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特開2024-94212飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料
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  • 特開-飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094212
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/12 20160101AFI20240702BHJP
【FI】
A23K10/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113978
(22)【出願日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2022209226
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301042941
【氏名又は名称】株式会社栄電社
(71)【出願人】
【識別番号】516320311
【氏名又は名称】有限会社栄電エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(72)【発明者】
【氏名】坂口 研三
(72)【発明者】
【氏名】岸園 浩一
(72)【発明者】
【氏名】川路 博文
(72)【発明者】
【氏名】畠中 実
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA02
2B150AA03
2B150AA08
2B150AC05
2B150AD02
2B150CC04
(57)【要約】
【課題】乳酸発酵させた焼酎粕を有効成分とし、飼養動物の成長促進、肉質の改善、及び乳量の増加等を図ることができる飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料を提供することを目的とする。
【解決手段】乳酸発酵した焼酎粕を有効成分とする飼料用添加物であって、該飼料用添加物を、飼養動物の体重1Kg当たり0.1g~1.0g/日を飼料に配合して飼養動物に定期的に給餌する。これにより、飼養動物の成長を促進し、さらには肉質改善を図ることが可能となり、飼養動物の飼養期間を短縮することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸発酵された焼酎粕を有効成分とする所定量の飼料用添加物を配合した飼料を、飼養動物に対して給餌する
飼料の給餌方法。
【請求項2】
前記飼料用添加物は、前記飼養動物の体重1kg当たり0.1g~1.0g/日を前記飼料に配合する
請求項1に記載の飼料の給餌方法。
【請求項3】
前記飼養動物は乳牛であり、乳牛の体重1kg当たり0.3g~1.0g/日の前記飼料用添加物を前記飼料に配合して給餌する
請求項1または請求項2に記載の飼料の給餌方法。
【請求項4】
前記飼養動物は豚であり、豚の体重が30kgまでは体重1kg当たり0.4g~1.0g/日の前記飼料用添加物を前記飼料に配合して給餌し、豚の体重が30kgを超えた場合には体重1kg当たり0.7g~1.0g/日の前記飼料用添加物を前記飼料に配合して給餌する
請求項1または請求項2に記載の飼料の給餌方法。
【請求項5】
前記飼養動物は魚類であり、魚類の体重1kg当たり0.1g~1.0g/日の前記飼料用添加物を前記飼料に配合して給餌する
請求項1または請求項2に記載の飼料の給餌方法。
【請求項6】
乳酸発酵された焼酎粕を有効成分とする
飼料用添加物。
【請求項7】
乳酸発酵された焼酎粕を有効成分とする飼料用添加物が配合された
飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料に関する。詳しくは、乳酸発酵させた焼酎粕を有効成分とし、飼養動物の成長促進、肉質の改善、及び乳量の増加等を図ることができる飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料に係るものである。
【背景技術】
【0002】
牛や豚などの家畜をはじめとする飼養動物は、国内自給率の向上という施策ともあいまって近年その重要性が高まり、生産性向上や飼料効率の観点から主に濃厚飼料が与えられているが、天然物中心の飼料と比べて濃厚飼料は家畜の胃腸にかかる負担が大きく、また体内吸収効率も悪いため飼養動物の成長率の低下、搾乳量の減少、肉質の劣下、産卵率の低下などの問題を生じている。
【0003】
また、飼育環境の集約化によるストレス等の諸要因により、飼養動物が細菌性の疾病を発症する機会も多くなり、畜舎や鶏舎、或いは養殖漁場の維持に障害をもたらす等、業界にとっても大きな問題を生じている。細菌性やウイルス性の疾病に対する抗生物質や強力な抗菌剤の投与は、家畜の消化器官内の細菌叢を攪乱させ新たな疾病を誘発するなど問題が多く、これらの薬品が飼養動物の体内に残留することによる成長への影響が指摘されるなど商品価値の低下や安全面の不安があるが、現時点では有効な解決法が見いだせない状況である。
【0004】
以上のような課題に対して、従来より、飼養動物の成長率や産卵率の向上、搾乳量の向上、或いは肉質の向上を図ることを目的とした飼料用添加物や飼料として、例えば麦若葉由来の素材を含有する飼料(特許文献1)やサツマイモを原料とする飼料(特許文献2)などが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-065175号公報
【特許文献2】特許第6551681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、本発明者らは、焼酎の製造により排出される焼酎粕について鋭意研究した結果、焼酎粕に含まれる機能性成分(例えばアミノ酸、有機酸、糖分、ビタミン、麹菌や酵母菌等の菌体、たんぱく質、でん粉、繊維分等)が、飼養動物の成長促進や肉質改善ができるとの一定の知見を得るに至った。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、乳酸発酵させた焼酎粕を有効成分とし、飼養動物の成長促進、肉質の改善、及び乳量の増加等を図ることができる飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の飼料の給餌方法は、乳酸発酵された焼酎粕を有効成分とする所定量の飼料用添加物を配合した飼料を飼養動物に対して給餌するものである。
【0009】
ここで、飼養動物に給餌する飼料には乳酸発酵された焼酎粕を有効成分とする所定量の飼料用添加物が配合されているため、飼料に含まれる栄養素の体内への吸収率を高め、また焼酎粕に含まれる機能性成分を摂取させることができる。従って、飼養動物の成長促進や肉質が改善され、さらには飼養中の飼料の効率化を図ることができる。
【0010】
また、飼料用添加物は、飼養動物の体重1kg当たり0.1g~1.0g/日を飼料に配合する場合には、飼養動物の成長促進や肉質改善効果をより一層高めることができる。
【0011】
また、飼養動物は乳牛であり、乳牛の体重1kg当たり0.3g~1.0g/日の飼料用添加物を飼料に配合して給餌する場合には、前記した効果に加えてさらに乳量の増加を図ることができる。
【0012】
ここで、発明者らが検討した結果では、飼料用添加物の配合量が乳牛の体重1kg当たり0.3g/日未満の場合には、飼料用添加物を配合しない飼料を給餌した乳牛と比較した場合の乳量の増加について有意な効果を確認することができなかった。
【0013】
また、飼料用添加物による乳量の増加効果としては、乳牛の体重1kg当たり1.0g/日が上限であり、それ以上の飼料用添加物を飼料に配合したとしても、乳量の大幅な増加は見込めない。従って、成長促進や乳量増加を図りつつ、飼料コストの低減を図るという観点では、飼料用添加物の配合量としては、乳牛の体重1kg当たり0.3g~1.0g/日が最適である。
【0014】
また、飼養動物は豚であり、豚の体重が30kgまでは体重1kg当たり0.4g~1.0g/日の飼料用添加物を飼料に配合して給餌し、豚の体重が30kgを超えた場合には体重1kg当たり0.7g~1.0g/日の飼料用添加物を飼料に配合して給餌する場合には、特に成長促進、及び肉質の改善効果が顕著なものとなるため、出荷日数の短縮化による飼料コストの低減効果、及び枝肉単価の上昇効果が期待できる。
【0015】
ここで、発明者らが検討した結果では、飼料用添加物の配合量が豚の体重1kg当たり0.4g/日未満(豚の体重が30kgを超える場合には0.7g/日未満)の場合には、飼料用添加物を配合しない飼料を給餌した豚と比較した場合、体重増加、及び肉質の改善について有意な効果を確認することができなかった。
【0016】
また、飼料用添加物による体重増加、及び肉質の改善効果としては、豚の体重1kg当たり1.0g/日が上限であり、それ以上の飼料用添加物を飼料に配合したとしても、体重増加、及び肉質について大幅な改善は見込めない。従って、成長促進や肉質の改善を図りつつ、飼料コストの低減を図るという観点では、飼料用添加物の配合量としては、豚の体重1kg当たり0.4g~1.0g/日(豚の体重が30kgを超える場合には0.7g~1.0g/日)が最適である。
【0017】
また、飼養動物は魚類であり、魚類の体重1kg当たり0.1g~1.0g/日の飼料用添加物を飼料に配合して給餌する場合には、魚類の体重増加が顕著なものとなり、出荷日数の短縮化による飼料コストの低減が期待できる。
【0018】
ここで、発明者らが検討した結果では、飼料用添加物の配合量が魚類の体重1kg当たり0.1g/日未満の場合には、飼料用添加物を配合しない飼料を給餌した魚類と比較した場合の体重増加について有意な効果を確認することができなかった。
【0019】
また、飼料用添加物による体重増加の効果としては、魚類の体重1kg当たり1.0g/日が上限であり、それ以上の飼料用添加物を飼料に配合したとしても、体重の大幅な増加は見込めない。従って、成長促進を図りつつ、飼料コストの低減を図るという観点では、飼料用添加物の配合量としては、魚類の体重1kg当たり0.1g~1.0g/日が最適である。
【0020】
前記の目的を達成するために、本発明の飼料用添加物は、乳酸発酵された焼酎粕を有効成分とするものである。
【0021】
ここで、飼料用添加物が乳酸発酵された焼酎粕を有効成分とするものであるため、係る飼料用添加物を飼料に配合したものを飼養動物に給餌させることにより、飼料に含まれる栄養素の体内への吸収率を高め、また焼酎粕に含まれる機能性成分を摂取させることができる。従って、飼養動物の成長促進や肉質が改善され、さらには飼養中の飼料の効率化を図ることができる。
【0022】
前記の目的を達成するために、本発明の飼料は、乳酸発酵された焼酎粕を有効成分とする飼料用添加物が配合されたものである。
【0023】
ここで、飼料には乳酸発酵された焼酎粕が配合されていることにより、前記した通り、飼料に含まれる栄養素の体内への吸収率を高め、また焼酎粕に含まれる機能性成分を摂取させることができる。従って、飼養動物の成長促進や肉質が改善され、さらには飼養中の飼料の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料は、乳酸発酵させた焼酎粕を有効成分とし、飼養動物の成長促進、肉質の改善、及び乳量の増加等を図ることができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】試験1における平均乳量である。
図2】試験1における平均泌乳日数である。
図3】試験2における平均体重の推移(ケース1)を示すグラフである。
図4】試験2における平均体重の推移(ケース2)を示すグラフである。
図5】試験2における平均体重の推移(ケース3)を示すグラフである。
図6】試験3における平均体重の推移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料に関する本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
【0027】
[試験1]
試験1は焼酎粕液(以下、「SPL」という。)の乳牛の乳量に及ぼす影響について確認した。
【0028】
1.SPLの調整
試験1で用いたSPLの製造方法は、まず焼酎蒸留所で得られた焼酎粕の発酵残渣の粘度を取り除いた後、固液分離により微粒の懸濁物質を含有する濾過液と、比較的大きな懸濁物質からなる固形物とに分離し、このうち濾過液について市販の乳酸菌株と所定量の糖類を混合させながら発酵して生成した。
【0029】
焼酎粕の乳酸菌による発酵条件は、公知の乳酸発酵の発酵条件に従い、常温における嫌気性雰囲気のもとで、一定期間(約14日間以上)発酵させた。このとき、所定時間(例えば3~7日間)毎に撹拌し、pHが4程度を発酵完了の目安とした。
【0030】
2.試験方法
400頭の乳牛について、産次N(Nは1以上の整数)毎にグループ分けした。より詳しくは、表1に示すように、産次1の乳牛を第1グループ、産次2の乳牛を第2のグループ、産次3以上(産次3+)の乳牛を第3グループとし、第1期間と第2期間における各グループの乳牛の成長を経過観察した。
【0031】
なお、第1期間、及び第2期間はそれぞれ特定年度における約1年の観察期間である。そして、これら各グループの乳牛に対して、SPLの配合有無の飼料を給餌し、乳量、及び平均泌乳日数を調べた。SPLは1頭の乳牛に対して1日当たり約280g(乳牛の体重1kg当たり0.4g)を飼料に配合して与えた。
【0032】
なお、乳牛の妊娠期間は平均280日であり、分娩後2~3ヶ月で人工授精を行うが、必ずしも授精に成功するわけではなく、分娩間隔は400日を超える場合が多い。試験に供した乳牛の平均泌乳日数は200日であり、200日×2+60日で分娩間隔は460日程度となるため、産次数Nは約460日で繰り上がる。従って、表1の2021年度の産次2は、まだ産次3に繰り上がっていない2020年度の産次2と、新たに繰り上がってきた2020年度の産次1の混合となる。
【0033】
【表1】
【0034】
3.結果
平均乳量の変化を図1、平均泌乳日数を図2に示す。まず、平均乳量については、図1に示すように、産次1は第1期間と第2期間との比較で大きな変化はなく、産次3+は平均乳量が大きく減少した。一方、産次2は、SPLを配合しない飼料を与えた第1期間の平均乳量に対して、SPLを配合した飼料を与えた第2期間の平均乳量が有意に増加していることが確認できる。
【0035】
次に平均泌乳日数については、図2に示すように、産次1、及び産次3+ともに第1期間に対して第2期間において増加している。一方、産次2は、SPLを配合しない飼料を与えた第1期間の平均泌乳日数に対して、SPLを配合した飼料を与えた第2期間の平均泌乳日数が有意に減少していることが確認できる。
【0036】
なお、一般に乳牛の妊娠期間は平均280日程度であるが、妊娠後期最後の2ヶ月間は乾乳期となり泌乳が抑制され、分娩から乾乳期間に入るまでが泌乳期間となる。そして、平均泌乳日数が減少するということは分娩間隔が短い、即ち人工授精の成功率が高くなることを示す。
【0037】
以上のように、SPLを配合した飼料を乳牛に与えることにより、乳量の増加が見込めるとともに、平均泌乳日数の減少、即ち人工授精の成功率を高めるという効果が確認できた。
【0038】
[試験2]
試験2はSPLの豚の成長に及ぼす影響について確認した。
【0039】
1.SPLの調整
試験2で使用したSPLの調整は試験1と同様である。
【0040】
2.試験方法
(ケース1)
交雑種母豚2頭(試験区・対照区の各1頭)のそれぞれの産子(試験区・対照区の各4頭)のうち、試験区の豚に対してSPLを配合した飼料を与え、対照区の豚にはSPLを配合しない飼料を与えた。そして、各豚の成長を生時から月齢5ヶ月まで経過観察した。
【0041】
(ケース2)
交雑種母豚1頭の産子(試験区・対照区の各4頭)のうち、試験区の豚に対してSPLを配合した飼料を与え、対照区の豚にはSPLを配合しない飼料を与えた。そして、各豚の成長を月齢2ヶ月から6ヶ月まで経過観察した。
【0042】
(ケース3)
黒母豚の産子(試験区・対照区の各4頭)のうち、試験区の豚に対してSPLを配合した飼料を与え、対照区の豚にはSPLを配合しない飼料を与えた。そして、各豚の成長を生時から月齢6ヶ月まで経過観察した。
【0043】
なお、試験区の豚に給餌する飼料に配合するSPLの配合量は、豚に対する胃腸への負担を考慮して、豚の体重30kgまでは体重1kg当たり0.5g/日を飼料に配合し、体重30kgを超えた豚に対しては体重1kg当たり0.8g/日を飼料に配合した。
【0044】
3.結果
ケース1乃至ケース3の豚の平均体重の推移を図3乃至図5に示す。図3乃至図5に示すように、生後4ヶ月目頃まではケース1乃至ケース3の何れも試験区と対照区において平均体重の有意な差は確認できない。一方、ケース1では、生後4ヶ月を過ぎた時点から平均体重に有意な差が表れ始め、生後5ヶ月の時点で試験区の豚が対照区の豚に比べて約17%程度の体重増加の効果が確認できる。また、ケース2については、生後5ヶ月目以降に試験区の豚が対照区の豚に比べて約5%程度の体重増加の効果が確認できる。さらにケース3については、生後6ヶ月目において試験区の豚が対照区の豚に比べて約5%程度の体重増加の効果が確認できる。
【0045】
[試験3]
試験3はSPLの魚類の成長に及ぼす影響について確認した。
【0046】
1.SPLの調整
試験3で使用したSPLの調整は試験1、試験2と同様である。
【0047】
2.試験方法
試験区と対照区の生簀を準備し、各生簀に4400匹のカンパチの成魚を放流した。なお放流時のカンパチの平均体重は約1.4kgである。そして、試験区の生簀に放流されたカンパチにはSPLを配合した飼料を与え、対照区の生簀に放流されたカンパチにはSPLを配合しない飼料をそれぞれ同じ頻度、同じ量を与え、生簀への放流から約7ヶ月間(特定年度における5月~11月)、カンパチの体重増加を経過観察した。なお、試験区のカンパチに給餌する飼料に配合するSPLの配合量は、カンパチの体重1kgに対して0.5g/日とし、試験期間中に与えたSPLの総量は約300lである。
【0048】
試験期間が経過した後に、試験区と対照区の生簀からそれぞれサンプルとして20匹のカンパチを捕獲して体重を測定し、その平均値を算出した。
【0049】
3.結果
試験区と対照区におけるカンパチの平均体重の推移を図6に示す。図6に示すように、試験期間終了時の試験区におけるカンパチの平均体重は3.82kgであるのに対して、対象区におけるカンパチの平均体重は3.56kgであり、試験区のカンパチの方が対照区のカンパチに比べて約12%程度の体重増加が確認できた。
【0050】
以上のように、SPLを配合した飼料をカンパチに与えることにより、有意に体重増加することが確認できた。従って、SPLを配合した飼料を与えることで、カンパチの出荷日数を短縮化することができ、飼育コストを抑制することができる。
【0051】
以上、本発明に係る飼料の給餌方法、飼料用添加物、及び飼料は、乳酸発酵させた焼酎粕を有効成分とし、飼養動物の成長促進、肉質の改善、及び乳量の増加等を図ることができるものとなっている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6