(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009430
(43)【公開日】2024-01-23
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/16 20060101AFI20240116BHJP
G11C 13/00 20060101ALI20240116BHJP
H10B 61/00 20230101ALI20240116BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20240116BHJP
【FI】
G11C11/16 240
G11C11/16 230
G11C11/16 100A
G11C11/16 220
G11C13/00 270G
G11C13/00 480J
H01L27/105 447
H01L43/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110948
(22)【出願日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【弁理士】
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】阪井 塁
(72)【発明者】
【氏名】肥後 豊
(72)【発明者】
【氏名】細見 政功
(72)【発明者】
【氏名】平賀 啓三
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA01
4M119AA07
4M119BB01
4M119CC09
4M119DD09
4M119DD17
4M119DD32
4M119DD42
4M119EE22
4M119EE27
4M119HH01
4M119KK04
5F092AB07
5F092AC12
5F092AD13
5F092AD23
5F092AD24
5F092AD25
5F092BB24
5F092BB34
5F092BB36
5F092BB43
5F092BC07
(57)【要約】
【課題】メモリセルにセレクタ素子を設けることなく、電圧駆動に基づいて磁化反転可能なメモリセルを実現する。
【解決手段】記憶装置は、磁気抵抗効果素子が設けられたメモリセルと、磁気抵抗効果素子の一端に接続されたワード線と、磁気抵抗効果素子の他端に接続されたビット線とを備える。磁気抵抗効果素子は、VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果を持てもよい。VCMA効果に基づいて磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧を印加するドライバを備えてもよい。ドライバは、反転電圧が選択セルに印加され、磁気抵抗効果素子の磁化方向が反転されない非反転電圧が非選択セルに印加されるようにメモリセルに印加される電圧を切り替えてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気抵抗効果素子が設けられたメモリセルと、
前記磁気抵抗効果素子の一端に接続されたワード線と、
前記磁気抵抗効果素子の他端に接続されたビット線と
を具備する記憶装置。
【請求項2】
前記磁気抵抗効果素子は、VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果を持つ
請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
前記VCMA効果は非線形である
請求項2記載の記憶装置。
【請求項4】
前記VCMA効果は、前記磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が低い点では高い点に比べて傾きが小さい領域を持つ
請求項3記載の記憶装置。
【請求項5】
前記VCMA効果に基づいて前記磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧を印加するドライバを
さらに具備する請求項1記載の記憶装置。
【請求項6】
前記ドライバは、前記反転電圧が選択セルに印加され、前記磁気抵抗効果素子の磁化方向が反転されない非反転電圧が非選択セルに印加されるように前記メモリセルに印加される電圧を切り替える
請求項5記載の記憶装置。
【請求項7】
前記磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで前記磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるように前記ワード線と前記ビット線との間の抵抗を制御する抵抗制御回路を
さらに具備する請求項6記載の記憶装置。
【請求項8】
前記抵抗制御回路は、ゲート電圧に基づいてオン抵抗が変化する電界効果トランジスタを備える
請求項7記載の記憶装置。
【請求項9】
前記電界効果トランジスタは、前記ワード線ごとに設けられる
請求項8記載の記憶装置。
【請求項10】
前記電界効果トランジスタは、前記ビット線ごとに設けられる
請求項8記載の記憶装置。
【請求項11】
前記磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第1ゲート電圧と、前記磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第2ゲート電圧とを切り替えるゲート電圧切替部を
さらに具備する請求項8記載の記憶装置。
【請求項12】
前記ドライバは、
前記ワード線と前記ビット線との間に印加されるライト電圧のX/(X+Y)(XおよびYは、前記磁気抵抗効果素子の磁化方向が反転しない値)のワード線電圧を、選択セルに接続された前記ワード線に印加するワード線ドライバと、
前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧のY/(X+Y)のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加するビット線ドライバとを備える
請求項11記載の記憶装置。
【請求項13】
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加する
請求項12記載の記憶装置。
【請求項14】
前記選択セルに接続された前記ワード線に印加される前記ワード線電圧の印加タイミングと、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加される前記ビット線電圧の印加タイミングとの少なとも一部が互いに重なるように制御する制御回路を
さらに具備する請求項12記載の記憶装置。
【請求項15】
前記磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合、
前記ゲート電圧切替部は、前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧を印加し、
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、前記選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加する
請求項14記載の記憶装置。
【請求項16】
前記磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合、
前記ゲート電圧切替部は、前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧を印加し、
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、前記選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加する
請求項14記載の記憶装置。
【請求項17】
前記選択セルが接続された前記ビット線に流れる電流に基づいて、前記選択セルに記憶されているデータを検知する読出し回路を
さらに具備する請求項14記載の記憶装置。
【請求項18】
前記選択セルからデータを読み出す場合、
前記ゲート電圧切替部は、前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧を印加し、
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、前記選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加し、
前記読出し回路は、前記選択セルが接続された前記ビット線に流れる電流の変化を測定し、
前記ビット線に流れる電流が変化しない場合、前記選択セルから読み出されたデータは0であると判断し、
前記ビット線に流れる電流が増大した場合、前記選択セルから読み出されたデータは1であると判断し、
前記選択セルから読み出されたデータが1であると判断された場合、
前記ゲート電圧切替部は、前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧を印加し、
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、前記選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加する
請求項17記載の記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、記憶装置に関する。詳しくは、本技術は、VC-MRAM(Voltage Controlled Magnetoresistive Random Access Memory)が設けられた記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気トンネル接合(MTJ(Magnetic Tunnel Junction))素子の磁化反転に電流駆動を用いるMRAMに比べて低消費電力化が可能な方式として、MTJ素子の磁化反転に電圧駆動を用いるVC-MRAMがある。このようなVC-MRAMとして、例えば、第1配線と第2配線との間に接続され、セレクタ素子と磁気抵抗効果素子とを含む磁気メモリが提案されている。この磁気メモリでは、メモリセルにデータを書き込む電圧は、第1電圧および第2電圧を含み、第1電圧の電圧値は、第2電圧の電圧値より低く、第1電圧の印加期間は、第2電圧の印加期間より長い(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、メモリセルは、磁気抵抗効果素子の他、メモリセルを選択するために、磁気抵抗効果素子に直列に接続されたセレクタ素子を含む。このため、VC-MRAMに用いられるメモリセルの構成の複雑化を招くおそれがあった。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、メモリセルを選択するセレクタ素子をメモリセルに設けることなく、電圧駆動に基づいて磁化反転可能なメモリセルを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、磁気抵抗効果素子が設けられたメモリセルと、上記磁気抵抗効果素子の一端に接続されたワード線と、上記磁気抵抗効果素子の他端に接続されたビット線とを具備する記憶装置である。これにより、メモリセルを選択するセレクタ素子がメモリセルから除去されるという作用をもたらす。
【0007】
また、第1の側面において、上記磁気抵抗効果素子は、VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果を持ってもよい。これにより、磁化反転に電圧駆動を用いるメモリセルが実現されるという作用をもたらす。
【0008】
また、第1の側面において、上記VCMA効果は非線形でもよい。これにより、選択セルに反転電圧を印加しつつ、非選択セルの反転確率が低減されるという作用をもたらす。
【0009】
また、第1の側面において、上記VCMA効果は、上記磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が低い点では高い点に比べて傾きが小さい領域を持ってもよい。これにより、選択セルに反転電圧を印加しつつ、非選択セルの反転確率が低減されるという作用をもたらす。
【0010】
また、第1の側面において、上記VCMA効果に基づいて上記磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧を印加するドライバをさらに具備してもよい。これにより、VCMA効果に基づいて磁気抵抗効果素子にデータが書き込まれるという作用をもたらす。
【0011】
また、第1の側面において、上記ドライバは、上記反転電圧が選択セルに印加され、上記磁気抵抗効果素子の磁化方向が反転されない非反転電圧が非選択セルに印加されるように上記メモリセルに印加される電圧を切り替えてもよい。これにより、VCMA効果に基づいて選択セルにデータが書き込まれるという作用をもたらす。
【0012】
また、第1の側面において、上記磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで上記磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるように上記ワード線と上記ビット線との間の抵抗を制御する抵抗制御回路をさらに具備してもよい。これにより、磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧に基づいて磁気抵抗効果素子にデータが書き込まれるという作用をもたらす。
【0013】
また、第1の側面において、上記抵抗制御回路は、ゲート電圧に基づいてオン抵抗が変化する電界効果トランジスタを備えてもよい。これにより、磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるという作用をもたらす。
【0014】
また、第1の側面において、上記電界効果トランジスタは、上記ワード線ごとに設けられてもよい。これにより、選択セルに接続された選択ワード線の抵抗が制御されるという作用をもたらす。
【0015】
また、第1の側面において、上記電界効果トランジスタは、上記ビット線ごとに設けられてもよい。これにより、選択セルに接続された選択ビット線の抵抗が制御されるという作用をもたらす。
【0016】
また、第1の側面において、上記磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に上記電界効果トランジスタに印加される第1ゲート電圧と、上記磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に上記電界効果トランジスタに印加される第2ゲート電圧とを切り替えるゲート電圧切替部をさらに具備してもよい。これにより、ゲート電圧の切り替えに基づいて、磁気抵抗効果素子の書込みが実施されるという作用をもたらす。
【0017】
また、第1の側面において、上記ドライバは、上記ワード線と上記ビット線との間に印加されるライト電圧のX/(X+Y)(XおよびYは、上記磁気抵抗効果素子の磁化方向が反転しない値)のワード線電圧を、選択セルに接続された上記ワード線に印加するワード線ドライバと、上記ワード線電圧と極性が逆で上記ライト電圧のY/(X+Y)のビット線電圧を、上記選択セルに接続された上記ビット線に印加するビット線ドライバとを備えてもよい。これにより、ワード線電圧およびビット線電圧に基づいて、メモリセルの選択状態が設定されるという作用をもたらす。
【0018】
また、第1の側面において、上記ワード線ドライバは、上記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、選択セルに接続された上記ワード線に印加し、上記ビット線ドライバは、上記ワード線電圧と極性が逆で上記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、上記選択セルに接続された上記ビット線に印加してもよい。これにより、ワード線電圧に基づく非選択セルの反転確率およびビット線電圧に基づく非選択セルの反転確率が均等化されるという作用をもたらす。
【0019】
また、第1の側面において、上記選択セルに接続された上記ワード線に印加される上記ワード線電圧の印加タイミングと、上記選択セルに接続された上記ビット線に印加される上記ビット線電圧の印加タイミングとの少なとも一部が互いに重なるように制御する制御回路をさらに具備してもよい。これにより、反転電圧が非選択セルに印加されないようにして反転電圧が選択セルに印加されるという作用をもたらす。
【0020】
また、第1の側面において、上記磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合、上記ゲート電圧切替部は、上記電界効果トランジスタに上記第1ゲート電圧を印加し、上記ワード線ドライバは、上記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、上記選択セルに接続された上記ワード線に印加し、上記ビット線ドライバは、上記ワード線電圧と極性が逆で上記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、上記選択セルに接続された上記ビット線に印加してもよい。これにより、電圧制御に基づいて、磁気抵抗効果素子の低抵抗書込みが実施されるという作用をもたらす。
【0021】
また、第1の側面において、上記磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合、上記ゲート電圧切替部は、上記電界効果トランジスタに上記第2ゲート電圧を印加し、上記ワード線ドライバは、上記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、上記選択セルに接続された上記ワード線に印加し、上記ビット線ドライバは、上記ワード線電圧と極性が逆で上記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、上記選択セルに接続された上記ビット線に印加してもよい。これにより、電圧制御に基づいて、磁気抵抗効果素子の高抵抗書込みが実施されるという作用をもたらす。
【0022】
また、第1の側面において、上記選択セルが接続された上記ビット線に流れる電流に基づいて、上記選択セルに記憶されているデータを検知する読出し回路をさらに具備してもよい。これにより、選択セルからデータが読み出されるという作用をもたらす。
【0023】
また、第1の側面において、上記選択セルからデータを読み出す場合、上記ゲート電圧切替部は、上記電界効果トランジスタに上記第1ゲート電圧を印加し、上記ワード線ドライバは、上記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、上記選択セルに接続された上記ワード線に印加し、上記ビット線ドライバは、上記ワード線電圧と極性が逆で上記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、上記選択セルに接続された上記ビット線に印加し、上記読出し回路は、上記選択セルが接続された上記ビット線に流れる電流の変化を測定し、上記ビット線に流れる電流が変化しない場合、上記選択セルから読み出されたデータは0であると判断し、上記ビット線に流れる電流が増大した場合、上記選択セルから読み出されたデータは1であると判断し、上記選択セルから読み出されたデータが1であると判断された場合、上記ゲート電圧切替部は、上記電界効果トランジスタに上記第2ゲート電圧を印加し、上記ワード線ドライバは、上記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、上記選択セルに接続された上記ワード線に印加し、上記ビット線ドライバは、上記ワード線電圧と極性が逆で上記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、上記選択セルに接続された上記ビット線に印加してもよい。これにより、破壊読出しに基づいて選択セルからデータが読出されるとともに、破壊読出しされた選択セルに元のデータが書き戻されるという作用をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る記憶装置の電圧と垂直磁気異方性との関係を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る記憶装置の垂直磁気異方性に基づく書込み特性の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る記憶装置の全体的な構成例を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時のメモリセルの選択例を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時の各部の電圧波形を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時のメモリセルの選択例を示す図である。
【
図8】第1の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時の各部の電圧波形を示す図である。
【
図9】第1の実施の形態に係る記憶装置の書込みタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図10】第1の実施の形態に係る記憶装置の書込み方法を示すフローチャートである。
【
図11】第1の実施の形態に係る記憶装置の読出し時のメモリセルの選択例を示す図である。
【
図12】第1の実施の形態に係る記憶装置の読出し時の各部の電圧波形を示す図である。
【
図13】第1の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗状態の読出しタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図14】第1の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗状態の読出しタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図15】第1の実施の形態に係る記憶装置の読出し方法を示すフローチャートである。
【
図16】第1の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時の各部の電圧波形の変形例を示す図である。
【
図17】第1の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時の各部の電圧波形の変形例を示す図である。
【
図18】第2の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【
図19】第2の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時のメモリセルの選択例を示す図である。
【
図20】第2の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時の各部の電圧波形を示す図である。
【
図21】第2の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時のメモリセルの選択例を示す図である。
【
図22】第2の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時の各部の電圧波形を示す図である。
【
図23】第2の実施の形態に係る記憶装置の読出し時のメモリセルの選択例を示す図である。
【
図24】第2の実施の形態に係る記憶装置の読出し時の各部の電圧波形を示す図である。
【
図25】第3の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込みタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図26】第3の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込みタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図27】第3の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込みタイミングの変形例を示すタイミングチャートである。
【
図28】第3の実施の形態に係る記憶装置の書込み方法を示すフローチャートである。
【
図29】撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図30】測距装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図31】ゲーム機器の外観構成の一例を示す斜視図である。
【
図32】ゲーム機器の概略構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(ワード線に一端が接続され、ビット線に他端が接続された磁気抵抗効果素子において、ワード線側でのライト電圧の分圧に基づいて磁気抵抗効果素子に書込みを実施する例)
2.第2の実施の形態(ワード線に一端が接続され、ビット線に他端が接続された磁気抵抗効果素子において、ビット線側でのライト電圧の分圧に基づいて磁気抵抗効果素子に書込みを実施する例)
3.第3の実施の形態(磁気抵抗効果素子の抵抗状態を初期化した後、高抵抗書込みを実施する例)
4.第1の応用例(撮像装置)
5.第2の応用例(測距装置)
6.第3の応用例(ゲーム機器)
【0026】
<1.第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【0027】
同図において、記憶装置100は、VC-MRAMとして動作することができる。記憶装置100は、メモリセルアレイ101と、ワード線抵抗制御回路102と、ゲート電圧切替部103および106と、ワード線ドライバ104とを備える。また、記憶装置100は、ビット線導通回路105と、ビット線ドライバ107と、カラムスイッチ118と、読出し回路109とを備える。
【0028】
メモリセルアレイ101は、メモリセルMCがロウ方向およびカラム方向にマトリックス状に配置されている。ロウ方向には、ワード線WLがロウごとに配線されている。カラム方向には、ビット線BLがカラムごとに配線されている。
【0029】
メモリセルMCは、磁気抵抗効果に基づいてデータを記憶する。メモリセルMCは、磁気抵抗効果素子111を備える。磁気抵抗効果素子111の一端にはワード線WLが接続され、磁気抵抗効果素子111の他端にはビット線BLが接続されている。磁気抵抗効果素子111は、VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果を持つ。磁気抵抗効果素子111のVCMA効果は非線形でもよい。ここで、磁気抵抗効果素子111の抵抗状態は、低抵抗状態と高抵抗状態とをとることができる。このとき、磁気抵抗効果素子111は、VCMA効果に基づいて磁化方向を反転させることで、低抵抗状態と高抵抗状態との間を遷移することができる。
【0030】
ワード線抵抗制御回路102は、磁気抵抗効果素子111が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるようにワード線WLの抵抗を制御する。なお、互いに略等しいは、互いに等しい場合だけでなく、数%程度のずれがある場合も含む。このときのセル電圧は反転電圧に等しい。反転電圧は、VCMA効果に基づいて磁気抵抗効果素子111の磁化方向を反転させる電圧である。磁気抵抗効果素子111が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで反転電圧は互いに略等しい。磁気抵抗効果素子111に反転電圧が印加されると、磁気抵抗効果素子111の垂直磁気異方性は0になる。ワード線抵抗制御回路102は、特許請求の範囲メモリセルアレイ101とワード線ドライバ104との間に配置される。
【0031】
ワード線抵抗制御回路102は、PMOSトランジスタ112を備える。PMOSトランジスタ112は、ワード線WLごとに設けられる。各PMOSトランジスタ112は、ゲート電圧Vgwに基づいてオン抵抗が変化する。ワード線抵抗制御回路102は、特許請求の範囲に記載の抵抗制御回路の一例である。
【0032】
ゲート電圧切替部103は、電圧Vg0、Vg1およびVg2の間でゲート電圧Vgwを切り替える。電圧Vg0は、各PMOSトランジスタ112がオフするように設定される。電圧Vg1は、磁気抵抗効果素子111が高抵抗書込みされる場合に磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧が反転電圧に等しくなるように設定される。電圧Vg2は、磁気抵抗効果素子111が低抵抗書込みされる場合に磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧が反転電圧に等しくなるように設定される。
【0033】
ゲート電圧切替部103は、抵抗状態制御スイッチ113を備える。抵抗状態制御スイッチ113は、切替信号GWCに基づいて、電圧Vg0、Vg1およびVg2を切り替える。このとき、切替信号GWCは、抵抗状態制御スイッチ113に対し、非書込みおよび非読出し時には電圧Vg0を選択させることができる。切替信号GWCは、抵抗状態制御スイッチ113に対し、高抵抗書込み時には電圧Vg1を選択させ、低抵抗書込み時には電圧Vg2を選択させることができる。抵抗状態制御スイッチ113は、MOSトランジスタで構成してもよい。
【0034】
ワード線ドライバ104は、選択セルの磁気抵抗効果素子111に反転電圧が印加可能になるようにワード線WLを駆動する。ここで、ワード線ドライバ104は、ワード線電圧VWLをワード線WLに印加することができる。このとき、ワード線ドライバ104は、電圧Vw/2およびGNDの間でワード線電圧VWLを切り替えることができる。電圧Vw/2は、ライト電圧Vwの1/2の電圧である。GNDは、グランド電圧である。ライト電圧Vwは、選択セルの磁気抵抗効果素子111に反転電圧が印加され、非選択セルの磁気抵抗効果素子111に非反転電圧が印加されるように設定される。非反転電圧は、磁気抵抗効果素子111の磁化方向が反転しない電圧である。
【0035】
ワード線ドライバ104は、電圧切替スイッチ114を備える。電圧切替スイッチ114は、切替信号WWCに基づいて、電圧Vw/2およびGNDを切り替える。このとき、切替信号WWCは、電圧切替スイッチ114に対し、選択ワード線では電圧Vw/2を選択させ、非選択ワード線では電圧GNDを選択させることができる。電圧切替スイッチ114は、MOSトランジスタで構成してもよい。ワード線ドライバ104は、特許請求の範囲に記載のドライバの一例である。
【0036】
ビット線導通回路105は、ビット線BLを介してメモリセルアレイ101とビット線ドライバ107との導通状態を切り替える。ビット線導通回路105は、メモリセルアレイ101とビット線ドライバ107との間に配置される。
【0037】
ビット線導通回路105は、NMOSトランジスタ115を備える。NMOSトランジスタ115は、ビット線BLごとに設けられる。各NMOSトランジスタ115は、ゲート電圧Vgbに基づいてオンとオフとが切り替わる。
【0038】
ゲート電圧切替部106は、電圧Vg3およびGNDの間でゲート電圧Vgbを切り替える。電圧Vg3は、各NMOSトランジスタ115がオンするように設定される。
【0039】
ゲート電圧切替部106は、導通状態制御スイッチ116を備える。導通状態制御スイッチ116は、切替信号GBCに基づいて、電圧Vg3およびGNDを切り替える。このとき、切替信号GBCは、導通状態制御スイッチ116に対し、非書込み時および非読出し時には電圧GNDを選択させ、書込み時または読出し時には電圧Vg3を選択させることができる。導通状態制御スイッチ116は、MOSトランジスタで構成してもよい。
【0040】
ビット線ドライバ107は、選択セルの磁気抵抗効果素子111に反転電圧が印加可能となるようにビット線BLを駆動する。ここで、ビット線ドライバ107は、ビット線電圧VBLをビット線BLに印加することができる。このとき、ビット線ドライバ107は、電圧-Vw/2およびGNDの間でビット線電圧VBLを切り替えることができる。電圧-Vw/2は、ライト電圧Vwの-1/2の電圧である。ビット線電圧VBLは、ワード線電圧VWLに対して極性が逆である。
【0041】
ビット線ドライバ107は、電圧切替スイッチ117を備える。電圧切替スイッチ117は、切替信号WBCに基づいて、電圧-Vw/2およびGNDを切り替える。このとき、切替信号WBCは、電圧切替スイッチ117に対し、選択ビット線では電圧-Vw/2を選択させ、非選択ビット線では電圧GNDを選択させることができる。電圧切替スイッチ117は、MOSトランジスタで構成してもよい。
【0042】
カラムセレクタ108は、カラムを選択する。カラムセレクタ108は、カラムスイッチ118を備える。カラムスイッチ118は、ビット線BLごとに設けられる。このとき、カラムスイッチ118は、選択ビット線を読出し回路109に接続し、非選択ビット線を読出し回路109から切り離すことができる。
【0043】
読出し回路109は、メモリセルMCに記憶されているデータを読み出す。このとき、読出し回路109は、選択セルに書込みが実施されたときに、その選択セルに接続された選択ビット線に流れる電流が変化するかどうかを判断することで、選択セルからデータを読み出すことができる。このときのデータの読出しは、破壊読出しである。このため、選択セルからの読み出しでデータが破壊された場合、元のデータを選択セルに書き戻す。
【0044】
図2は、第1の実施の形態に係る記憶装置の電圧と垂直磁気異方性との関係を示す図である。なお、同図におけるaは、磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧Vcと垂直磁気異方性との線形関係を示す。同図におけるbは、磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧Vcと垂直磁気異方性との非線形関係を示す。
【0045】
同図におけるaにおいて、垂直磁気異方性が線形性を持つ場合、磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧Vcの増大に伴って垂直磁気異方性が線形に減少する。ここで、
図1のメモリセルアレイ101において、選択ワード線および選択ビット線に接続された選択セルにライト電圧Vwが印加されるものとする。このとき、選択ワード線および非選択ビット線に接続された非選択セルに電圧Vw/2がかかるとともに、非選択ワード線および選択ビット線に接続された非選択セルにも電圧Vw/2がかかることがある。このため、磁気抵抗効果素子111に電圧Vw/2がかかったときに、磁化反転が起きないような垂直磁気異方性LMDを磁気抵抗効果素子111に持たせる必要がある。
【0046】
同図におけるbにおいて、垂直磁気異方性が非線形性を持つ場合、磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧Vcが低い点では高い点に比べて傾きが小さい領域を持つ。垂直磁気異方性が非線形性を持つ場合、垂直磁気異方性が線形性を持つ場合に比べて、セル電圧VcがVw/2のときの垂直磁気異方性を増大させることができる。このため、磁気抵抗効果素子111に電圧Vw/2がかかったときに、垂直磁気異方性が線形性を持つ場合の垂直磁気異方性LMDに比べて大きな垂直磁気異方性NMDを磁気抵抗効果素子111に持たせることができる。
【0047】
なお、磁気抵抗効果素子111は、トンネルバリア層がピン層とフリー層との間に挟まれた構造を備えることができる。
【0048】
ピン層は、磁気異方性を有するとともに磁化方向が不変の層である。このピン層は、例えば、CoFeB、CoFeC合金、NiFeB合金及びNiFeC合金等により構成することができる。また、ピン層は、非磁性層を介して複数の強磁性層を積層した積層フェリピン構造でもよい。この積層フェリピン構造の磁化固定層を構成する強磁性層の材料としては、Co、CoFe、CoFeB等を用いることができる。また、非磁性層の材料としては、Ru、Re、Ir、Os等を用いることができる。
【0049】
ピン層は、反強磁性層および強磁性層の反強磁性結合を利用することにより、その磁化の向きが固定された構成にすることができる。反強磁性層の材料としては、FeMn合金、PtMn合金、PtCrMn合金、NiMn合金、IrMn合金、NiO及びFe2O3等の磁性体を挙げることができる。また、これらの磁性体に、Ag、Cu、Au、Al、Si、Bi、Ta、B、C、O、N、Pd、Pt、Zr、Hf、Ir、W、Mo、Nb等の非磁性元素を添加することもできる。
【0050】
トンネルバリア層は、フリー層に電界を掛けて電圧制御磁気異方性効果を付与する。このトンネルバリア層は、Mg、Al、Ti、Si、Zn、Zr、Hf、Ta、Bi、Cr、Ga、La、Gd、Sr、Baの群から選択された少なくとも1種の元素の酸化物、もしくはMg、Al、Ti、Si、Zn、Zr、Hf、Ta、Bi、Cr、Ga、La、Gd、Sr、Baの群から選択された少なくとも1種の元素の窒化物により構成することができる。また、MgF2、CaF、SrTiO2、AlLaO3、AlNO等の絶縁体、誘電体および半導体を用いて構成してもよい。これらの層を積層してもよい。なお、トンネルバリア層の厚さは、0.6nm以上に構成すると好適である。垂直磁気異方性に非線形性を持たせるために、V/Fe/MgO(001)/Feエピタキシャル磁気トンネル接合を有してもよい。
【0051】
フリー層は、磁気異方性を有するとともに磁化方向が可変の層である。また、フリー層は、VCMA効果を有する層である。フリー層の磁化方向がピン層の磁化方向と同じ状態および異なる状態は、それぞれ平行状態及び反平行状態と称される。磁気抵抗効果素子111は、平行状態の時に低抵抗状態になり、反平行状態の時に高抵抗状態になる。磁気抵抗効果素子111への電圧印加に基づいて、フリー層の磁化方向を変化させることができる。
【0052】
また、フリー層は、コバルト鉄(CoFe)、コバルト鉄ボロン(CoFeB)、Fe、ホウ化鉄(FeB)等により構成することができる。また、フリー層は、遷移金属(Hf、Ta、VWe、Ir、Pt、Au、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu)等を含んでもよい。また、フリー層は、窒化物や酸化物を含んでもよい。また、磁性体への近接磁気モーメント誘起を起こす材料として、イリジウム(Ir)やオスミウム(Os)を使用することができる。なお、フリー層に重金属を添加して電圧制御磁気異方性効果を向上させてもよい。磁気抵抗効果素子111にVCMA効果を持たせるために、フリー層の厚さは、3.0nm以下に構成すると好適である。
【0053】
また、フリー層は、非磁性層を介して複数の強磁性層が積層された積層構造を有してもよい。このとき、非磁性層を介して隣接する2つの強磁性層は、交換結合してもよい。この非磁性層には、Mg、Al、Ti、Si、Zn、Zr、Hf、Ta、Bi、Cr、Ga、La、Gd、Sr、Ba、VWe、Ir、Pt、Au、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、V、Mn、Ni及びCu等により構成することができる。
【0054】
ピン層、トンネルバリア層およびフリー層の形成は、スパッタリング法、イオンビーム堆積法、真空蒸着法などのPVD(Physical Vapor Deposition)法でもよいし、ALD(Atomic Layer Deposition)法でもよいし、CVD(Chemical Vapor Deposition)法でもよい。また、ピン層、トンネルバリア層およびフリー層のパターニングには、RIE(Reactive Ion Etching)法を用いてもよいし、イオンミリング法を用いてもよい。
【0055】
図3は、第1の実施の形態に係る記憶装置の垂直磁気異方性に基づく書込み特性の一例を示す図である。なお、同図におけるaは、セル電圧Vcのパルス幅と書込み誤り率との関係を示す。同図におけるbは、ライト電圧Vwに対するセル電圧Vcの割合と反転確率との関係を示す。
【0056】
同図におけるaにおいて、セル電圧Vcがライト電圧Vwに等しい場合、書込み誤り率が0に近づくようにライト電圧Vwのパルス幅を設定することができる。例えば、ライト電圧Vwのパルス幅を1.5から2nsecの範囲内に設定することにより、書込み誤り率をほぼ0にすることができる。一方、セル電圧Vcが0.5Vwまたは0.9Vwの場合、ライト電圧Vwのパルス幅をどのように設定しても書込み誤り率が0に近づくようにすることはできない。
【0057】
同図におけるbにおいて、セル電圧Vcがライト電圧Vwに等しい場合、反転確率が1となり、書込みを成功させることができる。セル電圧Vcが低下すると、反転確率が急激に減少し、セル電圧Vcが0.8Vwより小さくなると、反転確率がほぼ0になる。このため、0.8Vwより小さなセル電圧Vcが非選択セルにかかっても、非選択セルには書込みが実施されない。
【0058】
このとき、非選択セルの書込みを防止しつつ、選択セルにライト電圧Vwをかけるために、選択ワード線にVw/2を印加し、選択ビット線に-Vw/2を印加してもよいが、必ずしもこの方法に限定しなくてもよい。例えば、ライト電圧VwのX/(X+Y)(XおよびYは、磁気抵抗効果素子111の磁化方向が反転しない値)を選択ワード線に印加し、ライト電圧Vwの-Y/(X+Y)を選択ビット線に印加してもよい。
【0059】
また、選択ワード線に印加される電圧の極性は正、選択ビット線に印加される電圧の極性は負でもよいし、選択ワード線に印加される電圧の極性は負、選択ビット線に印加される電圧の極性は正でもよい。例えば、選択ワード線に-Vw/2を印加し、選択ビット線にVw/2を印加してもよい。
【0060】
図4は、第1の実施の形態に係る記憶装置の全体的な構成例を示すブロック図である。
【0061】
同図において、記憶装置100は、複数のメモリセルアレイ101を備える。メモリセルアレイ101は、ロウ方向およびカラム方向にマトリックス状に配置してもよい。各メモリセルアレイ101には、ワード線バイアス回路153、ビット線バイアス回路154、読出し回路109、パルスジェネレータ151および制御回路152が設けられている。また、記憶装置100は、コマンド/アドレスデコーダ155およびインタフェース156を備える。
【0062】
ワード線バイアス回路153は、
図1のワード線抵抗制御回路102およびワード線ドライバ104を備える。ビット線バイアス回路154は、
図1のビット線導通回路105およびビット線ドライバ107を備える。
【0063】
パルスジェネレータ151は、書込み時または読出し時に、電圧Vw/2、-Vw/2Vg1、Vg2およびVg3をパルス状に生成する。そして、パルスジェネレータ151は、電圧Vw/2をワード線ドライバ104に供給し、電圧-Vw/2をビット線ドライバ107に供給し、電圧Vg1およびVg2をゲート電圧切替部103に供給し、電圧Vg3をゲート電圧切替部106に供給する。
【0064】
制御回路152は、コマンド/アドレスデコーダ155からの指示に基づいて、各メモリセルアレイ101との間で書込みおよび読出しを実施する。このとき、制御回路152は、切替信号WWCをワード線ドライバ104に供給し、切替信号WBCをビット線ドライバ107に供給し、切替信号GWCをゲート電圧切替部103に供給し、切替信号GBCをゲート電圧切替部106に供給する。
【0065】
コマンド/アドレスデコーダ155は、外部から送信された書込み指令および読出し指令を解釈したり、書込みまたは読出しを実施するアドレスに基づいて、書込み位置または読出し位置を指定する。
【0066】
インタフェース156は、書込み指令、読出し指令および書込みデータを外部から受信したり、読出しデータを外部に送信したりする。記憶装置100は、インタフェース156を介してホストに接続することができる。
【0067】
ここで、複数のメモリセルアレイ101を記憶装置100に設けることにより、複数ビットを記憶装置100に同時に書込んだり、複数ビットを記憶装置100から同時に読出したりすることができる。
【0068】
なお、記憶装置100において、メモリセルアレイ101は、1層構造でもよいし、複数層の積層構造でもよい。
【0069】
図5は、第1の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時のメモリセルの選択例を示す図である。
【0070】
同図において、低抵抗書込み時に選択セルSMCが指定されたものとする。選択セルSMCの一端は選択ワード線SWLに接続され、選択セルSMCの他端は選択ビット線SBLに接続されている。このとき、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLはVw/2に設定され、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLは-Vw/2に設定される。各NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される。このとき、各NMOSトランジスタ115はオンする。
【0071】
各PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定される。このとき、ライト電圧Vwは、選択ワード線SWLに接続されたPMOSトランジスタ112のオン抵抗にかかる電圧と、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcとに分圧される。そして、ゲート電圧Vgwは、PMOSトランジスタ112のオン抵抗にてライト電圧Vwが分圧されたときに、高抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcが反転電圧に一致するように設定される。
【0072】
ここで、低抵抗書込み時において、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合、選択セルSMCには反転電圧が印加されるため、選択セルSMCは高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。一方、低抵抗書込み時において、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合に比べて、PMOSトランジスタ112のオン抵抗へのライト電圧Vwの分圧比が増大する。このため、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcは反転電圧より小さくなり、選択セルSMCの垂直磁気異方性により選択セルSMCの低抵抗状態が維持される。
【0073】
図6は、第1の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時の各部の電圧波形を示す図である。なお、VWLsは、選択ワード線SWLのワード線電圧、VWLnは、非選択ワード線のワード線電圧、VBLsは、選択ビット線SBLのビット線電圧、VBLnは、非選択ビット線のビット線電圧を示す。
【0074】
同図において、低抵抗書込み時には、非選択ワード線のワード線電圧VWLnおよび非選択ビット線のビット線電圧VBLnは0に設定される。そして、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される(t1)。このとき、PMOSトランジスタ112のオン抵抗は、そのオン抵抗と高抵抗状態の選択セルSMCとでライト電圧Vwが分圧されたときに、高抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcが反転電圧に一致するように設定される。また、NMOSトランジスタ115はオンし、ビット線BLを介してメモリセルアレイ101とビット線ドライバ107とが導通される。
【0075】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される(t2)。ここで、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLを介して供給されるライト電圧Vwは、選択ワード線SWLに接続されたPMOSトランジスタ112のオン抵抗にかかる電圧と、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcとに分圧される。このとき、高抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcは反転電圧に一致し、選択セルSMCは高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。
【0076】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される(t3)。なお、ワード線電圧VWLsおよびビット線電圧VBLsのパルス幅は、
図3におけるaに示すように、書込み誤り率が0になるように設定する。
【0077】
次に、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される(t4)。
【0078】
図7は、第1の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時のメモリセルの選択例を示す図である。
【0079】
同図において、高抵抗書込み時に選択セルSMCが指定されたものとする。このとき、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLはVw/2に設定され、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLは-Vw/2に設定される。各NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される。このとき、各NMOSトランジスタ115はオンする。
【0080】
各PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg1に設定される。このとき、ライト電圧Vwは、選択ワード線SWLに接続されたPMOSトランジスタ112のオン抵抗にかかる電圧と、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcとに分圧される。そして、ゲート電圧Vgwは、PMOSトランジスタ112のオン抵抗にてライト電圧Vwが分圧されたときに、低抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcが反転電圧に一致するように設定される。
【0081】
ここで、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合は、高抵抗状態にある場合に比べて、ライト電圧Vwが選択セルSMCに分圧される時の分圧比が低下する。このため、選択セルSMCが低抵抗状態にある時と高抵抗状態にある時とで反転電圧を略等しくするために、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合は、高抵抗状態にある場合に比べて、PMOSトランジスタ112のオン抵抗を減少させる。PMOSトランジスタ112のオン抵抗を減少させるために、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwを減少させる。
【0082】
ここで、高抵抗書込み時において、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合、選択セルSMCには反転電圧が印加されるため、選択セルSMCは低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。一方、高抵抗書込み時において、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合に比べて、PMOSトランジスタ112のオン抵抗へのライト電圧Vwの分圧比が低下する。このため、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcは反転電圧より大きくなり、選択セルSMCの面内磁気異方性により面内の回転成分が現れるが、この回転成分は磁化方向の反転には寄与しないため、選択セルSMCの高抵抗状態が維持される。
【0083】
図8は、第1の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時の各部の電圧波形を示す図である。
【0084】
同図において、高抵抗書込み時には、非選択ワード線のワード線電圧VWLnおよび非選択ビット線のビット線電圧VBLnは0に設定される。そして、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg1に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される(t11)。このとき、PMOSトランジスタ112のオン抵抗は、そのオン抵抗と低抵抗状態の選択セルSMCとでライト電圧Vwが分圧されたときに、低抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcが反転電圧に一致するように設定される。また、NMOSトランジスタ115はオンし、ビット線BLを介してメモリセルアレイ101とビット線ドライバ107とが導通される。
【0085】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される(t12)。ここで、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLを介して供給されるライト電圧Vwは、選択ワード線SWLに接続されたPMOSトランジスタ112のオン抵抗にかかる電圧と、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcとに分圧される。このとき、低抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcは反転電圧に一致し、選択セルSMCは低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。
【0086】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される(t13)。なお、ワード線電圧VWLsおよびビット線電圧VBLsのパルス幅は、
図3におけるaに示すように、書込み誤り率が0になるように設定する。
【0087】
次に、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される(t14)。
【0088】
図9は、第1の実施の形態に係る記憶装置の書込みタイミングを示すタイミングチャートである。なお、同図におけるaは、低抵抗書込みのタイミングを示す。同図におけるbは、高抵抗書込みのタイミングを示す。
【0089】
同図におけるaにおいて、切替信号GWC、GBC、WWCおよびWBCと、制御信号WCとは、クロックCLKに同期して遷移する。制御信号WCは、低抵抗書込みおよび高抵抗書込みを指定する。
【0090】
低抵抗書込み時には、制御信号WCはロウレベルに設定される(t1からt4)。そして、切替信号GWCが立ち上がると(t1)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t1)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される。
【0091】
次に、切替信号WWCが立ち上がると(t2)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t2)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0092】
次に、切替信号WWCが立ち下がると(t3)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t3)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される。
【0093】
次に、切替信号GWCが立ち上がると(t4)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t4)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される。
【0094】
同図におけるbにおいて、高抵抗書込み時には、制御信号WCはハイレベルに設定される(t11からt14)。そして、切替信号GWCが立ち上がると(t11)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg1に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t11)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される。
【0095】
次に、切替信号WWCが立ち上がると(t12)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t12)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0096】
次に、切替信号WWCが立ち下がると(t13)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t13)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される。
【0097】
次に、切替信号GWCが立ち上がると(t14)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t14)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される。
【0098】
図10は、第1の実施の形態に係る記憶装置の書込み方法を示すフローチャートである。
【0099】
同図において、記憶装置100は、低抵抗書込みかどうかを判断する(S101)。低抵抗書込みの場合、記憶装置100は、低抵抗書込み用電圧を設定する(S102)。低抵抗書込み用電圧の設定では、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定される。このとき、
図9の制御信号WCはロウレベルに設定される。
【0100】
一方、高抵抗書込みの場合、記憶装置100は、高抵抗書込み用電圧を設定する(S103)。高抵抗書込み用電圧の設定では、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg1に設定される。このとき、
図9の制御信号WCはハイレベルに設定される。
【0101】
次に、記憶装置100は、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLに電圧パルスを印加する(S104)。電圧パルスの印加では、その印加期間に渡って、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0102】
図11は、第1の実施の形態に係る記憶装置の読出し時のメモリセルの選択例を示す図である。なお、データの読出しでは、選択セルSMCが介在する選択ワード線SWLと選択ビット線SBLとの間の電流パスの他、非選択セルが介在する選択ワード線SWLと選択ビット線SBLとの間の電流パスが生成される。このため、データの読出し時に選択ビット線SBLに流れる電流Iaには、選択セルSMCに流れる電流の他、非選択セルに流れる電流も含まれる。この電流Iaは、選択セルSMCの抵抗状態だけでなく、非選択セルの抵抗状態にも依存する。このため、電流Iaの大小の判定では、選択セルSMCの抵抗状態を正確に判別できない。従って、選択セルSMCの抵抗状態を判別するために、選択セルSMCに書込みを実施し、その時に電流Iaが変化するかどうかを判定する。以下の説明では、選択セルSMCに低抵抗書込みを実施し、その時の電流Iaの変化に基づいて選択セルSMCの抵抗状態を判別する方法を例にとる。
【0103】
同図において、読出し時に選択セルSMCが指定されたものとする。このとき、カラムスイッチ118を介して選択ビット線SBLが読出し回路109に接続される。また、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLはVw/2に設定され、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLは-Vw/2に設定される。また、各NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定され、各PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定される。このとき、選択セルSMCには、低抵抗書込みが実施される。
【0104】
読出し回路109は、選択セルSMCの低抵抗書込み時に選択ビット線SBLに流れる電流Iaを測定する。ここで、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合、選択セルSMCの低抵抗書込みが実施されると、選択ビット線SBLに流れる電流Iaは増大する。一方、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合、選択セルSMCの低抵抗書込みが実施されても、選択ビット線SBLに流れる電流Iaは変化しない。このため、読出し回路109は、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化しない場合、選択セルSMCは低抵抗状態にあると判断し、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが増大した場合、選択セルSMCは高抵抗状態にあったと判断することができる。ここで、選択セルSMCが高抵抗状態にあるときに低抵抗書込みが実施されると、選択セルSMCの抵抗状態が変化し、選択セルSMCが記憶していたデータが破壊される。このため、選択セルSMCが高抵抗状態にあったと判断された場合、その選択セルSMCに高抵抗書込みを実施し、元のデータを選択セルSMCに書き戻す。
【0105】
図12は、第1の実施の形態に係る記憶装置の読出し時の各部の電圧波形を示す図である。
【0106】
同図において、読出し時には、非選択ワード線のワード線電圧VWLnおよび非選択ビット線のビット線電圧VBLnは0に設定される。そして、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される(t21)。
【0107】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される(t22)。このとき、読出し回路109は、選択ビット線SBLに流れる電流Iaを計測する。ここで、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合、選択セルSMCの低抵抗書込みが実施されると、選択ビット線SBLに流れる電流Iaは増大する(IH)。一方、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合、選択セルSMCの低抵抗書込みが実施されても、選択ビット線SBLに流れる電流Iaは変化しない(IL)。このとき、読出し回路109は、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化しない場合、選択セルSMCは低抵抗状態にあると判断し、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが増大した場合、選択セルSMCは高抵抗状態にあったと判断する。
【0108】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される(t23)。
【0109】
次に、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される(t24)。
【0110】
図13は、第1の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗状態の読出しタイミングを示すタイミングチャートである。
【0111】
同図において、制御信号WCはロウレベルに設定される(t21からt24)。そして、切替信号GWCが立ち上がると(t21)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t21)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される。
【0112】
次に、切替信号WWCが立ち上がると(t22)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t22)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0113】
次に、切替信号WWCが立ち下がると(t23)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t23)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される。ここで、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化しない場合、読出し信号RSは変化せず、読出し出力ROとして‘0’が出力される。
【0114】
次に、切替信号GWCが立ち上がると(t24)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t24)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される。
【0115】
図14は、第1の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗状態の読出しタイミングを示すタイミングチャートである。
【0116】
同図において、制御信号WCはロウレベルに設定される(t21からt24)。そして、切替信号GWCが立ち上がると(t21)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t21)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される。
【0117】
次に、切替信号WWCが立ち上がると(t22)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t22)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0118】
次に、切替信号WWCが立ち下がると(t23)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t23)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される。ここで、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化した場合、読出し信号RSが立ち上がり(t23)、読出し出力ROとして‘1’が出力される(t24)。
【0119】
次に、切替信号GWCが立ち上がると(t24)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t24)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される。
【0120】
ここで、読出し出力ROとして‘1’が出力された場合、選択セルSMCから高抵抗状態から低抵抗状態に変化する。このため、選択セルSMCの書き戻しを実施し、選択セルSMCを高抵抗状態に戻す。このとき、選択セルSMCの高抵抗書込みを実施するため、制御信号WCはハイレベルに設定される(t25からt30)。そして、切替信号GWCが立ち上がると(t26)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg1に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t26)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される。
【0121】
次に、切替信号WWCが立ち上がると(t27)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t27)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0122】
次に、切替信号WWCが立ち下がると(t28)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定される。また、切替信号WBCが立ち上がると(t28)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される。
【0123】
次に、切替信号GWCが立ち上がると(t29)、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定される。また、切替信号GBCが立ち上がると(t29)、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される。
【0124】
図15は、第1の実施の形態に係る記憶装置の読出し方法を示すフローチャートである。
【0125】
同図において、記憶装置100は、低抵抗書込み用電圧を設定する(S201)。低抵抗書込み用電圧の設定では、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定される。このとき、
図13の制御信号WCはロウレベルに設定される。
【0126】
次に、記憶装置100は、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLに電圧パルスを印加する(S202)。電圧パルスの印加では、その印加期間に渡って、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0127】
次に、読出し回路109は、選択ビット線SBLに流れる電流Iaを測定する(S203)。そして、読出し回路109は、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化したかどうかを判定する(S204)。選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化しない場合、選択セルSMCは、低抵抗状態にあると判定する(S205)。一方、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化した場合、選択セルSMCは、高抵抗状態にあったと判定する(S206)。
【0128】
次に、記憶装置100は、選択セルSMCの書き戻し処理を実施する(S207)。選択セルSMCの書き戻し処理では、記憶装置100は、高抵抗書込み用電圧を設定する(S208)。高抵抗書込み用電圧の設定では、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg1に設定される。このとき、
図14の制御信号WCはハイレベルに設定される。
【0129】
次に、記憶装置100は、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLに電圧パルスを印加する(S209)。電圧パルスの印加では、その印加期間に渡って、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0130】
なお、上述した実施の形態では、選択セルSMCに低抵抗書込みを実施し、その時の電流Iaの変化に基づいて選択セルSMCの抵抗状態を判別する方法を例にとった。これに対して、選択セルSMCに高抵抗書込みを実施し、その時の電流Iaの変化に基づいて選択セルSMCの抵抗状態を判別してもよい。
【0131】
図16は、第1の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時の各部の電圧波形の変形例を示す図である。
【0132】
同図において、低抵抗書込み時には、非選択ワード線のワード線電圧VWLnおよび非選択ビット線のビット線電圧VBLnは0に設定される。そして、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg2に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される(t31)。
【0133】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定された後(t32)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される(t33)。
【0134】
次に、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定された後(t34)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定される(t35)。
【0135】
次に、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される(t36)。
【0136】
図17は、第1の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時の各部の電圧波形の変形例を示す図である。
【0137】
同図において、高抵抗書込み時には、非選択ワード線のワード線電圧VWLnおよび非選択ビット線のビット線電圧VBLnは0に設定される。そして、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg1に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg3に設定される(t41)。
【0138】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定された後(t42)、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される(t43)。
【0139】
次に、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定された後(t44)、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定される(t45)。
【0140】
次に、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される(t46)。
【0141】
ビット線電圧VBLsのパルス幅をワード線電圧VWLsのパルス幅よりも短くする方法では、
図3におけるaの書込み誤り率が0になるように、ビット線電圧VBLsのパルス幅制御を実施すれば、ワード線電圧VWLsのパルス幅制御を実施しなくてもよい。このため、
図6のビット線電圧VBLsのパルス幅とワード線電圧VWLsのパルス幅とを等しくする方法に比べて、パルス幅制御を容易化することができる。なお、ワード線電圧VWLsのパルス幅をビット線電圧VBLsのパルス幅よりも短くてもよい。
【0142】
また、
図16および
図17の実施の形態では、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsのパルス幅と、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsのパルス幅とが互いに異なっている場合を示した。ただし、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsのパルスと選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsのパルスとの少なくとも一部が時間的に重なっていればよい。例えば、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsのパルス幅と、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsのパルス幅とが互いに等しい場合、ワード線電圧VWLsのパルスとビット線電圧VBLsのパルスとが互いに時間的にシフトされてもよい。このとき、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsのパルスと選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsのパルスとの少なくとも一部が重なる時間は、
図3におけるaに示すように、書込み誤り率が0になるように設定する。
【0143】
このように、上述の第1の実施の形態では、磁気抵抗効果素子111の一端にワード線WLを接続し、磁気抵抗効果素子111の他端にビット線BLを接続する。そして、選択ワード線側でのライト電圧Vwの分圧に基づいて、選択セルSMCの書込みを実施する。これにより、メモリセルMCを選択するセレクタ素子をメモリセルMCに設けることなく、電圧駆動に基づいて磁化反転可能なメモリセルMCを実現することが可能となり、磁化反転に電流駆動を不要とすることができる。このため、記憶装置100の低コスト化を図りつつ、大容量化を図ることが可能となるとともに、低消費電力化を図ることができる。
【0144】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、磁気抵抗効果素子111に書き込まれる抵抗状態に応じて磁気抵抗効果素子111に印加される反転電圧が等しくなるようにワード線WLの抵抗を制御した。この第2の実施の形態では、磁気抵抗効果素子111に書き込まれる抵抗状態に応じて磁気抵抗効果素子111に印加される反転電圧が等しくなるようにビット線BLの抵抗を制御する。
【0145】
図18は、第2の実施の形態に係る記憶装置の構成例を示す図である。
【0146】
同図において、記憶装置200は、上述の第1の実施の形態のゲート電圧切替部103および106に代えて、ゲート電圧切替部203および206を備える。第2の実施の形態の記憶装置200のそれ以外の構成は、上述の第1の実施の形態の記憶装置100の構成と同様である。
【0147】
ゲート電圧切替部203は、電圧Vg4およびVg5の間でゲート電圧Vgwを切り替える。電圧Vg4は、各PMOSトランジスタ112がオンするように設定され、電圧Vg5は、各PMOSトランジスタ112がオフするように設定される。
【0148】
ゲート電圧切替部203は、導通状態制御スイッチ213を備える。導通状態制御スイッチ213は、切替信号GWC2に基づいて、電圧Vg4およびVg5を切り替える。このとき、切替信号GWC2は、導通状態制御スイッチ213に対し、非書込み時および非読出し時には電圧Vg5を選択させ、書込み時または読出し時には電圧Vg4を選択させることができる。導通状態制御スイッチ213は、MOSトランジスタで構成してもよい。
【0149】
ゲート電圧切替部206は、電圧Vg6、Vg7およびGNDの間でゲート電圧Vgbを切り替える。電圧Vg6は、磁気抵抗効果素子111が高抵抗書込みされる場合に磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧が反転電圧に等しくなるように設定される。電圧Vg7は、磁気抵抗効果素子111が低抵抗書込みされる場合に磁気抵抗効果素子111に印加されるセル電圧が反転電圧に等しくなるように設定される。
【0150】
ゲート電圧切替部206は、抵抗状態制御スイッチ216を備える。抵抗状態制御スイッチ216は、切替信号GBC2に基づいて、電圧Vg6およびVg7とGNDとを切り替える。このとき、切替信号GBC2は、抵抗状態制御スイッチ216に対し、非書込みおよび非読出し時にはGNDを選択させることができる。切替信号GBC2は、抵抗状態制御スイッチ216に対し、高抵抗書込み時には電圧Vg6を選択させ、低抵抗書込み時には電圧Vg7を選択させることができる。抵抗状態制御スイッチ216は、MOSトランジスタで構成してもよい。
【0151】
図19は、第2の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時のメモリセルの選択例を示す図である。
【0152】
同図において、低抵抗書込み時に選択セルSMCが指定されたものとする。このとき、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLはVw/2に設定され、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLは-Vw/2に設定される。各PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg4に設定される。このとき、各PMOSトランジスタ112はオンする。
【0153】
各NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg7に設定される。このとき、ライト電圧Vwは、選択ビット線SBLに接続されたNMOSトランジスタ115のオン抵抗にかかる電圧と、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcとに分圧される。そして、ゲート電圧Vgbは、NMOSトランジスタ115のオン抵抗にてライト電圧Vwが分圧されたときに、高抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcが反転電圧に一致するように設定される。
【0154】
ここで、低抵抗書込み時において、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合、選択セルSMCには反転電圧が印加されるため、選択セルSMCは高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。一方、低抵抗書込み時において、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合に比べて、NMOSトランジスタ115のオン抵抗へのライト電圧Vwの分圧比が増大する。このため、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcは反転電圧より小さくなり、選択セルSMCの垂直磁気異方性により選択セルSMCの低抵抗状態が維持される。
【0155】
図20は、第2の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込み時の各部の電圧波形を示す図である。
【0156】
同図において、低抵抗書込み時には、非選択ワード線のワード線電圧VWLnおよび非選択ビット線のビット線電圧VBLnは0に設定される。そして、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg4に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg7に設定される(t51)。このとき、NMOSトランジスタ115のオン抵抗は、そのオン抵抗と高抵抗状態の選択セルSMCとでライト電圧Vwが分圧されたときに、高抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcが反転電圧に一致するように設定される。また、PMOSトランジスタ112はオンし、ワード線WLを介してメモリセルアレイ101とワード線ドライバ104とが導通される。
【0157】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される(t52)。ここで、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLを介して供給されるライト電圧Vwは、選択ビット線SBLに接続されたNMOSトランジスタ115のオン抵抗にかかる電圧と、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcとに分圧される。このとき、高抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcは反転電圧に一致し、選択セルSMCは高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する。
【0158】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される(t53)。
【0159】
次に、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される(t54)。
【0160】
図21は、第2の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時のメモリセルの選択例を示す図である。
【0161】
同図において、高抵抗書込み時に選択セルSMCが指定されたものとする。このとき、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLはVw/2に設定され、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLは-Vw/2に設定される。各PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg4に設定される。このとき、各PMOSトランジスタ112はオンする。
【0162】
各NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg6に設定される。このとき、ライト電圧Vwは、選択ビット線SBLに接続されたNMOSトランジスタ115のオン抵抗にかかる電圧と、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcとに分圧される。そして、ゲート電圧Vgbは、NMOSトランジスタ115のオン抵抗にてライト電圧Vwが分圧されたときに、低抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcが反転電圧に一致するように設定される。
【0163】
ここで、高抵抗書込み時において、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合、選択セルSMCには反転電圧が印加されるため、選択セルSMCは低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。一方、高抵抗書込み時において、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合に比べて、NMOSトランジスタ115のオン抵抗へのライト電圧Vwの分圧比が低下する。このため、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcは反転電圧より大きくなり、選択セルSMCの面内磁気異方性により面内の回転成分が現れるが、この回転成分は磁化方向の反転には寄与しないため、選択セルSMCの高抵抗状態が維持される。
【0164】
図22は、第2の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込み時の各部の電圧波形を示す図である。
【0165】
同図において、高抵抗書込み時には、非選択ワード線のワード線電圧VWLnおよび非選択ビット線のビット線電圧VBLnは0に設定される。そして、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg4に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg6に設定される(t61)。このとき、NMOSトランジスタ115のオン抵抗は、そのオン抵抗と低抵抗状態の選択セルSMCとでライト電圧Vwが分圧されたときに、低抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcが反転電圧に一致するように設定される。また、PMOSトランジスタ112はオンし、ワード線WLを介してメモリセルアレイ101とワード線ドライバ104とが導通される。
【0166】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される(t62)。ここで、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLを介して供給されるライト電圧Vwは、選択ビット線SBLに接続されたNMOSトランジスタ115のオン抵抗にかかる電圧と、選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcとに分圧される。このとき、低抵抗状態の選択セルSMCに印加されるセル電圧Vcは反転電圧に一致し、選択セルSMCは低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する。
【0167】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される(t63)。
【0168】
次に、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される(t64)。
【0169】
図23は、第2の実施の形態に係る記憶装置の読出し時のメモリセルの選択例を示す図である。
【0170】
同図において、読出し時に選択セルSMCが指定されたものとする。このとき、カラムスイッチ118を介して選択ビット線SBLが読出し回路109に接続される。また、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLはVw/2に設定され、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLは-Vw/2に設定される。また、各NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg7に設定され、各PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg4に設定される。このとき、選択セルSMCには、低抵抗書込みが実施される。
【0171】
読出し回路109は、選択セルSMCの低抵抗書込み時に選択ビット線SBLに流れる電流Iaを測定する。ここで、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合、選択セルSMCの低抵抗書込みが実施されると、選択ビット線SBLに流れる電流Iaは増大する。一方、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合、選択セルSMCの低抵抗書込みが実施されても、選択ビット線SBLに流れる電流Iaは変化しない。このため、読出し回路109は、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化しない場合、選択セルSMCは低抵抗状態にあると判断し、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが増大した場合、選択セルSMCは高抵抗状態にあったと判断することができる。ここで、選択セルSMCが高抵抗状態にあるときに低抵抗書込みが実施されると、選択セルSMCの抵抗状態が変化し、選択セルSMCが記憶していたデータが破壊される。このため、選択セルSMCが高抵抗状態にあったと判断された場合、その選択セルSMCに高抵抗書込みを実施し、元のデータを選択セルSMCに書き戻す。
【0172】
図24は、第2の実施の形態に係る記憶装置の読出し時の各部の電圧波形を示す図である。
【0173】
同図において、読出し時には、非選択ワード線のワード線電圧VWLnおよび非選択ビット線のビット線電圧VBLnは0に設定される。そして、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは電圧Vg4に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは電圧Vg7に設定される(t71)。
【0174】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される(t72)。このとき、読出し回路109は、選択ビット線SBLに流れる電流Iaを計測する。ここで、選択セルSMCが高抵抗状態にある場合、選択セルSMCの低抵抗書込みが実施されると、選択ビット線SBLに流れる電流Iaは増大する(IH)。一方、選択セルSMCが低抵抗状態にある場合、選択セルSMCの低抵抗書込みが実施されても、選択ビット線SBLに流れる電流Iaは変化しない(IL)。このとき、読出し回路109は、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが変化しない場合、選択セルSMCは低抵抗状態にあると判断し、選択ビット線SBLに流れる電流Iaが増大した場合、選択セルSMCは高抵抗状態にあったと判断する。
【0175】
次に、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsが0に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが0に設定される(t73)。
【0176】
次に、PMOSトランジスタ112のゲート電圧Vgwは0に設定されるとともに、NMOSトランジスタ115のゲート電圧Vgbは0に設定される(t74)。
【0177】
このように、上述の第2の実施の形態では、磁気抵抗効果素子111の一端にワード線WLを接続し、磁気抵抗効果素子111の他端にビット線BLを接続する。そして、選択ビット線側でのライト電圧Vwの分圧に基づいて、選択セルSMCの書込みを実施する。これにより、メモリセルMCを選択するセレクタ素子をメモリセルMCに設けることなく、電圧駆動に基づいて磁化反転可能なメモリセルMCを実現することが可能となり、メモリセルMCの構成を簡略化しつつ、低消費電力化を図ることができる。
【0178】
<3.第3の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、低抵抗書込みが指令された場合は低抵抗書込みを実施し、低抵抗書込みが指令されない場合は高抵抗書込みを実施した。この第3の実施の形態では、磁気抵抗効果素子111の抵抗状態を初期化し、高抵抗書込みが指令された場合は高抵抗書込みを実施する。
【0179】
図25は、第3の実施の形態に係る記憶装置の低抵抗書込みタイミングを示すタイミングチャートである。
【0180】
同図において、第3の実施の形態の低抵抗書込みタイミングは、上述の第1の実施の形態の低抵抗書込みタイミングと同様である。ただし、第3の実施の形態の低抵抗書込みでは、選択セルの初期化が実施される。この初期化では、選択セルは、低抵抗状態に設定される。
【0181】
図26は、第3の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込みタイミングを示すタイミングチャートである。
【0182】
同図において、第3の実施の形態の高抵抗書込みでは、
図25の初期化が実施された後、高抵抗書込みが実施される。第3の実施の形態の高抵抗書込みタイミングは、上述の第1の実施の形態の高抵抗書込みタイミングと同様である。
【0183】
図27は、第3の実施の形態に係る記憶装置の高抵抗書込みタイミングの変形例を示すタイミングチャートである。
【0184】
同図において、第3の実施の形態の高抵抗書込みの変形例では、
図25の初期化が実施された後、高抵抗書込みが実施される。ただし、第3の実施の形態の高抵抗書込みの変形例では、初期の直後に高抵抗書込みが実施される。すなわち、
図26の高抵抗書込みタイミングでは、切替信号GWCおよびGBCを初期化後に立ち下げた後、高抵抗書込み時に再び立ち上げた。一方、
図27の高抵抗書込みタイミングでは、切替信号GWCおよびGBCを初期化後に立ち下げることなく、高抵抗書込みを実施する。このとき、切替信号WWCおよびWBCが立ち下がった後(t3)、制御信号WCを立ち上げ(t4)、その後に切替信号WWCおよびWBCを再度立ち上げる(t12)。
図26の方法では、時刻t4からt12までの処理に3クロック分の時間がかかるのに対し、
図27の方法では、時刻t4からt12までの処理を1クロック分の時間で済ませることができる。
【0185】
図28は、第3の実施の形態に係る記憶装置の書込み方法を示すフローチャートである。
【0186】
同図において、記憶装置100は、初期用用電圧を設定する(S301)。初期用用電圧は、低抵抗書込み用電圧と同様に設定することができる。
【0187】
次に、記憶装置100は、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLに電圧パルスを印加する(S302)。電圧パルスの印加では、その印加期間に渡って、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0188】
次に、記憶装置100は、高抵抗書込みかどうかを判断する(S303)。低抵抗書込みの場合、記憶装置100は、処理を終了する。一方、高抵抗書込みの場合、記憶装置100は、高抵抗書込み用電圧を設定する(S304)。
【0189】
次に、記憶装置100は、選択ワード線SWLおよび選択ビット線SBLに電圧パルスを印加する(S305)。電圧パルスの印加では、その印加期間に渡って、選択ワード線SWLのワード線電圧VWLsがVw/2に設定されるとともに、選択ビット線SBLのビット線電圧VBLsが-Vw/2に設定される。
【0190】
このように、上述の第3の実施の形態では、磁気抵抗効果素子111の抵抗状態を初期化し、高抵抗書込みが指令された場合は高抵抗書込みを実施する。これにより、低抵抗書込みが指令された場合は、磁気抵抗効果素子111の抵抗状態の初期化後の低抵抗書込みを省略することができる。
【0191】
なお、上述の第3の実施の形態の書込み方法は、上述の第1の実施の形態の記憶装置100に適用してもよいし、上述の第2の実施の形態の記憶装置200に適用してもよい。
【0192】
<4.第1の応用例>
上述の実施の形態は、撮像装置に応用してもよい。撮像装置は、デジタルスチルカメラでもよいし、ビデオカメラに適用してもよいし、撮像機能を有するスマートフォンや携帯電話機などの電子機器に適用してもよいし、画像センサを有する認証装置やドローンやEV(Electric Vehicle)に適用してもよい。
【0193】
図29は、撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0194】
同図において、撮像装置300は、光学系301、シャッタ装置302、撮像素子303、制御回路(駆動回路)304、信号処理回路305、モニタ306およびメモリ307を備える。この撮像装置300は、静止画像および動画像を撮像可能である。
【0195】
光学系301は、1枚または複数枚のレンズを有する。この光学系301は、被写体からの光(入射光)を撮像素子303に導き、撮像素子303の受光面に結像させる。
【0196】
シャッタ装置302は、光学系301および撮像素子303の間に配置される。このシャッタ装置302は、制御回路304の制御に従って、撮像素子303への光照射期間および遮光期間を制御する。
【0197】
撮像素子303は、光学系301およびシャッタ装置302を介して受光面に結像される光に応じて、一定期間、信号電荷を蓄積する。撮像素子303に蓄積された信号電荷は、制御回路304から供給される駆動信号(タイミング信号)に従って転送される。
【0198】
制御回路304は、撮像素子303の転送動作およびシャッタ装置302のシャッタ動作を制御する駆動信号を出力して、撮像素子303およびシャッタ装置302を駆動する。
【0199】
信号処理回路305は、撮像素子303から出力された信号に対して各種の信号処理を施す。信号処理回路305が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ306およびメモリ307に供給される。
【0200】
モニタ306は、信号処理回路305から供給された画像データに基づき、撮像素子303により撮像された動画又は静止画を表示する。モニタ306としては、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置が用いられる。
【0201】
メモリ307は、信号処理回路305から供給された画像データ、すなわち、撮像素子303により撮像された動画または静止画の画像データを記憶する。メモリ307は、不揮発性メモリとして、上述の実施の形態の記憶装置100または200を備えてもよい。
【0202】
この撮像装置300において、メモリ307として、上述の実施の形態の記憶装置100または200を用いることにより、低コスト化を図りつつ、大容量化を図ることが可能となるとともに、低消費電力化を図ることができる。
<5.第2の応用例>
上述の実施の形態は、測距装置に応用してもよい。測距装置は、距離画像センサでもよいし、レーザ測距装置でもよい。
【0203】
図30は、測距装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0204】
同図において、測距装置400は、光源部401、光学系402、固体撮像装置(撮像素子)403、制御回路(駆動回路)404、信号処理回路405、モニタ406およびメモリ407を備える。この測距装置400は、光源部401から被写体に向かって投光し、被写体の表面で反射された光(変調光やパルス光)を受光することにより、被写体までの距離に応じた距離画像を取得することができる。
【0205】
光源部401は、被写体に向かって投光する。光源部401としては、例えば、面光源としてレーザ光を射出する垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)アレイや、レーザダイオードをライン上に配列したレーザダイオードアレイが用いられる。なお、レーザダイオードアレイは、所定の駆動部(不図示)によって支持され、レーザダイオードの配列方向に垂直の方向にスキャンされる。
【0206】
光学系402は、1枚または複数枚のレンズを有する。この光学系402は、被写体からの光(入射光)を固体撮像装置403に導き、固体撮像装置403の受光面(センサ部)に結像させる。
【0207】
固体撮像装置403は、光学系402を介して受光面に結像される光に応じて、信号電荷を蓄積する。この固体撮像装置403から出力される受光信号(APD OUT)から求められる距離を示す距離信号が信号処理回路405に供給される。固体撮像装置403としては、例えば、イメージセンサ等の固体撮像素子が用いられる。
【0208】
制御回路404は、光源部401や固体撮像装置403等の動作を制御する駆動信号(制御信号)を出力し、光源部401や固体撮像装置403等を駆動する。
【0209】
信号処理回路405は、固体撮像装置403から供給された距離信号に対して各種の信号処理を施す。例えば、信号処理回路405は、距離信号に基づいて距離画像を構築する画像処理(例えば、ヒストグラム処理やピーク検出処理等)を行う。信号処理回路405が信号処理を施すことにより得られた画像(画像データ)は、モニタ406およびメモリ407に供給される。
【0210】
モニタ406は、信号処理回路405から供給された画像データに基づき、撮像素子303により撮像された距離画像を表示する。モニタ406としては、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等のパネル型表示装置が用いられる。
【0211】
メモリ407は、信号処理回路405から供給された画像データ、すなわち、撮像素子303により撮像された距離画像の画像データを記憶する。メモリ407は、不揮発性メモリとして、上述の実施の形態の記憶装置100または200を備えてもよい。
【0212】
この測距装置400において、メモリ407として、上述の実施の形態の記憶装置100または200を用いることにより、低コスト化を図りつつ、大容量化を図ることが可能となるとともに、低消費電力化を図ることができる。
<6.第3の応用例>
上述の実施の形態は、ゲーム機器に応用してもよい。ゲーム機器は、携帯型ゲーム機でもよいし、据置型ゲーム機でもよい。ゲーム機器は、ゲーム専用機器でもよいし、ゲーム用アプリケーションがインストールされたスマートフォンやパーソナルコンピュータなどの電子機器でもよい。
【0213】
図31は、ゲーム機器の外観構成の一例を示す斜視図、
図32は、ゲーム機器の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0214】
図31において、ゲーム機器900は、例えば、横長の扁平な形状に形成された外筐901の内外に各構成が配置された外観を有する。このとき、プレーヤは、外筐901の両端を両手で保持することができる。
【0215】
外筐901の前面には、長手方向の中央部に表示パネル902が設けられる。また、表示パネル902の左右には、それぞれ周方向に離隔して配置された操作キー903および904が設けられる。また、外筐901の前面の下端部には、操作キー905が設けられる。操作キー903、904および905は、方向キーまたは決定キー等として機能し、表示パネル902に表示されるメニュー項目の選択やゲームの進行等に用いられる。
【0216】
外筐901の上面には、外部機器を接続するための接続端子906や電力供給用の供給端子907、外部機器との赤外線通信を行う受光窓908等が設けられる。
【0217】
図32において、ゲーム機器900は、CPU(Central Processing Unit)を含む演算処理部910と、各種情報を記憶する記憶部920と、ゲーム機器900の各構成を制御する制御部930とを備える。演算処理部910および制御部930には、例えば、図示しないバッテリ等から電力が供給される。
【0218】
演算処理部910は、各種情報の設定またはアプリケーションの選択をユーザに行わせるメニュー画面を生成する。また、演算処理部910は、ユーザによって選択されたアプリケーションを実行する。
【0219】
記憶部920は、ユーザにより設定された各種情報を保持する。記憶部920は、不揮発性メモリとして、上述の実施の形態の記憶装置100または200を備えてもよい。
【0220】
制御部930は、入力受付部931、通信処理部933および電源制御部935を有する。入力受付部931は、例えば、操作キー903、904および905の状態検出を行う。また、通信処理部933は、外部機器との間の通信処理を行う。電源制御部935は、ゲーム機器900の各部に供給される電力の制御を行う。
【0221】
このゲーム機器900において、記憶部920として、上述の実施の形態の記憶装置100または200を用いることにより、低コスト化を図りつつ、大容量化を図ることが可能となるとともに、低消費電力化を図ることができる。
【0222】
なお、上述の実施の形態の記憶装置100または200は、演算装置等を成す半導体回路とともに同一の半導体チップに搭載されて半導体装置(System on a Chip)を構成してもよい。
【0223】
また、上述の実施の形態の記憶装置100または200は、上述のようにメモリ(記憶部)が搭載され得る各種の電子機器に実装されることが可能である。例えば、上述の実施の形態の記憶装置100または200は、撮像装置300やゲーム機器900の他、ノートPC(Personal Computer)、モバイル機器(例えば、スマートフォンやタブレットPC等)、PDA(Personal Digital Assistant)、ウェアラブルデバイス、音楽機器等、各種の電子機器に搭載されてもよい。例えば、上述の実施の形態の記憶装置100または200は、ストレージ等の各種メモリとして用いられてもよい。
【0224】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0225】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)磁気抵抗効果素子が設けられたメモリセルと、
前記磁気抵抗効果素子の一端に接続されたワード線と、
前記磁気抵抗効果素子の他端に接続されたビット線と
を具備する記憶装置。
(2)前記磁気抵抗効果素子は、VCMA(Voltage Controlled Magnetic Anisotropy)効果を持つ
前記(1)記載の記憶装置。
(3)前記VCMA効果は非線形である
前記(2)記載の記憶装置。
(4)前記VCMA効果は、前記磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が低い点では高い点に比べて傾きが小さい領域を持つ前
前記(3)記載の記憶装置。
(5)前記VCMA効果に基づいて前記磁気抵抗効果素子の磁化方向を反転させる反転電圧を印加するドライバを
さらに具備する前記(1)から(4)のいずれかに記載の記憶装置。
(6)前記ドライバは、前記反転電圧が選択セルに印加され、前記磁気抵抗効果素子の磁化方向が反転されない非反転電圧が非選択セルに印加されるように前記メモリセルに印加される電圧を切り替える
前記(5)記載の記憶装置。
(7)前記磁気抵抗効果素子が高抵抗状態から低抵抗状態に遷移する時と低抵抗状態から高抵抗状態に遷移する時とで前記磁気抵抗効果素子に印加されるセル電圧が互いに略等しくなるように前記ワード線と前記ビット線との間の抵抗を制御する抵抗制御回路を
さらに具備する前記(1)から(6)のいずれかに記載の記憶装置。
(8)前記抵抗制御回路は、ゲート電圧に基づいてオン抵抗が変化する電界効果トランジスタを備える
前記(7)記載の記憶装置。
(9)前記電界効果トランジスタは、前記ワード線ごとに設けられる
前記(8)記載の記憶装置。
(10)前記電界効果トランジスタは、前記ビット線ごとに設けられる
前記(8)記載の記憶装置。
(11)前記磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第1ゲート電圧と、前記磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合に前記電界効果トランジスタに印加される第2ゲート電圧とを切り替えるゲート電圧切替部を
さらに具備する前記(8)から(10)のいずれかに記載の記憶装置。
(12)前記ドライバは、
前記ワード線と前記ビット線との間に印加されるライト電圧のX/(X+Y)(XおよびYは、前記磁気抵抗効果素子の磁化方向が反転しない値)のワード線電圧を、選択セルに接続された前記ワード線に印加するワード線ドライバと、
前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧のY/(X+Y)のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加するビット線ドライバとを備える
前記(5)記載の記憶装置。
(13)前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加する
前記(12)記載の記憶装置。
(14)前記選択セルに接続された前記ワード線に印加される前記ワード線電圧の印加タイミングと、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加される前記ビット線電圧の印加タイミングとの少なとも一部が互いに重なるように制御する制御回路を
さらに具備する前記(12)または(13)に記載の記憶装置。
(15)前記磁気抵抗効果素子が低抵抗書込みされる場合、
前記ゲート電圧切替部は、前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧を印加し、
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、前記選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加する
前記(14)記載の記憶装置。
(16)前記磁気抵抗効果素子が高抵抗書込みされる場合、
前記ゲート電圧切替部は、前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧を印加し、
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、前記選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加する
前記(14)記載の記憶装置。
(17)前記選択セルが接続された前記ビット線に流れる電流に基づいて、前記選択セルに記憶されているデータを検知する読出し回路を
さらに具備する前記(14)記載の記憶装置。
(18)前記選択セルからデータを読み出す場合、
前記ゲート電圧切替部は、前記電界効果トランジスタに前記第1ゲート電圧を印加し、
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、前記選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加し、
前記読出し回路は、前記選択セルが接続された前記ビット線に流れる電流の変化を測定し、
前記ビット線に流れる電流が変化しない場合、前記選択セルから読み出されたデータは0であると判断し、
前記ビット線に流れる電流が増大した場合、前記選択セルから読み出されたデータは1であると判断し、
前記選択セルから読み出されたデータが1であると判断された場合、
前記ゲート電圧切替部は、前記電界効果トランジスタに前記第2ゲート電圧を印加し、
前記ワード線ドライバは、前記ライト電圧の1/2のワード線電圧を、前記選択セルに接続された前記ワード線に印加し、
前記ビット線ドライバは、前記ワード線電圧と極性が逆で前記ライト電圧の1/2のビット線電圧を、前記選択セルに接続された前記ビット線に印加する
前記(17)記載の記憶装置。
【符号の説明】
【0226】
100、200 記憶装置
101 メモリセルアレイ
111 磁気抵抗効果素子
102 ワード線抵抗制御回路
112 PMOSトランジスタ
MC メモリセル
BL ビット線
WL ワード線
103、106 ゲート電圧切替部
104 ワード線ドライバ
114、117 電圧切替スイッチ
113 抵抗状態制御スイッチ
105 ビット線導通回路
115 NMOSトランジスタ
116 導通状態制御スイッチ
107 ビット線ドライバ
108 カラムセレクタ
118 カラムスイッチ
109 読出し回路