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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094235
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/18 20060101AFI20240702BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20240702BHJP
   B65B 13/28 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65B13/18 A
E04G21/12 105E
B65B13/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186612
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】P 2022209413
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 博樹
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 太一
(72)【発明者】
【氏名】新藤 茂輝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】福田 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 辰伍
(72)【発明者】
【氏名】小菅 誠
【テーマコード(参考)】
3E052
【Fターム(参考)】
3E052AA42
3E052BA18
3E052CA18
3E052CB04
3E052CB05
3E052FA01
3E052FA20
3E052HA09
3E052JA01
(57)【要約】
【課題】マガジン内において、ワイヤが送られる方向と交差する方向のワイヤの位置が安定するようにした鉄筋結束機を提供する。
【解決手段】鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが巻かれたリール20を収容するマガジン2Aと、ワイヤWを送るワイヤ送り部3Aと、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す環状送り経路Ruを構成するカール形成部5Aと、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤを捩じる結束部7Aを備え、マガジン2Aは、ワイヤWの送り経路を形成する送り経路形成部21dと、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが送られる方向と交差する方向であって、環状送り経路Ruの軸方向に沿った方向で、リール20がオフセットされた第1の方向の反対方向である第2の方向にワイヤWが移動することを規制する規制部25を備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを収容するマガジンと、
前記マガジンに収容されたワイヤを送るワイヤ送り部と、
前記ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す環状送り経路を構成するカール形成部と、
結束物に巻き付けられたワイヤを捩じる結束部を備え、
前記カール形成部は、
前記ワイヤ送り部で送られるワイヤに巻き癖をつけるカールガイドと、
前記カールガイドで巻き癖を付けられたワイヤを前記結束部に誘導する誘導ガイドを備え、
前記マガジンは、
ワイヤの送り経路を形成する送り経路形成部と、
前記送り経路形成部においてワイヤが送られる方向と交差する方向であって、前記環状送り経路の軸方向に沿った方向にワイヤが移動することを規制する規制部とを備えた
結束機。
【請求項2】
前記マガジンは、ワイヤが巻かれたリールが収容され、
前記マガジンは、前記ワイヤ送り部とつながる側にワイヤの送出口を備え、リールの収容位置を挟んで前記送出口の反対側に前記送り経路形成部を備え、
前記規制部は、前記送り経路形成部においてリールの軸方向に沿ってワイヤが移動することを規制する
請求項1に記載の結束機。
【請求項3】
前記マガジンは、前記カールガイドを基準として一の方向にオフセットして配置され、
前記規制部は、前記送り経路形成部においてリールがオフセットされた第1の方向の反対方向である第2の方向にワイヤが移動することを規制する
請求項2に記載の結束機。
【請求項4】
前記規制部は、前記マガジンの前記第2の方向の側壁部から前記第1の方向に突出する凸部で構成される
請求項3に記載の結束機。
【請求項5】
前記マガジンは、ワイヤの送り方向に対して交差する方向に回転の軸が延伸する回転部材を前記送り経路形成部に備え、
前記規制部は、前記第2の方向における前記回転部材の端部から、前記第1の方向に向かうに従い、前記回転部材の直径が小さくなる方向に、前記回転部材の外周面が傾斜する斜面で構成される
請求項3に記載の結束機。
【請求項6】
前記マガジンは、前記カールガイドを基準として一の方向にオフセットして配置され、
前記規制部は、前記送り経路形成部においてリールがオフセットされた第1の方向にワイヤが移動することを規制する
請求項2に記載の結束機。
【請求項7】
前記マガジンは、ワイヤの送り方向に対して交差する方向に回転の軸が延伸する回転部材を前記送り経路形成部に備え、
前記規制部は、前記第1の方向における前記回転部材の端部から、前記第1の方向の反対方向である第2の方向に向かうに従い、前記回転部材の直径が小さくなる方向に、前記回転部材の外周面が傾斜する斜面で構成される
請求項6に記載の結束機。
【請求項8】
前記マガジンの前記第2の方向の側壁部から前記第1の方向に突出する規制部をさらに備えた
請求項7に記載の結束機。
【請求項9】
前記マガジンは、前記カールガイドを基準として一の方向にオフセットして配置され、
前記規制部は、
前記送り経路形成部においてリールがオフセットされた第1の方向にワイヤが移動することを規制する第1の規制部と、
前記第1の方向の反対方向である第2の方向にワイヤが移動することを規制する第2の規制部と、
前記第1の規制部と前記第2の規制部の間に形成される底部とを備えた
請求項2に記載の結束機。
【請求項10】
ワイヤの送り方向に対して交差する方向に回転の軸が延伸する回転部材を前記送り経路形成部に備え、
前記第1の規制部は、前記第1の方向における前記回転部材の端部から、前記第1の方向の反対方向である第2の方向に向かうに従い、前記回転部材の直径が小さくなる方向に、前記回転部材の外周面が傾斜する斜面で構成され、
前記第2の規制部は、前記第2の方向における前記回転部材の端部から、前記第1の方向に向かうに従い、前記回転部材の直径が小さくなる方向に、前記回転部材の外周面が傾斜する斜面で構成され、
前記底部は、前記第1の規制部と前記第2の規制部の間に、前記回転部材の直径が最も小さくなる部位を設けて構成される
請求項9に記載の結束機。
【請求項11】
ワイヤの送り方向に対して交差する方向に回転の軸が延伸する回転部材を前記送り経路形成部に備え、
前記規制部は、前記回転部材の外周面に、前記回転部材の周方向に延伸する凹部を設けて構成され、
前記第1の規制部は、前記規制部の前記第1の方向における端部に設けられ、
前記第2の規制部は、前記第1の規制部と対向して、前記規制部の前記第2の方向における端部に設けられ、
前記底部は、前記第1の規制部と前記第2の規制部の間に、前記回転部材の直径が最も小さくなる部位を設けて構成される
請求項9に記載の結束機。
【請求項12】
前記第1の規制部は、前記マガジンの前記第1の方向の側壁部に対し前記第2の方向に突出する凸部で構成され、
前記第2の規制部は、前記マガジンの前記第2の方向の側壁部に対し前記第1の方向に突出する凸部で構成され、
前記底部は、前記第1の規制部と前記第2の規制部の間に、リールの径方向に沿った外側に向けて凹部を設けて構成される
請求項9に記載の結束機。
【請求項13】
前記回転部材の軸方向に沿った前記底部の位置が調整可能に構成される
請求項10または11に記載の結束機。
【請求項14】
前記マガジンは、前記カールガイドを基準として一の方向にオフセットして配置され、
前記規制部は、リールがオフセットされた第1の方向及び第1の方向の反対方向である第2の方向に沿った位置が調整可能に構成される
請求項2に記載の結束機。
【請求項15】
前記マガジンは、ワイヤの送り方向に沿って複数の前記回転部材を備え、
少なくとも1つの前記回転部材に前記規制部を備えた
請求項5、7、10または11の何れか1項に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄筋等の結束物をワイヤで結束する結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物には強度を向上させるために鉄筋が使用されており、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように、ワイヤで結束している。
【0003】
そこで、ワイヤが巻かれた筒状のハブを有し、マガジンに回転可能に支持されるリールからワイヤを送出可能なワイヤ送出部と、ワイヤ送出部から送出されたワイヤを、円弧状の軌跡を描くように塑性変形させるカールアームとを備え、カールアームによって塑性変形されたワイヤを鉄筋の周囲に巻き回した後に捩って鉄筋を結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6566310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結束対象の鉄筋の径が大きくなると、鉄筋の周囲に環状に巻き回されるワイヤの送り経路の径を大きくする必要がある。しかし、環状となるワイヤの送り経路の径が大きくなると、ワイヤ送出部によるワイヤの送りでカールアームから送り出されたワイヤの送り経路の中で、環状送り経路の軸方向に沿ったワイヤの位置がばらつく。
【0006】
このばらつきは、マガジン内において、ワイヤが送られる方向と交差する方向のワイヤの位置が偏ると拡大する。このばらつきが拡大すると、カールアームから送り出されたワイヤの先端が、カールアームの下方に位置するガイドに入らない可能性がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、マガジン内において、ワイヤが送られる方向と交差する方向のワイヤの位置が安定するようにした結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、ワイヤを収容するマガジンと、マガジンに収容されたワイヤを送るワイヤ送り部と、ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す環状送り経路を構成するカール形成部と、結束物に巻き付けられたワイヤを捩じる結束部を備え、カール形成部は、ワイヤ送り部で送られるワイヤに巻き癖をつけるカールガイドと、カールガイドで巻き癖を付けられたワイヤを結束部に誘導する誘導ガイドを備え、マガジンは、ワイヤの送り経路を形成する送り経路形成部と、送り経路形成部においてワイヤが送られる方向と交差する方向であって、環状送り経路の軸方向に沿った方向にワイヤが移動することを規制する規制部とを備えた結束機である。
【0009】
本発明では、送り経路形成部においてワイヤが送られる方向と交差する方向であって、環状送り経路の軸方向に沿った方向に、ワイヤが移動することが規制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、送り経路形成部においてワイヤが送られる方向と交差する方向であって、環状送り経路の軸方向に沿った方向に、ワイヤが移動することが規制されることで、マガジン内において、環状送り経路の軸方向に沿ったワイヤの位置が安定する。これにより、カールガイドで巻き癖が付けられたワイヤが、カールガイドから誘導ガイドに入るように送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図である。
図1B】第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す正面から見た内部構成図である。
図1C】第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す正面図である。
図2A】第1の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図である。
図2B図2AのA-A線断面図である。
図2C図2AのB-B線断面図である。
図2D】第1の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
図3A】第1の実施の形態のマガジンの一例を示す部品を取り外した側面図である。
図3B】第1の実施の形態のマガジンの一例を示す部品を取り外した斜視図である。
図3C】第1の実施の形態のマガジンの一例を示す部品を取り外した斜視図である。
図4A】結束部及び駆動部の一例を示す断面平面図である。
図4B】結束部及び駆動部の一例を示す断面平面図である。
図5A】第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。
図5B】第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。
図5C】第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。
図5D】第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。
図5E】第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。
図5F】第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。
図5G】第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。
図5H】第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。
図6A】第2の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図である。
図6B図6AのB1-B1線断面図である。
図6C図6AのB2-B2線断面図である。
図6D】第2の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
図7A】第2の実施の形態のマガジンの他の例を示す側面図である。
図7B図7AのB3-B3線断面図である。
図7C図7AのB4-B4線断面図である。
図8A】第2の実施の形態のマガジンの回転部材の一例を示す斜視図である。
図8B】第2の実施の形態のマガジンの回転部材の一例を示す斜視図である。
図8C】第2の実施の形態のマガジンの回転部材の一例を示す斜視図である。
図8D】第2の実施の形態のマガジンの回転部材の一例を示す斜視図である。
図9A】第3の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図である。
図9B図9AのB5-B5線断面図である。
図9C図9AのB6-B6線断面図である。
図9D図9AのB7-B7線断面斜視図である。
図9E】第3の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
図10A】第4の実施の形態のマガジンの一例を示す断面図である。
図10B】第4の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
図11A】第5の実施の形態のマガジンの一例を示す断面図である。
図11B】第5の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
図12A】第6の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図である。
図12B図12AのB8-B8線断面図である。
図12C図12AのB9-B9線断面斜視図である。
図12D】第6の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
図13A】第7の実施の形態のマガジンの一例を示す断面図である。
図13B】回転部材の一例を示す断面図である。
図13C】回転部材の一例を示す断面図である。
図13D】回転部材の一例を示す断面図である。
図14A】第8の実施の形態のマガジンの一例を示す断面図である。
図14B】第8の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
図14C】調整部の一例を示す断面図である。
図14D】調整部の一例を示す断面図である。
図15A】第9の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図である。
図15B図15AのB10-B10線断面図である。
図15C図15AのB11-B11線断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0013】
<第1の実施の形態の鉄筋結束機の構成例>
図1Aは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た内部構成図、図1Bは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す正面から見た内部構成図、図1Cは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の全体構成の一例を示す正面図である。
【0014】
鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10Aとハンドル部11Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じり、鉄筋SをワイヤWで結束する。鉄筋結束機1Aは、1本のワイヤWまたは複数本のワイヤW、本例では、2本のワイヤWで鉄筋Sを結束する。
【0015】
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWが収容されるマガジン2Aと、2本のワイヤWを、ワイヤWの径方向に並べて送るワイヤ送り部3Aと、ワイヤ送り部3Aに送られる2本のワイヤWをガイドするワイヤガイド4Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aで送られる2本のワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す環状送り経路を構成するカール形成部5Aと、鉄筋Sに巻き付けられた2本のワイヤWを切断する切断部6Aを備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられた2本のワイヤWを捩じる結束部7Aと、結束部7Aを駆動する駆動部8Aを備える。
【0016】
マガジン2Aは、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。
【0017】
リール20は、ワイヤWが巻かれる筒状のハブ部20a、このハブ部20aの軸方向両端側に一体に設けられた一対のフランジ部20b、20cを備える。フランジ部20b、20cは、ハブ部20aよりも径の大きい略円板状の形状とされており、ハブ部20aと同心に設けられている。リール20は、2本のワイヤWがハブ部20aに巻かれ、リール20から同時に2本のワイヤWを引き出せるようになっている。
【0018】
鉄筋結束機1Aは、図1Cに示すように、マガジン2Aが、カール形成部5Aの後述するカールガイド50aを基準として一の方向である矢印C1で示す第1の方向にオフセットして配置される。これにより、鉄筋結束機1Aは、図1Bに示すように、ワイヤ送り部3A及びワイヤガイド4Aなどで規定されるワイヤWの送り経路FLに対し、ハブ部20aの軸方向に沿ったリール20の軸方向に沿って、矢印C1で示す第1の方向にオフセットした状態でリール20が取り付けられる。
【0019】
ワイヤ送り部3Aは、並列された2本のワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30(30L、30R)を備える。ワイヤ送り部3Aは、送りモータ31の回転動作が一方の送りギア30Lに伝達される。また、送りギア30L及び送りギア30Rの外周に設けられたギア部の噛み合いにより、一方の送りギア30Lの回転動作が他方の送りギア30Rに伝達される。これにより、一方の送りギア30Lが駆動側、他方の送りギア30Rが従動側となる。
【0020】
ワイヤ送り部3Aは、2本のワイヤWを、一対の送りギア30L、30Rが並ぶ方向に沿って並列させる。ワイヤ送り部3Aは、一方のワイヤWが一方の送りギア30Lの溝部に接し、他方のワイヤWが他方の送りギア30Rの溝部に接し、一方のワイヤWと他方のワイヤW同士が接する。これにより、ワイヤ送り部3Aは、一対の送りギア30(30L、30R)が回転することで、一方の送りギア30Lと一方のワイヤWとの間に生じる摩擦力、他方の送りギア30Rと他方のワイヤWとの間に生じる摩擦力、2本のワイヤWの間で生じる摩擦力により、一対の送りギア30(30L、30R)の間に挟持した2本のワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。
【0021】
また、ワイヤ送り部3Aは、送りモータ31の回転方向の正逆を切り替えることで、送りギア30の回転方向が切り替えられ、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
【0022】
ワイヤガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対し、送りギア30の上流側及び下流側に配置される。ワイヤガイド4Aは、進入してきた2本のワイヤWを、一対の送りギア30の並ぶ方向に沿って並列させて、一対の送りギア30の間にガイドする。
【0023】
ワイヤガイド4Aは、正方向に送られるワイヤWの送り方向に対して上流側の開口が下流側の開口に比べて開口面積が大きく構成され、開口の内面の一部または全てがテーパ状となっている。これにより、マガジン2Aに収納されたリール20から引き出したワイヤWをワイヤガイド4Aに挿入する動作が容易に行える。
【0024】
カール形成部5Aは、ワイヤ送り部3Aで送られる2本のワイヤWに巻き癖をつけると共に、2本のワイヤWが並列する向きを規制するカールガイド50aと、カールガイド50aで巻き癖を付けられた2本のワイヤWを結束部7Aに誘導する誘導ガイド50bを備える。カール形成部5Aは、ワイヤ送り部3Aで送られ、カールガイド50aを通過する2本のワイヤWに巻き癖を付けることで、カールガイド50aから誘導ガイド50bを通り結束部7Aに到達する図1に二点鎖線で示すような環状送り経路Ruを形成する。
【0025】
切断部6Aは、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7Aの動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。切断部6Aは、固定刃部60を支点軸とした可動刃部61の回転動作でワイヤWを切断する。
【0026】
結束部7Aは、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70と、ワイヤ係止体70を作動させるスリーブ71を備える。駆動部8Aは、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
【0027】
鉄筋結束機1Aは、環状送り経路Ruを通り、ワイヤ係止体70で係止されるワイヤWの送り経路の終端に、ワイヤWの先端が突き当てられるワイヤ突き当て部90を備える。また、鉄筋結束機1Aは、上述したカール形成部5Aのカールガイド50aと誘導ガイド50bが、本体部10Aの前側の端部に設けられる。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sが突き当てられる鉄筋突き当て部91が、本体部10Aの前側の端部で、カールガイド50aと誘導ガイド50bとの間に設けられる。
【0028】
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aが本体部10Aから下方向に延在する。更に、ハンドル部11Aの下部にバッテリ15Aが着脱可能に取り付けられる。また、鉄筋結束機1Aは、マガジン2Aがハンドル部11Aの前方に設けられる。鉄筋結束機1Aは、上述したワイヤ送り部3A、切断部6A、結束部7A,結束部7Aを駆動する駆動部8A等が本体部10Aに収納される。
【0029】
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aの前側にトリガ12Aが設けられ、ハンドル部11Aの内部にスイッチ13Aが設けられる。鉄筋結束機1Aは、トリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、制御部100Aが送りモータ31及びモータ80を制御する。
【0030】
<本実施の形態の鉄筋結束機の要部構成例>
・マガジンの構成例
図2Aは、第1の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図、図2Bは、図2AのA-A線断面図、図2Cは、図2AのB-B線断面図、図2Dは、第1の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。さらに、図3Aは、第1の実施の形態のマガジンの一例を示す部品を取り外した側面図、図3B図3Cは、第1の実施の形態のマガジンの一例を示す部品を取り外した斜視図である。
【0031】
第1の実施の形態のマガジン2Aは、リール20をマガジン2Aに対して回転可能に支持する軸部21fを備える。マガジン2Aは、軸部21fで規定されるリール20の回転の軸に沿った一方の側部に側壁部21aを備える。側壁部21aは、マガジン2Aにおいて、リール20がオフセットされた第1の方向の反対方向である矢印C2で示す第2の方向の側部を閉塞する。また、マガジン2Aは、側壁部21aからリール20の回転の周方向に沿って立設する周壁部21bを備える。
【0032】
さらに、マガジン2Aは、リール20の回転の軸に沿った他方の側部を開閉する蓋部22を備える。蓋部22は、マガジン2Aにおいて、リール20がオフセットされた第1の方向の側部に設けられ、周壁部21bに設けたヒンジ部22aを支点とした回転動作で、マガジン2Aの開口を開閉する。マガジン2Aは、蓋部22を開けることで、リール20の着脱が可能である。
【0033】
マガジン2Aは、側壁部21a及び周壁部21bと、閉じた状態の蓋部22により、リール20が回転可能な大きさの空間が形成される。
【0034】
また、マガジン2Aは、ワイヤ送り部3Aとつながる側にワイヤWの送出口21cを備える。さらに、マガジン2Aは、リール20の収容位置21eを挟んで送出口21cの反対側に、リール20から引き出されたワイヤWの送り経路を形成する送り経路形成部21dを備える。送り経路形成部21dは、リール20と周壁部21bとの間の空間で構成される。
【0035】
マガジン2Aは、送り経路形成部21dに2323を備える。223は、マガジン2Aの側壁部21aから送り経路形成部21dに向けて、矢印C1で示す第1の方向に突出する凸状部23bを備える。凸状部23bは、周壁部21bに沿ってリール20の軸方向に突出する。
【0036】
マガジン2Aにおいて、送出口21cの反対側に位置する送り経路形成部21dは、矢印Rで示す逆方向にワイヤWを送る動作で、ワイヤWの撓みが生じやすい範囲であり、次に矢印Fで示す正方向にワイヤWを送る動作で、撓んだワイヤWがリール20に巻かれたワイヤWに近づく方向に変位しやすい範囲である。そこで、送り経路形成部21dに分離部23を備える。分離部23は、マガジン2Aに収容されたリール20と、送り経路形成部21dで撓んだワイヤWを分離する。
【0037】
分離部23は、凸状部23bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側に回転部材24aを備え、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の下流側に回転部材24bを備える。回転部材24a、24bは、回転の軸が、ワイヤWの送り方向に対して交差する方向に延伸し、正方向または逆方向に送られるワイヤWが外周面に接することで、回転可能に設けられる。
【0038】
分離部23は、回転部材24a、24bを回転可能に支持する押さえ部材23aを備える。押さえ部材23aは、凸状部23bの側壁部21aと反対側の部位に取り付けられる。回転部材24a、24bは、軸方向に沿った一方の側が側壁部21aに回転可能に支持され、軸方向に沿った他方の側が押さえ部材23aに回転可能に支持される。なお、分離部23は、ワイヤWの装填経路を誘導するような表記が平面または立体で押さえ部材23aになされていてもよい。
【0039】
マガジン2Aは、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが送られる方向と交差する方向であって、リール20の軸方向及び環状送り経路Ruの軸方向に沿って矢印C2で示す第2の方向にワイヤWが移動することを規制する規制部25を備える。規制部25は、送り経路形成部21dにおいて分離部23が設けられる位置に対応して設けられ、側壁部21aから送り経路形成部21dに向けて矢印C1で示す第1の方向に突出する凸部で構成される。規制部25は、例えば側壁部21aと一体で構成される。
【0040】
規制部25は、回転部材24aと回転部材24bとの間で、凸状部23bに対してリール20の径方向に沿った外側に設けられる。規制部25は、側壁部21a及び凸状部23bと一体で構成されてもよい。また、規制部25は、ワイヤWが回転部材24aと回転部材24bの少なくとも一方の外周面に接することで規定されるワイヤWの送り経路に対し、この送り経路を含み、かつ、リール20の径方向に沿った外側、または、外側と内側の両方に設けられる。規制部25は、リール20の周方向に沿った長さが、回転部材24aと回転部材24bとの間の長さより短く構成され、回転部材24aと回転部材24bとの間で、側壁部21aから周壁部21bに沿ってリール20の軸方向に突出する。また、規制部25は、側壁部21aからの突出高さが、リール20の軸方向の長さの半分程度である。
【0041】
・結束部の構成例
図4A及び図4Bは、結束部及び駆動部の一例を示す断面平面図である。次に、各図を参照して、結束部7A及び駆動部8Aの構成について説明する。
【0042】
結束部7Aは、ワイヤ係止体70とスリーブ71を作動させる回転軸72を備える。回転軸72は、減速機81と一体的に回転可能、かつ、減速機81に対して軸方向に移動可能とする構成を有した連結部72bを介して減速機81に連結される。連結部72bは、回転軸72を減速機81に近づく方向である後方へ付勢し、軸方向に沿った回転軸72の位置を規制するバネ72cを備える。これにより、回転軸72は、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら、減速機81から離れる方向である前方へ移動可能に構成される。よって、回転軸72は、軸方向に沿ってワイヤ係止体70を前方に移動させる力が加わると、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら前方へ移動可能である。
【0043】
ワイヤ係止体70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを備える。
【0044】
センターフック70Cは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である回転軸72の先端に、回転軸72に対して回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
【0045】
ワイヤ係止体70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0046】
スリーブ71は、回転軸72が挿入される空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。スリーブ71は、回転可能及び軸方向に摺動可能に支持部材76dに支持される。スリーブ71は、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向に、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72と一体的に回転する。
【0047】
スリーブ71は、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lを開閉する開閉ピン71aを備える。
【0048】
開閉ピン71aは、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lに設けられた開閉ガイド孔73に挿入される。開閉ガイド孔73は、スリーブ71の移動方向に沿って延在し、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
【0049】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A2で示す下方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
【0050】
これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0051】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開いた状態では、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Rとの間を通るワイヤWは、カール形成部5Aに誘導される。そして、カールガイド50aで巻き癖が付けられ、誘導ガイド50bで結束部7Aに誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間を通る。
【0052】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A1で示す上方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0053】
第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0054】
スリーブ71は、ワイヤWの一方の端部である先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1と、切断部6Aで切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。
【0055】
スリーブ71は、矢印A1で示す上方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Lで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、矢印A1で示す上方向に移動することで、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0056】
結束部7Aは、回転軸72の回転動作と連動したワイヤ係止体70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。結束部7Aは、回転軸72の軸方向に位置に沿ったスリーブ71の位置に応じて、回転規制部74が、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転を規制し、回転軸72の回転動作でスリーブ71が矢印A1方向及び矢印A2方向に移動する。
【0057】
これにより、スリーブ71が回転せずに矢印A1方向に移動することで、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して閉じ、ワイヤWが係止される。また、スリーブ71が回転せずに矢印A2方向に移動することで、第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが、センターフック70Cに対して開き、ワイヤWの係止が解除される。
【0058】
結束部7Aは、回転規制部74によるスリーブ71の回転の規制が解除されると、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。
【0059】
これにより、ワイヤWを係止した第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cが回転し、係止されたワイヤWが捩じられる。
【0060】
<第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作例>
図5A図5B図5C図5D図5E図5F図5G及び図5Hは、第1の実施の形態の鉄筋結束機の動作の一例を示す要部側断面図である。図5Aは、鉄筋Sが結束可能な位置に入れられたた状態を示す。図5Bは、ワイヤWを正方向に送り、鉄筋Sに巻き回す動作を示す。図5Cは、鉄筋Sに巻き回されたワイヤWを係止する動作を示す。図5Dは、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作を示す。図5Eは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWの余剰分を切断する動作を示す。図5Fは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを曲げる動作を示す。図5G図5Hは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる動作を示す。
【0061】
次に、各図を参照して、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
【0062】
鉄筋結束機1Aは、2本のワイヤWが一対の送りギア30(30L、30R)の間に挟持され、各ワイヤWの先端が、送りギア30(30L、30R)の挟持位置と、切断部6Aの固定刃部60との間に位置した状態が待機状態となる。また、鉄筋結束機1Aは、待機状態では、スリーブ71及びスリーブ71に第1のサイドフック70R、第2のサイドフック70L、センターフック70Cが取り付けられたワイヤ係止体70が、矢印A2で示す後方向に移動し、図4Aに示すように、第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して開き、第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して開いた状態である。
【0063】
図5Aに示すように、鉄筋Sがカール形成部5Aのカールガイド50aと誘導ガイド50bとの間に入れられ、トリガ12Aが操作されると、送りモータ31が正回転方向に駆動され、図5Bに示すように、ワイヤ送り部3Aで2本のワイヤWが矢印Fで示す正方向に送られる。
【0064】
ワイヤ送り部3Aで正方向に送られる2本のワイヤWは、ワイヤガイド4Aによって、環状送り経路Ruの軸方向に沿って並列された向きとなる。
【0065】
正方向に送られる2本のワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rの間を通り、カール形成部5Aのカールガイド50aに送られる。2本のワイヤWは、カールガイド50aを通ることで、環状送り経路Ruに沿って鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0066】
ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで環状送り経路Ruに沿った巻き癖が付けられた2本のワイヤWは、誘導ガイド50bに誘導され、更にワイヤ送り部3Aで正方向に送られることで、誘導ガイド50bによりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Lの間に誘導される。そして、2本のワイヤWは、先端がワイヤ突き当て部90に突き当てられるまで送られる。ワイヤWの先端がワイヤ突き当て部90に突き当てられる位置まで送られると、送りモータ31の駆動が停止される。
【0067】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、モータ80が正回転方向に駆動される。スリーブ71は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する動作域では、回転規制部74により回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、図5Cに示すように、スリーブ71は、モータ80の回転が直線移動に変換され、前方向である矢印A1方向に移動する。
【0068】
スリーブ71が前方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第1のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
【0069】
また、第2のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第2のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0070】
第1のサイドフック70R及び第2のサイドフック70Lが閉じる動作でワイヤWを係止する位置までスリーブ71を前進させた後、モータ80の回転を一時停止し、送りモータ31を逆回転方向に駆動する。
【0071】
これにより、一対の送りギア30(30L、30R)が逆転し、図5Dに示すように、一対の送りギア30(30L、30R)の間に挟持された2本のワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。2本のワイヤWの先端側が、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに巻き付けられる。
【0072】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付けて、送りモータ31の逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を更に矢印A1で示す前方向に移動させる。図5Eに示すように、スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6Aに伝達されることで可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Rとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0073】
モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させて2本のワイヤWを切断するとほぼ同時に、曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接近する方向へ移動する。これにより、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止された2本のワイヤWの先端側を、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第2のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c1で挟まれた状態で保持される。
【0074】
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Rで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第1のサイドフック70Rとセンターフックとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c2で挟まれた状態で保持される。ワイヤWを折り曲げて成形する動作域では、回転規制部74により回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制され、スリーブ71は非回転で前方向に移動する。
【0075】
2本のワイヤWのそれぞれ先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動すると、回転規制部74によるスリーブ71の回転の規制が解除される。
【0076】
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してスリーブ71が回転し、図5Fに示すように、ワイヤ係止体70で係止した2本のワイヤWが捩じる動作が開始される。
【0077】
結束部7Aは、スリーブ71が回転してワイヤWを捩じる動作域では、ワイヤ係止体70で係止されたワイヤWが捩じられることで、ワイヤ係止体70が回転軸72の軸方向に沿って前方に引っ張られる力が加わる。一方、回転軸72は、バネ72cにより後方へ押される力を受ける。これにより、ワイヤ係止体70は、回転軸72がバネ72cにより後方へ押される力を受けながら前方へ移動し、図5Gに示すように、前方へ移動しながらワイヤWを捩じる。
【0078】
結束部7Aは、スリーブ71が回転してワイヤWを捩じる動作域では、回転軸72と連動してワイヤ係止体70が更に回転すると、ワイヤWの捩じられた部位と鉄筋Sとの隙間が小さくなる方向である前方向にワイヤ係止体70及び回転軸72が移動しながら、ワイヤWを更に捩じる。
【0079】
従って、図5Hに示すように、捩じられた2本のワイヤWは、ワイヤWの捩じられた部位と鉄筋Sとの隙間が小さくなり、鉄筋Sに沿うような形態で鉄筋Sに密着する。
【0080】
2本のワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知されると、モータ80の正転が停止される。次に、モータ80が逆回転方向に駆動されることで、回転軸72が逆回転し、回転軸72の逆回転に追従してスリーブ71が逆回転すると、回転規制部74により回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、後方向である矢印A2方向に移動する。
【0081】
スリーブ71が後方向に移動すると、曲げ部71c1、71c2がワイヤWから離れ、曲げ部71c1、71c2によるワイヤWの保持が解消される。また、スリーブ71が後方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。また、第2のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。これにより、鉄筋Sを結束した2本のワイヤWがワイヤ係止体70から抜ける。
【0082】
<第1の実施の形態の鉄筋結束機の作用効果例>
マガジン2Aは、リール20を回転させる駆動手段が設けられていないことから、矢印Fで示す正方向にワイヤWを送る動作で、ワイヤWの送りに従動してリール20が回転する。一方、ワイヤWの正方向への送りが停止すると、リール20はその慣性で若干回転が継続することから、リール20に巻かれたワイヤWが弛んでリール20の径方向に広がる。
【0083】
また、矢印Rで示す逆方向にワイヤWを送る動作で、リール20はワイヤWに押される形態で回転するが、ワイヤ送り部3AによるワイヤWの送り速度に対して、リール20の回転は遅延する。これにより、矢印Rで示す逆方向にワイヤWを送る動作で、リール20の径方向に沿って広がる方向にワイヤWが撓む。
【0084】
このため、ワイヤWの撓みが生じやすい送り経路形成部21dに分離部23が設けられていない構成では、次にワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る動作で、撓んだワイヤWがリール20に巻き付けられる力が掛かり、リール20に巻かれているワイヤWと絡まる可能性がある。
【0085】
これに対し、送り経路形成部21dに分離部23を備えることにより、矢印Fで示す正方向にワイヤWを送る動作で、撓んだワイヤWがリール20に近づきやすい範囲で、マガジン2Aに収容されたリール20と、送り経路形成部21dで撓んだワイヤWが分離部23で分離される。
【0086】
従って、矢印Rで示す逆方向に送られ撓んだワイヤWが、次に矢印Fで示す正方向に送られる動作でリール20に近づく方向に変位することが抑制され、リール20から引き出されたワイヤWが、リール20に巻かれたワイヤWに絡むことが抑制される。
【0087】
また、分離部23は、ワイヤWの送り方向の上流側の端部と下流側の端部に回転部材24a、24bを備えることで、主に正方向に送られるワイヤWが回転部材24a、24bに接して、回転部材24a、24bが回転する。これにより、ワイヤWが分離部23に対して摺動する際の摺動抵抗が低減される。
【0088】
リール20に巻かれたワイヤWは、矢印Fで示す正方向にワイヤWを送る動作で、リール20の軸方向に沿って移動しながら引き出される。しかし、リール20から引き出されたワイヤWが、マガジン2Aの内部で、リール20がオフセットされた第1の方向の反対方向である矢印C2で示す第2の方向に寄っている場合がある。このような場合、ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで巻き癖が付けられたワイヤWが、カールガイド50aから第1の方向に誘導され、誘導ガイド50bから外れることがある。特に、2本のワイヤWを送る構成において、駆動側の送りギア30Lに接するワイヤWで顕著に起こる。
【0089】
そこで、マガジン2Aは、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に向かうことを規制する規制部25を備える。規制部25は、側壁部21aから矢印C1で示す第1の方向に突出する凸部で構成されることで、分離部23の外側を通るワイヤWが、規制部25を超えて第2の方向に移動することが抑制される。これにより、リール20から引き出されたワイヤWが、マガジン2Aの内部で第2の方向に寄ることが抑制される。
【0090】
したがって、マガジン2A内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置が、第2の方向に偏らずに安定する。よって、ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで巻き癖が付けられたワイヤWが、カールガイド50aから第1の方向に誘導されることが抑制され、誘導ガイド50bに入るように誘導できる。これにより、誘導ガイド50bを大きくする必要がなく、鉄筋結束機1Aの大型化や重量の増加を抑制し、操作性の悪化を抑制することができる。
【0091】
<本実施の形態の鉄筋結束機の変形例>
・マガジンの他の構成例
図6Aは、第2の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図、図6Bは、図6AのB1-B1線断面図、図6Cは、図6AのB2-B2線断面図、図6Dは、第2の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。また、図7Aは、第2の実施の形態のマガジンの他の例を示す側面図、図7Bは、図7AのB3-B3線断面図、図7Cは、図7AのB4-B4線断面図である。さらに、図8A図8B図8C及び図8Dは、第2の実施の形態のマガジンの回転部材の一例を示す斜視図である。
【0092】
第2の実施の形態のマガジン2B、2Cにおいて、第1の実施の形態のマガジン2Aと同様の構成については、同じ符号を付して説明する。マガジン2Bは、送り経路形成部21dに分離部23を備える。分離部23は、マガジン2Bに収容されたリール20と、送り経路形成部21dで撓んだワイヤWを分離する。
【0093】
分離部23は、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側に回転部材24aを備え、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の下流側に回転部材24bを備える。回転部材24a、24bは、回転の軸が、ワイヤWの送り方向に対して交差する方向に延伸し、正方向または逆方向に送られるワイヤWが接することで、回転可能に設けられる。
【0094】
マガジン2Bは、回転部材24bに規制部26を備える。規制部26は、リール20がオフセットされた方向と反対の矢印C2で示す第2の方向における回転部材24bの端部から、リール20がオフセットされた矢印C1で示す第1の方向に向かうに従い、回転部材24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24bの外周面が傾斜する斜面で構成される。
【0095】
規制部26は、回転部材24bに接したワイヤWが、回転部材24bの軸方向に沿って第1の方向に誘導される向きに傾斜した円錐形状である。これにより、主に正方向に送られるワイヤWが回転部材24bの規制部26に接すると、規制部26の円錐形状により、ワイヤWが矢印C1で示す第1の方向に誘導されながら送られ、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に向かうことが規制される。
【0096】
マガジン2Cは、回転部材24aと回転部材24bに規制部26を備える。規制部26は、リール20がオフセットされた方向と反対の矢印C2で示す第2の方向における回転部材24a、24bの端部から、リール20がオフセットされた矢印C1で示す第1の方向に向かうに従い、回転部材24a、24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24a、24bの外周面が傾斜する斜面で構成される。
【0097】
規制部26は、回転部材24a、24bに接したワイヤWが、回転部材24a、24bの軸方向に沿って第1の方向に誘導される向きに傾斜した円錐形状である。これにより、主に正方向に送られるワイヤWが回転部材24a、24bの規制部26に接すると、規制部26の円錐形状により、ワイヤWが矢印C1で示す第1の方向に誘導されながら送られ、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に向かうことが規制される。
【0098】
なお、回転部材24bに規制部26を備える構成では、図8Aに示すように、矢印C2で示す第2の方向における回転部材24bの端部から、回転部材24bの軸方向の半分より短い1/3程度の長さの範囲に規制部26を設けて円錐形状とし、残部を円筒形状とした構成でも良い。また、図8Bに示すように、矢印C2で示す第2の方向における回転部材24bの端部から、回転部材24bの軸方向の半分程度の長さの範囲に規制部26を設けて円錐形状とし、残部を円筒形状とした構成でも良い。さらに、図8Cに示すように、矢印C2で示す第2の方向における回転部材24bの端部から、回転部材24bの軸方向の半分より長い2/3程度の長さの範囲に規制部26を設けて円錐形状とし、残部を円筒形状とした構成でも良い。また、図8Dに示すように、回転部材24bの軸方向に沿った全体に規制部26を設けて円錐形状としてもよい。
【0099】
これに対し、回転部材24aに規制部26を備える構成では、図8Aに示すように、矢印C2で示す第2の方向における回転部材24aの端部から、回転部材24aの軸方向の半分より短い1/3程度の長さの範囲に規制部26を設けて円錐形状とし、残部を円筒形状とした構成とすることが好ましい。回転部材24aは、回転部材24bに対して円筒形状の部位の直径を太くしている。回転部材24aの直径が細くなると、回転部材24aの直径が太い場合と比較して、ワイヤWが外周面に接してワイヤWの経路を変える際の曲率が小さくなるので、ワイヤWに曲げの癖がつく可能性がある。このため、回転部材24aの直径を太くしている。一方、回転部材24a軸方向に沿った全体に規制部26を設けて円錐形状とした場合、円錐形状の径の細い側の直径を太くする必要があるのに対し、円錐形状の径の太い側の直径は、マガジン2Cの大きさの制約などにより太くすることに制約がある。このため、テーパの角度が小さくなり、ワイヤWを回転部材24aの外周面の斜面で移動させる効果が減少する。そこで、回転部材24aは、軸方向の1/3程度の長さの範囲に規制部26を設けて円錐形状とし、残部を円筒形状とした構成とすることが好ましい。
【0100】
なお、マガジン2Bは、回転部材24aを備えず回転部材24bを備え、回転部材24bに規制部26を備える構成としてもよい。また、マガジン2Cは、回転部材24aを備えず回転部材24bを備え、回転部材24bに規制部26を備える構成としてもよい。さらに、1本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成であっても、マガジン2A、2B、2C(リール20)がオフセットされていることにより、ワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に向かうという課題が生じる。そして、規制部25、26を備えることで、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に向かうことを規制することができる。これにより、上述した実施の形態では、複数本のワイヤWで鉄筋Sを結束する例で説明したが、1本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成であってもよく、ワイヤWの本数は必須の構成では無い。
【0101】
図9Aは、第3の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図、図9Bは、図9AのB5-B5線断面図、図9Cは、図9AのB6-B6線断面図、図9Dは、図9AのB7-B7線断面斜視図、図9Eは、第3の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
【0102】
第3の実施の形態のマガジン2Dにおいて、第1の実施の形態のマガジン2Aと同様の構成については、同じ符号を付して説明する。マガジン2Dは、送り経路形成部21dに分離部23を備える。分離部23は、マガジン2Dに収容されたリール20と、送り経路形成部21dで撓んだワイヤWを分離する。分離部23は、マガジン2Dの側壁部21aから送り経路形成部21dに向けて、矢印C1で示す第1の方向に突出する凸状部23bを備える。凸状部23bは、周壁部21bに沿ってリール20の軸方向に突出する。
【0103】
分離部23は、マガジン2Dの送り経路形成部21dに回転部材24bを備える。分離部23は、凸状部23bを備えず、回転部材24bを備える構成でもよい。分離部23が凸状部23bを備える構成では、回転部材24bは、凸状部23bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の下流側に設けられる。分離部23は、マガジン2Dの送り経路形成部21dにさらに回転部材24aを備えてもよい。分離部23が凸状部23bを備えない構成では、回転部材24aは、回転部材24bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側に設けられる。分離部23が凸状部23bを備える構成では、回転部材24aは、凸状部23bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側に設けられる。回転部材24a、24bは、回転の軸が、ワイヤWの送り方向に対して交差する方向に延伸し、正方向または逆方向に送られるワイヤWが接することで、回転可能に設けられる。
【0104】
マガジン2Dは、回転部材24bに規制部27を備える。マガジン2Dは、回転部材24aを備える構成では、回転部材24aにも規制部27を備えてもよい。回転部材24bの規制部27は、リール20がオフセットされた矢印C1で示す第1の方向における回転部材24bの端部から、リール20がオフセットされた方向と反対の矢印C2で示す第2の方向に向かうに従い、回転部材24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24bの外周面が傾斜する斜面で構成される。回転部材24aをさらに備え、回転部材24aに規制部27を備える構成では、回転部材24aの規制部27も同様に、リール20がオフセットされた矢印C1で示す第1の方向における回転部材24aの端部から、リール20がオフセットされた方向と反対の矢印C2で示す第2の方向に向かうに従い、回転部材24aの直径が小さくなる方向に、回転部材24aの外周面が傾斜する斜面で構成される。回転部材24aをさらに備え、回転部材24aに規制部27を備える構成では、回転部材24aと回転部材24bは、軸方向に対する規制部27の傾斜角度が同じでもよいし、異なっていてもよい。例えば、回転部材24bの規制部27の方が、回転部材24aの規制部27より傾斜角度が大きくてもよい。
【0105】
マガジン2Dは、リール20の軸方向に沿って矢印C2で示す第2の方向にワイヤWが移動することを規制する規制部25を備えてもよい。規制部25は、側壁部21aに対し矢印C1で示す第1の方向に突出する形態の凸部で構成される。規制部25は、側壁部21aにねじなどで固定される構成でもよいし、側壁部21aと一体に設けられる構成でも良い。また、規制部25は、送り経路形成部21dと対向する周壁部21bにねじなどで固定される構成でもよいし、周壁部21bと一体に設けられる構成でも良い。
【0106】
規制部25は、回転部材24bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側に設けられる。規制部25は、回転部材24bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の下流側に設けられる構成でもよい。また、規制部25は、回転部材24bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側と下流側に設けられる構成でもよい。規制部25は、回転部材24bとさらに回転部材24aを備える構成では、回転部材24aと回転部材24bとの間に設けられる。規制部25は、分離部23が凸状部23bを備える構成では、凸状部23bに対してリール20の径方向に沿った外側に設けられる。規制部25は、回転部材24bとさらに回転部材24aを備える構成では、リール20の周方向に沿った長さが、回転部材24aと回転部材24bとの間の長さより短く構成される。また、規制部25は、側壁部21aからの突出高さが、回転部材24a及び/または回転部材24bの軸方向の長さの半分程度あるいは半分程度より短い長さである。すなわち、規制部25は、側壁部21aからの突出高さが、リール20の軸方向の長さの半分程度あるいは半分程度より短い長さである。
【0107】
規制部27は、回転部材24bに接したワイヤWが、回転部材24bの軸方向に沿って矢印C2で示す第2の方向に誘導される向きに傾斜した円錐形状である。これにより、主に正方向に送られるワイヤWが回転部材24bの規制部27に接すると、規制部27の円錐形状により、ワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に誘導されながら送られ、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが矢印C1で示す第1の方向に向かうことが規制される。回転部材24aをさらに備え、回転部材24aに規制部27を備える構成では、回転部材24aの規制部27も、回転部材24aに接したワイヤWが、回転部材24aの軸方向に沿って矢印C2で示す第2の方向に誘導される向きに傾斜した円錐形状である。これにより、主に正方向に送られるワイヤWが回転部材24a及び/または回転部材24bの規制部27に接すると、規制部27の円錐形状により、ワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に誘導されながら送られ、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが矢印C1で示す第1の方向に向かうことが規制される。したがって、マガジン2D内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置が、第1の方向に偏らずに安定する。よって、ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで巻き癖が付けられたワイヤWが、誘導ガイド50bに入るように誘導できる。これにより、結束対象の鉄筋の径が大きくなって、環状となるワイヤの送り経路の径が大きくなっても、状送り経路の軸方向に沿った方向の誘導ガイド50bの長さを大きくする必要がなく、鉄筋結束機1Aの大型化や重量の増加を抑制し、操作性の悪化を抑制することができる。
【0108】
さらに規制部25を備える構成では、規制部25は、側壁部21aから矢印C1で示す第1の方向に突出する凸部で構成されることで、分離部23の外側を通るワイヤWが、規制部25を超えて第2の方向に移動することが抑制される。これにより、リール20から引き出されたワイヤWが、マガジン2Dの内部で第2の方向に寄ることが抑制される。
【0109】
したがって、マガジン2D内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置が、第1の方向及び第2の方向に偏らずに安定する。よって、ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで巻き癖が付けられたワイヤWが、誘導ガイド50bに入るように誘導できる。これにより、結束対象の鉄筋の径が大きくなって、環状となるワイヤの送り経路の径が大きくなっても、状送り経路の軸方向に沿った方向の誘導ガイド50bの長さを大きくする必要がなく、鉄筋結束機1Aの大型化や重量の増加を抑制し、操作性の悪化を抑制することができる。なお、規制部27は、回転部材24b及び/または回転部材24aに備える構成としたが、マガジン2Dの送り経路形成部21dに回転しない部材を一体または別体に備え、この回転しない部材に規制部を備えてもよい。このような規制部は、例えば、送り経路形成部21dに設けた部材において送り経路形成部21dと対向する面が、リール20がオフセットされた方向と反対の第2の方向から、リール20がオフセットされた第1の方向に向かうに従い、送り経路形成部21dと対向する周壁部21bとの間隔が狭くなる方向に傾斜する斜面で構成される。
【0110】
図10Aは、第4の実施の形態のマガジンの一例を示す断面図、図10Bは、第4の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。なお、図10Aの断面図における切断面は、図9AのB5-B5線と同等である。
【0111】
第4の実施の形態のマガジン2Eにおいて、第1の実施の形態のマガジン2A及び第3の実施の形態のマガジン2Dと同様の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0112】
マガジン2Eは、回転部材24bに規制部27bを備える。マガジン2Eは、分離部23に凸状部23b及び回転部材24aを備えず、回転部材24bを備える構成でもよい。回転部材24aを備える構成では、回転部材24aに上述した規制部27を備えてもよい。回転部材24bの規制部27bは、第1の規制部27b1と第2の規制部27b2と底部27b3を備える。
【0113】
第1の規制部27b1は、リール20がオフセットされた矢印C1で示す第1の方向における回転部材24bの端部から、底部27b3に向かうに従い、回転部材24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24bの外周面が傾斜する斜面で構成される。
【0114】
第2の規制部27b2は、リール20がオフセットされた方向と反対の矢印C2で示す第2の方向における回転部材24bの端部から、底部27b3に向かうに従い、回転部材24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24bの外周面が傾斜する斜面で構成される。
【0115】
底部27b3は、第1の規制部27b1と第2の規制部27b2の間で、回転部材24bの軸方向の中央付近に、回転部材24bの直径が最も小さくなる部位を設けて構成される。底部27b3は、回転部材24bの軸方向の中央、あるいは、回転部材24bの軸方向の中央より、例えば第2の方向に寄った部位に設けられる。底部27b3は、本例では、回転部材24bの軸方向に沿った断面形状をV字形状とすることで、回転部材24bの周方向に延伸するV字状の溝で構成される。
【0116】
規制部27bは、回転部材24bに接したワイヤWが、回転部材24bの軸方向に沿った中央付近の底部27b3に向けて、矢印C1で示す第1の方向あるいは矢印C2で示す第2の方向に誘導される向きに傾斜した円錐形状である。
【0117】
これにより、主に正方向に送られるワイヤWが回転部材24bの規制部27bに接すると、規制部27bの円錐形状により、ワイヤWが回転部材24bの軸方向に沿った中央付近に向けて誘導されながら送られる。また、規制部27bの円錐形状により、ワイヤWが、回転部材24bの軸方向に沿った中央付近から、矢印C1で示す第1の方向または矢印C2で示す第2の方向に向かうことが規制される。
【0118】
したがって、マガジン2E内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置が、第1の方向及び第2の方向に偏らずに安定する。よって、ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで巻き癖が付けられたワイヤWが、誘導ガイド50bに入るように誘導できる。これにより、結束対象の鉄筋の径が大きくなって、環状となるワイヤの送り経路の径が大きくなっても、状送り経路の軸方向に沿った方向の誘導ガイド50bの長さを大きくする必要がなく、鉄筋結束機1Aの大型化や重量の増加を抑制し、操作性の悪化を抑制することができる。
【0119】
図11Aは、第5の実施の形態のマガジンの一例を示す断面図、図11Bは、第5の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。なお、図11Aの断面図における切断面は、図9AのB5-B5線と同等である。
【0120】
第5の実施の形態のマガジン2Fにおいて、第1の実施の形態のマガジン2A及び第3の実施の形態のマガジン2Dと同様の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0121】
マガジン2Fは、回転部材24bに規制部28を備える。マガジン2Fは、分離部23に凸状部23b及び回転部材24aを備えず、回転部材24bを備える構成でもよい。回転部材24aを備える構成では、回転部材24aに上述した規制部27を備えてもよい。規制部28は、矢印C1で示す第1の方向にワイヤWが移動することを規制する第1の規制部28aと、矢印C2で示す第2の方向にワイヤWが移動することを規制する第2の規制部28bと、第1の規制部28aと第2の規制部28bの間に形成される底部28cとを備える。規制部28は、回転部材24bの軸方向の中央付近の外周面に、回転部材24bの周方向に延伸する凹部を設けて構成される。第1の規制部28aは、規制部28の第1の方向における端部に、底部28cから立設する形態で設けられる。第2の規制部28bは、第1の規制部28aと対向して、規制部28の第2の方向における端部に、底部28cから立設する形態で設けられる。底部28cは、第1の規制部28aと第2の規制部28bの間に、回転部材24bの直径が最も小さくなる部位を設けて構成される。規制部28は、回転部材24bの外周面から底部28cまでの深さである回転部材24bの径方向の深さが、ワイヤWが入り、かつ、回転部材24bに沿って送られるワイヤWが、規制部28内で保持できる程度の長さで構成される。また、規制部28は、第1の規制部28aと第2の規制部28bとの間隔である回転部材24bの軸方向に沿った幅が、ワイヤWが入り、かつ、規制部28内でワイヤWが回転部材24bの軸方向に沿って所定量移動できる程度の長さで構成される。規制部28は、回転部材24bの軸方向の中央、あるいは、回転部材24bの軸方向の中央より、例えば第2の方向に寄った部位に設けられる。
【0122】
ワイヤWは、主に正方向に送られる動作で、回転部材24bの規制部28に入る。回転部材24aをさらに備え、回転部材24aに規制部27を備える構成では、主に正方向に送られるワイヤWが回転部材24aの規制部27に接すると、規制部27の円錐形状により、ワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に誘導されながら送られる。これにより、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが矢印C1で示す第1の方向に向かうことが規制される。
【0123】
また、回転部材24aの規制部27で、ワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に誘導されると、回転部材24bの規制部28にワイヤWが入ることが促進される。回転部材24bの規制部28に入ったワイヤWは、回転部材24bの外周面の凹凸形状により、規制部28に入った状態で送られる。これにより、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが、回転部材24bの軸方向に沿った中央付近から、矢印C1で示す第1の方向または矢印C2で示す第2の方向に向かうことが、第1の規制部28aと第2の規制部28bで規制される。
【0124】
したがって、マガジン2F内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置が、第1の方向及び第2の方向に偏らずに安定する。よって、ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで巻き癖が付けられたワイヤWが、誘導ガイド50bに入るように誘導できる。これにより、結束対象の鉄筋の径が大きくなって、環状となるワイヤの送り経路の径が大きくなっても、状送り経路の軸方向に沿った方向の誘導ガイド50bの長さを大きくする必要がなく、鉄筋結束機1Aの大型化や重量の増加を抑制し、操作性の悪化を抑制することができる。
【0125】
図12Aは、第6の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図、図12Bは、図12AのB8-B8線断面図、図12Cは、図12AのB9-B9線断面斜視図、図12Dは、第6の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。
【0126】
第6の実施の形態のマガジン2Gにおいて、第1の実施の形態のマガジン2A及び第3の実施の形態のマガジン2Dと同様の構成については、同じ符号を付して説明する。マガジン2Gは、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが送られる方向と交差する方向であって、リール20の軸方向及び環状送り経路Ruの軸方向に沿ってワイヤWが移動することを規制する規制部29aを備える。規制部29aは、リール20の軸方向に沿って矢印C2で示す第2の方向にワイヤWが移動することを規制する第2の規制部29を備える。第2の規制部29は、送り経路形成部21dにおいて分離部23が設けられる位置より、正方向に送られるワイヤWの送り方向の下流側に設けられ、側壁部21aから矢印C1で示す第1の方向に突出する凸部で構成される。
【0127】
第2の規制部29は、回転部材24bに対してリール20の径方向に沿った外側に設けられる。第2の規制部29は、側壁部21aからの突出高さが、回転部材24bの軸方向の長さの半分程度より短い長さである。また、第2の規制部29は、所定の間隔で回転部材24bの外周面と対向する。第2の規制部29は、矢印C2で示す第2の方向にワイヤWが移動して、回転部材24bと第2の規制部29との間にワイヤWが入ることを抑制するため、ワイヤWの直径より狭い間隔で、回転部材24bの外周面と対向するようにしてもよい。
【0128】
規制部29aは、リール20の軸方向に沿って矢印C1で示す第1の方向にワイヤWが移動することを規制する第1の規制部22bを備える。第1の規制部22bは、マガジン2Gの第1の方向の側壁部を構成する蓋部22に設けられる。第1の規制部22bは、蓋部22でマガジン2Gが閉じられると、送り経路形成部21dにおいて分離部23が設けられる位置より、正方向に送られるワイヤWの送り方向の下流側に設けられ、蓋部22から矢印C2で示す第2の方向に突出する凸部で構成される。
【0129】
第1の規制部22bは、回転部材24bに対してリール20の径方向に沿った外側に設けられる。第1の規制部22bは、蓋部22からの突出高さが、回転部材24bの軸方向の長さの半分程度より短い長さである。また、第1の規制部22bは、所定の間隔で回転部材24bの外周面と対向する。第1の規制部22bは、蓋部22の開閉の妨げにならず、かつ、矢印C1で示す第1の方向にワイヤWが移動して、回転部材24bと第1の規制部22bとの間にワイヤWが入ることを抑制できる程度に、ワイヤWの直径より広い間隔で、回転部材24bの外周面と対向するようにしてもよい。
【0130】
これにより、規制部29aは、蓋部22でマガジン2Gが閉じられると、第2の規制部29と第1の規制部22bとの間に底部29bが形成される。底部29bは、第1の規制部22bと第2の規制部29の間に、リール20の径方向に沿った外側に向けて凹部を設けて構成される。規制部29aは、リール20の径方向に沿った深さが、ワイヤWが入り、かつ、ワイヤWを規制部29a内で保持できる程度の長さで構成される。また、規制部29aは、回転部材24bの軸方向に沿った幅が、ワイヤWが入り、かつ、規制部29a内でワイヤWが回転部材24bの軸方向に沿って所定量移動できる程度の長さで構成される。規制部29aは、回転部材24bの軸方向の中央付近に対向して設けられる。
【0131】
回転部材24bの外周面に接して送られるワイヤWは、規制部29aに入る。回転部材24aをさらに備え、回転部材24aに規制部27を備える構成では、主に正方向に送られるワイヤWが回転部材24aの規制部27に接すると、規制部27の円錐形状により、ワイヤWが矢印C2で示す第2の方向に誘導されながら送られる。これにより、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが矢印C1で示す第1の方向に向かうことが規制される。
【0132】
また、回転部材24aの規制部27で矢印C2で示す第2の方向に誘導されるワイヤWは、規制部29aに入ることが促進される。規制部29aに入ったワイヤWは、規制部29aに入った状態で送られる。これにより、送り経路形成部21dにおいてワイヤWが、回転部材24bの軸方向に沿った中央付近から、矢印C1で示す第1の方向または矢印C2で示す第2の方向に向かうことが規制される。
【0133】
したがって、マガジン2G内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置が、第1の方向及び第2の方向に偏らずに安定する。よって、ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで巻き癖が付けられたワイヤWが、誘導ガイド50bに入るように誘導できる。これにより、結束対象の鉄筋の径が大きくなって、環状となるワイヤの送り経路の径が大きくなっても、状送り経路の軸方向に沿った方向の誘導ガイド50bの長さを大きくする必要がなく、鉄筋結束機1Aの大型化や重量の増加を抑制し、操作性の悪化を抑制することができる。
【0134】
図13Aは、第7の実施の形態のマガジンの一例を示す断面図である。なお、図13Aの断面図における切断面は、図9AのB5-B5線と同等である。
【0135】
第7の実施の形態のマガジン2Hにおいて、第1の実施の形態のマガジン2A及び第4の実施の形態のマガジン2Eと同様の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0136】
マガジン2Hは、回転部材24bに規制部27bを備える。マガジン2Hは、分離部23に凸状部23b及び回転部材24aを備えず、回転部材24bを備える構成でもよい。回転部材24aを備える構成では、回転部材24aに上述した規制部27を備えてもよい。回転部材24bの規制部27bは、軸方向に少なくとも2分割された構成で、第1の規制部27b1と第2の規制部27b2を備える。
【0137】
第1の規制部27b1は、リール20がオフセットされた矢印C1で示す第1の方向における回転部材24bの端部から、リール20がオフセットされた方向と反対の矢印C2で示す第2の方向に向かうに従い、回転部材24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24bの外周面が傾斜する斜面を有した円錐状の部材で構成される。
【0138】
第2の規制部27b2は、矢印C2で示す第2の方向における回転部材24bの端部から、矢印C1で示す第1の方向に向かうに従い、回転部材24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24bの外周面が傾斜する斜面を有した円錐状の部材で構成される。
【0139】
回転部材24bは、軸24cに第1の規制部27b1及び第2の規制部27b2が回転可能に取り付けられる。回転部材24bは、軸24cに第1の規制部27b1及び第2の規制部27b2が取り付けられると、第1の規制部27b1及び第2の規制部27b2の間に底部27b3が形成される。
【0140】
底部27b3は、回転部材24bの軸方向の中央付近に、回転部材24bの直径が最も小さくなる部位を設けて構成される。
【0141】
図13B図13C及び図13Dは、回転部材24bの一例を示す断面図である。回転部材24bは、軸方向の長さ、斜面の傾斜角度などが異なる複数種類の第1の規制部27b1と第2の規制部27b2の組み合わせが用意される。これにより、第1の規制部27b1と第2の規制部27b2の組み合わせで、図13B及び図13Cに示すように、底部27b3が回転部材24bの軸方向の中央より、第1の方向に寄った部位に設けられる形態、底部27b3が回転部材24bの軸方向の中央より、第2の方向に寄った部位に設けられる形態、図示しないが、底部27b3が回転部材24bの軸方向の中央に設けられる形態など、所望の形態で回転部材24bを実現できる。
【0142】
また、回転部材24bは、3分割以上された部品を組み合わせる構成でもよく、例えば、図13Cに示すように、底部27b3を第1の規制部27b1及び第2の規制部27b2と独立した部品で構成してもよい。
【0143】
したがって、マガジン2H内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置を、第1の方向及び第2の方向に偏らずに所望の位置で安定させることができる。
【0144】
図14Aは、第8の実施の形態のマガジンの一例を示す断面図、図14Bは、第8の実施の形態のマガジンの一例を示す斜視図である。なお、図14Aの断面図における切断面は、図9AのB5-B5線と同等である。また、図14C及び図14Dは、調整部の一例を示す断面図である。
【0145】
第8の実施の形態のマガジン2Jにおいて、第1の実施の形態のマガジン2A及び第4の実施の形態のマガジン2Eと同様の構成については、同じ符号を付して説明する。
【0146】
マガジン2Jは、回転部材24bに規制部27bを備える。マガジン2Jは、分離部23に凸状部23b及び回転部材24aを備えず、回転部材24bを備える構成でもよい。回転部材24aを備える構成では、回転部材24aに上述した規制部27を備えてもよい。回転部材24bの規制部27bは、第1の規制部27b4と第2の規制部27b5と調整部27b6を備える。
【0147】
第1の規制部27b4は、リール20がオフセットされた矢印C1で示す第1の方向における回転部材24bの端部側から、調整部27b6に向かうに従い、回転部材24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24bの外周面が傾斜する斜面を有した円錐状の部材で構成される。
【0148】
第2の規制部27b5は、リール20がオフセットされた方向と反対の矢印C2で示す第2の方向における回転部材24bの端部側から、調整部27b6に向かうに従い、回転部材24bの直径が小さくなる方向に、回転部材24bの外周面が傾斜する斜面を有した円錐状の部材で構成される。
【0149】
調整部27b6は、矢印C1で示す第1の方向における端部側から、軸方向の中央に向かうに従い直径が小さくなる方向に外周面が傾斜する斜面を有した円錐状の部位と、矢印C2で示す第2の方向における端部側から、軸方向の中央に向かうに従い直径が小さくなる方向に外周面が傾斜する斜面を有した円錐状の部位が連結された形態で構成される。調整部27b6は、軸方向に沿った中央付近の直径が最も小さくなり、直径が最も小さくなる部位に底部27b6aが形成される。底部27b6aは、本例では、調整部27b6の軸方向に沿った断面形状をV字形状とすることで、調整部27b6の周方向に延伸するV字状の溝で構成される。
【0150】
回転部材24bは、軸24cに第1の規制部27b4、第2の規制部27b5及び調整部27b6が回転可能に取り付けられる。また、調整部27b6は、第1の規制部27b4及び第2の規制部27b5に対し、軸方向に移動可能に構成される。回転部材24bは、第1の規制部27b4及び第2の規制部27b5に対する調整部27b6の軸方向の位置を調整可能に位置決めする位置決め部27b7を備える。
【0151】
位置決め部27b7は、第1の規制部27b4及び第2の規制部27b5の内周面に、周方向に沿った溝部27b8を備える。また、位置決め部27b7は、溝部27b8に嵌められる弾性部材27b9を備える。弾性部材27b9は、例えばOリングなどの弾性変形が可能な部材で構成される。さらに、位置決め部27b7は、調整部27b6の外周面に、周方向に沿った溝部27b10を備える。溝部27b10は、弾性部材27B9の係合及び係合解除が可能な形状で、調整部27b6の軸方向に沿った複数個所に形成される。
【0152】
第1の規制部27b4及び第2の規制部27b5の内周面に調整部27b6が挿入されると、弾性部材27B9が調整部27b6の任意の溝部27b10に嵌ることで、第1の規制部27b4及び第2の規制部27b5に対する調整部27b6の軸方向の位置が決められる。また、第1の規制部27b4及び第2の規制部27b5に対して調整部27b6を軸方向に移動させると、弾性部材27B9が弾性変形することで、弾性部材27B9が嵌る溝部27b10が変わり、第1の規制部27b4及び第2の規制部27b5に対する調整部27b6の軸方向の位置が、溝部27b10が設けられた位置に応じて決められる。
【0153】
これにより、図14C及び図14Dに示すように、底部27b6aが回転部材24bの軸方向の中央より、第1の方向に寄った部位に設けられる形態、底部27b6aが回転部材24bの軸方向の中央より、第2の方向に寄った部位に設けられる形態、図示しないが、底部27b6aが回転部材24bの軸方向の中央に設けられる形態など、所望の形態で回転部材24bを実現できる。したがって、マガジン2J内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置を段階的に調整可能として、同方向におけるワイヤWの位置を、第1の方向及び第2の方向に偏らずに所望の位置で安定させることができる。
【0154】
図15Aは、第9の実施の形態のマガジンの一例を示す側面図、図15Bは、図15AのB10-B10線断面図、図15Cは、図15AのB11-B11線断面斜視図である。
【0155】
第9の実施の形態のマガジン2Kにおいて、第1の実施の形態のマガジン2A及び第3の実施の形態のマガジン2Dと同様の構成については、同じ符号を付して説明する。マガジン2Kは、送り経路形成部21dに分離部23を備える。分離部23は、マガジン2Kに収容されたリール20と、送り経路形成部21dで撓んだワイヤWを分離する。
【0156】
マガジン2Kは、分離部23の凸状部23bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の下流側に回転部材24bを備える。また、マガジン2Kは、回転部材24bに規制部27を備える。マガジン2Kは、分離部23の凸状部23bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側に回転部材24aを備えてもよく、回転部材24bに規制部27を備えてもよい。
【0157】
マガジン2Kは、リール20の軸方向に沿って矢印C2で示す第2の方向にワイヤWが移動することを規制する規制部材25aと、規制部材25aの位置を調整可能に位置決めする調整部材25bを備える。
【0158】
規制部材25aは、回転部材24bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側に設けられる。規制部材25aは、回転部材24bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の下流側に設けられる構成でもよい。また、規制部材25aは、回転部材24bに対し、矢印Fで示すワイヤWの送り方向の上流側と下流側に設けられる構成でもよい。規制部材25aは、回転部材24bとさらに回転部材24aを備える構成では、回転部材24aと回転部材24bとの間で、分離部23に対してリール20の径方向に沿った外側に設けられる。規制部材25aは、側壁部21aの側から矢印C1で示す第1の方向に突出する形態で、調整部材25bに支持される。
【0159】
調整部材25bは、ネジで構成され、側壁部21aに形成される穴25cに回転可能に挿入される。穴25cに挿入された調整部材25bは、リール20の軸方向に沿って矢印C1で示す第1の方向及び矢印C2で示す第2の方向に延伸する。また、調整部材25bは、規制部材25aに形成される雌ねじ穴25dにねじ込まれる。これにより、規制部材25aは、調整部材25bを回転させると、矢印C1で示す第1の方向及び矢印C2で示す第2の方向に移動し、側壁部21aからの突出高さが、任意に切り替えられる。調整部材25bは、例えば雄ネジと雌ネジとの間の摩擦を増やすなどにより、規制部材25aの位置を調整可能に固定する滑落防止構造を備えてもよい。
【0160】
主に正方向に送られるワイヤWは、回転部材24a及び/または回転部材24bの規制部27に接すると、規制部27の円錐形状により、矢印C2で示す第2の方向に誘導されながら送られ、送り経路形成部21dにおいて矢印C1で示す第1の方向に向かうことが規制される。
【0161】
一方、規制部材25aは、側壁部21aから矢印C1で示す第1の方向に突出する形態で設けられることで、分離部23の外側を通るワイヤWが、規制部材25aを超えて第2の方向に移動することが抑制される。これにより、リール20から引き出されたワイヤWが、マガジン2Kの内部で第2の方向に寄ることが抑制される。さらに、規制部材25aは、調整部材25bを回転させると、側壁部21aからの突出高さが、任意に切り替えられる。したがって、マガジン2K内において、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置を任意に調整可能として、同方向におけるワイヤWの位置を、第1の方向及び第2の方向に偏らずに所望の位置で安定させることができる。
【0162】
上述したように、環状送り経路Ruの軸方向及びリール20の軸方向に沿ったワイヤWの位置を調整可能とした構成では、ワイヤ送り部3Aで正方向に送られ、カールガイド50aで巻き癖が付けられたワイヤWが、誘導ガイド50bに入るように、環状となるワイヤの送り経路の径の大小などに応じて、同方向におけるワイヤWの位置を調整できる。
【0163】
なお、上述した第3~第9の実施の形態でも、複数本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成、1本のワイヤWで鉄筋Sを結束する構成のいずれであってもよく、ワイヤWの本数は必須の構成では無い。
【符号の説明】
【0164】
1A・・・鉄筋結束機、10A・・・本体部、2A、2B、2C、2D、2E、2F、2G、2H、2J、2K・・・マガジン、20・・・リール、21a・・・側壁部、21b・・・周壁部、21c・・・送出口、21d・・・送り経路形成部、21e・・・収容位置、21f・・・軸部、22・・・蓋部、22a・・・ヒンジ部、22b・・・第1の規制部、23・・・分離部、23a・・・押さえ部材、23b・・・凸状部、24a、24b・・・回転部材、25・・・規制部、25a・・・規制部材、25b・・・調整部材、25c・・・穴、25d・・・雌ねじ穴、26・・・規制部、27・・・規制部、27b・・・規制部、27b1・・・第1の規制部、27b2・・・第2の規制部、27b3・・・底部、27b4・・・第1の規制部、27b5・・・第2の規制部、27b6・・・調整部、27b6a・・・底部、27b7・・・位置決め部、27b8・・・溝部、27b9・・・弾性部材、27b10・・・溝部、28・・・規制部、29・・・第2の規制部、29a・・・規制部、3A・・・ワイヤ送り部、30(30L、30R)・・・送りギア、31・・・送りモータ、5A・・・カール形成部、50a・・・カールガイド、50b・・・誘導ガイド、6A・・・切断部、7A・・・結束部、8A・・・駆動部、W・・・ワイヤ
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C