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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094214
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】保温保冷容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20240702BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D81/38 L
F25D23/02 303L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123251
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2022210412の分割
【原出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
【テーマコード(参考)】
3E067
3L102
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB99
3E067BA12B
3E067BA12C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB17B
3E067BB17C
3E067BB25C
3E067BB26C
3E067BC07B
3E067CA18
3E067EA23
3E067EA24
3E067EB27
3E067FA04
3E067FB11
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA06
3E067GA13
3E067GA14
3E067GA15
3L102JA08
3L102KA03
3L102KB04
3L102KC03
3L102KC08
(57)【要約】
【課題】保温保冷容器の断熱性能を向上させる。
【解決手段】保温保冷容器10は、容器本体12の上部に設けられた開口14の一部を開閉す第1蓋体16と、第1蓋体16に隣接して設けられ、開口14の一部を開閉する第2蓋体18とを備えている。第1蓋体16は、第2蓋体18の下面側に張り出す第1延出部40を有している。第1延出部40は、第2蓋体18の下面に着脱する第1延出部着脱部40aを有している。第2蓋体18は、第1蓋体16の上面側に張り出す第2延出部44を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の上部に設けられた開口を開閉する複数の蓋体を備えた保温保冷容器であって、
前記蓋体として、第1蓋体と、前記第1蓋体に隣接して設けられる第2蓋体と、を備え、
前記第1蓋体は、前記第2蓋体の下面側に張り出す第1延出部を有し、
前記第2蓋体は、前記第1蓋体の上面側に張り出す第2延出部を有している
ことを特徴とする保温保冷容器。
【請求項2】
前記第1延出部は、前記第2蓋体の下面に着脱する着脱部を有している請求項1に記載の保温保冷容器。
【請求項3】
前記第1延出部は、板材を有している請求項1又は2に記載の保温保冷容器。
【請求項4】
前記容器本体の内部温度を測定する温度測定手段が、前記容器本体における前記第1蓋体側の内壁面に配置されている請求項1に記載の保温保冷容器。
【請求項5】
前記容器本体の内側に配置され、前記第1蓋体及び前記第2蓋体の並び方向と交差する方向へ延びるヒンジで折り曲げ可能な内蓋を備えている請求項1に記載の保温保冷容器。
【請求項6】
前記第1蓋体及び前記第2蓋体が、前記容器本体における前記開口の一縁に並べてヒンジ接続されている請求項1に記載の保温保冷容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保温保冷容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の運搬台車のように、2枚の蓋体をケース本体の長手方向に並べて設けて、各蓋体を互いに独立して開閉可能に構成したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-108753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成であると、2枚の蓋体間の合わせ目から空気が出入りして、物品を収納する物品収納空間の温度変化が大きくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、良好な断熱性能を有する保温保冷容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る保温保冷容器の第1態様は、
容器本体の上部に設けられた開口を開閉する複数の蓋体を備えた保温保冷容器であって、
前記蓋体として、第1蓋体と、前記第1蓋体に隣接して設けられる第2蓋体と、を備え、
前記第1蓋体は、前記第2蓋体の下面側に張り出す第1延出部を有し、
前記第2蓋体は、前記第1蓋体の上面側に張り出す第2延出部を有していることを要旨とする。
【0007】
本発明に係る保温保冷容器の第2態様は、前記第1態様において、
前記第1延出部は、前記第2蓋体の下面に着脱する着脱部を有していてもよい。
【0008】
本発明に係る保温保冷容器の第3態様は、前記第1態様又は前記第2態様において、
前記第1延出部は、板材を有していてもよい。
【0009】
本発明に係る保温保冷容器の第4態様は、前記第1態様、前記第2態様及び前記第3態様の何れか1つにおいて、
前記容器本体の内部温度を測定する温度測定手段が、前記容器本体における前記第1蓋体側の内壁面に配置されていてもよい。
【0010】
本発明に係る保温保冷容器の第5態様は、前記第1態様、前記第2態様、前記第3態様及び前記第4態様の何れか1つにおいて、
前記容器本体の内側に配置され、前記第1蓋体及び前記第2蓋体の並び方向と交差する方向へ延びるヒンジで折り曲げ可能な内蓋を備えていてもよい。
【0011】
本発明に係る保温保冷容器の第6態様は、前記第1態様、前記第2態様、前記第3態様、前記第4態様及び前記第5態様の何れか1つにおいて、
前記第1蓋体及び前記第2蓋体が、前記容器本体における前記開口の一縁に並べてヒンジ接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る保温保冷容器によれば、良好な断熱性能を有している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る保温保冷容器を示す斜視図である。なお、全ての蓋体を閉じた状態である。
図2】実施例の保温保冷容器を示す斜視図である。なお、第2蓋体を開いた状態である。
図3】実施例の保温保冷容器を示す斜視図である。なお、全ての蓋体を開いた状態である。
図4】実施例の保温保冷容器を示す平面図である。(a)は全ての蓋体を閉じた状態であり、(b)は第2蓋体を開いた状態である。
図5】実施例の保温保冷容器を示す平面図である。なお、全ての蓋体を開いた状態である。
図6】実施例の保温保冷容器を、左右方向に切った縦断面図である。なお、全ての蓋体を閉じた状態である。
図7】実施例の保温保冷容器を、左右方向に切った縦断面図である。なお、第2蓋体を開いた状態である。
図8】実施例の保温保冷容器を、前後方向に切った縦断面図である。なお、温度測定手段の設置部に対応する位置で切っている。
図9】実施例の保温保冷容器を分解して示す斜視図である。
図10図6のX部に対応する位置の拡大図である。(a)は第1蓋体及び第2蓋体を閉じた状態であり、(b)は第2蓋体を開いた状態である。
図11図8のY矢視図である。(a)は取付片を閉じた状態であり、(b)は取付片を開いた状態である。
図12】実施例の容器本体の一部を、設置部の位置で切った横断面図である。
図13】実施例の内蓋を斜め上側から見た斜視図である。
図14】実施例の内蓋を斜め下側から見た斜視図である。(a)は開閉片を閉じた状態であり、(b)は開閉片を開いた状態である。
図15】実施例の内蓋を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る保温保冷容器につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例0015】
図1図8に示すように、実施例に係る保温保冷容器10は、内部に物品80を収納する物品収納室12aを有する容器本体12と、容器本体12に設けられた開口14を開閉する複数の蓋体16,18とを備えている。保温保冷容器10は、容器本体12の上部に、上方へ開いた1つの開口14を備えている。実施例において、複数の蓋体16,18が、容器本体12における開口14の後縁(一縁)に並べてヒンジ接続されている。保温保冷容器10は、複数の蓋体16,18の一部又は全部を開放することで、開口14から物品収納室12aに物品80が出し入れされる。また、保温保冷容器10は、容器本体12及び蓋体16,18に、断熱性を有する断熱性部材28を含み、物品収納室12aが、低温、常温又は高温などの所定温度で保つようになっている。保温保冷容器10は、平面視で正方形であるなど、前後左右上下の長さの関係を適宜変更可能であるが、実施例の保温保冷容器10は、左右方向に長い長方体である。また、3枚以上の蓋体によって、容器本体12の開口14を開閉するようにしてもよいが、実施例は、2枚の蓋体16,18によって容器本体12の上部に設けられた1つの開口14を開閉する構成を例示している。
【0016】
図9に示すように、実施例の容器本体12は、上面が開口する箱状に構成された本体部20と、本体部20の外側を覆う外袋22と、本体部20の内側を覆う内袋24とを備えている。容器本体12において、本体部20が外袋22の内側に配置され、外袋22が容器本体12の外面を構成する。容器本体12において、内袋24が本体部20の内側に配置されて、内袋24が物品収納室12aの内面を構成する。
【0017】
図6図8に示すように、実施例の本体部20は、複数のパネル26を組み合わせて、底がある箱状に構成されている。実施例において、本体部20の底、前壁、後壁、左壁及び右壁のそれぞれが、別々のパネル26で構成されている。各パネル26は、自立可能な程度の剛性を有する硬質な板状体である。実施例の本体部20において、パネル26の後述する表皮30同士を縫製や溶着するなどにより、隣り合うパネル26が接合されている。
【0018】
図6図8に示すように、各パネル26は、断熱性を有する断熱性部材28と、断熱性部材28の外側を覆う表皮30とを備えている。断熱性部材28は、板状である。断熱性部材28としては、例えば、ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォームなどの発泡体からなる発泡体系断熱材や、内部の空気を抜いて真空状態にしてある真空断熱材や、グラスウール又はロックウール等の無機系断熱材などを、単独又は組み合わせて用いることができる。断熱性部材28としては、例えば、2枚の発泡体系断熱材の間に真空断熱材を挟んだものが例示される。なお、発泡体は、断熱性や剛性やコストなどの観点から、硬質のものが好ましく、この中でもポリスチレンフォームやポリウレタンフォームが好ましい。実施例の表皮30は、シートを縫製や溶着等により組み合わせて立体形状に形成することで、断熱性部材28を収納可能な袋状にしたものである。表皮30を構成するシートとしては、塩化ビニルなどのプラスチックシートや、プラスチックシートとアルミ蒸着フィルムとの複合シートや、その他材料のシートを用いることができる。
【0019】
図9に示すように、外袋22は、シートを縫製や溶着等により組み合わせて、上面が開口すると共に底がある立体形状に形成されている。外袋22を構成するシートとしては、塩化ビニルなどのプラスチックシートや、プラスチックシートとアルミ蒸着フィルムとの複合シートや、その他材料のシートを用いることができる。なお、外袋22の底部分は、外袋22の壁部分よりも、耐摩耗性等の強度が高いシートを用いることが好ましい。このようにすることで、床と擦れ易い底を保護して保温保冷容器10の寿命を向上できる。
【0020】
図6図8に示すように、容器本体12の上部は、物品収納室12a側の内部分よりも外縁部が高い段形状になっている。より具体的には、容器本体12の上部には、閉じた蓋体16,18を受ける蓋支持面32と、蓋支持面32の外縁から上方へ向けて突出する蓋囲い片34とが設けられている。蓋支持面32及び蓋囲い片34は、容器本体12の開口14における前後左右の開口縁に設けられている。実施例において、蓋囲い片34における蓋支持面32からの突出寸法が、蓋体16,18の厚み程度に設定されている。複数の蓋体16,18を閉じた状態において、蓋体16,18が前後左右の蓋囲い片34の間に嵌
まり、複数の蓋体16,18の周囲が蓋囲い片34で覆われる。実施例の蓋囲い片34は、本体部20を構成するパネル26に繋がる表皮30と、外袋22における本体部20よりも上方へ突出する部分とを重ね合わせて構成されている。また、蓋囲い片34を構成するパネル26から延びる表皮30と外袋22とが、両面テープなどで接合されて一体化されている。このように、複数のシートを重ねて蓋囲い片34を構成することで、蓋囲い片34の強度を向上することができる。
【0021】
図9に示すように、内袋24は、シートを縫製や溶着等により組み合わせて、上面が開口すると共に底がある立体形状に形成されている。なお、内袋24は、液体が漏れない又は漏れ難い構造にすることが好ましい。内袋24の上端には、外方へ延出する鍔部が設けられている。内袋24は、鍔部の下面に配置された面ファスナーと、本体部20の上面に配置された面ファスナーとを接合することで、本体部20に取り付けられる。内袋24を構成するシートとしては、塩化ビニルなどのプラスチックシートや、プラスチックシートとアルミ蒸着フィルムとの複合シートや、その他材料のシートを用いることができる。このように、物品収納室12aの内面を本体部20に対して着脱可能な内袋24で構成することで、破損や汚損などの不具合が生じた内袋24を簡単に交換することができる。
【0022】
図1図7に示すように、実施例の保温保冷容器10は、蓋体として、第1蓋体16と、第1蓋体16と隣接して設けられた第2蓋体18とを備えている。第1蓋体16及び第2蓋体18は、容器本体12の上部後縁にヒンジ接続されている。各蓋体16,18は、ヒンジを軸として前から後側へ向けて姿勢変位することで開口14を開放し、ヒンジを軸として後側から前に向けて姿勢変位することで開口14を閉じる。実施例では、蓋体16,18と外袋22とが、可撓性を有するシートで繋がっており、このシートがヒンジとして機能する。また、第1蓋体16と第2蓋体18とが同じ姿勢にある状態において、第1蓋体16の右側面と第2蓋体18の左側面とが接するようになっている。実施例において、第1蓋体16が、保温保冷容器10の左側に配置されて、開口14の左側領域を開閉する。また、第2蓋体18が、保温保冷容器10の右側に配置されて、開口14の右側領域を開閉する。各蓋体16,18は、自立可能な程度の剛性を有する硬質な板状体である。
【0023】
図6図8に示すように、各蓋体16,18は、断熱性を有する断熱性部材28と、断熱性部材28の外側を覆う表皮30とを備えている。蓋体16,18の断熱性部材28としては、パネル26の断熱性部材28と同じ材料を単独又は組み合わせて用いることができる。また、蓋体16,18の断熱性部材28と、パネル26の断熱性部材28とが同じ構成であっても、異なる構成であっても、何れであってもよい。蓋体16,18の表皮30としては、パネル26の表皮30と同じ材料を単独又は組み合わせて用いることができる。また、蓋体16,18の表皮30と、パネル26の表皮30とが同じ構成であっても
、異なる構成であっても、何れであってもよい。
【0024】
図1図3に示すように、各蓋体16,18の前端部は、開口14を塞ぐ本体部分に対して折り曲げ可能なフラップ状になっている。実施例において、蓋体16,18の前端部は、表皮30を主体として構成されて、断熱性部材28を有していない。また、各蓋体16,18の前端部は、容器本体12に着脱可能な蓋着脱部36を有している。各蓋体16,18は、蓋着脱部36を、容器本体12の前面上部に設けられた容器着脱部38に接合することで、断熱性部材28を有する本体部分で開口14を塞いだ状態で開放規制される。実施例の蓋着脱部36及び容器着脱部38は、面ファスナーである。
【0025】
図2図7に示すように、第1蓋体16は、隣り合う第2蓋体18の下面側に張り出す第1延出部40を有している。第1延出部40は、第1蓋体16における右側面(隣り合う別の蓋体18と接する側面)の下部から右側(隣り合う別の蓋体18)へ突出する板状に形成されている。第1蓋体16及び第2蓋体18が同じ姿勢にある状態(例えば両蓋体16,18を閉じたとき)において、第1延出部40の上面が、第2蓋体18の下面に当接するようになっている(図10(a)参照)。第1延出部40は、本体部20の上部に設けられた上部開口の前後寸法よりも長く設定するとよく、第1蓋体16における本体部分の前後寸法と同じ又は略同じであることが好ましい。第1延出部40は、第1蓋体16を閉じた状態において、本体部20の上部開口の前後方向に架け渡して配置される。実施例において、第1延出部40の前端部が、第1蓋体16を閉じた状態において、容器本体12における前側の蓋支持面32にのると共に、第1延出部40の後端部が、第1蓋体16を閉じた状態において、容器本体12における後側の蓋支持面32にのる(図4(b)参照)。このように、実施例の第1延出部40は、第1蓋体16を閉じた状態において、容器本体12の蓋支持面32に支持される。
【0026】
図10に示すように、第1延出部40は、板材42を有している。より具体的には、第1延出部40において、第1蓋体16を構成する表皮30の一部を延長して構成された袋状部分の中に板材42が収納されている。板材42は、表皮30よりも硬いものであり、例えば、ポリエチレンなどの樹脂板を使用可能である。板材42は、第1延出部40から断熱性部材28の下側の一部範囲まで配置されている。このように、第1延出部40は、板材42によって補強されて、撓み難くなっている。
【0027】
図10に示すように、第1延出部40は、第2蓋体18と着脱可能な第1延出部着脱部(着脱部)40aを備えている。より具体的には、第1延出部40の上面に設けられた第1延出部着脱部40aが、第2蓋体18の下面左縁部に設けられた第2蓋体着脱部18aに接合し、第1延出部40(第1蓋体16)と第2蓋体18とが接続される。実施例の第1延出部着脱部40a及び第2蓋体着脱部18aは、面ファスナーである。第1延出部着脱部40aは、第1延出部40の前後方向全体に亘って配置されている。また、第2蓋体18の第2蓋体着脱部18aは、第2蓋体18における本体部分の前後方向全体に亘って配置されている。このように、第1延出部40と第2蓋体18との間が、第1延出部着脱部40a及び第2蓋体着脱部18aの接合によって塞がれる。
【0028】
図10に示すように、第2蓋体18は、第1蓋体16の上面側に張り出す第2延出部44を備えている。第2延出部44は、第2蓋体18における左側面(隣り合う別の蓋体16と接する側面)の上部から左側(隣り合う別の蓋体16)へ突出する板状に形成されている。第1蓋体16及び第2蓋体18が同じ姿勢にある状態(例えば両蓋体16,18を閉じたとき)において、第2延出部44の下面が、第1蓋体16の上面に当接するようになっている。第2延出部44は、第2蓋体18に繋がる根元を軸として、第1蓋体16の上面に沿う姿勢から第1蓋体16から離れる姿勢へ変位可能である。実施例の第2延出部44は、自身の可撓性によって、第1蓋体16の上面に対して接離可能に構成される。第2延出部44は、本体部20における上部開口の前後寸法よりも長く設定するとよく、第2蓋体18における本体部分の前後寸法と同じ又は略同じであることが好ましい。
【0029】
図10に示すように、第2延出部44は、第1蓋体16と着脱可能な第2延出部着脱部44aを備えている。より具体的には、第2延出部44の下面に設けられた第2延出部着脱部44aが、第1蓋体16の上面右縁部に設けられた第1蓋体着脱部16aに接合し、第2延出部44(第2蓋体18)と第1蓋体16とが接続される。実施例の第2延出部着脱部44a及び第1蓋体着脱部16aは、面ファスナーである。第2延出部44の第2延出部着脱部44aは、第2延出部44の前後方向全体に亘って配置されている。また、第1蓋体16の第1蓋体着脱部16aは、第1蓋体16における本体部分の前後方向全体に亘って配置されている。このように、第2延出部44と第1蓋体16との間が、第2延出部着脱部44a及び第1蓋体着脱部16aの接合によって塞がれる。
【0030】
図1図3に示すように、容器本体12の上部には、蓋体16,18を保持する保持片46が設けられている。実施例では、保持片46が、容器本体12の右上縁部及び左上縁部の全長に亘って設けられている。保持片46は、容器本体12の蓋囲い片34に連ねて設けられたフラップ状の部分である。また、保持片46は、蓋囲い片34に対して折り曲げ可能である。実施例において、保持片46は、外袋22の一部を上方へ延ばして形成されている。また、保持片46は、蓋体16,18の上面に着脱可能な保持片着脱部46aを有している。保持片46は、蓋体16,18の上面に設けられた上面着脱部19に保持片着脱部46aを接合することで、蓋囲い片34と蓋体16,18との間を上側から覆った状態で保持される。実施例の保持片着脱部46a及び上面着脱部19は、面ファスナーである。
【0031】
保温保冷容器10は、複数の蓋体16,18を開閉する順序が設定されている。隣り合う2枚の蓋体16,18のうち、第1延出部40を有していない第2蓋体18が、第1延出部40を有している第1蓋体16よりも先に開かれ、第2蓋体18を開かなければ第1蓋体16を開けない。隣り合う2枚の蓋体16,18のうち、第1延出部40を有している第1蓋体16が、第1延出部40を有していない第2蓋体18よりも先に閉じられ、第1蓋体16を閉じなければ第2蓋体18を閉じられない。実施例では、最も右側(複数の蓋体16,18の並び方向の一方)に配置された蓋体18から順に開き、最も左側(複数の蓋体16,18の並び方向の他方)に配置された蓋体16から順に閉じるようになっている。
【0032】
図5及び図8に示すように、保温保冷容器10は、物品収納室12aの温度(容器本体12の内部温度)を測定する温度測定手段48を有している。ここで、温度測定手段48は、物品収納室12aにおいて、複数の蓋体16,18のうち、最後に開かれる蓋体16で開閉される位置に配置するとよい。温度測定手段48は、物品収納室12aにおいて、隣り合う蓋体16,18のうち、後から開かれる蓋体16で開閉される位置であって、隣り合う蓋体16,18のうち、先に開かれる蓋体18から遠い位置に配置することが好ましい。温度測定手段48は、容器本体12における第1蓋体16側の内壁面に配置されている。なお、実施例の温度測定手段48は、物品収納室12aの前面左端に配置されている。図11に示すように、温度測定手段48は、容器本体12に設けられた取付片50によって、容器本体12に着脱可能に取り付けられている。実施例の取付片50は、面ファスナーなどの着脱部によって、容器本体12に対して開閉可能に構成されたフラップ状である。棒状の温度測定手段48が、容器本体12の内壁面と取付片50との間に挟まれて、内壁面に沿って立てた姿勢で配置される。なお、実施例では、上下2つの取付片50,50で温度測定手段48を保持して、温度測定手段48の先端が、容器本体12の内底面及び後述する敷板72から離した状態で配置される。
【0033】
図1図3及び図8に示すように、保温保冷容器10は、温度測定手段48で測定した温度を表示する温度表示手段52を有している。実施例の温度表示手段52は、箱形である。温度表示手段52は、容器本体12に設けられた設置部54に設置されている(図8及び図12参照)。温度表示手段52は、設置部54から容器本体12の壁を貫通する通孔を通るコード等によって、温度測定手段48と繋がっている。設置部54は、容器本体12の外側に開口する凹状に形成されている。実施例の設置部54は、容器本体12の前面に設けられている。設置部54は、容器本体12において第1蓋体16側に設けられ、設置部54(温度表示手段52)が温度測定手段48の配置位置の近くに配置される。また、設置部54の開口前側には、設置部54を開閉可能な窓部56が設けられている。実施例の窓部56は、可撓性を有するシートである。窓部56は、外袋22に繋がる上部をヒンジとして姿勢変位可能であり、面ファスナーなどの着脱部を容器本体12に接合することで、設置部54の前側を閉じた姿勢を保つ。また、窓部56は、塩化ビニルフィルムなどの透明部分56aを有し、設置部54に設置された温度表示手段52を透明部分56aを介して外側から視認可能である。
【0034】
図8及び図12に示すように、設置部54は、本体部20の前面を構成するパネル26の表皮30に開口部を形成すると共に、この開口部に対応して断熱性部材28を凹状に切り欠いて形成されている。設置部54の内部下面には、容器本体12の外面を構成する外袋22に繋がる脱落防止片58が配置されている。脱落防止片58は、設置部54の内部下面だけに設ける構成であってもよいが、実施例では、設置部54の内部における左右の側面および上面にも、脱落防止片58が配置されている。脱落防止片58は、外袋22の一部を設置部54の内側へ折り返して構成される。脱落防止片58は、外袋22の壁面と本体部20の壁面との間を跨いで、外袋22から設置部54の内側まで達している。脱落防止片58が、外袋22にあく設置部54の開口の開口縁を形成し、この開口縁が設置部54の内側まで延びて設置部54の壁面の一部又は全部を構成している。脱落防止片58は、設置部54を区画する断熱性部材28に両面テープや接着剤などによって接合されている。
【0035】
図6図8に示すように、実施例の保温保冷容器10は、物品収納室12a(容器本体12の内側)に配置される内蓋60を備えている。内蓋60は、物品収納室12aの前後左右寸法よりも小さく形成された板状体である(図13参照)。内蓋60は、物品収納室12aに収納された物品80と蓋体16,18との間に配置され、実施例の内蓋60は、物品収納室12aに収納された物品80の上に載せて用いられる落とし蓋である。内蓋60は、断熱性を有する断熱性部材28と、断熱性部材28の外側を覆う表皮30とを備える断熱構造である(図15参照)。
【0036】
図7に示すように、内蓋60は、折り曲げ可能である。具体的には、内蓋60は、前後方向(複数の蓋体16,18の並び方向と交差する方向)に延びるヒンジ60aで折り曲げ可能に構成されている。ヒンジ60aは、隣り合う断熱性部材28の間を繋ぐ表皮30で構成されて、表皮30の可撓性により折り曲げ可能になっている。内蓋60のヒンジ60aは、左右方向中央部に設けられている。内蓋60は、実施例のように2つ折りに限らず、3つ折り以上であってもよいが、蓋体16,18の数に合わせて折り数を設定することが好ましい。また、内蓋60の折り曲げ位置は、実施例のように隣り合う蓋体16,18の合わせ目に合わせて配置しても、隣り合う蓋体16,18の合わせ目からずらして配置しても、何れであってもよい。
【0037】
保温保冷容器10は、蓄冷剤や保温剤などの温度調整剤62を収容する収容部64を備えている。図14及び図15に示すように、実施例では、複数の収容部64が、内蓋60の下面に並べて設けられている。収容部64は、温度調整剤62の出し入れ口64aを有する袋状に形成されている。なお、実施例において、出し入れ口64aは、横向きに開口している。収容部64は、出し入れ口64aを開閉するフラップ状の開閉片66を有している。開閉片66は、面ファスナー等の着脱部によって、出し入れ口64aを閉じた状態で保つことが可能である。
【0038】
収容部64において物品80に面する第1面68が、第1面68と異なる第2面70よりも通気性が低くなっている。また、収容部64において物品80に面する第1面68が、第1面68と異なる第2面70よりも熱伝導性を低くするとよい。実施例では、物品80にのる収容部64の下面が第1面68であり、内蓋60に繋がる側面が第2面70となる。第1面68は、表皮30と同様のシートを用いることができ、例えば、塩化ビニルなどのプラスチックシートや、プラスチックシートとアルミ蒸着フィルムとの複合シートや、その他材料のシートを使用可能である。第2面70は、例えば、メッシュシートを用いたり、多数の穴を開けたシートを用いたりするなど、空気の流通を許容する構成とされる。実施例では、開閉片66がメッシュシートで構成されて、第2面70と同様に通気性を有している。
【0039】
図6図8に示すように、保温保冷容器10は、物品収納室12aの底に配置された敷板72を備えている。敷板72は、温度調整剤62が配置される穴部74を備えている。実施例では、敷板72を貫通する穴部74が、左右方向に複数並べて形成されている(図5参照)。敷板72は、温度調整剤62の厚さよりも厚く設定されている。これにより、穴部74に配置された温度調整剤62が、敷板72に載置された物品80に接触しないようになっている。
【0040】
保温保冷容器10は、第2蓋体18だけ(複数の蓋体16,18の一部)を開いて、物品収納室12aに物品80を出し入れできる。このように、第2蓋体18を開いても開口14の一部しか開放されないので、開口14を介して外気が侵入したり、温度調整剤62で冷却等された内部空気が開口14から逃げたりすることを少なくできる。従って、保温保冷容器10は、第2蓋体18の開閉頻度が多くなっても、物品収納室12aの温度変化を少なくすることができる。第1蓋体16及び第2蓋体18が、容器本体12における開口14の後縁に並べてヒンジ接続されているので、第1蓋体16及び第2蓋体18の何れもを前側から開閉操作することができ、使い勝手がよい。また、保温保冷容器10は、内蓋60を備えているので、蓋体16,18と内蓋60との2重構造によって断熱性能を向上できる。内蓋60がヒンジ60aで折り曲げ可能に構成されているので、物品80の出し入れに際して、内蓋60をヒンジ60aで折り曲げて物品80の上側から退避させることができる。特に、ヒンジ60aが前後方向に延びていることで、第2蓋体18を開いたときに、内蓋60の右側部分を、開けていない第1蓋体16側へ折り曲げることができ、使い勝手がよい。
【0041】
保温保冷容器10は、複数の蓋体16,18で開口14を開閉する構成であることで、隣り合う蓋体16,18の合わせ目が開口14の上側に配置されることになる。第1蓋体16が、第1蓋体16に隣り合う第2蓋体18の下面側に張り出す第1延出部40を有しているので、第1延出部40によって第1蓋体16と第2蓋体18との合わせ目の下側を覆って、合わせ目が熱橋になることを防止できる。また、第2蓋体18が、第2蓋体18に隣り合う第1蓋体16の上面側に張り出す第2延出部44を有しているので、第2延出部44によって第1蓋体16と第2蓋体18との合わせ目の上側を覆って、合わせ目が熱橋になることを防止できる。このように、隣り合う蓋体16,18の合わせ目を第1延出部40及び第2延出部44で上下から覆うことで、蓋体16,18の合わせ目の断熱性能を向上できる。
【0042】
第1延出部40が第2蓋体18に当接することで、第1延出部40と第2蓋体18との間が塞がれることから、隣り合う蓋体16,18の合わせ目から冷気等の内部空気や外気が通り難くなる。第2延出部44が第1蓋体16に当接することで、第2延出部44と第1蓋体16との間が塞がれることから、隣り合う蓋体16,18の合わせ目から冷気等の内部空気や外気が通り難くなる。第1延出部40が第2蓋体18の下面に着脱する第1延出部着脱部40aを有していることで、第1延出部40と第2蓋体18との間の封止度合いを向上することができる。また、第2延出部44が第1蓋体16の上面に着脱する第2延出部着脱部44aを有していることで、第2延出部44と第1蓋体16との間の封止度合いを向上することができる。第1延出部40を蓋支持面32に架け渡して配置されるように設定することで、隣り合う蓋体16,18の合わせ目から冷気等の内部空気や外気が通り難くなる。また、第2延出部44を蓋支持面32で形成される上部開口よりも長く設定することで、隣り合う蓋体16,18の合わせ目から冷気等の内部空気や外気が通り難くなる。
【0043】
第1延出部40が板材42を有していることで、第1延出部40を撓み難くすることができる。これにより、第2蓋体18と第1延出部40との間に隙間を生じ難くすることができ、隣り合う蓋体16,18の合わせ目から物品収納室12a内の空気が通り難くなる。また、第1延出部40の端部が蓋支持面32に支持される構成であることで、第2蓋体18と第1延出部40との間に隙間を生じ難くすることができ、隣り合う蓋体16,18の合わせ目から物品収納室12a内の空気が通り難くなる。
【0044】
容器本体12の内部温度を測定する温度測定手段48が、容器本体12における第1蓋体16側の内壁面に配置されていることで、第2蓋体18の開閉による物品収納室12aの温度変化の影響を受け難くすることができる。
【0045】
保温保冷容器10の容器本体12は、本体部20が外袋22に収納される2重構造になっている。容器本体12は、外袋22に繋がると共に設置部54の内部下面に配置される脱落防止片58を有しているので、脱落防止片58によって本体部20における設置部54の下縁と外袋22との間を塞いで、温度表示手段52が設置部54から本体部20と外袋22との間に入り込むことを防止できる。また、容器本体12は、外袋22に繋がると共に設置部54の内部側面に配置される脱落防止片58を有しているので、脱落防止片58によって本体部20における設置部54の側縁と外袋22との間を塞いで、温度表示手段52が設置部54から本体部20と外袋22との間に入り込むことを防止できる。
【0046】
保温保冷容器10において、物品収納室12aの温度を保つための温度調整剤62が収容される収容部64が内蓋60に設けられている。収容部64において物品収納室12aに収納された物品80に面する第1面68が、第1面68と異なる第2面70よりも通気性が低くなっている。このようにすることで、収容部64の第1面68が、物品80に接触したり又は物品80と近接配置されていても、物品80が冷え過ぎるなどの悪影響を防止できる。収容部64において物品80に面していない第2面70が比較的通気性がよいので、空気が第2面70を通って温度調整剤62と熱交換できる。従って、収容部64に収容した温度調整剤62によって、物品収納室12aの温度を適度に保つことができる。
【0047】
(変更例)
前述した事項に限らず、例えば以下のようにしてもよい。なお、本発明は、実施例及び以下の変更例の具体的な記載のみに限定されるものではない。
(1)実施例の容器本体は、本体部と外袋と内袋とで構成したが、外袋及び内袋の両方又は何れか一方を省略してもよい。
(2)蓋体の数は、2枚に限らず、3枚以上であってもよい。
(3)面ファスナーを例示した着脱部は、磁石の組み合わせや、磁石と金属片との組み合わせや、スナップボタンや、その他の着脱可能な手段を用いてもよい。
(4)実施例は、内蓋及び敷板を備えているが、これに限らず、内蓋及び敷板の両方又は何れか一方を省略してもよい。
(5)実施例の収容部は内蓋に設けたが、これに限らず、収容部を蓋体や容器本体の内壁面に設けてもよい。
【0048】
保温保冷容器の容器本体が、本体部を外袋に収納する2重構造になっている場合、容器本体に外側に開口する凹状に設けられた設置部に温度表示手段を配置すると、本体部と外袋との間に温度表示手段が入り込むという課題が生じる。
本開示には、上記課題を解決する手段として、以下の事項が開示されている。
箱状の本体部と、前記本体部の外側を覆う外袋と、を備える保温保冷容器であって、
前記本体部の内部温度を表示する温度表示手段と、
前記保温保冷容器の外面に開口する凹状に形成され、前記温度表示手段が設置される設置部と、
前記外袋に繋がると共に前記設置部の内部下面に配置される脱落防止片と、を備えている保温保冷容器。
上記保温保冷容器によれば、脱落防止片によって本体部と外袋との間を塞いで、温度表示手段が設置部から本体部と外袋との間に脱落することを防止できる。
【0049】
保温保冷容器において、蓄冷剤や保温剤が収容される収容部が物品に接するように配置又は近接配置される場合、収容部に接触または近接した物品の冷やし過ぎや温め過ぎなどの悪影響があるという課題が生じる。
本開示には、上記課題を解決する手段として、以下の事項が開示されている。
保温保冷容器の内部に設けられ、前記保温保冷容器の内部温度を保つための温度調整剤が収容される収容部であって、
前記収容部において前記保温保冷容器に収納された物品に面する第1面が、前記第1面と異なる第2面よりも通気性が低くなっている収容部。
上記収容部によれば、物品に面する第1面の通気性が比較的低いので、温度調整剤に起因する物品への悪影響を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0050】
10 保温保冷容器,12 容器本体,14 開口,16 第1蓋体(蓋体),
18 第2蓋体(蓋体),40 第1延出部,40a 第1延出部着脱部(着脱部),
42 板材,44 第2延出部,48 温度測定手段,60 内蓋,60a ヒンジ
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