(複数)の突起である。第二突起41は、上方視において略正円形状(円形)の外縁42を有する。2つの第二突起41は、第一突起31の短手方向中央位置に、長手方向に沿って配置されている。また、第二突起41の外縁42の一部は、第一突起31の長手方向端部に位置する円弧34の短手方向中央位置において接して配置されている。第二突起41は、例えば外縁42の直径が略5mmである。第二突起41は、前後方向視において、外縁42から所定割合(例えば、外縁42全域に亘り一定割合)で立ち上がり、先丸の頂点45を有する三角形状を有する。第二突起41は、外縁42が位置する第一突起31の外表面から、表面10aから最も高い(離れる)位置である頂点45(先端)までの距離が、例えば約0.9mm、基材10の表面10aからの距離が、例えば約1.0~1.5mmであり、好ましくは約1.0mm~1.2mmである。
【0020】
第二突起41は、外縁42を底面の外周とする先端が尖っていない円錐台状であるともいえる。すなわち、円錐台状の第二突起41は、頂点45(先端)が曲面形状となっている。第二突起41は、ドーム形状、球欠形状、楕円体球欠形状であってもよい。
【0021】
第二突起41の外表面の曲率半径は、全域に亘って一定であってもよいし、変化していてもよい。第二突起41の外表面の曲率半径は、表面10aから最も高い(離れた)位置である先端において、1mm以上、3mm以下であることが好ましい。曲率半径が1mmより小さいと、ユーザーが指で接触する可能性のある先端に触れた際に、痛みを感じるためである。曲率半径が3mmより大きいと、食材をすりおろす際の使用性が十分に得られないためである。すなわち、曲率半径が3mmより大きくても食材をすりおろすことが可能であるが、すりおろすことができる量が少なくなり、使用性が低下してしまう。
【0022】
第二突起41は、表面10aに対して等間隔で配置されている。例えば、前後左右に隣接する第二突起41同士は、例えば外縁42間が3~20mmの距離を隔てて配置されている。これにより、第二突起41間にすりおろされた食材が挟まり、洗浄時において食材が取り除きづらいという事態を低減できる。
【0023】
本実施形態においては、第二突起41が形成される基材10は金属であり、第二突起41は例えばプレス加工することにより形成されるため、その頂点45は鋭くは形成されず、厳密には頂点45は曲面形状を成しているといえる。第二突起41の頂点45は、指などで触れた場合であっても、ほとんど痛みを感じることのない先丸の形状であるといえる。
【0024】
このようなおろし器1は、上述したように金型を用いたプレス加工により製造される。具体的には、おろし器1は、平板状の金属製の薄板を、裏面10bから表面10aに基材10を押し出すことにより、裏面10bが凹、表面10aが凸になるように基材10の表面10aから立ち上がることにより形成される複数の突起20(第一突起31および第二突起41)を形成する。
【0025】
このようなおろし器1は、目立てにより形成された先端が鋭利な刃や、三角錐の側辺(稜線)を刃として利用し食材をすりおろすような公知のおろし器とは異なり、凹凸加工を施すことにより先丸の突起20を有するものである。すなわち、公知の、金属板の表面に目立てによって多数の刃を付けたものや、セラミックスを成形することにより鋭利な突起刃を形成したものに比べて、刃先に相当する第二突起41の先端が鋭利ではない。しかしながら、おろし器1は、突起20(第二突起41)全体が食材に接触して十分にすりおろす機能を発揮することができる。
【0026】
このため、例えば子どものような公知のおろし器1の取扱に不慣れなユーザーが使用する場合であっても、本実施形態のおろし器1は怪我をさせにくく、安全安心に使用することができる。また、おろし器1は、第二突起41の先端が鋭利でないことから、例えば長い爪やマニキュアやネイルアートされた爪が刃によって傷ついたり折れてしまったりするおそれも低減できる。このため、本実施形態におけるおろし器1は、ユーザーを限定することなく、多くのユーザーに容易に取り扱うことができる。
【0027】
また、おろし器1は、突起20が曲線的であり、先端が鋭利でもなく、直線的な部分も有していないことから、公知のおろし器1のように、使用後、すりおろした食材が刃に引っ掛かり、おろし器1から食材をきれいに取り除きづらいという事態も低減できる。また、おろし器1は、突起20に洗浄に用いるスポンジが引っ掛かるという事態も起こりづらく、スポンジが突起20上をスムーズに移動しながら洗浄する。このため、おろし器1は、洗浄が容易で、食材の残りもなく衛生的である。
【0028】
また、おろし器1は、実質的に食材をすりおろす第二突起41のみならず、二つの第二突起41が配置される第一突起31を有している。これにより、第二突起41のみの場合に比べて、食材が基材10の表面10aから第二突起41に案内されやすく、第一領域14内での食材をすりおろすための往復動作や円軌道動作がスムーズにできる。すなわち、例えば第二突起41のみでは、表面10aからの第二突起41の急峻な立ち上がりにより食材が第二突起41に引っ掛かり、食材の第一領域14内での移動に抵抗を感じスムーズに行かない場合も起こり得る。これに対し、おろし器1は、第一突起31上に第二突起41が形成されたため、表面10aから第一突起31の傾斜を上り第二突起41に到達する。このため、食材が表面10aから第二突起41の頂点45まで移動する際に、第一突起31の相対的に緩やかな傾斜を経て頂点45に到達するため、すりおろし動作を行う手の抵抗感を低減し、スムーズにすりおろすことができる。
【0029】
また、おろし器1は、第二領域15を有することにより、第一領域14ですりおろした食材を、第二領域15に溜めておくことができる。このため、おろし器1は、第二領域15がない場合に比べて、一度に大量の食材をすりおろすことができる。また、第二領域15は、すりおろす食材を置くための皿としても利用され得る。
【0030】
なお、おろし器1は、基材10の表面10aが立ち上がることにより形成される、対象物をすりおろす複数の突起20を有していればよく、その配置や数は限定されない。
【0031】
例えば、
図13は、第一変形例としてのおろし器101の平面図である。
図14は、第一変形例としてのおろし器101の底面図である。
図15は、第一変形例としてのおろし器101の正面図である。
図16は、第一変形例としてのおろし器101の左側面図である。なお、おろし器101の背面図は正面図と同一に表れるため図示を省略する。また、おろし器101の右側面図は、左側面図と同一に表れるため図示を省略する。
【0032】
図13に示す第一変形例のおろし器101のように、突起が設けられない平坦面である第二領域を省略して第一領域114のみを設け、基材110の左右方向長さをおろし器1に比べて短くしてもよい。
【0033】
このようなおろし器101は、小型化が可能であり、例えば手のひらでおろし器101を握りやすい。また、おろし器101は、食卓上などに置く際のスペースを削減できる。例えば、おろし器101は、刺身を食べる前に食卓上でわさびをすりおろす、などのシチュエーションにも使い勝手に優れている。
【0034】
図17は、第二変形例としてのおろし器201の平面図である。
図18は、第二変形例としてのおろし器201の底面図である。
図19は、第二変形例としてのおろし器201の正面図である。
図20は、第二変形例としてのおろし器201の左側面図である。なお、おろし器201の背面図は正面図と同一に表れるため図示を省略する。また、おろし器201の右側面図は、左側面図と同一に表れるため図示を省略する。
【0035】
第二変形例としてのおろし器201は、一点を中心に放射状に、または渦を巻くように延びる複数の線(直線または曲線)に沿って第二突起241が配置される。また、各線に長手方向が沿うように、第一突起231が配置される。複数(2つ)の第二突起241は、各第一突起231上に配置される。本発明のおろし器は、突起220の配置を自由に決定でき、デザイン性に自由度を持たせることができる。
【0036】
図21は、第三変形例としてのおろし器301の平面図である。
図22は、第三変形例としてのおろし器301の底面図である。なお、おろし器301の正面図および背面図は、第一変形例としてのおろし器101の正面図および背面図と同一に表れるため図示を省略する。また、おろし器301の左側面図および右側面図は、第一変形例としてのおろし器101の左側面図および右側面図と同一に表れるため図示を省略する。
【0037】
第三変形例としてのおろし器301は、基材310の寸法が第一変形例としてのおろし器101と同一(相似形)であり、突起320の配置が第二変形例としてのおろし器201と同一である。このため、おろし器301は、第一および第二変形例としてのおろし器101、201と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
図23は、第四変形例としてのおろし器401の平面図である。
図24は、第四変形例としてのおろし器401の底面図である。
図25は、第五変形例としてのおろし器501の平面図である。
図26は、第五変形例としてのおろし器501の底面図である。
【0039】
なお、おろし器401、501の正面図および背面図は、第二変形例としてのおろし器201の正面図および背面図と同一に表れるため図示を省略する。また、おろし器401、501の左側面図および右側面図は、第二変形例としてのおろし器201左側面図および右側面図と同一に表れるため図示を省略する。
【0040】
本発明に係るおろし器は、第四変形例としてのおろし器401のように、前後左右方向に整列した所要数の突起420が配置されてもよい。また、第五変形例のように、上下方向に配列された各突起520がなす列の左右方向端部位置を、隣接する列で交互にずらし、ジグザグ状にしてもよい。また、第四変形例のおろし器401のように、突起420の長手方向を前後方向に沿わせて突起420を配置してもよいし、突起420の長手方向を左右方向に沿わせて突起420を配置してもよい。
【0041】
図27は、第六変形例としてのおろし器601の平面図である。
図28は、第六変形例としてのおろし器601の底面図である。
図29は、おろし器601の突起620を拡大した写真である。
図30は、第七変形例としてのおろし器701の平面図である。
図31は、第七変形例としてのおろし器701の底面図である。
図32は、おろし器701の突起720を拡大した写真である。
【0042】
なお、おろし器601、701の正面図および背面図は、第二変形例としてのおろし器201の正面図および背面図と同一に表れるため図示を省略する。また、おろし器601、701の左側面図および右側面図は、第二変形例としてのおろし器201の左側面図および右側面図と同一に表れるため図示を省略する。
【0043】
第六および第七変形例としてのおろし器601、701のように、第一突起を省略し、第二突起641、741のみで突起620、720を形成してもよい。この場合、第二突起641、741の立ち上がり部分の外縁642、742は、基材610、710の表面610a、710a上に位置する。
【0044】
本発明に係るおろし器について、突起の配列および突起(第二突起)の高さを変えた場合のすりおろしやすさを評価試験した。
【0045】
以下の評価試験においては、すりおろす対象物に、皮をむいたしょうがを用いた。また、すりおろす動作は、意図的に表面に押し付ける圧力を変化させないように均一な力で100回円を描くように行った。
【0046】
突起の配列は、表1に示すように、第四から第七変形例で用いた配列を用いた。基材の表面からの突起の高さは、0.5mm、0.7mm、1.0mm、1.2mmおよび1.5mmの5つを用いた。
【0047】
すりおろしやすさについては、すりおろす動作を行う場合に動作を行う者の手が感じた抵抗で評価した。すりおろす際に抵抗を感じずスムーズにすりおろすことができた場合を「A」、若干の抵抗を感じるがすりおろすことができた場合を「B」、すりおろすことができなかった場合を「C」とした。「A」および「B」は、おろし器として機能していることを示す。
【0048】
表1は、上記条件で評価試験行った場合の結果を示す表である。
【0049】
【0050】
表1に示すように、いずれの突起の配置を用いた場合であっても、突起の高さが1.0mmから1.5mmの範囲であれば、おろし器として機能した。また、突起の高さが低すぎると、対象物をすりおろすことができず、高すぎるとすりおろす際に抵抗を感じた。しかしながら、突起の高さが1.5mmであっても、種々の公知のおろし器に比べた場合には、抵抗が少なかった。
【0051】
また、評価試験18および19で用いた突起の配置および高さが、最もすりおろしやすい突起の配置および高さであった。この結果より、第一突起がないよりもある方がすりおろしやすいことがわかった。これは、すりおろし動作を行う際に、第一突起が、対象物を基材の表面から第二突起の頂点までスムーズに案内していることが理由であると考えられる。また、第一突起がある場合は、第一突起の高さ分だけ第一突起上の第二突起の高さが小さくなる。このため、第一突起がある場合は、ない場合に比べて、第二突起の高さが高い方がすりおろし量も多くなるとともに、すりおろしやすさもよいことがわかった。すなわち、第一突起上に第二突起が形成される場合には、突起の高さ(表面から第二突起の先端までの高さ)が1.2~1.5mmが好ましいといえる。これは、第四および第五実施形態のおろし器に限らず、第一突起上に第二突起が形成される他の形態のおろし器についても、同様である。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0053】
例えば、第二突起が第一突起上に2つ配置される例を説明したが、2つに限らず1つでも3つ以上であってもよい。また、第一突起の形状も特に限定されず、長丸以外の形状であってもよい。
【0054】
ここで、
図33は、突起の変形例を示す図である。上述したおろし器1の第二突起41は、第一突起31上から立ち上がることにより形成されている。これに対し、
図33の突起820においては、第一突起831(サブ突起)が、表面10aから立ち上がることにより形成される点は共通しているが、表面10aから立ち上がる隣接する二つの第二突起841を連結するように配置されている点で異なる。すなわち、第二突起841の円錐または球欠(
図33においては半球)の底面に相当する外縁842が全て第一突起831上に配置されているのではなく、一部が表面10a上に配置され、他部が第一突起831上に配置されている。
【0055】
第一突起831は、第二突起841よりも表面10aからの高さが小さい。第一突起831の、二つの第二突起841を結ぶ方向(以下「第一方向」という。)に直交する方向(以下「第二方向」という。)の幅は、特に限定されない。例えば、
図33(b)から(d)に示すように、二つの第二突起841の第二方向の幅とほぼ同一であってもよいし、
図33(a)および(c)に示すように、二つの第二突起841の第二方向の幅よりも細くてもよい。もちろん、図示はしないが、二つの第二突起841の第二方向幅よりも太くてもよい。
【0056】
また、第二突起の形状が、先端が曲面形状である円錐形状や球欠形状である例を説明したが、先端が曲面形状である角錐形状であってもよい。ここで、
図34は、第二突起の形状の変形例を示す図である。
【0057】
図34(a)においては、第二突起941は三角錐形状である。
図34(b)においては、第二突起1041は四角錐形状である。
図34(c)においては、第二突起1141は五角錐形状である。
図34(d)においては、第二突起1241は六角錐形状である。
図34(e)においては、第二突起1341は七角錐形状である。
図34(f)においては、第二突起1441は八角錐形状である。
図34(g)においては、第二突起1541は九角錐形状である。
図34(h)においては、第二突起1641は十角錐形状である。
図34(i)においては、第二突起1741は十一角錐形状である。
図34(j)においては、第二突起1841は十二角錐形状である。また、第二突起は、十二角錐形状よりも角数の多い角錐形状であってもよい。
【0058】
図33の第一突起831および第二突起841の変形例は、
図1から26の第一突起および第二突起に置換されて適用され得る。また、
図34の第二突起の変形例は、
図1から32の第二突起に置換されて適用され得る。
【0059】
図35は、第二突起が三角錐である場合の突起の変形例を示す図である。上述したように、第一突起931の第二方向の幅は、特に限定されず、
図35に示すように任意の幅を適用することができる。また、隣接する二つの第二突起941は第一方向または第二方向に対称的に配置されていてもよいし、無作為に配置されていてもよい。また、第一突起931は、二つを一対として連結するように配置される例に限らず、さらに他の第二突起941を数珠つなぎに連結するように配置されてもよい。これら第二突起941の向きや、第一突起931の第二方向における幅、連結する第二突起941の数は、食材をすりおろす際の使用性や、デザイン性など種々の観点から決定されればよい。
【0060】
図36は、第一突起1031により連結された第二突起1041が四角錐である場合の突起1020の変形例を示す図である。
図37は、第一突起1131により連結された第二突起1141が五角錐である場合の突起1120の変形例を示す図である。
図38は、第一突起1231により連結された第二突起1241が六角錐である場合の突起1220の変形例を示す図である。
図39は、第一突起1331により連結された第二突起1341が七角錐である場合の突起1320の変形例を示す図である。
図40は、第一突起1431により連結された第二突起1441が八角錐である場合の突起の変形例1420を示す図である。
図41は、第一突起1531により連結された第二突起1541が九角錐である場合の突起1520の変形例を示す図である。
図42は、第一突起1631により連結された第二突起1641が十角錐である場合の突起1620の変形例を示す図である。
図43は、第一突起1731により連結された第二突起1741が十一角錐である場合の突起1720の変形例を示す図である。
図44は、第一突起1831により連結された第二突起1841が十二角錐である場合の突起1820の変形例を示す図である。
【0061】
図36から
図44については、本発明のおろし器が有し得る突起のバリエーションを示すものである。これら
図36から
図44の突起は、
図35の第一突起931に対して、主に第二突起941の形状が異なるのみであるため、各図の詳細な説明は省略する。このように、本発明に係るおろし器は、少なくとも、表面または第一突起(の外表面)から立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろす複数の第二突起であって、曲面形状を有する先端を有する第二突起を有していれば、第一突起および第二突起の形状がどのようなものであってもよい。
【0062】
また、本発明に係るおろし器は、金属製である例を説明したが、基材は金属製に限らず、セラミックスや樹脂、木材など、金属以外の材料からなるものであってもよい。また、本発明に係るおろし器は、単一の材料のみならず、例えば基材と突起の材料が異なる二以上の材料から形成されてもよい。この場合、金属製のおろし器などのように、プレス成形の際に生じる「裏面が凹」が形成されることは必須ではなく、各材料の成形方法に応じて、少なくとも表面から立ち上がる凸である突起が形成されていればよい。すなわち、基材の裏面は平坦面であってもよい。この場合、基材の裏面全域に亘って平坦であってもよいし、裏面は、表面の凸とは関連しない独自の形状であってもよい。裏面の形状は、原材料量の削減やデザイン性から、適宜決定されればよい。
【符号の説明】
【0063】
1、201、301、401、501、601、701 おろし器
10、110 基材
10a 表面
10b 裏面
14、114 第一領域
15 第二領域
20、220、420、520、620、720 突起
31、231 第一突起(サブ突起)
41、241、641、741 第二突起(突起)
45 頂点(先端)
【手続補正書】
【提出日】2022-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おろし面となる表面と、前記表面の反対の面である裏面と、を有する基材と、
前記表面から立ち上がることにより形成されるサブ突起と、
前記サブ突起上から立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろす複数の突起と、を有し、
各前記突起は、球欠形状からなり、または曲面形状を有する先端を有する円錐形状または角錐形状からなり、
少なくとも二つの前記複数の突起が、前記サブ突起上に形成されており、
前記サブ突起は、前記表面上に位置する略長丸形状、小判型状または円形状の外縁を有し前記外縁から前記突起よりも緩やかに立ち上がり、
前記表面の前記サブ突起が形成される部分以外の部分は、平坦である、おろし器。
【請求項2】
おろし面となる表面と、前記表面の反対の面である裏面と、を有する基材と、
前記表面から立ち上がることにより形成されるサブ突起と、
少なくとも一部が前記サブ突起上から立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろす複数の突起と、を有し、
各前記突起は、球欠形状からなり、または曲面形状を有する先端を有する円錐形状または角錐形状からなり、
前記サブ突起は、隣接する二つの前記突起を連結するように前記二つの前記突起の間に配置され、
前記表面の前記サブ突起が形成される部分以外の部分は、平坦である、おろし器。
【請求項3】
前記先端の曲率半径は、1mm以上である、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項4】
前記先端の曲率半径は、3mm以下である、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項5】
各前記突起の前記表面からの高さは、1.0~1.5mmである、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項6】
前記基材は、少なくとも第一領域と第二領域に二分されている平坦面であり、
前記複数の突起は、前記第一領域に形成され、前記第二領域には形成されない、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項7】
金属からなる、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項8】
セラミックスまたは樹脂からなる、請求項1または2記載のおろし器。
【請求項9】
前記サブ突起は、前記外縁から立ち上がる逆お椀型または円錐台状を有し、前記サブ突起の頂面は、曲面状または平坦面状である、請求項1記載のおろし器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係るおろし器は、上述した課題を解決するために、おろし面となる表面と、前記表面の反対の面である裏面と、を有する基材と、前記表面から立ち上がることにより形成されるサブ突起と、前記サブ突起上から立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろす複数の突起と、を有し、各前記突起は、球欠形状からなり、または曲面形状を有する先端を有する円錐形状または角錐形状からなり、少なくとも二つの前記複数の突起が、前記サブ突起上に形成されており、前記サブ突起は、前記表面上に位置する略長丸形状、小判型状または円形状の外縁を有し前記外縁から前記突起よりも緩やかに立ち上がり、前記表面の前記サブ突起が形成される部分以外の部分は、平坦である。
また、本発明にかかるおろし器は、おろし面となる表面と、前記表面の反対の面である裏面と、を有する基材と、前記表面から立ち上がることにより形成されるサブ突起と、少なくとも一部が前記サブ突起上から立ち上がることにより形成され、対象物をすりおろす複数の突起と、を有し、各前記突起は、球欠形状からなり、または曲面形状を有する先端を有する円錐形状または角錐形状からなり、前記サブ突起は、隣接する二つの前記突起を連結するように前記二つの前記突起の間に配置され、前記表面の前記サブ突起が形成される部分以外の部分は、平坦である。