(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024094289
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】レジスト組成物及びそれを利用したパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240702BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G03F7/004
G03F7/20 502
G03F7/20 503
G03F7/20 504
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217030
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2022-0186374
(32)【優先日】2022-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】高 行▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 允鉉
(72)【発明者】
【氏名】金 美靜
(72)【発明者】
【氏名】金 旻相
(72)【発明者】
【氏名】李 善英
(72)【発明者】
【氏名】李 昶憲
(72)【発明者】
【氏名】林 圭鉉
(72)【発明者】
【氏名】蔡 貞廈
(72)【発明者】
【氏名】韓 盛現
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197GA01
2H197HA03
2H225AB03
2H225AM15P
2H225AN49P
2H225AN50P
2H225AN57P
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CB07
2H225CB08
2H225CC01
2H225CC12
2H225CD05
(57)【要約】
【課題】レジスト組成物及びそれを利用したパターン形成方法を提供する。
【解決手段】化学式1:Sn(R
11)
n(OR
12)
(4-n)で表される有機金属化合物(化学式1において、R
11、R
12及びnに係わる説明は、明細書を参照する。)と、ラジカル生成基を含有する反復単位、ラジカル受容基を含有する反復単位、またはそれらの組み合わせを含むポリマーと、を含む、レジスト組成物及びそれを利用したパターン形成方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機金属化合物と、
ラジカル生成基(radical generating group)を含有する反復単位、ラジカル受容基(radical accepting group)を含有する反復単位、またはそれらの組み合わせを含むポリマーと、
を含む、レジスト組成物:
[化学式1]
Sn(R11)n(OR12)(4-n)
前記化学式1において、
R11は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
R12は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であるか、あるいは*-Sn(R13)m(OR14)(3-m)であり、
nは、1ないし4の整数であり、
R13及びR14は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
mは、0ないし3の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項2】
SnとR11との結合は、Sn-炭素単結合であり、
SnとR13との結合は、Sn-炭素単結合である、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項3】
前記有機金属化合物の分子量は3000g/mol以下である、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項4】
R11及びR13は、それぞれ独立して*-(L11)a11-X11で表され、
R12及びR14は、それぞれ独立して*-(L12)a12-X12で表され、
L11及びL12は、それぞれ独立して、CRaRb、C=O、S=O、SO2、PO2またはPO3であり、
a11及びa12は、それぞれ独立して、0ないし3の整数であり、
X11及びX12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1-C30アルキル基、置換もしくは非置換のC1-C30ハロゲン化アルキル基、置換もしくは非置換のC1-C30アルコキシ基、置換もしくは非置換のC1-C30アルキルチオ基、置換もしくは非置換のC1-C30ハロゲン化アルコキシ基、置換もしくは非置換のC1-C30ハロゲン化アルキルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルコキシ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルキルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルコキシ基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルキルチオ基、置換もしくは非置換のC2-C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC2-C30アルケニルオキシ基、置換もしくは非置換のC2-C30アルケニルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルケニルオキシ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルケニルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルケニルオキシ基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルケニルチオ基、置換もしくは非置換のC2-C30アルキニル基、置換もしくは非置換のC2-C30アルキニルオキシ基、置換もしくは非置換のC2-C30アルキニルチオ基、置換もしくは非置換のC6-C30アリール基、置換もしくは非置換のC6-C30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC6-C30アリールチオ基、置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリールオキシ基、または置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリールチオ基であり、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素、重水素、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC1-C30アルキル基、置換もしくは非置換のC1-C30アルコキシ基、置換もしくは非置換のC1-C30アルキルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルコキシ基、または置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルキルチオ基であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項5】
前記有機金属化合物は、下記化学式1-1ないし1-16のうちいずれか1つで表される、請求項1に記載のレジスト組成物:
【化1】
前記化学式1-1ないし1-16において、
R
11aないしR
11dは、前記化学式1中のR
11の定義と同じであり、
R
12aないしR
12cは、前記化学式1中のR
12の定義と同じであり、
R
13aないしR
13cは、前記化学式1中のR
13の定義と同じであり、
R
14aないしR
14cは、前記化学式1中のR
14の定義と同じである。
【請求項6】
前記ラジカル生成基は、炭素原子とXとの単結合(C-X)、または炭素原子とX+との単結合(C-X+)を含み、Xは、炭素原子及び水素原子を除いた異種元素である、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項7】
Xは、ハロゲン、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子またはリン原子である、請求項6に記載のレジスト組成物。
【請求項8】
前記単結合(C-X)または(C-X+)中の炭素原子が、置換もしくは非置換のC1-C30アリール部分、または置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリール部分に結合している、請求項6に記載のレジスト組成物。
【請求項9】
前記ラジカル生成基は、下記化学式RGで表される部分構造を含む、請求項1に記載のレジスト組成物:
【化2】
前記化学式RGにおいて、
Arは、置換もしくは非置換のC
1-C
30アリール部分、または置換もしくは非置換のC
1-C
30ヘテロアリール部分であり、
R及びR’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、またはヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC
1-C
30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
X
1は、電子求引性基(electron withdrawing group)である。
【請求項10】
前記ラジカル受容基は、非共有電子対供与性基(lone pair electron donating group)及び/または電子供与性基(electron donating group)を含む、請求項1に記載のレジスト組成物。
【請求項11】
前記非共有電子対供与性基は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を部分構造として含む、請求項10に記載のレジスト組成物。
【請求項12】
前記電子供与性基は、水素原子とZとの単結合(Z-H)を含み、Zは、炭素原子及び水素原子を除いた異種元素である、請求項10に記載のレジスト組成物。
【請求項13】
前記ラジカル受容基は、下記化学式RA1またはRA2で表される部分構造を含む、請求項1に記載のレジスト組成物:
【化3】
前記化学式RA1及びRA2において、
Cyは、置換もしくは非置換のC
1-C
30炭素環部分、または置換もしくは非置換のC
1-C
30ヘテロ環部分であり、
Yは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、S=O、P=O、またはC=Oであり、
Zは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子であり、
:は、非共有電子対である。
【請求項14】
前記ラジカル生成基を含有する反復単位は、下記化学式2-1または2-2で表され、
前記ラジカル受容基を含有する反復単位は、下記化学式2-3ないし2-6のうちいずれか1つで表される、請求項1に記載のレジスト組成物:
【化4A】
【化4B】
前記化学式2-1ないし2-6において、
Arは、置換もしくは非置換のC
1-C
30アリール部分、または置換もしくは非置換のC
1-C
30ヘテロアリール部分であり、
X
1は、電子求引性基であり、
Cyは、置換もしくは非置換のC
1-C
30炭素環部分、または置換もしくは非置換のC
1-C
30ヘテロ環部分であり、
Yは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、S=O、P=O、またはC=Oであり、
:は、非共有電子対であり、
Z
1は、電子供与性基であり、
R、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、またはヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC
1-C
30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
L
1ないしL
9は、それぞれ独立して、単結合、O、S、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NH、NHC(=O)、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC
1-C
30の直鎖状、分枝状または環状の2価炭化水素基、またはそれらの任意の組み合わせであり、
n1ないしn9は、それぞれ独立して、1ないし6の整数であり、
pは、1ないし5の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項15】
下記化学式1で表される有機金属化合物と、
ラジカル生成基(radical generating group)またはラジカル受容基(radical accepting group)を含有するモノマーと、
を含む、レジスト組成物:
[化学式1]
Sn(R11)n(OR12)(4-n)
前記化学式1において、
R11は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
R12は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であるか、あるいは*-Sn(R13)m(OR14)(3-m)であり、
nは、1ないし4の整数であり、
R13及びR14は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
mは、0ないし3の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【請求項16】
前記モノマーは、少なくとも1つの重合性基を含む、請求項15に記載のレジスト組成物。
【請求項17】
請求項1に記載のレジスト組成物を塗布し、レジスト膜を形成する段階と、
高エネルギー線で前記レジスト膜の少なくとも一部を露光する段階と、
現像液を利用して、露光されたレジスト膜を現像する段階と、
を含む、パターン形成方法。
【請求項18】
前記露光する段階は、遠紫外線(DUV)、極紫外線(EUV)及び/または電子線(EB)を照射することによって遂行される、請求項17に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
前記レジスト膜を露光することにより、前記有機金属化合物と前記ポリマーとの間に化学結合を形成する、請求項17に記載のパターン形成方法。
【請求項20】
前記露光されたレジスト膜は、露光部と非露光部を含み、
前記現像する段階において、前記非露光部が除去される、請求項17に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト組成物及びそれを利用したパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造時、微細パターンを形成するために、光に反応して物性が変化するレジストを使用している。そのうち、化学増幅型レジスト(chemically amplified resist)が広く使用されてきた。化学増幅型レジストは、光と光酸発生剤とが反応して形成された酸がベース樹脂と再び反応し、前記ベース樹脂の現像液に対する溶解度を変化させることにより、パターニングを可能にする。
【0003】
しかし、化学増幅型レジストの場合、前記形成された酸が非露光領域まで拡散するにつれて、パターンの均一度が低くなったり、表面の粗さが増加したりするなどの問題が惹起される。また、半導体工程が次第に微細化されるにつれて、酸の拡散制御が容易でなく、新規の方式のレジスト開発が必要になった。
【0004】
近年、化学増幅型レジストの限界を克服するために、露光によって物性が変化する素材を開発しようとする試みが行われている。しかし、まだ露光時に必要なドーズ(dose:線量)が高いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、低いドーズの露光によっても物性が変化し、向上した解像度のパターンを提供するレジスト組成物及びそれを利用したパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面によって、下記化学式1で表される有機金属化合物と、ラジカル生成基(radical generating group)を含有する反復単位、ラジカル受容基(radical accepting group)を含有する反復単位、またはそれらの組み合わせを含むポリマーと、を含む、レジスト組成物が提供される:
[化学式1]
Sn(R11)n(OR12)(4-n)
前記化学式1において、
R11は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
R12は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であるか、あるいは*-Sn(R13)m(OR14)(3-m)であり、
nは、1ないし4の整数であり、
R13及びR14は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
mは、0ないし3の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0007】
他の側面によって、下記化学式1で表される有機金属化合物と、ラジカル生成基またはラジカル受容基を含有するモノマーと、を含む、レジスト組成物が提供される:
[化学式1]
Sn(R11)n(OR12)(4-n)
前記化学式1において、
R11は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
R12は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であるか、あるいは*-Sn(R13)m(OR14)(3-m)であり、
nは、1ないし4の整数であり、
R13及びR14は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
mは、0ないし3の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0008】
さらに他の側面によって、前述のレジスト組成物を塗布し、レジスト膜を形成する段階と、高エネルギー線で前記レジスト膜の少なくとも一部を露光する段階と、現像液を利用して、露光されたレジスト膜を現像する段階と、を含む、パターン形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、向上した感度を有し、向上した解像度のパターンを提供するレジスト組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態によるパターン形成方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態によるパターン形成方法を示す側断面図である。
【
図3A】化合物FBの
1H-NMRスペクトルである。
【
図3B】化合物FBの
119Sn-NMRスペクトルである。
【
図3C】化合物T1の
1H-NMRスペクトルである。
【
図3D】化合物T1の
119Sn-NMRスペクトルである。
【
図4A】比較例1のドーズによる現像後の膜厚変化を示す図面である。
【
図4B】実施例1のドーズによる現像後の膜厚変化を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、多様な変換を加えることができ、色々な実施形態を有することができるところ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本発明は、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。本発明を説明するにあたって関連した公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0012】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されるが、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にのみ使用され、構成要素の順序、種類などが限定されるものではない。
【0013】
本明細書において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上部」や「上」にあると記載されたものは、接触してすぐ上下左右にあるものだけでなく、非接触で上下左右にあるものも含む。
【0014】
単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。「含む」または「有する」などの用語は、特に反対になる記載がない限り、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料またはそれらの組み合わせが存在することを表すものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数、段階、動作、構成要素、部品、成分、材料またはそれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0015】
値の範囲が列挙される度に、当該範囲は、明示的に記載されているように当該範囲内に該当する全ての値を含み、範囲の境界をさらに含む。したがって、「XないしY」の範囲には、XとYとの間の全ての値が含まれ、X及びYも含まれる。
【0016】
本明細書において、「Cx-Cy」は、置換基を構成する炭素の個数がx個ないしy個であることを意味する。例えば、「C1-C6」は、置換基を構成する炭素の個数が1個ないし6個であることを意味し、「C6-C20」は、置換基を構成する炭素の個数が6個ないし20個であることを意味する。
【0017】
本明細書において、「1価炭化水素基」は、炭素及び水素を含む有機化合物またはその誘導体から誘導される1価残基を意味し、具体的な例には、直鎖状または分枝状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルへキシル基及びノニル基);1価飽和環脂肪族炭化水素基(シクロアルキル基)(例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロへキシルメチル基、シクロへキシルエチル基、シクロへキシルブチル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基及びジシクロへキシルメチル基);1価不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基、アルキニル基)(例えば、アリル基);1価不飽和環脂肪族炭化水素基(シクロアルケニル基)(例えば、3-シクロヘキセニル);アリール基(例えば、フェニル基、1-ナフチル基及び2-ナフチル基);アリールアルキル基(例えば、ベンジル基及びジフェニルメチル基);ヘテロ原子含有1価炭化水素基(例えば、テトラヒドロフラニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2-メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2-カルボキシ-1-シクロへキシル基、2-オキソプロピル基、4-オキソ-1-アダマンチル基及び3-オキソシクロへキシル基)、またはそれらの任意の組み合わせなどを含んでもよい。また、それらの基において、一部水素は、ヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄、窒素またはハロゲン原子を含むモイエティによって置換されるか、あるいは一部炭素は、ヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄または窒素を含むモイエティによって代替されるので、それらの基は、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物モイエティまたはハロアルキルモイエティを含むこともできる。
【0018】
本明細書において、「2価炭化水素基」は、2価残基であり、前記1価炭化水素基のいずれか1つの水素が隣接する原子との結合サイトによって代替されたものを意味する。2価炭化水素基は、例えば、直鎖状または分枝状のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、それらの一部炭素がヘテロ原子によって代替されたものなどを含んでもよい。本明細書において、「アルキル基」は、直鎖状または分枝状の飽和脂肪族炭化水素1価基を意味し、具体的な例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ter-ブチル基、ペンチル基、iso-アミル基、ヘキシル基などが含まれる。本明細書において、「アルキレン基」は、直鎖状または分枝状の飽和脂肪族炭化水素2価基を意味し、具体的な例には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基などが含まれる。
【0019】
本明細書において、「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の1以上の水素がハロゲンで置換された基を意味し、具体的な例には、CF3などが含まれる。
【0020】
本明細書において、「アルコキシ基」は、-OA101の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A101はアルキル基である。その具体的な例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などが含まれる。
【0021】
本明細書において、「アルキルチオ基」は、-SA101の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A101はアルキル基である。
【0022】
本明細書において、「ハロゲン化アルコキシ基」は、アルコキシ基の1以上の水素がハロゲンで置換された基を意味し、具体的な例には、-OCF3などが含まれる。
【0023】
本明細書において、「ハロゲン化アルキルチオ基」は、アルキルチオ基の1以上の水素がハロゲンで置換された基を意味し、具体的な例には、-SCF3などが含まれる。
【0024】
本明細書において、「シクロアルキル基」は、1価飽和炭化水素環状基を意味し、その具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基のような単環基と、ノルボルニル基、アダマンチル基のような縮合多環基とを含む。本明細書において、「シクロアルキレン基」は、2価飽和炭化水素環状基を意味し、その具体例は、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、アダマンチレン基、アダマンチルメチレン基、ノルボルニレン基、ノルボルニルメチレン基、トリシクロデカニレン基、テトラシクロドデカニレン基、テトラシクロドデカニルメチレン基、ジシクロヘキシルメチレン基などを含む。
【0025】
本明細書において、「シクロアルコキシ基」は、-OA102の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A102はシクロアルキル基である。その具体的な例には、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基などを含む。
【0026】
本明細書において、「シクロアルキルチオ基」は、-SA102の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A102はシクロアルキル基である。
【0027】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル基」は、前記シクロアルキル基の一部炭素がヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄または窒素を含むモイエティによって代替されたものであり、ヘテロシクロアルキル基は、具体的には、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート、ラクトン環、スルトン環またはカルボン酸無水物モイエティを含むこともできる。本明細書において、「ヘテロシクロアルキレン基」は、前記シクロアルキレン基の一部炭素がヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄または窒素を含むモイエティによって代替されたものである。
【0028】
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ基」は、-OA103の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A103はヘテロシクロアルキル基である。
【0029】
本明細書において、「アルケニル基」は、1以上の炭素-炭素二重結合を含む直鎖状または分枝状の不飽和脂肪族炭化水素1価基を意味する。本明細書において、「アルケニレン基」は、1以上の炭素-炭素二重結合を含む直鎖状または分枝状の不飽和脂肪族炭化水素2価基を意味する。
【0030】
本明細書において、「アルケニルオキシ基」は、-OA104の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A104はアルケニル基である。
【0031】
本明細書において、「シクロアルケニル基」は、1以上の炭素-炭素二重結合を含む1価の不飽和炭化水素環状基を意味する。本明細書において、「シクロアルケニレン基」は、1以上の炭素-炭素二重結合を含む2価の不飽和炭化水素環状基を意味する。
【0032】
本明細書において、「シクロアルケニルオキシ基」は、-OA105の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A105はシクロアルケニル基である。
【0033】
本明細書において、「ヘテロシクロアルケニル基」は、前記シクロアルケニレン基の一部炭素がヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄または窒素を含むモイエティによって代替されたものである。本明細書において、「ヘテロシクロアルケニレン基」は、前記シクロアルケニレン基の一部炭素がヘテロ原子、例えば、酸素、硫黄または窒素を含むモイエティによって代替されたものである。
【0034】
本明細書において、「ヘテロシクロアルケニルオキシ基」は、-OA106の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A106はヘテロシクロアルケニル基である。
【0035】
本明細書において、「アルキニル基」は、1以上の炭素-炭素三重結合を含む直鎖状または分枝状の不飽和脂肪族炭化水素1価基を意味する。
【0036】
本明細書において、「アルキニルオキシ基」は、-OA107の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A107はアルキニル基である。
【0037】
本明細書において、「アリール基」は、炭素環式芳香族系を有する1価基を意味し、具体的な例には、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、クリセニル基などを含む。
【0038】
本明細書において、「アリールオキシ基」は、-OA108の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A108はアリール基である。
【0039】
本明細書において、「ヘテロアリール基」は、複素環式芳香族系を有する1価基を意味し、具体的な例には、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基などを含む。本明細書において、「ヘテロアリーレン基」は、複素環式芳香族系を有する2価基を意味する。
【0040】
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ基」は、-OA109の化学式を有する1価基を意味し、ここで、A109はヘテロアリール基である。
【0041】
本明細書において、「置換基」は、重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボン酸基、アミノ基、エーテルモイエティ、エステルモイエティ、スルホン酸エステルモイエティ、カーボネートモイエティ、アミドモイエティ、ラクトンモイエティ、スルトンモイエティ、カルボン酸無水物モイエティ、C1-C20アルキル基、C1-C20ハロゲン化アルキル基、C1-C20アルコキシ基、C1-C20アルキルチオ基、C1-C20ハロゲン化アルコキシ基、C1-C20ハロゲン化アルキルチオ基、C3-C20シクロアルキル基、C3-C20シクロアルコキシ基、C3-C20シクロアルキルチオ基、C6-C20アリール基、C6-C20アリールオキシ基、C6-C20アリールチオ基、C1-C20ヘテロアリール基、C1-C20ヘテロアリールオキシ基、またはC1-C20ヘテロアリールチオ基;
重水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボン酸基、アミノ基、エーテルモイエティ、エステルモイエティ、スルホン酸エステルモイエティ、カーボネートモイエティ、アミドモイエティ、ラクトンモイエティ、スルトンモイエティ、カルボン酸無水物モイエティ、C1-C20アルキル基、C1-C20ハロゲン化アルキル基、C1-C20アルコキシ基、C1-C20アルキルチオ基、C1-C20ハロゲン化アルコキシ基、C1-C20ハロゲン化アルキルチオ基、C3-C20シクロアルキル基、C3-C20シクロアルコキシ基、C3-C20シクロアルキルチオ基、C6-C20アリール基、C6-C20アリールオキシ基、C6-C20アリールチオ基、C1-C20ヘテロアリール基、C1-C20ヘテロアリールオキシ基、C1-C20ヘテロアリールチオ基、及びそれらの任意の組み合わせによって置換された、C1-C20アルキル基、C1-C20ハロゲン化アルキル基、C1-C20アルコキシ基、C1-C20アルキルチオ基、C1-C20ハロゲン化アルコキシ基、C1-C20ハロゲン化アルキルチオ基、C3-C20シクロアルキル基、C3-C20シクロアルコキシ基、C3-C20シクロアルキルチオ基、C6-C20アリール基、C6-C20アリールオキシ基、C6-C20アリールチオ基、C1-C20ヘテロアリール基、C1-C20ヘテロアリールオキシ基、C1-C20ヘテロアリールチオ基;及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0042】
以下、本発明による実施形態を、図面を参照して詳細に説明し、図面を参照して説明するにあたって、実質的に同一のまたは対応する構成要素は、同一図面番号を付与し、それに係わる重複説明は省略する。図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さを誇張して示した。一方、後述する実施形態は、単に例示的なものに過ぎず、そのような実施形態から多様な変形が可能である。
【0043】
[レジスト組成物-ポリマーを含む]
例示的な実施形態によるレジスト組成物は、下記化学式1で表される有機金属化合物と、ラジカル生成基を含有する反復単位、ラジカル受容基を含有する反復単位、またはそれらの組み合わせを含むポリマーと、を含む:
[化学式1]
Sn(R11)n(OR12)(4-n)
前記化学式1において、
R11は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
R12は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であるか、あるいは*-Sn(R13)m(OR14)(3-m)であり、
nは、1ないし4の整数であり、
R13及びR14は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
mは、0ないし3の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0044】
前記有機金属化合物の分子量は、3000g/mol以下、具体的には、100g/mol以上かつ1000g/mol以下である。前記有機金属化合物は、ポリマーではなく、ポリマーの一反復単位が金属を含むポリマーとは区分される。
前記化学式1において、SnとR11との結合は、Sn-炭素単結合であり、SnとR13との結合は、Sn-炭素単結合である。前記有機金属化合物において、SnとR12、及びSnとR14がそれぞれ酸素原子を介して結合する一方、SnとR11、及びSnとR13は、それぞれR11及びR13に含まれた炭素原子がそれぞれSnに結合することができる。
【0045】
例えば、前記化学式1において、
R11及びR13がそれぞれ独立して*-(L11)a11-X11で表され、
R12及びR14がそれぞれ独立して*-(L12)a12-X12で表され、
L11及びL12は、それぞれ独立して、CRaRb、C=O、S=O、SO2、PO2、またはPO3であり、
a11及びa12は、それぞれ独立して、0ないし3の整数であり、
X11及びX12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1-C30アルキル基、置換もしくは非置換のC1-C30ハロゲン化アルキル基、置換もしくは非置換のC1-C30アルコキシ基、置換もしくは非置換のC1-C30アルキルチオ基、置換もしくは非置換のC1-C30ハロゲン化アルコキシ基、置換もしくは非置換のC1-C30ハロゲン化アルキルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルコキシ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルキルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルコキシ基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルキルチオ基、置換もしくは非置換のC2-C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC2-C30アルケニルオキシ基、置換もしくは非置換のC2-C30アルケニルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルケニルオキシ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルケニルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルケニル基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルケニルオキシ基、置換もしくは非置換のC3-C30ヘテロシクロアルケニルチオ基、置換もしくは非置換のC2-C30アルキニル基、置換もしくは非置換のC2-C30アルキニルオキシ基、置換もしくは非置換のC2-C30アルキニルチオ基、置換もしくは非置換のC6-C30アリール基、置換もしくは非置換のC6-C30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC6-C30アリールチオ基、置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリールオキシ基、または置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリールチオ基であり、
Ra及びRbは、それぞれ独立して、水素、重水素、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは非置換のC1-C30アルキル基、置換もしくは非置換のC1-C30アルコキシ基、置換もしくは非置換のC1-C30アルキルチオ基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルコキシ基、または置換もしくは非置換のC3-C30シクロアルキルチオ基であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0046】
一実施形態において、L11は、CRaRbまたはC=Oであり、L12は、C=O、S=O、SO2、PO2、PO3、またはNO2でもある。
【0047】
一実施形態において、X11及びX12は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1-C30アルキル基、置換もしくは非置換のC1-C30アルコキシ基、置換もしくは非置換のC6-C30アリール基、置換もしくは非置換のC6-C30アリールオキシ基、置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリール基、または置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリールオキシ基でもある。
【0048】
一実施形態において、X11及びX12は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-C6アルキル基、C1-C6ハロゲン化アルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6ハロゲン化アルコキシ基、C1-C6ハロゲン化アルキルチオ基、C3-C6シクロアルキル基、C3-C6シクロアルコキシ基、C3-C6シクロアルキルチオ基及びC6-C10アリール基のうち少なくとも1つで置換もしくは非置換のC1-C20アルキル基、または重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-C6アルキル基、C1-C6ハロゲン化アルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6ハロゲン化アルコキシ基、C1-C6ハロゲン化アルキルチオ基、C3-C6シクロアルキル基、C3-C6シクロアルコキシ基、C3-C6シクロアルキルチオ基及びC6-C10アリール基のうち少なくとも1つで置換もしくは非置換のC6-C20アリール基でもある。
【0049】
一実施形態において、L11は、CRaRbまたはC=Oであり、
L12は、C=O、S=O、SO2、PO2、PO3、またはNO2であり、
a11及びa12は、それぞれ独立して、0または1であり、
X11及びX12は、それぞれ独立して、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-C6アルキル基、C1-C6ハロゲン化アルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6ハロゲン化アルコキシ基、C1-C6ハロゲン化アルキルチオ基、C3-C6シクロアルキル基、C3-C6シクロアルコキシ基、C3-C6シクロアルキルチオ基及びC6-C10アリール基のうち少なくとも1つで置換もしくは非置換のC1-C20アルキル基、または重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、C1-C6アルキル基、C1-C6ハロゲン化アルキル基、C1-C6アルコキシ基、C1-C6ハロゲン化アルコキシ基、C1-C6ハロゲン化アルキルチオ基、C3-C6シクロアルキル基、C3-C6シクロアルコキシ基、C3-C6シクロアルキルチオ基及びC6-C10アリール基のうち少なくとも1つで置換もしくは非置換のC6-C20アリール基でもある。
【0050】
具体的には、前記有機金属化合物は、下記化学式1-1ないし1-16のうちいずれか1つで表される:
【化1】
前記化学式1-1ないし1-16において、
R
11aないしR
11dは、前記化学式1中のR
11の定義を参照し、
R
12aないしR
12cは、前記化学式1中のR
12の定義を参照し、
R
13aないしR
13cは、前記化学式1中のR
13の定義を参照し、
R
14aないしR
14cは、前記化学式1中のR
14の定義を参照する。
【0051】
より具体的には、前記有機金属化合物は、前記化学式1-1ないし1-4のうちいずれか1つで表される。
【0052】
特に、前記有機金属化合物は、下記グループIのうち選択される:
【化2A】
【化2B】
【化2C】
。
【0053】
前記グループIにおいて、nは、1ないし4の整数である。
例えば、前記グループIにおいて、nは2である。
【0054】
前記ポリマーは、酸によって構造が変化する反復単位を実質的に含まない。ここで、酸によって構造が変化する反復単位は、酸不安定性基(acid labile group)を含む反復単位を意味する。酸不安定性基は、三級二環式アルキル炭素を有するエステル基、三級脂環式炭素を含有するエステル基、または環状アセタールなどを意味する。酸不安定性基は、酸によってポリマーから脱離され、現像液、例えば、TMAH水溶液などにポリマーがより容易に溶解されるように作用する。
【0055】
前記ラジカル生成基は、炭素原子とXとの単結合(C-X)、または炭素原子とX+との単結合(C-X+)を含み、Xは、炭素原子及び水素原子を除いた異種元素である。例えば、Xは、ハロゲン、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子またはリン原子である。前記ラジカル生成基中のXと単結合する炭素原子は、置換もしくは非置換のC1-C30アリール部分、または置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリール部分がに結合されうる。前記ラジカル生成基中の炭素原子は、ベンジル位に存在するベンジル炭素原子であってよい。
【0056】
具体的には、前記ラジカル生成基は、下記化学式RGで表される部分構造を含んでもよい:
【化3】
【0057】
前記化学式RGにおいて、
Arは、置換もしくは非置換のC1-C30アリール部分、または置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリール部分であり、
R及びR’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、またはヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
X1は、電子求引性基(electron withdrawing group)である。
【0058】
例えば、前記化学式RGにおいて、X1は、少なくとも1つのハロゲン、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子またはリン原子を含んでもよい。
【0059】
具体的には、前記化学式RGにおいて、X1は、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、ヨードニウム塩、ハロゲン、R31SO3、R31CO2、R31PO2(OR32)、またはNO3であり、
R31及びR32は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基である。
【0060】
より具体的には、前記化学式RGにおいて、X
1は、下記化学式3-1ないし3-3で表される基、Cl、Br、I、R
31SO
3、R
31CO
2、R
31PO
2(OR
32)、またはNO
3であり、
R
31及びR
32は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC
1-C
30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基である:
【化4】
前記化学式3-1ないし3-3において、
A
31は、NまたはPであり、
A
32は、SまたはSeであり、
A
33は、Iであり、
B
31
-は、カウンターアニオンであり、
R
33ないしR
35は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC
1-C
30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、R
33ないしR
35の隣接する2つの基は、選択的に互いに結合して環を形成することができ、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0061】
例えば、前記化学式3-1ないし3-3において、B31
-は、ハロゲンイオン、R36SO3
-、R36CO2
-、R36PO4
-、PF6
-、またはBF4
-であり、R36は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C20の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基である。
【0062】
前記ラジカル生成基を含有する反復単位は、下記化学式2-1または2-2で表される:
【化5】
【0063】
前記化学式2-1及び2-2において、
Arは、置換もしくは非置換のC1-C30アリール部分、または置換もしくは非置換のC1-C30ヘテロアリール部分であり、
R、R’及びR’’は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハロゲン、またはヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
X1は、電子求引性基であり、
L1ないしL3は、それぞれ独立して、単結合または2価連結基であり、
n1ないしn3は、それぞれ独立して、1ないし6の整数であり、
pは、1ないし5の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0064】
前記2価連結基は、O、S、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NH、NHC(=O)、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の2価炭化水素基、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0065】
前記ラジカル生成基を含有する反復単位が前記化学式2-1で表される場合には、前記ラジカル生成基が側鎖にペンダント基として含まれる。
【0066】
前記ラジカル生成基を含有する反復単位が前記化学式2-2で表される場合には、少なくとも前記ラジカル生成基の一部が主鎖の一部を構成することができる。
【0067】
前記ラジカル受容基は、非共有電子対供与性基(lone pair electron donating group)及び/または電子供与性基(electron donating group)を含む。
【0068】
具体的には、前記非共有電子対供与性基は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子である。すなわち、前記非共有電子対供与性基は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子を部分構造として含む。
【0069】
具体的には、前記電子供与性基は、水素原子とZとの単結合(Z-H)を含み、Zは、炭素原子及び水素原子を除いた異種元素である。
【0070】
より具体的には、前記ラジカル受容基は、下記化学式RA1またはRA2で表される部分構造を含んでもよい:
【化6】
前記化学式RA1及びRA2において、
Cyは、置換もしくは非置換のC
1-C
30炭素環部分、または置換もしくは非置換のC
1-C
30ヘテロ環部分であり、
Yは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、S=O、P=O、またはC=Oであり、
Zは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子であり、
:は、非共有電子対である。
【0071】
前記化学式RA2において、Zは、NR31、PR31、O、S、またはそれらの任意の組み合わせを含み、
R31は、水素、重水素、またはヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基である。
【0072】
前記化学式RA2において、Zは、NR31、PR31、O、S、CO2、SO3、PO3H、またはPO(OR31)Oでもある。
【0073】
前記化学式RA2において、Zは、NH、PH、O、S、CO2、SO3、またはPO3Hでもある。
【0074】
電子供与性基は、NH2、PH2、OH、SH、CO2H、SO3H、またはPO3H2でもある。
【0075】
前記ラジカル受容基を含有する反復単位は、下記化学式2-3ないし2-6のうちいずれか1つで表される:
【化7】
前記化学式2-3ないし2-6において、
Cyは、置換もしくは非置換のC
1-C
30炭素環部分、または置換もしくは非置換のC
1-C
30ヘテロ環部分であり、
Yは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、S=O、P=O、またはC=Oであり、
:は、非共有電子対であり、
Z
1は、電子供与性基であり、
R’’は、水素、重水素、ハロゲン、またはヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC
1-C
30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
L
4ないしL
9は、それぞれ独立して、単結合または2価連結基であり、
n4ないしn9は、それぞれ独立して、1ないし6の整数であり、
pは、1ないし5の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0076】
前記2価連結基は、O、S、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NH、NHC(=O)、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の2価炭化水素基、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0077】
一実施形態において、ラジカル生成基を含有する反復単位、ラジカル受容基を含有する反復単位は、下記グループIIのうち選択される:
【化8A】
【化8B】
【化8C】
【化8D】
【化8E】
【化8F】
【化8G】
【化8H】
【化8I】
【化8J】
。
【0078】
前記グループIIにおいて、X31ないしX34は、それぞれ独立して、F、IまたはCH3であり、X35及びX36は、それぞれ独立して、OHまたはNH2である。
【0079】
一実施形態において、前記ポリマーは、下記化学式4で表される反復単位をさらに含んでもよい:
【化9】
前記化学式4において、
R
41は、水素、重水素、ハロゲン、またはヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC
1-C
30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
L
41ないしL
43は、それぞれ独立して、単結合、O、S、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、C(=O)NH、NHC(=O)、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC
1-C
30の直鎖状、分枝状または環状の2価炭化水素基、またはそれらの任意の組み合わせであり、
a41ないしa43は、それぞれ独立して、1ないし6の整数であり、
X
41は、非酸不安定性基(non-acid labile group)であり、
*は、それぞれ隣接する原子との結合サイトである。
【0080】
具体的には、前記化学式4において、R41は、前記化学式2-1中のR’’’に係わる説明を参照する。
【0081】
具体的には、前記化学式4において、L41ないしL43は、前記化学式2-1中のL1ないしL3に係わる説明を参照する。
【0082】
例えば、前記化学式4において、X41は、水素であるか、あるいはヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、カルボニル基、カルボキシル基、O、S、C(=O)、C(=O)O、OC(=O)、S(=O)O、OS(=O)、ラクトン環、スルトン環及びカルボン酸無水物モイエティのうち選択された1以上の極性モイエティ(部分)を含有するC1-C20の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基でもある。
【0083】
具体的には、前記化学式4において、X
41は、下記化学式5-1ないし5-5のうちいずれか1つで表される:
【化10】
前記化学式5-1ないし5-5において、
a51は、1または2であり、
R
51ないしR
59は、それぞれ独立して、隣接する原子との結合サイト、水素、ヒドロキシ基、ハロゲン、シアノ基、C
1-C
6アルキル基、C
1-C
6ハロゲン化アルキル基、C
1-C
6アルコキシ基、C
3-C
6シクロアルキル基、C
3-C
6シクロアルコキシ基、またはC
6-C
10アリール基であり、
R
51ないしR
53のうち1つ、R
54のうち1つ、R
55のうち1つ、R
56及びR
57のうち1つ、並びにR
58及びR
59のうち1つは、隣接する原子との結合サイトであり、
b51は、1ないし4の整数のうち選択され、
b52は、1ないし10の整数のうち選択され、
b53及びb54は、それぞれ独立して、1ないし8の整数のうち選択される。
【0084】
一実施形態において、前記化学式4で表される反復単位は、下記化学式4-1及び4-2のうちいずれか1つで表される:
【化11】
前記化学式4-1及び4-2において、
L
41及びX
41の定義は、それぞれ化学式4と同様であり、
a41は、1ないし4の整数のうち選択され、
R
42は、水素であるか、あるいはC
1-C
20の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
b42は、1ないし4の整数のうち選択され、
*は、それぞれ隣接する原子との結合サイトである。
【0085】
一実施形態において、前記ポリマーは、前記化学式2-1ないし2-6で表される反復単位と、前記化学式4で表される反復単位からなりうる。具体的には、前記ポリマーは、前記化学式4で表される反復単位を1ないし90モル%含み、前記化学式2-1ないし2-6で表される反復単位を10ないし99モル%含む。より具体的には、前記ポリマーは、前記化学式4で表される反復単位を10ないし80モル%含み、前記化学式4-2で表される反復単位を20ないし90モル%含む。
【0086】
前記ポリマーは、同一構造の反復単位のみからなってもよく、2種以上の互いに異なる反復単位を含んでもよい。
【0087】
前記ポリマーがコポリマーである場合、例えば、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであってもよい。
【0088】
前記ポリマーは、テトラヒドロフラン溶媒及びポリスチレンを標準物質として使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された重量平均分子量(Mw)が1,000ないし500,000、具体的には、2,000以上、3,000以上、200,000以下、または100,000以下である。
【0089】
前記ポリマーの多分散指数(PDI:Mw/Mn)は、1.0ないし3.0、具体的には、1.0ないし2.0である。前述の範囲を満足すれば、前記ポリマーの分散性及び/または相溶性を調節しやすく、異物がパターン上に残留する可能性が低くなったり、パターンプロファイルの劣化を最小化したりすることができる。これにより、前記レジスト組成物が微細パターンを形成するのにさらに適している。
【0090】
特定理論に限定されるものではないが、前記有機金属化合物は、熱及び/または高エネルギー線によりラジカルを形成しうる。具体的には、有機金属化合物のSn-炭素結合からラジカルが形成され、前記ポリマーは、前記ラジカルと反応し、化学結合を形成することができる。前記化学結合により、少なくとも前記有機金属化合物と前記ポリマーとの間に架橋が形成され、当該化学結合により、前記ポリマーの物性、特に、現像液に対する溶解度が変化しうる。
【0091】
前記レジスト組成物は、ポリマー自体が高エネルギー線によって物性が変化するので、非化学増幅型レジスト組成物に使用可能である。
【0092】
前記ポリマーは、酸素及び/または水分への抵抗性が相対的に高く、高エネルギー線のみによって物性が変化するので、保存安定性などが向上したレジスト組成物を提供することができる。
【0093】
前記ポリマーは、新規に形成された化学結合がポリマーの物性変化を誘導するので、ポリマー主鎖を分解して物性変化を誘導するシステムに比べて、低いドーズの高エネルギー線でもパターニングが可能なレジスト組成物を提供することができる。
【0094】
前記ポリマーは、任意の適切な方法によっても製造され、例えば、不飽和結合含有モノマーを有機溶剤に溶解させた後、ラジカル開始剤下で光重合及び/または熱重合することによっても製造される。
【0095】
前記ポリマーの構造(組成)は、FT-IR分析、NMR分析、蛍光X線(XRF)分析、質量分析、UV分析、単結晶X線構造解釈、粉末X線回折(PXRD)分析、液体クロマトグラフィー(LC)分析、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析、熱分析などを行うことによって確認することができる。詳細な確認方法は、実施例に記載した通りである。
【0096】
前記レジスト組成物は、高エネルギー線の露光により、現像液に対する溶解性が変化する。前記レジスト組成物は、レジスト膜の未露光部が溶解除去され、ネガティブ型レジストパターンを形成するネガティブ型レジスト組成物でもある。
【0097】
また、一実施形態による敏感性レジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を利用するアルカリ現像プロセス用であってもよく、その現像処理に有機溶媒を含む現像液(以下、有機現像液ともいう)を利用する溶剤現像プロセス用であってもよい。
【0098】
前記レジスト組成物は非化学増幅型であるため、光酸発生剤を実質的に含まない。
【0099】
前記レジスト組成物は、前記ポリマーが露光によって物性が変化するので、前記ポリマー以外に分子量1,000以上の化合物を実質的に含まない。
【0100】
前記レジスト組成物において、前記有機金属化合物は、前記ポリマー100重量部に対し、10ないし1000重量部、具体的には、20ないし500重量部である。前述の範囲を満足すれば、有機金属化合物とポリマーとの化学結合が十分に形成され、向上した感度及び/または解像度のレジスト組成物を提供することができる。
【0101】
ポリマーは前述の通りであるので、以下、有機溶媒、及び必要に応じて含有される任意成分について説明する。また、前記レジスト組成物に使用されるポリマーは、1種が使用されてもよく、互いに異なる2種以上が組み合わせられて使用されてもよい。
【0102】
<有機溶媒>
前記レジスト組成物は、有機溶媒をさらに含んでもよい。前記レジスト組成物に含まれる有機溶媒は、ポリマー、及び必要に応じて含有される任意成分などを溶解または分散可能なものであれば、特に制限されない。前記有機溶媒は、1種が使用されてもよく、互いに異なる2種以上が組み合わせられて使用されてもよい。また、水と有機溶媒とを混合した混合溶媒を使用することもできる。
【0103】
有機溶媒の例としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、スルホキシド系溶媒、炭化水素系溶媒などが挙げられる。
【0104】
より具体的には、アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、イソペンタノール、2-メチルブタノール、sec-ペンタノール、tert-ペンタノール、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、sec-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、sec-オクタノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、sec-へプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノへキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノへキシルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0105】
エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどのジアルキルエーテル系溶媒;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状エーテル系溶媒;ジフェニルエーテル、アニソールなどの芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
【0106】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-へプタノン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-へキシルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノンなどの鎖状ケトン系溶媒;シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノンなどの環状ケトン系溶媒;2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノンなどが挙げられる。
【0107】
アミド系溶媒としては、例えば、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン、N-メチル-2-ピロリドンなどの環状アミド系溶媒;N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミドなどの鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
【0108】
エステル系溶媒としては、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n-ブチルアセテート、イソブチルアセテート、sec-ブチルアセテート、T-ブチルアセテート、n-ペンチルアセテート、イソペンチルアセテート、sec-ペンチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メチルペンチルアセテート、2-エチルブチルアセテート、2-エチルへキシルアセテート、ベンジルアセテート、シクロへキシルアセテート、メチルシクロへキシルアセテート、n-ノニルアセテートなどのアセテートエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの多価アルコール含有エーテルカルボキシレート系溶媒;γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトンなどのラクトン系溶媒;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒;メチルラクテート、エチルラクテート、n-ブチルラクテート、n-アミルラクテートなどのラクテートエステル系溶媒;グリコールジアセテート、メトキシトリグリコールアセテート、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸イソアミル、ジエチルオキサレート、ジ-n-ブチルオキサレート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。
【0109】
スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどが挙げられる。
【0110】
炭化水素系溶媒としては、例えば、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、イソヘプタン、2,2,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、n-アミルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
具体的には、前記有機溶媒は、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、スルホキシド系溶媒及びそれらの任意の組み合わせから選択される。より具体的には、前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、エチルラクテート、ジメチルスルホキシド及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0111】
前記有機溶媒は、前記ポリマー100重量部に対し、200ないし5,000重量部、具体的には、400ないし3,000重量部で使用可能である。
【0112】
<任意成分>
前記レジスト組成物は、必要に応じて、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、着色剤またはそれらの任意の組み合わせをさらに含んでもよい。
【0113】
前記レジスト組成物は、塗布性、現像性などを向上させるために界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn-オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn-ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートなどの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は、市販品を利用してもよく、合成品を利用してもよい。界面活性剤の市販品の例としては、例えば、KP341(信越化学工業株式会社製)、POLYFLOW No.75及びPOLYFLOW No.95(共栄社化学株式会社製)、FTOP EF301、FTOP EF303及びFTOP EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社製)、MEGAFACE(登録商標)F171、MEGAFACE F173、R40、R41及びR43(DIC株式会社製)、Fluorad(登録商標)FC430及びFluorad FC431(3M社製)、AsahiGuard AG710(AGC株式会社製)、Surflon(登録商標)S-382、Surflon SC-101、Surflon SC-102、Surflon SC-103、Surflon SC-104、Surflon SC-105及びSurflon SC-106(AGCセイミケミカル株式会社製)などが挙げられる。
【0114】
前記界面活性剤は、前記ポリマー100重量部に対し、0ないし20重量部で含まれる。前記界面活性剤は、1種が使用されてもよく、互いに異なる2種以上が混合して使用されてもよい。
【0115】
前記レジスト組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、ポリマー、及び必要に応じて添加される任意成分を有機溶媒中で混合する方法を使用することができる。混合時の温度や時間は、特に制限されない。必要に応じて、混合後に濾過を行うことができる。
【0116】
[レジスト組成物-モノマーを含む]
例示的な実施形態によるレジスト組成物は、下記化学式1で表される有機金属化合物と、ラジカル生成基またはラジカル受容基を含有するモノマーと、を含む:
[化学式1]
Sn(R11)n(OR12)(4-n)
前記化学式1において、
R11は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
R12は、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であるか、あるいは*-Sn(R13)m(OR14)(3-m)であり、
nは、1ないし4の整数であり、
R13及びR14は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を選択的に含有していてもよいC1-C30の直鎖状、分枝状または環状の1価炭化水素基であり、
mは、0ないし3の整数であり、
*は、隣接する原子との結合サイトである。
【0117】
例えば、前記モノマーは、少なくとも1つの重合性基(polymerizable group)を含んでもよい。
【0118】
具体的には、前記重合性基は、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、オキシラン基、エポキシ基、オキセタン基、チオール基、またはそれらの任意の組み合わせを部分構造として含む。
【0119】
より具体的には、前記重合性基は、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、またはそれらの任意の組み合わせを部分構造として含む。
【0120】
一実施形態において、ラジカル生成基またはラジカル受容基を含有するモノマーは、下記グループIIIのうちから選択される:
【化12A】
【化12B】
【化12C】
【化12D】
【化12E】
【化12F】
【化12G】
【化12H】
【化12I】
【化12J】
。
【0121】
前記グループIIIにおいて、X31ないしX34は、それぞれ独立して、F、IまたはCH3であり、X35及びX36は、それぞれ独立して、OHまたはNH2である。
【0122】
前記モノマーを含むレジスト組成物は、ポリマーの代わりにモノマーを含むという点を除いては、前述のポリマーを含むレジスト組成物と同様である。前記モノマーを含むレジスト組成物に係わる説明は、前記ポリマーを含むレジスト組成物を参照する。
【0123】
[パターン形成方法]
以下、
図1及び
図2を参照して、例示的な実施形態によるパターン形成方法についてさらに詳細に説明する。
図1は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示すフローチャートであり、
図2は、例示的な実施形態によるパターン形成方法を示す側断面図である。以下、ネガティブレジスト組成物を利用したパターン形成方法を一例示として具体的に説明するが、それに限定されるものではない。
【0124】
図1を参照すれば、パターン形成方法は、レジスト組成物を塗布し、レジスト膜を形成する段階(S101)と、高エネルギー線で前記レジスト膜の少なくとも一部を露光する段階(S102)と、現像液を利用して、露光されたレジスト膜を現像する段階(S103)と、を含む。前記段階は、必要に応じて省略可能であり、順序を変えて実施することも可能である。
【0125】
まず、基板100を準備する。基板100は、例えば、シリコン基板、ゲルマニウム基板のような半導体基板、ガラス、石英、セラミック、銅などを使用することができる。一部実施形態において、基板100は、GaP、GaAs、GaSbのようなIII-V族化合物を含むこともできる。
【0126】
基板100にレジスト組成物を所望の厚さに、具体的にはコーティング法によって塗布し、レジスト膜110を形成することができる。必要に応じて、前記レジスト膜110に残存する有機溶媒を除去するために加熱(プリベーク(PB)またはポストアニーリングベーク(PAB)という)することもできる。あるいは、前記レジスト膜110を加熱することにより、ラジカルを生成させ、以後、露光によって前記ラジカルが化学結合することにより、架橋(crosslink)を形成させることも可能である。
【0127】
コーティング法としては、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の一般的なコーティング法を使用することができる。それらのうち特にスピンコーティングを使用することができ、レジスト組成物の粘度、濃度及び/またはスピン速度を調節し、所望の厚さのレジスト膜110を形成することができる。具体的には、レジスト膜110の厚さは、10nmないし300nmでもある。より具体的には、レジスト膜110の厚さは、15nmないし200nmでもある。
【0128】
ポストアニーリングベークの温度の下限は、60℃以上、具体的には、80℃以上でもある。また、ポストアニーリングベークの温度の上限は、200℃以下、具体的には、180℃以下でもある。ポストアニーリングベークの時間の下限は、5秒以上、具体的には、10秒以上でもある。ポストアニーリングベークの時間の上限は、600秒以下、具体的には、300秒以下でもある。
【0129】
基板100にレジスト組成物を塗布する前に、基板100上にエッチング対象膜(図示せず)をさらに形成することもできる。前記エッチング対象膜は、レジストパターンからイメージが転写され、所定のパターンに変換される層を意味する。一実施形態において、前記エッチング対象膜は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの絶縁物質を含むように形成されうる。一部実施形態において、前記エッチング対象膜は、金属、金属窒化物、金属シリサイド、金属シリサイド窒化膜などの導電物質を含むように形成されうる。一部実施形態において、前記エッチング対象膜は、ポリシリコンなどの半導体物質を含むように形成されうる。
【0130】
一実施形態において、レジストの効率を最大限発揮するように、基板100上に反射防止膜をさらに形成することもできる。前記反射防止膜は、有機系または無機系の反射防止膜である。
【0131】
一実施形態において、工程中に含まれるアルカリ性不純物などの影響を低減させるために、レジスト膜100上に保護膜をさらに設けることもできる。また、液浸露光を行う場合には、液浸媒体とレジスト膜100との直接的な接触を避けるために、例えば、レジスト膜100上に液浸用保護膜を設置することもできる。
【0132】
次いで、高エネルギー線でレジスト膜110の少なくとも一部を露光することができる。例えば、マスク120を通過した高エネルギー線が、レジスト膜110の少なくとも一部に照射される。これにより、レジスト膜110は、露光部111と非露光部112を有することができる。
【0133】
特定理論に限定されるものではないが、露光によって露光部111でラジカルが生成され、前記ラジカル間に化学結合が形成され、レジスト組成物の物性が変化しうる。
当該露光は、場合によっては、水などの液体を媒体とし、所定のパターンを有するマスクを介して高エネルギー線を照射することによって行われる。前記高エネルギー線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、超紫外線(EUV、波長13.5nm)、X線、γ線などの電磁波;電子線(EB)、α線などの荷電粒子線などが挙げられる。それらの高エネルギー線を照射することを総称して「露光」という。
【0134】
露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)などの紫外領域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAGまたは半導体レーザなど)からのレーザ光を波長変換し、遠紫外領域または真空紫外領域の高調波レーザ光を放射するもの、電子線や極紫外線(EUV)を照射するものなど多様なものを利用することができる。露光時、通常、所望のパターンに該当するマスクを介して露光が行われるが、露光光源が電子線である場合は、マスクを利用せず、直接描画によって露光することもできる。
【0135】
高エネルギー線の積算線量は、例えば、高エネルギー線として極紫外線を使用する場合、積算線量は、2000mJ/cm2以下、具体的には、500mJ/cm2以下でもある。また、高エネルギー線として電子線を使用する場合、積算線量は、5000μC/cm2以下、具体的には、1000μC/cm2以下でもある。
【0136】
また、露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行うことができる。PEBの温度の下限は、50℃以上、具体的には、80℃以上でもある。PEBの温度の上限は、250℃以下、具体的には、200℃以下でもある。PEBの時間の下限は、5秒以上、具体的には、10秒以上でもある。PEBの時間の上限は、600秒以下、具体的には、300秒以下でもある。
【0137】
次いで、現像液を利用して、露光されたレジスト膜110を現像することができる。非露光部112は、現像液によって洗い流し、露光部111は、現像液によって洗い流せずに残ることになる。
【0138】
現像液としては、アルカリ現像液、有機溶媒を含む現像液(以下、「有機現像液」ともいう)などが挙げられる。現像方法としては、ディッピング法、パドル法、スプレー法、ダイナミック投与法などが挙げられる。現像温度は、例えば、5℃以上かつ60℃以下でもあり、現像時間は、例えば、5秒以上かつ300秒以下でもある。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN)などのアルカリ性化合物の1種以上を溶解したアルカリ性水溶液などが挙げられる。アルカリ現像液には、界面活性剤がさらに含まれてもよい。
【0139】
アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の含有量の下限は、0.1重量%以上でもあり、具体的には、0.5重量%以上、より具体的には、1重量%以上でもある。また、アルカリ現像液中のアルカリ性化合物の含有量の上限は、20重量%以下でもあり、具体的には、10重量%以下、より具体的には、5重量%以下でもある。
【0140】
有機現像液に含まれる有機溶媒として、例えば、前記[レジスト組成物]の<有機溶媒>のパートで例示した有機溶媒と同様のものを使用することができる。具体的には、前記有機現像液として、nBA(n-ブチルアセテート)、PGME(プロピレングリコールメチルエーテル)、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、GBL(γ-ブチロラクトン)、IPA(イソプロパノール)などが使用される。
【0141】
有機現像液における有機溶媒の含有量の下限は、80重量%以上、具体的には、90重量%以上、より具体的には、95重量%以上、特に99重量%以上でもある。
【0142】
有機現像液には、界面活性剤が含まれてもよい。また、有機現像液には、微量の水分が含まれてもよい。また、現像時、有機現像液とは異なる種類の溶剤に置換することにより、現像を停止することもできる。
【0143】
現像後のレジストパターンをさらに洗浄することができる。洗浄液としては、超純水、リンス液などを使用することができる。リンス液としては、レジストパターンを溶解しないものであれば、特に制限されず、一般的な有機溶媒を含む溶液を使用することができる。例えば、リンス液は、アルコール系溶媒またはエステル系溶媒であってもよい。洗浄後、基板及びパターン上に残ったリンス液を除去することができる。また、超純水を使用したときは、基板及びパターン上に残った水を除去することができる。
【0144】
また、現像液は、1種単独、または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0145】
前述のようにレジストパターンを形成した後、エッチングすることにより、パターン配線基板が得られる。エッチング法は、プラズマガスを使用するドライエッチング、及びアルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液などによるウェットエッチングなど、公知の方法によって実施される。
【0146】
レジストパターンを形成した後、メッキを実施することもできる。メッキ法としては、特に限定されないが、例えば、銅メッキ、半田メッキ、ニッケルメッキ、金メッキなどがある。
【0147】
エッチング後の残存レジストパターンは、有機溶媒で剥離することができる。そのような有機溶媒の例としては、特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、乳酸エチル(EL)などが挙げられる。剥離方法としては、特に限定されないが、例えば、浸漬法、スプレー方式などが挙げられる。また、レジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でもあり、小直径貫通孔を有することもできる。
【0148】
一実施形態において、配線基板は、レジストパターン形成後、金属を真空中で蒸着し、その後、レジストパターンを溶液に溶かす方法、すなわち、リフトオフ法によって形成することもできる。
【0149】
本発明を、以下の実施例及び比較例を利用してさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲が以下の実施例にのみ制限されるものではない。
【実施例0150】
[実施例]
合成例1:SP33の合成
100ml反応器に、開始剤V601(和光ケミカル社製、0.426g、1.84mmol)、2-アセトキシスチレン及びアゾ開始剤(V601)0.2g(0.9mmol)を1,4-ジオキサン3mLに溶解させた。常温で撹拌しながら、窒素バブリングを約20分間行った。バブリングを完了し、反応器を再び密閉した後、80℃で重合反応を4時間行った。反応が完了した後、重合物をヘキサン200ml中で沈殿させた。ガラスフィルタを利用して沈殿物を得て、真空乾燥オーブンで40℃にて一晩乾燥した。重量平均分子量が6320g/mol、PDIが1.55であるポリマーSP33(収率:55%)を得た。
【0151】
合成例2:化合物T1の合成
(1)ジ(4-フルオロベンジル)スズジクロリド(FB)の合成
<ジ(4-フルオロベンジル)スズジクロリド(FB)>
【化13】
スズ粉末(8.2g、69mmol)及び120mlの乾燥トルエンを250mlの反応フラスコに入れた後、90℃に加熱した。次いで、0.82gの純水を触媒として添加し、4-フルオロベンジルクロリド(10g、69mmol)を10分にわたって滴加した。反応温度を130℃に昇温した後、4時間還流加熱した。反応終決後、反応しない粉末をフィルタで除去し、冷却し、白色結晶を得た。得られた白色結晶を冷たいトルエンで洗浄した後、40℃で一晩乾燥させ、化合物FBを10.92g(収率:60%)得た。得られた化合物FBを
1H-NMR及び
119Sn-NMRによって分析し、それぞれ
図3A及び
図3Bに示した。
【0152】
(2)ジ(4-フルオロベンジル)スズジカルボキシラート(T1)の合成
<ジ(4-フルオロベンジル)スズジカルボキシラート(アセテート)(T1)>
【化14】
ジ(4-フルオロベンジル)スズジクロリド(0.5g、1.23mmol)及び7gのアセトンを氷水槽内の50mlの反応フラスコに入れた。ここに、酢酸ナトリウム(0.2g、2.45mmol)を添加した。一晩撹拌した後、フィルタし、得られた固体を乾燥し、化合物T1を0.45g(収率:65%)得た。得られた化合物T1を
1H-NMR及び
119Sn-NMRによって分析し、それぞれ
図3C及び
図3Dに示した。
【0153】
評価例:薄膜現像評価
具体的には、合成例1で合成されたポリマー、及び合成例2で合成された化合物T1を、下記表1に記載されたキャスティング溶媒に2重量%で溶解させた。このとき、ポリマー及び有機金属化合物の重量比は、下記表1に記載された通りである。HMDSが3nmの下部膜としてコーティングされたシリコンウェーハ上に、キャスティング溶液を1500rpmでスピンコーティングした後、120℃で1分間乾燥し、下記表1の初期厚さを有する膜を作製した。次いで、254nm波長のDUVを0ないし60mJ/cm
2のドーズで露光し、150℃ないし200℃で1分間乾燥した。乾燥した膜を、2重量%で酢酸が溶解されたPGMEA溶液を現像液として使用し、25℃で60秒間浸けた後、残っている膜厚を測定し、下記表2及び
図4Aないし
図4Cに示した。
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
前記表2において、E
thは、薄膜が硬化され始める時点の露光量を意味し、E
1は、薄膜の厚さがそれ以上厚くならない飽和点の露光量を意味する。残膜率は、飽和点での薄膜厚を初期厚さで割った値を百分率で表したものであり、γは、対比曲線(Contrast Curve)であって、下記数式1によって計算された値である。
【数1】
【0158】
表2を参照すれば、実施例1は、比較例1よりさらに大きいγ値を示すことを確認することができるが、これは、実施例1のレジスト組成物が比較例1のレジスト組成物より向上した感度を有しているということを示唆する。